粉瘤

顎にしこりがあって押すと痛い原因と対処法|放置せず確認すべき症状とは

⚠️ 「顎の下にしこりがある…押すと痛い…これって大丈夫?」

そのまま放置していませんか?
実は、顎のしこりは原因によっては早急な受診が必要なケースもあります。

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顎のしこり、「そのうち治るだろう」と放置するのはキケン!
4週間以上続く・急に大きくなる場合は、早めに受診してください。

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この記事を読めば、しこりの原因・危険なサイン・受診すべき科がすべてわかります✅

🚨 こんな症状がある方は必読!

  • ⚡ 顎の下・顎周辺に硬いしこりを感じる
  • ⚡ 触ると痛みがある
  • ⚡ しこりが2週間以上消えない
  • ⚡ 発熱・倦怠感も一緒にある
  • ⚡ 何科に行けばいいかわからない

顎周辺のしこりは、風邪によるリンパ節の腫れ・唾液腺の炎症・粉瘤・歯由来の炎症など、さまざまな原因で起こります。痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。この記事で原因と対処法を正しく理解しましょう。


目次

  1. 顎にしこりができる仕組みと基本的な考え方
  2. 押すと痛い顎のしこりに多い原因①:リンパ節の腫れ(リンパ節炎)
  3. 押すと痛い顎のしこりに多い原因②:唾液腺の炎症・唾石症
  4. 押すと痛い顎のしこりに多い原因③:粉瘤(アテローム)
  5. 押すと痛い顎のしこりに多い原因④:虫歯・歯周病による炎症の波及
  6. 押すと痛い顎のしこりに多い原因⑤:顎骨嚢胞・顎骨腫瘍
  7. 痛みを伴う顎のしこりが悪性腫瘍である可能性について
  8. 顎のしこりを放置してはいけない危険なサイン
  9. 顎のしこりは何科を受診すればよいか
  10. 顎のしこりの診断・検査方法
  11. 自宅でできるケアと注意点
  12. まとめ

💡 この記事のポイント

顎のしこりで押すと痛い場合、リンパ節炎・粉瘤・唾液腺炎・歯由来の炎症などが主な原因。痛みがあっても良性・悪性の判断はできず、4週間以上続く・急速に拡大する場合は耳鼻咽喉科・口腔外科・皮膚科などへ早めに受診が必要。

💡 顎にしこりができる仕組みと基本的な考え方

顎の周辺には、皮膚・皮下組織・筋肉・リンパ節・唾液腺(顎下腺・耳下腺・舌下腺)・神経・血管・顎骨(下顎骨・上顎骨)といった多様な組織が密集しています。このためしこりが生じる原因も多岐にわたり、発生した組織によって性質や症状が大きく異なります。

しこりとは、皮下や組織内に正常とは異なる硬さや盛り上がりが生じた状態を指します。医学的には「腫瘤(しゅりゅう)」とも呼ばれ、内部に液体が貯留したものや、細胞が増殖したもの、炎症によって腫れたものなど、その内容はさまざまです。

顎のしこりを考える際に重要なのは、以下のポイントです。

  • いつから気づいたか(急に出現したのか、ゆっくり大きくなってきたのか)
  • 押すと痛みがあるかどうか
  • 大きさは変化しているか
  • 硬さはどうか(柔らかい・弾力がある・硬い)
  • しこり以外の症状があるか(発熱、咽頭痛、歯の痛み、体重減少など)

これらの情報は医師が原因を絞り込む際の重要な手がかりになりますので、受診の際にはなるべく正確に伝えられるよう、症状の経過を記録しておくことをおすすめします。

「押すと痛い」という感覚は、多くの場合、炎症が関与していることを示唆します。炎症が起きると、炎症部位ではブラジキニンやプロスタグランジンといった痛みを引き起こす物質(発痛物質)が産生され、局所の感覚神経を刺激するため圧痛(押したときの痛み)が生じます。しかし、炎症が原因のしこりであれば必ず痛みがあるとも限らず、また悪性腫瘍であっても経過によっては圧痛を生じることがあるため、「痛いから大丈夫」と自己判断することは危険です。

Q. 顎のしこりを押すと痛い場合、主にどんな原因が考えられますか?

顎のしこりを押すと痛い場合、主な原因はリンパ節炎・唾液腺炎・唾石症・炎症性粉瘤・虫歯や歯周病による炎症の波及・顎骨嚢胞などです。押すと痛みがある場合は炎症性の変化である可能性が高いですが、痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。

📌 押すと痛い顎のしこりに多い原因①:リンパ節の腫れ(リンパ節炎)

顎の下(顎下部)や首の前側には、多数のリンパ節が存在します。リンパ節は免疫系の一部であり、細菌やウイルスなどの異物を捕捉・処理する役割を担っています。顎下リンパ節や頸部リンパ節が腫れる原因として最も頻度が高いのが、リンパ節炎です。

リンパ節炎が起きる主な原因は以下の通りです。

上気道炎(風邪)・咽頭炎・扁桃炎などの感染症が起きると、顎下や頸部のリンパ節が反応性に腫大します。これを反応性リンパ節腫脹と呼びます。通常は感染症が治癒するとともにリンパ節の腫れも自然に引いていきます。発熱や喉の痛み、鼻水などを伴うことが多く、しこりを押すと痛みを感じるのが特徴です。

細菌性リンパ節炎では、虫歯・歯周病・口腔内の感染などが原因となって細菌が周辺のリンパ節に侵入し、リンパ節自体が化膿することがあります。この場合、しこりが急速に大きくなり、皮膚が赤く腫れて熱を持ち、強い圧痛が現れます。重症化すると膿瘍(化膿した組織の集まり)を形成することもあり、早急な治療が必要です。

伝染性単核球症(EBウイルス感染症)では、頸部リンパ節の広範な腫脹や発熱、扁桃炎、肝脾腫などが生じます。特に若い世代に多く、「キス病」とも呼ばれることがあります。

猫ひっかき病は、バルトネラ菌を保有する猫に引っかかれたり、咬まれたりした後に、所属リンパ節(引っかかれた部位に近いリンパ節)が腫れる感染症です。顔や手をひっかかれた場合、顎下・頸部リンパ節が腫れることがあります。

リンパ節炎の多くは感染症に伴う一時的なものであり、原因の治療を行うことで数週間以内に改善します。しかし2〜4週間以上経っても改善しない場合は、他の原因を考える必要があります。

✨ 押すと痛い顎のしこりに多い原因②:唾液腺の炎症・唾石症

顎下部に存在する顎下腺は、三大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の一つで、唾液を分泌して口腔内に送り込む役割を担っています。この顎下腺に関連したトラブルとして、唾液腺炎と唾石症があります。

唾液腺炎は、唾液腺に炎症が生じた状態です。細菌性唾液腺炎では、口腔内の細菌が唾液腺導管(唾液の通り道)から逆行性に感染することで起こります。脱水状態や唾液分泌の低下があると起きやすく、顎下部が赤く腫れ上がり、強い圧痛を伴います。発熱を伴うこともあり、重症の場合は膿が導管から排出されることもあります。

唾石症は、唾液中のカルシウム塩などが析出して石(唾石)が形成され、唾液の流出が妨げられる疾患です。顎下腺に最も多く発生します。食事中に唾液分泌が増えると顎下部が膨れ上がり、鈍い痛みや圧迫感を感じるのが典型的な症状です。唾石が詰まって唾液の流れが完全に止まると炎症が起き、強い痛みと腫れが生じます。

ウイルス性唾液腺炎の代表例として、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)があります。ムンプスウイルスによる感染で、主に耳下腺が両側性に腫れますが、顎下腺や舌下腺にも炎症が及ぶことがあります。発熱と耳前部〜顎下部の腫れが特徴で、子どもに多い疾患ですが成人でも罹患することがあります。

唾液腺の異常は、触診や超音波検査、場合によってはCT検査によって診断されます。唾石は多くの場合、外科的に摘出する必要があります。

Q. 顎のしこりで今すぐ救急受診が必要な症状は何ですか?

数時間〜1日で急激に腫れが広がる・飲み込みが困難・口が開けにくい・声が変わるといった症状は、気道閉塞リスクのある口底蜂窩織炎が疑われ、直ちに救急受診が必要です。38℃以上の高熱やぐったりした状態を伴う場合も同様に緊急性が高いサインです。

🔍 押すと痛い顎のしこりに多い原因③:粉瘤(アテローム)

粉瘤(アテローム)は、皮膚の表面に本来排出されるべき角質や皮脂が皮膚の内側に溜まってできた袋状の良性腫瘍です。顔や頭部、背中、首などに好発し、顎の周辺にも比較的多く発生します。

粉瘤の特徴としては、皮膚の下にドーム状の盛り上がりがあり、中心部に黒い点(開口部)が見えることがあります。通常は痛みがなく、押すと少し動く感触があります。しかし、細菌が感染して炎症を起こした場合(炎症性粉瘤)は急速に赤く腫れ上がり、強い圧痛が生じます。炎症が進むと膿が溜まって大きくなり、自然に破裂して内容物が排出されることもあります。

「顎のしこりを押すと痛い」という訴えで受診される方の中で、炎症性粉瘤は比較的多く見られる原因の一つです。炎症が強い時期は抗菌薬の投与や切開排膿(膿を外に出す処置)を行い、炎症が落ち着いてから根治のための手術(袋ごと摘出する手術)を行うのが一般的です。

粉瘤は繰り返し炎症を起こすことがあるため、根治的な手術(袋ごと取り除くこと)が勧められています。ただし炎症が起きていない時期に手術を受けることが重要で、炎症の最中に手術をしようとすると十分に切除できないことがあります。

💪 押すと痛い顎のしこりに多い原因④:虫歯・歯周病による炎症の波及

顎の周辺は歯や歯周組織と非常に近い位置にあります。虫歯が進行して歯根部に膿が溜まる「根尖病巣(こんせんびょうそう)」や、歯周病による炎症が周囲の組織に波及すると、顎や顔の腫れとして現れることがあります。

根尖膿瘍では、歯根の先端に膿が溜まり、それが骨を溶かして顎の外側(皮膚の下)に穿破(突き破ること)すると、顎にしこりが形成されます。歯の痛みとともに顎が腫れ、押すと強い痛みを感じます。皮膚に穿破すると皮膚瘻(皮膚に孔が空いて膿が出てくる状態)が形成されることもあります。

歯周組織炎が重症化すると、口底蜂窩織炎(Ludwig’s angina)という重篤な感染症を引き起こすことがあります。これは口底から頸部にかけての軟部組織に細菌感染が急速に広がる病態で、気道閉塞のリスクがあることから生命を脅かす緊急疾患です。顎下部の急激な腫脹、開口困難、嚥下困難、発熱などが特徴的な症状で、この状態が疑われる場合は直ちに救急受診が必要です。

歯に関連した原因が疑われる場合は、歯科・口腔外科への受診が最初のステップとなります。適切な歯科治療(根管治療・抜歯など)と必要に応じた抗菌薬治療によって炎症を制御することが根本的な治療となります。

🎯 押すと痛い顎のしこりに多い原因⑤:顎骨嚢胞・顎骨腫瘍

顎骨の内部に嚢胞(液体が詰まった袋状の構造物)や腫瘍が発生することがあります。顎骨嚢胞は比較的よく見られる疾患であり、歯に関連したものと歯とは無関係に発生するものがあります。

歯根嚢胞は、慢性的な根尖病巣が嚢胞化したもので、顎骨嚢胞の中では最も頻度が高いものです。小さいうちはほとんど症状がありませんが、大きくなると顎の膨らみや違和感として気づかれることがあります。感染すると痛みや腫れが現れることがあります。

含歯性嚢胞(濾胞性歯嚢胞)は、埋伏歯(骨の中に埋まったままになっている歯)の周囲に発生する嚢胞です。特に親知らず(第三大臼歯)の周囲に生じることが多く、感染すると急激な腫れと痛みが現れます。

歯原性腫瘍は歯の発生に関連した細胞から生じる腫瘍の総称で、エナメル上皮腫が代表的です。比較的ゆっくりと増大し、骨の膨隆として触れることがあります。感染が加わると痛みが出ることがあります。

これらの病変はレントゲン検査(パノラマX線撮影など)で見つかることが多く、治療は手術(嚢胞摘出術など)が基本となります。

Q. 顎にできた粉瘤はどのように治療しますか?

粉瘤の根本的な治療は、炎症が起きていない時期に袋ごと摘出する手術です。炎症で赤く腫れている時期は、まず抗菌薬や切開排膿で炎症を抑えてから手術を行います。炎症を繰り返すと周囲組織と癒着して手術が難しくなるため、早めに皮膚科や形成外科へ相談することが重要です。

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💡 痛みを伴う顎のしこりが悪性腫瘍である可能性について

顎や頸部のしこりが悪性腫瘍(がん)である可能性についても、知識として持っておくことが大切です。ただし、押すと痛みがある場合は炎症性の変化である可能性が高く、一般的に悪性腫瘍による転移性リンパ節は初期には無痛性であることが多いとされています。しかし、これはあくまでも傾向であり、痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。

顎や頸部に関連した悪性疾患として以下のものが挙げられます。

頸部リンパ節への転移がんは、口腔がん(舌がん、口底がん、歯肉がん、頬粘膜がんなど)、咽頭がん、喉頭がん、甲状腺がんなどが顎下リンパ節や頸部リンパ節に転移することで生じます。原発巣が小さいうちは自覚症状が乏しく、首のしこりが最初の症状として現れることがあります。

悪性リンパ腫は、リンパ球が悪性化した血液系のがんです。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別され、どちらも頸部リンパ節の腫大が初発症状となることが多い疾患です。複数のリンパ節が同時に腫れ、発熱・体重減少・夜間の多量発汗(B症状)を伴うことがあります。

唾液腺悪性腫瘍は、唾液腺に発生する悪性腫瘍で、粘表皮がん・腺様嚢胞がん・腺房細胞がんなどがあります。比較的まれな疾患ですが、唾液腺の部位に硬いしこりが生じ、神経に浸潤すると顔面神経麻痺や痛みを来すことがあります。

悪性疾患を示唆する特徴としては、しこりが硬い・表面がごつごつしている・周囲の組織と癒着して動かない・急速に大きくなっている・体重減少や発熱などの全身症状を伴う、といったものが挙げられます。これらの特徴がある場合は特に早急な受診が必要です。

📌 顎のしこりを放置してはいけない危険なサイン

顎のしこりの中には、放置すると重大な結果をもたらすものがあります。以下のような症状・サインが見られる場合は、早急に医療機関を受診してください。

急速に悪化する腫れ・痛みが見られる場合は要注意です。数時間〜1日単位で顎や顔の腫れが広がり、痛みが増強する場合は、口底蜂窩織炎(Ludwig’s angina)などの重篤な感染症が疑われます。この疾患は気道を閉塞するリスクがあり、生命を脅かす緊急疾患です。飲み込みが困難になる、口が開けにくくなる、声が変わるといった症状が加わった場合は直ちに救急を受診してください。

38℃以上の高熱を伴う場合も注意が必要です。顎のしこりに加えて高熱がある場合は、重篤な細菌感染が進行している可能性があります。特にぐったりしている・食事や水分が取れない・意識がぼんやりするといった症状がある場合は緊急性が高いです。

4週間以上しこりが続く・むしろ大きくなる場合も放置は禁物です。一般的なリンパ節炎であれば、原因となる感染症が治れば2〜4週間以内に縮小します。それ以上続く場合や経過とともに大きくなる場合は、悪性疾患を含むより詳細な精査が必要です。

顔面神経麻痺(顔の片側が動きにくい・口が曲がる・目が閉じにくい)を伴う場合も要注意です。唾液腺悪性腫瘍や悪性リンパ腫などが顔面神経を侵している可能性があります。

体重が急に減った・夜間に大量の汗をかく・長続きする発熱がある場合は、悪性リンパ腫などの血液系疾患が疑われます。これらの全身症状(B症状)は重要なサインです。

皮膚に変化が出ている場合も注意が必要です。しこりの部分の皮膚が赤くなっている・熱を持っている場合は炎症が強く起きているサインです。また、皮膚が黄色がかって変色してきた場合はがんの皮膚浸潤の可能性もあります。

飲み込みにくい・口が開けにくい・しびれるといった神経症状は、しこりが周囲の神経や筋肉を圧迫または侵している可能性を示唆しており、早急な評価が必要です。

✨ 顎のしこりは何科を受診すればよいか

顎のしこりを診てもらうにあたって、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。以下に状況別の目安をお伝えします。

風邪や喉の痛みなどの感染症に伴ってリンパ節が腫れている場合は、まず内科や耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。耳鼻咽喉科は口腔・咽頭・喉頭・頸部のリンパ節を専門的に診ることができる科であり、顎や頸部のしこりの鑑別に適しています。

歯の痛みや歯肉の腫れを伴う場合は、歯科や口腔外科への受診が最初のステップです。虫歯や歯周病が原因であれば歯科治療が根本的な解決につながります。口腔外科では顎骨嚢胞・顎骨腫瘍・唾液腺疾患・顔面外傷など、口腔・顎・顔面領域の外科的疾患を総合的に診ることができます。

皮膚の表面近くにあって、皮膚科的な疾患(粉瘤・皮膚腫瘍など)が疑われる場合は、皮膚科や形成外科・美容外科への受診が適しています。粉瘤の手術(摘出術)は皮膚科や形成外科・外科・美容外科で行われます。

悪性リンパ腫や白血病などの血液系疾患が疑われる場合は、血液内科の専門的な評価が必要となります。

どこを受診すればよいかわからない場合は、まず内科やかかりつけ医に相談するか、耳鼻咽喉科・口腔外科を受診することをおすすめします。これらの科では顎周辺の疾患を幅広く診ることができ、必要に応じて適切な専門科に紹介してもらうことができます。アイシークリニック渋谷院のような美容・形成外科クリニックでは、粉瘤などの皮膚良性腫瘍の摘出手術を行っています。

Q. 顎のしこりはどの診療科を受診すればよいですか?

風邪や喉の痛みを伴う場合は耳鼻咽喉科、歯の痛みを伴う場合は歯科・口腔外科が適しています。粉瘤など皮膚表面に近いしこりは皮膚科や形成外科へ相談してください。どこへ行けばよいか迷う場合は、まず内科やかかりつけ医、または耳鼻咽喉科・口腔外科への受診をおすすめします。

🔍 顎のしこりの診断・検査方法

顎のしこりを評価するために、医師はさまざまな検査を組み合わせて診断を進めます。どのような検査が行われるのかを知っておくと、受診の際に安心感につながるでしょう。

問診では、しこりに気づいた時期・大きさの変化・痛みの有無と程度・他の症状(発熱・歯の痛み・飲み込みにくさなど)・既往歴・薬の使用歴・喫煙・飲酒・職業などについて詳しく聞かれます。これらの情報が診断の方向性を決める重要な手がかりとなります。

触診では、医師がしこりを直接触って、その大きさ・硬さ・表面の性状(平滑か凹凸があるか)・周囲組織との癒着(動くか動かないか)・圧痛の有無などを評価します。また、口腔内の観察(粘膜・歯・扁桃など)や頸部全体のリンパ節の状態も確認されます。

血液検査では、炎症の程度を反映するCRP(C反応性蛋白)・白血球数・赤沈(赤血球沈降速度)のほか、ウイルス感染の有無(EBウイルス抗体など)・腫瘍マーカーなどが検査されます。

画像検査として最初に行われることが多いのが超音波(エコー)検査です。被曝がなく、リアルタイムで観察できるため、しこりが充実性(詰まっている)なのか嚢胞性(液体が入っている)なのかを判別したり、リンパ節・唾液腺の状態を評価したりするのに役立ちます。

CT(コンピュータ断層撮影)検査は、骨や軟部組織を詳細に評価できるため、腫瘤の範囲・周囲への浸潤・リンパ節転移の有無などを評価するのに有用です。造影剤を使用することで、より詳細な情報が得られます。

MRI(磁気共鳴画像)検査は、軟部組織のコントラスト分解能がCTより高く、腫瘤の性状評価・神経や血管との関係の把握に優れています。放射線を使用しないため被曝の心配がないことも利点です。

X線検査(パノラマX線撮影など)は、顎骨の異常(嚢胞・腫瘍・根尖病巣など)を確認するのに有用です。歯科・口腔外科領域での初期評価として広く使われています。

細胞診・組織診は、しこりから細胞や組織を採取して顕微鏡で検査する方法です。細胞診(穿刺吸引細胞診:針を刺して細胞を吸い取る検査)は比較的簡単に行えますが、組織の採取量が少なく診断が難しいこともあります。組織診(生検:組織の一部を切り取って検査する)は確定診断に最も信頼性が高い方法で、悪性疾患の診断には不可欠です。

💪 自宅でできるケアと注意点

顎のしこりについて、受診するまでの間や、医師の診察を受けてその原因が判明した後に、自宅でできるケアについて解説します。ただし、以下のケアはあくまでも補助的なものであり、適切な医療機関での診察・治療が最も重要です。

まず、しこりを強く押したり揉んだりしないことが重要です。炎症が起きている場合は悪化する可能性があり、悪性疾患の場合はがんが広がるリスクも考えられます。「しこりを押して確認する」という行動は最小限にとどめましょう。

リンパ節炎による腫れの場合は、原因となっている感染症(風邪・咽頭炎など)の治療を適切に行うことが第一です。十分な休養・水分補給・栄養補給を心がけましょう。市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)は発熱や痛みを和らげるために使用できますが、根本的な治療にはなりません。

炎症性粉瘤や感染性のしこりに対して、患部を温める(温罨法)ことで炎症の排膿が促進されることがあるとも言われますが、医師の指示なく自己判断で行うことはすすめられません。症状が強い場合は医療機関での処置(切開排膿など)が必要です。

口腔内の衛生管理は、歯や歯周組織に関連したしこりの予防・悪化防止に重要です。適切なブラッシング・フロスの使用・定期的な歯科検診を習慣化することで、虫歯や歯周病による炎症の波及を防ぐことができます。

喫煙は口腔がんや咽頭がんのリスクを高めることが知られています。顎や頸部のしこりが持続する場合は、禁煙することが長期的なリスク低減につながります。

また、インターネットで症状を検索して自己診断することには限界があります。特に顎のしこりは原因が多様であり、同じような症状であっても必要な治療は全く異なります。心配な症状がある場合は、必ず医療機関を受診して専門家の判断を仰いでください。

なお、粉瘤(アテローム)と診断された場合、炎症が起きていない段階での手術が最も安全で確実です。炎症を繰り返すと袋の壁が周囲組織と癒着して手術が難しくなったり、術後に再発しやすくなったりします。炎症が落ち着いた段階で、形成外科・皮膚科・美容外科などで手術の相談をすることをおすすめします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、顎のしこりを主訴に来院される患者様の多くが、炎症性粉瘤やリンパ節炎といった良性疾患であることが多いですが、「押すと痛いから大丈夫だろう」と数ヶ月間放置されてから受診されるケースも少なくありません。痛みの有無だけで良性・悪性を判断することは医師でも難しく、4週間以上しこりが続く場合や急速に大きくなる場合は、早めに専門医にご相談いただくことを強くお勧めします。粉瘤であれば炎症が落ち着いた時期に手術を行うことで根本的に解決できますので、気になる症状がございましたら、どうぞお気軽にご来院ください。」

🎯 よくある質問

顎のしこりを押すと痛い場合、悪性腫瘍の可能性はありますか?

押すと痛みがある場合は炎症性の変化である可能性が高く、悪性腫瘍による転移性リンパ節は初期には無痛性であることが多いとされています。ただし、痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。4週間以上しこりが続く場合や急速に大きくなる場合は、早めに専門医を受診してください。

顎のしこりは何科を受診すればよいですか?

症状によって受診先が異なります。風邪や喉の痛みを伴う場合は耳鼻咽喉科、歯の痛みを伴う場合は歯科・口腔外科が適しています。皮膚表面に近いしこり(粉瘤など)は皮膚科や形成外科へ。どこに行けばよいか迷う場合は、内科やかかりつけ医、または耳鼻咽喉科・口腔外科への受診をおすすめします。

顎のしこりで今すぐ救急を受診すべき症状はどれですか?

以下の症状がある場合は緊急性が高く、直ちに医療機関を受診してください。数時間〜1日で急激に腫れが広がる、飲み込みが困難・口が開けにくい・声が変わるなどの症状は、気道閉塞リスクのある口底蜂窩織炎が疑われます。38℃以上の高熱やぐったりした状態を伴う場合も同様です。

粉瘤(アテローム)が顎にできた場合、どう対処すればよいですか?

粉瘤は炎症が起きていない時期に、袋ごと摘出する手術を行うことが根本的な治療です。炎症が起きて赤く腫れている時期は、まず抗菌薬や切開排膿で炎症を抑え、落ち着いてから手術を行います。炎症を繰り返すと手術が難しくなるため、早めの対処が重要です。アイシークリニック渋谷院でも粉瘤の摘出手術を行っています。

顎のしこりを自宅で触ったり揉んだりしても大丈夫ですか?

しこりを強く押したり揉んだりすることは避けてください。炎症が起きている場合は症状が悪化する可能性があり、悪性疾患の場合はがんが広がるリスクも考えられます。受診までの間は安静にし、市販の解熱鎮痛剤で痛みを和らげる程度にとどめ、できる限り早めに医療機関を受診することをおすすめします。

💡 まとめ

顎のしこりで押すと痛みがある場合の主な原因と対処法について解説してきました。最後に重要なポイントを整理します。

顎のしこりは、リンパ節炎・唾液腺炎・唾石症・粉瘤・歯に由来する炎症・顎骨嚢胞など、さまざまな原因で生じます。押すと痛みがある場合は炎症性の変化である可能性が高いですが、痛みの有無だけで良性・悪性を判断することはできません。

急速に悪化する腫れ・高熱・飲み込みにくさ・口が開けにくいといった症状は緊急性が高いサインであり、直ちに医療機関を受診する必要があります。4週間以上しこりが続く場合や大きくなる場合も、悪性疾患の可能性を含めた精査が必要です。

受診先としては、耳鼻咽喉科・口腔外科・歯科・皮膚科・形成外科などが挙げられます。どこを受診すればよいかわからない場合は、まず内科やかかりつけ医に相談するか、耳鼻咽喉科や口腔外科を受診することをおすすめします。

粉瘤が原因の場合は、炎症が落ち着いた段階での手術(袋ごと摘出)が根本的な治療となります。アイシークリニック渋谷院では、粉瘤などの皮膚良性腫瘍の摘出手術を行っていますので、しこりの原因が皮膚腫瘍と考えられる場合はお気軽にご相談ください。

顎のしこりは「しばらく様子を見ていれば治るだろう」と放置されがちですが、早期に適切な診断・治療を受けることで、重篤な状態への進行を防ぐことができます。気になる症状があれば、ぜひ早めに専門医を受診されることをお勧めします。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 口腔がん・頸部リンパ節転移・悪性リンパ腫など悪性腫瘍に関する診療・予防情報、およびがん対策基本計画に基づく情報の参照
  • 国立感染症研究所 – リンパ節炎の原因となる感染症(伝染性単核球症・猫ひっかき病・流行性耳下腺炎・口底蜂窩織炎の原因菌など)に関する疫学・病原体・感染経路の参照
  • 日本皮膚科学会 – 粉瘤(アテローム)の定義・症状・炎症性粉瘤の治療方針(切開排膿・根治手術)に関する学会公式情報の参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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