唇やその周辺に小さな水ぶくれができ、ひりひりとした痛みや違和感を覚えたことはありませんか?それは口唇ヘルペスかもしれません。口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)による感染症であり、一度感染すると体内のウイルスは完全に消えることなく潜伏し続け、免疫力が低下した際に繰り返し再発するのが特徴です。多くの方が経験する身近な感染症ですが、「市販薬で対処すればいい」「放置しても自然に治る」と軽く考えている方も少なくありません。しかし適切な治療を行わなければ治癒が遅くなるだけでなく、周囲への感染リスクが高まることもあります。この記事では、口唇ヘルペスの治療法について、薬の種類から受診のタイミング、再発を防ぐための生活習慣まで詳しく解説します。
目次
- 口唇ヘルペスとはどのような病気か
- 口唇ヘルペスの症状と経過
- 口唇ヘルペスの診断方法
- 口唇ヘルペスの治療法:医療機関での処方薬
- 市販薬(OTC薬)を使用する場合の注意点
- 初感染と再発では治療のアプローチが異なる
- どのタイミングで病院を受診すべきか
- 再発を繰り返す方への抑制療法
- 口唇ヘルペスの感染予防と日常生活での注意点
- 再発を予防するための生活習慣
- まとめ
この記事のポイント
口唇ヘルペスはHSV-1による再発性感染症で、治療は前駆期(ひりひり・かゆみの段階)に抗ウイルス薬を開始するのが最も効果的。初感染時や症状が重い場合は必ず医療機関を受診し、頻繁な再発には抑制療法も選択肢となる。
🎯 1. 口唇ヘルペスとはどのような病気か
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex Virus:HSV)の1型、主にHSV-1によって引き起こされる感染症です。感染経路は皮膚や粘膜への直接接触が主なルートであり、キスや食器の共有、タオルの使い回しなどが感染の原因となります。HSV-2が主に性器ヘルペスの原因となる一方、HSV-1は口腔・顔面周辺に症状を引き起こすことが多い型です。ただし、近年ではHSV-1が性器に感染するケースも増えており、型による分類は絶対的なものではありません。
ウイルスが体内に侵入すると、初感染時に症状を引き起こし、その後は三叉神経節と呼ばれる神経の集合部分に潜伏します。ウイルスはこの状態で長期にわたって生き続け、免疫力が低下したときや特定の刺激をきっかけに再活性化し、再び症状を引き起こします。これが口唇ヘルペスの「再発」という現象です。
日本における成人のHSV-1抗体保有率は高く、多くの方がすでに感染を経験しているとされています。感染しても必ずしも症状が現れるわけではなく、無症状のまま過ごしている方も多いですが、一定の条件が重なると症状として現れることがあります。口唇ヘルペスは「風邪のはなれ(風邪の治りかけに再発しやすい)」として広く知られていますが、これも免疫力の変動によるものです。
Q. 口唇ヘルペスの抗ウイルス薬はいつ飲み始めるのが効果的ですか?
口唇ヘルペスの抗ウイルス薬は、水ぶくれが出る前の「前駆期」、すなわち唇にひりひり感・かゆみ・チクチク感を覚えた段階で服用を開始するのが最も効果的です。この時期に治療を始めることで、水疱の形成を防いだり症状の持続期間を短縮したりする効果が期待できます。
📋 2. 口唇ヘルペスの症状と経過
口唇ヘルペスの症状は段階的に進行します。それぞれの段階を理解することは、適切なタイミングで治療を開始するうえで非常に重要です。
最初に現れるのは、唇や口の周辺のひりひり感、かゆみ、チクチクとした違和感です。この段階を「前駆期」と呼び、多くの場合はまだ目に見える症状がありません。この前駆期はウイルスが再活性化を始めたサインであり、実はこのタイミングが治療を開始するのに最も効果的な時期です。
前駆期から数時間から1日ほど経過すると、皮膚が赤くなり、小さな水ぶくれが集まったような病変(水疱)が形成されます。この水疱の中にはウイルスを含む液体が入っており、感染力が非常に高い状態です。
水疱はやがて破れ、びらん(ただれ)の状態になります。この段階では痛みが強く、食事や会話が困難になることもあります。その後、患部にかさぶた(痂皮)が形成され、少しずつ治癒に向かいます。かさぶたが自然に剥がれ落ちると皮膚が再生され、通常は2週間程度で完治します。
初感染の場合は再発と比べて症状が重く出ることが多く、発熱やリンパ節の腫れ、口腔内全体のびらん(ヘルペス性歯肉口内炎)を伴うこともあります。特に小さな子どもに初感染が起きた場合は重症化しやすく、注意が必要です。
💊 3. 口唇ヘルペスの診断方法
口唇ヘルペスの診断は、多くの場合、皮膚科や内科の医師による問診と視診によって行われます。典型的な口唇ヘルペスは、特徴的な症状(前駆症状の後に唇周囲に集族する水疱)から比較的容易に診断できます。
ただし、症状が非典型的な場合や、初感染で症状が重い場合、あるいはアトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合は、より詳しい検査が行われることがあります。具体的な検査方法としては、ウイルス培養検査、PCR法によるウイルスDNAの検出、蛍光抗体法による抗原検出などがあります。これらの検査によって、原因ウイルスの型(HSV-1かHSV-2か)を特定することも可能です。
また、口唇ヘルペスと混同されやすい疾患として、口内炎(アフタ性口内炎)があります。口内炎は主に口腔内の粘膜に生じるのに対し、口唇ヘルペスは唇やその周辺の皮膚に生じる点が異なります。ただし症状が似ているため、自己判断が難しい場合は医療機関での診察を受けることをおすすめします。
さらに、帯状疱疹(水痘帯状疱疹ウイルスによる疾患)も水疱を形成する点で似ていますが、帯状疱疹は体の片側だけに帯状に病変が広がるのが特徴です。顔面に帯状疱疹が生じる場合、目や耳の周囲に症状が現れることがあり、より深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、専門医による鑑別診断が重要です。
Q. 市販の口唇ヘルペス薬を初感染時に使ってもよいですか?
市販の口唇ヘルペス治療薬(アクチビア軟膏など)は「再発」時のみ使用が認められており、初感染には使用できません。初感染は症状が重くなりやすく、発熱やリンパ節腫脹を伴うこともあるため、初めて症状が現れた場合は自己判断せず、必ず医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
🏥 4. 口唇ヘルペスの治療法:医療機関での処方薬
口唇ヘルペスの治療の中心は抗ウイルス薬です。この薬はウイルスの増殖を抑えることで症状の悪化を防ぎ、治癒を早める効果があります。重要なのは、抗ウイルス薬はウイルスを体内から完全に排除するものではなく、あくまでウイルスの複製活動を抑制するという点です。そのため、治療が終わってもウイルスは神経節に潜伏し続けます。
医療機関で処方される抗ウイルス薬には、内服薬と外用薬(塗り薬)の2種類があります。
内服薬として代表的なのは、アシクロビル(商品名:ゾビラックスなど)、バラシクロビル(商品名:バルトレックスなど)、ファムシクロビル(商品名:ファムビルなど)です。
アシクロビルはヘルペス治療薬の中で最も長い使用歴を持つ薬剤であり、その安全性と有効性は多くの臨床試験で証明されています。口唇ヘルペスに対しては1日5回、5日間服用するのが一般的な用法です。バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグ(体内でアシクロビルに変換される薬)であり、消化管からの吸収率が高く、1日2回の服用で済むため利便性が高い薬です。ファムシクロビルもバラシクロビルと同様に体内で活性型に変換されるプロドラッグです。
外用薬(塗り薬)としては、アシクロビルクリームやビダラビン軟膏などがあります。外用薬は患部に直接塗布することで局所的な効果を発揮しますが、一般的には内服薬と比べて効果が限定的とされており、重症例や頻繁に再発するケースでは内服薬が優先されることが多いです。
なお、これらの薬は処方箋が必要な医療用医薬品です。自己判断で服用量や服用期間を変更することは避け、必ず医師の指示に従って使用してください。
⚠️ 5. 市販薬(OTC薬)を使用する場合の注意点
日本では、口唇ヘルペスの再発に対して使用できる市販薬が販売されています。代表的なものとして、アシクロビルを有効成分とするクリーム剤(商品名:アクチビア軟膏など)があります。これらは薬局で購入でき、処方箋なしに使用することが可能です。
市販薬を使用する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、市販のヘルペス治療薬は「再発」に対してのみ使用が認められており、初めて口唇ヘルペスの症状が出た場合(初感染が疑われる場合)には使用できません。初感染かどうかを自己判断するのは難しいため、初めて症状が現れた場合は必ず医療機関を受診することが重要です。
また、市販薬の外用薬は患部に直接作用するため、全身への副作用は比較的少ないとされていますが、使用前には必ず添付文書を確認し、用法・用量を守ることが大切です。使用後に症状が悪化したり、5〜6日使用しても改善が見られない場合は使用を中止して医療機関を受診してください。
さらに、市販の外用薬は医療機関で処方される内服薬と比較すると、重症例や感染範囲が広い場合の効果が限定的であることが多いです。症状が広範囲に及ぶ場合や痛みが強い場合、発熱などの全身症状を伴う場合は市販薬での対処は避け、医療機関での適切な治療を受けることをおすすめします。
免疫力が低下している方(ステロイド薬や免疫抑制剤を服用中の方、HIVに感染している方、がん治療中の方など)は、市販薬の使用を自己判断で行うのではなく、必ず医療機関に相談してください。これらの方では口唇ヘルペスが重症化しやすく、ウイルスが脳や眼などに広がる可能性もあるため、専門的な管理が必要です。
🔍 6. 初感染と再発では治療のアプローチが異なる
口唇ヘルペスの治療では、初感染であるか再発であるかによって、治療の方針やアプローチが異なります。
初感染の場合、症状が重くなる傾向があります。特に幼児や免疫機能が未熟な方に起こる初感染では、口腔内全体に多数の水疱やびらんが形成されるヘルペス性歯肉口内炎が生じることがあり、高熱、強い口腔内の痛み、リンパ節腫脹などを伴うこともあります。このような場合は外用薬のみでは不十分であり、内服薬による全身的な治療が必要です。また、水分が取れないほど症状が重い場合は入院して点滴による治療(アシクロビルの静脈内投与)が行われることもあります。
成人が初めて感染する場合も、一般的な再発と比較して症状が強く出ることが多いため、早めに医療機関を受診することが重要です。
再発の場合は、初感染と比べて症状が軽度で短期間で終わることが多いです。多くの場合、外用薬や短期間の内服薬治療で対処可能ですが、前述のとおり前駆期(水疱が出現する前のひりひり・かゆみの段階)に治療を開始することが最も効果的です。この時期に抗ウイルス薬を使用することで、水疱の形成を防いだり症状の持続期間を短縮したりすることが期待できます。
水疱が完全に形成されてしまった後でも治療を行うことは意味がありますが、前駆期に比べると効果はやや限定的になります。口唇ヘルペスを繰り返している方は、自分の前駆症状のパターンを把握しておき、最適なタイミングで治療を始められるよう準備しておくことが大切です。
Q. 口唇ヘルペスが年に何度も再発する場合はどんな治療がありますか?
年に6回以上など高頻度で再発する口唇ヘルペスには「抑制療法」が選択肢となります。バラシクロビルやアシクロビルなどの抗ウイルス薬を毎日服用し続けることで、再発頻度の低減や症状の軽症化が期待できます。アイシークリニックでも抑制療法についてご相談を受け付けており、定期的な経過観察のもとで治療を進めます。
📝 7. どのタイミングで病院を受診すべきか
口唇ヘルペスは自然治癒することもありますが、以下のような状況では医療機関の受診を積極的に検討してください。
まず、初めて症状が現れた場合は、必ず医師に診てもらうことが重要です。前述のとおり、市販薬の適応は「再発」に限られており、初感染かどうかの判断は専門家でなければ難しい場合があります。また初感染は重症化しやすく、早期の適切な治療が必要です。
次に、症状が重い場合(高熱、強い痛み、広範囲の病変、口腔内全体への広がりなど)は速やかに医療機関を受診してください。水分補給ができないほど口腔内の痛みが強い場合は特に緊急性が高いです。
また、目の周辺に症状が現れた場合は、眼科への受診が必要です。ヘルペスウイルスが角膜に感染すると角膜炎を引き起こし、視力障害につながる可能性があります。目のかゆみや充血、視力の変化を伴う場合はすぐに眼科を受診してください。
免疫力が低下している方(ステロイド薬使用中、臓器移植後、HIV感染者、がん治療中など)もヘルペスが重症化しやすいため、症状が軽くても医師に相談することをおすすめします。
市販薬を使用しても1週間以上経っても症状が改善しない場合、または悪化している場合も受診が必要です。また、年に数回以上の頻繁な再発がある場合は、抑制療法(次のセクションで詳しく解説)を検討するためにも医師に相談することをおすすめします。
妊娠中の方は、ヘルペスウイルス感染が胎児や新生児に影響を与える可能性があるため、症状が現れた場合は必ず産婦人科や皮膚科に相談してください。特に出産時期に活動性の感染がある場合は、新生児への感染リスクについて医師と十分に話し合う必要があります。
💡 8. 再発を繰り返す方への抑制療法
口唇ヘルペスは一度感染すると潜伏感染が続くため、体調の変化などをきっかけに繰り返し再発することがあります。年に6回以上の高頻度で再発するような場合は、「抑制療法」という治療法が選択されることがあります。
抑制療法とは、抗ウイルス薬を長期にわたって毎日服用し続けることで、再発の頻度を減らしたり、再発時の症状を軽くしたりすることを目的とした治療です。日本では主に性器ヘルペスの再発抑制療法として保険適用が認められていますが、口唇ヘルペスに対する抑制療法についても医師と相談のうえで行われることがあります。
抑制療法で使用される薬としては、バラシクロビルやアシクロビルが代表的です。例えばバラシクロビルは1日1〜2回の服用で再発を抑制する効果が報告されており、患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献しています。
抑制療法を行う際には定期的な経過観察が必要です。治療の効果や副作用のモニタリング、薬の継続が適切かどうかの判断など、医師による管理のもとで行われることが重要です。長期間服用することになるため、腎機能などのチェックを定期的に行うことも推奨されます。
抑制療法はすべての患者さんに適しているわけではありません。再発の頻度、症状の重さ、患者さんの生活スタイルや希望などを総合的に判断して、医師と相談しながら治療方針を決定することが重要です。また、抑制療法を行っている間も感染力が完全になくなるわけではないため、感染予防の対策は継続する必要があります。
Q. 口唇ヘルペスの再発を防ぐ生活習慣を教えてください
口唇ヘルペスの再発予防には、十分な睡眠と休息で免疫機能を維持すること、ストレスを適切に管理すること、紫外線対策としてSPF入りリップクリームや日焼け止めを使用することが有効です。また、栄養バランスの取れた食事や適度な運動も再発頻度の軽減に役立ちます。自分特有の再発誘因を記録して把握しておくことも重要です。
✨ 9. 口唇ヘルペスの感染予防と日常生活での注意点
口唇ヘルペスは非常に感染力が高く、症状がある間(特に水疱が形成されている時期)は周囲への感染リスクが高い状態にあります。症状がある期間は以下の点に注意して生活することが重要です。
まず、患部への接触を避けることが基本です。無意識に患部を触ることで、ウイルスが手に付着し、その手で目や生殖器などを触ることで、ほかの部位への自己感染(自家感染)が起こる可能性があります。患部を触ってしまった場合は、すぐに石鹸で十分に手を洗いましょう。
キスや頬ずりなどの皮膚・粘膜同士の直接接触は、症状が完全に消えるまで避けてください。特に新生児や免疫力が低下している方への接触は厳禁です。新生児ヘルペスは重篤な状態を引き起こす可能性があるため、口唇ヘルペスの症状がある場合は赤ちゃんへのキスや顔への接触を完全に避けることが非常に重要です。
食器、コップ、カトラリー、タオル、リップクリームなどの口や顔に触れるものの共有も避けてください。これらの物品を介した間接的な接触でも感染が広がる可能性があります。
なお、注意が必要なのは症状が現れている時期だけではありません。ウイルスは症状がない時でも唾液中に排出されることがあります(無症候性排泄)。このため、症状がないからといって感染しないとは言い切れません。特にHSV-1の感染者は免疫力が低下したり、ストレスがかかったりすると無症候性排泄が増加することが知られています。
また、口唇ヘルペスの治療中はかさぶたを無理に剥がしたり、患部をこすったりすることは避けてください。二次感染のリスクが高まるだけでなく、治癒が遅れる原因になります。患部が気になる場合はそっとそのままにしておくことが大切です。
📌 10. 再発を予防するための生活習慣

口唇ヘルペスの再発を完全に防ぐことはできませんが、再発を引き起こすトリガー(誘因)を理解し、できる限り避けることで再発の頻度を減らすことが期待できます。
口唇ヘルペスの主な再発誘因として知られているものには以下のようなものがあります。まず、疲労や睡眠不足があります。体が疲れていると免疫機能が低下し、ウイルスが再活性化しやすくなります。十分な睡眠時間を確保し、定期的に休息を取ることが重要です。
精神的なストレスも重要な再発誘因の一つです。仕事や人間関係などによるストレスが免疫システムに悪影響を及ぼし、ヘルペスの再発を促すことがあります。ストレス管理の方法を見つけることが再発予防につながります。趣味の時間を持つ、リラクゼーション法を実践する、必要に応じてカウンセリングを受けるなどの方法が参考になります。
紫外線もヘルペスの再発を引き起こす因子として知られています。長時間の日光曝露が再発のきっかけになることがあるため、外出時はSPF値の高い日焼け止めを塗るか、帽子や日傘を使用して紫外線対策を行うことが有効です。リップクリームにも日焼け止め成分が入ったものを選ぶと効果的です。
発熱や風邪などの感染症も再発の引き金になります。インフルエンザワクチンの接種など、一般的な感染症予防策を講じることも間接的にヘルペスの再発予防につながります。手洗いや規則正しい生活を心がけ、感染症にかかりにくい体づくりを目指しましょう。
栄養バランスの取れた食事も重要です。免疫機能を維持するためには、ビタミンやミネラルを適切に摂取することが必要です。特にビタミンC、ビタミンD、亜鉛などは免疫機能との関連が研究されています。極端なダイエットや栄養の偏りは避け、バランスの良い食事を心がけましょう。
定期的な運動も免疫機能の維持に有用です。ただし、過度な運動は逆に免疫機能を低下させることがあるため、自分の体力に合った適度な運動量を保つことが大切です。
唇の乾燥や外傷も再発のきっかけになることがあります。乾燥する季節には保湿成分の入ったリップクリームを使用し、唇を乾燥から守りましょう。また、唇を舐める癖は乾燥を悪化させるため、意識して避けることをおすすめします。
月経周期との関連も報告されており、女性の場合は月経前後に再発しやすい方もいます。このような場合は月経周期を把握したうえで、再発が予測されるタイミングで疲労やストレスを特に避けるよう工夫することが助けになるかもしれません。
さらに、再発のパターンを自分で把握しておくことも重要です。いつ、どのような状況のときに再発したかを記録しておくと、自分特有の再発誘因を特定しやすくなります。また、前駆症状(ひりひり感やかゆみ)が現れたらすぐに抗ウイルス薬の使用を開始できるよう、薬を手元に準備しておくことも再発時の症状を軽くするうえで有効です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、口唇ヘルペスでご来院される患者様の多くが、水疱が出てから受診されるケースが見受けられますが、実はその前の「ひりひり・かゆみ」の段階で抗ウイルス薬を使用することが症状の軽減に最も効果的です。最近の傾向として、年に数回以上再発を繰り返す方が抑制療法についてご存じないままお悩みになっているケースも少なくありませんので、頻繁な再発にお困りの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。目の周辺への症状の広がりや免疫力が低下している状態でのご発症など、自己判断が難しい場面も多いため、少しでも気になることがあれば、お気軽に受診してください。」
🎯 よくある質問
水ぶくれが出る前の「前駆期」、つまり唇にひりひり感やかゆみ・チクチク感を覚えた段階で抗ウイルス薬を使い始めることが最も効果的です。この時期に治療を開始することで、水疱の形成を防いだり、症状の期間を短縮したりすることが期待できます。アイシークリニックでも、前駆期での受診・治療開始をおすすめしています。
いいえ、市販の口唇ヘルペス治療薬は「再発」時のみに使用が認められており、初感染には使用できません。初めて症状が現れた場合は自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。初感染は症状が重くなりやすく、早期の適切な治療が重要です。
年に6回以上など高頻度で再発する場合は、抗ウイルス薬を毎日服用して再発を抑える「抑制療法」が選択肢となります。再発の頻度や症状の重さに応じて医師が判断しますので、頻繁な再発にお悩みの方はアイシークリニックにご相談ください。定期的な経過観察のもとで治療を進めます。
症状がある期間は、患部への接触を避け、触れてしまった場合はすぐに手洗いを徹底してください。また、キスや頬ずりなどの直接接触、コップ・食器・タオル・リップクリームの共有も控えましょう。特に新生児や免疫力が低下している方への接触は厳禁です。症状が完全に消えるまで注意を続けることが大切です。
以下の場合は速やかに医療機関を受診してください。①初めて症状が現れた場合、②高熱・強い痛み・広範囲の病変など症状が重い場合、③目の周辺に症状が出た場合(角膜炎のリスクあり)、④免疫力が低下している方や妊娠中の方。市販薬を使用しても1週間以上改善しない場合も受診が必要です。
📋 まとめ
口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)による感染症であり、一度感染すると潜伏感染として体内に留まり、免疫力の低下などをきっかけに繰り返し再発する疾患です。身近な病気ではありますが、適切な治療と予防への理解が非常に重要です。
治療の中心は抗ウイルス薬であり、特に前駆期(水疱が出現する前のひりひり・かゆみの段階)に治療を開始することが最も効果的です。医療機関では内服薬が処方されることが多く、重症例や頻繁な再発がある場合には抑制療法も選択肢となります。市販薬を使用する場合は適応(再発のみ)や使用上の注意をよく確認し、疑問がある場合は薬剤師や医師に相談してください。
初めて症状が出た場合、症状が重い場合、目の周辺に症状が出た場合、免疫が低下している場合、妊娠中の場合は自己判断せずに必ず医療機関を受診することが大切です。また、感染予防の観点から、症状がある期間は患部への接触を避け、食器や日用品の共有を控えることが周囲への感染を防ぐうえで重要です。
再発を繰り返す方は、自分の再発誘因を把握し、十分な睡眠、ストレス管理、紫外線対策、栄養バランスの取れた食事など、免疫機能を維持するための生活習慣を意識して取り組むことが再発予防につながります。口唇ヘルペスは完治できないものの、適切な治療と生活管理によって再発を減らし、症状を軽くすることは十分可能です。気になる症状がある方や繰り返す再発にお悩みの方は、ぜひ一度皮膚科や内科などの専門医にご相談ください。アイシークリニック渋谷院では、口唇ヘルペスをはじめとする皮膚の疾患に関するご相談を承っております。お気軽にご受診ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス感染症)の診断基準・治療ガイドライン。抗ウイルス薬の選択・用法用量・抑制療法の適応など、医療機関での治療方針の根拠として参照
- 国立感染症研究所 – HSV-1・HSV-2の感染経路・疫学・日本国内の抗体保有率・ウイルスの潜伏機序など、口唇ヘルペスの基礎的な感染症情報の根拠として参照
- 厚生労働省 – 市販薬(OTC薬)の適正使用・医薬品の分類・使用上の注意に関する情報。初感染時の受診推奨や市販外用薬の適応範囲に関する記載の根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務