熱が出たあとに体に赤い発疹が現れると、「何か怖い病気ではないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。子どもでよく見られるイメージがある「熱と発疹」ですが、実は大人にも起こり得る症状であり、その原因は多岐にわたります。ウイルス感染や細菌感染はもちろん、薬に対するアレルギー反応や免疫系の異常など、さまざまな疾患が発熱後の発疹として現れることがあります。この記事では、大人が発熱後に発疹を経験した場合に考えられる原因疾患や、それぞれの特徴的な症状、受診すべきタイミング、そして日常生活でのケア方法について詳しく解説します。
目次
- 発熱後に発疹が出る仕組み
- 大人で考えられる主な原因疾患
- 帯状疱疹(ヘルペスウイルスの再活性化)
- 麻疹(はしか)
- 風疹
- 伝染性紅斑(リンゴ病)
- 突発性発疹(大人の場合)
- 薬疹(薬によるアレルギー反応)
- 感染性単核球症(EBウイルス感染)
- 溶連菌感染症
- 川崎病(成人例)
- 発疹の部位・形状から原因を考える
- 緊急受診が必要なサイン
- 受診する際のポイントと診療科の選び方
- 自宅でのケアと注意点
- まとめ
この記事のポイント
大人の発熱後の発疹は、帯状疱疹・薬疹・麻疹・溶連菌感染症など多様な原因があり、発疹の部位・形状・発熱との前後関係が診断の鍵となる。圧迫しても消えない紫斑や皮膚剥離、呼吸困難は緊急受診が必要なサインであり、自己判断せず早期に医療機関へ相談することが重症化予防につながる。
🎯 発熱後に発疹が出る仕組み
発熱とは、体の免疫システムが外敵(ウイルスや細菌など)と戦っているサインです。その免疫反応の過程で、皮膚に影響を及ぼす物質が産生されたり、ウイルスや細菌が直接皮膚の細胞に侵入したりすることで、発疹が現れることがあります。
発疹が生じる主なメカニズムとしては、まず「ウイルスや細菌による直接的な皮膚への侵襲」があります。病原体が血流を通じて全身に広がり、皮膚の細胞に感染することで、点状の赤み(紅斑)や水疱、膿疱などが形成されます。次に「免疫反応による皮膚炎症」があります。体がウイルスや細菌に対する免疫反応を起こす過程で、サイトカインと呼ばれる炎症性物質が大量に放出され、皮膚の血管が拡張・透過性が高まることで発赤や腫れが生じます。さらに「薬に対するアレルギー反応」も重要なメカニズムです。解熱のために服用した薬に対して免疫系が過剰反応し、皮膚に発疹が出ることがあります。
発熱が先に来て、その後(あるいは解熱後)に発疹が出るパターンが多いですが、発疹と発熱がほぼ同時に現れる場合もあります。このタイミングも、原因疾患を推定する際の重要な手がかりになります。
Q. 発熱後に発疹が出る仕組みを教えてください
発熱後に発疹が出るメカニズムは主に3つあります。①ウイルスや細菌が血流を通じて皮膚細胞に直接感染する、②免疫反応でサイトカインが放出され皮膚の血管が拡張・炎症を起こす、③解熱剤などの薬に免疫系が過剰反応するアレルギー反応です。
📋 大人で考えられる主な原因疾患
大人が発熱後に発疹を経験した場合、子どもに多い疾患でも成人がかかることがあるほか、成人に特有の疾患や薬剤による反応なども考えられます。以下に代表的な疾患を紹介します。
💊 帯状疱疹(ヘルペスウイルスの再活性化)
大人の発熱と発疹を引き起こす疾患として最も頻度が高いもののひとつが帯状疱疹です。水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は、子どものころに水ぼうそうとして感染した後、神経節の中に潜伏し続けます。免疫力が低下したタイミングで再活性化し、特定の神経の走行に沿って帯状に発疹が現れるのが帯状疱疹の特徴です。
発症の経過としては、まず発疹が出る数日前から該当部位に焼けるような痛みやチクチク感、かゆみが現れます。その後、皮膚が赤くなり、小さな水疱が集まって帯状に現れます。発熱を伴うこともあり、38度前後の熱が出る場合もあります。発疹は体の片側にのみ現れるのが特徴で、胸部・腹部・背中・顔面・頭部などに多く見られます。
帯状疱疹は50歳以上で発症リスクが高まりますが、ストレスや過労、免疫抑制剤の使用、HIV感染などにより、若い大人でも発症することがあります。発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬(バラシクロビルやアシクロビルなど)を開始することが重要で、治療が遅れると帯状疱疹後神経痛と呼ばれる長引く痛みを残すリスクがあります。
🏥 麻疹(はしか)
麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、非常に感染力が強いことで知られています。ワクチンの普及により国内での発生数は大幅に減少しましたが、ワクチン未接種または免疫が不十分な大人が感染することがあります。特に海外渡航後や感染者との接触後に発症するケースが見られます。
典型的な経過は、まず38〜40度の高熱、咳、鼻水、目の充血(結膜炎)などの症状が現れるカタル期(約3〜4日)から始まります。この時期に口の中の頬粘膜にコプリック班と呼ばれる白い小さな斑点が現れるのが特徴的で、診断の手がかりになります。その後、一時的に熱が下がりかけたと思うとまた高熱が出て、顔や耳の後ろから始まり全身へと広がる赤い発疹が現れます。この発疹は融合して大きなまだら状になることが多いです。
麻疹は肺炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期診断と適切な管理が重要です。また感染力が非常に強く、飛沫感染だけでなく空気感染もするため、疑われる場合は他者への感染予防を徹底する必要があります。
Q. 帯状疱疹の発疹にはどんな特徴がありますか
帯状疱疹の発疹は、体の片側にのみ神経の走行に沿って帯状に現れる小さな水疱が特徴です。発疹の数日前から焼けるような痛みやチクチク感が先行します。胸部・腹部・背中・顔面に多く見られ、38度前後の発熱を伴うこともあります。発疹出現から72時間以内の抗ウイルス薬投与が重要です。
⚠️ 風疹
風疹は風疹ウイルスによる感染症で、麻疹と同様にワクチン接種が普及していますが、一部の世代(特に1962年〜1979年生まれの男性はワクチン接種機会が少なかった世代)では抗体を持たない方が一定数います。
症状は発熱(37〜38度程度)、耳の後ろや首のリンパ節の腫れ、そして全身の発疹です。発疹は顔から始まり、体幹・四肢へと広がります。麻疹と異なり発疹は融合しにくく、比較的淡い赤色の点状・斑点状で、2〜3日で消退することが多いです。成人男性では関節痛を伴うこともあります。
風疹は一般的に軽症で経過しますが、妊娠初期の女性が感染すると先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれるリスクがあるため、妊婦への感染予防は特に重要です。疑われる場合は周囲の妊婦への感染リスクを考慮した行動が求められます。
🔍 伝染性紅斑(リンゴ病)
リンゴ病はパルボウイルスB19によって引き起こされる感染症で、子どもに多い印象がありますが、大人(特に子どもと接触する機会が多い親や保育士・教師など)も感染することがあります。
子どもでは両ほほが赤くなる特徴的な顔の発疹が有名ですが、大人では症状が異なることがあります。大人が感染した場合、関節痛や関節炎が強く出ることが特徴です。また、レース状・網目状の発疹が腕や体幹に現れることがあります。
通常は1〜2週間で自然に回復しますが、溶血性貧血のある方や免疫不全状態の方、妊婦では重篤な合併症を引き起こす可能性があります。妊娠中にパルボウイルスB19に感染すると、胎児水腫や流産のリスクがあるため、妊婦が感染した場合や感染疑いがある場合には早急に産婦人科や内科を受診することが大切です。
📝 突発性発疹(大人の場合)
突発性発疹はヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)または7型(HHV-7)が原因で起こる疾患で、主に乳幼児に見られる病気ですが、ごくまれに大人でも発症することがあります。
典型的な経過は、まず3〜5日間の高熱が続き、解熱後に体幹を中心に赤い発疹が現れるというものです。「熱が下がってから発疹が出る」というパターンが非常に特徴的です。子どもでは比較的軽症であることが多いですが、大人では熱が高く出たり、肝機能障害など合併症が起きやすい場合があります。
成人での突発性発疹は稀ではありますが、免疫が低下している状態では再活性化することも報告されており、高熱の後に発疹が出た場合の鑑別疾患のひとつに挙げられます。
💡 薬疹(薬によるアレルギー反応)
発熱後の発疹を考えるうえで、薬疹は特に重要な鑑別疾患のひとつです。発熱に対して解熱剤や抗生物質などを服用した場合、その薬に対するアレルギー反応として発疹が出ることがあります。
薬疹の特徴は、薬を服用してから数日後(通常1〜2週間以内、場合によっては数週間後)に全身に広がる赤みやじんましん、点状の出血(紫斑)などが現れることです。かゆみを伴うことが多く、薬を服用し続けると症状が悪化します。薬を中止すると数日〜数週間で改善するのが一般的ですが、重症の場合はスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)などの致死的な疾患に進展することもあります。
発熱後に薬を服用してから発疹が出た場合は、どの薬をいつから服用しているかを正確に医師に伝えることが非常に重要です。薬疹が疑われる場合は、自己判断で薬を中止するのではなく、まず医師に相談してください。特に口の中や目の粘膜にもびらん(ただれ)が現れている場合や、皮膚が大きくはがれてくる場合は重症のサインであり、緊急受診が必要です。
Q. 薬疹が疑われるとき自己判断で薬をやめていいですか
薬疹が疑われる場合、自己判断で服用中の薬を中止または継続することは避け、必ず医師に相談してください。薬疹は重症化するとスティーブンス・ジョンソン症候群など致死的な状態に進展することがあります。受診時は服用薬の種類と開始日を正確に伝えることが診断の鍵となります。
✨ 感染性単核球症(EBウイルス感染)
感染性単核球症は、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス、EBV)への初感染によって起こる疾患で、10〜30代の若い大人に多く見られます。「キス病」とも呼ばれるように、唾液を介した感染が主な感染経路です。
主な症状は、発熱(38〜40度)、のどの激しい痛み(扁桃炎)、首のリンパ節腫脹、肝臓・脾臓の腫大です。発疹は全例に出るわけではありませんが、体幹を中心に赤い発疹が現れることがあります。特に重要なのは、感染性単核球症の患者にアンピシリン(アモキシシリン)などのペニシリン系抗生物質が投与された場合、ほぼ全例で全身に広がる発疹が出ることです。この反応は通常の薬疹とは異なるEBウイルス感染に特有のものです。
のどの痛みが強く細菌性扁桃炎と区別がつきにくいため、安易にペニシリン系抗生物質が処方されてしまうケースがあります。のどの痛みとリンパ節腫脹が目立つ発熱の場合は、感染性単核球症の可能性を念頭において検査を受けることが大切です。
📌 溶連菌感染症(猩紅熱)
溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)感染症は子どもに多い病気ですが、大人でも発症します。のどに感染した場合(溶連菌性咽頭炎)に加えて、一部の毒素産生型の溶連菌が引き起こす猩紅熱では発疹が現れます。
猩紅熱の発疹は、細かい砂粒状の赤い発疹が全身に広がるのが特徴です。特に首・脇の下・ひじの内側・太ももの内側など、皮膚が薄い部分に集中することが多く、触るとザラザラした感触があります。発疹は顔を除く全身に現れ、口の周りには出にくいのが特徴(口囲蒼白輪)です。また、いちご舌(舌が赤くブツブツした状態)も猩紅熱の特徴のひとつです。
溶連菌感染症はペニシリン系やセフェム系の抗生物質が有効で、適切に治療することでリウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症を予防できます。発疹が回復期に皮膚が大きくはがれてくる(落屑)という特徴的な変化が見られることもあります。
🎯 川崎病(成人例)
川崎病は主に4歳以下の乳幼児に多い疾患ですが、まれに成人でも報告されています。成人川崎病は乳幼児と同様の症状を呈することがありますが、診断が難しいケースも多いです。
川崎病の主な症状には、5日以上続く高熱、目の充血(両側結膜炎)、口唇の発赤・亀裂・いちご舌、体幹の多形性発疹、手足の硬性浮腫・手指のむくみと解熱後の指先からの皮膚のはがれ(落屑)、頸部リンパ節腫脹があります。これらのうち複数がそろうと川崎病が疑われます。
川崎病は血管の炎症を引き起こす疾患で、冠動脈瘤などの重篤な合併症を起こす可能性があります。成人での報告は少ないものの、長引く発熱とともに特徴的な発疹や粘膜症状が見られる場合は、川崎病も念頭に置いた鑑別が必要です。
📋 発疹の部位・形状から原因を考える
発疹の現れ方(部位・形状・広がり方)は、原因疾患を推測するうえで重要な手がかりになります。以下に代表的な発疹のパターンを紹介します。
体の片側にだけ帯状に水疱が出る場合は、帯状疱疹が強く疑われます。先行する痛みやヒリヒリ感があることが多く、肋間神経に沿って胸部・腹部に出ることが最も多いです。
顔から始まり全身へと広がる発疹の場合は、麻疹(はしか)や風疹が考えられます。麻疹は発疹が融合して大きなまだら状になる傾向があり、風疹は融合しにくく淡い色のことが多いです。
発熱が収まってから体幹を中心に出る発疹は、突発性発疹に特徴的なパターンです。発疹は淡紅色で小さく、圧迫すると一時的に色が薄くなります。
全身に均一に広がる細かい砂粒状の発疹で、皮膚がザラザラしている場合は猩紅熱(溶連菌感染症)を疑います。
じんましん状(蕁麻疹)の発疹で、移動したり消えたりを繰り返す場合は、薬疹やウイルス感染後のアレルギー反応が考えられます。
腕や体幹に網目状・レース状の発疹が出る場合は、リンゴ病(伝染性紅斑)が疑われます。
また、発疹の色も重要です。明るい赤色の発疹は炎症性のものが多く、暗紫色・褐色の発疹(特に圧迫しても消えない場合)は出血性の発疹(紫斑)であり、より重篤な疾患(重症感染症や血液疾患など)を示す可能性があります。
Q. 発熱後の発疹で緊急受診が必要なサインは何ですか
以下のサインがある場合はすぐに救急受診が必要です。①ガラスで押しても消えない暗紫色の発疹、②皮膚が急速に広がってはがれてくる状態、③口・目の粘膜のただれ、④呼吸困難や顔・喉のむくみ、⑤激しい頭痛・首の硬直・意識の変容を伴う高熱。これらは命に関わる可能性があります。
💊 緊急受診が必要なサイン

発熱後の発疹のなかには、緊急の対応が必要な危険な状態のサインである場合があります。以下のような症状が見られる場合は、すぐに救急受診または119番への連絡を検討してください。
まず、発疹が急速に広がり、皮膚が大きくはがれてくる場合です。これはスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)の可能性があり、命に関わる重篤な状態です。口の中や目の粘膜のびらんを伴うことが多いです。
次に、発疹が暗紫色または赤紫色で、圧迫しても色が消えない(ガラスのコップで押しても色が変わらない)場合です。これは出血性発疹(紫斑)であり、敗血症性ショックや髄膜炎菌感染症などの重篤な感染症の可能性があります。特に、急激な高熱、激しい頭痛、首の硬直(うなじが動かしにくい)、意識の変容を伴う場合は髄膜炎を強く疑い、直ちに救急受診が必要です。
また、呼吸困難や顔面・口唇・喉のむくみを伴う場合は、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)の可能性があり、生命を脅かす緊急事態です。
40度以上の高熱が続き、ぐったりして意識がはっきりしない場合、関節痛・筋肉痛が非常に強い場合、発疹とともに黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出ている場合なども、速やかに医療機関を受診する必要があります。
「少し様子を見よう」と思いたくなる場合もあるかと思いますが、上記のようなサインが見られる場合は迷わず医療機関に相談することが重要です。
🏥 受診する際のポイントと診療科の選び方
発熱と発疹が見られる場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。状況に応じた受診先と、受診時に医師に伝えるべき情報を整理しておきましょう。
受診先の選び方として、まずは内科や総合診療科が最初の相談先として適しています。発熱と発疹を合わせて診てもらえます。発疹が主体で皮膚症状が目立つ場合は、皮膚科への受診も有効です。特に帯状疱疹が疑われる場合は皮膚科への受診が望ましいです。のどの痛みや扁桃炎症状が強い場合は耳鼻咽喉科も選択肢になります。関節痛や全身の倦怠感が強い場合は内科(特にリウマチ・膠原病内科)への相談も考えられます。
受診時に医師へ伝えるべき情報としては、発熱と発疹それぞれいつから始まったか(どちらが先か)、熱の最高値とその推移、発疹の最初の出現部位と広がり方、発疹の形状(点状・斑状・水疱状など)、かゆみや痛みの有無、最近服用した薬(市販薬も含む)の種類と服用開始日、海外渡航歴や感染症患者との接触歴、ワクチン接種歴(麻疹・風疹・水痘・帯状疱疹など)、その他の症状(のどの痛み・リンパ節腫脹・目の充血など)が挙げられます。
これらの情報を事前にメモしておくと、スムーズに診察を受けられます。特に服用している薬は薬の袋やお薬手帳を持参すると確実です。
なお、麻疹や風疹が疑われる場合は感染力が非常に強いため、受診前に医療機関に電話で連絡し、一般患者と動線が分けられるよう対応してもらうことをお勧めします。
⚠️ 自宅でのケアと注意点
医療機関を受診するまでの間や、軽症で自宅療養が可能と判断された場合の、自宅でのケア方法と注意点をご説明します。
まず、水分補給をしっかり行うことが重要です。発熱により体から水分が失われやすくなります。水や経口補水液、スポーツドリンクなどを少しずつこまめに摂取してください。食欲がない場合でも水分だけは意識して摂るようにしましょう。
十分な安静と休養も大切です。免疫系が病原体と戦っているため、体を休めることが回復の基本です。無理に活動しようとせず、十分な睡眠をとることを心がけてください。
発疹部位のケアについては、掻かないようにすることが大切です。発疹がかゆくても掻いてしまうと皮膚が傷つき、二次感染のリスクが高まります。かゆみが強い場合は、冷たいタオルや保冷剤(直接肌に当てる場合は布でくるむ)で冷やすことで一時的にかゆみが和らぐことがあります。市販の抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)でかゆみを抑えることもできますが、服用前に薬剤師や医師に相談することをお勧めします。
入浴については、高熱がある場合は全身浴よりもシャワー浴の方が体への負担が少なく適切です。発疹があっても基本的には入浴可能ですが、帯状疱疹で水疱が破れている場合や、薬疹で皮膚がただれている場合などは医師の指示に従ってください。
感染予防の観点からは、手洗い・うがいを徹底し、タオルや食器の共有を避けることが大切です。感染力の強いウイルス(麻疹・風疹・水痘など)が疑われる場合は、免疫のない家族や妊婦への感染を防ぐために、極力他者との接触を避けてください。
薬の使用についての注意点として、発熱に対して市販の解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)を使用することは一般的に問題ありませんが、インフルエンザや水痘が疑われる場合にアスピリンを使用するとライ症候群と呼ばれる重篤な合併症を引き起こすことがあるため、成人でも注意が必要です。また、薬疹が疑われる場合は原因と思われる薬を自己判断で中止または継続するのではなく、医師に相談してから対応することが大切です。
症状の変化を観察することも重要です。発熱の推移、発疹の広がり方・形状の変化、新たな症状(呼吸困難・意識の変化・ひどい頭痛など)の出現などを定期的に確認し、悪化する兆候があれば速やかに医療機関を受診してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、発熱後に発疹が現れて不安を抱えて来院される患者さんが多く、原因として帯状疱疹や薬疹のケースが特に多い印象があります。最近の傾向として、「熱が下がったのに発疹が出てきた」「飲み始めた薬が原因かもしれない」といったご相談が増えており、自己判断せずに早めに受診していただくことで、重症化を防げるケースも少なくありません。発疹の部位や形状、発熱との前後関係など、気になることは何でもお聞かせください。一緒に原因を丁寧に調べ、適切な対処法をご提案いたします。」
🔍 よくある質問
大人の場合、帯状疱疹と薬疹が特に多い原因として挙げられます。帯状疱疹は子どもの頃に感染した水痘ウイルスが再活性化して起こり、薬疹は解熱剤や抗生物質などへのアレルギー反応として現れます。当院でもこの2つのケースでご相談いただくことが多い傾向にあります。
以下の症状が見られる場合はすぐに受診してください。①圧迫しても消えない暗紫色の発疹、②皮膚が急速に広がってはがれてくる状態、③口・目の粘膜のただれ、④呼吸困難や顔・喉のむくみ、⑤激しい頭痛・首の硬直・意識の変容を伴う高熱。これらは命に関わる可能性があります。
自己判断で薬を中止または継続することは避け、必ず医師に相談してから対応してください。薬疹は重症化するとスティーブンス・ジョンソン症候群など致死的な状態に進展する場合もあります。受診の際は服用中の薬の種類と開始日を正確に伝えることが重要です。
まずは内科または総合診療科への受診が適しています。発疹が主体であれば皮膚科、のどの痛みが強ければ耳鼻咽喉科も選択肢です。帯状疱疹が疑われる場合は皮膚科が望ましいです。なお、麻疹・風疹が疑われる場合は感染力が強いため、受診前に医療機関へ電話連絡することをお勧めします。
発疹を掻くと二次感染のリスクが高まるため、掻かないことが大切です。かゆみには冷たいタオルや布でくるんだ保冷剤で冷やす方法が有効です。市販の抗ヒスタミン薬も使用できますが、服用前に薬剤師や医師へ相談することをお勧めします。症状が悪化する場合は速やかに医療機関を受診してください。
📝 まとめ
発熱後に発疹が出る状態は、大人でもさまざまな原因によって引き起こされます。帯状疱疹、麻疹、風疹、リンゴ病、突発性発疹、薬疹、感染性単核球症、溶連菌感染症など、それぞれ異なる特徴と対処法があります。
発疹の部位・形状・広がり方、発熱との時間的な関係、他の症状(のどの痛み・リンパ節腫脹・関節痛など)、服用中の薬剤などの情報は、原因を特定するうえで非常に重要な手がかりになります。
軽症であれば自宅でのケアで回復が見込まれることもありますが、暗紫色で圧迫しても消えない発疹、皮膚が急速に広がってはがれてくる状態、呼吸困難、意識の変容、激しい頭痛と首の硬直などが見られる場合は、迷わず緊急受診してください。
「この症状は受診が必要なのかどうか」と判断に迷う場合は、ひとりで抱え込まずに医療機関に相談することをお勧めします。アイシークリニック渋谷院では、発熱・発疹を含むさまざまな症状について、適切な診察と検査をご提供しています。気になる症状がある場合はお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 帯状疱疹・薬疹・発疹の診断基準および治療ガイドラインに関する情報(薬疹・帯状疱疹・蕁麻疹などの皮膚疾患の診療指針)
- 国立感染症研究所 – 麻疹・風疹・伝染性紅斑・感染性単核球症・溶連菌感染症など、発熱と発疹を伴う感染症の疫学情報・診断基準・感染予防対策に関する情報
- 厚生労働省 – 麻疹・風疹・帯状疱疹ワクチン接種推奨情報および感染症法に基づく届出対象感染症の予防・管理に関する公式情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務