顔や体の赤いあざ、ずっと気になってるけど諦めてる…そんなあなたへ。「大人になったら治らない」は間違いです。
単純性血管腫(たんじゅんせいけっかんしゅ)は、毛細血管の異常拡張によって生じる皮膚の良性疾患で、乳幼児期に自然消退する血管腫とは異なり、成人になっても残り続けることが多い病変です。しかし、近年のレーザー医療の進歩により、大人になってからでも十分に治療できる時代になっています。この記事では、原因・症状・治療法などについてわかりやすく解説します。
目次
- 単純性血管腫とはどんな疾患か
- 単純性血管腫の原因
- 単純性血管腫の症状と特徴
- 大人になっても単純性血管腫は残るのか
- 大人の単純性血管腫が引き起こす問題
- 単純性血管腫の診断方法
- 単純性血管腫の治療法
- レーザー治療の流れと注意点
- 治療を受ける際のポイント
- まとめ
この記事のポイント
単純性血管腫は自然消退せず放置で悪化するが、パルス色素レーザーを中心とした治療で大人でも改善が期待でき、アイシークリニックでも成人の治療実績が多数ある。
💡 1. 単純性血管腫とはどんな疾患か
単純性血管腫は、皮膚の表層にある毛細血管が異常に拡張・増生することで生じる良性の血管奇形(血管の発達異常)です。医学的には「毛細血管奇形(capillary malformation)」とも呼ばれ、生まれつきまたは生後まもなく出現し、成長とともに自然に消えることなく持続するのが特徴です。
見た目は平坦な赤色〜紫紅色のあざで、境界がはっきりしており、圧迫すると一時的に色が薄くなりますが、圧迫をやめると元の色に戻ります。これは血管内の血液が一時的に押し出されるためであり、この反応は単純性血管腫の重要な鑑別ポイントの一つです。
単純性血管腫の代表格として広く知られているのが「ポートワイン母斑(port-wine stain)」です。赤ワインをこぼしたような外観からこの名前がついており、顔面に生じることが多く、本人の心理的・社会的な負担となるケースが少なくありません。また、国内では「赤あざ」「ウメ状あざ」などと通称されることもあります。
血管腫という名称が使われていますが、血管の増殖(腫瘍性変化)というよりも、発生段階での血管構造の異常発達(奇形)が主な病態です。そのため、いわゆる「血管腫」として乳幼児期に急激に増殖したのち自然退縮する「乳児血管腫(イチゴ状血管腫)」とは根本的に異なる疾患であることを覚えておくと理解しやすいでしょう。
Q. 単純性血管腫の原因は親からの遺伝ですか?
単純性血管腫は親からの遺伝ではなく、胎生期に偶発的に生じるGNAQ遺伝子のソマティック変異(体細胞変異)が主な原因と考えられています。親が同じあざを持っていても子どもに必ず遺伝するわけではなく、妊娠中の行動が原因といった俗説には医学的根拠はありません。
📌 2. 単純性血管腫の原因
単純性血管腫の正確な発生原因は、現時点ではまだ完全には解明されていません。しかし、近年の遺伝子研究の進展により、いくつかの重要な知見が蓄積されてきています。
現在最も有力な考え方は、胎生期(母親の胎内で体が形成される時期)における血管の発達過程での遺伝子変異が関与しているというものです。特に、GNAQ(グアニンヌクレオチド結合タンパク質のアルファサブユニット)と呼ばれる遺伝子のソマティック変異(体細胞変異)が、ポートワイン母斑の大多数に認められることが明らかになっています。この変異は遺伝性ではなく、受精後の発生過程において偶発的に生じるものとされています。
つまり、単純性血管腫は「親から遺伝する病気」ではなく、発生の過程でたまたま生じた血管細胞の設計図(遺伝子)の書き換えによって起こるものだと考えられています。そのため、親が単純性血管腫を持っていても子どもに必ずしも遺伝するわけではなく、逆に家族に同じあざを持つ人がいなくても発症することがあります。
また、ごく一部のケースでは、単純性血管腫が「スタージ・ウェーバー症候群」などの症候群の一症状として現れることがあります。スタージ・ウェーバー症候群は、顔面の血管腫(主に三叉神経の分布領域)とともに、脳や眼(緑内障)にも血管奇形を伴う疾患です。この場合も、GNAQ遺伝子変異との関連が指摘されています。
環境的な要因については、明確なエビデンスは現在のところ確立されていません。「妊娠中の行動が原因」「精神的なショックが原因」などの俗説は医学的根拠に乏しく、過度に気にする必要はありません。
✨ 3. 単純性血管腫の症状と特徴
単純性血管腫の見た目や感触には、いくつかの特徴的な所見があります。これらの特徴を理解しておくことで、他の皮膚疾患との違いを把握するのに役立ちます。
色調は赤色から淡い赤みがかった桃色で始まることが多く、年齢とともに暗赤色や紫紅色へと変化していく傾向があります。これは加齢による皮膚の変化(皮膚の薄化や血管壁の変化)が影響していると考えられています。
形状は不規則な輪郭を持つことが多く、境界はある程度明瞭です。大きさは数ミリ程度の小さなものから、顔面の広範囲にわたる大きなものまでさまざまです。表面は通常は平坦ですが、成人になると凹凸(結節性変化)が生じることがあります。これは血管壁の組織変化によるものと考えられており、放置期間が長いほどこの変化が進みやすい傾向があります。
圧迫すると色が薄くなる(退色する)のが特徴で、手で押さえると一時的に白っぽくなりますが、指を離すとすぐに元の色に戻ります。この性質は診断の手がかりになります。
通常、単純性血管腫は痛みやかゆみなどの自覚症状を伴いません。ただし、範囲が広い場合や凹凸が生じている場合には、外傷を受けやすくなり出血しやすくなることがあります。
発生部位としては顔面・頭頸部が最も多く、特に三叉神経の支配領域(額・まぶた・頬・鼻・上唇周辺など)に多く見られます。体幹や四肢にも生じることがありますが、顔面に比べると頻度は低いとされています。
発生頻度については、出生1000人に対して3〜5人程度という報告があり、決してまれな疾患ではありません。性別による差異は特にないとされています。
Q. 単純性血管腫を放置するとどうなりますか?
単純性血管腫は自然消退せず、放置すると年齢とともに色調が淡い赤色から暗赤色・紫色へと濃くなったり、平坦だった表面が凹凸状・結節状に変化したりする可能性があります。また軟部組織が肥厚するケースもあるため、変化が進む前に専門医へ相談することが推奨されます。
🔍 4. 大人になっても単純性血管腫は残るのか
「子どものころから赤いあざがあるけれど、大人になれば自然に消えるかもしれない」と期待している方もいらっしゃるかもしれません。しかし、単純性血管腫(ポートワイン母斑)については、残念ながら自然消退はほとんど期待できません。
これは乳児血管腫(イチゴ状血管腫)とは根本的に異なる点です。乳児血管腫は生後数週間から数カ月で急速に増大し、1歳ごろをピークに徐々に縮小・退縮する傾向があり、7〜10歳ごろまでにかなり目立たなくなるケースも多いです。一方、単純性血管腫は血管の増殖ではなく「奇形(構造的な異常)」であるため、自然退縮のメカニズムが働かないのです。
さらに問題なのは、単純性血管腫は放置しておくと年齢とともに変化が進む可能性があるという点です。具体的には以下のような変化が報告されています。
色調の変化として、年少時は淡い赤みがかった色だったものが、成人以降に暗赤色・紫色へと濃くなっていくことがあります。これは拡張した血管がより深部まで広がったり、血管壁の組織変化が起こったりすることが一因と考えられています。
表面性状の変化として、平坦だったあざの表面が凹凸状・結節状になることがあります。特に中年以降にこの変化が目立ちやすく、あざの存在感がより増してしまうことがあります。
軟部組織の肥厚として、長年にわたって血管奇形が存在する部位では、周囲の軟部組織(皮膚や皮下組織)が肥厚・増大するケースも報告されています。顔面の場合、左右のバランスに影響が出ることもあります。
これらの変化が進む前に治療を開始することが、より良い治療結果につながるとされています。「大人になってしまったから手遅れ」ということはありませんが、早期に対処するほど治療の効果が出やすいという側面もあります。
💪 5. 大人の単純性血管腫が引き起こす問題
単純性血管腫が直接的に命に関わる疾患ではないことは事実ですが、大人になってからも単純性血管腫が引き起こすさまざまな問題を軽視することはできません。
まず、心理的・精神的な影響について触れておく必要があります。特に顔面に単純性血管腫があると、外見上の違いが人との関わりの中で意識され、自尊心の低下や対人不安、うつ症状などにつながるリスクがあります。子どものころからあざがある方は、学校や職場での人間関係の中で苦労した経験をお持ちの方も少なくありません。成人になってからも「コンプレックスを感じる」「人の目が気になって外出しにくい」という声は多く、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に大きく影響します。
次に、身体的な問題として、まぶた付近や眼窩周囲に血管腫がある場合、稀に緑内障のリスクが高まることが知られています。これはスタージ・ウェーバー症候群に合併するパターンで、特に三叉神経第1枝(眼神経)の領域に血管腫がある場合には定期的な眼科検査が推奨されます。
また、唇や口の周囲に血管腫がある場合には、食事・発音・口腔衛生のケアに支障が生じることもあります。歯科・口腔外科との連携が必要になるケースもあります。
さらに、凹凸が生じた血管腫は外傷を受けやすく、出血や感染のリスクも無視できません。特に日常的に擦れる部位や、スポーツ・仕事などで外力が加わりやすい部位に血管腫がある場合には注意が必要です。
これらの問題を総合的に考えると、単純性血管腫を「たかがあざ」と放置するのではなく、専門的な医療機関に相談することが大切だとわかります。特に長年放置していた方も、今から治療を始めることで改善が見込める場合があります。
Q. 単純性血管腫のレーザー治療はどんな仕組みですか?
単純性血管腫の標準治療はパルス色素レーザー(波長585〜595nm)で、ヘモグロビンに選択的に吸収される光を照射し、周囲の正常組織を傷つけずに拡張した血管だけを加熱・破壊する「選択的光熱融解」という仕組みを利用しています。治療は4〜8週間隔で複数回行うことが一般的です。

🎯 6. 単純性血管腫の診断方法
単純性血管腫の診断は、主に皮膚科・形成外科・美容皮膚科などの専門医による視診・問診で行われます。特徴的な外観(境界明瞭な赤色〜紫紅色のあざ、圧迫により退色する)があることから、多くの場合は視診だけで診断が可能です。
ただし、他の血管性疾患や皮膚疾患との鑑別が必要な場合には、以下のような検査が行われることがあります。
ダーモスコピーは、皮膚の表面を特殊なレンズで拡大観察する方法です。血管の形態や分布パターンを詳細に確認でき、悪性腫瘍との鑑別にも役立ちます。
皮膚生検(バイオプシー)は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察する方法です。通常の単純性血管腫の診断には必ずしも必要ではありませんが、臨床的に判断が難しい場合や悪性腫瘍を否定したい場合に行われることがあります。
画像検査(MRI・CTなど)は、血管腫が深部組織まで及んでいる可能性がある場合や、スタージ・ウェーバー症候群など合併症の有無を確認する際に行われます。スタージ・ウェーバー症候群では脳の血管奇形(軟膜血管腫)を伴うことがあり、MRIでその評価が必要なケースがあります。
眼科検査は、まぶた・眼周囲に血管腫がある場合に緑内障の有無を確認するために行われます。緑内障は初期には自覚症状がないことが多いため、定期的なフォローアップが重要です。
問診では、あざがいつから存在しているか、大きさや色の変化はあるか、家族に同様の疾患がある人はいるか、痛みやかゆみなどの自覚症状はあるかなどを確認します。これらの情報が診断・治療方針の決定に役立ちます。
自己判断は難しい場合もありますので、気になるあざがある場合には専門医への受診をお勧めします。
💡 7. 単純性血管腫の治療法
単純性血管腫の治療法は近年大きく進歩しています。かつては「治りにくいあざ」として知られていましたが、現代の医療では複数の治療選択肢が存在し、多くの患者さんで改善が期待できるようになっています。
✅ レーザー治療
現在、単純性血管腫に対する標準的な治療はレーザー療法です。特に色素レーザー(パルス色素レーザー、Pulsed Dye Laser:PDL)が最も広く使用されており、単純性血管腫治療のゴールドスタンダードとされています。
パルス色素レーザーは波長585nm〜595nmの光を照射するレーザーで、ヘモグロビン(赤血球の色素)に選択的に吸収される性質があります。これにより、周囲の正常な皮膚組織を傷つけることなく、拡張した血管内の血液だけを選択的に加熱・破壊することができます。これを「選択的光熱融解(selective photothermolysis)」と呼びます。
パルス色素レーザー以外にも、Nd:YAGレーザー(波長1064nm)やKTPレーザー(波長532nm)なども使用されることがあります。血管腫の深さや色調、患者さんの状態に応じて適切なレーザーが選択されます。深部まで及ぶ血管奇形や色調が濃い血管腫に対しては、Nd:YAGレーザーの方が有効な場合があります。
レーザー治療は通常、複数回のセッションが必要です。1回の治療で完全に改善するケースは少なく、4〜8週間程度の間隔を空けながら、数回〜十数回の治療を繰り返すことが一般的です。治療効果は個人差が大きく、色調が薄い・小さい・若年時に治療を開始するほど良好な結果が得られやすいとされています。
📝 フォトダイナミック療法(PDT)
フォトダイナミック療法(Photodynamic therapy:PDT)は、光感受性薬剤を血管内に投与したうえで特定波長の光を照射し、異常血管を選択的に閉塞させる治療法です。中国を中心にアジアでの研究・臨床応用が進んでおり、特にレーザー治療に反応しにくいケースや深部の血管奇形に対して有効という報告があります。日本ではまだ一般的な治療法とはなっていませんが、研究段階での試みが続けられています。
🔸 硬化療法
硬化剤を直接病変部に注入して血管を閉塞・縮小させる方法です。単純性血管腫よりも、より体積のある血管奇形(海綿状血管奇形など)に対して用いられることが多く、単純性血管腫のみに対して硬化療法が選択されることは比較的少ないです。
⚡ 外科的切除
血管腫を直接切除する手術的治療です。血管腫の範囲が非常に限局している場合や、凹凸が顕著で外科的切除が適切と判断される場合に行われることがあります。ただし、顔面などの外観上重要な部位では傷跡が残るリスクがあるため、慎重に適応を検討する必要があります。
🌟 カバーメイク・コンシーラー
医療的治療ではありませんが、特殊なカバーメイク(コンシーラー)を使用してあざを隠す方法も、日常生活のQOL改善に役立ちます。「カバーマーク」などの医療用カバーファンデーションは、一般的なファンデーションよりも高い隠蔽力を持ち、アレルギーへの配慮もされた製品があります。治療中のつなぎとして、あるいは治療と並行して活用することができます。
Q. 単純性血管腫のレーザー治療後に注意することは?
パルス色素レーザー照射後は1〜2週間程度の紫斑(内出血状の変色)が生じることがあります。治療後の皮膚は炎症後色素沈着を起こしやすいため、SPF30以上の日焼け止めを丁寧に塗布し直射日光を避けることが重要です。また飲酒・激しい運動・サウナなど血行を促す行為は数日間控えることが推奨されます。
📌 8. レーザー治療の流れと注意点
単純性血管腫の治療として最も選択されることが多いレーザー治療について、実際の流れと注意点を詳しく解説します。
💬 治療前のカウンセリング・診察
まず専門医による診察・カウンセリングを受けます。血管腫の状態(大きさ・色調・深さ・範囲など)を評価し、最適なレーザーの種類・出力・照射範囲を決定します。また、過去の治療歴・アレルギー・内服薬の有無・肌の状態なども確認されます。
治療にかかる回数や費用の目安についても、この段階でしっかり確認しておくことが大切です。単純性血管腫のレーザー治療は保険診療の対象となる場合がありますが、クリニックや治療の内容によって異なりますので、事前に確認してください。
✅ 治療当日の流れ
治療当日は、まずクレンジングで肌を清潔にします。必要に応じて、照射部位に麻酔クリームを塗布して30〜60分程度待機します。麻酔クリームを使うことで、照射時の痛みをかなり軽減できます。痛みに敏感な方や広範囲を治療する場合には、局所麻酔注射を使用することもあります。
レーザー照射自体は、範囲によりますが数分〜20〜30分程度で終了します。照射中は輪ゴムで弾かれるような感覚や、温熱感を感じることがあります。照射後は患部を冷却し、必要に応じてアフターケアの処置(軟膏塗布など)を行います。
📝 治療後のダウンタイム
パルス色素レーザーの治療後には、照射部位に紫斑(内出血のような青紫色の変色)が生じることが多く、これはレーザーの効果が出ている証拠でもあります。この紫斑は通常1〜2週間程度で自然に消退します。また、むくみ(浮腫)が生じることもありますが、これも数日で落ち着くことが多いです。
治療後はかさぶた(痂皮)が形成される場合があります。かさぶたは無理にはがさず、自然に取れるのを待つことが大切です。患部は清潔を保ち、医師の指示に従った軟膏などを塗布してください。
紫外線対策も非常に重要です。治療後の皮膚は色素沈着(炎症後色素沈着)を起こしやすい状態にあるため、日焼け止めを丁寧に塗布し、直射日光を避けるよう心がけてください。日焼け止めはSPF30以上・PA+++程度のものを選び、外出前に十分量を塗布してください。
治療中・治療後の生活上の注意点として、飲酒・激しい運動・サウナなど血行を促進する行為は治療後数日間は避けることが推奨されます。また、皮膚に刺激を与える化粧品やスキンケア製品の使用も、医師の指示に従って制限してください。
🔸 治療回数・効果の見通し
単純性血管腫のレーザー治療は、1回で完全に消えることはほとんどなく、複数回の治療を繰り返す必要があります。一般的には4〜8週間の間隔を空けながら、合計5〜15回程度の治療が必要となるケースが多いです。ただし、個人差が非常に大きく、数回でかなり改善する方もいれば、多数回の治療を行っても効果が限定的な場合もあります。
大人になってからの治療でも改善は期待できますが、一般的に年齢が若いほど、色調が薄いほど、面積が小さいほど、良好な治療結果が得られやすいとされています。「もう大人だから遅い」ということはありませんが、早めに専門医に相談することで、より多くの選択肢が生まれる可能性があります。
⚡ 保険適用について
単純性血管腫(ポートワイン母斑)のレーザー治療は、一定の条件のもとで保険診療(健康保険)の適用となる場合があります。保険適用の要件は施設や治療内容によって異なりますので、受診先の医療機関に事前に確認することをお勧めします。保険適用外の自由診療の場合、費用は照射範囲や治療回数によって変動します。
✨ 9. 治療を受ける際のポイント

単純性血管腫の治療を検討・開始する際に、知っておくと役立つポイントをまとめました。
🌟 専門医への相談が第一歩
単純性血管腫の治療は、皮膚科・形成外科・美容皮膚科などの専門医が担当します。「どの科を受診すればいいかわからない」という方は、まずは皮膚科や形成外科を受診し、専門的な評価を受けることから始めましょう。必要であれば、より専門的な治療施設へ紹介してもらうことも可能です。
血管腫の治療経験が豊富なクリニック・病院を選ぶことが大切です。治療実績や使用機器の種類、アフターフォローの体制などを事前に確認すると安心です。
💬 治療のゴールを明確にする
治療を始める前に「どの程度改善したいか」という目標を医師と共有しましょう。完全消退を目指すのか、ある程度の改善で十分なのかによって、必要な治療回数や費用も変わってきます。単純性血管腫は「完全に跡形もなく消える」ことよりも「目立たない程度まで改善する」ことを現実的な目標とする場合が多いです。
医師との率直なコミュニケーションが治療の成功につながります。不安に思っていることや希望することを遠慮なく伝えることが大切です。
✅ 長期的な取り組みが必要
単純性血管腫の治療は短期間で完結するものではなく、数カ月〜数年単位の継続的な取り組みが求められます。焦らず根気強く治療を続けることが大切で、途中で効果が実感しにくい時期があっても、医師と相談しながら治療を継続することが重要です。
また、治療後も日常的な紫外線対策やスキンケアを継続することで、治療効果を維持・最大化することができます。
📝 心理的サポートも重要
単純性血管腫による外見上のコンプレックスは、心理的な負担を伴うことがあります。治療を進める一方で、必要に応じてカウンセリングや支援グループなどを活用することも、QOL向上につながります。「あざを持って生きる」経験を持つコミュニティとつながることで、精神的なサポートを得られることもあります。
特に子どものころから長年気にしてきた方は、治療によって外見が改善するだけでなく、心理的にも大きな変化を感じる方が多いです。治療は医学的な側面だけでなく、その方の人生全体に関わる大切な取り組みです。
🔸 日焼け対策を怠らない
レーザー治療前後の時期は特に、紫外線による影響を受けやすい状態にあります。夏場や屋外での活動が多い時期には、日焼け止めの使用・帽子・日傘などを活用して紫外線から肌を守ることが、治療効果を維持するうえで非常に重要です。日焼けをすると治療効果が下がるだけでなく、炎症後色素沈着のリスクも高まります。
治療を検討している方は、日焼けが残っている状態では照射できないことが多いため、治療前の数カ月間も日焼け対策をしっかり行っておくことをお勧めします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、長年にわたって単純性血管腫を放置されてきた成人の方が、「もう治らないと思っていたけれど、やはり気になって相談したい」と来院されるケースが多く見られます。最近の傾向として、パルス色素レーザーによる治療で着実に色調が改善される方が多く、大人になってからでも決して諦める必要はありません。心理的な負担を長く抱えてこられた方ほど、改善されたときの喜びも大きいため、まずはお気軽にご相談いただければと思います。」
🔍 よくある質問
はい、大人になってからでも治療は十分可能です。現在はパルス色素レーザーを中心としたレーザー治療が標準的な治療法として確立されており、アイシークリニックでも成人の方の改善実績が多数あります。ただし、一般的に若い時期に治療を開始するほど良好な結果が得られやすいため、早めの相談をお勧めします。
残念ながら、単純性血管腫が自然に消えることはほとんど期待できません。乳児血管腫(イチゴ状血管腫)とは異なり、血管の「奇形」であるため自然退縮のメカニズムが働きません。むしろ放置すると、年齢とともに色調が濃くなったり、表面が凹凸状になったりと変化が進む場合があります。
単純性血管腫は親からの遺伝ではなく、胎生期(母親の胎内で体が形成される時期)における偶発的な遺伝子変異(ソマティック変異)が主な原因と考えられています。そのため、親が同じあざを持っていても子どもに必ずしも遺伝するわけではなく、妊娠中の行動が原因といった俗説には医学的根拠はありません。
単純性血管腫のレーザー治療は、一般的に4〜8週間の間隔を空けながら、合計5〜15回程度の治療が必要となるケースが多いです。ただし個人差が非常に大きく、数回で大きく改善する方もいれば、多数回の治療が必要な方もいます。治療前のカウンセリングで医師に見通しを確認することをお勧めします。
単純性血管腫(ポートワイン母斑)のレーザー治療は、一定の条件のもとで健康保険が適用される場合があります。ただし、保険適用の要件は施設や治療内容によって異なります。アイシークリニックへご相談いただく際に、保険適用の可否や費用の目安についても事前にご確認いただくことをお勧めします。
💪 まとめ
単純性血管腫(ポートワイン母斑)は、毛細血管の奇形によって生じる良性の血管性皮膚疾患で、乳幼児期に自然消退するタイプの血管腫とは異なり、放置しても改善しないばかりか、年齢とともに色調が濃くなったり表面が凹凸になったりと変化が進む可能性があります。
原因は胎生期の遺伝子変異(ソマティック変異)が関与していると考えられており、親からの遺伝ではなく、発生段階での偶発的な変化によるものです。
大人になってからでも治療を受けることは十分可能で、特にパルス色素レーザーを中心としたレーザー治療が現在の標準的治療法です。複数回の治療が必要になるケースがほとんどですが、根気強く治療を続けることで多くの方に改善が期待できます。
「生まれつきだから仕方ない」「もう大人だから今さら治らない」と諦めている方にも、現代の医療では選択肢があります。気になっているあざがある方は、まず専門の医療機関に相談することをお勧めします。アイシークリニック渋谷院でも、血管腫に関するご相談・診察を承っております。長年のコンプレックスを解消するための第一歩を、ぜひ踏み出してみてください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 単純性血管腫(ポートワイン母斑・毛細血管奇形)の診断基準・治療ガイドラインおよびレーザー療法の適応に関する専門的情報
- 日本形成外科学会 – 単純性血管腫の疾患概念・症状・治療法(パルス色素レーザーを含む)に関する患者向け解説および形成外科的アプローチの情報
- PubMed – ポートワイン母斑におけるGNAQ遺伝子変異・選択的光熱融解理論・パルス色素レーザー治療効果に関する国際的な査読済み臨床研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務