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耳垢が湿ってる原因とは?体質・遺伝・病気との関係を解説

💡 「耳垢が湿ってるのって病気?」その疑問、放置するとキケンかも。

湿った耳垢の原因は「遺伝」がほとんどですが、急に湿りだした・痛みがある場合は要注意!外耳道炎や中耳炎のサインの可能性があります。

この記事を読めば、「体質なのか・病気なのか」が自分でわかるようになります。読まないまま放置すると、耳の病気を見逃すリスクがあります。

🙋

「耳垢がいつも湿ってて、なんか臭いが気になる…これって普通?それとも病気?」

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湿った耳垢=病気ではありません!でも「急に変わった」「痛い・臭い」なら受診が必要です。この記事で正しく判断しましょう✅

📋 この記事でわかること

✅ 湿った耳垢の原因(遺伝・体質)
✅ 病気のサインの見分け方
✅ 正しいケア方法&受診タイミング


目次

  1. 耳垢とは何か?その役割と種類
  2. 耳垢が湿っている原因:遺伝と体質の関係
  3. 湿った耳垢と乾いた耳垢の割合と分布
  4. 耳垢が湿っていることで起きやすいトラブル
  5. 病気が原因で耳垢が湿ってしまう場合
  6. 湿った耳垢と外耳道炎・中耳炎の関係
  7. 耳垢が湿っている人の正しい耳掃除の方法
  8. 耳鼻科を受診すべき症状とタイミング
  9. よくある疑問と誤解
  10. まとめ

この記事のポイント

耳垢が湿っている原因の多くはABCC11遺伝子による体質で、日本人の約20〜30%に見られる。ただし急に湿りだした場合や耳の痛み・耳だれを伴う場合は外耳道炎や中耳炎の可能性があり、耳鼻咽喉科への受診が推奨される。

💡 耳垢とは何か?その役割と種類

耳垢は「耳あか」とも呼ばれ、外耳道(耳の穴から鼓膜までの通路)で自然に産生される物質です。医学的には「耵聹(ていねい)」とも呼ばれており、外耳道の皮膚から剥がれ落ちた角質、皮脂腺から分泌される皮脂、耵聹腺(じにょうせん)という特殊な汗腺から分泌された液体、そして外部から侵入してきたほこりや細菌などが混ざり合ってできています。

耳垢には非常に重要な役割があります。まず、外耳道の表面を保護するバリア機能があります。外耳道の皮膚は非常に薄くデリケートであるため、耳垢が適度な湿潤状態を保つことで乾燥や外部刺激から守ってくれます。また、耳垢には弱酸性の性質があり、抗菌・抗カビ作用を持っているため、細菌や真菌の繁殖を抑制する働きもあります。さらに、外耳道に入り込んだほこりや小さな昆虫などを捕らえて外に排出する役割も担っています。

耳垢には大きく分けて2種類あります。一つは「乾性耳垢(かんせいじこう)」とも呼ばれる、白っぽくフケのようにパラパラとした乾燥した耳垢です。もう一つは「湿性耳垢(しっせいじこう)」で、べたっとした粘り気のある茶色や黄色の耳垢です。この2種類の違いは、耵聹腺が分泌する液体の量の違いによって生まれます。耵聹腺が多くの液体を分泌すれば湿った耳垢になり、分泌量が少なければ乾燥した耳垢になります。

Q. 耳垢が湿っている原因は何ですか?

耳垢が湿っている主な原因は、ABCC11遺伝子による遺伝的体質です。この遺伝子が正常に機能すると耵聹腺からの分泌量が増え、べたついた湿性耳垢になります。常染色体優性遺伝のため、両親のどちらかが湿性耳垢であれば子どもも湿性耳垢になりやすい傾向があります。

📌 耳垢が湿っている原因:遺伝と体質の関係

耳垢が湿っているかどうかは、主に遺伝的な要因によって決まります。この事実は、2006年に科学誌「Nature Genetics」に発表された研究で明らかになりました。日本人を含む研究チームが、ABCCll(ABCC11)という遺伝子が耳垢の性状を決定することを世界で初めて発見したのです。

ABCC11遺伝子は、耵聹腺の細胞内にあるタンパク質(トランスポーター)をコードしている遺伝子です。このタンパク質が正常に機能すると、耵聹腺から多くの液体や脂質が外耳道に分泌されるため、耳垢が湿った状態(軟耳垢)になります。一方、ABCC11遺伝子に変異(一塩基多型:SNP)がある場合、タンパク質の機能が低下し、分泌量が減少するため、乾燥した耳垢(乾性耳垢)になります。

この遺伝子は常染色体優性遺伝(優性遺伝)のパターンをとります。つまり、湿性耳垢を引き起こすABCC11遺伝子の正常型アレルは、乾性耳垢を引き起こす変異型アレルに対して優性(dominant)です。そのため、両親のいずれか一方でも湿性耳垢の遺伝子を持っていれば、子どもは湿性耳垢になる可能性が高くなります。

ただし、遺伝的な要因だけでなく、体質や生活環境も耳垢の性状に影響することがあります。たとえば、体温が高い人や汗をかきやすい人は、耳の中の温度が上がり湿度も高まりやすいため、もともと乾性耳垢の方でも耳垢がやや湿りやすくなることがあります。また、食事内容や皮脂の分泌量なども多少影響すると考えられています。

✨ 湿った耳垢と乾いた耳垢の割合と分布

世界的に見ると、湿性耳垢(軟耳垢)を持つ人のほうが多数派です。世界人口の約80〜90%が湿性耳垢であるとされています。特に、アフリカ系やヨーロッパ系の人々のほぼ全員が湿性耳垢です。一方、東アジア系(日本人、中国人、韓国人など)の人々では乾性耳垢の割合が高く、日本人では約70〜80%が乾性耳垢であるとされています。

このような民族間での分布の違いは、ABCC11遺伝子の変異型アレルの頻度が異なることによって説明されます。東アジア系の集団では、乾性耳垢を引き起こす変異型アレルが非常に高い頻度で存在します。一方、アフリカ系やヨーロッパ系の集団では、この変異型アレルはほとんど見られません。

日本においては、約20〜30%の人が湿性耳垢であると推定されています。つまり、日本人の5人に1人から3人に1人程度は湿った耳垢を持っているということです。「耳垢が湿っているのは少数派だ」と感じている方もいるかもしれませんが、日本国内でも決して珍しい体質ではありません。自分の耳垢が湿っていることを気にしすぎる必要はないでしょう。

また、同じ人でも年齢によって耳垢の性状が変化することがあります。乳幼児期は皮脂分泌が盛んなため湿った耳垢になりやすく、成長とともに乾燥した耳垢になっていくケースもあります。逆に、思春期には皮脂分泌が活発になるため、それまで乾性耳垢だった人が湿った耳垢になることもあります。高齢になると皮脂分泌が減少するため、耳垢が乾燥しやすくなる傾向があります。

Q. 日本人で湿性耳垢の人はどれくらいいますか?

日本人の約20〜30%、つまり5人に1人から3人に1人程度が湿性耳垢を持つとされています。世界全体では約80〜90%が湿性耳垢である一方、東アジア系では乾性耳垢が多数派です。日本国内でも湿性耳垢は珍しい体質ではなく、過度に心配する必要はありません。

🔍 耳垢が湿っていることで起きやすいトラブル

耳垢が湿っていること自体は病気ではありませんが、乾性耳垢と比べると、いくつかのトラブルが起きやすくなる傾向があります。これを理解しておくことで、予防と早期対処が可能になります。

まず挙げられるのが、耳垢栓塞(じこうせんそく)です。湿った耳垢はベタベタとしているため、外耳道の壁にくっつきやすく、自然に外に排出されにくい性質があります。そのため、耳垢が溜まって固まり、外耳道を塞いでしまう「耳垢栓塞」が起きやすくなります。耳垢栓塞が起きると、耳がつまった感じや難聴、耳鳴りなどの症状が現れることがあります。

次に、外耳道炎のリスクが挙げられます。湿った耳垢は細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすい環境を作りやすいため、外耳道炎を引き起こすリスクが高くなります。特に、プールや海水浴などで水が耳に入った後は注意が必要です。耳の中が長時間湿った状態になると、細菌や真菌が急増してしまうことがあります。

また、湿性耳垢の方は脇汗の量が多い傾向があります。これは、ABCC11遺伝子がアポクリン汗腺(わきがに関係する汗腺)の分泌にも関与しているためです。ABCC11遺伝子の正常型アレルを持つ人は、アポクリン汗腺からの分泌も多くなるため、わきがの原因となる成分が多く分泌されます。日本人でわきが(腋臭症)の方の多くは、湿性耳垢を持っていることが知られています。湿性耳垢はわきがのマーカーとなりうることが研究でも示されています。

さらに、耳の中のかゆみを感じやすいという点もあります。湿った耳垢が外耳道に溜まると、皮膚が刺激を受けてかゆみが生じることがあります。このかゆみに対して綿棒や耳かきで強くこすると、皮膚を傷つけて炎症を悪化させてしまう悪循環に陥ることがあるため注意が必要です。

💪 病気が原因で耳垢が湿ってしまう場合

先に述べたように、耳垢が湿っていること自体は遺伝的な体質によるものがほとんどです。しかし、これまで乾燥した耳垢だったのに急に湿った状態になった場合や、耳垢に血液や膿が混じっている場合は、何らかの耳の病気が原因となっている可能性があります。

耳垢が湿る原因となりうる病気の一つが、外耳道炎です。外耳道炎とは、外耳道の皮膚が細菌や真菌によって炎症を起こした状態です。炎症が起きると外耳道から滲出液(しんしゅつえき)が分泌され、これが耳垢と混ざることで耳垢が湿った状態になります。外耳道炎では、耳の痛みやかゆみ、耳だれ(耳漏)などの症状を伴うことが多いです。

中耳炎(特に慢性中耳炎)も耳垢が湿る原因となります。慢性中耳炎では鼓膜に穴が開いた状態が続き、中耳から膿や液体が外耳道に流れ出てくることがあります。これが耳垢と混ざると、耳垢が湿ったり、黄色や茶色のべたついた分泌物として観察されたりします。中耳炎の場合は耳だれのほか、難聴や耳鳴り、発熱などの症状が現れることがあります。

真珠腫性中耳炎(しんじゅしゅせいちゅうじえん)という病気でも、耳だれが生じて耳垢が湿った状態になることがあります。真珠腫性中耳炎は、鼓膜の一部が中耳の方向に陥入して袋状の構造(真珠腫)を形成する病気で、骨を溶かしながら進行するため早期発見・治療が重要です。

外耳道湿疹も耳垢が湿る原因となります。外耳道の皮膚に湿疹(アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎など)が起きると、滲出液が分泌されて耳垢が湿ったり、外耳道がべたついたりすることがあります。強いかゆみを伴うことが多く、掻きすぎることで症状が悪化するケースが見られます。

また、外耳道がんや耳の腫瘍などの重篤な疾患でも、出血や分泌物によって耳垢が湿った状態になることがあります。これらの場合は、血液が混じった耳垢や悪臭を伴う耳だれなどの異常なサインが現れることが多いため、このような症状に気づいたら速やかに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。

Q. 耳垢が湿っていると起こりやすいトラブルは何ですか?

湿性耳垢では主に3つのトラブルが起きやすいとされています。第一に、べたついた耳垢が外耳道に蓄積して聴力低下を招く「耳垢栓塞」、第二に細菌や真菌が繁殖しやすくなる「外耳道炎」、第三に耳内のかゆみです。かゆみを強く掻くと皮膚を傷つけ炎症が悪化するため注意が必要です。

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🎯 湿った耳垢と外耳道炎・中耳炎の関係

湿性耳垢の方は外耳道炎や中耳炎が起きやすいとされていますが、その関係についてもう少し詳しく見ていきましょう。

外耳道炎は「スイマーズイヤー」とも呼ばれるほど、水泳後に多く見られる疾患です。水が耳に入ることで外耳道の水分量が増加し、元々の耳垢のバリア機能が低下します。そこに細菌(緑膿菌や黄色ブドウ球菌など)が侵入して増殖し、炎症を引き起こします。湿性耳垢の方は元々外耳道内の水分量が多いため、さらに感染リスクが高くなります。

外耳道炎の症状は、耳の入口からやや奥あたりの痛み・かゆみ・腫れ、そして耳だれです。耳だれは最初は透明や白っぽい液体ですが、細菌感染が進むと黄色や緑色の膿のような状態になることがあります。また、外耳道が腫れることで耳がつまった感じや軽度の難聴が生じることもあります。

中耳炎については、外耳道炎とは異なり直接的な関係はありませんが、慢性中耳炎の耳だれが外耳道に流れ出ることで、外耳道内の湿度が増して二次的に外耳道炎を引き起こすことがあります。逆に、外耳道炎の炎症が耳管(じかん)を通して中耳に波及し、中耳炎を引き起こすケースもまれにあります。

また、繰り返す外耳道炎や長期間の耳だれは、外耳道真菌症(カビによる感染)につながることもあります。外耳道真菌症では、黒や白の綿毛状の分泌物が見られることがあり、強いかゆみと耳のつまり感が特徴的です。抗真菌薬による治療が必要になります。

湿性耳垢を持つ方がこれらのトラブルを予防するためには、耳の中に水が入ったときはティッシュや清潔なタオルで優しく水分を取り除くこと、耳を清潔に保ちつつ過度な耳掃除は避けること、異常なサインを感じたら早めに耳鼻科を受診することが重要です。

💡 耳垢が湿っている人の正しい耳掃除の方法

湿性耳垢を持つ方にとって、正しい耳掃除の方法を知ることは非常に重要です。間違ったケアが炎症や感染症を引き起こすことがあるため、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。

まず大前提として、耳には「自浄作用」があります。外耳道の皮膚は耳の穴の入口に向かって少しずつ移動する性質があり(遊走性皮膚:ゆうそうせいひふ)、耳垢は自然と外に押し出されるようになっています。そのため、多くの場合、特別な耳掃除をしなくても耳垢は自然に排出されます。

ただし、湿性耳垢の方はこの自浄作用だけでは不十分なことがあり、耳垢が溜まりやすい傾向があります。そのため、適度なケアが必要になります。耳掃除を行う頻度としては、2〜4週間に1回程度が目安とされています。頻繁すぎる耳掃除は外耳道の皮膚を傷つけたり、耳垢のバリア機能を損なったりするため避けましょう。

耳掃除の方法としては、耳の穴の入口から1〜1.5センチメートル程度まで(耳の穴の入口に見えている範囲)を、柔らかい綿棒で優しく拭き取る程度にとどめましょう。奥まで綿棒を入れると、耳垢を奥に押し込んでしまったり、鼓膜を傷つけてしまったりする危険性があります。

湿性耳垢の場合、綿棒が耳垢に引っかかって取れにくいことがあります。無理に取ろうとせず、入口付近の取れる範囲でケアするにとどめましょう。もし耳垢が多く溜まっているようであれば、耳鼻科を受診して専門家に取り除いてもらうことをお勧めします。

耳かきの使用については、特に湿性耳垢の方には注意が必要です。金属や竹製の硬い耳かきは外耳道の皮膚を傷つけやすく、炎症や感染のリスクを高めます。耳かきを使う場合は、シリコン製など先端が柔らかいものを使用し、あくまでも入口付近のみに使用しましょう。

近年では耳垢水(イヤードロップ)と呼ばれる耳垢を柔らかくして取り除きやすくする点耳薬も市販されています。湿性耳垢の方が耳垢栓塞を起こした際に医師から処方されることもありますが、自己判断での使用は避け、医師や薬剤師に相談してから使用するようにしましょう。

お風呂やシャワーの後は、耳の入口を清潔なタオルやティッシュで優しく押さえて水気を取りましょう。ドライヤーを耳に当てる方もいますが、熱風が直接外耳道に入ると皮膚を傷める可能性があるため、離れた位置から弱い風量で使用するか、ドライヤーの使用は避けることをお勧めします。

Q. 湿性耳垢の人はいつ耳鼻科を受診すべきですか?

湿性耳垢でも以下の場合は耳鼻咽喉科への受診が推奨されます。これまで乾性耳垢だったのに急に湿るようになった場合、耳の痛みや耳だれ・難聴・耳鳴りを伴う場合、黄色・緑色・血液混じりの耳だれがある場合です。これらは外耳道炎や中耳炎などの耳疾患が隠れているサインである可能性があります。

📌 耳鼻科を受診すべき症状とタイミング

耳垢が湿っているだけであれば緊急性はありませんが、以下のような症状を伴う場合は耳鼻咽喉科への受診を検討してください。

耳の痛みを伴う場合は受診が必要です。耳の中や周囲に痛みがある場合、外耳道炎や中耳炎などの炎症が起きている可能性があります。軽い痛みでも放置すると悪化することがあるため、早めの受診が大切です。

耳だれ(耳漏)が続く場合も受診のサインです。耳から液体が流れ出ている状態が続く場合は、外耳道炎や中耳炎の可能性があります。特に、黄色や緑色の膿のような耳だれ、血液が混じった耳だれ、悪臭のある耳だれの場合は速やかに受診してください。

難聴や耳のつまり感がある場合も要注意です。耳垢栓塞によって外耳道が塞がれると、音が聞こえにくくなったり、耳がつまったような感覚が生じたりします。自然に解消しない場合は、耳鼻科での耳垢除去が必要です。

耳鳴りがする場合も受診を検討しましょう。「キーン」「ジー」などの耳鳴りが続く場合は、耳垢栓塞や中耳・内耳の異常が原因となっている可能性があります。

かゆみが強く、搔きすぎて傷ができている場合も受診が必要です。耳の中のかゆみを我慢できずに搔き続けると、外耳道の皮膚に傷ができて感染リスクが高まります。かゆみが強い場合は自己対処を続けず、専門家に相談しましょう。

また、耳掃除をしたが耳垢が取れない、または耳垢が溜まっていると感じるが自分では対処できない場合も、耳鼻科での処置を受けることをお勧めします。耳鼻科では専用の器具(耳垢鉗子、吸引機器など)を使って安全に耳垢を除去してもらえます。痛みもほとんどなく、短時間で処置が完了することがほとんどです。

定期的に耳垢がたまりやすい方(湿性耳垢の方、補聴器を使用している方、外耳道が狭い方など)は、3〜6ヶ月に1回程度、定期的に耳鼻科を受診して耳垢を除去してもらうことを検討してもよいでしょう。

✨ よくある疑問と誤解

耳垢が湿っていることについて、多くの方が抱きやすい疑問や誤解があります。ここではよくある質問にお答えします。

「耳垢が湿っていると不衛生ですか?」という疑問をよく耳にします。耳垢が湿っていること自体は不衛生ではありません。湿性耳垢は体質(遺伝)によって決まるものであり、衛生状態とは直接関係ありません。ただし、湿性耳垢は細菌が繁殖しやすい環境になりやすいため、適切なケアで清潔を保つことが大切です。

「耳垢が湿っているのを乾燥させることはできますか?」という質問もあります。遺伝的に決まっている耳垢の性状を変えることは基本的にできません。ABCC11遺伝子の働きを変えることは現時点では不可能ですので、湿性耳垢の体質そのものを変えることはできません。ただし、適切なケアによって耳垢が溜まりすぎないようにすることはできます。

「湿った耳垢の色が濃い(茶色や黒っぽい)のは異常ですか?」という疑問もあります。湿性耳垢は一般的に黄褐色から茶色の色をしています。これは正常な範囲内です。ただし、赤みがかった(血が混じっている可能性がある)耳垢、緑色や青みがかった(細菌感染の可能性がある)耳垢、白っぽい乾酪状(チーズ状)の塊(外耳道真菌症の可能性がある)の場合は異常である可能性があるため受診を検討してください。

「子どもの耳垢が湿っているのはわきがのサインですか?」という質問もよく受けます。前述のように、ABCC11遺伝子は耳垢の性状とアポクリン汗腺の分泌量の両方に関わっています。湿性耳垢を持つお子さんは、思春期以降にわきがが生じる可能性が高いと言われています。ただし、湿性耳垢があるからといって必ずわきがになるわけではなく、においの強さには個人差があります。気になる場合は皮膚科や美容外科に相談しましょう。

「耳垢が突然湿るようになったのはなぜですか?」という疑問もあります。これまで乾性耳垢だったのに急に湿るようになった場合は、何らかの耳の異常(外耳道炎、中耳炎など)が原因となっている可能性があります。また、季節の変わり目や環境の変化(気温・湿度の上昇、水泳を始めたなど)によって一時的に耳垢が湿りやすくなることもあります。急激な変化が続く場合は耳鼻科を受診して確認することをお勧めします。

「耳垢が湿っている場合、補聴器は使えますか?」という質問も多くあります。湿性耳垢の方が補聴器を使用する場合、補聴器が耳垢によって詰まりやすくなることがあります。補聴器のメーカーや種類によって耳垢への対処方法が異なるため、補聴器専門家や医師に相談しながら適切な補聴器を選ぶことが大切です。補聴器のメンテナンスも通常より頻繁に行う必要があるかもしれません。

「耳垢が湿っているとイヤホンは使えますか?」という疑問もよくあります。湿性耳垢の方がカナル型(耳栓型)イヤホンを使用すると、イヤホンに耳垢がつきやすく、また外耳道内にイヤホンを長時間入れることで通気性が悪くなり細菌が繁殖しやすくなります。イヤホンを使用する場合は、使用後に耳垢をきれいに拭き取り、長時間の連続使用を避けることが大切です。また、定期的にイヤホンの先端(イヤーチップ)を清潔にし、場合によっては耳掛け型イヤホンへの変更を検討してみてください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、「耳垢が湿っているのは病気ではないか」と不安を抱えてご相談に来られる患者様が少なくありませんが、多くの場合はABCC11遺伝子によって決まる遺伝的な体質であり、過度に心配する必要はありません。ただし、これまで乾性耳垢だった方が急に湿るようになった場合や、耳の痛み・耳だれ・難聴などの症状を伴う場合は、外耳道炎や中耳炎などの耳の異常が隠れていることもあるため、早めに耳鼻咽喉科を受診されることをお勧めします。正しい知識と適切なケアで耳の健康を守ることが大切ですので、少しでも気になることがあればお気軽にご相談ください。」

🔍 よくある質問

耳垢が湿っているのは病気のサインですか?

ほとんどの場合、病気ではありません。耳垢の性状はABCC11遺伝子によって遺伝的に決まるものであり、湿った耳垢(湿性耳垢)は体質の一つです。ただし、これまで乾性耳垢だったのに急に湿るようになった場合や、耳の痛み・耳だれ・難聴を伴う場合は、外耳道炎や中耳炎などの可能性があるため、耳鼻咽喉科への受診をお勧めします。

日本人で耳垢が湿っている人はどのくらいいますか?

日本人の約20〜30%、つまり5人に1人から3人に1人程度が湿性耳垢を持っているとされています。日本人全体では乾性耳垢が多数派ですが、湿性耳垢も決して珍しい体質ではありません。過度に心配する必要はなく、正しいケアを続けることが大切です。

耳垢が湿っている体質を乾燥した耳垢に変えることはできますか?

残念ながら、現時点では体質を変えることはできません。耳垢の性状はABCC11遺伝子の働きによって決まっており、この遺伝子の機能を変えることは不可能です。ただし、適切な耳掃除(2〜4週間に1回程度)や耳の中への水分の管理によって、耳垢が溜まりすぎないよう予防することは可能です。

湿性耳垢の正しい耳掃除の方法を教えてください。

耳の穴の入口から1〜1.5センチメートル程度の範囲を、柔らかい綿棒で優しく拭き取る程度にとどめましょう。頻度は2〜4週間に1回が目安です。奥まで綿棒や耳かきを入れると、耳垢を奥に押し込んだり鼓膜を傷つけたりする危険があります。耳垢が多く溜まっている場合は、耳鼻科で専門家に除去してもらうことをお勧めします。

湿性耳垢とわきがには関係がありますか?

関係があります。ABCC11遺伝子は耳垢の性状だけでなく、わきが(腋臭症)に関係するアポクリン汗腺の分泌量にも影響します。湿性耳垢を持つ方はアポクリン汗腺からの分泌が多くなる傾向があり、わきがが生じやすいとされています。ただし、湿性耳垢があるからといって必ずわきがになるわけではなく、においの強さには個人差があります。気になる場合は専門医にご相談ください。

💪 まとめ

耳垢が湿っている原因のほとんどは、ABCC11遺伝子によって決まる遺伝的な体質です。湿性耳垢(軟耳垢)は世界的には多数派であり、日本においても約20〜30%の方が湿性耳垢を持っています。湿った耳垢それ自体は病気でも異常でもなく、遺伝的に決まった体質の一つです。

一方で、湿性耳垢を持つ方は耳垢栓塞や外耳道炎などのトラブルが起きやすい傾向があるため、適切なケアが重要です。耳掃除は2〜4週間に1回程度、耳の入口付近を優しく拭き取る程度にとどめ、奥まで器具を入れることは避けましょう。耳に水が入ったときは素早く水気を取り除くことも大切です。

耳の痛みや耳だれ、難聴、耳鳴りなどの症状を伴う場合は、耳の異常が原因となっている可能性があるため、耳鼻咽喉科を受診して適切な診断・治療を受けてください。また、これまで乾性耳垢だったのに急に湿るようになった場合も、一度専門家に診てもらうことをお勧めします。

耳垢が湿っていることを過度に心配したり、自己流で無理なケアをしたりすることは、かえってトラブルを招くことがあります。正しい知識を持ち、適切なケアを続けながら、気になる症状があれば早めに専門家に相談することが、耳の健康を守るための第一歩です。アイシークリニック渋谷院では、耳に関するお悩みについても専門的な視点からアドバイスをお伝えしています。耳垢の状態が気になる方、耳のトラブルを繰り返す方は、ぜひ一度ご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • PubMed – 2006年にNature Geneticsに発表されたABCC11遺伝子と耳垢の性状(湿性・乾性)の関係を世界で初めて明らかにした研究論文(Yoshiura et al., 2006)の参照先として使用
  • 厚生労働省 – 外耳道炎・中耳炎などの耳疾患に関する一般向け健康情報、および耳のケアに関する国内医療ガイドラインの根拠として使用
  • 日本皮膚科学会 – 外耳道湿疹・アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎などの皮膚疾患が耳垢の湿潤状態に与える影響、およびわきが(腋臭症)とABCC11遺伝子の関係についての皮膚科学的根拠として使用

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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