⚡ 料理中に熱湯が飛んだ、アイロンに触れてしまった——やけどはとても身近なケガのひとつです。「冷やして市販の軟膏を塗っておけば大丈夫」と思っていませんか?
🚨 この記事を読まないと…
- 📌 適切な処置が遅れて跡(瘢痕)が残るリスクが上がる
- 📌 市販薬では対応できない深いやけどを見逃してしまう
- 📌 やってはいけないNG行動で症状が悪化する
💡 この記事でわかること
- ✅ 処方軟膏の種類と正しい使い方
- ✅ 市販薬と処方薬、どう違うの?
- ✅ 病院に行くべきやけどの見極め方
- ✅ 跡を残さないためのケア方法
目次
- やけどの重症度(度数)を正しく理解しよう
- やけどに処方される軟膏の種類と特徴
- 軟膏の使い方と処置の手順
- 市販のやけど薬と処方薬の違い
- やけどのケアで絶対にやってはいけないこと
- やけどが治るまでの期間と経過
- 病院を受診すべきやけどの目安
- やけどの跡(瘢痕)が残ってしまう場合の対処法
- 日常生活で気をつけたいやけどの予防
- まとめ
この記事のポイント
やけどは深さと面積で重症度が分かれ、処方軟膏(ゲーベンクリーム・トラフェルミン等)は症状に応じて使い分けられる。水ぶくれ・特殊部位・小児高齢者は速やかに医療機関を受診し、民間療法は避けることが早期回復と瘢痕予防の鍵となる。
💡 1. やけどの重症度(度数)を正しく理解しよう
やけどは皮膚の損傷の深さによって「度数」で分類されます。どの軟膏が処方されるか、どのような治療が行われるかは、この重症度によって大きく異なります。
✅ I度熱傷(表皮熱傷)
皮膚の最も表面にある表皮のみにダメージを受けた状態です。見た目としては皮膚が赤くなり、ひりひりとした痛みや熱感を感じます。水ぶくれはできません。日焼けの強いものをイメージすると分かりやすいでしょう。軽度のやけどであり、適切に冷やして保湿をすれば数日以内に改善することがほとんどです。傷跡が残ることはまずありません。
📝 II度熱傷(真皮熱傷)
表皮の下にある真皮層まで損傷が及んだ状態です。II度熱傷はさらに浅いものと深いものに分けられます。
浅いII度熱傷(浅達性II度)では、皮膚が赤くなり水ぶくれ(水疱)が形成されます。強い痛みがあるのが特徴で、適切な処置を受ければ2週間前後で治癒することが多く、傷跡が残りにくいとされています。
深いII度熱傷(深達性II度)では、真皮の深いところまでダメージが及んでいます。水疱が破れやすく、皮膚の色が白っぽく変化することがあります。神経が傷ついているため、浅いII度よりも痛みが弱く感じることもあります。治癒に3〜4週間以上かかり、傷跡が残る可能性があります。
🔸 III度熱傷(全層熱傷)
皮膚の全層、さらには皮下組織にまで損傷が及んだ最も深刻な状態です。皮膚は白色・茶色・黒色に変色し、痛みをほとんど感じない(神経が壊死しているため)という特徴があります。自然治癒が困難で、植皮手術などの外科的処置が必要になることが多く、瘢痕(傷跡)が残ります。
⚡ 面積による重症度の評価
やけどの重症度は深さだけでなく、体表面積に占めるやけどの面積によっても評価されます。成人では体表面積の15〜20%以上のやけどは重症とみなされ、入院管理が必要です。子どもや高齢者ではさらに小さな面積でも入院が必要になることがあります。「9の法則」という方法では、頭部・頸部が9%、上肢が各9%、下肢が各18%、前躯幹・後躯幹がそれぞれ18%と計算します。
Q. やけどの重症度はどのように分類されますか?
やけどは皮膚の損傷の深さによってI度〜III度に分類されます。I度は表皮のみの赤みと痛み、II度は真皮まで達し水ぶくれを伴う状態、III度は皮膚全層が損傷し痛みをほぼ感じない最重症です。面積が体表面積の15〜20%以上では入院管理が必要となります。
📌 2. やけどに処方される軟膏の種類と特徴
医療機関でやけどに処方される軟膏には様々な種類があり、やけどの深さや感染の有無、治癒の段階によって使い分けられます。主な処方薬について詳しく解説します。
🌟 ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)
やけどの治療において最も広く使われてきた処方薬のひとつです。銀イオンによる強力な抗菌作用を持ち、緑膿菌や黄色ブドウ球菌など、やけど創に感染しやすい細菌に対して有効です。II度以上のやけどで感染予防として処方されることが多く、白色のクリーム状の外用薬です。
使用の際は、ガーゼなどに1cm程度の厚さで塗布して患部に当てるか、直接患部に塗布してから覆います。毎日または1〜2日おきに洗浄・交換を行います。ただし、治癒促進よりも感染予防を主な目的とした薬であり、創傷治癒そのものを促す作用は限定的です。また、腎機能障害のある方への使用には注意が必要です。
💬 フランドールテープ・フィブラストスプレー(トラフェルミン)
塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を含む製剤です。細胞の増殖や新生血管の形成を促進する作用があり、やけど創の治癒を積極的に促進します。深いII度熱傷や、なかなか治癒しない創傷に対して使われることがあります。スプレータイプ(フィブラストスプレー)は患部に直接噴霧して使用します。
✅ プロスタンディン軟膏(アルプロスタジルアルファデクス)
プロスタグランジンE1の誘導体を含む軟膏で、血管を拡張させて血流を改善し、肉芽形成(新しい組織が作られること)を促進する効果があります。難治性のやけど創や深い創傷に対して用いられることがあります。
📝 ユーパスタコーワ軟膏(精製白糖・ポビドンヨード)
精製白糖とポビドンヨードを配合した軟膏です。浸透圧による滲出液の吸収効果と、ポビドンヨードによる殺菌効果を持ちます。感染を伴うやけど創や壊死組織が付着した創傷の洗浄・デブリードマン(不良組織の除去)を助ける目的で使用されます。強い殺菌作用を持つ一方で、正常な細胞も傷つける可能性があるため、使用期間や範囲には注意が必要です。
🔸 アズノール軟膏(ジメチルイソプロピルアズレン)
抗炎症作用と皮膚保護作用を持つ軟膏です。比較的軽度のやけど(I度〜浅いII度)の炎症を抑え、皮膚のバリア機能を保護する目的で使用されます。刺激が少なく、子どもや高齢者にも使いやすい薬として知られています。青色の独特の外見が特徴です。
⚡ テトラサイクリン系抗生物質軟膏(アクロマイシン軟膏など)
抗生物質を含む軟膏で、やけど創への細菌感染を予防・治療する目的で処方されます。テトラサイクリンは広範囲の細菌に対して効果があり、やけど後の感染管理に用いられます。ただし、耐性菌の問題から長期使用には注意が必要です。
🌟 ステロイド外用薬
やけどの急性期(受傷直後)には通常用いられませんが、やけどが治癒した後に肥厚性瘢痕(傷跡が盛り上がる状態)ができた場合や、炎症が強い場合に用いられることがあります。また、軽度の日焼けによる皮膚炎に対して処方されることもあります。ステロイドは感染創には使用できないため、感染の有無を確認したうえで慎重に使用されます。
💬 モイスキンパッド・ハイドロコロイドドレッシング材
近年の創傷管理では「湿潤療法(モイストヒーリング)」の概念が普及しており、傷を乾かさずに適度な湿潤環境を保つことで治癒を促進する方法が主流になっています。軟膏単体ではなく、ハイドロコロイド素材などの特殊なドレッシング材と組み合わせて使用することで、より効果的な治療が可能になっています。
✨ 3. 軟膏の使い方と処置の手順
処方された軟膏を正しく使うためには、適切な処置の手順を理解することが大切です。特にII度以上のやけどに対しては、医師の指示に従って処置を行うことが重要です。
✅ 受傷直後の応急処置
やけどをしたら、まず最初にすべきことは患部を流水で冷やすことです。水道水を患部にあてて15〜20分ほど冷やすことで、熱が皮膚の深部に進行するのを防ぎ、痛みを和らげることができます。冷やす際は氷や氷水は避け、流水(15〜20℃程度)を使用します。氷は冷えすぎて凍傷を起こす可能性があるためです。
衣服の上からやけどをした場合は、無理に脱がせようとせず、衣服ごと冷やします。水ぶくれは破らないようにし、民間療法(醤油・味噌・歯磨き粉・バターなどを塗る)は行わないでください。
📝 軟膏を使った処置の基本手順
医師から軟膏が処方された後の基本的な処置手順は以下の通りです。まず手を石けんでしっかり洗い、清潔な状態で処置を行います。患部を流水や生理食塩水で優しく洗浄し、汚れや前回の軟膏を取り除きます。清潔なガーゼや柔らかいタオルで優しく水分を吸い取ります(こすらないように注意)。
次に処方された軟膏を適量、清潔なへらや綿棒で適切な厚さに塗布します。軟膏の種類によって塗る厚さや量が異なるため、医師の指示を確認しましょう。軟膏を塗布した後は、清潔なガーゼや創傷被覆材で覆い、テープで固定します。包帯の場合は、きつく巻きすぎないよう注意します。
🔸 処置の頻度と注意点
処置の頻度は軟膏の種類や創傷の状態によって異なりますが、一般的には1日1〜2回行います。ゲーベンクリームのように滲出液が多い場合は毎日交換が必要なこともあります。ハイドロコロイドドレッシングのような特殊な素材は、2〜3日おきの交換で済む場合もあります。
処置の際に膿が出てきた、臭いがきつくなった、赤みや腫れが広がってきた、発熱が出てきたなどの症状が見られる場合は、感染が疑われるため速やかに医療機関を受診してください。自己判断での処置継続は危険です。
Q. やけどにゲーベンクリームが処方されるのはなぜですか?
ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)は銀イオンの強力な抗菌作用により、緑膿菌や黄色ブドウ球菌などやけど創に感染しやすい細菌を抑制します。主にII度以上のやけどで感染予防目的に処方される白色クリーム状の外用薬で、処方箋なしでは入手できません。
🔍 4. 市販のやけど薬と処方薬の違い
ドラッグストアでも様々なやけど用の軟膏が販売されていますが、処方薬との違いを正しく理解したうえで使用することが大切です。
⚡ 市販薬の主な成分と効果
市販のやけど薬には、抗炎症成分(ジメチルイソプロピルアズレンなど)、局所麻酔成分(ジブカイン塩酸塩など)、抗ヒスタミン成分、抗菌成分(クロルヘキシジンなど)が配合されているものが多く見られます。これらは主にI度熱傷や浅いII度熱傷の軽症なやけどに対して痛みを和らげたり、軽度の炎症を抑えたりする目的で使用されます。
🌟 処方薬の優位性
処方薬は市販薬と比べて有効成分の濃度が高く、また市販では入手できない成分を含んでいます。例えば、スルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)やトラフェルミン(フィブラストスプレー)は処方箋なしでは購入できません。また、処方薬は医師が患者の症状を診察したうえで、その人の状態に合わせた薬を選んで処方するため、より個別化された治療が可能です。
💬 市販薬を使ってよい場合・使うべきでない場合
手のひら未満の面積で、水ぶくれができていない軽度のやけど(I度熱傷)であれば、市販薬での対処が可能な場合もあります。しかし、水ぶくれができている場合(II度熱傷)や、顔・手・足・関節部・陰部などの特殊な部位のやけど、お子さんや高齢者のやけど、化学薬品や電気によるやけどは医療機関を受診すべきです。市販薬での処置を続けながら症状が悪化している場合も、速やかに受診が必要です。
💪 5. やけどのケアで絶対にやってはいけないこと
やけどの治療において、誤った処置は症状を悪化させたり、傷跡が残るリスクを高めたりします。特に注意が必要な行為について確認しましょう。
✅ 民間療法は絶対に行わない
醤油・味噌・バター・アロエ・歯磨き粉など、やけどに民間療法として塗るものがありますが、これらはすべて行うべきではありません。これらを塗ることで創傷が汚染され、感染リスクが大幅に高まります。また、クリームや油脂類は皮膚から熱が逃げにくくなり、かえって損傷を深める可能性があります。さらに、後の処置や診察の妨げになります。
📝 水ぶくれを自分で破らない
やけどによってできた水ぶくれ(水疱)は、皮膚を守るバリアの役割を果たしています。水疱内の液体には皮膚の回復を助ける成分が含まれており、これを自分で破ってしまうと感染リスクが高まり、痛みが増すことがあります。水疱の処置は医療機関で適切な衛生環境のもとで行ってもらうべきです。
🔸 アルコールや刺激の強い消毒薬を使わない
やけどした皮膚はとてもデリケートな状態にあります。アルコール消毒液やイソジンなどの強い消毒薬をやけど創に直接使用すると、細胞毒性によって正常な細胞も傷つけてしまい、治癒を妨げる可能性があります。やけど創の洗浄には流水や生理食塩水を使用するのが基本です。
⚡ 傷口を乾燥させすぎない
かつての創傷治療では「傷を乾かして治す」という考え方が一般的でしたが、現在では湿潤療法(モイストヒーリング)が主流です。傷口を過度に乾燥させると、細胞の増殖が妨げられ、痂皮(かさぶた)形成が促進されますが、これは必ずしも良いことではありません。適切な湿潤環境を保つことで治癒が促進され、傷跡も残りにくくなります。
🌟 包帯をきつく巻きすぎない
患部を保護するために包帯を巻く際、きつく巻きすぎると血流が妨げられ、治癒が遅れるだけでなく、手足の場合はしびれや壊死につながる危険性があります。包帯は適切な圧力で、かつ指先などに感覚異常が出ないかを確認しながら巻くことが重要です。
Q. やけどの処置で絶対にやってはいけないことは何ですか?
やけどに醤油・バター・歯磨き粉などを塗る民間療法は感染リスクを高めるため絶対に避けてください。また、水ぶくれを自分で破ることや、アルコール消毒液を創部に直接使用することも治癒を妨げます。応急処置は流水で15〜20分冷やすことが基本です。

🎯 6. やけどが治るまでの期間と経過
やけどの治癒期間は深さと面積によって大きく異なります。適切な治療を受けた場合の一般的な経過を知っておくことは、治療に対する不安を減らすためにも役立ちます。
💬 I度熱傷の経過
受傷後数日で赤みが引き、皮膚が少し剥けながら治癒します。通常3〜5日程度で症状が軽快し、傷跡は残りません。軟膏を処方されることは少なく、保湿ケアと日焼け予防が主な対処となります。
✅ 浅いII度熱傷(浅達性II度)の経過
受傷後1〜2日は滲出液が多く、適切な処置と軟膏の使用が重要な時期です。1週間ほどで水疱の処置を経て、新しい皮膚が形成されていきます。通常10〜14日程度で治癒し、傷跡が残るリスクは比較的低いです。定期的な軟膏交換と創傷管理が行われます。
📝 深いII度熱傷(深達性II度)の経過
治癒に3〜4週間以上かかります。感染予防のための抗菌薬入り軟膏や、創傷治癒を促進する薬剤が用いられます。治癒後に肥厚性瘢痕(傷跡の盛り上がり)や色素沈着が残ることがあり、経過観察と追加治療が必要になる場合があります。場合によっては植皮手術が検討されることもあります。
🔸 III度熱傷の経過

自然治癒は非常に困難であり、外科的処置(デブリードマンや植皮術)が必要です。入院管理のもとで長期にわたる治療と、その後のリハビリテーションが必要になることが多いです。機能的・整容的な問題が残ることもあります。
⚡ 治癒過程で注意すべきサイン
治療中に以下のサインが見られた場合は感染やその他の合併症が疑われるため、すぐに医療機関に連絡してください。患部周辺の赤みや腫れが拡大している、膿が増えてきた、悪臭がする、強い痛みが急に増した、38度以上の発熱がある、といった症状が代表的なサインです。
💡 7. 病院を受診すべきやけどの目安
すべてのやけどを自宅で対処しようとするのは危険です。次のような場合は速やかに医療機関を受診することを強くおすすめします。
🌟 受診が必要なやけどの条件
水ぶくれができているII度以上のやけど、または体表面積の1%(手のひら1枚分)を超えるやけどは医療機関を受診すべきです。また、顔・手指・足・関節部・外陰部など機能的・整容的に重要な部位のやけども専門的な処置が必要です。
小児(特に5歳以下)のやけど、高齢者のやけど、糖尿病などの基礎疾患がある方のやけどは治癒が遅れる可能性があるため、軽症に見えても受診が推奨されます。
熱湯や蒸気によるやけどは見た目より深い場合があります。化学薬品(酸やアルカリ)による化学熱傷、電気による電撃傷、爆発や炎による口・鼻・気道のやけど(気道熱傷)は特に緊急性が高く、救急対応が必要です。
💬 受診する診療科
やけどの治療を行う診療科は主に形成外科・皮膚科・外科です。軽度のやけどであれば皮膚科や形成外科、重症の場合は救急外来や熱傷専門の施設を受診することが適切です。アイシークリニック渋谷院では、やけどの適切な診断と処置、適切な軟膏の処方を行っています。お気軽にご相談ください。
Q. やけどの傷跡を目立たなくする治療法にはどんなものがありますか?
やけど治癒後の瘢痕には、ステロイド外用薬・ステロイド局所注射・圧迫療法・レーザー治療・外科的切除などの選択肢があります。治癒後は紫外線対策と保湿ケアを継続することで色素沈着の悪化を防げます。瘢痕ケアは早期開始が重要なため、アイシークリニックへの早めのご相談をおすすめします。
📌 8. やけどの跡(瘢痕)が残ってしまう場合の対処法
深いII度熱傷やIII度熱傷では、治癒後に傷跡(瘢痕)が残ることがあります。特に肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれる状態は見た目だけでなく、かゆみや痛みなどの症状を伴うことがあります。
✅ 肥厚性瘢痕とケロイドの違い
肥厚性瘢痕は傷跡が赤く盛り上がった状態で、やけどした範囲内にとどまります。時間とともに自然に平らになっていくことが多いです。一方、ケロイドは傷跡が元のやけど範囲を超えて広がり、かゆみや痛みを伴い、自然には改善しにくい状態です。ケロイド体質(遺伝的な素因)がある方ではやけど後にケロイドができやすいとされています。
📝 瘢痕の治療方法
瘢痕治療にはいくつかの選択肢があります。ステロイド外用薬はコラーゲンの産生を抑制し、盛り上がりを平らにする効果があります。ステロイドテープ(フルドロキシコルチドテープなど)は患部に貼ることで持続的な効果が得られます。
ステロイド局所注射は外用薬より高い濃度のステロイドを直接患部に注射する方法で、特に肥厚性瘢痕やケロイドに効果的です。圧迫療法は弾性包帯や圧迫衣を用いて創傷部位を持続的に圧迫することで、瘢痕の形成を抑制します。植皮後のリハビリ時にも活用されます。
レーザー治療はフラクショナルレーザーや染料レーザーなどを用いて、瘢痕の色調や質感を改善します。外科的治療では特に重症の瘢痕拘縮(皮膚が引きつれて関節の動きが制限される状態)に対して、瘢痕の切除や皮弁形成術が行われることがあります。
🔸 瘢痕形成を予防するためのケア
やけどが治癒した後も、しばらくは紫外線から患部を保護することが大切です。紫外線は瘢痕の色素沈着を悪化させます。外出時は患部に日焼け止めを塗り、衣服などで遮光するとよいでしょう。また、保湿ケアを継続することで皮膚の柔軟性を維持し、引きつりや拘縮の予防に役立ちます。シリコンジェルシート(市販品もあります)は瘢痕予防に一定の効果があるとされており、医師に相談したうえで使用を検討してみてください。
✨ 9. 日常生活で気をつけたいやけどの予防
やけどは日常生活の様々な場面で起こりますが、少し気をつけることで多くのやけどを防ぐことができます。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、やけど防止のための環境整備が重要です。
⚡ キッチンでの予防
調理中は熱した油や湯が飛びやすく、最も多くのやけどが起こる場所のひとつです。フライパンや鍋の柄は内側に向けておく、電子レンジから食品を取り出す際は蒸気に注意する、子どもをキッチンに入れない・ガスコンロ周辺に近づけないなどの対策が有効です。アツアツの食べ物や飲み物を小さな子どもが手の届く場所に置かないようにすることも大切です。
🌟 入浴・洗面での予防
お風呂の温度を確認してから入浴する習慣をつけましょう。特に高齢者や感覚が鈍くなっている方は、熱いお湯に気づきにくいことがあります。子どもをお風呂に入れる際は先に冷水を入れてから熱水を足すようにすると、誤って熱い湯に入れてしまう事故を防げます。蛇口からの熱湯による事故を防ぐため、給湯器の設定温度を適切に管理することも重要です。
💬 暖房器具・電気製品での予防
ストーブやヒーターには安全柵を設置する、アイロンを使用していないときは安全な場所に置くか収納する、カーリングアイロンやヘアアイロンを使用後は子どもの手の届かない場所に保管するなどが重要です。また、電気毛布や使い捨てカイロによる「低温やけど」にも注意が必要です。低温やけどは表面的には軽度に見えても実際には深部まで損傷していることがあり、特に糖尿病の方や感覚が鈍くなっている部位では起こりやすいため注意が必要です。
✅ 太陽光・日焼けによるやけど予防
強い日差しの下での長時間の外出は日焼けによるI度熱傷を引き起こすことがあります。紫外線の強い時間帯(10時〜15時)の外出を控える、日焼け止めを適切に塗り直す、帽子や日傘・長袖などで物理的に遮光するなどの対策をとりましょう。特に子どもの皮膚は大人より紫外線の影響を受けやすく、将来的な皮膚がんのリスクにも関わるため、幼い頃からの日焼け対策が重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、やけどを受傷してから時間が経った後に「最初に民間療法を試してしまった」「市販薬で様子を見ていた」というケースでご来院される患者さんが少なくなく、その際には感染が生じていたり、傷が想定より深くなっていたりすることがあります。やけどは見た目だけでは深さを正確に判断しにくいため、水ぶくれがある・特殊な部位である・お子さんや高齢者の方の場合は、迷わず早めにご相談いただくことが、より早い回復と傷跡を残さないためにも大切です。治癒後の瘢痕ケアも含め、患者さんひとりひとりの状態に寄り添った丁寧な診療を心がけておりますので、些細なことでもどうぞお気軽にご来院ください。」
🔍 よくある質問
やけどをしたらすぐに流水で15〜20分ほど冷やしてください。氷や氷水は凍傷のリスクがあるため使用しないでください。醤油・バター・歯磨き粉などの民間療法は感染リスクを高めるため絶対に避けましょう。衣服の上からやけどした場合は、無理に脱がさず衣服ごと冷やすのが正しい対処法です。
市販薬は主にI度や軽い浅いII度熱傷向けで、痛みや炎症を和らげる成分が中心です。一方、処方薬にはスルファジアジン銀(ゲーベンクリーム)やトラフェルミン(フィブラストスプレー)など、市販では入手できない成分が含まれており、感染予防や創傷治癒の促進効果が高く、医師が症状に合わせて選択します。
水ぶくれ(水疱)は皮膚を守るバリアの役割を果たしているため、自分で破ることは絶対に避けてください。水疱内の液体には皮膚の回復を助ける成分が含まれており、破ると感染リスクが高まります。水ぶくれができているII度以上のやけどは医療機関を受診し、適切な衛生環境のもとで処置を受けることが重要です。
水ぶくれができているやけど、手のひら1枚分(体表面積の約1%)を超える範囲のやけど、顔・手指・関節部・陰部などの特殊な部位のやけどは受診が必要です。また、小児(特に5歳以下)・高齢者・糖尿病などの基礎疾患がある方、化学薬品や電気によるやけども早急に医療機関を受診してください。
治癒後の瘢痕にはステロイド外用薬やテープ、圧迫療法、レーザー治療などの選択肢があります。また、治癒後も紫外線から患部を保護し、日焼け止めや遮光対策を行うことで色素沈着の悪化を防げます。保湿ケアや市販のシリコンジェルシートも予防に有効とされています。傷跡のケアは早期開始が重要なため、アイシークリニックにお気軽にご相談ください。
💪 まとめ
やけどは日常的によく起こるケガのひとつですが、その深さや面積によっては適切な医療処置が欠かせません。処方される軟膏にはゲーベンクリームのような感染予防薬からトラフェルミンのような創傷治癒促進薬まで様々な種類があり、症状に合わせて使い分けられます。
まずやけどをした場合は流水でしっかり冷やし、水ぶくれができている・広い範囲・特殊な部位・お子さんや高齢者などの場合は迷わず医療機関を受診することが大切です。民間療法や自己判断での誤った処置は症状を悪化させるリスクがあります。
また、やけどが治癒した後の瘢痕(傷跡)対策も大切で、早期から適切なケアを行うことで傷跡を目立ちにくくすることができます。やけどの治療や傷跡のケアについて気になることがあれば、専門の医療機関に相談されることをおすすめします。アイシークリニック渋谷院では、やけどの診察・処置・軟膏の処方から、治癒後の瘢痕治療まで、患者さんひとりひとりの状態に合わせた丁寧な診療を行っております。些細なことでもお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – やけど(熱傷)の重症度分類(I度〜III度)、軟膏などの外用薬選択基準、湿潤療法の考え方、瘢痕・ケロイドの診断と治療指針に関する診療ガイドライン
- 日本形成外科学会 – 熱傷の深さ・面積による重症度評価(9の法則)、植皮手術などの外科的処置、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療法(ステロイド注射・圧迫療法・レーザー治療)に関する専門的情報
- 厚生労働省 – ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)・フィブラストスプレー(トラフェルミン)などの処方薬と市販薬の成分・効能に関する医薬品承認情報および医薬品添付文書
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務