ワキガ・多汗症

耳瘻孔とわきがの関係とは?共通する原因と体質的な特徴を解説

「耳の前に小さな穴がある」という方の中に、わきがを気にしている方が一定数いらっしゃいます。実はこの耳の穴(耳瘻孔)とわきがには、体質や遺伝子レベルでつながりがある可能性が指摘されています。どちらも一般的にはあまり知られていない関係ですが、医学的な観点から見ると非常に興味深い共通点があります。この記事では、耳瘻孔とわきがそれぞれの特徴をわかりやすく説明しながら、両者の関係性についてできるだけ丁寧に解説していきます。


目次

  1. 耳瘻孔とは何か
  2. わきがとは何か
  3. 耳瘻孔とわきがの関係性
  4. アポクリン腺とは何か
  5. 遺伝との関係
  6. 耳瘻孔がある人はわきがになりやすいのか
  7. 耳瘻孔の症状と注意すべきサイン
  8. わきがの診断と確認方法
  9. 耳瘻孔の治療について
  10. わきがの治療について
  11. 日常生活でのケアと対策
  12. まとめ

この記事のポイント

耳瘻孔とわきがは、アポクリン腺への関与と遺伝的体質という共通点から関連性が指摘される。耳瘻孔があれば必ずわきがになるわけではないが、湿性耳垢との併存はわきが体質の目安となり、早期に専門医へ相談することが適切なケア選択につながる。

🎯 耳瘻孔とは何か

耳瘻孔(じろうこう)とは、耳の前の部分、正確には耳介(耳の軟骨部分)の付け根近くに生まれつき存在する小さな穴のことです。英語では「preauricular pit(プレオーリキュラーピット)」や「preauricular sinus(プレオーリキュラーサイナス)」とも呼ばれます。見た目は直径1〜2ミリほどの非常に小さな点のような穴で、気づかずに過ごしている方も少なくありません。

この穴は単なる「くぼみ」ではなく、皮膚の内部に袋状の構造(瘻孔)が形成されています。多くの場合は無症状のまま経過しますが、中には細菌感染を繰り返し、腫れや痛み、膿が出るなどの症状が現れることがあります。

耳瘻孔は先天性の形態異常のひとつで、胎児が形成される過程で耳の組織がうまく融合しなかったことが原因とされています。日本人では約1〜2%程度に見られるとされており、片側だけに現れる場合と両側に現れる場合があります。両側に現れる場合、遺伝的な背景がより強く関与している可能性が示唆されています。

耳瘻孔の穴の内部には、皮膚と同様の組織が存在し、皮脂腺やアポクリン腺(汗腺の一種)が含まれていることがあります。この点が、わきがとの関係を考えるうえで非常に重要なポイントになります。

Q. 耳瘻孔とわきがが関連すると言われる理由は?

耳瘻孔とわきがが関連するとされる理由は主に二つです。一つ目は、耳瘻孔の内部にもアポクリン腺が存在するケースがあり、わきがもアポクリン腺の分泌物が細菌に分解されて生じる点で共通しています。二つ目は、どちらも遺伝性が高く、同じ遺伝的体質を持つ人に共存しやすい傾向が臨床的に観察されているためです。

📋 わきがとは何か

わきが(腋臭症:えきしゅうしょう)とは、わきの下から独特の強いにおいが発生する状態のことです。汗そのものはほとんど無臭ですが、わきの下に存在するアポクリン汗腺から分泌される成分が皮膚の常在菌によって分解されることで、特有の体臭が生じます。

アポクリン汗腺はわきの下以外にも、乳輪周囲、外陰部、肛門周囲などにも分布しています。これらの部位から分泌される汗には、タンパク質・脂質・鉄分などの成分が含まれており、これが細菌の分解を受けて独特のにおい物質(3-メチル-2-ヘキセン酸など)を生じさせます。

わきがは病気ではありませんが、社会生活や対人関係において大きな悩みになることが多く、精神的なストレスにもつながりやすい状態です。日本人においては全体の10〜20%程度がわきが体質とされており、欧米人に比べると少ないものの、決して珍しくはありません。

わきがの重要な特徴のひとつは、遺伝性が高いという点です。親がわきが体質であれば、子もわきが体質になりやすいことが知られており、この遺伝的な要素が耳瘻孔との関係を考えるうえでも重要です。

💊 耳瘻孔とわきがの関係性

耳瘻孔とわきがの関係は、主に二つの観点から語られます。一つ目は「アポクリン腺との共通点」、二つ目は「遺伝的・体質的なつながり」です。

まず、耳瘻孔とわきがはどちらもアポクリン腺と深い関わりがあります。前述のとおり、耳瘻孔の内部にはアポクリン腺が存在することがあり、わきがもまたアポクリン腺の過剰な分泌と細菌による分解が原因で起こります。つまり、両者はアポクリン腺という共通の組織に関連しているのです。

また、民間療法や伝統的な知識のなかでも「耳の前に穴がある人はわきがになりやすい」と言われることがあります。これは科学的に完全に証明されているわけではありませんが、医学的な観点から見ると、まったく根拠のない話でもありません。耳瘻孔とわきがは同じ遺伝的体質を持つ人に共存しやすいという傾向が、臨床の場でも観察されてきました。

ただし、耳瘻孔があるからといって必ずわきがになるわけではありません。あくまで「体質的な傾向」の話であり、耳瘻孔がある方のすべてがわきが体質というわけではないことを理解しておくことが重要です。逆に、わきが体質であっても耳瘻孔を持たない方も多くいます。

この関係性を理解することで、自分の体質を把握しやすくなり、適切なケアや治療を早期に検討するきっかけになることがあります。

Q. 耳垢の湿り具合でわきが体質を判断できますか?

耳垢の性状はわきが体質の目安となります。耳垢がべたついた湿性タイプの方は、ABCC11遺伝子とアポクリン腺の関係から、わきが体質の可能性が高いとされています。逆に、パラパラとした乾性タイプの方はわきがになりにくいとされています。ただし確実な診断のためには、皮膚科や専門クリニックへの相談が必要です。

🏥 アポクリン腺とは何か

耳瘻孔とわきがの関係を理解するためには、アポクリン腺についての知識が欠かせません。人間の皮膚には二種類の汗腺があります。エクリン腺とアポクリン腺です。

エクリン腺は全身に広く分布しており、体温調節のために水分が多い汗を分泌します。この汗は基本的にほとんど無臭で、においの原因になりにくいのが特徴です。

一方のアポクリン腺は、主にわきの下・乳輪・外陰部・肛門周囲・外耳道などに分布しており、タンパク質・脂質・鉄分などを含んだ粘度の高い汗を分泌します。アポクリン腺は思春期以降に発達し、性ホルモンの影響を受けて活性化します。このアポクリン腺から分泌される成分が皮膚に常在する細菌(コリネバクテリウムなど)によって分解されると、わきが特有のにおいが発生するとされています。

耳瘻孔との関連で注目すべきは、耳瘻孔の内部組織にもアポクリン腺が含まれているケースがあるということです。耳瘻孔は発生学的に、耳を形成する鰓弓(さいきゅう)と呼ばれる胎児期の組織に由来します。この組織にはアポクリン腺の発生に関わる遺伝的プログラムが含まれていると考えられており、それが耳瘻孔とアポクリン腺(=わきが)の体質的なつながりを生んでいる一因とも見られています。

また、外耳道にもアポクリン腺(耳垢腺)が存在します。耳垢の性質(乾性か湿性か)もアポクリン腺の活性度と関係しており、耳垢が湿っているタイプ(いわゆる「ねこみ耳」)の方はわきが体質と関連が高いとされています。この「湿性耳垢とわきが」の関係は科学的にも確立されており、ABCC11遺伝子との関連が明らかになっています。

⚠️ 遺伝との関係

耳瘻孔とわきがを結びつける大きな要素のひとつが遺伝です。どちらも遺伝的な体質が深く関与していることが知られています。

わきがに関しては、ABCC11遺伝子というものが強く関与していることが研究によって明らかになっています。この遺伝子がアポクリン腺の分泌物の組成を決定し、においの強さに影響すると考えられています。ABCC11遺伝子の特定の型(Gアレル)を持つ人は、アポクリン腺の分泌量が多く、においが強くなりやすい傾向があります。また、この遺伝子は耳垢の湿性・乾性とも関連しており、湿性耳垢を持つ人のほうがわきが体質になりやすいとされています。

耳瘻孔も遺伝性が認められており、常染色体優性遺伝(顕性遺伝)のパターンを示すことがあります。つまり、親から子へと受け継がれる性質があり、家族内で複数の人が耳瘻孔を持つケースが見られます。

両者がともに遺伝性の体質であることから、同じ遺伝的背景を持つ家族の中で、耳瘻孔とわきがが合わさって見られることがあるのは自然なことと言えます。「おじいさんもわきがで、耳の穴もあった」「お母さんとわたし、二人とも耳の前に穴がある。しかもわきがも同じ」というような経験をお持ちの方もいるかもしれません。

ただし、遺伝子が同じであっても、環境要因・ホルモンバランス・体型・食事・衛生状態などによって症状の出方は異なります。遺伝はあくまで「リスクの高さ」を示すものであって、決定的なものではないという理解が大切です。

🔍 耳瘻孔がある人はわきがになりやすいのか

「耳瘻孔がある人は全員わきがになるのか」という疑問を持つ方は多いですが、答えは「必ずしもそうではない」です。

耳瘻孔とわきがは体質的な関連性があるとされているものの、耳瘻孔の存在自体がわきがを引き起こすわけではありません。あくまで「同じ遺伝的・体質的特徴を持つ人に両方が見られやすい」という傾向があるにすぎません。

ただし、耳瘻孔がある方は、自分がわきが体質である可能性を念頭に置いておくことには意味があります。自分の体臭に敏感になり、早期にケアや対策を始めることができるからです。特に思春期に入った際には、アポクリン腺が活性化するため、においが気になり始める可能性があります。

また、耳瘻孔の中でにおいが発生することもあります。耳瘻孔の内部にはアポクリン腺や皮脂腺が存在することがあり、その分泌物が溜まることでチーズのようなにおいを伴う白い塊(角化物)が出てくることがあります。これは耳瘻孔特有の症状であり、わきがとは異なるものですが、アポクリン腺が関係しているという点では共通しています。

耳垢の質(湿性か乾性か)を確認することも、わきが体質の判断に役立ちます。耳瘻孔があり、さらに耳垢が湿っているタイプであれば、わきが体質の可能性がより高いと言えます。心配な方は、皮膚科や専門クリニックに相談されると良いでしょう。

Q. 耳瘻孔が感染した場合はどう対処すればよいですか?

耳瘻孔の周囲が赤く腫れる・痛みがある・膿が出るといった症状は細菌感染のサインです。自分で内容物を押し出そうとすると感染が悪化するリスクがあるため、速やかに耳鼻科や皮膚科を受診してください。感染を繰り返す場合は、瘻孔全体を摘出する外科的切除手術が根本的な解決策として検討されます。

📝 耳瘻孔の症状と注意すべきサイン

耳瘻孔は多くの場合は無症状で経過しますが、いくつかの症状が現れることがあります。以下のような症状が出た場合には、医療機関への受診を検討することをおすすめします。

まず、感染・炎症による症状として、穴の周囲が赤く腫れる、痛みがある、熱感がある、といった状態が起こることがあります。これは耳瘻孔の内部に細菌が入り込んで感染を起こした状態(感染性耳瘻孔)です。放置すると膿が溜まり(膿瘍形成)、皮膚が破れて膿が排出されることもあります。

次に、においや白い分泌物が出ることがあります。これは前述のように、内部のアポクリン腺や皮脂腺から分泌物が溜まって出てくるものです。においが気になる場合や量が多い場合には、専門家に相談するのが無難です。

また、感染を繰り返す耳瘻孔は「再発性耳瘻孔感染症」と呼ばれ、生活の質を著しく低下させることがあります。このような場合には、外科的な切除手術が根本的な解決策になります。

一方で、感染しない耳瘻孔は一般的に経過観察で問題ないことが多く、手術が必要になるケースは限られています。ただし、感染を繰り返す場合や生活に支障をきたす場合には、根治的な治療を検討することが重要です。

耳瘻孔の感染を予防するためには、穴をむやみに触ったり、押して内容物を出そうとしたりしないことが大切です。外部からの細菌感染を防ぐため、耳周りの清潔を保つことも有効です。

💡 わきがの診断と確認方法

「自分はわきが体質かもしれない」と思ったとき、どのように確認すればよいのでしょうか。いくつかの方法を紹介します。

まず、自分でできる簡単な確認方法として「ガーゼテスト」があります。白いガーゼをわきの下に当てて数分間挟み、ガーゼを外してにおいを嗅いだり、色を確認したりする方法です。においが強い場合や、ガーゼが黄色っぽく着色されている場合は、わきが体質の可能性があります。ただし、この方法は簡易的なものであり、自己判断には限界があります。

次に、耳垢の性状を確認する方法があります。前述のとおり、耳垢が湿性(べたべたしている、または茶色みがかっている)タイプの方は、ABCC11遺伝子とアポクリン腺の関係から、わきが体質の可能性が高いとされています。逆に、耳垢が乾性(パラパラとした白や灰色)タイプの方はわきがになりにくいとされています。日本人の場合、乾性耳垢の方が多いですが、湿性耳垢の方も一定数います。

確実な診断のためには、皮膚科や美容外科・美容クリニックなどの専門医に診てもらうことが最善です。専門医はわきの下の状態を直接確認したり、聴診器のような専用の器具を使ったりして診断します。また、必要に応じて遺伝子検査(ABCC11遺伝子の型を調べる検査)を行うこともあります。

わきがと間違いやすい状態として「多汗症」があります。多汗症は汗の量が多い状態であり、においよりも汗そのものが問題になることが多いです。わきがと多汗症は合わさって起こることもありますが、治療のアプローチが異なるため、専門医に正確な診断を受けることが重要です。

✨ 耳瘻孔の治療について

耳瘻孔の治療は、症状の有無によって大きく方針が異なります。

感染や炎症がない、無症状の耳瘻孔については、特に治療は必要ないとされるのが一般的です。定期的に観察しながら、感染の兆候が現れたときに迅速に対処することが基本的な方針となります。

感染が起きている場合には、まず抗菌薬(抗生物質)による治療が行われます。腫れが強く膿が溜まっている場合(膿瘍)には、切開して膿を出す処置(切開排膿)が行われることもあります。ただし、この処置は根治的な治療ではなく、あくまで急性期の症状を緩和するものです。

感染を繰り返す耳瘻孔に対しては、根治的な治療として外科的切除手術が選択されます。炎症が落ち着いた時期(寛解期)に、瘻孔全体を周囲の組織ごと摘出する手術を行います。手術は局所麻酔で行われることが多く、日帰りか1〜2日の入院で対応できるケースがほとんどです。

手術では、耳瘻孔の「取り残し」がないよう、瘻孔の先端部まで完全に切除することが重要です。取り残しがあると再発の原因になるため、経験のある外科医や耳鼻科医による手術が望まれます。

なお、感染のない耳瘻孔に対しての予防的切除については、見解が分かれており、感染リスクや患者さんの希望を踏まえて判断されます。

Q. わきがの治療にはどのような方法がありますか?

わきがの治療は保存的療法と外科的療法に大別されます。保存的療法には塩化アルミニウム配合の制汗剤、ボトックス注射、レーザー・高周波治療などがあります。外科的療法では、アポクリン腺を直接除去する剪除法や吸引法が根治性の高い方法として知られています。症状の程度や希望に応じ、専門医と相談しながら最適な治療法を選ぶことが大切です。

📌 わきがの治療について

わきがの治療にはさまざまな方法があり、症状の程度や患者さんの希望によって選択肢が異なります。大きく分けると、保存的療法と外科的療法(手術)に分類されます。

まず保存的療法として、制汗剤や体臭予防グッズの使用が挙げられます。市販の制汗スプレーやロールオン製品の中には、アポクリン腺の分泌を抑える成分(塩化アルミニウムなど)を含むものがあり、軽度のわきがであれば効果が期待できます。また、わきの下を清潔に保つ、汗をこまめに拭き取る、通気性の良い衣服を選ぶなどの生活習慣の改善も基本的なケアとして重要です。

医療機関で行われる保存的な治療としては、ボトックス注射(ボツリヌストキシン注射)があります。汗腺の活動を一時的に抑える効果があり、多汗症に対して保険適用になる場合もあります。ただし、アポクリン腺に対する効果は限定的で、効果の持続期間も数か月程度です。

レーザーや高周波(ラジオ波)を用いた治療も近年普及しています。これらはわきの下の皮膚からアポクリン腺に熱エネルギーを届けて破壊する方法で、傷が小さく回復が早いというメリットがあります。一方で、アポクリン腺を完全に破壊できないケースもあるため、効果の程度には個人差があります。

外科的療法(手術)には、剪除法(せんじょほう)・吸引法・切除法などがあります。剪除法はわきの下を小さく切開し、皮膚の裏側のアポクリン腺を直接切除する方法で、根治性が高く長期的な効果が期待できます。吸引法はカニューレと呼ばれる細い管を使って脂肪とともにアポクリン腺を吸引する方法です。

どの治療方法が最適かは、わきがの重症度・体質・生活スタイル・希望する効果などによって異なります。専門クリニックへの相談を通じて、自分に合った治療法を選択することが大切です。

🎯 日常生活でのケアと対策

耳瘻孔とわきがどちらについても、日常生活でのセルフケアが症状の悪化を防ぐために重要です。それぞれのポイントを見ていきましょう。

耳瘻孔に対するケアとしては、まず穴をむやみに触らないことが基本です。指や爪で穴の内部をいじると、細菌が入り込んで感染するリスクが高まります。シャワーや洗顔時に穴の周囲を軽く洗って清潔に保つことは大切ですが、穴の中を積極的に洗おうとする必要はありません。

また、穴から白い塊が出てきた場合も、自分で無理に押し出そうとするのは避けましょう。感染のリスクが上がるほか、瘻孔の壁を傷つけてしまう可能性もあります。においや分泌物が気になる場合は、耳鼻科や皮膚科に相談することをおすすめします。

わきがのセルフケアとしては、以下のような対策が有効です。まず、入浴時にわきの下を丁寧に洗うことが大切です。細菌の繁殖を抑えるために、抗菌成分が入ったボディソープを使うと効果的です。ただし、洗いすぎると皮膚のバリア機能が低下して逆効果になることもあるため、適度な洗浄を心がけましょう。

次に、制汗剤や体臭ケア製品を活用することも有用です。朝の入浴後に使用する習慣をつけると、一日を通してにおいを抑えやすくなります。汗をかいた後はこまめに拭き取り、ウェットティッシュや制汗シートを使うことも効果的です。

衣服の選択も重要です。わきの下が蒸れやすい合成繊維の衣服よりも、吸湿・速乾性の高い素材(コットンや機能性素材など)を選ぶとにおいを軽減しやすいです。また、脇汗パッドを使用することで汗の量をコントロールする方法もあります。

食事面では、動物性脂肪や香辛料の多い食べ物はアポクリン腺の分泌を活性化させると言われています。バランスの良い食事を心がけ、野菜・発酵食品・食物繊維を積極的に摂取することが体臭の軽減につながることがあります。ただし、食事だけで根本的なわきがを改善することは難しいため、あくまでも補助的な対策として位置づけてください。

ストレスや睡眠不足は汗腺の活動を高める可能性があるため、規則正しい生活習慣と適度な運動によるストレス管理も対策のひとつとなります。

なお、耳瘻孔がある方でわきがが気になる場合は、自己判断せずに専門医に相談することをおすすめします。自分の体質をきちんと把握したうえで、適切なケアや治療を選択することが、長期的な改善につながります。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、耳瘻孔とわきがの両方でお悩みの患者様がご来院されることがあり、アポクリン腺や遺伝的体質という共通した背景を持つ方が一定数いらっしゃいます。耳瘻孔があるからといって必ずわきがになるわけではありませんが、耳垢が湿性タイプの方は特にご自身の体質を早めに把握しておくことで、適切なケアや治療を検討するきっかけになります。お一人で悩まずに、まずは専門医にご相談いただくことで、それぞれの体質に合った対策をご提案できますので、どうぞお気軽にお声がけください。」

📋 よくある質問

耳瘻孔がある人は必ずわきがになりますか?

耳瘻孔があるからといって、必ずわきがになるわけではありません。両者は同じ遺伝的・体質的背景を持つ方に共存しやすい傾向があるにすぎません。ただし、耳瘻孔がある方はアポクリン腺が豊富な体質の可能性があるため、自分の体質を早めに把握しておくことが適切なケアにつながります。

耳瘻孔とわきがに共通する原因は何ですか?

大きく二つの共通点があります。一つ目はアポクリン腺との関連で、耳瘻孔の内部にもアポクリン腺が存在するケースがあり、わきがもアポクリン腺の分泌物が細菌に分解されることで生じます。二つ目は遺伝的なつながりで、どちらも遺伝性が高く、同じ家族内で共に見られることが珍しくありません。

耳垢の状態でわきが体質かどうかわかりますか?

耳垢の性状はわきが体質の目安になります。耳垢がべたついた湿性タイプの方は、ABCC11遺伝子とアポクリン腺の関係から、わきが体質の可能性が高いとされています。一方、パラパラとした乾性タイプの方はわきがになりにくいとされています。ただし確実な診断には専門医への相談をおすすめします。

耳瘻孔が腫れたり膿が出たりした場合はどうすればよいですか?

耳瘻孔の周囲が赤く腫れる・痛みがある・膿が出るなどの症状は、細菌感染のサインです。自分で内容物を押し出そうとすると感染が悪化するリスクがあるため、速やかに耳鼻科や皮膚科を受診してください。感染を繰り返す場合は、根本的な解決策として外科的な切除手術が検討されます。

わきがの治療はどのような方法がありますか?

わきがの治療は大きく保存的療法と外科的療法に分かれます。保存的療法には制汗剤の使用・ボトックス注射・レーザー治療などがあります。外科的療法では剪除法や吸引法など、アポクリン腺を直接除去する手術が根治性の高い方法として知られています。症状の程度や希望に応じた治療法を専門医と相談して選ぶことが大切です。当院でもわきがのご相談を受け付けています。

💊 まとめ

耳瘻孔とわきがは、一見まったく異なるものに思えますが、アポクリン腺との関連や遺伝的・体質的なつながりという観点から、密接な関係があることがわかります。どちらも先天的な要素が強く、遺伝が大きく関与しており、同じ家族内で共に見られることも珍しくありません。

耳瘻孔があるからといって必ずわきがになるわけではありませんが、自分の体質を理解するうえで参考になる情報です。耳瘻孔の存在は、アポクリン腺が豊富な体質である可能性を示唆するひとつのサインとも言えます。

耳瘻孔は無症状であれば特別な治療は必要ありませんが、感染を繰り返す場合には外科的な切除が検討されます。わきがについては、保存的なケアから外科的治療まで多様な選択肢があり、自分の状態に合った方法を専門医と相談しながら選ぶことが重要です。

「自分は耳瘻孔があり、わきがも気になる」「においや汗のことで悩んでいる」という方は、一人で抱え込まずに、まず専門の医療機関に相談することをおすすめします。適切なアドバイスや治療を受けることで、生活の質を大きく改善できる可能性があります。アイシークリニック渋谷院でも、わきがに関するご相談を受け付けておりますので、気になることがあればお気軽にお問い合わせください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – わきが(腋臭症)の診断基準・治療ガイドライン、アポクリン腺の機能や皮膚疾患に関する専門的情報の参照
  • PubMed – 耳瘻孔(preauricular sinus/pit)とアポクリン腺の関連性、およびABCC11遺伝子とわきが・湿性耳垢との関係に関する査読済み医学論文の参照
  • 日本形成外科学会 – 耳瘻孔の形成外科的治療(外科的切除手術)およびわきがの外科的療法(剪除法・吸引法など)に関する治療指針・疾患情報の参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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