赤ちゃんが虫に刺されると、大人では考えられないほど強く腫れたり、かゆがって泣き続けたりすることがあります。特に生後数ヶ月から2歳頃までの赤ちゃんは皮膚が非常に薄くてデリケートなため、虫刺されに対する反応が大人よりも強く出やすい傾向があります。「こんなに腫れて大丈夫?」「病院に連れて行くべき?」と不安になるパパ・ママも多いのではないでしょうか。このコラムでは、赤ちゃんが虫に刺されたときに現れる症状の特徴や、家庭でできる応急処置、そして必ず医療機関を受診すべき危険なサインについて、わかりやすくお伝えします。
目次
- 赤ちゃんが虫刺されに弱い理由
- 赤ちゃんを刺す主な虫の種類と症状の特徴
- 赤ちゃんの虫刺されで見られる症状
- 家庭でできる応急処置と正しいケア方法
- 絶対に病院へ行くべき危険なサイン
- 虫刺されと間違えやすい皮膚疾患
- 赤ちゃんを虫刺されから守る予防策
- 赤ちゃんに使える虫よけ剤の選び方と注意点
- まとめ
この記事のポイント
赤ちゃんは皮膚バリアと免疫が未熟なため虫刺されで強く腫れやすい。応急処置は洗浄・冷却が基本で、全身蕁麻疹・呼吸困難・ぐったりはアナフィラキシーの緊急サイン。虫よけ剤はDEET2歳未満禁止・イカリジン6ヶ月以上使用可能。症状に迷う際は小児科・皮膚科への早期受診を推奨。
🎯 赤ちゃんが虫刺されに弱い理由
まず知っておきたいのは、なぜ赤ちゃんは大人と比べて虫刺されの影響を受けやすいのか、という点です。その理由はいくつかあります。
一番大きな理由は、赤ちゃんの皮膚がまだ十分に発達していないことです。大人の皮膚は外部刺激から身体を守るバリア機能が備わっていますが、赤ちゃん、特に乳児の皮膚はバリア機能が未熟で、外からの刺激を受けやすい状態にあります。皮膚の厚さも大人の約半分程度しかなく、虫が刺した際の毒素や唾液が組織に広がりやすくなっています。
次に、免疫システムの未熟さが挙げられます。赤ちゃんの免疫システムは生後から徐々に発達していくものですが、特に低月齢の赤ちゃんは免疫反応が過剰に出たり、逆に不十分だったりすることがあります。虫刺されに対しては過剰な炎症反応が起きやすく、これが大きな腫れや強いかゆみ、発熱などにつながることがあります。
また、赤ちゃんは体温が高く、呼気中の二酸化炭素量も多いため、虫が集まりやすいという側面もあります。蚊は体温が高く、二酸化炭素を多く発する対象に引き寄せられる性質があるため、赤ちゃんは大人よりも蚊に刺されやすいとも言われています。
さらに、赤ちゃんは自分でかゆみを言葉で訴えることができないため、保護者が症状に気づくのが遅れてしまうことがあります。その間に赤ちゃんが刺された部分をかきむしり、皮膚が傷ついて二次感染を起こすリスクも高まります。こうした複合的な理由から、赤ちゃんの虫刺されには大人以上の注意が必要です。
Q. 赤ちゃんが虫刺されで大人より強く腫れる理由は?
赤ちゃんの皮膚は大人の約半分の厚さしかなく、外部刺激を防ぐバリア機能が未熟なため、虫の唾液や毒素が組織に広がりやすい状態にあります。また免疫システムも発達途上で過剰な炎症反応が起きやすく、蚊に刺されただけでも直径数センチにわたって腫れ上がることがあります。
📋 赤ちゃんを刺す主な虫の種類と症状の特徴
日本国内で赤ちゃんを刺す可能性がある虫にはさまざまな種類があり、それぞれ症状の特徴が異なります。代表的なものを確認しておきましょう。
蚊は最も身近な虫で、赤ちゃんが被害に遭う頻度も高い虫です。蚊に刺されると、唾液中のタンパク質がアレルゲンとなり、かゆみや腫れを引き起こします。大人はこのアレルゲンに対してある程度の免疫を持っていますが、赤ちゃんや幼い子どもは初めてそのアレルゲンに接触するため、強い反応が出やすくなっています。医学的には「虫刺され過敏症(SKS:Hypersensitivity to mosquito bites)」と呼ばれる状態もあり、特に乳幼児期から学童期にかけて強い反応が出やすいことが知られています。蚊に刺された直後は赤くなってすぐに腫れが引くこともありますが、数時間後に再び強く腫れてくる「二相性反応」が赤ちゃんには特に見られます。
ダニ(ツメダニ・イエダニ)は、家の中のカーペットや布団、畳などに生息しており、赤ちゃんが床で過ごす時間が長いことから刺されやすい虫のひとつです。ツメダニは主に他のダニを食べますが、誤って人を刺すことがあります。イエダニはネズミなどに寄生するダニで、家の中にネズミがいる場合に被害が出ます。ダニに刺された場合は、衣服に隠れた部分(腰まわり、脇腹、太ももの内側など)に集中して赤い丘疹ができ、強いかゆみが続くのが特徴です。赤ちゃんの場合、布団や寝具でダニに刺されることが多く、背中や腹部にも症状が出ることがあります。
ノミは主に動物(犬や猫)から家の中に持ち込まれることが多く、刺されると非常に強いかゆみを引き起こします。ノミに刺された場合は、足首から膝にかけての部位に集中して赤いぶつぶつができるのが特徴です。赤ちゃんが床でハイハイしている時期に注意が必要です。
ハチ(スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチ)は、刺されると強い痛みや腫れが生じます。特に問題なのはアナフィラキシーショックの可能性で、過去にハチに刺されたことがある人は2回目以降に重篤な全身反応が出る可能性があります。ただし、赤ちゃんの場合は初めてハチに刺されることがほとんどのため、アナフィラキシーのリスクは成人ほど高くないとされていますが、症状の経過には十分な注意が必要です。
毛虫(チャドクガなど)は、刺されるというよりも毛に触れることで皮膚炎を起こします。公園の木の周辺などでの接触に注意が必要です。毛虫の毒毛は風で飛ぶこともあるため、赤ちゃんを抱っこしたまま木の下を通り過ぎた際に接触してしまうこともあります。症状としては、触れた部分に集中した強いかゆみと赤い発疹が特徴です。
💊 赤ちゃんの虫刺されで見られる症状
赤ちゃんが虫に刺されたときに見られる症状は、原因となる虫の種類や赤ちゃん自身の体質によって大きく異なります。ここでは代表的な症状を整理します。
皮膚の症状として最もよく見られるのは、刺された部位の発赤(赤み)と腫れです。大人では小さな赤い点程度の腫れで済むことが多いのに対し、赤ちゃんでは直径数センチにわたって腫れ上がることも珍しくありません。特に蚊に刺された場合、刺されてから数時間後に腫れがピークを迎え、数日かけてゆっくり引いていくことが多いです。
かゆみも非常に強く出ることがあります。赤ちゃんは言葉でかゆみを訴えられないため、刺された部分をしきりに触ろうとしたり、泣いてぐずったりするのが唯一のサインです。夜間に特に強くかいてしまうことが多く、睡眠が妨げられてしまうこともあります。また、自分でかいてしまった結果、皮膚に傷がつき、そこから細菌が入って「とびひ(伝染性膿痂疹)」などの二次感染を起こすことがあります。
局所的な症状に加えて、全身に影響が出ることもあります。特に幼い赤ちゃんでは、虫刺されが引き金となって発熱することがあります。これは体の免疫反応として炎症性サイトカインが放出されることで起こると考えられています。発熱自体は虫刺されの反応として珍しいことではありませんが、発熱が続く場合や他の全身症状を伴う場合には注意が必要です。
また、「ステーブンス・ジョンソン症候群」や「多形紅斑」のような重篤な皮膚症状が虫刺されをきっかけに起こる可能性は非常に低いですが、広範な発疹や粘膜に症状が出る場合は速やかな医療機関受診が必要です。
特に注意が必要なのは、アナフィラキシーショックと呼ばれる全身性のアレルギー反応です。ハチ刺されでよく知られていますが、蚊やその他の虫刺されでも稀に起こります。蕁麻疹(じんましん)の出現、顔や唇の腫れ、呼吸困難、嘔吐、意識レベルの低下などの症状が現れたら、ただちに救急車を呼ぶ必要があります。
Q. 赤ちゃんが虫に刺されたときの応急処置は?
赤ちゃんが虫に刺されたら、まず低刺激の赤ちゃん用石鹸で流水洗浄し、タオルで包んだ保冷剤を10〜15分当てて冷やすことで炎症・腫れ・かゆみを和らげます。アルコール消毒やアンモニア水の塗布は皮膚への刺激が強いため使用を避けてください。かかないようミトンの着用も有効です。
🏥 家庭でできる応急処置と正しいケア方法
赤ちゃんが虫に刺されたときに、家庭でできる応急処置の基本的な流れをご説明します。正しいケアを行うことで、症状の悪化や二次感染を防ぐことができます。
まず、刺された部位を流水で洗い流すことが基本です。蚊やその他の虫の唾液成分をできるだけ除去するために、刺されたとわかったらすぐに水で優しく洗ってください。石鹸を使って洗うとより効果的ですが、赤ちゃんの肌への刺激を考えて、低刺激の赤ちゃん用石鹸を使用しましょう。
次に、冷やすことが有効です。清潔なタオルで包んだ保冷剤や冷たい濡れタオルを刺された部位に当てることで、炎症を抑え、かゆみや腫れを緩和することができます。ただし、保冷剤を直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルなどで包んで使用してください。冷やす時間は1回につき10〜15分程度を目安にしましょう。
ダニやノミに刺された可能性がある場合は、虫が皮膚に残っていないか確認してください。マダニなどは皮膚に咬みついたまま残っていることがあります。マダニを発見した場合は、無理に取り除こうとせず(不完全に取り除くと頭部が皮膚内に残り感染リスクが高まります)、速やかに医療機関を受診してください。
かゆみが強くて赤ちゃんがかいてしまう場合は、ミトン(手袋)をはめたり、つなぎのパジャマを着せたりして、直接かけないようにする工夫が大切です。爪も定期的に短く切って、かいても傷がつきにくいようにしておきましょう。
市販薬の使用については注意が必要です。大人向けの虫刺され薬には、ステロイドやジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)が含まれているものがありますが、赤ちゃんへの使用に適さないものも多くあります。特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんへの外用薬使用は、必ず医師や薬剤師に相談してからにしてください。市販薬を使う場合は「生後○ヶ月から使用可」などの表示をよく確認し、用法・用量を守って使用することが重要です。
なお、患部をアルコールで消毒することは、刺激が強くかえって炎症を悪化させる可能性があるため推奨されません。また、虫刺されに対して民間療法として行われる「アンモニア水を塗る」という方法も、現在では科学的な効果が証明されておらず、むしろ皮膚に刺激を与える可能性があるとされています。赤ちゃんの場合は特に使用を避けることが望ましいです。
⚠️ 絶対に病院へ行くべき危険なサイン
多くの虫刺されは家庭でのケアで対処できますが、以下のような症状が見られた場合は迷わず医療機関を受診してください。特に症状が急速に進む場合は、救急対応が必要なこともあります。
全身に蕁麻疹(じんましん)が広がってきた場合は、アレルギー反応が全身に及んでいる可能性があります。顔や唇、目の周りに強い腫れが生じた場合も同様です。特に口・のど・舌の腫れは、呼吸困難につながる危険性があるため、ためらわずに救急車を呼ぶべき症状です。
呼吸の変化にも注意が必要です。息が荒くなる、ゼーゼーと音がする、呼吸が速い・浅いなどの症状が出た場合は、気道に影響が出ている可能性があり、緊急性が高い状態です。
ぐったりする、意識がはっきりしない、顔色が急に悪くなる、唇が紫色になる(チアノーゼ)などの症状は、全身状態の悪化を示すサインです。これらの症状が見られた場合はただちに救急車を要請してください。
刺された部位の腫れが非常に強い場合も受診が必要です。刺されてから24時間以上経っても腫れが引かない、あるいは腫れがどんどん広がってきている場合は、二次感染や蜂窩織炎(ほうかしきえん)などを起こしている可能性があります。刺された部位が熱を持ち、赤みが広がり、触れると強く痛がる場合も細菌感染のサインです。
発熱が続く場合も受診の目安です。虫刺されによる一時的な発熱は起こりえますが、38℃以上の発熱が1日以上続く場合や、機嫌が非常に悪い、哺乳量が著しく低下しているなどの全身症状を伴う場合には、他の病気の可能性も含めて医師の診察を受けることをお勧めします。
マダニに咬まれた場合は必ず受診してください。マダニはライム病、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介する可能性があります。山や草むらでの活動後に、ダニが皮膚に咬みついているのを発見した場合は、自分で取り除こうとせず医療機関へ行ってください。
また、刺された部位に膿が出てきたり、患部の周囲がどんどん赤くなったりしている場合は、皮膚の細菌感染(とびひや蜂窩織炎など)が疑われます。抗菌薬の投与が必要なこともあるため、早めに受診しましょう。
Q. 虫刺されで救急車を呼ぶべき症状はどれですか?
虫刺されの後に全身へ蕁麻疹が広がる、顔・唇・のどが腫れる、呼吸が荒くゼーゼーと音がする、ぐったりして意識がはっきりしない、唇が紫色になるといった症状はアナフィラキシーショックの可能性があります。これらが見られた場合はためらわず救急車を呼んでください。
🔍 虫刺されと間違えやすい皮膚疾患
赤ちゃんに赤いぶつぶつや腫れが見られたとき、すべてが虫刺されとは限りません。虫刺されと症状が似ている皮膚疾患はいくつかあり、正しく見分けることが適切なケアにつながります。
あせも(汗疹)は、赤ちゃんに非常に多い皮膚トラブルのひとつです。汗が皮膚の表面に閉じ込められることで小さな赤いぶつぶつが生じます。首まわり、わきの下、股間、膝の裏など皮膚が重なって蒸れやすい部位に集中しやすいのが特徴です。かゆみを伴うこともあり、虫刺されと見誤ることがあります。涼しくして汗をよく拭くことで改善することが多いです。
湿疹・アトピー性皮膚炎も、赤ちゃんに多い皮膚疾患です。全身に広がる赤い発疹や乾燥、かゆみが特徴です。頬や額、頭皮から始まり、体幹や四肢に広がることが多いです。虫刺されが局所的に生じるのに対し、湿疹は広範囲に及ぶことが多いのが区別のポイントです。ただし、虫刺されが引き金となって湿疹が悪化することもあります。
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルス6型または7型による感染症で、生後6ヶ月〜2歳頃に多く見られます。3〜4日間の高熱の後、熱が下がると同時に体幹を中心に赤い発疹が広がります。この発疹は虫刺されの腫れとは異なり、平らで細かい赤みが広範囲に見られます。かゆみを伴わないことが多い点も特徴です。
水痘(みずぼうそう)も、初期段階では赤いぶつぶつとして現れることがあり、虫刺されと見間違えることがあります。水痘は水ぶくれ(水疱)へと変化し、全身に広がっていくのが特徴です。水痘は感染力が非常に強いため、疑われる場合は早めに医師に診てもらいましょう。
手足口病は、手のひら・足の裏・口の中に水疱ができるウイルス性の感染症で、夏に流行します。口の中の痛みから哺乳を嫌がることがあり、虫刺されと区別がつきにくい場合もあります。手と足に同様の発疹が見られることで見分けられます。
これらの疾患は素人目には判断が難しいこともあります。「虫刺されか他の疾患か判断できない」「症状が想定以上に広がっている」と感じたら、自己判断せずに小児科や皮膚科を受診することをお勧めします。
📝 赤ちゃんを虫刺されから守る予防策
赤ちゃんを虫刺されから守るためには、日常生活の中でできる予防策を組み合わせて行うことが大切です。完全に虫刺されを防ぐことは難しいですが、リスクを大幅に減らすことができます。
住環境の整備として、窓や網戸をきちんと管理することが基本です。網戸の破れや隙間がないか定期的に確認しましょう。蚊は水のある場所に卵を産むため、バルコニーなどに置いた植木鉢の受け皿や水の入った容器など、水が溜まりやすい場所をなくすことも蚊の発生源の除去に効果的です。
室内では電気式蚊取り器(液体式・マット式)が使えます。一般的に市販されている電気式蚊取り器は適切に使用すれば赤ちゃんがいる部屋でも使用できますが、換気をしながら使うことが推奨されています。使用前に製品の注意書きをよく読んでください。なお、火を使う線香タイプの蚊取り線香は、赤ちゃんのいる部屋では使用しないほうが安全です。煙を赤ちゃんが吸い込む可能性があります。
外出時の服装も重要です。肌の露出を減らすために、長袖・長ズボンを着用させることが基本的な防御策です。夏場は熱中症が心配になりますが、通気性の良い薄手の素材を選びましょう。白や薄い色の服を選ぶことも有効で、濃い色の衣服は蚊を引き寄せやすいと言われています。また、ハチは黒い色に反応して攻撃的になる性質があるため、特にハチが多い季節は白や薄い色の服を着用させることが推奨されます。
外出先での環境にも注意が必要です。草むらや茂みに近づかない、湿気の多い場所や水辺は蚊が多いため注意する、ハチの巣が近くにある場所での活動は避けるなど、虫の多い環境をできるだけ避ける意識を持つことが大切です。
布団や寝具の管理も赤ちゃんのダニ被害予防に欠かせません。ダニは高温多湿を好むため、寝具を定期的に天日干しし、掃除機をかけることで増殖を防ぐことができます。ダニ防止効果のある布団カバーや防ダニスプレーも活用できますが、スプレー類は赤ちゃんが直接触れる寝具への使用は慎重に行い、製品の対象年齢や使い方をよく確認してください。
ペットを飼っている家庭では、ペットのノミ・ダニ対策も欠かせません。ペット自体のノミ・ダニ駆除を定期的に行い、ペットが寝る場所も清潔に保ちましょう。赤ちゃんがいる部屋にペットを入れないようにすることも、虫刺されリスクを下げる方法のひとつです。
Q. 赤ちゃんに使える虫よけ剤の成分と年齢制限は?
代表的な虫よけ成分のうち、DEETは2歳未満への使用が日本では禁止されています。イカリジンは生後6ヶ月以上から使用可能な製品が販売されていますが、6ヶ月未満の赤ちゃんには使用できません。アレルギー体質など肌が敏感な赤ちゃんは、使用前にかかりつけ医へ相談することが推奨されます。
💡 赤ちゃんに使える虫よけ剤の選び方と注意点

赤ちゃんへの虫よけ剤使用は、成分や使用方法に十分な注意が必要です。適切な製品を選び、正しく使うことで安全に虫よけ効果を得ることができます。
日本で市販されている虫よけ成分として代表的なものが、DEET(ジエチルトルアミド)とイカリジンです。これらの成分の安全性や使用可能年齢について理解しておくことが大切です。
DEETは長年使用されてきた虫よけ成分で、一定の蚊やダニへの忌避効果があります。しかし、日本では2歳未満の乳幼児への使用は禁止されています。2歳以上の小児への使用も、1日の使用回数に制限(1日1回まで)があります。また、使用濃度についても制限があります。この成分を含む製品を赤ちゃん(2歳未満)に使用することは避けてください。
イカリジンは比較的新しい成分で、DEETと同等の忌避効果を持ちつつ、皮膚への刺激が少ないとされています。日本では生後6ヶ月以上の乳幼児から使用できる製品が販売されています。ただし、6ヶ月未満の赤ちゃんへの使用は適切ではありません。使用回数は1日2〜3回程度を目安とし、過剰な使用は控えましょう。
天然成分由来の虫よけ製品(ユーカリ油、シトロネラなど)は、無添加・自然派という印象から赤ちゃんへの使用を検討する保護者も多いですが、これらの成分は刺激性アレルギー反応を引き起こす可能性もあります。また、化学合成成分と比べて忌避効果の持続時間が短いという特徴もあります。使用する場合は成分をよく確認し、初めて使う際は少量を試してみることをお勧めします。
虫よけ剤を塗布する際の注意点として、目・口・鼻の周囲、傷や湿疹がある部位への使用は避けてください。手に直接塗って顔にすり込む赤ちゃんには、顔への使用は特に慎重に行う必要があります。保護者の手に取ってから赤ちゃんの顔以外の肌に塗るようにしましょう。また、衣服の下には塗らないようにし、衣服の上から塗るか服で覆われた部分は避けてください。
帰宅後はシャワーや入浴で虫よけ剤を洗い流すことが推奨されます。虫よけ成分を長時間肌に残しておくことは、皮膚への不要な負担となります。外から帰ったら、虫よけ剤を使用した部位を石鹸でよく洗ってあげてください。
ベビーカーに取り付けるタイプのネット(蚊帳)や、虫よけ効果のある衣服も赤ちゃんへの直接塗布に比べて安全性が高く、外出時に活用できる手段です。長時間屋外で過ごす場合や、虫の多い環境に行く場合はこれらを積極的に取り入れましょう。
ひとつ注意しておきたいのは、どんな虫よけ剤も100%の効果があるわけではないという点です。虫よけ剤に頼りすぎず、服装や環境整備との組み合わせで総合的に虫刺されを予防することが大切です。また、アレルギー体質の赤ちゃんや肌が敏感な赤ちゃんには、かかりつけの小児科医に相談してから使用するとより安心です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、赤ちゃんの虫刺されに関するご相談を特に夏場を中心に多くいただいており、「こんなに腫れてしまって大丈夫でしょうか」と不安そうにいらっしゃる保護者の方が少なくありません。赤ちゃんの皮膚はバリア機能が未熟なため大人と比べて反応が強く出やすく、蚊に刺されただけでもかなりの腫れが生じることがありますが、多くの場合は適切なケアで対処できますのでまずは落ち着いて対応していただければと思います。ただし、全身に蕁麻疹が広がる・呼吸が苦しそう・ぐったりするといった症状はアナフィラキシーの可能性もあるため、そのような場合はためらわず救急車を呼ぶか、速やかに医療機関を受診してください。」
✨ よくある質問
赤ちゃんの皮膚は大人の約半分の厚さしかなく、外部刺激から身を守るバリア機能が未熟なため、虫の唾液や毒素が組織に広がりやすい状態にあります。また、免疫システムも発達途上のため過剰な炎症反応が起きやすく、蚊に刺されただけでも直径数センチにわたって腫れ上がることがあります。
まず刺された部位を流水と低刺激の赤ちゃん用石鹸で優しく洗い流してください。その後、タオルで包んだ保冷剤や冷たい濡れタオルを10〜15分程度当てて冷やすと、炎症・かゆみ・腫れを和らげる効果があります。アルコール消毒やアンモニア水の塗布は刺激が強く、赤ちゃんへの使用は避けてください。
全身に蕁麻疹が広がる、顔・唇・のどが腫れる、呼吸が荒くなりゼーゼーと音がする、ぐったりして意識がはっきりしない、唇が紫色になるといった症状はアナフィラキシーショックの可能性があります。これらの症状が見られた場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
代表的な成分によって異なります。DEET(ジエチルトルアミド)は2歳未満への使用が禁止されています。イカリジンは生後6ヶ月以上から使用できる製品が販売されています。いずれも6ヶ月未満の赤ちゃんへの使用は避け、アレルギー体質など肌が敏感な赤ちゃんはかかりつけ医に相談してから使用することをお勧めします。
赤いぶつぶつはあせも・湿疹・突発性発疹・水痘・手足口病など、虫刺されと症状が似ている皮膚疾患でも生じます。虫刺されは局所的に腫れるのに対し、これらは広範囲に及ぶことが多い点が区別のポイントです。ただし素人判断は難しいため、症状に迷ったときは自己判断せず、小児科や皮膚科を早めに受診してください。
📌 まとめ
赤ちゃんの虫刺されは、皮膚のバリア機能や免疫システムが未熟なために、大人よりも症状が強く出やすい傾向があります。蚊、ダニ、ノミ、ハチなどさまざまな虫による刺傷が起こりえますが、それぞれ症状の特徴が異なります。基本的な応急処置として、流水で洗い流すこと、冷やすこと、かかないようにすることが大切です。一方で、全身に蕁麻疹が広がる、呼吸が苦しそう、ぐったりするなどの症状は緊急受診が必要なサインです。また、腫れがひどい、発熱が続く、患部から膿が出るなどの場合も早めに医療機関を受診してください。
予防面では、住環境の整備、適切な服装、安全な虫よけ剤の選択と正しい使い方を組み合わせることが重要です。虫よけ成分には使用可能年齢の制限があるため、製品表示をよく確認して使用してください。
虫刺されによる症状と似ている皮膚疾患(あせも、湿疹、突発性発疹など)もあるため、症状の判断に迷ったときは自己判断せず、小児科や皮膚科の医師に相談することをお勧めします。赤ちゃんの肌は非常にデリケートですので、気になる症状が出たときは早めの受診が大切です。アイシークリニック渋谷院では皮膚のトラブルに関する相談も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 虫よけ剤(忌避剤)の成分別使用可能年齢・使用回数に関する規制情報、DEETおよびイカリジンの乳幼児への使用制限に関する公式ガイダンスの参照
- 国立感染症研究所 – マダニが媒介するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)・ライム病・日本紅斑熱などの感染症情報、蚊媒介感染症および虫刺され過敏症(SKS)に関する疫学・臨床情報の参照
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されの皮膚症状・二次感染(とびひ・蜂窩織炎)・アナフィラキシー反応に関する診療ガイドライン、乳幼児の皮膚バリア機能の未熟性や虫刺されと間違えやすい皮膚疾患(湿疹・水痘・手足口病等)の鑑別に関する情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務