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女性化乳房の治療法を徹底解説|原因・症状・手術まで

胸が膨らんでいる、触ると硬いしこりのようなものがある、胸の張りが気になる——こうした症状に悩んでいる男性は、実は少なくありません。「まさか自分が」と感じる方も多いですが、これは「女性化乳房( gynecomastia )」と呼ばれる医学的な状態であり、特別な人だけに起こるものではありません。思春期の男性から中高年まで幅広い年齢層で見られ、原因もさまざまです。本記事では、女性化乳房とはどのような状態なのか、なぜ起こるのか、そしてどのような治療法があるのかを、医療的な観点からわかりやすく解説します。


目次

  1. 女性化乳房とはどのような状態か
  2. 女性化乳房の原因
  3. 女性化乳房の種類と分類
  4. 女性化乳房の症状と見分け方
  5. 女性化乳房の診断方法
  6. 女性化乳房の治療法:経過観察・薬物療法
  7. 女性化乳房の治療法:手術療法
  8. 手術後の経過とダウンタイム
  9. 女性化乳房を放置するとどうなるか
  10. まとめ

この記事のポイント

女性化乳房は男性の乳腺組織が増殖する医学的状態で、ホルモンバランスの乱れや薬剤・疾患が原因となる。治療は経過観察・薬物療法・手術(乳腺切除術・脂肪吸引術)から症状に応じて選択され、放置による線維化進行前の早期受診が重要

🎯 女性化乳房とはどのような状態か

女性化乳房とは、男性の乳腺組織が異常に発達し、乳房が膨らんで見える状態のことをいいます。医学用語では「女性化乳房症( gynecomastia )」とも呼ばれています。通常、男性の乳腺は非常に小さく、外見上は目立たないものです。しかし、何らかの原因で乳腺組織が増殖すると、胸が女性の乳房のように膨らんで見えるようになります。

この状態は外見上の問題だけでなく、触れると痛みを感じることもあり、精神的な悩みやコンプレックスにつながることも少なくありません。水着やTシャツなど薄い衣服を着ることへの抵抗感、体育の授業や更衣室での羞恥心、恋愛や人間関係への影響など、生活の質(QOL)にも関わってくる状態です。

重要なのは、女性化乳房は単なる「太っているだけ」の状態ではなく、乳腺組織そのものが発達しているということです。脂肪が蓄積している「脂肪性乳房(偽性女性化乳房)」と混同されることがありますが、これらは別の状態であり、治療アプローチも異なります。女性化乳房は乳腺の問題であり、単純なダイエットや筋トレでは解消することができません

Q. 女性化乳房の主な原因は何ですか?

女性化乳房は、男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れることで乳腺組織が発達する状態です。原因には思春期・加齢などの生理的要因、スピロノラクトンや抗アンドロゲン薬などの薬剤、肝硬変・精巣腫瘍などの疾患が含まれます。原因不明の特発性も多く見られます。

📋 女性化乳房の原因

女性化乳房が起こる根本的なメカニズムは、男性ホルモン(アンドロゲン)と女性ホルモン(エストロゲン)のバランスが崩れることにあります。男性の体内にも微量の女性ホルモンは存在していますが、通常は男性ホルモンがその作用を抑制しています。何らかの理由でこのバランスが崩れ、エストロゲンの作用が相対的に強くなると、乳腺組織が刺激されて発達します。

原因はいくつかのカテゴリーに分けることができます。

🦠 生理的な原因

生理的な女性化乳房とは、病的な原因なく自然に起こるものをいいます。代表的なものとして、新生児期・思春期・加齢(老人性)の3つの時期に起こることが知られています。

新生児期には、母親からのエストロゲンが新生児の体内に残っているため、一時的に乳腺が腫れることがあります。これは数週間で自然に消失します。

思春期には、性ホルモンの分泌が活発になる過程でホルモンバランスが一時的に不安定になり、乳腺が発達することがあります。思春期の女性化乳房は、多くの場合2年以内に自然消退するとされていますが、消退しないケースもあります。

加齢による女性化乳房は、男性ホルモンの分泌が年齢とともに低下し、相対的に女性ホルモンの比率が上がることで起こります。50〜80歳の男性に多く見られます

👴 薬剤による原因

女性化乳房を引き起こす可能性がある薬剤は非常に多岐にわたります。抗アンドロゲン薬(前立腺がん治療に使われるフルタミドなど)、スピロノラクトン(利尿薬)、シメチジン(胃薬)、ジゴキシン(心臓病の薬)、一部の抗うつ薬や抗精神病薬などが知られています。また、アナボリックステロイド(筋肉増強目的で使われる合成ホルモン)の使用も女性化乳房のリスクを高めます。

薬剤性の女性化乳房は、原因となっている薬剤を中止または変更することで改善することがありますが、長期間放置すると組織の線維化が進み、薬をやめても元に戻らなくなることもあります

🔸 疾患による原因

肝臓の疾患(肝硬変など)では、エストロゲンを分解する機能が低下するため、体内のエストロゲン濃度が上昇し女性化乳房が起こることがあります。腎不全、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、下垂体腺腫、精巣腫瘍なども女性化乳房の原因となる場合があります。

また、まれではありますが、乳がんが原因となることもあります。男性にも乳がんは発症することがあり、女性化乳房と乳がんを適切に区別することが重要です。

💧 特発性(原因不明)

上記のような明確な原因が見つからないケースも多く、これを「特発性女性化乳房」と呼びます。実際には、女性化乳房の原因として最も多いのはこの特発性であるとも言われています。

💊 女性化乳房の種類と分類

女性化乳房はいくつかの観点から分類されています。臨床的には「乳腺性女性化乳房」と「脂肪性女性化乳房(偽性女性化乳房)」という大きな区分があります。

✨ 乳腺性女性化乳房(真性女性化乳房)

乳腺組織そのものが増殖している状態です。乳頭の下あたりに硬いしこりのような組織が触れるのが特徴です。ホルモンバランスの乱れが主な原因であり、前述のような薬剤や疾患が関与していることもあります。単純なダイエットや運動では解消されません。

📌 脂肪性女性化乳房(偽性女性化乳房)

乳腺組織の増殖ではなく、胸部に脂肪が過剰に蓄積している状態です。肥満の方に多く見られ、胸全体が均一に膨らんで見えます。しこりのような硬い組織は触れません。体重減少によって改善することがありますが、脂肪吸引によって改善するケースもあります。

▶️ 混合型女性化乳房

乳腺組織の増殖と脂肪の蓄積の両方が混在している状態です。実際にはこのタイプが多く見られます。治療に際しては、どちらの要素がどの程度あるかによってアプローチが変わります。

重症度による分類としては、乳房の大きさや皮膚の余剰量によってGrade I〜IIIのように段階的に分けられることがあります(使用される分類方法によって異なります)。重症度によって手術方法の選択が変わることがあります。

Q. 女性化乳房と脂肪の蓄積はどう違いますか?

女性化乳房(乳腺性)は乳腺組織そのものが増殖した状態で、乳頭の下に硬いしこりが触れるのが特徴です。一方、脂肪性(偽性女性化乳房)は胸部への脂肪蓄積であり、しこりは触れません。乳腺性はダイエットや筋トレでは解消できず、医療機関での適切な診断と治療が必要です。

🏥 女性化乳房の症状と見分け方

女性化乳房の主な症状は以下のとおりです。

まず、胸部の膨らみです。片側または両側の胸が女性の乳房のように膨らんで見える状態です。左右どちらか一方だけに起こることもあれば、両側に起こることもあります。両側に起こる場合でも、左右非対称なことがあります。

次に、乳頭下のしこりです。乳頭の直下を触ると、硬いしこりのようなものが感じられることがあります。これは増殖した乳腺組織です。脂肪性の場合は全体的に柔らかく、しこりが触れないことが多いです。

また、痛みや圧痛もあります。乳腺が炎症を起こしている場合などに、乳頭周辺に痛みや押したときの圧痛が生じることがあります。特に思春期の急速な乳腺発達では痛みを伴うことが多いです。

さらに、乳頭からの分泌物が出ることもあります。まれに乳頭から少量の分泌物が出ることがあります。ただし、これは必須の症状ではなく、ある場合には精密検査が必要になることがあります。

単なる肥満による脂肪の蓄積と女性化乳房を自己判断で区別することは難しいことがあります。以下のような特徴が見られる場合は、医療機関への相談をお勧めします。乳頭の下に硬いしこりのようなものが触れる場合、胸の膨らみが片側だけに見られる場合、乳頭から分泌物がある場合、痛みや腫れが急激に起こった場合などが該当します。

⚠️ 女性化乳房の診断方法

女性化乳房の診断は、問診・視診・触診を基本として行われます。さらに、原因を特定するためにさまざまな検査が行われることがあります。

🔹 問診

現在服用している薬、飲酒・喫煙の習慣、家族歴、症状の経過(いつから始まったか、変化しているかどうか)などを確認します。これらの情報が原因特定に重要な手がかりとなります。

📍 視診・触診

胸部の形状や左右差、皮膚の状態などを確認します。また、乳頭下にしこりがあるかどうか、その大きさや硬さ、可動性なども触診で確認します。腋窩(わきの下)や鎖骨上のリンパ節も確認します。

💫 血液検査

ホルモン値(テストステロン、エストロゲン、FSH、LH、プロラクチン、hCGなど)、肝機能、腎機能、甲状腺機能などを確認します。これにより、ホルモン分泌に関わる疾患の有無を調べます。

🦠 画像検査

乳腺超音波(エコー)検査は、乳腺組織と脂肪組織を区別するのに有効です。乳がんとの鑑別が必要な場合には、マンモグラフィーが行われることもあります。また、精巣や副腎の腫瘍が疑われる場合には、腹部・精巣のエコーやCT検査が行われることがあります。

👴 病理組織検査

悪性腫瘍が疑われる場合には、しこりの一部を採取して顕微鏡で調べる生検(バイオプシー)が行われることがあります。

美容外科・形成外科クリニックでは、外見の改善を目的とした治療が主となります。ただし、背景に重篤な疾患が隠れていないかを確認するために、場合によっては内科や泌尿器科などへの連携受診を勧めることもあります。

Q. 女性化乳房の手術方法にはどんな種類がありますか?

女性化乳房の手術は症状の種類や重症度に応じて選択されます。乳腺組織を切除する「乳腺切除術」、脂肪を除去する「脂肪吸引術」、両者を組み合わせた「併用法」の3種類が主な選択肢です。乳腺性には乳腺切除、脂肪性には脂肪吸引、混合型には併用が一般的で、根本的な改善が期待できます。

🔍 女性化乳房の治療法:経過観察・薬物療法

女性化乳房の治療方針は、原因・年齢・症状の程度・患者の希望などによって異なります。大きく分けると、経過観察、薬物療法、手術療法の3つのアプローチがあります。

🔸 経過観察

思春期に起こった女性化乳房の多くは、ホルモンバランスが安定する2年程度で自然に消退することが多いとされています。そのため、思春期の軽度の女性化乳房で痛みが強くない場合は、まず定期的な経過観察を行うことが一般的です。

また、薬剤性の女性化乳房が疑われる場合は、原因薬剤の中止や変更によって改善する可能性があります。ただし、薬剤の中止は主治医の判断のもとで行う必要があり、自己判断で中止することは危険です

💧 薬物療法

薬物療法は主に、症状が出てから比較的日が浅い段階(乳腺組織が線維化する前の時期)に有効とされています。長期間経過して組織の線維化が進んでいる場合は、薬物療法の効果は期待しにくくなります。

薬物療法で使用される主な薬剤として、抗エストロゲン薬があります。タモキシフェン(乳がんの治療薬としても使用される)が代表的です。エストロゲンの受容体に結合し、エストロゲンの作用をブロックすることで乳腺の増殖を抑制します。複数の研究で有効性が確認されていますが、副作用(ほてり、血栓リスクなど)もあるため、使用は医師の管理のもとで行われます。

また、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のラロキシフェン、アロマターゼ阻害薬(テストステロンをエストロゲンに変換する酵素を阻害する薬剤)なども使用されることがあります。

薬物療法は、特に思春期の症例や発症早期の症例に対して行われることが多いですが、日本国内では女性化乳房に対して保険適用が認められていない薬剤もあり、使用できる状況は限られることがあります。また、効果には個人差があり、薬物療法だけでは十分な改善が得られないケースも多くあります。

📝 女性化乳房の治療法:手術療法

経過観察や薬物療法で改善が得られない場合、または外見の改善を希望する場合、手術による治療が選択されます。手術は根本的な解決策として有効であり、適切に行われれば高い満足度が得られる治療法です。

✨ 手術の適応

手術療法が検討される主なケースは以下のとおりです。思春期の女性化乳房が2年以上経過しても改善しない場合、薬物療法を行っても効果が不十分な場合、組織の線維化が進んでいて薬物療法の効果が期待できない場合、患者が外見の改善を強く希望する場合などです。

📌 主な手術方法

女性化乳房の手術には主にいくつかの方法があり、症状の種類(乳腺性・脂肪性・混合型)や重症度に応じて選択されます。

まず、乳腺切除術(腺組織切除)があります。増殖した乳腺組織を直接切除する方法です。乳頭下または乳輪周囲から小さな切開を加え、発達した乳腺組織を取り除きます。乳腺性女性化乳房の基本的な治療法であり、再発が少なく根本的な解決が期待できます。術後は乳頭・乳輪周辺に傷跡が残りますが、適切に縫合されることで目立ちにくくなります。

次に、脂肪吸引術があります。脂肪性女性化乳房に対して行われます。小さなカニューレ(細い管)を用いて、皮膚の下の脂肪を吸引除去します。体への負担が比較的少なく、傷跡も小さいのが特徴です。ただし、乳腺組織には効果がないため、乳腺組織が発達している場合は単独では効果が不十分です。

また、乳腺切除と脂肪吸引の併用があります。混合型の女性化乳房に対して最もよく行われるアプローチです。脂肪吸引で全体的な輪郭を整えながら、乳腺組織も外科的に切除します。これにより、より自然で滑らかな胸部の形状を実現できます。多くの美容外科クリニックで標準的に行われている方法です。

さらに、重症例(皮膚余剰がある場合)では、乳腺・脂肪の切除に加えて、余った皮膚を切除する術式が必要になることがあります。これは乳房の垂れが大きい重度の症例に対して行われます。傷跡は他の方法より大きくなりますが、見た目の改善効果は高くなります。

▶️ 麻酔について

手術に用いる麻酔は、クリニックや手術の規模によって異なりますが、局所麻酔・静脈麻酔・全身麻酔の中から選択されることが多いです。比較的軽度の症例では局所麻酔と軽い鎮静剤で対応できることもありますが、広範囲の手術や患者の希望によっては静脈麻酔(眠った状態で行う麻酔)や全身麻酔が選ばれます。

🔹 手術のリスクと合併症

手術である以上、一定のリスクがあることを理解しておく必要があります。主なリスクとして、血腫(手術後に血液が溜まる状態)、感染、傷跡の肥厚や目立ち、乳頭・乳輪の感覚変化、皮膚の凹凸(特に脂肪吸引後)、乳頭・乳輪の位置のずれ、再発(特に原因が残っている場合)などが挙げられます。

これらのリスクは適切な技術と経験を持った医師が行うことで最小化できますが、ゼロにはなりません。手術前に医師から十分な説明を受け、リスクを理解したうえで同意することが大切です。

📍 手術費用について

女性化乳房の手術は、美容目的として行われる場合は自由診療となり、健康保険の適用外です。費用はクリニックや手術方法によって異なりますが、一般的に数十万円程度かかることが多いです。ただし、背景に疾患がある場合や、保険適用が認められる状況であれば保険診療として行われることもあります。費用については事前にクリニックに確認することをお勧めします。

Q. 女性化乳房を放置するとどうなりますか?

女性化乳房を放置すると、乳腺組織の線維化が進み薬物療法の効果が得られにくくなるなど、治療の選択肢が狭まります。また、精巣腫瘍や副腎腫瘍など重篤な疾患が背景に潜むケースもあり、発見が遅れるリスクがあります。外見へのコンプレックスによる精神的負担も蓄積するため、早期受診が重要です。

💡 手術後の経過とダウンタイム

手術後の経過は手術の方法や個人差によって異なりますが、一般的な経過について説明します。

💫 手術直後から数日

手術直後は、麻酔の影響が残ることがあります。手術部位には腫れ、痛み、内出血が見られます。多くの場合、術後から圧迫固定(コンプレッションガーメントや弾性包帯など)を行い、腫れの軽減や皮膚と内部組織の癒着を促します

痛みは一般的に鎮痛薬で対処可能な程度のことが多いですが、個人差があります。血腫予防のため、ドレーン(細いチューブ)が留置されることがあります。翌日には多くの場合歩行が可能です。

🦠 1週間〜2週間後

腫れや内出血は徐々に改善してきます。抜糸が行われることが多い時期です(使用する縫合糸の種類によっては抜糸が不要な場合もあります)。デスクワークなどの軽い仕事は術後数日〜1週間程度で再開できることが多いですが、力仕事や激しい運動は控える必要があります。

👴 1ヵ月後

腫れはかなり改善してきますが、まだ完全ではないことが多いです。圧迫固定は継続することが多く、クリニックの指示に従います。この時期から徐々に運動を再開できることが多いですが、激しい運動は引き続き制限されることがあります。

🔸 3〜6ヵ月後

腫れはほぼ落ち着いてきて、手術の結果がより明確になってきます。傷跡は徐々に目立たなくなっていきます。ほとんどの日常活動や運動が再開できます。

💧 1年後

最終的な仕上がりは術後6ヵ月〜1年後に評価されることが多いです。傷跡はさらに目立たなくなり、胸部の形状が安定します。

ダウンタイムを最小化するためには、術後の指示(安静、圧迫固定、禁酒・禁煙など)をしっかり守ることが重要です。定期的な経過観察のための通院も大切です。

✨ 女性化乳房を放置するとどうなるか

女性化乳房を治療せずに放置した場合、どのような影響があるのでしょうか。

✨ 自然消退の可能性

思春期に起こった生理的な女性化乳房は、2年程度で自然に消退することが多いとされています。しかし、すべてのケースで消退するわけではなく、持続するケースもあります。また、発症から2年を超えると、乳腺組織が線維化して自然消退や薬物療法への反応性が低下する傾向があります

📌 組織の線維化

発症から長期間が経過すると、増殖した乳腺組織が線維化(硬くなる)していきます。線維化が進むと、薬物療法の効果が期待しにくくなり、手術による切除が必要になるケースが増えます。また、線維化した組織は外科的に除去することも、柔らかい乳腺組織と比べるとやや難しくなる場合があります。

▶️ 精神的な影響

女性化乳房を放置することで、精神的な負担が継続します。外見へのコンプレックス、自己肯定感の低下、社会的な場面での不安(プールや更衣室など)、衣服選びの制限、スポーツや運動への支障など、生活のさまざまな場面に影響が出ることがあります。こうした精神的な負担が積み重なると、うつ症状や社会的孤立につながることもあります。

🔹 背景疾患の見逃し

女性化乳房の背景に、精巣腫瘍、副腎腫瘍、下垂体腺腫などの重篤な疾患が隠れているケースがあります。また、まれですが男性の乳がんの可能性もゼロではありません。放置してこれらの疾患の発見が遅れると、治療が困難になることがあります。そのため、女性化乳房に気づいたら早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。

以上のことから、女性化乳房は「恥ずかしいから」「そのうち治るだろう」と自己判断で放置するのではなく、早めに専門医に相談することが大切です。治療の選択肢は症状の状態や経過によって変わりますが、適切な診断と治療によって改善が期待できる状態です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「女性化乳房のご相談で来院される患者様の多くが、長期間一人で悩みを抱えてからご来院されるケースが目立ちます。乳腺組織の線維化が進む前の早期段階であれば治療の選択肢が広がりますので、胸の膨らみやしこりが気になった時点でお気軽にご相談いただきたいと思います。外見上のお悩みはもちろん、背景に隠れた疾患の有無を含めて丁寧に診察が必要です。」

📌 よくある質問

女性化乳房は太っているだけと何が違うのですか?

女性化乳房は乳腺組織そのものが増殖している状態で、単なる脂肪の蓄積(偽性女性化乳房)とは異なります。乳頭の下に硬いしこりのような組織が触れるのが特徴です。脂肪性の場合と異なり、ダイエットや筋トレでは解消できないため、医療機関での適切な診断が重要です。

思春期の女性化乳房は自然に治りますか?

思春期の女性化乳房は、多くの場合2年以内に自然消退するとされています。ただし、すべてのケースで消退するわけではありません。また、発症から2年を超えると乳腺組織が線維化し、自然消退や薬物療法への反応性が低下する傾向があるため、改善が見られない場合は早めに専門医へ相談することをお勧めします。

女性化乳房の手術にはどんな方法がありますか?

症状の種類や重症度に応じて、①乳腺組織を直接切除する「乳腺切除術」、②脂肪を取り除く「脂肪吸引術」、③両方を組み合わせた方法の3つが主な選択肢です。乳腺性には乳腺切除、脂肪性には脂肪吸引、混合型には併用が一般的です。当院では患者様の状態に合わせた最適な方法をご提案しています。

女性化乳房の手術後、仕事や運動はいつから再開できますか?

デスクワークなどの軽い仕事は術後数日〜1週間程度で再開できることが多いです。一方、力仕事や激しい運動は1ヵ月以上制限が必要な場合があります。腫れがほぼ落ち着く術後3〜6ヵ月で多くの日常活動が再開可能となりますが、担当医の指示に従って無理なく進めることが大切です。

女性化乳房を放置すると悪化しますか?

放置すると乳腺組織の線維化が進み、薬物療法の効果が期待しにくくなるなど治療の選択肢が狭まる可能性があります。また、背景に精巣腫瘍や副腎腫瘍など重篤な疾患が隠れているケースもあるため、早期発見の観点からも重要です。当院では胸の膨らみやしこりが気になった時点でのご相談をお勧めしています。

🎯 まとめ

女性化乳房は、男性の乳腺組織が増殖して胸が膨らんで見える状態であり、ホルモンバランスの乱れや薬剤、疾患など、さまざまな原因によって起こります。思春期・中高年を中心に幅広い年齢層で見られ、決して珍しい状態ではありません。

治療法は原因や症状の程度によって異なり、経過観察、薬物療法、手術療法の3つのアプローチがあります。思春期の軽度のケースでは経過観察が基本ですが、改善が見られない場合や外見の改善を希望する場合には手術が有効な選択肢です。手術では乳腺切除術や脂肪吸引術、またはその組み合わせが行われ、根本的な解決が期待できます。

女性化乳房は放置すると組織の線維化が進み、治療の選択肢が狭まる可能性があります。また、背景に重篤な疾患が隠れていることもあるため、早めに専門医に相談することが重要です。身体的な症状だけでなく、精神的な負担も大きい状態ですので、悩んでいる方はぜひ一度医療機関への相談を検討してみてください。適切な診断と治療によって、多くの場合で症状の改善が見込まれます。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本形成外科学会 – 女性化乳房の外科的治療(乳腺切除術・脂肪吸引術)の適応や手術方法、術後経過に関する形成外科的観点からの診療指針
  • 日本美容外科学会 – 美容外科クリニックにおける女性化乳房手術(乳腺切除・脂肪吸引の併用)の術式選択・リスク管理・ダウンタイムに関する情報
  • PubMed – 女性化乳房の疫学・ホルモンバランス(エストロゲン/アンドロゲン)・薬剤性原因・タモキシフェンなど薬物療法の有効性に関する国際的な医学文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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