唇がカサカサしてひび割れたり、皮がむけてしまったりと、唇の乾燥に悩む方は非常に多くいらっしゃいます。唇は皮膚のなかでも特に薄く、皮脂腺がないため乾燥しやすい部位です。正しいケアをせずに放置してしまうと、炎症や色素沈着につながることもあります。この記事では、唇が乾燥する原因から日常的なケア方法、医療機関での治療まで幅広くご紹介します。ぜひ自分の状態に合ったケアを見つけて、健やかな唇を取り戻してください。
目次
- 唇が乾燥しやすい理由
- 唇が乾燥する主な原因
- 季節別の唇の乾燥ケア
- 正しいリップクリームの選び方と使い方
- 唇の乾燥を防ぐ生活習慣
- やってはいけないNGケア
- 唇の乾燥が改善しない場合に考えられる疾患
- 医療機関での唇の乾燥治療
- まとめ
この記事のポイント
唇は皮脂腺がなく乾燥しやすい部位で、口呼吸・舐める癖・栄養不足などが主因。リップクリームの正しい選択・水分補給・湿度管理が基本ケアとなり、2週間以上改善しない場合は口唇炎などの疾患が疑われるため、皮膚科や美容皮膚科への受診が推奨される。
🎯 唇が乾燥しやすい理由
唇は私たちの顔のなかでも特に乾燥しやすい部位とされています。その最大の理由は、唇の皮膚が体の他の部位と比べて非常に薄いことにあります。一般的な皮膚の厚さが約2ミリ程度であるのに対し、唇の皮膚はわずか0.1〜0.3ミリほどしかありません。
さらに、体の他の皮膚には皮膚を保護する角質層や皮脂腺が存在していますが、唇にはほとんど皮脂腺がありません。皮脂腺は皮脂を分泌することで皮膚の表面に自然な保護膜を作り、水分の蒸発を防いでいます。唇にはこの機能が備わっていないため、外部の環境変化に非常に弱く、乾燥しやすい構造になっています。
加えて、唇にはメラニン色素を生成するメラノサイトの数が少なく、紫外線に対する防御力も低いという特徴があります。紫外線は皮膚の水分を奪い、細胞を傷つける原因になります。唇はこうした外的刺激に対してほとんど無防備な状態であるため、日々のケアが欠かせない部位です。
また、私たちは日常的に食事や会話、表情を作る際に唇を頻繁に動かしています。これにより唇の表面はたえず摩擦を受け、乾燥が加速しやすい環境にあります。唇は体の構造上、乾燥しやすい条件が重なっている部位だと理解しておきましょう。
Q. 唇が他の皮膚より乾燥しやすい理由は何ですか?
唇の皮膚は約0.1〜0.3ミリと非常に薄く、皮脂腺がほとんど存在しないため、自然な保護膜を作れず水分が蒸発しやすい構造です。さらにメラノサイトが少なく紫外線への防御力も低いため、外的刺激に対して非常に無防備な部位といえます。
📋 唇が乾燥する主な原因
唇の乾燥にはさまざまな原因が考えられます。日常的な習慣や環境、体の内側からの要因まで幅広く関係しているため、自分がどのケースに当てはまるかを把握することが対策の第一歩となります。
🦠 乾燥した環境や気候
冬の寒い時期や夏の冷房が効いた室内では、空気中の湿度が低下します。湿度が低い環境では、皮膚や唇の表面から水分が蒸発しやすくなるため、乾燥が進みます。特に日本の冬は乾燥しやすく、多くの方が唇の乾燥を感じる季節です。また、暖房による室内の乾燥も見逃せない原因のひとつです。
👴 口呼吸の習慣
鼻が詰まっていたり、習慣的に口呼吸をしている方は、唇が空気に直接さらされる時間が長くなります。呼吸のたびに唇の表面の水分が蒸発してしまうため、乾燥が悪化しやすくなります。睡眠中に口が開いてしまう方も、起床時に唇が特に乾燥していると感じることが多いでしょう。
🔸 唇を舐める癖
唇が乾燥したときに舌で舐めると一時的に潤った感覚がありますが、唾液が蒸発する際に唇の水分まで一緒に奪ってしまいます。このため、舐めた後はかえって乾燥が悪化するという悪循環に陥ります。唇を舐める癖は乾燥を悪化させる原因として非常によく見られます。
💧 水分不足
体全体の水分が不足していると、皮膚や粘膜の水分量も低下します。唇も例外ではなく、脱水気味の状態では乾燥しやすくなります。特に運動後や夏場、アルコールを多く摂取した後は水分不足になりやすいため注意が必要です。
✨ 栄養不足
ビタミンB群(特にビタミンB2、B6)が不足すると、口角炎や口唇炎などを引き起こしやすくなります。これらのビタミンは皮膚や粘膜の健康維持に深く関わっており、食事制限や偏食によって不足すると唇のトラブルにつながります。また、鉄分や亜鉛の不足も粘膜の健康に影響します。
📌 紫外線
前述のとおり、唇は紫外線への防御力が低い部位です。日焼け止めを顔に塗っていても、唇にはケアをしていないという方も多いのではないでしょうか。紫外線は唇の水分を奪い、唇の皮膚を傷つける原因になります。長時間屋外で過ごす場合は、唇への紫外線対策も必要です。
▶️ アレルギーや刺激物
リップコスメや歯磨き粉、食べ物などに含まれる成分にアレルギーや接触皮膚炎を起こしている場合も、唇の乾燥やかぶれ、炎症が起こることがあります。特定のリップクリームを使うと唇の状態が悪化するという場合は、成分の見直しを検討することが大切です。
💊 季節別の唇の乾燥ケア
唇の乾燥は季節によって原因や症状が異なります。それぞれの季節に合ったケア方法を取り入れることが効果的です。
🔹 春(花粉・紫外線の増加)
春は花粉が飛散する時期です。花粉アレルギーを持つ方は鼻詰まりによって口呼吸になりやすく、唇が乾燥しやすくなります。また、春から紫外線量が増加するため、UV対応のリップクリームを活用することをおすすめします。花粉症の薬(抗ヒスタミン薬)を服用している方は、口腔内や唇が乾燥しやすくなる副作用が出ることもあります。意識的にこまめな水分補給を心がけましょう。
📍 夏(紫外線・エアコン乾燥)
夏は紫外線が最も強い季節です。屋外での活動が多い方は特に唇へのダメージが蓄積されやすいため、日焼け止め効果のあるリップクリームを選ぶことが重要です。また、夏場はエアコンによる室内の乾燥も深刻です。冷房の効いた環境で長時間過ごす際は、リップクリームをこまめに塗り直す習慣をつけましょう。汗をかくことで体内の水分が失われやすい季節でもあるため、十分な水分補給も意識してください。
💫 秋(気温・湿度の低下)
秋は気温の低下とともに空気が乾燥し始める時期です。夏に紫外線ダメージを受けた唇がさらに乾燥しやすくなります。秋口から保湿ケアをしっかりと行い、冬に向けて唇の状態を整えておくことが大切です。就寝前にリップクリームをたっぷりと塗ってケアする習慣を始めるとよいでしょう。
🦠 冬(乾燥・冷たい風)
冬は唇の乾燥が最も深刻になる季節です。空気の乾燥、暖房による室内の乾燥、冷たい外気と風の影響が重なります。マスクをしていると唇の蒸れと乾燥が繰り返されることもあります。冬のケアとしては、こまめなリップクリームの塗布に加え、加湿器を活用して室内の湿度を保つことが有効です。外出時はマフラーなどで唇を冷たい風から守ることも効果的です。
Q. 季節ごとの唇ケアで特に注意すべき点は何ですか?
春は花粉症による口呼吸と紫外線対策、夏はSPF入りリップクリームとエアコン乾燥対策、秋は冬に向けた保湿習慣の定着、冬は暖房乾燥対策と加湿器の活用が重要です。各季節の原因に合ったケアを取り入れることで、年間を通じて唇の乾燥を予防できます。
🏥 正しいリップクリームの選び方と使い方
リップクリームは唇の乾燥対策の基本となるアイテムですが、成分や使い方によって効果が大きく変わります。正しい選び方と使い方を理解しておきましょう。
👴 リップクリームの主な成分と効果
リップクリームに含まれる成分はさまざまです。目的に応じて適切なものを選ぶことが大切です。
ワセリンは石油系の成分で、唇の表面に膜を作り水分の蒸発を防ぐ効果があります。刺激が少なく、アレルギーが出にくいためデリケートな方にも使いやすい成分です。ただし、保湿成分そのものではなく、あくまでも水分の蒸発を防ぐ役割を担います。
ヒアルロン酸やセラミドは水分を保持する保湿成分です。唇の内側から水分を補いたい場合に効果的な成分です。これらを含むリップクリームは保湿力が高く、乾燥が気になる季節に特におすすめです。
シアバターやホホバオイルなどの植物性オイルは、唇を柔らかく保つとともに保護膜を形成する働きがあります。天然成分で肌に優しいため、敏感な方にも向いています。
ビタミンE(トコフェロール)は抗酸化作用があり、唇の細胞を紫外線や環境ストレスから守る効果が期待できます。
🔸 避けた方がよい成分
リップクリームの中には、メントールやカンファー(樟脳)が含まれるものがあります。これらは清涼感を与える成分ですが、繰り返し使用することで唇を刺激し、乾燥を助長する可能性があります。香料や色素が多く含まれる製品も、敏感な方には接触皮膚炎のリスクがあるため注意が必要です。
また、フレーバー(香り)が強いリップクリームは無意識に唇を舐めてしまいやすくなるため、乾燥が気になる方は無香料・無着色のシンプルなものを選ぶとよいでしょう。
💧 リップクリームの正しい使い方
リップクリームは乾燥を感じてから塗るだけでなく、予防として定期的に塗ることが大切です。外出前、食事の前後、就寝前など、タイミングを決めてケアする習慣をつけましょう。
就寝前はたっぷりと塗って就寝することで、寝ている間に唇に十分な潤いを与えることができます。また、リップクリームを塗る前に唇の表面が清潔であることを確認し、汚れや古いリップクリームの残りを拭き取ってから新たに塗ることで浸透率が上がります。
紫外線対策を兼ねる場合は、SPF(紫外線防止指数)とPA(紫外線A波防止効果)が表記されたリップクリームを選ぶとよいでしょう。
⚠️ 唇の乾燥を防ぐ生活習慣
リップクリームでのケアと同様に、日常の生活習慣を整えることが唇の乾燥改善に大きく影響します。体の内側からのアプローチも欠かさずに行いましょう。
✨ 十分な水分補給
体の水分量が充足していると、皮膚や粘膜の潤いも維持されやすくなります。1日に必要な水分量は体重や活動量によって異なりますが、一般的には1.5〜2リットル程度の水分摂取が推奨されています。一度にたくさん飲むよりも、こまめに少量ずつ飲む方が体に吸収されやすいとされています。コーヒーやアルコールは利尿作用があるため、飲みすぎると水分不足を招きます。水やお茶、スープなど水分補給になる飲食物を積極的に取り入れましょう。
📌 栄養バランスのとれた食事
唇の健康を保つためには、食事からの栄養摂取が重要です。特に以下の栄養素を意識的に摂るようにしましょう。
ビタミンB2(リボフラビン)は皮膚や粘膜の健康維持に必要なビタミンです。レバー、卵、乳製品、納豆、ほうれん草などに多く含まれています。不足すると口角炎や口唇炎が起こりやすくなります。
ビタミンB6は皮膚の再生を助ける働きがあります。鶏肉、マグロ、バナナ、じゃがいもなどに含まれています。ビタミンB2と合わせて摂取することで相乗効果が期待できます。
ビタミンCはコラーゲンの合成に関わり、皮膚のバリア機能を高める効果があります。柑橘類、キウイ、パプリカ、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。
亜鉛は細胞の修復や再生に関わるミネラルです。牡蠣、赤身肉、ナッツ類、豆類などに含まれており、不足すると粘膜のトラブルが起こりやすくなります。
▶️ 室内の湿度を保つ
冬場や冷房の効いた室内では湿度が大幅に低下します。快適な湿度は一般的に40〜60%とされています。加湿器を活用したり、濡れたタオルを室内に干したりすることで、湿度を適切に保つことができます。特に就寝中は唇ケアをしながら就寝するとともに、加湿器を使用することで乾燥を防ぎやすくなります。
🔹 鼻呼吸を意識する
口呼吸は唇の乾燥を招く大きな原因のひとつです。日中は意識して鼻呼吸を心がけましょう。鼻が詰まって口呼吸になっている場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの原因疾患を治療することが根本的な改善につながります。就寝中に口が開いてしまう方は、口閉じテープなどのアイテムを活用するのもひとつの方法です。
📍 睡眠をしっかりとる
睡眠中は体の修復と再生が行われます。睡眠不足は皮膚のターンオーバー(細胞の入れ替わり)を乱し、唇を含む全身の皮膚の乾燥や荒れを引き起こします。1日7〜8時間を目安に質の良い睡眠を確保することが、唇の乾燥改善にも寄与します。
Q. 唇ケアでやってはいけない行動にはどんなものがありますか?
唇を舌で舐めると唾液蒸発時に水分を奪い乾燥が悪化します。また乾燥した皮を無理にむくと出血や炎症の原因になります。スクラブの過度な使用や唇を噛む癖も炎症を招きます。乾燥が気になる際はリップクリームを塗ることで、これらの習慣を代替するのが効果的です。
🔍 やってはいけないNGケア
唇の乾燥対策として行われがちですが、実際には逆効果になったり、唇を傷つけたりする可能性があるNGケアがあります。以下の行為には注意が必要です。
💫 唇を舐める
乾燥した唇に潤いを与えようと舌で舐める行為は、一時的に潤った感覚を得られますが、唾液が蒸発する際に唇の水分まで奪ってしまいます。これにより乾燥がさらに悪化するという悪循環に陥ります。唾液に含まれる消化酵素が唇に刺激を与えることもあります。舐めたくなったらリップクリームを塗ることで代替しましょう。
🦠 唇の皮をむく・こする
唇が乾燥して皮がむけてくると、気になってついついその皮を引っ張ったりこすったりしてしまうことがあります。まだ完全に剥がれていない皮を無理にむくと、健康な皮膚まで傷つけてしまい、出血や炎症の原因になります。唇の皮はしっかり保湿してケアを続けることで自然に改善されますので、無理に触らないようにしましょう。
👴 スクラブを過度に使用する
唇の角質ケアとして砂糖や塩などを使ったスクラブケアを行う方もいらっしゃいます。スクラブには古い角質を取り除く効果がありますが、やりすぎると必要な角質まで取り除いてしまい、かえって乾燥や炎症を招くことがあります。スクラブケアを行う場合は週1〜2回程度にとどめ、やさしくマッサージするように行うことが大切です。炎症がある時期は避けましょう。
🔸 唇を噛む癖
緊張したときや無意識に唇を噛む癖のある方がいますが、これも唇を傷つける原因になります。繰り返し噛み続けることで炎症が起こり、乾燥がひどくなることがあります。意識して噛まないようにすること、またストレスが原因の場合はストレスのケアも合わせて行うことが大切です。
💧 唇に合わない化粧品の使用

グロスや口紅などのリップメイクアップ製品には、持続性や発色を高めるためにアルコールや特定の化学成分が含まれていることがあります。これらが唇に刺激を与え、乾燥や荒れを引き起こすことがあります。唇の調子が悪い時期はリップメイクを控えめにするか、低刺激の製品を選ぶようにしましょう。
📝 唇の乾燥が改善しない場合に考えられる疾患
日常的なケアを続けても唇の乾燥がなかなか改善しない場合、背景に何らかの疾患が潜んでいる可能性があります。以下の疾患は唇の乾燥や荒れと関連することがあるため、気になる場合は医療機関を受診することをおすすめします。
✨ 口唇炎(こうしんえん)
口唇炎は唇の粘膜に炎症が起こる状態で、乾燥、赤み、腫れ、痛み、皮がむけるなどの症状が現れます。原因としては、アレルギー(接触性口唇炎)、細菌・ウイルス感染、ビタミン不足、日光(光線過敏)などが挙げられます。市販のリップクリームでは改善しないケースも多く、医師による診断と適切な治療が必要です。
📌 口角炎(こうかくえん)
口角炎は唇の端(口角)にひび割れや炎症が起こる状態です。ビタミンB2・B6の不足や、カンジダ菌などの感染が原因となることがあります。口角が痛くて口を開けにくい、口角が赤く腫れるなどの症状が見られます。栄養補給だけでなく、感染が疑われる場合は抗真菌薬などの薬物療法が必要なこともあります。
▶️ アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎を持つ方は、唇周辺を含む口の周りに湿疹や乾燥、かゆみが現れることがあります。皮膚のバリア機能が低下しているため、外部の刺激に反応しやすい状態です。唇自体だけでなく口周りの皮膚も荒れている場合は、アトピー性皮膚炎の一症状として皮膚科で総合的に診てもらうことが大切です。
🔹 シェーグレン症候群
シェーグレン症候群は、涙腺や唾液腺が炎症によって侵される自己免疫疾患です。口や目の乾燥が主な症状で、唾液分泌量の減少によって口腔内や唇が極端に乾燥しやすくなります。中高年の女性に多く見られますが、全年代に発症する可能性があります。唇の乾燥に加えてドライアイや口の乾きが続く場合は、専門医を受診することが重要です。
📍 甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下することで、皮膚全体が乾燥しやすくなります。唇の乾燥もその症状のひとつとして現れることがあります。疲れやすさ、むくみ、体重増加、寒がりなどの症状も伴う場合は甲状腺機能の検査を受けることを検討してみましょう。
💫 薬の副作用
抗ヒスタミン薬(花粉症や蕁麻疹の薬)、利尿薬、一部の抗うつ薬などは口腔内を乾燥させる副作用があることが知られています。これらの薬を服用している方は、薬の影響で唇が乾燥しやすくなっている可能性があります。服用中の薬がある場合は、医師や薬剤師に相談してみましょう。
Q. 唇の乾燥が改善しない場合、医療機関ではどんな治療が受けられますか?
皮膚科では原因に応じてステロイド外用薬・抗菌薬・抗ウイルス薬・ビタミンB剤などが処方されます。美容皮膚科ではヒアルロン酸注入によるボリューム補充、ピコレーザーによる色素沈着改善、水光注射による内側からの保湿など多様な施術が受けられます。2週間以上改善しない場合は受診が推奨されます。
💡 医療機関での唇の乾燥治療
日常ケアや市販品では改善しない唇の乾燥や唇のトラブルに対して、医療機関ではさまざまな治療が行われています。皮膚科や美容皮膚科での治療についてご紹介します。
🦠 皮膚科での治療
皮膚科では、口唇炎や口角炎などの診断を行い、原因に応じた薬物療法が行われます。アレルギー性の場合はステロイド外用薬、感染性の場合は抗菌薬や抗真菌薬、ウイルス性(単純ヘルペスなど)の場合は抗ウイルス薬が処方されることがあります。原因が特定できない場合は、パッチテストを行いアレルギーの有無を確認することもあります。
内服薬としては、ビタミンB2・B6などのビタミン剤が処方されることもあります。医療機関で処方されるビタミン剤は市販のサプリメントに比べて成分量が明確で、医師の指示のもとに使用できるため安心です。
👴 美容皮膚科での治療
美容皮膚科では、唇の美しさや若々しさを取り戻すための治療が行われています。唇の乾燥が改善した後も、ふっくらとした唇や色味の改善を希望される方に適した施術があります。
ヒアルロン酸注入は、唇にヒアルロン酸を注入することで、失われたボリュームを補い、潤い感のある唇に整える施術です。ヒアルロン酸は元々体内に存在する成分であり、アレルギーリスクが比較的低く、安全性が確認されています。唇のシワや乾燥によるひび割れが改善され、自然なふっくら感が得られます。効果は通常6ヶ月〜1年程度持続します。
ピコレーザーなどのレーザー治療は、唇の色素沈着(くすみや黒ずみ)を改善するために用いられることがあります。乾燥によるダメージが繰り返されると、唇に色素沈着が起こることがあります。レーザーによってメラニン色素を分解し、明るくきれいな唇の色を取り戻す効果が期待できます。
高濃度ビタミンC点滴は、体内から皮膚の健康をサポートする治療です。ビタミンCはコラーゲン合成を助け、皮膚のバリア機能を高める効果があります。唇を含む全身の皮膚の乾燥や荒れを改善するために活用されることがあります。
水光注射(スキンブースター)は、唇周辺の皮膚にヒアルロン酸や成長因子などを微細な注射で注入することで、内側からしっかりと保湿する施術です。唇の周囲のシワや乾燥を改善し、潤いのある見た目に整える効果があります。
🔸 受診するタイミングの目安
以下のような症状がある場合は、自己ケアだけで対処せず、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
- 2週間以上ケアを続けても改善しない場合
- 唇に強い痛みや腫れがある場合
- 唇に水ぶくれや潰瘍が繰り返しできる場合
- 口角のひび割れや出血が続く場合
- 唇の色が急に変わった場合
- 特定のリップ製品を使用すると症状が悪化する場合
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「唇の乾燥は「たかが乾燥」と軽視されがちですが、市販のリップクリームでは改善しない口唇炎や接触性皮膚炎を抱えた方も多くおり、原因を正確に見極めることが大切です。最近の傾向として、アレルギーや栄養不足、薬の副作用など、生活習慣の奥に潜む要因が見逃されているケースも少なくありませんので、2週間以上ケアを続けても改善しない場合は専門の医療機関にご相談ください。」
✨ よくある質問
唇の皮膚は約0.1〜0.3ミリと非常に薄く、皮膚を保護する皮脂腺がほとんどありません。そのため、肌の他の部位のように自然な保護膜を作ることができず、水分が蒸発しやすい構造になっています。さらに紫外線への防御力も低いため、外的刺激に対して非常に無防備な部位です。
本当です。唇を舐めると一時的に潤った感覚がありますが、唾液が蒸発する際に唇の水分まで一緒に奪ってしまいます。また、唾液に含まれる消化酵素が唇への刺激になることもあります。舐めたくなったときはリップクリームを塗ることで代替するのが効果的です。
メントールやカンファー(樟脳)は清涼感を与えますが、繰り返し使用することで唇を刺激し、乾燥を悪化させる可能性があります。また、香料や色素が多い製品は接触皮膚炎のリスクがあります。乾燥が気になる方は無香料・無着色のシンプルな成分のものを選ぶことをおすすめします。
2週間以上ケアを続けても改善しない場合、口唇炎や口角炎、アレルギー、薬の副作用など背景に疾患が潜んでいる可能性があります。皮膚科での薬物療法や、美容皮膚科でのヒアルロン酸注入やレーザー治療など、専門的な治療を検討することをおすすめします。
主に4つのポイントが重要です。①1日1.5〜2リットルを目安にこまめな水分補給を行う、②ビタミンB群やビタミンC、亜鉛を含むバランスのよい食事をとる、③室内の湿度を40〜60%に保つよう加湿器を活用する、④口呼吸を避けて鼻呼吸を意識する、以上を習慣化することが唇の乾燥予防に効果的です。
📌 まとめ
唇は皮脂腺を持たない薄い皮膚で覆われているため、体の他の部位よりも乾燥しやすい部位です。唇の乾燥の原因は、乾燥した環境や口呼吸、唇を舐める癖、水分や栄養の不足、紫外線など多岐にわたります。まずは自分の生活習慣のなかに乾燥の原因となるものがないかを確認し、一つひとつ改善していくことが大切です。
日々のケアとしては、適切な成分のリップクリームを正しい使い方でこまめに塗ること、十分な水分補給とバランスのよい食事、室内の湿度管理、鼻呼吸の意識などが基本となります。また、唇を舐める、皮をむく、スクラブを過度に行うといったNGケアは避けるようにしましょう。
市販のケアを続けても改善しない場合や、炎症や痛みを伴う場合は、背景に口唇炎や口角炎などの疾患が隠れている可能性があります。皮膚科や美容皮膚科での診察を受け、適切な治療を行うことで、より早期の改善が期待できます。
唇の乾燥は放置するとトラブルが悪化することもあります。毎日のケアを丁寧に行いながら、必要に応じて専門家のサポートを活用して、潤いのある健やかな唇を保ちましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇炎・口角炎・アトピー性皮膚炎などの皮膚疾患の診断基準や治療ガイドラインに関する情報。唇の乾燥に関連する皮膚科的疾患の医学的根拠として参照。
- 厚生労働省 – ビタミンB群(B2・B6)・ビタミンC・亜鉛などの栄養素と皮膚・粘膜の健康維持に関する情報。日本人の食事摂取基準における推奨量の根拠として参照。
- PubMed – 口唇炎(cheilitis)の原因・治療・保湿成分(ヒアルロン酸・ワセリン・セラミド等)の有効性に関する国際的な医学論文。シェーグレン症候群や甲状腺機能低下症と皮膚乾燥の関連についての科学的根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務