ワキガ・多汗症

多汗症の保険適用条件とは?治療費や手続きの流れを詳しく解説

💬 「汗が止まらない…」「手汗・脇汗で毎日つらい…」
そんな方に、保険適用で多汗症を治療できる可能性があることをご存じですか?

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  • 自費治療で数万円を払いすぎてしまうかも
  • 保険適用の条件を知らずに損しているケースが多い
  • 適切な治療法を選べず、症状が改善しないまま放置
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「多汗症って保険きくの?自費しかないって聞いたけど…」
条件を満たせば1〜3割負担で治療できます!まずは条件を確認しましょう✅
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💡 この記事でわかること

  • ✅ 保険適用の具体的な条件(HDSSスコアなど)
  • ✅ エクロックゲル・ラピフォートワイプが1〜3割負担で使える
  • ✅ 自費診療との違いと、賢い選び方
  • ✅ 受診から処方までの流れ

目次

  1. 多汗症とはどんな病気か
  2. 多汗症の種類と症状の特徴
  3. 多汗症に保険が適用される条件とは
  4. 保険適用される主な治療法
  5. 保険適用の診断基準(重症度の判定)
  6. 保険適用の手続きと受診の流れ
  7. 保険適用外(自費診療)の治療法との違い
  8. 保険適用を受けるうえで知っておきたい注意点
  9. まとめ

この記事のポイント

多汗症の保険適用は原発性腋窩・手掌多汗症でHDSSスコア3以上が条件。エクロックゲルやラピフォートワイプが1〜3割負担で処方可能。ボトックス注射は現在自費診療。

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💡 1. 多汗症とはどんな病気か

多汗症とは、体温調節や精神的緊張とは関係なく、必要以上に大量の汗をかく状態のことを指します。通常、汗は体温調節のために分泌されますが、多汗症では日常生活に支障をきたすほどの発汗が起こります。

汗をかくこと自体は体の正常な機能ですが、多汗症の場合は汗の量が生理的な範囲を大きく超えてしまうため、衣類が濡れる、握手や書類を持つことが恥ずかしい、仕事や学業に集中できないといった日常生活上の問題が生じます。さらに、人前で汗をかくことへの恥ずかしさや不安から、精神的なストレスや対人関係の困難にもつながるケースが少なくありません。

多汗症は決して珍しい疾患ではなく、日本人の人口の約5〜10%が何らかの多汗症を経験しているとも言われています。しかし「汗をかきやすい体質だから仕方ない」と諦めている方や、病院に相談すること自体を知らない方も多く、適切な診断と治療を受けられていないケースが多いのが現状です。

多汗症は医学的に認められた疾患であり、適切な治療によって症状をコントロールすることができます。特定の条件を満たせば保険診療として治療を受けることもできるため、まずは正しい知識を持つことが大切です。

Q. 多汗症の治療に保険が適用される条件は何ですか?

多汗症の保険適用には、原発性腋窩多汗症または原発性手掌多汗症と診断されること、かつ重症度評価ツール「HDSS」のスコアが3以上(中等症〜重症)であることが主な条件です。自己判断では適用されず、医療機関での正式な診断が必須となります。

📌 2. 多汗症の種類と症状の特徴

多汗症は大きく「原発性多汗症」と「続発性多汗症」の2種類に分けられます。この分類は保険適用を考えるうえでも非常に重要です。

✅ 原発性多汗症

原発性多汗症は、特定の基礎疾患がないにもかかわらず発汗が過剰になるタイプです。手のひら(手掌)、足の裏(足底)、脇の下(腋窩)、額などの局所的な部位に多く見られます。特に手のひらや足の裏の多汗症は「局所性多汗症」とも呼ばれ、日常生活への影響が大きいことが特徴です。

原発性多汗症の多くは青年期に発症し、ストレスや緊張によって悪化することがありますが、睡眠中は発汗が起きにくいという特徴があります。原因については交感神経の過活動が関係していると考えられていますが、詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていません。家族内に同様の症状を持つ人がいることが多く、遺伝的な要因も関与していると言われています。

📝 続発性多汗症

続発性多汗症は、甲状腺機能亢進症、糖尿病、肥満、感染症、特定の薬の副作用など、基礎疾患や外部要因によって引き起こされる多汗症です。全身的に汗が多くなることが多く、夜間にも発汗が起こる点が原発性と異なります。この場合は原因となっている基礎疾患を治療することが優先されます。

保険適用の対象となるのは主に原発性多汗症であり、特に重症度が高いと判断された場合に限られます。続発性多汗症は基礎疾患の治療が中心となるため、多汗症そのものに対する保険適用の条件が異なります。

🔸 発汗部位による分類

原発性多汗症は発汗が起こる部位によってさらに分類されます。手のひらに起こる「手掌多汗症」、脇の下に起こる「腋窩多汗症」、足の裏に起こる「足底多汗症」、顔面や頭部に起こる「顔面・頭部多汗症」などがあります。それぞれ日常生活への影響や適切な治療法が異なるため、どの部位に症状があるかを明確に把握することが、適切な治療を受けるための第一歩となります。

✨ 3. 多汗症に保険が適用される条件とは

多汗症の治療が保険適用となるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。すべての多汗症が保険の対象となるわけではなく、疾患の種類、重症度、治療の内容などによって判断されます。

⚡ 原発性腋窩多汗症への保険適用

2020年6月、日本で初めて原発性腋窩多汗症(脇の下の多汗症)を対象とした外用薬「エクロックゲル5%」が保険適用となりました。これは多汗症治療の大きな転換点となりました。その後、2022年には「ラピフォートワイプ2.5%」も同じく原発性腋窩多汗症に対して保険収載されています。

これらの外用薬の保険適用を受けるためには、原発性腋窩多汗症であることの診断が必要です。具体的には、重症度評価ツールである「HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)」を用いた評価でスコアが3以上(中等症〜重症)であることが条件のひとつとなっています。

🌟 手掌多汗症(手のひら)への保険適用

手のひらの多汗症については、従来から塩化アルミニウムを用いたイオントフォレーシス治療や外用薬が使われてきましたが、長らく保険適用外でした。しかし2023年に「手掌多汗症」に対しても外用の抗コリン薬が保険適用となり、治療の選択肢が広がっています。

保険適用となる治療法は随時更新されることがあるため、受診する医療機関で最新の情報を確認することが大切です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、「汗が多くて恥ずかしい」「仕事に支障が出ている」とお悩みの方が、長年ひとりで抱え込んだ末にご来院されるケースが少なくありません。多汗症は保険適用で治療できる医学的な疾患であり、エクロックゲルやラピフォートワイプといった保険収載の外用薬によって、多くの方で症状の改善が期待できます。「体質だから仕方ない」と諦める前に、まずはお気軽にご相談ください。重症度の評価から治療方針の選択まで、患者さんお一人おひとりの生活スタイルに合わせて丁寧にサポートいたします。」

Q. 多汗症で保険適用される薬はどんなものですか?

現在保険収載されている多汗症の外用薬は、2020年承認の「エクロックゲル5%」と2022年承認の「ラピフォートワイプ2.5%」の2種類です。どちらも抗コリン薬で、脇の下への塗布・拭き取りにより発汗を抑制します。保険適用のため自己負担は1〜3割となります。

🔍 よくある質問

多汗症の治療はすべて保険適用になりますか?

すべての多汗症治療が保険適用になるわけではありません。現在、保険が適用されるのは主に原発性腋窩多汗症(脇の下)および原発性手掌多汗症(手のひら)に対する外用薬です。また、重症度評価(HDSSスコア)が3以上の中等症〜重症と診断されることが条件となります。ボツリヌス毒素注射などは現在自費診療です。

保険適用かどうかは何を基準に判断されますか?

「HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)」という4段階の重症度評価スケールが用いられます。「発汗が気になり日常生活に頻繁に支障をきたす」スコア3、または「常に支障をきたす」スコア4と判定された場合に、保険適用の外用薬が処方される対象となります。軽症(スコア1〜2)の場合は保険適用外となることがあります。

保険適用で処方される薬にはどんなものがありますか?

現在保険収載されている主な外用薬は、2020年に承認された「エクロックゲル5%」と2022年に承認された「ラピフォートワイプ2.5%」の2種類です。どちらも抗コリン薬で、脇の下への塗布・拭き取りにより発汗を抑制します。保険適用のため、患者さんの自己負担は医療費の1〜3割となります。

多汗症の保険診療を受けるにはどこに行けばよいですか?

主に皮膚科での受診が一般的です。ただし、すべての皮膚科クリニックが多汗症の保険診療に積極的に対応しているとは限りません。当院では、保険収載の外用薬による治療から重症度評価まで対応しています。受診前に「保険診療で多汗症の治療を希望している」と事前に伝えておくとスムーズです。

ボツリヌス毒素注射(ボトックス)は保険適用になりますか?

現時点では、日本において多汗症に対するボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)は保険適用外となっており、全額自費診療となります。効果が高く即効性がある治療法ですが、脇の下の場合で両側数万円程度の費用がかかります。費用や治療法の選択については、担当医師と十分に相談したうえで決定することをおすすめします。

💬 保険適用のための基本的な条件まとめ

保険適用を受けるための基本的な条件としては、まず医療機関で正式に多汗症の診断を受けることが必要です。自己判断では保険は適用されません。次に、発汗の部位が保険適用の対象部位であること(現時点では主に腋窩・手掌)、そして重症度の評価で一定のスコアを満たすことが求められます。さらに、適用される治療法が保険収載された薬剤や治療法であることも必要です。

続発性多汗症(基礎疾患が原因の場合)は対象外であるため、まず多汗症の原因を調べる検査が行われることもあります。

💪 4. 保険適用される主な治療法

多汗症の治療には様々な方法がありますが、現在保険適用が認められているのは主に外用薬による治療です。ここでは保険適用の治療法について詳しく見ていきます。

✅ エクロックゲル(ソフピロニウム臭化物)

エクロックゲル5%は、2020年に保険収載された日本初の原発性腋窩多汗症治療薬です。抗コリン作用を持つ成分が汗腺のエクリン汗腺に作用し、発汗を抑制します。就寝前に脇の下に塗布して使用し、朝起きたら洗い流すという使用方法が一般的です。

臨床試験では、使用開始から4週間で多くの患者に発汗量の低下が確認されており、継続使用によって効果が維持されることが示されています。副作用としては皮膚の乾燥や刺激感、まれに口の渇きなどの抗コリン作用による症状が報告されています。

📝 ラピフォートワイプ(グリコピロニウムトシル酸塩水和物)

2022年に保険収載されたラピフォートワイプ2.5%は、ウェットシートタイプの外用薬です。同じく抗コリン薬であり、脇の下に拭きつけることで発汗を抑制します。シートタイプのため塗布が比較的簡単で、外出先でも使用しやすいという特徴があります。

エクロックゲルと同様にHDSSスコア3以上の中等症〜重症の原発性腋窩多汗症が保険適用の対象です。副作用はエクロックゲルと同様に皮膚への刺激や口の渇きなどが報告されています。

🔸 塩化アルミニウム外用薬

塩化アルミニウムを用いた外用薬は、多汗症治療において以前から広く使われてきた方法です。汗腺の開口部を物理的に塞ぐことで発汗を抑制する仕組みです。以前は保険外で処方されることが多かったのですが、医師の処方箋による処方の形で保険適用となる場合があります。ただし、処方薬として認可されているものと院内製剤によるものでは保険の扱いが異なる場合があるため、医療機関で確認が必要です。

⚡ イオントフォレーシス

イオントフォレーシスは、水を張った容器に手や足を入れ、微弱な電流を流すことで発汗を抑制する治療法です。特に手掌多汗症や足底多汗症に有効とされています。医療機関で行う場合は保険適用となる場合がありますが、機器の種類や施術の内容によって異なります。また、家庭用の機器も販売されており、医師の指導のもとで自宅で行うことも可能です。

なお、ボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)は多汗症治療に非常に有効な治療法として知られていますが、現在のところ日本では多汗症に対するボトックス注射は保険適用外となっています。これについては後述の「保険適用外の治療法」の項で詳しく説明します。

Q. 多汗症の保険診療はどんな流れで受けられますか?

まず皮膚科を受診し、発汗部位・発症時期・日常生活への影響などを問診で伝えます。続発性多汗症を除外する血液検査やHDSSによる重症度評価を経て診断が確定し、保険適用と判断されれば処方箋が発行されます。調剤薬局で薬を受け取り治療を開始します。

🎯 5. 保険適用の診断基準(重症度の判定)

多汗症の保険適用を受けるにあたって、重症度の客観的な評価が必要となります。現在、最も広く使われているのが「HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)」と呼ばれるスケールです。

🌟 HDSSとは

HDSSは多汗症の重症度を4段階で評価するシステムです。患者さん自身が発汗による日常生活への影響度を自己申告し、医師がスコアを判定します。

スコア1は「発汗は気にならず、日常生活に支障なし」、スコア2は「発汗は気になるが、日常生活への支障はほとんどない」、スコア3は「発汗が気になり、日常生活に頻繁に支障をきたす」、スコア4は「発汗が気になり、日常生活に常に支障をきたす」という内容です。

保険適用の外用薬が処方されるのは、HDSSスコアが3または4、つまり中等症〜重症と判断された場合です。スコアが1または2の軽症の場合は、保険適用外の治療や生活習慣の改善が先に検討されることがあります。

💬 Minorヨード・デンプン試験

発汗の範囲や程度を客観的に確認するための検査として、「Minorヨード・デンプン試験」が行われることがあります。これは皮膚にヨード液を塗布し、乾燥後にデンプン粉をはたきつけると、発汗している部分が黒褐色に変色することを利用した検査です。発汗パターンを視覚的に確認することができ、治療効果の評価にも使われます。

✅ 発汗量の測定

一部の専門施設では、発汗量を定量的に測定する検査機器を用いて客観的なデータを取ることもあります。これにより治療前後の効果を数値で比較することが可能です。ただし、こうした精密な発汗量測定は一般的なクリニックでは行われないこともあり、診断の主軸はあくまで問診と重症度評価となります。

📝 他疾患の除外

保険適用の診断を受けるためには、多汗症が「原発性」であることを確認する必要があります。そのため、甲状腺機能や血糖値などの血液検査が行われ、全身疾患に伴う続発性多汗症でないことを確かめます。この鑑別は診断において欠かせないプロセスです。

💡 6. 保険適用の手続きと受診の流れ

多汗症の保険診療を受けるにあたって、どのような流れで受診・治療が進むのかを把握しておくと安心です。ここでは一般的な受診から治療開始までの流れを説明します。

🔸 ステップ1:受診する診療科を選ぶ

多汗症の診療を行う診療科は主に皮膚科です。また、形成外科や一部の内科でも対応しているケースがあります。多汗症の治療に積極的に取り組んでいるクリニックや、専門的な知識を持つ医師のもとで受診することが望ましいです。

最初は「汗が気になる」という主訴で受診しても問題ありません。医師が問診を通じて詳しく症状を確認していきます。

⚡ ステップ2:問診・診察

受診したら、まず医師による問診が行われます。発汗の部位、発症時期、発汗のきっかけ、睡眠中の発汗の有無、家族歴、日常生活への影響などについて詳しく聞かれます。この問診が診断の基礎となるため、できるだけ正確かつ詳しく自分の症状を伝えることが大切です。

また、HDSSによる重症度評価も問診の中で行われます。「日常生活にどの程度支障をきたしているか」を正直に答えることが重要です。

🌟 ステップ3:検査

必要に応じて、続発性多汗症を除外するための血液検査が行われます。甲状腺ホルモン値や血糖値、その他一般的な血液検査を通じて、基礎疾患がないかを確認します。また、場合によってはMinorヨード・デンプン試験などの皮膚科的検査が行われることもあります。

💬 ステップ4:診断と治療方針の説明

問診と検査の結果をもとに、医師が多汗症の診断を下します。原発性腋窩多汗症や原発性手掌多汗症などの診断名がつき、重症度評価のスコアが確認されます。その後、保険適用が可能な治療法について説明を受けます。

この時点で、保険適用の治療と自費治療の両方について説明を受け、患者さんの意向や生活スタイルに合わせた治療法を選択することになります。

✅ ステップ5:処方・治療開始

保険適用の外用薬が処方される場合、処方箋をもとに調剤薬局で薬を受け取ります。医師から使用方法や注意事項について説明を受けたうえで自宅での使用を開始します。

治療開始後は定期的に受診し、効果の確認や副作用の有無を確認します。効果が不十分な場合は薬の変更や追加治療が検討されます。

📝 保険診療における費用の目安

保険適用の場合、患者さんが負担する費用は医療費の1〜3割となります(保険の種類や年齢、所得によって異なります)。診察料に加えて、薬剤費の自己負担分が発生します。エクロックゲルやラピフォートワイプは保険収載されているため、1〜3割負担で処方を受けられます。

具体的な費用は医療機関や調剤薬局によっても異なりますが、一般的に自費診療と比較して大幅に安価となるため、保険適用の条件を満たしている場合は積極的に利用を検討されることをおすすめします。

Q. ボトックス注射は多汗症に保険適用されますか?

現時点では、日本において多汗症に対するボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)は保険適用外であり、全額自費診療となります。脇の下の場合、両側で数万円程度が一般的な費用相場です。効果は4〜9か月程度持続しますが、費用や適応については担当医師と十分に相談することが重要です。

📌 7. 保険適用外(自費診療)の治療法との違い

多汗症の治療には保険適用のものだけでなく、自費診療となる治療法も数多く存在します。保険適用外の治療法は一般的に費用が高くなりますが、効果の高さや即効性、適用できる部位の広さなどで優れているものも多くあります。

🔸 ボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)

ボツリヌス毒素(ボトックス)を発汗が多い部位に注射することで、汗腺への神経伝達を一時的に遮断し、発汗を抑制する治療法です。脇の下、手のひら、足の裏などの多汗症に対して非常に高い効果があることが知られています。

効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に4〜9か月程度とされており、効果が薄れたら再度注射が必要です。治療時間が比較的短く、即効性があることから、多くの患者さんに選ばれています。ただし、現在の日本では多汗症に対するボツリヌス毒素注射は保険適用外であるため、全額自費となります。費用は部位や注射量によって異なりますが、脇の下の場合で両側数万円程度が一般的です。

⚡ miraDry(マイラドライ)

miraDryはマイクロ波を用いて脇の下の汗腺を破壊する治療機器を使用した治療法です。1〜2回の施術で長期的な発汗抑制効果が期待でき、汗腺を物理的に破壊するため永続的な効果が見込まれます。ただし高額な費用がかかることと、ダウンタイムがあることが特徴です。現在は保険適用外の治療となります。

🌟 交感神経遮断術(ETS手術)

胸部交感神経遮断術(ETS:Endoscopic Thoracic Sympathectomy)は、内視鏡を用いて胸部の交感神経を遮断する外科的手術です。手掌多汗症に対しては非常に効果が高いとされていますが、代償性発汗(手の汗は減るが背中や腹部に多量の汗をかくようになる)などの副作用が問題となり、現在は適応が限定されています。手術を検討する場合は、メリットとデメリットを十分に医師と相談することが必要です。

💬 保険診療と自費診療の選択基準

保険適用の治療か自費治療かを選ぶ基準は、症状の部位と重症度、費用負担の許容範囲、治療の即効性への希望、副作用への懸念、ライフスタイルなど様々な要素によって決まります。

保険適用の外用薬は費用が抑えられる一方、効果が出るまでに時間がかかることがあります。一方、ボツリヌス毒素注射は即効性がある反面、定期的な注射が必要です。担当医師と十分に話し合いながら、自分に合った治療法を選択することが大切です。

✨ 8. 保険適用を受けるうえで知っておきたい注意点

保険適用の多汗症治療を受けるにあたって、事前に理解しておくべき注意点や知識があります。スムーズに治療を進めるためにも、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。

✅ 保険適用は随時変更される

医薬品の保険収載や保険適用の基準は、医学の進歩や行政の方針によって随時変更されることがあります。現時点での情報が将来的に変わる可能性があるため、最新の情報については受診する医療機関や厚生労働省の情報を確認することをおすすめします。また、「保険が使えると聞いたので」という理由だけで受診した際に、必ずしも保険適用になるとは限りませんので、診察を受けて医師に確認することが重要です。

📝 軽症の場合は保険適用外になることがある

HDSSスコアが2以下の軽症〜軽中等症の場合は、保険適用の外用薬が処方されないことがあります。この場合は市販の制汗剤の使用や生活習慣の改善が先に勧められることがあります。「汗が多くて困っている」と感じていても、医学的な評価では軽症と判断される場合があるため、必ず医師の診察を受けて判断を仰いでください。

🔸 診療科によって対応が異なる

多汗症の治療は主に皮膚科で行われますが、すべての皮膚科クリニックが多汗症治療に積極的に取り組んでいるとは限りません。特に、保険適用の外用薬を積極的に処方しているクリニックと、自費治療のみを扱うクリニックでは対応が異なります。受診前に「保険診療で多汗症の治療を受けたい」ということを事前に伝えておくとスムーズです。

⚡ 副作用への対応

保険適用の外用薬(抗コリン薬)を使用する際には、皮膚への刺激、かゆみ、赤み、乾燥などの局所的な副作用のほか、まれに口の渇き、目のかすみ、便秘、尿閉(尿が出にくくなる)などの全身性の副作用が起こることがあります。副作用が気になる場合はすぐに担当医師に相談してください。特に緑内障や前立腺肥大の方は使用に際して注意が必要なため、持病がある場合は必ず事前に医師に伝えましょう。

🌟 治療の継続性が重要

外用薬による多汗症治療は、使用を中止すると効果が薄れることがほとんどです。そのため、治療効果を維持するためには継続的な使用が必要です。副作用が強い場合や効果を感じない場合は自己判断で中止せず、必ず医師に相談してください。治療の途中経過についても定期的に受診して報告することが大切です。

💬 生活習慣の改善も並行して行う

薬による治療と並行して、生活習慣の見直しも多汗症の症状緩和に役立ちます。刺激物(カフェイン、辛い食べ物、アルコールなど)を控えること、適切な体重管理、ストレスの軽減、通気性のよい衣服の選択などが挙げられます。また、脇の下の多汗症に対しては、吸水性の高いパッドや制汗剤の使用を補助的に取り入れることも有効です。

✅ 精神的なサポートも大切に

多汗症は身体的な症状だけでなく、精神的な負担も大きい疾患です。「汗をかくかもしれない」という不安から人前に出ることが苦手になったり、社会参加が制限されたりすることもあります。治療によって症状が改善することで精神的な余裕が生まれることが多いですが、症状が長期間続いて精神的な影響が大きい場合は、心療内科や精神科との連携も視野に入れることがあります。

🔍 まとめ

多汗症の保険適用について、その条件や対象となる治療法、受診の流れ、注意点などを詳しく解説しました。重要なポイントを整理すると、保険適用を受けられるのは主に原発性腋窩多汗症(脇の下)および原発性手掌多汗症(手のひら)に対してであり、重症度評価(HDSS)でスコア3以上の中等症〜重症と診断された場合です。保険収載された外用薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプなど)が処方されることで、自費診療と比較して大幅に費用を抑えながら治療を受けることができます。

一方で、ボツリヌス毒素注射やmiraDryなど即効性が高い治療法の多くは現時点では自費診療となっています。保険適用か自費診療かは症状の程度や希望する治療効果によって異なるため、まずは医師に相談してご自身に合った治療法を選択することが大切です。

「汗が多くて困っている」という症状は、多汗症という疾患として適切な治療を受けることで改善できる可能性があります。日常生活への影響を感じている方は、ひとりで悩まず、皮膚科などの医療機関への受診を検討してみてください。適切な診断と治療によって、生活の質を大きく向上させることができます。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 保険適用される医薬品(エクロックゲル・ラピフォートワイプ等)の薬価収載・保険収載に関する情報、および診療報酬制度における保険適用条件の根拠情報として参照
  • 日本皮膚科学会 – 日本皮膚科学会が策定した原発性局所多汗症診療ガイドラインにおける診断基準・重症度評価(HDSSスコア)・治療法の推奨度に関する情報として参照
  • PubMed – 原発性多汗症の疫学(有病率)・病態メカニズム・各治療法(抗コリン外用薬・ボツリヌス毒素注射・イオントフォレーシス等)の有効性と安全性に関する国際的な臨床エビデンスとして参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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