はじめに
デリケートゾーンにしこりができて不安を感じている方は少なくありません。「これは何だろう」「病気かもしれない」と心配になっても、場所が場所だけに誰にも相談できず一人で悩んでしまうケースが多く見られます。
まんこ(外陰部)のしこりは、実は多くの女性が経験する症状の一つです。その原因は良性のものから、まれに悪性のものまで様々ですが、ほとんどのケースは適切な診断と治療によって改善が可能です。
本記事では、アイシークリニック渋谷院の診療経験をもとに、まんこ(外陰部)のしこりの主な原因、症状の見分け方、受診のタイミング、そして治療法について詳しく解説します。正しい知識を持つことで、不安を軽減し、適切な対処ができるようになることを目指しています。
まんこ(外陰部)のしこりとは
まんこ(外陰部)とは、女性の外性器全体を指す医学用語で、大陰唇、小陰唇、陰核、腟前庭などを含む部位のことです。この領域にできる「しこり」とは、皮膚や皮下組織に生じる腫瘤(しゅりゅう)の総称で、その大きさや硬さ、色、痛みの有無などは原因によって異なります。
まんこ(外陰部)は皮脂腺や汗腺が豊富で、下着による摩擦や蒸れが起こりやすい部位です。また、排泄や月経、性行為など、さまざまな要因で刺激を受けやすい環境にあります。そのため、他の部位に比べてしこりや腫れが生じやすい特徴があります。
しこりに気づいたとき、多くの方が「がんではないか」と心配されますが、実際には良性の病変であることが大半です。ただし、自己判断は危険ですので、気になる症状がある場合は婦人科や皮膚科を受診して正確な診断を受けることが重要です。
まんこ(外陰部)のしこりの主な原因
まんこ(外陰部)にできるしこりには、さまざまな原因があります。ここでは、臨床現場で比較的よく見られる代表的な疾患について詳しく解説します。
1. バルトリン腺嚢胞・バルトリン腺膿瘍
バルトリン腺は、腟口の左右に一対存在する分泌腺で、性的興奮時に粘液を分泌して潤滑作用を果たす器官です。この腺の出口が詰まると、分泌物が溜まって嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋状の腫瘤ができます。これがバルトリン腺嚢胞です。
症状の特徴
- 腟口の片側(通常は下方)に丸いしこりができる
- 小豆大からピンポン球大まで、大きさはさまざま
- 感染していない嚢胞は痛みを伴わないことが多い
- 細菌感染を起こすと膿瘍となり、強い痛み、発赤、腫脹、発熱を伴う
- 座ったり歩いたりすると痛みが増す
バルトリン腺嚢胞は、20代から40代の性活動期にある女性に多く見られます。日本産婦人科学会によると、女性の約2%が生涯に一度は経験するとされています。嚢胞自体は良性ですが、感染を繰り返す場合や日常生活に支障をきたす場合は治療が必要です。
2. 毛嚢炎(もうのうえん)
毛嚢炎は、毛穴に細菌(主に黄色ブドウ球菌)が感染して炎症を起こす状態です。外陰部は毛が密集している上、自己処理による刺激や下着の摩擦などで毛嚢炎が起こりやすい部位です。
症状の特徴
- 毛穴を中心とした小さな赤い膨らみ
- 中心に膿を持つことがある
- 軽い痛みやかゆみを伴う
- 複数個できることもある
- 触ると痛みが増すことがある
毛の処理方法(剃毛、脱毛など)との関連が深く、処理後に発症するケースが多く見られます。清潔に保ち、刺激を避けることで自然治癒することもありますが、悪化すると次に説明する粉瘤に進展することもあります。
3. 粉瘤(アテローム)
粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まってしこりになる良性腫瘍です。アイシークリニックでも治療の機会が多い疾患の一つです。
症状の特徴
- 皮膚の下に丸くて動くしこり
- 中央に黒い点(開口部)が見えることがある
- 通常は痛みがない
- 感染すると赤く腫れ、痛みを伴う(炎症性粉瘤)
- 悪臭のある内容物が出ることがある
- 大きさは数mmから数cm以上までさまざま
粉瘤は体のどこにでもできますが、外陰部にもしばしば発生します。自然に消えることはなく、時間とともに徐々に大きくなる傾向があります。感染を繰り返す場合や、大きくなって日常生活に支障をきたす場合は、外科的な摘出が推奨されます。
4. 外陰部静脈瘤
妊娠中や出産後の女性に多く見られる病態で、外陰部の静脈が拡張して蛇行し、しこり状に触れる状態です。
症状の特徴
- 柔らかく、青紫色のしこり
- 立っていると目立ち、横になると小さくなる
- 重苦しさや違和感を伴うことがある
- 複数の静脈が拡張して塊のように見えることもある
- 妊娠後期に悪化しやすい
妊娠中は子宮による骨盤内の静脈圧迫と、ホルモンの影響で静脈壁が弛緩することが原因です。多くの場合、出産後に自然に改善しますが、症状が強い場合は弾性ストッキングの着用や、生活指導が行われます。
5. 性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって起こる性感染症です。初感染時には複数の水疱や潰瘍ができ、しこりのように感じられることがあります。
症状の特徴
- 初期は赤い小さな水疱が複数できる
- 水疱が破れて痛みの強い潰瘍になる
- 強い痛みや灼熱感を伴う
- リンパ節の腫れや発熱を伴うことがある
- 排尿時の痛みが出ることもある
- 再発を繰り返す傾向がある
性器ヘルペスは、日本性感染症学会によると、20代から30代の女性に多く見られる感染症です。一度感染するとウイルスは体内に潜伏し、体調不良やストレスなどで再発することがあります。
6. 尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)の6型や11型の感染によって起こる性感染症で、イボ状の病変が特徴です。
症状の特徴
- カリフラワー状やニワトリのトサカ状の突起
- 薄いピンク色から褐色のイボ
- 通常は痛みがない
- かゆみを伴うことがある
- 複数個できることが多い
- 徐々に大きくなったり数が増えたりする
尖圭コンジローマは良性の病変ですが、放置すると増殖して範囲が広がる可能性があります。また、パートナーへの感染リスクもあるため、早期の治療が推奨されます。
7. その他の原因
上記以外にも、外陰部のしこりの原因となる病態があります。
脂肪腫 皮下の脂肪組織が増殖してできる良性腫瘍です。柔らかく、痛みを伴わないしこりとして触れます。
線維腫 結合組織が増殖してできる良性腫瘍で、硬めのしこりとして触れます。
外陰がん まれですが、外陰部に悪性腫瘍ができることもあります。50歳以上の女性に多く、持続する潰瘍や出血を伴うしこりが特徴です。早期発見が重要なため、気になる症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。
皮様嚢腫(類皮嚢腫) 胎児期の組織の残存によってできる嚢胞性の腫瘤で、内部に毛髪や脂肪、歯などが含まれることがあります。
症状による見分け方のポイント
外陰部のしこりは、その特徴から原因をある程度推測することができます。ただし、最終的な診断は医師による診察と検査が必要ですので、あくまで参考としてください。
痛みの有無で判断する
痛みがある場合
- バルトリン腺膿瘍:強い痛み、腫れ、発赤、発熱
- 炎症性粉瘤:赤く腫れて痛い、膿が出ることがある
- 性器ヘルペス:激しい痛みや灼熱感、複数の水疱・潰瘍
- 毛嚢炎:軽度の痛み、赤い小さな膨らみ
痛みがない場合
- バルトリン腺嚢胞:感染していなければ無痛
- 粉瘤:感染していなければ無痛
- 脂肪腫・線維腫:通常は無痛
- 尖圭コンジローマ:痛みはないがかゆみを伴うことがある
色や形状で判断する
赤色・赤褐色
- 毛嚢炎
- 炎症性粉瘤
- 性器ヘルペス(初期)
肌色から薄いピンク色
- 尖圭コンジローマ
- バルトリン腺嚢胞(大きくなると皮膚が引き伸ばされて薄く見える)
- 粉瘤
青紫色
- 外陰部静脈瘤
表面の性状
- 滑らか:嚢胞、脂肪腫など
- イボ状・ブツブツ:尖圭コンジローマ
- 中央に黒点:粉瘤
- 水疱:性器ヘルペス
硬さで判断する
柔らかい
- バルトリン腺嚢胞
- 脂肪腫
- 外陰部静脈瘤
やや硬い
- 粉瘤
- 線維腫
硬い
- 悪性腫瘍の可能性(ただし良性でも硬いものはある)
発症のタイミング
性行為後に出現
- 性感染症(ヘルペス、コンジローマ)の可能性
妊娠中・産後
- 外陰部静脈瘤
- バルトリン腺嚢胞(妊娠による体調変化で発症しやすい)
毛の処理後
- 毛嚢炎
- 炎症性粉瘤
受診が必要なケースと緊急性
外陰部のしこりに気づいたとき、どのようなケースで医療機関を受診すべきか、判断の目安をお伝えします。
すぐに受診すべきケース
以下のような症状がある場合は、できるだけ早く婦人科や皮膚科を受診してください。
- 強い痛みがある
- 座る、歩くなどの日常動作に支障がある
- 痛みで眠れない
- ズキズキとした拍動性の痛みがある
- 発熱を伴う
- 38度以上の熱がある
- 悪寒や全身倦怠感がある
- 急速に大きくなる
- 数日で明らかにサイズが増大している
- 急に腫れてきた
- 出血がある
- しこりから出血している
- 不正出血を伴う
- 排尿困難がある
- 尿が出にくい
- 排尿時に激しい痛みがある
これらの症状は、感染の拡大や重症化のサインである可能性があり、早期の治療介入が必要です。特にバルトリン腺膿瘍や炎症性粉瘤の場合、適切な治療を受けないと膿瘍が拡大し、周囲組織への感染が広がる恐れがあります。
早めに受診すべきケース
緊急性は高くありませんが、以下のような場合は早めに医療機関を受診することをお勧めします。
- しこりが持続している
- 2週間以上経っても消えない
- 徐々に大きくなっている
- 繰り返しできる
- 同じ場所に何度もしこりができる
- 治ってもすぐに再発する
- 複数のしこりがある
- いくつものしこりが同時にある
- 範囲が広がっている
- 外観の変化がある
- 色が変わってきた
- 形が変化している
- 表面が崩れている
- 日常生活に支障がある
- 下着との摩擦で不快
- 見た目が気になる
- 心理的なストレスがある
経過観察でよいケース
以下のような場合は、清潔を保ちながら数日間経過を見てもよいでしょう。ただし、悪化傾向があればすぐに受診してください。
- 小さな毛嚢炎で、痛みが軽度
- サイズが小さく(5mm以下)、痛みもない
- 明らかな外傷後の一時的な腫れ
それでも心配な場合や、判断に迷う場合は、遠慮せずに医療機関を受診することをお勧めします。
診察と検査の流れ
外陰部のしこりで医療機関を受診する際、どのような診察や検査が行われるのかを知っておくと、不安が軽減されるでしょう。
問診
まず、医師から以下のような質問があります。
- いつ頃気づいたか
- どのように発症したか(急に、徐々に)
- 痛みや他の症状の有無
- 大きさの変化
- 過去に同様の症状があったか
- 月経周期との関連
- 性行為の有無
- 既往歴や服用中の薬
- アレルギーの有無
これらの情報は診断の重要な手がかりとなりますので、できるだけ詳しく伝えてください。
視診・触診
医師が実際に患部を観察し、触診を行います。
- しこりの位置、大きさ、硬さ
- 色や表面の状態
- 圧痛の有無
- 可動性(動くかどうか)
- 周囲組織の状態
- リンパ節の腫れの有無
外陰部の診察は抵抗があるかもしれませんが、正確な診断のために必要な検査です。多くの医療機関では、女性医師を選択できたり、看護師が付き添ったりするなど、患者さんが安心して受診できる配慮がなされています。
検査
必要に応じて、以下のような検査が行われます。
超音波検査(エコー) しこりの内部構造や深さ、周囲組織との関係を調べます。嚢胞性か充実性か、血流があるかなどを評価できます。
細菌培養検査 感染が疑われる場合、原因菌を特定するために膿や分泌物を採取して培養検査を行います。適切な抗菌薬の選択に役立ちます。
組織生検 しこりの一部を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。悪性腫瘍との鑑別が必要な場合や、診断が困難な場合に行われます。
性感染症検査 性器ヘルペスや尖圭コンジローマが疑われる場合、ウイルス検査や抗体検査を行います。
血液検査 炎症の程度や全身状態を評価するために、白血球数やCRP(炎症反応の指標)などを測定することがあります。
診断までの時間
多くの場合、視診と触診で診断がつきます。検査が必要な場合でも、超音波検査などは当日中に結果が分かります。細菌培養や組織生検の結果が出るまでには、数日から1週間程度かかることがあります。
治療法
外陰部のしこりの治療法は、原因によって異なります。ここでは主な疾患ごとの治療法を解説します。
バルトリン腺嚢胞・膿瘍の治療
保存的治療 小さな嚢胞で症状がない場合は、経過観察のみで問題ありません。温めることで自然に開口して内容物が排出されることもあります。
抗菌薬治療 感染を起こして膿瘍になっている場合は、抗菌薬の内服や点滴が必要です。
穿刺・切開排膿 膿瘍が大きい場合や痛みが強い場合は、局所麻酔下で切開して膿を排出します。即座に症状が改善しますが、再発率が高いという欠点があります。
造袋術(開窓術) 繰り返し再発する場合は、嚢胞の壁と皮膚を縫い合わせて新しい開口部を作る手術(造袋術)を行います。再発率が低く、根本的な治療となります。
摘出術 再発を繰り返す場合や、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合は、嚢胞を完全に摘出する手術を行うこともあります。
毛嚢炎の治療
基本的なケア 清潔を保ち、患部を刺激しないようにします。温かいタオルで患部を温めると、血流が改善して治癒が促進されます。
抗菌薬外用 抗菌薬を含む軟膏やクリームを塗布します。市販薬では、抗生物質を含む薬剤が効果的です。
抗菌薬内服 広範囲に及ぶ場合や、症状が強い場合は、抗菌薬の内服が必要になることもあります。
予防 毛の処理方法を見直すことが重要です。カミソリよりも電気シェーバーの方が肌への刺激が少なく、毛嚢炎のリスクが低くなります。
粉瘤の治療
粉瘤は自然治癒しないため、根本的な治療には手術による摘出が必要です。アイシークリニックでも多くの粉瘤治療を行っています。
炎症がない時期の手術 通常の粉瘤摘出は、局所麻酔下で行う日帰り手術です。皮膚を小さく切開し、袋状の構造物(嚢腫壁)ごと完全に摘出します。嚢腫壁を残さずに取り除くことが再発予防の鍵です。
手術時間は15分から30分程度で、摘出後は縫合します。抜糸は約1週間後に行います。
炎症を起こしている場合 炎症性粉瘤(感染して赤く腫れている状態)の場合、まず抗菌薬治療を行い、炎症が落ち着いてから摘出手術を行うのが原則です。ただし、膿瘍が形成されている場合は、先に切開排膿を行うこともあります。
くり抜き法 小さな粉瘤に対しては、特殊な器具を用いて嚢腫内容物と壁を一緒に取り除く「くり抜き法」という方法もあります。傷が小さく済むというメリットがあります。
外陰部静脈瘤の治療
保存的治療 妊娠中の外陰部静脈瘤は、出産後に自然に改善することが多いため、まずは保存的治療を行います。
- 長時間の立位を避ける
- 横になる時間を増やす
- 弾性ストッキングの着用
- 骨盤底筋体操
手術療法 産後も症状が持続し、日常生活に支障がある場合は、硬化療法や手術的結紮、レーザー治療などが検討されます。
性器ヘルペスの治療
抗ウイルス薬 アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどの抗ウイルス薬を内服します。早期に治療を開始するほど効果が高く、症状の持続期間が短縮されます。
初感染の場合は7〜10日間、再発の場合は5日間程度の内服が一般的です。
対症療法 痛みが強い場合は、鎮痛薬や局所麻酔薬を含む軟膏を使用します。患部を清潔に保ち、刺激を避けることも重要です。
再発抑制療法 年に6回以上再発を繰り返す場合は、毎日抗ウイルス薬を服用する再発抑制療法が推奨されます。この治療により、再発頻度を大幅に減らすことができます。
尖圭コンジローマの治療
外用薬治療 イミキモドクリーム(ベセルナクリーム)を自宅で塗布する方法です。免疫を活性化してウイルスを排除します。週に3回、就寝前に塗布し、翌朝洗い流します。治療期間は最長16週間です。
凍結療法 液体窒素を用いてイボを凍結させて壊死させる方法です。1〜2週間おきに複数回の治療が必要です。
電気焼灼・レーザー治療 電気メスやCO2レーザーでイボを焼灼する方法です。範囲が広い場合や、他の治療で効果が不十分な場合に行われます。局所麻酔下で施行します。
外科的切除 大きなイボや数が多い場合は、局所麻酔下でメスを用いて切除することもあります。
治療後も再発することがあるため、定期的な経過観察が重要です。また、性感染症なので、パートナーの検査と治療も必要です。
その他の腫瘤の治療
脂肪腫・線維腫 症状がなければ経過観察でよいですが、大きくなって日常生活に支障をきたす場合や、美容的な理由で希望される場合は、外科的に摘出します。
外陰がん 悪性腫瘍の場合は、進行度に応じて手術療法、放射線療法、化学療法などが選択されます。専門的な治療が必要なため、大学病院やがん専門病院への紹介となります。
予防とセルフケア
外陰部のしこりを完全に予防することは難しいですが、リスクを減らすための方法があります。
日常生活での注意点
清潔を保つ
- 毎日入浴し、外陰部を優しく洗う
- 石鹸は刺激の少ないものを選ぶ
- ボディソープの泡は十分に洗い流す
- 洗いすぎは逆効果なので、1日1回で十分
適切な下着の選択
- 通気性の良い綿素材の下着を選ぶ
- サイズの合った、締め付けすぎない下着を着用
- こまめに交換して清潔を保つ
- 生理用ナプキンやおりものシートは頻繁に交換する
毛の処理方法
- カミソリよりも電気シェーバーを使用
- 処理前後に消毒を行う
- 毛の流れに沿って処理する
- 処理後は保湿する
- 頻繁な処理は避ける
摩擦や刺激を避ける
- きつい衣類やジーンズの長時間着用を避ける
- 自転車やバイクに長時間乗る場合はクッションを使用
- 激しい運動後はすぐにシャワーを浴びる
性感染症の予防
安全な性行為
- コンドームを正しく使用する
- 不特定多数との性行為を避ける
- パートナーとの相互理解と検査
HPVワクチン接種 尖圭コンジローマや子宮頸がんの原因となるHPVの感染を予防するワクチンがあります。厚生労働省は、小学6年生から高校1年生相当の女子を対象に、定期接種を推奨しています。
生活習慣の改善
免疫力の維持
- 十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がける
- 適度な運動を行う
- ストレスを溜めない
体調管理
- 疲れを感じたら無理をしない
- 風邪などの感染症にかからないよう注意
- 持病がある場合は適切に管理する
早期発見のために
セルフチェック 月に1回程度、入浴時などに外陰部に異常がないか確認する習慣をつけましょう。鏡を使って観察すると、変化に気づきやすくなります。
定期検診 年に1回は婦人科検診を受けることをお勧めします。子宮頸がん検診と同時に、外陰部の異常についても相談できます。

よくある質問
まんこ(外陰部)のしこりについて、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
A. 強い痛みや発熱がある場合、急速に大きくなる場合、出血がある場合は、すぐに受診してください。痛みがなく小さなしこりの場合は、数日間様子を見てもよいですが、2週間以上持続する場合は受診をお勧めします。
A. 基本的にはどちらでも診察可能ですが、以下を参考にしてください。
腟口近くのしこり、性感染症が疑われる場合:婦人科
陰毛部やそけい部のしこり、皮膚表面の病変:皮膚科または婦人科
判断に迷う場合は、まず婦人科を受診するとよいでしょう。
Q3. 診察時に恥ずかしさを感じてしまいます
A. デリケートな部位の診察に抵抗を感じるのは自然なことです。多くの医療機関では、女性医師を選択できたり、看護師が付き添ったりするなど配慮がされています。また、医師は毎日多くの患者さんを診察しており、プロフェッショナルな対応をしますので、安心して受診してください。
Q4. 粉瘤を自分で潰してもよいですか?
A. 自分で潰すことは絶対に避けてください。感染を起こして炎症が悪化したり、内容物が周囲に広がって炎症が拡大したりする危険があります。また、不完全な処置では再発率が高くなります。必ず医療機関で適切な治療を受けてください。
Q5. 妊娠中にしこりができました。治療できますか?
A. 妊娠中でも治療可能な場合が多いですが、使用できる薬剤や治療法に制限があります。まずは産婦人科医に相談し、適切な治療方針を決定してください。多くの場合、出産後に改善するしこりもあるため、緊急性がなければ出産後まで様子を見ることもあります。
Q6. しこりががんではないか心配です
A. 外陰部の悪性腫瘍は比較的まれで、ほとんどのしこりは良性です。ただし、以下のような特徴がある場合は、より注意が必要です。
- 50歳以上で新たに出現したしこり
- 硬くて動かないしこり
- 潰瘍を伴うしこり
- 持続する出血
- 急速に大きくなるしこり
これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
Q7. 性感染症のしこりの場合、パートナーにも治療が必要ですか?
A. 性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどの性感染症が原因の場合、パートナーも感染している可能性があります。パートナーにも検査と必要に応じて治療を受けてもらうことが重要です。これは再発防止とさらなる感染拡大の予防につながります。
Q8. 治療後、再発することはありますか?
A. 病変によって再発率は異なります。
- バルトリン腺嚢胞:切開排膿のみでは再発しやすいが、造袋術や摘出術後は再発率が低い
- 粉瘤:嚢腫壁を完全に摘出すれば再発はまれだが、不完全な摘出では再発する
- 性器ヘルペス:ウイルスは体内に残るため再発する可能性がある
- 尖圭コンジローマ:治療後も再発することがある
再発を防ぐためには、適切な治療を受けること、そして予防策を継続することが重要です。
Q9. 保険診療で治療できますか?
A. ほとんどの場合、保険診療で治療可能です。ただし、美容目的のみの治療(機能的な問題がない小さな脂肪腫の摘出など)は、自費診療となることがあります。治療前に医療機関に確認することをお勧めします。
Q10. 手術の痛みはどのくらいですか?
A. ほとんどの手術は局所麻酔で行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じる程度です。術後は鎮痛薬で痛みをコントロールできます。痛みの感じ方には個人差がありますので、不安な場合は事前に医師に相談してください。
まとめ
まんこ(外陰部)のしこりは、多くの女性が経験する可能性のある症状です。その原因はバルトリン腺嚢胞、毛嚢炎、粉瘤、性感染症など様々ですが、ほとんどの場合は良性で、適切な治療により改善が可能です。
重要なポイント
- 自己判断せず医療機関を受診する しこりの原因は見た目だけでは判断できません。特に痛みがある、大きくなる、出血があるなどの症状がある場合は、早めに婦人科や皮膚科を受診してください。
- 早期発見・早期治療が大切 放置すると悪化したり、治療が複雑になったりすることがあります。気になる症状があれば、遠慮せずに相談しましょう。
- 予防とセルフケアを心がける 清潔を保つ、適切な下着を選ぶ、刺激を避けるなど、日常生活での工夫でリスクを減らすことができます。
- 性感染症には特別な注意を 性感染症が原因の場合は、自分だけでなくパートナーの治療も必要です。また、再発予防のための対策も重要です。
- 定期的なセルフチェックを 月に1回程度、外陰部に異常がないか確認する習慣をつけましょう。変化に早く気づくことで、早期治療につながります。
アイシークリニック渋谷院では、まんこ(外陰部)のしこりを含む様々な皮膚・皮下腫瘤の診療を行っています。粉瘤の日帰り手術にも対応しており、経験豊富な医師が丁寧に診察・治療いたします。
デリケートな部位のことで相談しにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちは毎日多くの患者さんの診療を行っており、プライバシーに配慮した診療を心がけています。一人で悩まず、気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2020」
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_fujinka_2020.pdf - 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
https://www.dermatol.or.jp/qa/ - 日本性感染症学会「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2020」
http://jssti.umin.jp/pdf/guideline-2020.pdf - 厚生労働省「性感染症」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html - 日本産婦人科学会「女性の健康Q&A」
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php - 国立感染症研究所「性器ヘルペスとは」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/408-hsv-intro.html - 日本婦人科腫瘍学会「外陰がん治療ガイドライン」
http://jsgo.or.jp/guideline/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務