顔や体に細い赤い血管が透けて見えるようになっていませんか?それ、放置すると自然には治りません。
🗣️「ステロイド外用薬を長く使っていたら、顔に赤い血管が目立つようになった…」
そんな経験がある方、実はとても多いんです。
💬 皮膚科専門医が原因・症状・治療法をまるごと解説します。
「自分の赤みはステロイドのせい?」と気になっている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
- 毛細血管拡張症とはどのような状態か
- 毛細血管拡張症の主な種類と特徴
- ステロイドと毛細血管拡張症の関係
- ステロイドによる毛細血管拡張が起きやすい部位と条件
- ステロイド以外に毛細血管拡張症を引き起こす原因
- 毛細血管拡張症の症状と見た目の特徴
- 毛細血管拡張症の診断方法
- 毛細血管拡張症の治療法・改善方法
- ステロイドを使用する際の注意点と予防策
- まとめ
この記事のポイント
ステロイド外用薬の長期・不適切使用は毛細血管拡張症を引き起こし、特に顔面でリスクが高い。一度生じると自然治癒はほぼなく、レーザー治療やIPLが有効。予防には医師の指示に従った適正使用が重要。
💡 毛細血管拡張症とはどのような状態か
毛細血管拡張症(もうさいけっかんかくちょうしょう)とは、皮膚の浅い部分にある毛細血管や細静脈が恒久的に拡張し、皮膚の表面から赤や青紫色の細い血管が透けて見える状態を指します。英語では「telangiectasia(テランジェクタジア)」と呼ばれ、医学的には皮膚疾患の一種として分類されています。
健康な皮膚にも毛細血管は張り巡らされていますが、通常は皮膚の深い層に存在しており、外から肉眼で確認できることはほとんどありません。しかし、何らかの原因によって毛細血管が持続的に拡張した状態になると、皮膚の表面から血管が透けて見えるようになります。
毛細血管拡張症は、それ自体が命に関わるような危険な病気ではありませんが、見た目に影響を与えることから、多くの方が気になる症状の一つです。また、体の内部に何らかの疾患があることを示すサインである場合もあるため、適切な診断を受けることが大切です。
毛細血管の拡張が起きる仕組みとしては、血管を収縮させる機能の低下や、血管壁を支える組織の弱化などが挙げられます。通常、毛細血管は自律神経の働きによって適度に収縮と拡張を繰り返していますが、この機能が損なわれると血管が広がったままになってしまいます。
Q. 毛細血管拡張症とはどのような状態ですか?
毛細血管拡張症とは、皮膚の浅い部分にある毛細血管や細静脈が恒久的に拡張し、皮膚表面から赤や青紫色の細い血管が透けて見える状態です。英語では「telangiectasia」と呼ばれ、皮膚疾患の一種に分類されます。命に関わる病気ではないものの、内臓疾患のサインとなる場合もあるため、適切な診断が重要です。
📌 毛細血管拡張症の主な種類と特徴
毛細血管拡張症にはいくつかの種類があり、それぞれ原因や現れやすい部位、見た目の特徴が異なります。代表的なものを以下にまとめます。
✅ クモ状血管腫(スパイダー血管腫)
中心となる1本の血管から、周囲に細い血管が放射状に広がっているもので、その形がクモの巣のように見えることからこの名前がつけられました。顔や体幹部に現れやすく、主に肝臓の疾患(肝硬変など)やホルモンバランスの変化(妊娠・ピルの服用など)によって生じることが多いとされています。子どもにも見られますが、成長とともに自然に消えることもあります。
📝 遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)
遺伝性の疾患で、皮膚や粘膜の毛細血管が全身のさまざまな場所で拡張する状態です。鼻血が繰り返し出ることが特徴的で、消化管や肺などの内臓にも血管の異常が生じることがあります。常染色体優性遺伝のパターンをとり、家族内に同様の症状を持つ方がいることが多いです。
🔸 酒さ(ロザセア)に伴う毛細血管拡張症
酒さは、顔面の慢性的な炎症性疾患で、頬や鼻、額などに赤みや毛細血管の拡張が見られます。酒さに伴う毛細血管拡張症は、炎症が長期間続くことで血管壁が徐々に弱くなり、元の状態に戻れなくなることで生じます。紫外線や辛い食べ物、アルコール、ストレスなどが悪化因子とされています。
⚡ ステロイド誘発性毛細血管拡張症
ステロイド外用薬の長期使用によって引き起こされる毛細血管拡張症です。特に顔面に多く見られ、薬を使用していた部位に一致して赤い血管が透けて見えるようになります。ステロイドとの関係については、次のセクションで詳しく解説します。
🌟 本態性毛細血管拡張症
特定の基礎疾患や明確な原因がなく、主に下肢に赤や青紫色の細い血管が広がって見える状態です。女性に多く、ホルモンの影響や遺伝的要因、長時間の立ち仕事などが関係していると考えられています。
✨ ステロイドと毛細血管拡張症の関係
ステロイド(副腎皮質ステロイド)は、強力な抗炎症作用・免疫抑制作用を持つ薬剤で、アトピー性皮膚炎や湿疹、乾癬など多くの皮膚疾患の治療に広く用いられています。しかし、特に外用薬(塗り薬)として長期間にわたって使用したり、顔のような皮膚が薄い部位に高ランクのステロイドを使用したりすると、毛細血管拡張症を引き起こすことがあります。
💬 ステロイドが毛細血管拡張を引き起こす仕組み
ステロイドには皮膚の構成成分であるコラーゲンやエラスチンの合成を抑制する作用があります。これらのタンパク質は皮膚の弾力性を保つとともに、毛細血管の周囲を支える組織の一部でもあります。コラーゲンやエラスチンが減少すると、血管周囲のサポート組織が弱体化し、毛細血管が拡張しやすくなります。
また、ステロイドには血管収縮作用があります。外用ステロイドを使用している間は、この収縮作用によって皮膚の赤みが一時的に抑えられますが、長期間使い続けると血管がこの薬剤に慣れ(タキフィラキシーと呼ばれる反応)、逆に薬を使わないときには血管が拡張しやすい状態になっていきます。
さらに、ステロイドを長期間使用することで皮膚全体が薄くなる「皮膚萎縮」が起きます。皮膚が薄くなることで毛細血管が皮膚表面に近づき、外から見えやすくなるという効果も生じます。これらの複数のメカニズムが組み合わさることで、ステロイドによる毛細血管拡張症が引き起こされます。
✅ 外用ステロイドの強さとリスクの関係
外用ステロイドは、その強さによってI群(strongest)からV群(weak)の5段階に分類されています。一般的に、強さのランクが高いほど(I群・II群)副作用が出やすく、毛細血管拡張症のリスクも高くなります。ただし、弱いランクのステロイドであっても、長期間・大量に使用すれば同様のリスクが生じます。
特に注意が必要なのは、顔面への使用です。顔の皮膚は他の部位に比べてもともと薄く、ステロイドの吸収率も高いため、同じ量のステロイドを使用しても副作用が出やすい傾向があります。そのため、顔への外用ステロイドはできるだけ弱いランクのものを短期間にとどめることが推奨されています。
📝 内服・注射ステロイドとの違い
毛細血管拡張症は外用ステロイドで起きることが最も多いですが、内服ステロイドや注射ステロイドでも長期使用によって皮膚の菲薄化(薄くなること)や毛細血管拡張が生じることがあります。関節内ステロイド注射を繰り返し受けた部位の皮膚が薄くなり、血管が透けて見えるようになるケースも報告されています。
Q. ステロイドが毛細血管拡張症を引き起こす仕組みは?
ステロイド外用薬は、皮膚のコラーゲンやエラスチンの合成を抑制し、血管周囲のサポート組織を弱体化させます。また長期使用により皮膚全体が薄くなる「皮膚萎縮」が起き、毛細血管が表面に近づき透けやすくなります。さらに血管がステロイドの収縮作用に慣れ、薬がないと拡張しやすい状態になることも原因のひとつです。
🔍 ステロイドによる毛細血管拡張が起きやすい部位と条件
ステロイドによる毛細血管拡張は、すべての使用者に必ず起きるわけではありません。特定の条件や部位で発生リスクが高まることが知られています。
🔸 起きやすい部位
顔面、特に頬・鼻・額・口周りはステロイドによる毛細血管拡張が最も起きやすい場所です。前述のように、顔の皮膚はもともと薄く、ステロイドの吸収量が多いためです。また、首や前胸部・デコルテなども皮膚が比較的薄く、毛細血管拡張が生じやすい部位です。
一方、背中や足、手のひらなど皮膚が厚い部位では、同じ量のステロイドを使用しても毛細血管拡張が起きにくい傾向があります。
⚡ 起きやすい条件
使用期間が長いほどリスクは高まります。一般的に、数週間の使用では目立った毛細血管拡張は生じないとされていますが、数か月から数年にわたる長期使用では明確なリスクがあります。また、使用するステロイドの強さが高いほど(I群・II群)、使用量が多いほどリスクが増大します。
密封療法(ラップなどで覆って使用する方法)はステロイドの浸透率を高めるため、毛細血管拡張のリスクも高まります。年齢的には、皮膚が薄くなる高齢者や、皮膚がデリケートな乳幼児でもリスクが高まることがあります。
個人差もあります。同じ使用状況であっても、もともと皮膚が薄い方や、遺伝的に血管の弾力性が低い方では毛細血管拡張が起きやすいことがあります。
💪 ステロイド以外に毛細血管拡張症を引き起こす原因
毛細血管拡張症の原因はステロイドだけではありません。日常生活の中にも、毛細血管拡張症を引き起こしたり悪化させたりするさまざまな要因があります。
🌟 紫外線(UV)
長年にわたる紫外線の影響は、皮膚の老化を加速させ、コラーゲンやエラスチンの分解を促進します。紫外線によってダメージを受けた皮膚では、毛細血管を支えるサポート組織が弱体化し、毛細血管が拡張しやすくなります。特に屋外での仕事が多い方や、日焼け対策をせずに長年過ごしてきた方に多く見られます。
💬 加齢
加齢に伴ってコラーゲンやエラスチンの産生が減少し、皮膚の弾力性が低下します。それと同時に、皮膚自体も薄くなるため、毛細血管が透けて見えやすくなります。加齢による毛細血管拡張症は、特に顔面や首、胸部などに多く見られます。
✅ ホルモンバランスの変化
妊娠中はエストロゲンの増加によって血管が拡張しやすくなるため、毛細血管拡張症が生じることがあります。経口避妊薬(ピル)の服用も同様の影響を与えることがあります。更年期のホルモン変化も毛細血管に影響を与えることが知られています。
📝 慢性的な温度刺激
繰り返す高温への暴露(サウナの頻繁な使用、火の近くでの長時間作業など)や、逆に極端な寒さへの暴露も血管の弾力性に影響を与えることがあります。急激な温度変化を繰り返すことで、血管の収縮・拡張のサイクルが過剰になり、血管壁が疲弊する可能性があります。
🔸 アルコールの過剰摂取
アルコールは血管を拡張させる作用があります。慢性的な多量飲酒は持続的な血管拡張を引き起こすとともに、肝臓へのダメージを通じて間接的にも毛細血管拡張症のリスクを高めます。肝硬変ではクモ状血管腫が多発することが知られています。
⚡ 遺伝的要因
家族内に毛細血管拡張症の方がいる場合、遺伝的に毛細血管拡張症になりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。特に遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)は遺伝性の疾患です。
🌟 その他の疾患
強皮症、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患、酒さ(ロザセア)、肝硬変などの内臓疾患が、毛細血管拡張症と関連していることがあります。これらの疾患がある場合には、根本的な疾患の治療が重要です。
Q. 毛細血管拡張症の治療法として何が有効ですか?
毛細血管拡張症の治療として最も広く行われているのはレーザー治療で、Nd:YAGレーザーやパルス色素レーザー(PDL)が代表的です。拡張した血管を選択的に破壊しながら周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えられます。IPL(光治療)も有効で、シミなど他の肌悩みにも同時にアプローチできます。アイシークリニックでもご相談をお受けしております。

🎯 毛細血管拡張症の症状と見た目の特徴
毛細血管拡張症の症状や見た目は、その種類や原因によって多少異なりますが、共通する特徴もあります。
💬 見た目の特徴
皮膚の表面に、直径0.5〜1mmほどの細い赤や青紫色の血管が透けて見えます。その形状は直線状のものから、網目状・放射状・蛇行状などさまざまです。圧迫すると一時的に色が薄くなりますが、圧迫を解除するとすぐに元の色に戻ります。これが毛細血管拡張症の特徴的な所見の一つです(点状出血斑との鑑別に使われます)。
顔面に生じる場合は、頬・鼻・額を中心に網目状に赤い血管が広がることが多く、赤みがかった皮膚の色(紅潮)を背景に血管が目立つことがあります。
✅ 自覚症状
毛細血管拡張症そのものは、多くの場合、痛みやかゆみなどの自覚症状は伴いません。ただし、酒さに伴う毛細血管拡張症の場合には、皮膚のほてり感や熱感、ひりひり感などを感じることがあります。また、ステロイドによる毛細血管拡張症では、使用していたステロイドを中止した際に、かゆみや皮膚の不快感が生じることもあります。
📝 ステロイド誘発性毛細血管拡張症の特徴的な症状
ステロイドによる毛細血管拡張症では、ステロイドを使用していた部位に一致して症状が現れます。使用部位の皮膚が全体的に薄くなり(皮膚萎縮)、血管が透けて見えるようになります。また、皮膚にテカリが出たり、皮膚のキメが失われたりすることもあります。ステロイドの使用を中止すると、反動として皮膚が赤くなったり(リバウンド)、かゆみや灼熱感が生じたりすることがあります。
💡 毛細血管拡張症の診断方法
毛細血管拡張症の診断は、主に皮膚科専門医による視診と問診によって行われます。
🔸 問診
診断にあたって医師は、症状がいつから始まったか、どのような部位に出ているか、ステロイドなどの薬剤の使用歴があるか、家族に同様の症状がある方はいるか、肝臓の疾患やホルモン関連の問題があるかなど、詳しく問診を行います。ステロイドを使用していた場合には、使用していた薬の種類・強さ・期間・部位なども重要な情報です。
⚡ 視診・ダーモスコピー
肉眼での視診に加え、ダーモスコープ(皮膚鏡)を用いた観察が行われることがあります。ダーモスコープは皮膚を拡大して観察できる機器で、毛細血管の形状や分布パターンをより詳しく確認することができます。これにより、毛細血管拡張症の種類の判定や、悪性疾患との鑑別に役立てられます。
🌟 血液検査・その他の検査
毛細血管拡張症の背景に全身疾患(肝臓疾患・自己免疫疾患など)が疑われる場合には、血液検査が追加されることがあります。遺伝性出血性毛細血管拡張症(オスラー病)が疑われる場合には、遺伝子検査や内臓の画像検査が行われることもあります。
Q. 顔へのステロイド使用で毛細血管拡張を予防するには?
顔の皮膚は他の部位より薄くステロイドの吸収率が高いため、原則としてIII群以下の弱いランクのステロイドを短期間のみ使用することが推奨されます。自己判断で使用量を増やしたり長期使用を続けたりせず、医師の指示を守ることが最重要です。また定期的に皮膚科でフォローアップを受け、早期に副作用の有無を確認することも大切です。
📌 毛細血管拡張症の治療法・改善方法
毛細血管拡張症の治療法は、原因や症状の程度によって異なります。自然に消えることはほとんどなく、多くの場合は医療的な介入が必要です。代表的な治療法を以下に解説します。
💬 レーザー治療

毛細血管拡張症の治療として最も広く行われているのが、レーザー治療です。拡張した毛細血管に対してレーザー光を照射し、血管内のヘモグロビンに吸収させることで血管を選択的に破壊します。周囲の正常な皮膚へのダメージを最小限に抑えながら治療できるのが特徴です。
使用されるレーザーとしては、Nd:YAGレーザー(ネオジウムヤグレーザー)やパルス色素レーザー(PDL)などが代表的です。どちらも赤やオレンジ色の光の波長に対して反応するヘモグロビンに選択的に作用し、毛細血管を効果的に収縮・閉塞させる効果があります。
治療の回数は症状の程度や範囲によって異なりますが、複数回の照射が必要なことが多く、通常は1〜2か月の間隔をあけて繰り返し行います。施術後は一時的に赤みや内出血が生じることがありますが、多くの場合は数日から1〜2週間で落ち着きます。
✅ IPL(光治療)
IPL(Intense Pulsed Light)は、レーザーとは異なり、複数の波長を持つ光を照射する治療法です。毛細血管拡張症だけでなく、シミや皮膚のくすみなども同時にアプローチできることが特徴で、フォトフェイシャルなどとも呼ばれています。レーザーに比べると毛細血管への効果はやや弱い場合もありますが、刺激が少なく幅広い肌悩みにアプローチできます。
📝 硬化療法
主に足の毛細血管拡張症や静脈瘤に対して行われる治療法です。拡張した血管の中に硬化剤(血管を傷つけて閉塞させる薬剤)を注射し、血管を閉塞・消失させます。顔面の毛細血管拡張症には通常用いられません。施術後は圧迫包帯などで固定する必要があります。
🔸 原因の治療・除去
ステロイド誘発性の毛細血管拡張症に対しては、まず原因となっているステロイドの使用を適切に調整・中止することが基本です。ただし、ステロイドを急に中止すると皮膚のリバウンドが起きることがあるため、医師の指導のもとで段階的に減量・中止することが大切です。
肝臓疾患やホルモン異常など全身疾患が原因の場合は、その疾患の治療を優先することが重要です。背景の疾患が改善されることで、毛細血管拡張症も軽快することがあります。
⚡ 外用薬・スキンケア
外用薬については、拡張した毛細血管を根本的に消失させる外用薬は現時点では限られています。一部の研究では、血管収縮作用を持つ外用薬(ブリモニジン、オキシメタゾリンなど)が酒さに伴う顔面紅斑の一時的な軽減に効果を示すことが報告されています。ただし、これらは毛細血管を恒久的に消失させるわけではなく、あくまでも一時的な効果です。
スキンケアとしては、紫外線対策(日焼け止めの使用・日傘・帽子の活用)が重要です。紫外線によるダメージを防ぐことで、毛細血管拡張症の悪化を予防できます。また、刺激の少ない洗顔料や保湿剤を選ぶことも皮膚のバリア機能を守るうえで大切です。
🌟 コンシーラー・ファンデーションによるカバー
医療的な治療と並行して、見た目をカバーする方法として、グリーン系のカラーコントロール下地やコンシーラー、ファンデーションが有効な場合があります。赤みを中和するグリーンのコントロールカラーを使用してから、カバー力の高いファンデーションで仕上げると、目立ちにくくなります。ただし、これはあくまでも見た目を一時的にカバーする方法であり、毛細血管拡張症そのものを改善するものではありません。
✨ ステロイドを使用する際の注意点と予防策
ステロイドは正しく使用すれば非常に有効な薬ですが、不適切な使用は毛細血管拡張症をはじめとしたさまざまな副作用を引き起こすことがあります。以下に、ステロイド使用時の注意点と毛細血管拡張症の予防策をまとめます。
💬 医師の指示に従う
ステロイド外用薬は、処方された量・頻度・期間を守ることが最も重要です。「効果があるから」「症状が出るのが怖いから」などの理由で、自己判断で使用量を増やしたり、長期にわたって使い続けたりしないようにしましょう。特に顔面への使用については、医師と十分に相談することが大切です。
✅ 顔面への高ランクステロイドの使用を避ける
顔面には原則として弱いランクのステロイド(III群以下)を使用することが推奨されています。処方されたステロイドを別の部位(体幹・手足など)のためのものを顔面に転用するようなことは避けてください。顔面の皮膚疾患には、ステロイド以外の治療薬(カルシニューリン阻害薬など)が選択されることもあります。
📝 定期的に皮膚科を受診する
ステロイドを長期間使用している場合は、定期的に皮膚科を受診して副作用が出ていないか確認してもらいましょう。初期の段階であれば、ステロイドの量を調整することで毛細血管拡張の悪化を防ぐことができます。
🔸 ステロイド以外の治療法を検討する
アトピー性皮膚炎など長期的な管理が必要な疾患では、ステロイドだけに頼るのではなく、カルシニューリン阻害薬(タクロリムス・ピメクロリムスなど)やJAK阻害薬、生物学的製剤など、ステロイド以外の治療薬を組み合わせることで、ステロイドの使用量を減らすことができる場合があります。担当の皮膚科医と相談して、最適な治療プランを立てることをおすすめします。
⚡ 市販のステロイド含有薬に注意する
市販薬(OTC薬)の中にもステロイドを含む外用薬があります。これらは処方薬より弱いランクのものが多いですが、自己判断で顔面に長期間使用するのは危険です。市販のステロイド外用薬を顔に使用する場合は、使用できる日数(多くの商品で5〜6日以内)を守り、改善しない場合は必ず皮膚科を受診するようにしてください。
🌟 紫外線対策を徹底する
ステロイドによって薄くなった皮膚は、紫外線の影響を受けやすい状態になっています。ステロイドを使用している部位は特に日焼け止めをしっかりと塗り、帽子や日傘なども活用して紫外線から守るようにしましょう。SPF30以上・PA++以上の日焼け止めを使用することが推奨されています。
💬 スキンケアを丁寧に行う
ステロイドを使用している皮膚は、バリア機能が低下していることが多いです。刺激の少ない洗顔料・化粧品を選び、丁寧な保湿ケアを行うことで皮膚のバリア機能を維持することが大切です。ゴシゴシこするような洗顔や、アルコール度数の高い化粧品の使用は避けましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、ステロイド外用薬を長期間ご使用された後に顔面の毛細血管拡張が気になってご来院される患者様が多く、早期にご相談いただけるほど治療の選択肢も広がります。ステロイドは正しく使用すれば非常に頼りになる薬ですが、特に顔への使用は強さや期間に十分な注意が必要ですので、少しでも気になる変化があれば自己判断せず皮膚科にご相談ください。すでに毛細血管拡張が生じている場合も、レーザー治療などの適切なアプローチで改善を目指せますので、どうぞお気軽にご来院ください。」
🔍 よくある質問
すべての使用者に起きるわけではありませんが、ステロイド外用薬を長期間または不適切に使用すると毛細血管拡張症が生じることがあります。特に顔面への高ランクステロイドの長期使用はリスクが高く、ステロイドがコラーゲンの産生を抑えて皮膚を薄くし、血管周囲の組織を弱体化させることが主な原因です。
残念ながら、一度生じた毛細血管拡張症は自然に消えることはほとんどありません。治療にはレーザー治療やIPL(光治療)などの医療的なアプローチが有効です。まずは原因となっているステロイドの使用を医師の指導のもとで適切に見直すことが重要です。気になる症状がある場合は早めに皮膚科へご相談ください。
顔の皮膚は他の部位より薄く、ステロイドの吸収率が高いため副作用が出やすい傾向があります。顔面には原則としてIII群以下の弱いランクのステロイドを使用し、使用期間はできるだけ短くすることが推奨されています。自己判断で使用量を増やしたり長期間使い続けたりせず、必ず医師の指示に従いましょう。
最も広く行われている治療法はレーザー治療で、Nd:YAGレーザーやパルス色素レーザー(PDL)が代表的です。拡張した毛細血管を選択的に破壊しながら周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えられます。またIPL(光治療)も有効で、シミなど他の肌悩みにも同時にアプローチできます。アイシークリニックでもご相談をお受けしております。
ステロイド以外にも、長年の紫外線ダメージ、加齢によるコラーゲン減少、妊娠やピル服用によるホルモンバランスの変化、アルコールの過剰摂取、サウナなどによる慢性的な温度刺激、さらに肝硬変や自己免疫疾患などの全身疾患が毛細血管拡張症の原因となることがあります。背景に全身疾患が疑われる場合は、その治療を優先することが重要です。
💪 まとめ
毛細血管拡張症は、皮膚の浅い部分にある毛細血管が恒久的に拡張し、外から血管が透けて見える状態です。その原因はさまざまですが、ステロイド外用薬の長期使用や不適切な使用は、毛細血管拡張症の重要な原因の一つです。ステロイドがコラーゲンなどの産生を抑え皮膚を薄くすること、血管周囲のサポート組織を弱体化させることなどが主なメカニズムとして考えられています。
ステロイドによる毛細血管拡張症は、顔面など皮膚が薄い部位や、高ランクのステロイドを長期間使用した場合に起きやすく、一度生じると自然に消えることはほとんどありません。レーザー治療やIPLなどの医療的な治療が有効ですが、まずは原因となっているステロイドの使用を適切に見直すことが重要です。
予防のためには、医師の指示通りにステロイドを使用すること、顔面への高ランクステロイドの使用を避けること、定期的に皮膚科でフォローアップを受けることが大切です。ステロイドは正しく使えば非常に効果的な薬ですが、使用に不安がある場合や、すでに毛細血管拡張の症状が現れている場合は、早めに皮膚科や美容皮膚科を受診することをおすすめします。アイシークリニック渋谷院では、毛細血管拡張症の診察・治療のご相談をお受けしております。お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ステロイド外用薬の適正使用ガイドラインおよび皮膚疾患(酒さ・アトピー性皮膚炎・毛細血管拡張症)の診断・治療に関する学会指針
- 厚生労働省 – ステロイド外用薬の副作用・適正使用に関する情報および医薬品安全性情報
- PubMed – ステロイド誘発性毛細血管拡張症のメカニズム・レーザー治療・硬化療法に関する国際的な査読済み医学文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務