夏から秋にかけて、ムカデに刺されて激しい痛みを経験したことがある方は少なくないでしょう。ムカデは日本全国に生息しており、特に湿度の高い季節には室内への侵入も増えます。刺された直後は「どうすればいいの?」と慌ててしまう方が多いのですが、誤った対処をしてしまうと症状が悪化することもあります。この記事では、ムカデに刺されたときに実践すべき正しい応急処置の方法、やってはいけないNG行動、医療機関を受診すべき症状の見極め方まで、医療的観点から詳しく解説します。正しい知識を身につけておくことで、万が一の際にも冷静に対応できるようになりましょう。
目次
- ムカデとはどんな生き物?刺す仕組みを知ろう
- ムカデに刺されたときの症状
- ムカデに刺されたらまずやること(応急処置)
- やってはいけないNG対処法
- 病院受診が必要なケースと受診の目安
- 受診する診療科はどこ?
- 病院での治療内容
- アナフィラキシーショックに注意
- ムカデに刺された後のかゆみや腫れが長引く場合
- ムカデに刺されないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
ムカデに刺されたら流水で洗い冷やすことが基本の応急処置。熱湯や口での毒吸い出しは厳禁。呼吸困難など全身症状はアナフィラキシーの可能性があり即119番が必要。局所症状は皮膚科を受診。
🎯 ムカデとはどんな生き物?刺す仕組みを知ろう
ムカデは節足動物の一種で、「ムカデ綱」に分類されます。日本国内に生息する代表的な種としては、トビズムカデ(体長が10〜15cmにもなる大型種)、アオズムカデ、アカズムカデなどが挙げられます。特にトビズムカデは毒性が比較的強く、刺された際の痛みも激しいとされています。
ムカデが「刺す」際、実際には「噛む」という表現がより正確です。ムカデには顎肢(がくし)と呼ばれる毒を持つ爪のような器官があり、これで皮膚を噛みつくことで毒を注入します。ハチのように毒針で刺すのとは異なる仕組みです。
ムカデの毒には、ヒスタミン、セロトニン、ホスホリパーゼA2、プロテアーゼなど複数の成分が含まれています。これらが皮膚組織に作用することで炎症反応が引き起こされ、強い痛みや腫れ、発赤といった症状が現れます。毒の量は比較的少量ですが、毒素の種類が多様なため、個人差はあるものの局所的な炎症は必ずと言っていいほど生じます。
ムカデは基本的に攻撃的な生き物ではなく、人間を積極的に噛みにくることはほとんどありません。しかし、靴の中や衣類の中に入り込んだムカデに気づかず触れてしまったり、就寝中に体の上を歩いたムカデを刺激してしまったりすることで、噛みつかれることが多いとされています。
Q. ムカデに刺されたときの正しい応急処置は?
ムカデに刺されたら、まず患部を流水と石けんで優しく洗い流し、タオルで包んだ保冷剤で15〜20分冷やすことが基本の応急処置です。その後、ステロイド成分入りの市販虫刺され薬を塗ると炎症を抑えられます。痛みが強い場合はロキソニンなどの鎮痛剤内服も選択肢となります。
📋 ムカデに刺されたときの症状
ムカデに刺された(噛まれた)際に現れる症状は、主に局所症状と全身症状に分けられます。多くの場合は局所症状にとどまりますが、まれに全身症状が出ることもあるため注意が必要です。
🦠 局所症状
ムカデに噛まれた直後に最も強く感じるのは、鋭く焼けるような激しい痛みです。ハチに刺されたときの痛みと比較されることも多く、「電撃が走るような」「焼けた針で刺されたような」と表現されることがあります。
痛みの後には、噛まれた部位を中心に赤みや腫れが広がってきます。2か所の噛み傷(顎肢の跡)が確認できることが多く、これがムカデに噛まれたサインのひとつです。腫れは数時間をかけて拡大することもあり、噛まれた部位によっては手や足がかなり腫れ上がることもあります。
また、腫れに伴ってかゆみが出てくる場合もあります。炎症反応によってヒスタミンが放出されることが原因で、かゆみは数日間続くことがあります。水ぶくれ(水疱)が形成されることもあり、皮膚のダメージが大きい場合には一時的に皮膚が壊死することも報告されています。
👴 全身症状
多くの場合、症状は噛まれた部位の局所にとどまります。しかし、体質によっては全身症状が現れることがあります。
全身症状としては、頭痛、発熱、悪寒、吐き気、嘔吐、めまいなどが挙げられます。さらに重篤なケースでは、全身のじんましんや呼吸困難、血圧低下などのアナフィラキシーショックが生じることもあります。アナフィラキシーは命に関わる緊急事態ですので、このような症状が出た場合はただちに救急車を呼ぶ必要があります。
全身症状が出やすいのは、ムカデに過去に刺されたことがある人(感作が成立している人)や、アレルギー体質の人です。初めて刺された場合でも全身症状が出ることはありますが、2回目以降の方がリスクが高いとされています。これはハチアレルギーと同様のメカニズムによるものです。
💊 ムカデに刺されたらまずやること(応急処置)
ムカデに刺された直後の対応が、その後の症状の程度に影響することがあります。落ち着いて、以下の手順で応急処置を行いましょう。
🔸 1. 流水でよく洗い流す
まず最初に行うべきことは、噛まれた部位を流水でしっかり洗い流すことです。傷口に残っている毒や雑菌を洗い流すことで、感染リスクを下げることができます。石けんを使って優しく洗うとさらに効果的です。この際、傷口を強くこすったりつまんだりする必要はありません。ゆっくりと水で洗い流すだけで十分です。
💧 2. 患部を冷やす
洗い流した後は、患部を冷やすことで炎症反応を和らげ、痛みを軽減することができます。氷嚢や保冷剤をタオルで包んで当てるか、流水で冷やし続けるのが効果的です。直接氷を皮膚に当てると凍傷のリスクがあるため、必ずタオルや布を介して使用してください。冷やす時間は15〜20分程度が目安です。
✨ 3. 市販薬を使用する
応急処置として、ステロイド成分を含む市販の虫刺され薬(外用薬)を患部に塗布することで、炎症を抑える効果が期待できます。抗ヒスタミン成分を含む薬も、かゆみの緩和に有効です。ただし、市販薬はあくまで応急処置であり、症状が強い場合や改善しない場合は医療機関を受診してください。
また、痛みが強い場合にはロキソニンやイブプロフェンなどの市販の鎮痛剤を内服することも選択肢のひとつです。ただし、これらの薬を服用できない疾患や薬のアレルギーがある方は使用を控え、必ず医師に相談してください。
📌 4. 安静にする
処置が終わったら、できるだけ安静にして様子を見ましょう。特に刺された直後は全身症状が出る可能性があるため、一人でいる場合は誰かに連絡を入れておくと安心です。足を刺された場合は患部を心臓より高い位置に保つことで、腫れが広がるのを抑える効果があります。
Q. ムカデに刺されてやってはいけない行動は?
ムカデに刺された際、口で毒を吸い出す行為は口内細菌による感染リスクがあり危険です。また「熱で毒を分解できる」という民間療法も医学的根拠がなく、熱湯やライターの火を患部に当てると重篤なやけどを招きます。患部を縛る・爪で掻く・アルコールを直接塗る行為も症状を悪化させるため避けてください。
🏥 やってはいけないNG対処法
ムカデに刺されたときに、民間療法や誤った情報に基づいて行ってしまいがちなNG行動があります。これらの行動は症状を悪化させることがあるため、絶対に避けてください。
▶️ 傷口を口で吸い出す
古くから行われてきた「毒を口で吸い出す」という行為は、医学的に全く根拠がなく、むしろ危険です。口腔内の細菌が傷口に入り込んで感染を引き起こすリスクがありますし、毒が口腔粘膜から吸収されることで吸い出した人が体調不良になる可能性もあります。絶対に行わないでください。
🔹 熱湯や熱い物を当てる
「熱でムカデの毒を分解できる」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。確かにムカデの毒の一部はタンパク質であり、高温で変性します。しかし、皮膚に残存している毒を熱でなんとかするためには、非常に高い温度が必要となり、現実的には皮膚に深刻なやけどを負わせることになります。熱湯やライターの火、熱したスプーンなどを患部に当てる行為は、症状を悪化させる原因となるため絶対に避けてください。
📍 患部を縛る・絞る
ハブなどの毒蛇に噛まれた場合の古い応急処置として「傷の上を縛る」という方法がありましたが、これも現在は推奨されていません。ムカデの場合も同様で、患部の上を縛ることで血流が滞り、組織障害を招く危険性があります。
💫 掻く・こする
かゆみを感じても、患部を爪で掻いたりこすったりすることは避けましょう。皮膚のバリアが破壊されて細菌感染が起こりやすくなるほか、炎症が悪化してかゆみや腫れが広がることがあります。かゆみが強い場合は冷やすか、市販のかゆみ止めを使用してください。
🦠 アルコールを直接塗る
消毒のためにアルコールを傷口に直接塗ることは、刺激が強すぎて組織障害を引き起こす可能性があります。傷口の消毒は流水での洗浄で十分であり、アルコールを使用するのであれば、傷口周辺を拭く程度にとどめてください。
⚠️ 病院受診が必要なケースと受診の目安
ムカデに刺された場合の多くは、正しい応急処置をすることで症状は数日以内に改善します。しかし、以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
👴 すぐに救急車を呼ぶべき症状
次のような症状が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があるため、ためらわずに119番通報してください。
- 呼吸が苦しい、喉が締め付けられるような感覚がある
- 急激に血圧が下がって意識が遠のく、気を失う
- 全身にじんましんが出る
- 顔や唇、舌が急激に腫れる
- 心臓がドキドキして脈が速くなる(動悸)
- 嘔吐や激しい腹痛がある
これらの症状は刺された後5〜15分以内に起こることが多いため、刺された直後はしばらく安静にしながら全身の状態を観察してください。
🔸 当日中に医療機関を受診すべき症状
救急を要するほどではないものの、当日中に医療機関を受診することをお勧めするのは以下のような場合です。
- 腫れや痛みが非常に強く、市販薬では対処できない
- 刺された部位が顔、頭部、首など気道に近い場所である
- 子どもや高齢者、免疫機能が低下している方が刺された
- 発熱が出てきた
- 頭痛やめまい、吐き気などの全身症状が続いている
- 過去にムカデや昆虫に刺されてアレルギー反応を起こしたことがある
💧 数日経っても改善しない場合
応急処置で対応した後も、数日が経過しても症状が改善しない、または悪化しているという場合は医療機関を受診してください。特に以下の状況は注意が必要です。
- 傷口が赤く熱を持ち、膿が出てきた(細菌感染の可能性)
- 腫れが日を追うごとに広がっている
- 患部周辺にリンパ節の腫れがある
- かゆみが1週間以上続いている
🔍 受診する診療科はどこ?
ムカデに刺された場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いと思います。基本的には以下を参考にしてください。
✨ 皮膚科
局所症状(痛み、腫れ、かゆみ、発赤など)が主体の場合は、皮膚科の受診が適切です。皮膚科では外用薬(ステロイド剤など)の処方や、必要に応じてアレルギー反応を抑える内服薬の処方が受けられます。ムカデ刺傷のほとんどは皮膚科での対応が可能です。
📌 内科・救急外来
発熱や吐き気、頭痛などの全身症状が強い場合や、アナフィラキシーの症状が疑われる緊急時は、内科や救急外来を受診してください。夜間や休日で皮膚科が開いていない場合も、内科や救急外来での対応が可能です。
▶️ 小児科
子どもが刺された場合は、小児科への受診をお勧めします。子どもは体が小さいため、同じ量の毒でも大人より影響が大きく出ることがあり、専門的な診察が必要です。
Q. ムカデに刺された後すぐ救急車を呼ぶべき症状は?
ムカデに刺された後、呼吸困難・喉の締め付け感・全身のじんましん・顔や唇の急激な腫れ・意識が遠のく感覚・激しい動悸などが現れた場合はアナフィラキシーショックの可能性があり、直ちに119番通報が必要です。これらの症状は刺された後5〜15分以内に現れることが多いため、刺された直後は全身状態を注意深く観察してください。
📝 病院での治療内容
医療機関を受診した際に行われる治療について、代表的なものを解説します。
🔹 外用薬(塗り薬)の処方
炎症を抑えるためにステロイド系の外用薬が処方されることが多いです。ステロイドの強さ(ランク)は症状の程度に応じて選択されます。市販薬よりも効果が高い処方薬を使用することで、炎症の早期鎮静が期待できます。また、細菌感染が疑われる場合には抗菌薬入りの外用薬が処方されることもあります。
📍 内服薬の処方
かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)が内服薬として処方されます。痛みが強い場合は鎮痛剤が処方されることもあります。全身性のアレルギー反応が認められる場合にはステロイド薬が内服または点滴で投与されることがあります。
💫 注射・点滴
症状が重篤な場合や、アナフィラキシーが疑われる場合には、アドレナリン(エピネフリン)の筋肉注射が行われます。これはアナフィラキシーに対する最も重要な緊急処置です。また、ステロイド薬や抗ヒスタミン薬の点滴が行われることもあります。
🦠 破傷風トキソイドの接種
傷口から破傷風菌が感染するリスクがある場合、破傷風トキソイドの接種が行われることがあります。特に傷が深い場合や、土がついていた可能性がある場合に検討されます。
💡 アナフィラキシーショックに注意

ムカデに刺された際に最も注意すべき合併症が「アナフィラキシーショック」です。アナフィラキシーは、体内に入った異物(今回の場合はムカデの毒)に対する過剰な免疫反応によって引き起こされる、急速かつ全身性のアレルギー反応です。
アナフィラキシーは通常、刺された後数分から30分以内に発症することが多いとされています。主な症状は先述の通りですが、特に気道が腫れることによる呼吸困難と、血管の急激な拡張による血圧低下(ショック)が生命を脅かす重大な症状です。
アナフィラキシーのリスクが高い人の特徴として、以下が挙げられます。
- 過去にムカデや昆虫に刺されてアレルギー反応を経験したことがある人
- ハチアレルギーなど、他の昆虫アレルギーを持つ人
- アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患を持つ人
- 高齢者
アナフィラキシーは発症から急速に悪化するため、治療が遅れると命に関わります。上記の症状が少しでも現れた場合は、ためらわずに119番に電話してください。過去にアナフィラキシーを経験したことがある方には、緊急時に自己注射できるアドレナリン製剤(エピペン)を医師から処方してもらうことも検討してみてください。
Q. ムカデ刺傷後に腫れやかゆみが長引く原因は?
ムカデ刺傷の症状は通常1週間程度で改善しますが、長引く場合は主に3つの原因が考えられます。傷口から細菌が入る「二次感染」、免疫反応が持続する「慢性アレルギー反応」、硬い丘疹を伴う「痒疹」です。膿が出る・腫れが拡大するなど感染が疑われる場合は、早めに皮膚科を受診し適切な治療を受けることが重要です。
✨ ムカデに刺された後のかゆみや腫れが長引く場合
適切な処置をしているにもかかわらず、症状が長引く場合があります。ムカデ刺傷後の症状の経過について説明します。
👴 一般的な経過
ムカデに刺された後の症状の一般的な経過としては、刺された直後から強い痛みと発赤が始まり、その後数時間から半日かけて腫れがピークに達します。その後、2〜3日で腫れや痛みが徐々に軽快し、1週間程度でほぼ改善するというパターンが多いです。ただし、腫れが大きかった場合は1〜2週間かゆみが残ることもあります。
🔸 症状が長引く原因
1週間以上経っても症状が改善しない場合、いくつかの原因が考えられます。
一つ目は「二次感染」です。傷口から細菌が侵入して感染が起こると、傷の周囲が赤く熱を持ち、膿が出てきます。放置すると蜂窩織炎(ほうかしきえん)という皮膚の深部感染症に進展することがあり、抗菌薬による治療が必要になります。
二つ目は「長引くアレルギー反応」です。体の免疫反応が長引くことで、かゆみや炎症が持続することがあります。この場合はステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬での治療が有効です。
三つ目は「痒疹(ようしん)」です。虫刺されに対するアレルギー反応が慢性化した状態で、ぷっくりとした硬い丘疹(しこり)が形成され、長期にわたってかゆみが続きます。この場合は皮膚科での専門的な治療が必要です。
💧 色素沈着について
炎症が治まった後も、刺された部位が黒ずんで見える「色素沈着」が残ることがあります。これは炎症によってメラニン色素が増加するために起こります。色素沈着は時間とともに薄れていくことが多いですが、日焼けによって悪化する場合があります。紫外線対策をしっかり行いながら、必要であれば皮膚科でのケアを受けることをお勧めします。
📌 ムカデに刺されないための予防策
ムカデ被害を防ぐためには、ムカデを家の中に入れないこと、そしてうっかり触れてしまわないようにすることが重要です。以下の予防策を参考にしてみてください。
✨ 家の中の湿度管理と掃除
ムカデは湿った環境を好みます。家の中を乾燥させ、風通しを良くすることでムカデの棲みやすい環境を排除できます。また、ムカデはゴキブリやクモなどの虫を餌にしているため、これらの害虫を減らすことでムカデが侵入する誘因を取り除くことができます。定期的な掃除と整理整頓を心がけましょう。
📌 侵入経路をふさぐ
ムカデは1cm程度のわずかな隙間からでも侵入できます。玄関や窓のゴムパッキン、排水溝の網、外壁のひび割れなどを点検し、隙間があれば補修することが大切です。特に雨の後など湿度が高いときは侵入しやすいため注意が必要です。
▶️ 忌避剤・殺虫剤の使用
市販のムカデ専用の忌避剤や殺虫剤を活用することも有効です。特に「ムカデが出やすい場所」として知られる浴室、洗面所、台所周辺、玄関周辺に定期的に使用することが予防につながります。ヒノキ油やハッカ油などの天然精油も忌避効果があるとされており、アロマスプレーとして活用されることがあります。
🔹 就寝時の注意
ムカデは夜行性のため、就寝中に布団の中に入り込んでいることがあります。床に布団を敷いている方は特にリスクが高く、ベッドを使用したり、布団の周囲に忌避剤を設置したりすることが有効です。また、就寝前に布団をよく確認する習慣をつけることも大切です。
📍 外出時・作業時の注意
野外での作業(ガーデニング、草刈りなど)を行う際は、長袖・長ズボンを着用し、軍手などを使用することでムカデとの接触を防ぐことができます。靴の中にムカデが入り込んでいることもあるため、履く前に靴を逆さにして振るか、中を確認する習慣をつけましょう。
💫 物の移動時の注意
庭の石や植木鉢、落ち葉の下などにムカデが潜んでいることがあります。これらを移動させる際は素手で触れず、道具を使うか、手袋をつけて作業するようにしましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏から秋にかけてムカデ刺傷によるご相談が多く寄せられており、なかには民間療法で症状を悪化させてから受診される方も少なくありません。「まず流水で洗って冷やす」というシンプルな応急処置が最も大切であり、熱いものを当てたり口で毒を吸い出したりする行為は医学的根拠がなく危険ですので、絶対に避けていただきたいと思います。呼吸困難や全身のじんましんなどアナフィラキシーを疑う症状が少しでも現れた場合はすぐに救急車を呼んでいただき、局所の腫れや痛み・かゆみが続く場合はお気軽に皮膚科へご相談ください。(※アイシークリニック新宿院一般皮膚科のみの対応となります)」
🎯 よくある質問
まず患部を流水と石けんで優しく洗い流し、その後タオルで包んだ保冷剤などで15〜20分ほど冷やしてください。この2ステップが基本の応急処置です。市販のステロイド成分入り虫刺され薬を塗ることも炎症を抑えるのに有効です。痛みが強い場合はロキソニンなどの鎮痛剤の内服も選択肢となります。
これは医学的に根拠のない民間療法であり、非常に危険です。ムカデの毒はタンパク質を含みますが、皮膚上の毒を熱で無害化するには非常に高い温度が必要で、現実的には重篤なやけどを引き起こすだけです。熱湯やライターの火、熱したスプーンなどを患部に当てる行為は絶対に避けてください。
呼吸困難・喉の締め付け感・全身のじんましん・顔や唇の急激な腫れ・意識が遠のく感覚・激しい動悸などが現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。これらは命に関わる緊急事態ですので、ためらわずにすぐ119番通報してください。症状は刺された後5〜15分以内に現れることが多いため、しばらくは全身の状態を注意深く観察してください。
腫れ・痛み・かゆみなどの局所症状が主な場合は皮膚科の受診が適切です。発熱・吐き気・頭痛など全身症状が強い場合や、夜間・休日で皮膚科が開いていない場合は内科や救急外来に相談してください。お子さんが刺された場合は小児科への受診をお勧めします。当院でも虫刺されによる皮膚トラブルのご相談を承っております。(※新宿院一般皮膚科のみの対応)
一般的に症状は1週間程度で改善しますが、長引く場合は二次感染(細菌感染)・慢性的なアレルギー反応・痒疹などが原因として考えられます。傷口から膿が出る・腫れが日増しに拡大するなどの症状があれば細菌感染の可能性もあるため、早めに皮膚科を受診してください。アイシークリニックでは、症状に応じた適切な薬の処方と専門的な診察が可能です。(※新宿院一般皮膚科のみの対応)
📋 まとめ
ムカデに刺された際の対応について、応急処置から病院受診の目安、予防策まで幅広く解説しました。最後に重要なポイントをまとめます。
ムカデに刺されたら、まずは流水でよく洗い流し、患部を冷やすことが基本の応急処置です。口で毒を吸い出したり、熱いものを当てたりする民間療法はむしろ症状を悪化させるため絶対に行ってはいけません。
多くの場合、正しい処置をすることで症状は数日以内に軽快します。しかし、呼吸困難、血圧低下、全身のじんましんなどアナフィラキシーの兆候が現れた場合は命に関わる緊急事態ですので、直ちに119番通報してください。
子どもや高齢者が刺された場合、刺された部位が顔や首の場合、症状が強い場合や改善しない場合などは医療機関への受診をお勧めします。皮膚科を受診することで、適切な薬の処方と専門的な診察が受けられます。
また、ムカデは生息数が多い昆虫ですが、正しい知識と予防策によって被害を最小限に抑えることができます。日頃から家の中の湿度管理や侵入経路のチェックを行い、ムカデとの遭遇を避ける工夫をしていきましょう。万が一刺されてしまった際には、この記事を参考に冷静に対処してください。症状が気になる方や、虫刺されによる皮膚トラブルでお悩みの方は、お気軽にアイシークリニックまでご相談ください。(※新宿院一般皮膚科のみの対応)
📚 関連記事
- 黒い蜂みたいな虫の正体とは?刺された時の症状と対処法を解説
- アブに刺された時の症状と対処法|病院に行く目安も解説
- ブヨに刺された跡の画像と症状・治療法を詳しく解説
- ダニに噛まれたあとの症状と正しい対処法・受診の目安を解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – ムカデ刺傷を含む虫刺されの局所症状(発赤・腫れ・かゆみ)に対するステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の適応、皮膚科的治療方針に関する情報
- 厚生労働省 – アナフィラキシーショックを含む虫刺されによる健康被害への対応指針、救急受診の目安および応急処置に関する公式情報
- PubMed – ムカデ刺傷(Centipede envenomation)による毒成分(ヒスタミン・セロトニン・ホスホリパーゼA2等)の作用機序、アナフィラキシー発症リスクおよび治療に関する国際的な医学文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務