夏のアウトドアや農作業中に、突然チクッとした強い痛みを感じたことはないでしょうか。その痛みの原因がアブ(虻)であるケースは少なくありません。アブはハチやブヨと並んで、日本の屋外活動でよく遭遇する吸血性の昆虫です。刺された後に起こる腫れや痛み、かゆみは軽視されがちですが、場合によっては重篤なアレルギー反応を引き起こすこともあります。この記事では、アブに刺された時の症状や正しい応急処置の方法、病院に行く目安などを詳しく解説します。アウトドアシーズンを安全に楽しむために、ぜひ最後までお読みください。
目次
- アブとはどんな昆虫?生態と種類
- アブに刺された時の症状
- アブに刺された直後の応急処置
- アブ刺されとほかの虫刺されの違い
- アナフィラキシーショックとは?見分けるべき危険なサイン
- 病院に行くべき目安とタイミング
- 病院では何をする?治療の流れ
- アブ刺されによるかゆみ・腫れを早く治す方法
- 市販薬の選び方と使い方
- アブに刺されないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
アブに刺されると皮膚を切り裂く刺し方により強い痛みと腫れが生じる。応急処置は流水洗浄と冷却が基本で、全身のじんましんや息苦しさはアナフィラキシーの危険サインのため即時119番通報が必要。症状が1週間以上続く場合は皮膚科を受診すること。
🎯 1. アブとはどんな昆虫?生態と種類
アブはハエ目アブ科に属する昆虫で、日本には約90種類が生息しているといわれています。体長は種類によって異なりますが、おおむね1〜2センチメートル程度のものが多く、ハエよりもひとまわり大きな印象を受ける昆虫です。体は黒や褐色、緑がかったものなど多様で、目が大きく発達しているのが特徴的です。
アブが活発に活動する季節は主に初夏から秋にかけてで、特に7月から8月の夏場がピークとなります。生息環境は山間部や川沿い、農耕地、牧草地など広範囲にわたります。水辺や湿地帯に多く見られるため、キャンプや登山、川釣りなどのアウトドア活動をする人は特に注意が必要です。
アブのメスは産卵のためのタンパク質を摂取する目的で、人間や動物の血液を吸います。刺す際には、蚊のように皮膚に針を刺すのではなく、鋭く発達した口器(口の構造)で皮膚を切り裂いて血を吸い取るという方法を用います。この刺し方の違いが、蚊と比べて痛みが強く出る原因です。また、オスのアブは花の蜜を食べており、刺すことはありません。
日本でよく見られるアブの種類には、ウシアブ、シロフアブ、ヤマトアブなどがあります。特にウシアブは体が大きく、刺された時の痛みも強いことで知られています。農業や牧畜の現場では家畜への吸血被害も深刻であり、人間にとっても農村部での注意が必要な昆虫のひとつです。
Q. アブに刺された直後の正しい応急処置は?
アブに刺されたらまずその場を離れ、刺された部位を流水と石鹸でやさしく洗い流します。その後、タオルで包んだ保冷剤を10〜15分当てて冷却し、腫れと炎症を抑えます。口で吸い出す民間療法は細菌感染のリスクがあるため避けてください。
📋 2. アブに刺された時の症状
アブに刺された時の症状は、蚊に刺された時とは異なる特徴があります。まず最初に感じるのは強い刺痛感です。蚊の刺咬は気づかないうちに済んでしまうことが多いのに対して、アブに刺された場合は刺された瞬間から「チクッ」あるいは「ズキッ」とした鋭い痛みを感じることがほとんどです。これはアブが皮膚を切り裂く刺し方をするためです。
刺された直後から局所的な反応が始まります。代表的な症状を以下に整理します。
刺された部分の赤みと腫れは、ほぼすべての人に現れます。炎症反応によって周囲の皮膚が赤くなり、数時間以内に腫れが広がることもあります。腫れは数センチメートルにわたる場合もあり、特に顔や手足といった軟らかい組織が多い部位では腫れが目立ちやすくなります。
かゆみは蚊の場合よりも遅れて出てくることが多く、数時間後から翌日にかけて強くなる傾向があります。アブの唾液に含まれる成分がアレルギー反応を引き起こすことで、かゆみが生じると考えられています。かゆみが強烈で、かいてしまうことで患部の状態が悪化するケースも多く見られます。
痛みは刺された直後が最も強く、時間が経つにつれて和らいでいくことが多いですが、1〜2日間は患部に鈍い痛みが続くこともあります。また、アブは皮膚を切り裂くため、小さな出血が見られることもあります。
一般的な局所症状は3〜7日程度で改善していきますが、体質や刺された部位、アレルギーの有無によって症状の程度は大きく異なります。過去に何度もアブに刺されているなど、感作(アレルギー反応が起こりやすい状態)が進んでいる人ほど、強い反応が出やすくなります。
また、まれに全身症状が現れることがあります。じんましんや発疹が体の広範囲に出る、のどや舌が腫れる、息苦しさ、めまい、血圧低下、意識障害などが見られる場合は、アナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応の可能性があり、緊急の対応が必要です。
💊 3. アブに刺された直後の応急処置
アブに刺された直後の対応が、その後の症状の経過を大きく左右します。適切な応急処置を知っておくことは非常に重要です。
まず最初にすべきことは、その場から離れることです。アブは一度刺しても逃げずに再び近づいてくることがあります。さらなる被害を防ぐために、まずは安全な場所に移動してください。
次に、刺された部位を清潔な水で洗い流します。アブの唾液には血液の凝固を防ぐ物質や、アレルギー反応を引き起こす成分が含まれています。流水で患部をやさしく洗うことで、これらの成分をある程度除去することができます。石鹸を使って洗うことも効果的です。
洗浄後は、冷やすことが基本的な対処法です。清潔なタオルに包んだ氷や保冷剤を患部に当て、10〜15分程度冷却します。冷やすことで血管が収縮し、腫れや炎症の広がりを抑える効果が期待できます。ただし、保冷剤を直接皮膚に長時間当て続けると凍傷を起こす恐れがあるため、必ずタオルなどで包んで使用してください。
かゆみがある場合、かき壊すことは絶対に避けてください。かくことで皮膚バリアが壊れ、細菌感染(とびひなど)を起こすリスクが高まります。また、かくことで炎症反応がさらに広がり、症状が悪化することもあります。かゆみが強い場合は市販の抗ヒスタミン成分を含む外用薬を塗布することで緩和できます。
アブに刺された患部から血が出ている場合は、清潔なガーゼや布で圧迫して止血します。出血量が多くなることはまれですが、傷口が開いている状態では感染リスクが高まるため、清潔を保つことが大切です。
民間療法として、刺された部位を口で吸い出すという方法が昔から行われることがありますが、これは推奨されません。口の中には多くの細菌が存在しており、傷口に細菌感染を引き起こすリスクがあります。また、唾液に含まれる成分が症状を悪化させる可能性もあるため、口での吸い出しは行わないようにしましょう。
アブに刺された後、全身症状(じんましん、息苦しさ、めまい、気分不良など)が現れた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があります。この場合は応急処置よりも、すぐに救急車を呼ぶことを最優先にしてください。エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されている人は、速やかに使用します。
Q. アブ刺されでアナフィラキシーを疑うサインは?
アブに刺された後、全身にじんましんが広がる、のどの締め付け感や息苦しさがある、めまいや意識がぼんやりするといった症状はアナフィラキシーショックの危険なサインです。これらは刺されてから数分〜30分以内に現れることが多く、一つでも該当すれば即座に119番へ連絡してください。
🏥 4. アブ刺されとほかの虫刺されの違い
アブに刺された時の症状は、蚊やブヨ、ハチなど他の虫刺されと混同されることがあります。それぞれの特徴の違いを理解しておくことで、適切な対処につなげることができます。
蚊との最大の違いは、痛みの有無です。蚊は刺す際に麻酔作用のある唾液を注入するため、刺された瞬間に痛みを感じないことがほとんどです。一方、アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、刺された瞬間から強い痛みを感じます。腫れの大きさもアブのほうが蚊より大きくなる傾向があり、赤みが広がる範囲も広いことが多いです。
ブヨ(ブユ)との違いについては、ブヨも皮膚を切り裂いて吸血する点でアブと共通していますが、ブヨはアブよりはるかに小さな昆虫(体長1〜5ミリメートル程度)です。ブヨに刺された場合、刺された直後は気づかないか軽い違和感程度で、時間が経ってから強いかゆみと腫れが出てくることが多い点がアブとは異なります。ブヨの刺跡は点状の出血を伴うことがあり、後から患部が紫色や黒色に変色することもあります。
ハチ刺されとの違いは、ハチは尾部の針で刺すため、患部に針が残ることがあります(特にミツバチ)。アブには刺さったまま残る針はありません。ハチ刺されはアナフィラキシーショックを引き起こすリスクが特に高いことで知られていますが、アブ刺されでもアレルギー反応を持つ人では同様のリスクがあります。痛みの強さはハチのほうが激しいことが多く、ハチの種類によっては毒性が強い場合があります。
マダニとの違いも重要です。マダニは吸血している間は皮膚に食い込んだまま離れないため、皮膚に虫が付着しているのを発見できます。アブは吸血後には離れます。マダニはライム病や日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症を媒介するリスクがあり、アブとは異なる感染症リスクがあります。
いずれの虫刺されでも、刺された直後の対応(洗浄、冷却、かかない)は共通していますが、症状が重篤な場合や改善しない場合は医療機関を受診することが大切です。
⚠️ 5. アナフィラキシーショックとは?見分けるべき危険なサイン
アブに刺された時に最も注意すべき重篤な合併症が、アナフィラキシーショックです。アナフィラキシーは、昆虫の毒や唾液に含まれる抗原に対して免疫系が過剰に反応することで起こる、全身性の激しいアレルギー反応です。初めてアブに刺された時には起こりにくく、過去に刺された経験があり、徐々に感作が進んでいる人ほどリスクが高まります。
アナフィラキシーは通常、刺されてから数分〜30分以内に症状が現れることが多く、対応が遅れると生命を脅かす事態になりえます。以下のような症状がひとつでも現れた場合は、アナフィラキシーの可能性を疑い、速やかに救急車を呼ぶ必要があります。
皮膚症状としては、刺された部位だけでなく全身にじんましんや赤みが広がる、皮膚が青白くなる、顔や唇、まぶたが急激に腫れるといった症状があります。
呼吸器症状としては、のどや気道が腫れることによる声のかすれ、のどの締め付け感、ゼーゼーとした呼吸音(喘鳴)、息苦しさなどが挙げられます。これらは気道が閉塞しつつある危険なサインです。
循環器症状としては、脈が弱くなる、血圧が急激に低下する(ショック状態)、頻脈、手足の冷感などがあります。
消化器症状として、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢が起こることもあります。
神経症状としては、めまい、頭痛、意識がぼんやりする、意識を失うといった症状が現れることがあります。
アナフィラキシーの治療の第一選択はアドレナリン(エピネフリン)の投与です。過去にアナフィラキシーを経験したことがある人は、医師に相談してエピペン(アドレナリン自己注射薬)を携帯することが強く推奨されます。エピペンを使用した後であっても、必ず医療機関を受診してください。
アナフィラキシーは適切な処置が早ければ早いほど救命率が高くなります。「気のせいかもしれない」と思っても、上記のような症状が出た際には躊躇せずに119番へ連絡することが命を守ることにつながります。
🔍 6. 病院に行くべき目安とタイミング
アブに刺された後、軽度の症状(患部の赤みや腫れ、かゆみ、痛み)のみであれば、多くの場合は自宅での応急処置と市販薬で対応できます。しかし、以下のような場合は医療機関の受診を検討してください。
まず、アナフィラキシーの症状が現れた場合は直ちに救急車を呼ぶ必要があります。これは前のセクションで解説した通りです。
次に、局所症状が著しく強い場合です。顔や手の指など腫れやすい部位を刺された場合、腫れが非常に大きくなって動きが制限される、視界に影響が出る(まぶたの腫れ)、のどの近くを刺されて飲み込みにくい感覚がある、といった状況では早めに受診することが望ましいです。
症状が改善しない、または悪化している場合も受診のサインです。通常、アブ刺されの局所症状は数日で軽快しますが、1週間以上経っても腫れや赤みが引かない、あるいは時間とともに悪化しているようであれば、二次的な細菌感染が起きている可能性があります。
患部が化膿しているように見える場合も受診が必要です。患部から膿が出る、熱を持って赤くなっている、患部周辺のリンパ節(鼠径部や脇の下など)が腫れて痛いといった症状は、細菌感染(蜂窩織炎など)の可能性があり、抗生物質による治療が必要になることがあります。
発熱がある場合も注意が必要です。アブ刺されによって感染症が引き起こされることはまれですが、傷口からの細菌感染や、アブが媒介する感染症(非常にまれですが)の可能性もゼロではありません。刺された後に38度以上の発熱が続く場合は医師に相談してください。
子どもや高齢者、免疫機能が低下している人が刺された場合は、症状が軽くても早めの受診が安全です。小さな子どもは自分で症状をうまく伝えられないことも多く、急速に状態が変化する場合があるため、注意深く観察することが大切です。
受診する診療科は、皮膚科やアレルギー科が一般的です。緊急性がある場合(呼吸困難、意識障害など)は救急外来を受診してください。
Q. アブ刺されは蚊やブヨの刺されとどう違う?
アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、刺された瞬間から強い痛みを感じるのが最大の特徴です。蚊は刺咬時に痛みをほとんど感じません。ブヨもアブ同様に皮膚を切り裂きますが、体がはるかに小さく、刺直後は気づきにくく、時間が経ってから強いかゆみと腫れが現れる点が異なります。
📝 7. 病院では何をする?治療の流れ
アブ刺されで医療機関を受診した場合、どのような診察や治療が行われるのかを知っておくと安心です。
まず問診が行われます。いつ、どこで刺されたか、どのような虫に刺されたか(確認できる場合)、現在の症状、過去のアレルギー歴や虫刺されでの反応、内服中の薬などについて医師が確認します。アブに刺されたと確信が持てない場合でも、状況を詳しく説明することで診断の助けになります。
次に視診・触診が行われます。患部の状態(腫れの範囲、赤みの程度、熱感、化膿の有無)を確認します。全身症状がある場合は、全身の皮膚状態や呼吸音、血圧、脈拍なども確認されます。
局所の炎症反応が強い場合や、アレルギー反応が疑われる場合には、ステロイド外用薬(塗り薬)が処方されます。ステロイドには抗炎症作用があり、腫れや赤みを鎮める効果があります。かゆみに対しては、抗ヒスタミン成分を含む外用薬や、内服の抗ヒスタミン薬(飲み薬)が処方されることがあります。
アレルギー反応が中等度〜重度の場合は、経口または注射によるステロイド薬が投与されることがあります。アナフィラキシーに対しては、アドレナリンの投与に加え、点滴による補液、抗ヒスタミン薬や気管支拡張薬の投与などが行われます。入院が必要になるケースもあります。
細菌感染(蜂窩織炎や膿瘍など)が確認された場合は、抗生物質の内服または点滴治療が行われます。膿が溜まっている場合は、切開して排膿する処置が必要になることもあります。
重症のアナフィラキシーを経験した場合は、今後の同様のリスクに備えてエピペンが処方されることがあります。また、アレルギー専門科への紹介や、アレルギー検査が行われることもあります。
アブ刺されそのものは多くの場合で軽症で済みますが、適切な治療を受けることで症状の回復を早め、二次的な合併症を予防することができます。
💡 8. アブ刺されによるかゆみ・腫れを早く治す方法
アブに刺された後の不快な症状をできるだけ早く和らげるために、日常生活でできることをご紹介します。
冷やす対応は引き続き有効です。腫れやかゆみ、痛みがある間は、保冷剤や冷水で患部を適度に冷却することで症状を緩和できます。ただし、長時間冷やし続けることは逆効果になることもあるため、冷却と休憩を繰り返すことが推奨されます。
患部を清潔に保つことも重要です。入浴時には患部をやさしく洗い、清潔に保ちましょう。ただし、熱いお湯につかる(特に長時間の入浴)は血行を促進してかゆみや腫れを悪化させることがあるため、刺された直後は短時間のシャワー程度にとどめることが望ましいです。
かゆみが非常に強い場合、かかないようにするためには爪を短く切ることも一つの方法です。特に就寝中に無意識にかいてしまうことが多いため、包帯や絆創膏などで患部を保護することも効果的です。
患部を高めの位置に保つことも腫れを軽減するのに役立ちます。例えば手足が刺された場合、クッションなどで患部を心臓より高い位置に置くことで、重力の影響で腫れが広がるのを抑える効果があります。
飲酒や激しい運動は、血行を促進してかゆみや腫れを悪化させる原因になります。アブに刺された後しばらくは、これらを控えることが回復の助けになります。
食事面では、特定の食べ物が症状に影響するという医学的な証拠は乏しいですが、辛いものや刺激物は血行を促進するため、症状が落ち着くまでは控えめにすることが無難かもしれません。
症状が長引く場合や悪化する場合は、自己判断で対処し続けるのではなく、皮膚科を受診することを検討してください。特に、細菌感染が起きている場合は適切な抗生物質治療が必要であり、自然治癒を待つことで状態が悪化するリスクがあります。
Q. アブに刺されないための予防策を教えてください
長袖・長ズボンで肌の露出を減らすことが基本です。加えて、ディートやイカリジン配合の虫よけスプレーの使用、黒など濃色の衣服を避けること、香りの強い化粧品を控えることも有効です。アブは水辺や湿地帯で多く、午前〜昼過ぎに特に活発になるため、これらの環境や時間帯は十分注意しましょう。
✨ 9. 市販薬の選び方と使い方
アブ刺されの軽度の症状に対しては、薬局やドラッグストアで購入できる市販薬が症状の緩和に役立ちます。市販薬を選ぶ際のポイントを解説します。
外用薬(塗り薬)については、抗ヒスタミン薬を含むものがかゆみに有効です。ジフェンヒドラミン塩酸塩などの抗ヒスタミン成分が含まれる外用薬は、かゆみを抑える効果があります。また、ステロイド成分(ヒドロコルチゾンなど)を含む市販のステロイド外用薬は、炎症を抑える効果があり、腫れや赤みの緩和にも役立ちます。
市販のステロイド外用薬の使用にあたっては、用法・用量を守ることが大切です。医師から処方されるステロイド外用薬に比べて市販品は成分濃度が低めに設定されていますが、顔や皮膚の薄い部位への使用、長期使用は副作用(皮膚萎縮、毛細血管拡張など)のリスクがあります。2〜3週間以上使用しても改善がない場合や、顔など繊細な部位への使用が必要な場合は医師に相談してください。
冷感成分(l-メントールなど)を含む外用薬は、かゆみや痛みを一時的に和らげる効果があります。冷感刺激がかゆみの感覚を置き換える形で作用します。
内服薬については、抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)の内服がかゆみや腫れに対して効果的な場合があります。市販のアレルギー内服薬にはさまざまな種類がありますが、眠くなりやすいものとなりにくいものがあります。日中の活動に支障をきたしたくない場合は、眠気が出にくいとされる成分を含む薬を選ぶと良いでしょう。
市販薬を使用する際は、必ず添付文書の指示を守り、使用上の注意を確認することが重要です。特に、妊娠中や授乳中の方、子ども、持病がある方、他の薬を内服している方は、使用前に薬剤師や医師に相談することをお勧めします。
市販薬を使用しても症状が改善しない場合、または症状が悪化する場合は、自己判断で対応し続けることなく、医療機関を受診してください。
📌 10. アブに刺されないための予防策

アブ刺されの最善の対処は、刺されないように予防することです。アウトドア活動を楽しむ際に役立つ具体的な予防策をご紹介します。
肌の露出を減らすことが最も基本的な予防策です。長袖・長ズボン・靴下・手袋を着用することで、アブが直接皮膚に接触するリスクを大幅に減らすことができます。アブは衣服の上から刺すことはできないため、肌を覆うことが効果的です。首元や足首など、肌が見えやすい部位も意識して覆うようにしましょう。
虫よけ剤の使用も有効な手段です。ディート(DEET)やイカリジン(ピカリジン)を有効成分とする虫よけスプレーや液体は、アブに対しても一定の効果があります。ディートは成分濃度が高いほど効果の持続時間が長くなりますが、6か月未満の乳児への使用は禁止されており、子どもには適切な濃度の製品を選ぶことが大切です。使用後は洗い流すことも忘れないようにしましょう。
衣服の色については、アブは黒や濃い色に引き寄せられる傾向があると言われています。明るい色や薄い色の衣服を着ることで、アブが近づきにくくなると考えられています。濃い色の衣服での山歩きや農作業を控えるだけで、リスクを多少減らせる可能性があります。
香りの強い化粧品や整髪料の使用を控えることも予防のひとつです。強い匂いはアブを引き寄せる可能性があります。アウトドア活動の際には、なるべく無香料の製品を使用することが望ましいです。
アブの活動が活発な時間帯や場所を避けることも有効です。アブは日中の明るい時間帯、特に午前中から昼過ぎにかけて活発に活動します。また、水辺や湿地帯、草が生い茂った場所はアブが多い環境です。これらの条件が重なる時間と場所では特に注意が必要です。
アブを手で払いのけようとする際は、素手ではなく帽子などを使うと、直接刺されるリスクを減らせます。アブは動くものに反応して追いかける習性があるため、急に大きく動くよりも落ち着いてその場を離れる方が効果的な場合があります。
牛馬などの家畜がいる場所や農村地帯では、アブが多く生息していることがあります。このような環境では特に予防対策をしっかりと取ることが重要です。
過去にアブや他の虫刺されでアレルギー反応やアナフィラキシーを経験したことがある人は、アウトドア活動の際に医師から処方されたエピペンを常に携帯するとともに、同行者にもアナフィラキシーの症状と対処法を伝えておくことが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏から秋にかけてアブ刺されによる腫れや強いかゆみを主訴に来院される患者様が増える傾向にあります。アブは皮膚を切り裂いて吸血するため蚊と比べて症状が強く出やすく、市販薬で対処されている間に二次感染やアレルギー反応が進行してしまうケースも見受けられますので、症状が数日経っても改善しない場合や悪化している場合はお早めにご相談ください。全身に及ぶじんましんや息苦しさなどアナフィラキシーを疑う症状が現れた際はためらわずにすぐ救急車をお呼びいただくことが、命を守る上で何より大切です。」
🎯 よくある質問
まずその場から離れ、刺された部位を流水と石鹸でやさしく洗い流してください。その後、タオルに包んだ保冷剤で10〜15分程度冷やすことで、腫れや炎症の広がりを抑えられます。口で吸い出す民間療法は細菌感染のリスクがあるため行わないでください。
全身にじんましんが広がる、のどの締め付け感や息苦しさがある、めまいや意識がぼんやりするといった症状はアナフィラキシーショックの可能性があります。これらの症状が一つでも現れた場合は、ためらわずすぐに119番へ連絡してください。症状は刺されてから数分〜30分以内に現れることが多いです。
一般的な局所症状(赤み・腫れ・かゆみ)は3〜7日程度で改善することが多いです。1週間以上経っても腫れや赤みが引かない、患部が化膿している、38度以上の発熱が続くといった場合は、二次感染の可能性があるため皮膚科などの医療機関を早めに受診してください。
アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、刺された瞬間から強い痛みを感じるのが最大の特徴です。蚊は刺された時に痛みをほとんど感じません。ブヨもアブ同様に皮膚を切り裂きますが、体長が非常に小さく、刺直後は気づきにくく、時間が経ってから強いかゆみと腫れが現れる点が異なります。
長袖・長ズボンで肌の露出を減らすことが最も基本的な対策です。加えて、ディートやイカリジンを含む虫よけスプレーの使用、明るい色の衣服の着用、香りの強い化粧品を避けることも効果的です。アブは水辺や湿地帯で特に多く、日中の午前から昼過ぎにかけて活発になるため、これらの環境や時間帯には特に注意しましょう。
📋 まとめ
アブ刺されは夏のアウトドアで誰でも遭遇しうるトラブルですが、正しい知識と適切な対処法を身につけておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、刺された瞬間から強い痛みを感じるのが特徴です。刺された直後は、まずその場を離れ、流水で患部をよく洗い、冷やすことが基本的な応急処置となります。患部をかき壊すことや、口で吸い出そうとすることは避けてください。
多くの場合、局所症状は数日以内に改善しますが、じんましんや息苦しさ、めまいなど全身に及ぶ症状が現れた場合はアナフィラキシーショックの可能性があります。このような症状が見られた際はすぐに救急車を呼んでください。
腫れや赤みが長引く、化膿している、発熱を伴うといった場合は二次感染の可能性があるため、皮膚科などの医療機関を早めに受診することをお勧めします。
アブ刺され予防には、肌の露出を減らす、虫よけ剤を使用する、アブの活発な場所や時間帯を避けるといった対策が有効です。楽しいアウトドアライフのために、本記事でご紹介した知識をぜひ役立ててください。気になる症状がある場合や、繰り返し強いアレルギー反応が出る場合は、ためらわずに医療機関に相談することが大切です。
📚 関連記事
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- 足の指が膿んでいる原因と対処法|放置するリスクと受診のタイミング
📚 参考文献
- 厚生労働省 – アナフィラキシーショックの症状・対処法・エピペンの使用方法に関する公式情報として参照
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されによる皮膚症状(腫れ・かゆみ・炎症)の診断基準、ステロイド外用薬・抗ヒスタミン薬の適切な使用方法に関する情報として参照
- 国立感染症研究所 – アブが媒介する可能性のある感染症リスク、マダニ等との比較における感染症情報(日本紅斑熱・SFTSなど)の根拠情報として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務