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インフルエンザにかかったらロキソニンは飲んでいいの?正しい解熱鎮痛剤の選び方

はじめに

冬になると毎年流行するインフルエンザ。高熱や関節痛、頭痛など、つらい症状に悩まされた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そんなとき、自宅の救急箱に常備しているロキソニン(ロキソプロフェン)を飲んでもいいのか、迷われる方も少なくありません。

結論から申し上げますと、インフルエンザが疑われる場合、ロキソニンの使用は原則として避けるべきとされています。これは医療現場における重要な注意事項であり、特にお子さまや若年者では慎重な判断が求められます。

本記事では、なぜインフルエンザのときにロキソニンを避けるべきなのか、どのような解熱鎮痛剤なら使用できるのか、そして発熱したときの正しい対処法について、医学的根拠に基づいて詳しく解説していきます。

インフルエンザとは

インフルエンザの基礎知識

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。一般的な風邪とは異なり、より強い全身症状が特徴的です。

インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型の3つの型があり、季節性の流行を引き起こすのは主にA型とB型です。特にA型は変異しやすく、数年から数十年ごとに大きな流行を引き起こすことが知られています。

主な症状

インフルエンザの典型的な症状には以下のようなものがあります:

  • 急激な高熱(38℃以上、多くは39〜40℃)
  • 悪寒・戦慄
  • 全身倦怠感
  • 筋肉痛・関節痛
  • 頭痛
  • 咳・喉の痛み
  • 鼻水・鼻づまり

これらの症状は、通常の風邪よりも強く現れ、特に発症初期から高熱と全身症状が顕著であることが特徴です。健康な成人であれば1週間程度で回復することが多いですが、高齢者や基礎疾患のある方、妊婦、乳幼児などでは重症化するリスクがあります。

インフルエンザの流行時期

日本では例年11月頃から流行が始まり、1月から3月にかけてピークを迎えます。国立感染症研究所では、全国のインフルエンザの発生動向を週ごとに公開しており、流行状況を確認することができます。

診断方法

医療機関では、鼻やのどの粘膜を綿棒で拭い、迅速診断キットを使用してインフルエンザウイルスの有無を調べます。検査は10〜15分程度で結果が出ますが、発症してから12時間以内では偽陰性(実際は感染しているのに陰性と出る)になることがあるため、タイミングに注意が必要です。

ロキソニン(ロキソプロフェン)について

ロキソニンとは

ロキソニン®は、ロキソプロフェンナトリウム水和物を主成分とする解熱鎮痛剤の商品名です。第一三共ヘルスケア株式会社が製造販売しており、日本では非常に広く使用されている薬剤の一つです。

2011年からは第一類医薬品として薬局・ドラッグストアでも購入できるようになり(ロキソニンS®)、より身近な解熱鎮痛剤として利用されています。

薬剤の分類

ロキソニンは、**非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)**に分類されます。NSAIDsは、体内で炎症や痛み、発熱を引き起こす物質である「プロスタグランジン」の生成を抑えることで効果を発揮します。

NSAIDsには、ロキソプロフェンの他にも以下のような薬剤があります:

  • イブプロフェン(ブルフェン®、イブ®など)
  • ジクロフェナク(ボルタレン®など)
  • インドメタシン(インダシン®など)
  • アスピリン(バファリン®など)
  • メフェナム酸(ポンタール®など)

ロキソニンの効能・効果

ロキソニンは以下のような症状に対して使用されます:

  • 頭痛、月経痛(生理痛)
  • 歯痛、抜歯後の痛み
  • 咽頭痛
  • 腰痛、筋肉痛、肩こり痛
  • 関節痛、打撲痛、捻挫痛
  • 骨折痛、外傷痛
  • 耳痛
  • 発熱時の解熱

このように幅広い痛みや発熱に対して効果があり、作用が強く即効性があることから、医療現場でも頻繁に処方される薬剤です。

ロキソニンの特徴

ロキソニンの大きな特徴は、プロドラッグであることです。プロドラッグとは、服用した状態では活性がなく、体内で代謝されることで初めて効果を発揮する薬剤のことを指します。

ロキソプロフェンは、服用後に体内で「ロキソプロフェンSRS」という活性代謝物に変換されて効果を発揮します。このため、胃への直接的な刺激が比較的少ないとされており、他のNSAIDsと比較して胃腸障害が起こりにくいという利点があります。

ただし、「胃腸障害が起こりにくい」というのはあくまで相対的な話であり、全くリスクがないわけではありません。長期使用や空腹時の服用、もともと胃腸が弱い方では胃痛や胃潰瘍などの副作用が生じる可能性があります。

なぜインフルエンザのときにロキソニンを避けるべきなのか

NSAIDsとインフルエンザ脳症の関連

インフルエンザにかかったときにロキソニンをはじめとするNSAIDsの使用を避けるべき最大の理由は、インフルエンザ脳症のリスクを高める可能性があるからです。

インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染に伴って発症する重篤な合併症で、主に乳幼児に多く見られますが、成人でも発症することがあります。急激な意識障害やけいれん、異常行動などが出現し、死亡率も高く、後遺症を残すことも少なくありません。

日本では1990年代後半から2000年代初頭にかけて、インフルエンザ脳症とNSAIDsの関連性について多くの調査研究が行われました。その結果、特定のNSAIDs(ジクロフェナク、メフェナム酸など)がインフルエンザ脳症の発症や重症化に関与している可能性が示唆されました。

厚生労働省は2000年11月に、インフルエンザの患者に対するジクロフェナクナトリウム製剤の使用を原則禁忌とする旨の通知を出しました。さらに、他のNSAIDsについても慎重投与とする指示が出されています。

ロキソプロフェンの位置づけ

ロキソプロフェン(ロキソニン)については、ジクロフェナクやメフェナム酸ほど明確な関連性は示されていませんが、同じNSAIDsの仲間であることから、インフルエンザが疑われる場合には慎重投与とされています。

医薬品添付文書においても、ロキソプロフェンナトリウム水和物の「慎重投与」の項目に「インフルエンザの患者(本剤を含む非ステロイド性消炎鎮痛剤の使用により、インフルエンザ脳炎・脳症が重症化したとの報告があるため)」という記載があります。

つまり、ロキソニンがインフルエンザ脳症を直接引き起こすという証明はされていませんが、安全性を考慮して使用を避けることが推奨されているのです。

ライ症候群との関連

もう一つ重要な合併症として、**ライ症候群(Reye症候群)**があります。これは主に小児がインフルエンザや水痘などのウイルス感染症にかかった際、アスピリン(アセチルサリチル酸)を使用すると発症する可能性がある急性脳症です。

ライ症候群は、急激な脳浮腫と肝臓の脂肪変性を特徴とし、激しい嘔吐、意識障害、けいれんなどが現れます。死亡率が高く、生存しても重い後遺症を残すことが多い重篤な疾患です。

このため、15歳未満の小児がインフルエンザや水痘にかかっている場合、アスピリンの使用は原則禁忌とされています。

ロキソプロフェンやイブプロフェンなど他のNSAIDsとライ症候群との明確な関連は示されていませんが、同じNSAIDsという薬剤分類であることから、やはり慎重な使用が求められます。

発熱のメカニズムと解熱剤の影響

発熱は、体がウイルスや細菌と戦うための防御反応の一つです。体温を上げることで免疫機能を活性化し、ウイルスの増殖を抑制する効果があります。

解熱鎮痛剤を使用して無理に熱を下げると、この防御反応を抑えてしまい、かえってウイルスの排出を遅らせたり、病気の回復を遅らせたりする可能性があるという意見もあります。

特にインフルエンザのような急性ウイルス感染症では、むやみに解熱剤を使用するのではなく、体温が39℃以上で非常につらい場合や、脱水のリスクが高い場合など、必要最小限の使用にとどめることが推奨されています。

インフルエンザのときに使える解熱鎮痛剤

アセトアミノフェン(カロナール®、タイレノール®など)

インフルエンザにかかったときの解熱鎮痛剤として、最も推奨されているのがアセトアミノフェンです。

アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なる作用機序を持ち、インフルエンザ脳症やライ症候群との関連が報告されていません。そのため、乳幼児から成人まで、インフルエンザの際の解熱鎮痛剤として安全に使用できます。

日本小児科学会も、インフルエンザにかかった小児に対して、解熱剤を使用する場合はアセトアミノフェンを推奨しています。

アセトアミノフェンの特徴

  • 解熱・鎮痛作用:中枢神経系に作用して解熱・鎮痛効果を発揮します
  • 抗炎症作用は弱い:NSAIDsと異なり、抗炎症作用はほとんどありません
  • 胃腸への負担が少ない:プロスタグランジンの生成抑制作用が弱いため、胃腸障害が起こりにくい
  • 安全性が高い:適切な用量であれば副作用が少なく、小児や妊婦にも使用できます

主な製品

  • カロナール®(医療用医薬品)
  • タイレノール®A(一般用医薬品)
  • パブロンエース®PRO(配合成分として含まれる)
  • ノーシン®ホワイト錠(配合成分として含まれる)

市販の風邪薬や解熱鎮痛剤の多くにアセトアミノフェンが配合されています。購入時には薬剤師に確認し、インフルエンザに使用できるかを確認することをお勧めします。

アセトアミノフェンの注意点

アセトアミノフェンは安全性が高い薬剤ですが、過量投与には注意が必要です。特に、肝機能障害のリスクがあります。

  • 成人の通常量:1回300〜1000mg、1日最大4000mg
  • 小児の通常量:1回10〜15mg/kg、1日最大60mg/kg

複数の薬剤にアセトアミノフェンが含まれていることがあるため、重複投与にならないよう注意が必要です。また、日常的に飲酒する方は肝臓への負担が大きくなる可能性があるため、医師や薬剤師に相談してください。

その他の解熱鎮痛剤

インフルエンザの際に使用できる解熱鎮痛剤は、基本的にアセトアミノフェンに限られると考えてよいでしょう。

成人の場合、医師の判断により、慎重に投与することを前提として、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsが処方されることもありますが、自己判断での使用は避けるべきです。

特に、以下のNSAIDsはインフルエンザの際には使用を避けるべきとされています:

  • ジクロフェナク(ボルタレン®)
  • メフェナム酸(ポンタール®)

これらの薬剤は、インフルエンザ脳症との関連性が強く疑われており、医薬品添付文書でも原則禁忌または慎重投与とされています。

インフルエンザにかかったときの正しい対処法

基本的な対処法

インフルエンザにかかったときは、以下のような対処が基本となります:

1. 安静と十分な休養

体力を温存し、免疫力を高めるためには十分な休養が不可欠です。無理をして活動すると回復が遅れるだけでなく、合併症のリスクも高まります。

2. 水分補給

発熱により体内の水分が失われます。脱水を防ぐために、こまめに水分を摂取しましょう。スポーツドリンクや経口補水液は、電解質も補給できるためお勧めです。

3. 栄養補給

食欲がない場合でも、消化の良いものを少しずつ食べるようにしましょう。おかゆ、うどん、スープなどが適しています。

4. 室内環境の調整

  • 適度な湿度(50〜60%)を保つ:乾燥するとウイルスが活性化しやすく、のどや鼻の粘膜も傷つきやすくなります
  • 適切な室温(20〜25℃)を維持する
  • 定期的な換気を行う

5. 周囲への感染予防

インフルエンザは非常に感染力が強いため、家族など周囲への感染を防ぐことも重要です:

  • できるだけ別室で過ごす
  • マスクを着用する
  • 咳エチケットを守る
  • 使用したティッシュはすぐに捨てる
  • こまめに手洗いをする

抗インフルエンザ薬について

インフルエンザに対しては、ウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬があります:

  • オセルタミビル(タミフル®):内服薬
  • ザナミビル(リレンザ®):吸入薬
  • ラニナミビル(イナビル®):吸入薬(1回投与)
  • バロキサビル(ゾフルーザ®):内服薬(1回投与)
  • ペラミビル(ラピアクタ®):点滴薬

これらの薬剤は、発症から48時間以内に使用を開始することで、発熱期間を1〜2日短縮し、ウイルスの排出量を減らす効果があります。ただし、すべての患者に必須というわけではなく、症状や患者の状態によって使用を判断します。

特に以下のような方は、重症化リスクが高いため、抗インフルエンザ薬の早期使用が推奨されます:

  • 65歳以上の高齢者
  • 2歳未満の乳幼児
  • 妊婦
  • 慢性呼吸器疾患(喘息、COPDなど)のある方
  • 心疾患のある方
  • 糖尿病などの代謝性疾患のある方
  • 腎機能障害のある方
  • 免疫抑制状態にある方

発熱への対応

発熱は体の防御反応であることを理解し、以下のような基準で対応することが推奨されます:

解熱剤を使用する目安

  • 体温が38.5〜39℃以上で、本人が非常につらい場合
  • 発熱により脱水のリスクが高い場合(特に小児や高齢者)
  • 発熱により睡眠が十分にとれない場合
  • 基礎疾患がある方で、発熱が病態を悪化させる可能性がある場合

解熱剤を使用しない方がよい場合

  • 微熱程度(37〜38℃台)で、本人が比較的元気な場合
  • 水分がしっかり摂れている場合
  • 発熱以外の症状が軽度で、日常生活に大きな支障がない場合

解熱剤を使用する際は、インフルエンザの場合はアセトアミノフェンを選択し、用法・用量を守って使用してください。

物理的冷却法

薬剤に頼らない冷却方法も効果的です:

  • 冷却シートやアイスパックを額や首の後ろ、わきの下、足の付け根など、太い血管が通る部分に当てる
  • ぬるま湯で体を拭く:気化熱により体温を下げる効果があります
  • 薄着にする:厚着をし過ぎると熱がこもります

ただし、悪寒や寒気がある場合は、体が熱を上げようとしている段階なので、無理に冷やさず、温かくして安静にすることが大切です。

医療機関を受診すべきタイミング

以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください:

成人の場合

  • 呼吸困難、息切れがある
  • 胸痛がある
  • 嘔吐が続き、水分が摂れない
  • 意識がもうろうとしている、意識障害がある
  • けいれんがある
  • 症状が改善せず、5日以上高熱が続く
  • 一旦解熱した後に再び高熱が出た

小児の場合

上記に加えて、以下の症状にも注意が必要です:

  • 呼吸が速い、または呼吸が苦しそう
  • 顔色が悪い、唇が紫色になっている
  • ぐったりして、呼びかけに反応が鈍い
  • けいれんを起こした
  • 意味不明なことを言う、異常な行動をとる
  • 嘔吐が続き、水分が摂れない
  • おしっこが半日以上出ていない
  • 生後3ヶ月未満の乳児で38℃以上の発熱がある

特に、意識障害や異常行動はインフルエンザ脳症の可能性があるため、緊急での受診が必要です。

インフルエンザの予防

ワクチン接種

インフルエンザワクチンは、感染そのものを完全に防ぐことはできませんが、発症を予防し、重症化を防ぐ効果があります。

  • 接種時期:毎年10月〜12月が推奨されます
  • 効果の持続期間:接種後約2週間で効果が現れ、約5ヶ月間持続します
  • 対象者:生後6ヶ月以上のすべての人が接種可能です
  • 特に推奨される方:65歳以上の高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、医療従事者など

日常生活での予防

  • 手洗い:石鹸を使って、指先、爪の間、指の間、手首まで丁寧に洗います
  • マスクの着用:特に流行期や人混みでは効果的です
  • 咳エチケット:咳やくしゃみをする際は、マスクやティッシュ、袖で口と鼻を覆います
  • 適度な湿度の保持:室内湿度を50〜60%に保つことで、ウイルスの活動を抑えられます
  • 十分な休養とバランスの取れた栄養:免疫力を高めることが重要です
  • 人混みを避ける:特に流行期には不要不急の外出を控えましょう

家族に感染者が出た場合

家族内での感染を防ぐために、以下の対策を取りましょう:

  • 感染者は別室で過ごす
  • 同じ部屋にいる場合は、お互いにマスクを着用する
  • 感染者の看病をした後は必ず手を洗う
  • タオルや食器などを共用しない
  • 部屋の換気をこまめに行う
  • ドアノブや電気のスイッチなど、よく触れる場所をアルコール消毒する

厚生労働省のインフルエンザQ&Aでは、インフルエンザに関する詳しい情報が提供されていますので、併せてご参照ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. インフルエンザかどうか分からない段階で、ロキソニンを飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?

A1. 1回程度の使用であれば、過度に心配する必要はありません。ただし、インフルエンザが疑われる場合は、それ以降の使用は中止し、医療機関を受診してください。医師に「ロキソニンを服用した」ことを必ず伝えましょう。

Q2. 大人の場合、ロキソニンを使ってもよいのでしょうか?

A2. 成人であっても、インフルエンザが疑われる場合はロキソニンの使用は推奨されません。インフルエンザ脳症は稀ではありますが成人でも発症する可能性があります。アセトアミノフェンを使用するか、医療機関を受診して医師の判断を仰いでください。

Q3. 病院でインフルエンザの検査を受ける場合、解熱剤を使った後でも大丈夫ですか?

A3. 解熱剤を使用していても、インフルエンザの迅速検査は可能です。検査ではウイルスの有無を調べるため、解熱剤の使用は結果に影響しません。ただし、受診時には「解熱剤を使用した」ことを医師に伝えてください。

Q4. 熱が下がったら学校や職場に行ってもよいですか?

A4. 解熱後も一定期間はウイルスを排出しているため、他者への感染リスクがあります。学校保健安全法施行規則では、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」を出席停止期間としています。職場でも同様の基準を設けているところが多いため、確認しましょう。

Q5. インフルエンザワクチンを打っていればロキソニンを使っても大丈夫ですか?

A5. ワクチンを接種していても、インフルエンザに感染する可能性はあります。発熱や症状がある場合は、インフルエンザの可能性を考慮し、ロキソニンの使用は避け、アセトアミノフェンを選択するか、医療機関を受診してください。

Q6. 市販の総合感冒薬(風邪薬)は使ってもよいですか?

A6. 市販の風邪薬には、NSAIDsが含まれているものが多くあります。インフルエンザが疑われる場合は、購入前に薬剤師に相談し、成分を確認してください。アセトアミノフェンのみを含む製品を選ぶことが安全です。

Q7. 妊娠中にインフルエンザにかかった場合、どうすればよいですか?

A7. 妊婦さんはインフルエンザで重症化しやすいため、早めの受診が重要です。解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンが推奨されます。抗インフルエンザ薬(タミフルなど)も妊娠中でも使用可能です。自己判断せず、必ず産婦人科医や内科医に相談してください。

Q8. 解熱剤は何時間おきに使用してよいですか?

A8. アセトアミノフェンの場合、通常は4〜6時間の間隔をあけて使用します。1日の最大使用量を超えないように注意し、使用する製品の添付文書をよく読んで用法・用量を守ってください。

まとめ

本記事では、インフルエンザとロキソニン(ロキソプロフェン)の関係について詳しく解説しました。重要なポイントをまとめます:

1. インフルエンザのときはロキソニンを避ける

インフルエンザが疑われる場合、ロキソニンをはじめとするNSAIDsの使用は原則として避けるべきです。これは、インフルエンザ脳症のリスクを高める可能性があるためです。

2. アセトアミノフェンが推奨される

インフルエンザの際に解熱鎮痛剤を使用する場合は、アセトアミノフェン(カロナール®、タイレノール®など)が推奨されます。アセトアミノフェンはインフルエンザ脳症との関連が報告されておらず、安全性が高い薬剤です。

3. 自己判断での薬剤使用は避ける

発熱や症状がある場合は、自己判断で市販薬を使用せず、医療機関を受診することが重要です。特に、以下のような薬剤は避けるべきです:

  • ジクロフェナク(ボルタレン®)
  • メフェナム酸(ポンタール®)
  • アスピリン(15歳未満の小児の場合)

4. 発熱は体の防御反応

発熱は体がウイルスと戦うための重要な反応です。むやみに解熱剤を使用するのではなく、38.5〜39℃以上で非常につらい場合や、脱水のリスクが高い場合など、必要最小限の使用にとどめることが推奨されます。

5. 早期の医療機関受診が重要

インフルエンザは、発症から48時間以内に抗インフルエンザ薬を使用することで、症状の期間を短縮できます。特に重症化リスクが高い方(高齢者、乳幼児、基礎疾患のある方など)は、早めの受診が大切です。

6. 予防が最も重要

インフルエンザワクチンの接種、手洗い、マスクの着用、適度な湿度の保持など、日常的な予防対策を心がけることで、感染リスクを減らすことができます。

7. 異常があればすぐに受診

意識障害、異常行動、けいれん、呼吸困難などの症状が現れた場合は、インフルエンザ脳症などの重篤な合併症の可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。


インフルエンザは誰もがかかる可能性のある身近な感染症ですが、正しい知識と適切な対処により、重症化を防ぐことができます。特に解熱鎮痛剤の選択は重要です。本記事が、皆さまの健康管理の一助となれば幸いです。


参考文献

  1. 国立感染症研究所「インフルエンザとは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html
  2. 厚生労働省「インフルエンザQ&A」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
  3. 日本小児科学会「インフルエンザに伴う随伴症状の出現に関する調査研究」https://www.jpeds.or.jp/
  4. 日本感染症学会「インフルエンザ診療ガイドライン」https://www.kansensho.or.jp/
  5. 文部科学省「学校保健安全法施行規則の一部を改正する省令の施行について」https://www.mext.go.jp/
  6. 日本医師会「インフルエンザ脳症について」https://www.med.or.jp/
  7. 国立感染症研究所「インフルエンザ脳症の疫学と臨床像」https://www.niid.go.jp/
  8. 厚生労働省「ジクロフェナクナトリウム製剤の使用上の注意の改訂について」(通知)
  9. 日本薬剤師会「インフルエンザと解熱鎮痛剤」https://www.nichiyaku.or.jp/

※本記事は医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合は医療機関を受診してください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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