粉瘤(ふんりゅう)は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、一度治療しても再発することがあります。せっかく治療したのに、また同じ場所にしこりができてしまうと、不安になる方も多いのではないでしょうか。実は、粉瘤の再発には明確な原因があり、適切な治療を受けることで再発のリスクを大幅に減らすことができます。この記事では、アイシークリニック渋谷院が粉瘤の再発原因から正しい治療法、再発予防のポイントまで詳しく解説いたします。
目次
- 粉瘤とは?基本的な知識をおさらい
- 粉瘤が再発する主な原因
- 再発しやすい人の特徴
- 粉瘤の治療法と再発率の違い
- 再発を防ぐための正しい治療選択
- 手術後に気をつけるべきこと
- 再発した場合の対処法
- 粉瘤と間違えやすい他の疾患
- よくある質問
- まとめ
🩺 粉瘤とは?基本的な知識をおさらい
粉瘤の再発原因を理解するためには、まず粉瘤がどのようなものかを正しく知っておくことが大切です。ここでは、粉瘤の基本的な特徴について解説します。
🔬 粉瘤の構造と特徴
粉瘤は「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれ、皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫壁)ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まったものです。
通常、皮膚の表面から剥がれ落ちるはずの古い角質が、何らかの原因で皮膚の下に蓄積してしまうことで発生します。
粉瘤の特徴的な点は、この袋状の構造にあります。
- 袋の内側は皮膚の表面と同じ構造
- 常に角質を産生し続ける
- 放置すると徐々に大きくなる傾向がある
📍 粉瘤ができやすい部位
粉瘤は体のあらゆる部位に発生する可能性がありますが、特に以下の部位に多く見られます。
- 顔面(特に耳たぶや耳の後ろ)
- 首
- 背中
- 胸部
- わきの下
- そけい部
これらの部位は皮脂腺が多く、毛穴の詰まりが起こりやすいことが関係していると考えられています。
⚠️ 粉瘤の症状
粉瘤は通常、痛みを伴わないしこりとして気づかれることが多いです。
通常の粉瘤の特徴:
- 皮膚の下にコロコロとした球状のできもの
- 指で押すと周囲の組織と一緒に動く
- 中央部に黒い点(開口部)が見られることがある
- 痛みはない
しかし、細菌感染を起こすと状況は一変します。感染した粉瘤は「炎症性粉瘤」と呼ばれ、以下のような症状が現れます。
炎症性粉瘤の特徴:
- 赤く腫れて強い痛みを伴う
- 膿が溜まる
- 悪臭のある内容物が排出される
- 周囲の組織と癒着しやすくなる
🔄 粉瘤が再発する主な原因
粉瘤の治療後に再発が起こる場合、そこには必ず原因があります。再発のメカニズムを理解することで、適切な治療選択につなげることができます。
🎯 袋(嚢腫壁)の取り残し
粉瘤が再発する最大の原因は、手術時に袋の一部が取り残されることです。粉瘤の本体は袋状の構造物であり、この袋を完全に摘出しなければ再発は避けられません。
袋の壁がわずかでも残っていると、そこから再び角質が産生され、時間の経過とともに粉瘤が再形成されます。
特に炎症を繰り返した粉瘤は、以下の理由で完全摘出が困難になります:
- 袋が周囲の組織と強く癒着している
- 手術中に袋が破れやすい
- 正常組織との境界が不明瞭
❌ 不適切な治療法の選択
粉瘤に対して不適切な治療を行うと、再発のリスクが高まります。
再発しやすい不適切な処置:
- 粉瘤の内容物を絞り出すだけの処置
- 中身だけを掻き出す処置
- 炎症時の無理な摘出手術
これらの処置では袋は残ったままになるため、必ず再発します。
🔥 炎症による袋の損傷
粉瘤が炎症を起こすと、以下のような変化が起こります:
- 袋自体が脆くなり、手術中に破れやすくなる
- 袋と周囲組織の境界が曖昧になる
- 袋の形が変形する
- 多房性(複数の袋が連なった状態)になることがある
このような複雑な形態の粉瘤は、一度の手術で完全に取り切ることが難しく、再発リスクが高くなります。
🆕 新たな粉瘤の発生
厳密には再発ではありませんが、以下のケースもあります:
- 以前粉瘤があった場所の近くに新しい粉瘤ができる
- 手術の傷跡に沿って新たな粉瘤が発生する
- 粉瘤ができやすい体質の方での複数発生
👥 再発しやすい人の特徴
粉瘤の再発リスクは個人差があり、再発しやすい人にはいくつかの共通した特徴が見られます。
🔄 過去に炎症を繰り返した人
粉瘤が何度も炎症を起こした経験がある方は、再発リスクが高い傾向にあります。
リスクが高くなる理由:
- 炎症により袋が変形している
- 周囲組織との癒着が進んでいる
- 完全摘出が困難になっている
特に、自分で絞り出したり、針で穴を開けて中身を出したりした経験がある方は注意が必要です。このような自己処置は袋を傷つけ、より複雑な状態を作り出してしまいます。
🎯 複数の粉瘤がある人
体質的に粉瘤ができやすい人は、以下の特徴があります:
- 複数の粉瘤を持っている
- 家族に粉瘤ができやすい人がいる
- 一つを治療しても別の場所に新たな粉瘤が発生することがある
遺伝的な要因も関係していると言われており、定期的な観察が必要です。
📏 大きな粉瘤を放置していた人
粉瘤は時間とともに大きくなる傾向があり、大きくなればなるほど手術は複雑になります。
大きな粉瘤のリスク:
- 袋も大きく、周囲との癒着が進んでいる
- 完全摘出の難易度が上がる
- 炎症を起こしやすい
- 悪循環に陥りやすい
🎨 特定の部位にできた人
粉瘤ができた部位によっても再発リスクは異なります:
再発リスクが高い部位:
- 臀部(お尻)- 常に圧迫や摩擦を受ける
- 背中 – 圧迫や摩擦を受けやすい
- 頭皮 – 毛根との関係で完全摘出が困難なケースがある
⚕️ 粉瘤の治療法と再発率の違い
粉瘤の治療法にはいくつかの選択肢があり、それぞれ再発率が異なります。適切な治療法を選ぶことが再発予防の第一歩です。
🔪 外科的切除術(従来法)
従来からある治療法で、粉瘤の上の皮膚を紡錘形(ぼうすいけい)に切開し、袋ごと摘出する方法です。
メリット:
- 粉瘤を直接目で確認しながら摘出できる
- 袋を破らずに一塊として摘出できる可能性が高い
- 熟練した医師が行えば、再発率は非常に低い
デメリット:
- 傷跡が粉瘤よりも大きくなりやすい
⭕ くり抜き法(へそ抜き法)
粉瘤の中央にある開口部(へそ)を含む小さな穴を円形に開け、そこから内容物と袋を摘出する方法です。
メリット:
- 傷跡が小さく済む
- 美容的に優れている
- 適切に行えば従来法と同等の低い再発率を達成可能
デメリット:
- 小さな穴から袋を引き出すため、袋が破れやすい
- 技術を要する
🚨 切開排膿のみの処置
炎症を起こした粉瘤に対して、皮膚を切開して膿を出すだけの処置です。
重要なポイント:
- これは応急処置であり、根治治療ではない
- 袋は残ったままなので、必ず再発する
- その後に根治手術が必要
💊 薬物療法
粉瘤そのものを薬で治すことはできません。
- 抗生物質:炎症を起こした際の感染対策として使用
- 市販薬・サプリメント:粉瘤に対する効果は医学的根拠がない
- 根治には手術による袋の摘出が必要
✅ 再発を防ぐための正しい治療選択
粉瘤の再発を防ぐためには、適切なタイミングで適切な治療を受けることが重要です。
⏰ 早期治療の重要性
粉瘤は自然に治ることはなく、放置すると徐々に大きくなります。
早期治療のメリット:
- 手術が簡単
- 傷跡を最小限に抑えられる
- 炎症を起こす前に治療できる
- 再発リスクを大幅に減らせる
「様子を見よう」と先延ばしにしているうちに、炎症を起こしてしまうケースは少なくありません。気づいた時点で早めに医療機関を受診することをお勧めします。
👨⚕️ 専門医での治療
粉瘤の治療は、経験豊富な医師のもとで受けることが重要です。
必要な要素:
- 解剖学的な知識
- 確かな技術
- 豊富な経験
- 症例に応じた術式選択
アイシークリニック渋谷院では、粉瘤の治療を数多く手がけており、症例ごとに最適な治療法を提案しています。
🔥 炎症時の適切な対応
粉瘤が炎症を起こした場合は、まず炎症を落ち着かせることが優先されます。
二段階治療のプロセス:
- 第一段階: 切開排膿や抗生物質投与で炎症を鎮める
- 第二段階: 炎症が落ち着いてから(通常1〜2ヶ月後)根治手術を行う
この治療により、再発リスクを抑えながら確実な治療が可能になります。
🎯 術式の選択
粉瘤の大きさ、部位、炎症の有無などを総合的に判断して、最適な術式を選択することが重要です。
選択基準:
- 小さな粉瘤:くり抜き法が適していることが多い
- 大きな粉瘤・癒着の強い粉瘤:従来の切除法が確実な場合も
- 再発予防を第一に考えた術式選択が重要
🔧 手術後に気をつけるべきこと
粉瘤の手術後は、適切なケアを行うことで再発リスクをさらに低減できます。
🧼 術後の創部管理
基本的なケア:
- 手術後の傷は清潔に保つ
- 医師の指示に従って適切にケア
- 指示された期間は入浴時に傷を濡らさない
- 防水の保護材を適切に使用
抜糸が必要な場合は、指定された日に必ず受診しましょう。抜糸が遅れると、糸の跡が残りやすくなります。
👁️ 経過観察の重要性
手術後は、医師の指示に従って定期的に経過観察を受けましょう。
経過観察の目的:
- 術後の経過が順調かどうかを確認
- 万が一の再発兆候の早期発見
- 適切な術後管理の指導
再発は通常、手術後数ヶ月から1年程度の間に起こることが多いです。この期間中は、手術部位に異常がないか自分でも注意して観察しましょう。
🏃♂️ 生活上の注意点
手術部位への配慮:
- 圧迫や摩擦を避ける
- 適切な体位の維持
- きつい衣服を避ける
- 不必要に触らない
また、手術部位を自分で消毒を過度に行うことは避けましょう。過度な刺激は傷の治りを遅らせる原因になります。
🚨 異常を感じたら早めに受診
術後に以下のような症状が見られた場合は、早めに医療機関を受診してください。
受診が必要な症状:
- 傷口の周囲が赤く腫れて熱を持っている
- 傷から膿や悪臭のある浸出液が出ている
- 強い痛みが続く
- 発熱がある
これらは術後感染の可能性があり、早期に適切な処置を受けることで重症化を防ぐことができます。
🔄 再発した場合の対処法
残念ながら粉瘤が再発してしまった場合も、適切な対処を行えば根治は可能です。
⏰ 再発を確認したら早めに受診
以前手術した場所にしこりが再び現れた場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
早期受診の重要性:
- 再発した粉瘤も放置すると大きくなる
- 炎症を起こすリスクがある
- 早期治療なら比較的簡単な手術で済む
🔄 再手術の特徴
再発した粉瘤の手術は、初回よりも難しくなることがあります。
再手術が困難な理由:
- 前回の手術による瘢痕組織がある
- 正常組織との境界が分かりにくい
- 従来の切除法が選択されることが多い
- 傷が初回より大きくなる傾向がある
だからこそ、初回の手術で確実に摘出することが重要なのです。
🏥 医療機関の選び直し
再発した場合は、以下を検討する必要があります:
- 初回の手術を行った医療機関での再手術
- 別の医療機関での治療
- セカンドオピニオンの取得
- 粉瘤治療経験豊富な医療機関の選択
🔍 粉瘤と間違えやすい他の疾患
皮膚の下にできるしこりは粉瘤だけではありません。他の疾患との鑑別が重要です。
🟡 脂肪腫
脂肪腫の特徴:
- 脂肪細胞が増殖してできる良性腫瘍
- 皮膚の下に柔らかいしこりとして触れる
- 粉瘤よりも軟らかく、弾力性がある
- 開口部(へそ)はない
- 袋状の構造がないため、手術方法が異なる
🔥 毛巣洞
毛巣洞の特徴:
- 主に臀部の割れ目付近にできる
- 毛髪が皮膚の下に潜り込んで炎症を起こす
- 粉瘤と同様に腫れて膿が出ることがある
- 治療法は粉瘤と異なる
- 再発率が高い疾患として知られている
🔵 リンパ節腫脹
リンパ節腫脹の特徴:
- 首、わきの下、そけい部などの特定部位
- 感染症や他の疾患により腫れる
- 体の特定の部位に存在
- 粉瘤との鑑別が必要
⚠️ 悪性腫瘍
まれですが、皮膚や皮下組織に悪性腫瘍ができることもあります。
注意すべき症状:
- 急速に大きくなるしこり
- 硬くて動きにくいしこり
- 皮膚の色調変化を伴うしこり
自己判断で粉瘤と決めつけず、医療機関での正確な診断を受けることが大切です。

❓ よくある質問
粉瘤は自然に治ることはありません。粉瘤の本体は袋状の構造物であり、この袋が存在する限り中身は増え続けます。炎症を起こして内容物が排出されることはありますが、袋が残っている限り再び内容物が溜まります。根治には手術による袋の完全摘出が必要です。
適切な手術で袋を完全に摘出できれば、再発率は数%以下と非常に低くなります。しかし、炎症を繰り返した粉瘤や不適切な治療を受けた場合は、再発率が10〜20%程度まで上がることがあります。医師の技術や術式の選択も再発率に影響します。
自分で粉瘤を絞り出すことは避けてください。内容物を出しても袋は残るため必ず再発しますし、細菌感染を起こして炎症性粉瘤になるリスクがあります。また、無理に絞ることで袋が破れ、周囲組織と癒着してその後の手術が困難になることもあります。
一般的に、再発した粉瘤の手術は初回より難しくなることが多いです。前回の手術による瘢痕組織が形成されており、正常組織との境界が分かりにくくなっているためです。そのため、再手術では傷が大きくなる傾向があり、初回手術で確実に摘出することの重要性が分かります。
粉瘤の再発は通常、手術後数ヶ月から1年程度の間に現れることが多いです。手術部位に再びしこりができる、腫れが出てくるなどの症状で気づきます。術後1年以上経過して問題がなければ、再発のリスクは非常に低いと考えられます。定期的な経過観察で早期発見することが大切です。
強い炎症がある状態での摘出手術は推奨されません。炎症により袋と周囲組織の境界が不明瞭になり、袋の取り残しや合併症のリスクが高まるためです。まず切開排膿と抗生物質で炎症を落ち着かせ、1〜2ヶ月後に根治手術を行うという二段階の治療が一般的です。
粉瘤ができやすい体質は存在します。遺伝的な要因が関係していると考えられており、家族に粉瘤ができやすい人がいる場合は自身もできやすい傾向があります。また、脂性肌の方や毛穴の詰まりやすい方も粉瘤ができやすいとされています。複数の粉瘤ができることも珍しくありません。
📋 まとめ
粉瘤の再発は、主に袋(嚢腫壁)の取り残しが原因で起こります。適切な治療を受ければ再発率は非常に低く抑えられますが、炎症を繰り返した粉瘤や不適切な治療を受けた場合は再発リスクが高まります。
再発を防ぐためのポイント:
- 粉瘤に気づいたら早めに医療機関を受診する
- 経験豊富な医師のもとで適切な術式を選択する
- 炎症時は無理に摘出せず二段階の治療を行う
- 手術後は医師の指示に従って適切にケアを行う
- 定期的な経過観察を受ける
アイシークリニック渋谷院では、粉瘤の治療を数多く手がけており、症例に応じた最適な治療法をご提案しています。粉瘤でお悩みの方、再発が心配な方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
医師・当院治療責任者
粉瘤の再発で最も重要なのは、初回手術で袋を完全に摘出することです。炎症を起こした粉瘤では袋と周囲組織の癒着が進んでいるため、急いで手術するよりも、まず炎症を鎮めてから適切なタイミングで根治手術を行うことが再発予防には重要です。