突然皮膚が赤くなってかゆくなり、しばらくすると消えてしまう——そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。これは蕁麻疹の典型的な症状であり、日本人の約15〜20%が一生のうちに一度は経験するといわれるほど身近な皮膚疾患です。いざ症状が出ると、まず手元にある塗り薬を塗ってみようと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、蕁麻疹の治療において塗り薬はどのような役割を持つのか、医師から処方されることはあるのか、疑問に思っている方もいらっしゃるかと思います。この記事では、蕁麻疹の基本から塗り薬の位置づけ、処方される薬の種類、そして日常でできるケアまでを詳しく解説します。
目次
- 蕁麻疹とはどのような病気か
- 蕁麻疹の主な種類と原因
- 蕁麻疹に塗り薬は処方されるのか
- 蕁麻疹の治療で主に使われる内服薬(抗ヒスタミン薬)
- 塗り薬が処方される場面と主な種類
- 市販の塗り薬と処方薬の違い
- 蕁麻疹を悪化させないためのセルフケア
- 病院を受診すべきタイミング
- まとめ
この記事のポイント
蕁麻疹の治療は内服抗ヒスタミン薬が中心であり、塗り薬は補助的役割にとどまる。皮膚内部の肥満細胞が原因のため外用薬のみでは不十分で、症状が続く場合は皮膚科受診が推奨される。
🎯 蕁麻疹とはどのような病気か
蕁麻疹(じんましん)は、皮膚の一部が突然赤みを帯びて膨らみ、強いかゆみを伴う皮膚疾患です。医学的には「膨疹(ぼうしん)」と呼ばれるこの皮膚の変化は、皮膚の浅い部分にある肥満細胞(マスト細胞)からヒスタミンなどの化学物質が放出されることで引き起こされます。
蕁麻疹の特徴として挙げられるのは、その「一過性」です。発疹が出ても通常は数十分から24時間以内に消えることがほとんどです。跡が残らないのも特徴のひとつで、同じ部位に繰り返し出たり、場所を変えながら次々と現れたりすることもあります。
かゆみは非常に強く、日常生活や睡眠の質に支障をきたすこともあります。また、皮膚だけでなく、唇や目の周り、のど、腸などの粘膜にも起こることがあり、この状態を「血管性浮腫(クインケ浮腫)」と呼びます。のどに浮腫が生じると呼吸困難を招く危険性があるため、注意が必要です。
蕁麻疹は発症してから6週間以内に治まるものを「急性蕁麻疹」、6週間以上続くものを「慢性蕁麻疹」と分類します。急性蕁麻疹はアレルギーや感染症が原因のことが多く、慢性蕁麻疹は原因が特定できないことも珍しくありません。
Q. 蕁麻疹の治療に塗り薬が使われにくい理由は?
蕁麻疹は皮膚の内部にある肥満細胞からヒスタミンが放出されることで発症するため、皮膚表面に塗る外用薬だけでは根本的な治療が難しいです。そのため治療の中心は内服の抗ヒスタミン薬であり、塗り薬は局所的なかゆみ緩和を目的とした補助的役割にとどまります。
📋 蕁麻疹の主な種類と原因
蕁麻疹にはさまざまな種類があり、それぞれ原因や発症のメカニズムが異なります。適切な治療を受けるためにも、自分の蕁麻疹がどのタイプかを把握しておくことが大切です。
🦠 アレルギー性蕁麻疹
食べ物(えび、かに、小麦、牛乳、卵など)や薬物、ハチの毒、ラテックスなどに対するIgE抗体が関与するアレルギー反応が原因で起こります。これらの物質を摂取したり接触したりしてから比較的短時間(15〜30分程度)で症状が現れることが多く、アナフィラキシーを伴う危険性もあります。原因となるアレルゲンを特定し、それを避けることが治療の基本となります。
👴 特発性蕁麻疹(原因不明の蕁麻疹)
慢性蕁麻疹の多くはこのタイプで、明確な原因が特定できないものです。自己免疫が関与しているとも考えられており、ストレスや疲労、睡眠不足などで悪化することが知られています。慢性特発性蕁麻疹とも呼ばれ、長期間にわたる治療が必要になることもあります。
🔸 物理性蕁麻疹
物理的な刺激によって引き起こされる蕁麻疹です。皮膚をかいたり強く擦ったりすることで線状に赤みが出る「皮膚描記症(人工蕁麻疹)」、冷たい物や冷気に触れることで起こる「寒冷蕁麻疹」、運動や入浴で体温が上がると起こる「温熱蕁麻疹」、日光に当たることで起こる「日光蕁麻疹」などがあります。
💧 コリン性蕁麻疹
体温上昇や発汗に関連して起こる蕁麻疹で、若い世代に多くみられます。運動時や緊張時、入浴後などに小さな膨疹が多数出現し、強いかゆみを伴います。汗や体温上昇がトリガーとなるため、生活習慣の調整も治療に役立ちます。
✨ 感染症や内科疾患に伴う蕁麻疹
ウイルスや細菌による感染症(風邪、虫歯、扁桃炎など)、または甲状腺疾患や肝疾患などの内科的疾患が背景にあることもあります。このような場合は、蕁麻疹の症状を抑えるとともに、根本的な原因疾患を治療することが重要です。
💊 蕁麻疹に塗り薬は処方されるのか
蕁麻疹の治療を考えたとき、多くの方が最初に思い浮かべるのが塗り薬(外用薬)ではないでしょうか。かゆみがある部位に何か塗って楽になりたい、という気持ちは自然なことです。しかし、医学的な観点から見ると、蕁麻疹の治療において塗り薬は必ずしも第一選択ではないことを知っておく必要があります。
蕁麻疹の発症メカニズムを理解するとその理由がわかります。蕁麻疹は、皮膚の表面ではなく皮膚の内部にある肥満細胞からヒスタミンが放出されることで起こります。つまり、原因は皮膚の表面ではなく内側にあるため、皮膚表面に塗る外用薬だけでは根本的な治療には不十分なことが多いのです。
もちろん、塗り薬が全く使われないわけではありません。かゆみを一時的に和らげる目的や、症状が軽度の場合には補助的に使用されることがあります。ただし、医療機関では蕁麻疹の治療の中心は内服薬(特に抗ヒスタミン薬)であり、塗り薬は補助的な役割として位置づけられていることがほとんどです。
皮膚科や内科を受診した際に「塗り薬だけ処方してください」と希望しても、医師から内服薬を勧められることが多いのはこのような理由からです。症状が全身に広がっていたり、かゆみが強くて睡眠に影響しているような場合には、内服薬による全身的な治療が必要と判断されます。
Q. 蕁麻疹に処方される塗り薬にはどんな種類がある?
蕁麻疹に塗り薬が処方される場合、主にステロイド外用薬、ジフェンヒドラミンを含む抗ヒスタミン外用薬、リドカインなどの局所麻酔成分やメントールなどの冷感成分を含む外用薬が用いられます。いずれも対症療法的な位置づけであり、内服薬と併用されることが多いです。
🏥 蕁麻疹の治療で主に使われる内服薬(抗ヒスタミン薬)
蕁麻疹の治療において最も重要な薬が抗ヒスタミン薬です。蕁麻疹のかゆみや膨疹を引き起こす物質であるヒスタミンの働きをブロックすることで、症状を抑えます。内服することで血流にのって全身に作用するため、体のどこに蕁麻疹が出ていても効果を発揮できる点が大きな利点です。
📌 第一世代抗ヒスタミン薬
クロルフェニラミン(ポーラミン)やジフェンヒドラミン(レスタミン)などが代表的です。即効性があり比較的安価である一方、眠気を引き起こしやすいという欠点があります。集中力の低下や口の渇きなどの副作用も知られており、車の運転や精密作業をする方には注意が必要です。
▶️ 第二世代抗ヒスタミン薬
現在の蕁麻疹治療で主に使用されているのが第二世代の抗ヒスタミン薬です。セチリジン(ジルテック)、フェキソフェナジン(アレグラ)、ロラタジン(クラリチン)、オロパタジン(アレロック)、レボセチリジン(ザイザル)、ビラスチン(ビラノア)、ルパタジン(ルパフィン)などが代表的な薬です。
第二世代は第一世代と比べて眠気の副作用が少なく、1日1〜2回の服用で長時間にわたって効果が持続するものが多いです。日常生活への影響が少ないため、仕事や学業を継続しながら治療を続けられるという利点があります。
🔹 抗ヒスタミン薬以外の内服薬
抗ヒスタミン薬だけで効果が不十分な場合や、症状が重い場合には他の薬も組み合わせることがあります。
ステロイド内服薬(プレドニゾロンなど)は強い抗炎症作用を持ち、急性の重篤な蕁麻疹や血管性浮腫がある場合に短期間使用されることがあります。ただし、長期使用は副作用リスクが高まるため、慎重に使用されます。
また、抗ヒスタミン薬で改善が難しい慢性蕁麻疹に対しては、生物学的製剤であるオマリズマブ(ゾレア)が保険適用となっており、重症慢性蕁麻疹の治療選択肢として注目されています。
⚠️ 塗り薬が処方される場面と主な種類
内服薬が蕁麻疹治療の中心とはいえ、塗り薬が処方される場面もあります。どのような状況で外用薬が使われるのか、また処方される塗り薬の種類について詳しく解説します。
📍 塗り薬が処方される主な場面
局所的なかゆみへの対処が必要な場合、特定の部位に強いかゆみが集中しているときには塗り薬が使われることがあります。例えば、虫刺されや接触性皮膚炎と蕁麻疹が合併しているような場合です。
妊娠中や授乳中で内服薬の使用に制限がある場合も、外用薬が選択されることがあります。全身への薬の吸収量を最小限に抑えたい場合には、局所的に作用する塗り薬が安全な選択肢となることがあります。ただし、妊娠中でも使用可能な内服薬(一部の第二世代抗ヒスタミン薬)もあるため、必ず医師に相談することが大切です。
内服薬との併用として使う場合もあります。内服薬を服用しながら、特にかゆみが強い部位に塗り薬を使うことで、局所的なかゆみをより素早く和らげる効果が期待できます。
💫 外用ステロイド薬
蕁麻疹に対して塗り薬が処方される場合、ステロイド外用薬が選択されることがあります。ステロイドには炎症を抑える強い作用があり、皮膚の赤みや腫れを軽減する効果があります。ただし、蕁麻疹に対するステロイド外用薬の有効性については、内服薬と比べると限定的であるとされています。
ステロイド外用薬はその強さによってランク分けされており(ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィーク)、使用する部位や症状の程度、年齢などによって選択されます。顔や子供の皮膚には比較的弱いランクのものが使用されます。
ステロイド外用薬の長期連続使用は、皮膚が薄くなる(皮膚萎縮)、毛細血管が拡張する(毛細血管拡張)、にきびのような発疹が出る(ステロイド座瘡)などの副作用が出ることがあるため、医師の指示に従って使用することが大切です。
🦠 抗ヒスタミン外用薬
かゆみを抑える目的で、ジフェンヒドラミン(レスタミンコーワクリームなど)を含む外用薬が使用されることがあります。ヒスタミンをブロックする作用を皮膚局所で発揮しますが、皮膚への浸透性が限られるため、蕁麻疹に対する効果は内服薬と比べると限定的です。また、接触皮膚炎(かぶれ)を起こしやすいという欠点もあり、市販品も含めて使用には注意が必要です。
👴 局所麻酔成分・冷感成分を含む外用薬
リドカインなどの局所麻酔成分や、メントールなどの冷感成分を含む外用薬は、かゆみを一時的に和らげる効果があります。皮膚の感覚神経に作用してかゆみの信号を抑えることで、即効的なかゆみの緩和が期待できます。ただし、あくまでも対症療法であり、蕁麻疹の根本的な治療にはなりません。
🔸 タクロリムス外用薬
アトピー性皮膚炎の治療薬として広く知られるタクロリムス(プロトピック)は、蕁麻疹に対して使用されることはほとんどありませんが、蕁麻疹に湿疹やアトピーが合併している場合に使用されることがあります。ステロイド外用薬とは異なり、皮膚萎縮などの副作用がなく、顔などデリケートな部位にも使いやすいという特徴があります。
Q. 市販の塗り薬と処方された塗り薬は何が違う?
市販の塗り薬は安全性を重視して成分が調整されており効果の強さに限界があります。一方、医師が処方する外用薬は患者の症状や病態に応じて選択され、市販品より強いステロイド外用薬も使用可能です。また処方薬は保険診療が適用されるため、市販薬より費用が安くなる場合もあります。
🔍 市販の塗り薬と処方薬の違い
ドラッグストアでも様々なかゆみ止めの塗り薬が販売されており、蕁麻疹の症状が軽い場合にはまず市販品を試してみる方も多いでしょう。ここでは市販薬と処方薬の違いについて解説します。
💧 市販の塗り薬の特徴
市販のかゆみ止め外用薬には、ジフェンヒドラミン(抗ヒスタミン薬)、クロタミトン(かゆみ止め成分)、リドカイン・ジブカイン(局所麻酔薬)、メントール(冷感成分)、ステロイド(弱〜中程度)などが含まれているものが多いです。
代表的な市販品としては、ムヒ、ウナコーワ、レスタミンコーワクリーム、ベトネベートクリーム(弱いステロイド配合)、テラ・コートリル軟膏(ステロイド+抗菌薬配合)などがあります。これらは比較的安全に使用できるよう成分が調整されていますが、効果の強さには限界があります。
市販薬は医師の診断なしに購入できる反面、蕁麻疹の種類や重症度を正確に評価した上で選ばれているわけではありません。また、含まれる抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミン)は接触皮膚炎(塗り薬によるかぶれ)を起こしやすいことが知られており、使用を続けていると逆に皮膚炎が悪化することがあります。
✨ 処方薬の特徴
医師が処方する薬は、患者の症状や病態に合わせて選択されます。外用ステロイドであれば市販品よりも強い成分のものを使用することができ、症状が強い場合により効果的です。また、アレルギーの有無や他の皮膚疾患の合併など、総合的な判断のもとで処方されます。
さらに、処方薬は保険診療で取り扱われることが多いため、市販薬と比べてコスト面でもメリットがある場合があります(3割負担であれば市販品より安価になることも)。
市販薬でかゆみが収まらない場合や、症状が繰り返す場合、全身に広がる場合などは、処方薬による治療が適切です。市販薬で対処できる限界を知り、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。
📌 市販の内服抗ヒスタミン薬について
近年、第二世代の抗ヒスタミン薬の一部がスイッチOTC(医療用から転用した市販薬)として販売されるようになりました。ロラタジン(クラリチンEX)、フェキソフェナジン(アレグラFX)、セチリジン(ストナリニZなど)などが代表的です。これらは比較的眠気が少なく、蕁麻疹のかゆみに対して一定の効果を発揮します。
塗り薬よりも内服の抗ヒスタミン薬の方が蕁麻疹の治療に適していることを考えると、市販薬を使用する場合でも塗り薬よりまず内服薬を試してみることが理にかなっています。ただし、市販の内服薬でも効果が不十分な場合は、医療機関で正確な診断と適切な処方を受けることをおすすめします。
📝 蕁麻疹を悪化させないためのセルフケア
薬物療法と並行して、日常生活でのセルフケアが蕁麻疹の症状を管理する上で重要です。適切なセルフケアを実践することで症状の悪化を防ぎ、治癒を助けることができます。
▶️ 皮膚を冷やす
蕁麻疹のかゆみは、皮膚を温めると悪化することが多いです。発症している部位を冷やすことで、かゆみを一時的に和らげる効果があります。冷たいタオルや保冷剤をタオルで包んで患部に当てると良いでしょう。ただし、寒冷蕁麻疹の方は逆効果になるため注意が必要です。
🔹 かかない・刺激しない
かゆいときに掻いてしまうと、皮膚への刺激がさらなるヒスタミンの放出を促し、症状が悪化します。できるだけかかずに冷やすことで対処しましょう。爪は短く切っておくと、無意識にかいてしまったときのダメージを軽減できます。
📍 入浴の工夫
熱いお湯は皮膚の血管を拡張させてヒスタミンの放出を促すため、蕁麻疹の症状を悪化させることがあります。入浴はぬるめのお湯(38〜39℃程度)でさっと済ませるようにし、長湯は避けましょう。また、タオルでゴシゴシと摩擦するような拭き方も皮膚への刺激になるため、やさしく押さえるように拭くことをおすすめします。
💫 服装・素材に気をつける

締め付けの強い衣類や、皮膚に刺激の強い素材(ウールなど)は避けましょう。綿素材など肌への刺激が少ない素材を選び、着心地の良い服装を心がけると症状の悪化を防ぎやすくなります。
🦠 ストレス管理と十分な睡眠
ストレスや疲労は蕁麻疹を悪化させる要因のひとつです。十分な睡眠を確保し、ストレスをためすぎないよう工夫することが大切です。趣味の時間を作ったり、適度な運動(ただしコリン性蕁麻疹の方は体温上昇に注意)を取り入れたりすることも有効です。
👴 アルコールと香辛料の制限
アルコールや辛い食べ物は血管を拡張させ、ヒスタミンの放出を促すことがあります。蕁麻疹の症状が出ている時期は、できるだけ控えることをおすすめします。食べ物によるアレルギー性蕁麻疹がある場合は、特定のアレルゲン食品を特定して除去することが必要です。
🔸 原因・悪化要因の特定
症状が出たとき、何を食べたか、何をしていたか、天候はどうだったかなどをメモしておくことで、蕁麻疹の原因や悪化要因の特定に役立ちます。症状日記をつけることは、医師への情報提供にも非常に有用です。
💧 保湿ケア
皮膚のバリア機能が低下していると、外部刺激に対して過敏になりやすいです。入浴後には保湿クリームやローションで皮膚をしっかり保湿することで、皮膚のバリア機能を整えることができます。低刺激性・無香料・無着色の保湿剤を選ぶと良いでしょう。
Q. 蕁麻疹を悪化させないための日常ケアは?
蕁麻疹の悪化を防ぐには、患部を冷やしてかゆみを和らげる、掻かない、熱いお湯での入浴を避けてぬるめ(38〜39℃程度)にする、綿素材など刺激の少ない衣類を着る、十分な睡眠とストレス管理を行うことが有効です。アルコールや香辛料も症状悪化につながるため、症状が出ている期間は控えることが推奨されます。
💡 病院を受診すべきタイミング
蕁麻疹の症状が出たとき、いつ病院に行くべきか判断に迷う方も多いでしょう。以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
✨ 緊急を要するケース(すぐに救急外来へ)
蕁麻疹とともに呼吸困難や喉の締め付け感がある場合は、アナフィラキシーショックの可能性があり、命に関わる緊急事態です。すぐに救急車を呼ぶか、救急外来に向かってください。また、顔や唇、舌、のどが急激に腫れる場合(血管性浮腫)も同様に緊急対応が必要です。血圧低下による意識消失やめまい、嘔吐・腹痛なども危険なサインです。エピペン(アドレナリン自己注射器)を処方されている方は、迷わず使用してください。
📌 早めに受診すべきケース
市販薬を使用しても2〜3日以上症状が改善しない場合は受診を検討してください。また、蕁麻疹が6週間以上続く場合(慢性蕁麻疹が疑われる)、症状が全身に広がっている場合、繰り返し蕁麻疹が起こる場合、かゆみが非常に強くて日常生活や睡眠に支障をきたしている場合なども早めの受診が必要です。
子供の場合は特に症状が急速に変化することがあるため、気になる症状があれば早めに小児科や皮膚科を受診することをおすすめします。
▶️ 受診する科
蕁麻疹は主に皮膚科で診察を受けることができます。アレルギーが疑われる場合はアレルギー科・免疫科、内科的疾患が背景にある可能性がある場合は内科への受診も選択肢になります。かかりつけ医がいる場合はまずそちらに相談し、必要であれば専門科への紹介を受けるのも良い方法です。
🔹 受診時に伝えること
医師に症状を正確に伝えることで、より適切な診断と治療を受けることができます。いつから症状が出ているか、発疹がどの部位に出るか、どのくらいの時間で消えるか、何か思い当たる原因や誘因はあるか、最近食べたもの・服用している薬・使った化粧品や洗剤など、アレルゲンとなりそうなもの、これまでに蕁麻疹や他のアレルギー疾患になったことがあるか、などをまとめておくとスムーズです。
受診前に市販薬を使用している場合は、薬の名前と使用期間も伝えましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、蕁麻疹で受診される患者様の多くが「まず塗り薬で何とかしようとしていた」とおっしゃいます。お気持ちはよく分かりますが、蕁麻疹の原因は皮膚の内側にあるため、内服の抗ヒスタミン薬を中心とした治療が症状の改善に直結します。かゆみや膨疹が繰り返す場合や、市販薬で改善が見られない場合は、ぜひお早めにご相談ください。適切な診断のもとで一人ひとりに合った治療をご提案いたします。」
✨ よくある質問
塗り薬は補助的な役割にとどまることがほとんどです。蕁麻疹は皮膚の内部にある肥満細胞からヒスタミンが放出されることで起こるため、皮膚表面に塗る外用薬だけでは根本的な治療が難しい場合が多いです。治療の中心は内服の抗ヒスタミン薬であり、塗り薬は局所的なかゆみの緩和などを目的に補助的に使用されます。
症状の程度や状態によって異なりますが、医療機関では内服の抗ヒスタミン薬が治療の中心となることがほとんどです。塗り薬だけを希望しても医師から内服薬を勧められるケースが多く、症状が全身に広がっていたりかゆみが強い場合は特に内服による全身的な治療が必要と判断されます。アイシークリニックでも患者様の状態に合わせて適切な治療をご提案しています。
市販薬は安全性を考慮して成分が調整されており、効果の強さに限界があります。一方、処方薬は症状や病態に合わせて選択され、市販品より強いステロイド外用薬なども使用可能です。また、処方薬は保険診療が適用されるため、市販薬より費用が安くなる場合もあります。市販薬で改善しない場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
患部を冷たいタオルや保冷剤(タオルで包む)で冷やすと、かゆみを一時的に和らげることができます。また、かいて刺激を与えると症状が悪化するため、できるだけ我慢することが大切です。さらに、熱いお湯での入浴を避け、ぬるめのお湯(38〜39℃程度)でさっと入浴する、刺激の少ない綿素材の服を着るなども有効なセルフケアです。
蕁麻疹に加えて呼吸困難や喉の締め付け感がある場合、顔・唇・舌・のどが急激に腫れる場合(血管性浮腫)、血圧低下による意識消失・めまい・嘔吐などの症状がある場合は、アナフィラキシーショックの可能性があり命に関わる緊急事態です。すぐに救急車を呼ぶか救急外来へ向かってください。エピペンを処方されている方は迷わず使用してください。
📌 まとめ
蕁麻疹は身近な皮膚疾患ですが、その治療において塗り薬(外用薬)は補助的な役割にとどまることが多く、治療の中心は内服の抗ヒスタミン薬です。これは蕁麻疹の発症メカニズムが皮膚の内部にある肥満細胞によるものであり、皮膚表面に塗る薬だけでは根本的な治療が難しいためです。
塗り薬は、局所的なかゆみの緩和や内服薬との補助的な使用として処方されることがあります。ステロイド外用薬や抗ヒスタミン外用薬、局所麻酔成分や冷感成分を含むものなどが使われます。ただし、これらは対症療法的な側面が強く、蕁麻疹を根本から治療するためには内服薬が欠かせません。
市販薬で対処できる軽い症状であれば、まず市販の内服抗ヒスタミン薬を試してみるのも一つの選択肢です。ただし、症状が改善しない場合、繰り返す場合、全身に広がる場合は医療機関への受診が必要です。特に呼吸困難や喉の腫れを伴う場合は緊急を要するため、すぐに救急対応を求めてください。
蕁麻疹の治療と並行して、皮膚を冷やす、かかない、熱いお湯を避ける、ストレスを管理するといったセルフケアを実践することで、症状の悪化を防ぎ、より早い回復が期待できます。
蕁麻疹でお悩みの場合は、自己判断で対処し続けるのではなく、皮膚科などの専門医に相談することをおすすめします。正確な診断のもとで適切な治療を受けることが、症状の改善への近道です。アイシークリニック渋谷院では、蕁麻疹をはじめとする皮膚のトラブルについて、患者様ひとりひとりの状態に合わせた丁寧な診察を行っています。お気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 蕁麻疹診療ガイドラインに基づく、蕁麻疹の定義・分類・診断基準・治療方針(抗ヒスタミン薬を中心とした内服薬の選択、外用薬の位置づけ等)に関する情報
- 厚生労働省 – アナフィラキシーを含む重篤なアレルギー反応への対応指針、エピペン使用に関する情報、医薬品の適正使用に関する情報
- PubMed – 慢性蕁麻疹に対する第二世代抗ヒスタミン薬・オマリズマブ(生物学的製剤)の有効性および安全性に関する国際的な臨床研究・エビデンス情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務