「子どもの頃は普通にエビを食べていたのに、大人になってから突然アレルギー症状が出るようになった」という経験をお持ちの方は少なくありません。食物アレルギーは子どもの病気というイメージがありますが、実は大人になってから突然発症するケースも珍しくないのです。特にエビアレルギーは、成人で新たに発症する食物アレルギーの代表格として知られています。この記事では、大人になって突然発症するエビアレルギーの原因や症状、検査方法、そして日常生活での対処法について、医学的な観点から詳しく解説します。エビアレルギーへの正しい理解を深め、安全で健康的な食生活を送るための参考にしてください。
目次
- エビアレルギーとは
- 大人になって突然エビアレルギーを発症する原因
- エビアレルギーの主な症状
- アナフィラキシーショックの危険性
- エビアレルギーの検査方法
- エビアレルギーの治療法
- 日常生活での注意点と対策
- エビ以外の甲殻類アレルギーとの関連
- エビアレルギーと間違えやすい症状
- 医療機関への受診の目安
- よくある質問
この記事のポイント
大人のエビアレルギーは免疫変化や感作蓄積が原因で突然発症し、蕁麻疹・呼吸困難・アナフィラキシーを起こす可能性がある。根治療法はなく除去食が基本。症状出現時は速やかに医療機関を受診すること。
🦐 エビアレルギーとは
エビアレルギーは、エビに含まれる特定のタンパク質に対して免疫システムが過剰に反応することで引き起こされる食物アレルギーの一種です。甲殻類アレルギーの中でも最も一般的であり、日本人の食生活において身近な食材であるだけに、発症すると日常生活に大きな影響を及ぼします。
🧬 エビアレルギーの原因物質
エビアレルギーの主な原因物質(アレルゲン)は、トロポミオシンというタンパク質です。トロポミオシンはエビの筋肉に含まれる成分で、加熱しても分解されにくいという特徴があります。このため、生のエビだけでなく、茹でエビや焼きエビ、エビフライなど、どのような調理法で加熱しても、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
また、トロポミオシンはエビだけでなく、以下の食品にも含まれています:
- カニやロブスターなどの甲殻類全般
- イカやタコなどの軟体動物
- 貝類
そのため、エビアレルギーを発症した方は、これらの食品に対してもアレルギー反応を示す可能性があり、これを交差反応と呼びます。
📊 食物アレルギーの中でのエビアレルギーの位置づけ
食物アレルギーの原因食物は年齢によって大きく異なります。
乳幼児期の三大アレルゲン:
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
成人の主要アレルゲン:
- 甲殻類(特にエビ)
- 小麦
- 果物類
- 魚類
特に甲殻類アレルギーは成人の食物アレルギーの中で最も頻度が高く、その中でもエビによるアレルギーが最多を占めています。
消費者庁の調査によると、食物アレルギーによる健康被害の報告において、甲殻類は小麦に次いで多い原因食物となっています。また、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーを起こしやすい食品としても知られており、注意が必要です。
Q. 大人になってから突然エビアレルギーを発症する原因は?
大人のエビアレルギー発症には主に4つの原因が考えられます。①加齢による免疫システムの変化、②長年の摂取によるIgE抗体の蓄積(感作)、③皮膚のバリア機能低下による経皮感作、④腸内環境の乱れによる免疫制御の低下です。女性の場合は妊娠・出産・更年期のホルモン変化も誘因となります。
⚡ 大人になって突然エビアレルギーを発症する原因
「子どもの頃は問題なく食べられていたのに、なぜ大人になってからアレルギーが出るのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。大人になって突然エビアレルギーを発症する背景には、いくつかの要因が考えられます。
🛡️ 免疫システムの変化
人間の免疫システムは加齢とともに変化します。若い頃はアレルゲンに対して寛容であった免疫システムが、何らかのきっかけで過敏に反応するようになることがあります。
免疫システムの変化を引き起こす要因:
- ストレス
- 疲労
- 睡眠不足
- 栄養バランスの乱れ
また、女性の場合は妊娠や出産、更年期などのホルモンバランスの変化がきっかけとなってアレルギーを発症することもあります。ホルモンバランスの変化は免疫システムにも影響を与え、これまで問題のなかった食品に対してアレルギー反応を示すようになることがあるのです。
🔬 感作の蓄積
アレルギーの発症には「感作」というプロセスが関与しています。感作とは、体内に入ったアレルゲンに対して免疫システムが認識し、抗体(IgE抗体)を作り出す過程です。
エビを繰り返し食べることで、徐々にIgE抗体が蓄積され、ある一定量を超えた時点でアレルギー症状が現れるようになります。つまり、長年にわたってエビを食べ続けてきたことが、むしろアレルギー発症の一因となっている可能性があります。
日本人はエビを好んで食べる傾向があり、以下のような料理でエビを摂取する機会が多いため、感作が進みやすい環境にあるといえます:
- 寿司
- 天ぷら
- エビフライ
- エビチリ
- 海老せんべい
🤲 経皮感作の可能性
近年の研究では、食物アレルギーの発症には経皮感作(皮膚を通じた感作)が重要な役割を果たしていることが明らかになっています。皮膚のバリア機能が低下している状態で食物成分に触れると、そこからアレルゲンが体内に侵入し、感作が成立することがあります。
経皮感作のリスクが高い状況:
- 手荒れや湿疹がある状態での調理
- エビを素手で触る作業
- 料理人やレストランスタッフなど、業務上エビを頻繁に扱う職業
このような経皮感作によってアレルギーを発症するケースが報告されています。
🦠 腸内環境の変化
腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスは、免疫機能に大きな影響を与えます。
腸内環境を乱す要因:
- 食生活の変化
- 抗生物質の使用
- ストレス
腸内環境が乱れると、免疫システムの制御がうまくいかなくなり、アレルギーを発症しやすくなることがあります。
特に現代人は、以下のような要因にさらされており、腸内環境が乱れやすい状況にあります:
- 加工食品や添加物の多い食事
- 食物繊維の不足
- 過度なストレス
このような生活環境の変化が、成人期における食物アレルギーの増加に関与している可能性が指摘されています。
🚨 エビアレルギーの主な症状
エビアレルギーの症状は、軽度のものから生命を脅かす重篤なものまで多岐にわたります。症状の現れ方には個人差があり、同じ人でも体調や摂取量によって症状の程度が異なることがあります。
🔴 皮膚症状
エビアレルギーで最も多く見られる症状は皮膚症状です。エビを食べた後、数分から数時間以内に以下のような症状が現れることがあります。
主な皮膚症状:
- 蕁麻疹(じんましん):赤い発疹や膨らみ、強いかゆみ
- 血管性浮腫:唇や舌、喉などの粘膜の腫れ
- 皮膚の発赤
- かゆみ
- 湿疹様の発疹
蕁麻疹は最も一般的な症状で、皮膚に赤い発疹や膨らみが現れ、強いかゆみを伴います。蕁麻疹は体の一部に限局する場合もあれば、全身に広がることもあります。また、唇や舌、喉などの粘膜が腫れる血管性浮腫を起こすこともあり、これは呼吸困難につながる可能性があるため注意が必要です。
🤢 消化器症状
消化器系の症状も比較的多く見られます。
主な消化器症状:
- 口腔アレルギー症候群:口腔内や喉のかゆみ、違和感、ピリピリとした刺激感
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
エビを摂取した後に、口腔内や喉のかゆみ、違和感、ピリピリとした刺激感が現れることがあります。これは口腔アレルギー症候群と呼ばれる症状で、食べてすぐに自覚することが多いです。
また、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状が現れることもあります。これらの症状は食後30分から2時間程度で発症することが多く、食中毒と間違われやすい場合もあります。
🫁 呼吸器症状
呼吸器系の症状は、比較的重症のアレルギー反応として現れます。
軽度な症状:
- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
重篤な症状:
- 咳
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)
- 息苦しさ
- 呼吸困難
喉の腫れや気道の狭窄が起こると、呼吸困難に陥る危険性があります。以下の症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診する必要があります:
- 声がかすれる
- 呼吸時に異常な音がする
- 呼吸が苦しい
💓 循環器症状
重症のアレルギー反応では、循環器系にも影響が及びます。
主な循環器症状:
- 動悸
- 血圧低下
- めまい
- 失神
特に血圧の急激な低下は、アナフィラキシーショックの重要な徴候であり、生命に関わる緊急事態です。
⏰ 症状が出るまでの時間
エビアレルギーの症状は、通常、エビを食べてから数分から2時間以内に現れます。これを即時型アレルギー反応と呼びます。ただし、まれに食後数時間から翌日にかけて症状が現れる遅延型の反応もあります。
また、運動誘発性食物アレルギーという特殊なタイプもあります。これは、特定の食品を食べた後に運動することで、アレルギー症状が誘発されるものです。エビは運動誘発性アレルギーの原因食品として知られており、エビを食べた後に運動した際にのみ症状が出るというケースも報告されています。
Q. エビアレルギーでアナフィラキシーが起きた時の対処法は?
アナフィラキシーが疑われる場合は、ただちに救急車(119番)を呼ぶことが最優先です。救急車を待つ間は患者を仰向けに寝かせ、足を高くして血圧低下の影響を軽減します。エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されている方は太ももに注射しますが、使用後も必ず医療機関を受診してください。
⚠️ アナフィラキシーショックの危険性
エビアレルギーで最も注意すべきなのは、アナフィラキシーショックです。アナフィラキシーとは、アレルゲンに対する全身性の重篤なアレルギー反応であり、適切な処置を行わなければ死に至ることもある医療上の緊急事態です。
🆘 アナフィラキシーの症状
アナフィラキシーでは、複数の臓器に同時に症状が現れます。
典型的な症状の組み合わせ:
- 皮膚症状:蕁麻疹、発赤、かゆみ
- 呼吸器症状:呼吸困難、喘鳴
- 循環器症状:血圧低下、意識障害
アナフィラキシーショックの状態になると、血圧が急激に低下し、意識を失うことがあります。また、気道が腫れて閉塞し、呼吸ができなくなることもあります。このような状態は、数分から数十分という短時間で進行するため、迅速な対応が求められます。
🚑 アナフィラキシーが起きた時の対処法
アナフィラキシーの症状が現れた場合は、ただちに救急車を呼ぶことが最優先です。
救急車を待つ間の対処法:
- 患者を仰向けに寝かせる
- 足を高くして血圧低下の影響を軽減
- 嘔吐している場合や呼吸困難がある場合は、状況に応じた体位を取らせる
過去にアナフィラキシーを経験したことがある方は、アドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されていることがあります。エピペンは太ももに注射することでアナフィラキシーの症状を一時的に改善する薬剤であり、使用後も必ず医療機関を受診する必要があります。
⚡ アナフィラキシーのリスク要因
アナフィラキシーを起こすリスクは個人によって異なりますが、以下のような要因がある方は特に注意が必要です:
- 過去にアナフィラキシーを経験したことがある方
- 喘息を合併している方
- 心血管疾患がある方
- ベータ遮断薬やACE阻害薬などの特定の薬を服用している方
また、以下の行動がアナフィラキシーのリスクを高めることがあります:
- 運動
- アルコール摂取
- 入浴
エビアレルギーがある方は、エビを摂取した後にこれらの行動を避けることが推奨されます。
🔬 エビアレルギーの検査方法
エビアレルギーが疑われる場合は、医療機関で適切な検査を受けることが重要です。検査によってアレルギーの有無や程度を把握することで、適切な対策を講じることができます。
📋 問診と症状の評価
アレルギー検査の第一歩は、詳細な問診です。医師は、以下の内容を詳しく聞き取ります:
- どのような状況で症状が出たか
- 症状の種類と程度
- 症状が出るまでの時間
- 過去のアレルギー歴
- 家族歴
この問診情報は、検査結果と合わせてアレルギーの診断を行う上で非常に重要です。
🩸 血液検査(特異的IgE抗体検査)
血液検査では、エビに対する特異的IgE抗体の量を測定します。IgE抗体はアレルギー反応に関与する抗体であり、エビに対するIgE抗体が高い場合は、エビアレルギーの可能性が高いと判断されます。
血液検査の利点:
- 安全に実施できる
- 採血のみで検査が可能
- アレルギー反応を誘発するリスクがない
注意点:
ただし、IgE抗体が陽性であっても必ずしも症状が出るとは限らず、逆に陰性でもアレルギーである可能性は完全には否定できないため、検査結果の解釈には専門的な知識が必要です。
🩹 皮膚プリックテスト
皮膚プリックテストは、皮膚にアレルゲンを滴下し、細い針で皮膚を軽く刺して反応を見る検査です。
検査の流れ:
- 皮膚にエビのエキスを滴下
- 細い針で軽く刺す
- 15〜20分後に反応を確認
- アレルギーがある場合は蕁麻疹様の膨らみが現れる
利点と注意点:
- 利点:結果がすぐに得られる
- 注意点:まれにアレルギー反応を誘発することがある
- 制限:抗ヒスタミン薬服用中は正確な結果が得られない
この検査は医療機関で専門家の監督のもとで行われ、検査前に休薬が必要な場合があります。
🍤 食物経口負荷試験
食物経口負荷試験は、実際にエビを少量ずつ摂取して症状が出るかどうかを確認する検査です。
特徴:
- 最も確実にアレルギーの有無を診断できる方法
- アレルギー反応を誘発するリスクがある
- 医療機関で医師の監督のもと実施
- 緊急時の対応ができる体制で行う
実施される場合:
- 血液検査や皮膚テストの結果だけでは診断が確定しない場合
- アレルギーが改善したかどうかを確認する場合
💊 エビアレルギーの治療法
現時点では、エビアレルギーを根本的に治す確立された治療法はありません。そのため、主な対策はエビを含む食品を避けること(除去食)と、症状が出た場合の対症療法になります。
💊 抗アレルギー薬による治療
軽度のアレルギー症状に対しては、抗ヒスタミン薬が使用されます。
抗ヒスタミン薬の効果:
- かゆみや蕁麻疹などの症状を抑制
- 市販薬としても入手可能
- 症状が出てからよりも予防的な服用が効果的な場合もある
皮膚症状に対しては、ステロイド外用薬が処方されることもあります。症状の程度に応じて、適切な強さのステロイド薬が選択されます。
💉 アドレナリン自己注射薬(エピペン)
以下の方には、アドレナリン自己注射薬(エピペン)が処方されることがあります:
- 過去にアナフィラキシーを経験したことがある方
- アナフィラキシーのリスクが高い方
エピペンは、アナフィラキシーが起こった際に自分自身または周囲の人が注射できる緊急用の薬剤です。
エピペンの重要なポイント:
- 処方薬であり、医師の診察が必要
- 使用方法を十分に理解することが重要
- 常に携帯することが必要
- 使用期限があるため、定期的に更新が必要
🔬 経口免疫療法の研究
近年、食物アレルギーに対する経口免疫療法(減感作療法)の研究が進んでいます。
経口免疫療法とは:
アレルゲンを少量から徐々に増やしながら摂取することで、体にアレルゲンに対する耐性をつける治療法
現状:
- 鶏卵や牛乳のアレルギーでは一部の医療機関で実施
- 甲殻類アレルギーに対してはまだ研究段階
- 一般的な治療法としては確立されていない
将来的には、エビアレルギーに対する経口免疫療法も可能になることが期待されています。
Q. エビアレルギーがある場合、カニや他の食品にも注意が必要?
エビアレルギーの方の約75%はカニにも反応するとされています。エビとカニは共通アレルゲン「トロポミオシン」を持つため交差反応が起きやすく、ロブスターやシャコなど甲殻類全般、イカ・タコ・貝類も注意が必要です。また、グルコサミンやキトサンなどエビ・カニ由来のサプリメントも反応を起こす可能性があります。
🛡️ 日常生活での注意点と対策
エビアレルギーと診断された場合、日常生活においてエビおよびエビを含む食品を避けることが最も重要な対策となります。しかし、エビは様々な料理や加工食品に使用されているため、完全に避けることは容易ではありません。
🏷️ 食品表示の確認
日本では、食物アレルギーの表示制度が整備されており、エビ(えび)は表示が義務付けられている特定原材料8品目の一つです。
確認すべき表示:
- 「えび」
- 「エビ」
- 「海老」
また、同じ製造ラインで甲殻類を含む製品を作っている場合は、「えびを含む製品と共通の設備で製造しています」などの注意喚起表示がされていることがあります。重症のアレルギーがある方は、このような表示にも注意を払う必要があります。
🍽️ 外食時の注意
外食時は、料理にエビが含まれているかどうかを必ず確認しましょう。
エビが使用される可能性が高い料理:
- 和食:エビフライ、天ぷら、海鮮丼、ちらし寿司
- 中華料理:焼きそば、チャーハン、八宝菜
- タイ料理:トムヤムクン、グリーンカレー
- イタリアン料理:シーフードパスタ、パエリア
- スナック:エビせんべい、かっぱえびせん
また、ダシやソースにエビのエキスが使用されていることもあります。見た目ではエビが入っていないように見えても、エビの成分が含まれている場合があるため、不安な場合は店員に確認することをお勧めします。
👩🍳 調理時の注意
家庭で調理する際も、エビのタンパク質による汚染(コンタミネーション)に注意が必要です。
調理時の注意点:
- エビを調理した後の調理器具や食器は十分に洗浄
- エビを揚げた油を他の食材に使用しない
- 調理する順番に気を付ける
- 必要に応じて専用の調理器具を用意
😮 意外な食品に含まれるエビ成分
エビは、予想外の食品に含まれていることがあります。
注意が必要な食品・商品:
- 調味料:サラダドレッシング、シーフード調味料、魚醤(ナンプラーなど)、中華調味料
- サプリメント:グルコサミン、キトサン(エビやカニの殻から作られることが多い)
これらの商品を使用する際は、原材料を確認するか、使用を避けることをお勧めします。
🦀 エビ以外の甲殻類アレルギーとの関連
エビアレルギーがある方は、他の甲殻類に対してもアレルギー反応を示すことが多いです。これは、エビと他の甲殻類が共通のアレルゲン(トロポミオシン)を持っているためであり、交差反応と呼ばれます。
🔄 交差反応を起こしやすい食品
エビアレルギーの方が注意すべき食品には以下があります:
甲殻類:
- カニ
- ロブスター
- ザリガニ
- シャコ
研究によると、エビアレルギーの方の約75%がカニにもアレルギー反応を示すとされています。
その他の魚介類:
- イカ、タコ(軟体動物)
- 貝類(ホタテ、カキ、アサリなど)
これらにもトロポミオシンが含まれているため、交差反応を起こす可能性があります。
重要な注意点:
ただし、交差反応の程度は個人によって大きく異なり、エビにはアレルギーがあってもカニは大丈夫という方もいれば、甲殻類すべてに症状が出る方もいます。
🏠 ダニアレルギーとの関連
興味深いことに、エビとダニの間にも交差反応があることが知られています。
交差反応の理由:
ダニのトロポミオシンはエビのトロポミオシンと構造が似ているため、ダニアレルギー(ハウスダストアレルギー)のある方は、エビアレルギーを発症しやすい傾向があります。
特にリスクが高い方:
- ダニアレルギーがある方
- 喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の既往がある方
🦗 昆虫食との関連
近年、環境負荷の低いタンパク源として昆虫食が注目されていますが、エビアレルギーのある方は昆虫食にも注意が必要です。
注意が必要な理由:
昆虫もエビと同様にトロポミオシンを含んでいるため、交差反応を起こす可能性があります。
注意すべき昆虫食品:
- コオロギ
- バッタ
- カイコ
これらの昆虫食品を摂取する際は、慎重に少量から試すことをお勧めします。
Q. エビアレルギーの検査と治療はどのように行われる?
検査は血液検査(特異的IgE抗体検査)、皮膚プリックテスト、食物経口負荷試験の3種類が主に用いられます。血液検査は保険適用で3割負担なら数千円程度です。現時点でエビアレルギーを根本的に治す確立された治療法はなく、除去食が基本となります。症状に応じて抗ヒスタミン薬やエピペンが処方される場合があります。
🤔 エビアレルギーと間違えやすい症状
エビを食べた後に体調不良を感じた場合でも、必ずしもアレルギーとは限りません。アレルギーと間違えやすい症状について理解しておくことで、適切な対応をとることができます。
🦠 食中毒
エビは傷みやすい食品であり、鮮度が落ちたエビを食べると食中毒を起こすことがあります。
食中毒の症状:
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
アレルギーとの違い:
- 食中毒は通常、皮膚症状や呼吸器症状は伴わない
- 同じものを食べた人が複数発症することが多い
- アレルギーは特定の個人にのみ症状が出る
🔴 ヒスタミン中毒
魚介類は、保存状態が悪いとヒスタミンという物質が生成されます。このヒスタミンを大量に摂取すると、アレルギーに似た症状が現れます。これをヒスタミン中毒(スコンブロイド中毒)と呼びます。
ヒスタミン中毒の症状:
- 蕁麻疹
- 顔面紅潮
- 頭痛
- 動悸
アレルギーとの違い:
- 同じものを食べた人に同様の症状が出ることが多い
- 一度起こしても、新鮮なエビを食べた場合には症状が出ない
🪱 アニサキスアレルギー
アニサキスは魚介類に寄生する寄生虫であり、生きたアニサキスを食べると激しい腹痛を引き起こします。
アニサキスによる症状:
- 激しい腹痛(生きた寄生虫による)
- 蕁麻疹やアナフィラキシー(アニサキスアレルギーの場合)
重要なポイント:
エビにアニサキスが寄生することは一般的ではありませんが、海鮮料理を食べた後にアレルギー症状が出た場合は、エビ自体へのアレルギーなのか、他の食材やアニサキスへの反応なのかを鑑別する必要があります。
🏥 医療機関への受診の目安
エビアレルギーが疑われる場合、または診断された場合に、どのようなタイミングで医療機関を受診すべきか、目安をご紹介します。
🚨 すぐに救急車を呼ぶべき症状
以下の症状が現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、ただちに救急車(119番)を呼んでください:
- 呼吸器症状:呼吸困難または息苦しさ、喉の腫れや締め付け感
- 意識障害:意識がもうろうとする、または失神
- 循環器症状:血圧の急激な低下(顔面蒼白、冷や汗、脈が弱い)
- 複合症状:全身の蕁麻疹とともに他の症状(呼吸困難、嘔吐など)
⏰ 早めに医療機関を受診すべき場合
救急ではないものの、近日中に医療機関を受診した方が良いケースもあります:
- 初めてエビを食べた後にアレルギー症状と思われる症状が出た場合
- 症状が軽くても繰り返しエビを食べた後に症状が出る場合
- アレルギーの正確な診断を受けたい場合
- エビアレルギーと診断されており、今後の生活についてアドバイスを受けたい場合
🏥 何科を受診すべきか
食物アレルギーの診断と治療は、以下の診療科で行われます:
- アレルギー科
- 皮膚科
- 内科
アレルギー専門医がいる医療機関を受診すると、より専門的な検査と治療を受けることができます。日本アレルギー学会のウェブサイトでは、アレルギー専門医の検索が可能です。

❓ よくある質問
現時点では、エビアレルギーを完全に治す確立された治療法はありません。乳幼児期に発症した食物アレルギーは成長とともに治ることが多いですが、大人になってから発症したエビアレルギーは自然に治る可能性は低いとされています。ただし、経口免疫療法などの新しい治療法の研究が進んでおり、将来的には治療の選択肢が増える可能性があります。
はい、エビの殻に触れるだけでもアレルギー症状が出ることがあります。エビのアレルゲンであるトロポミオシンは殻にも含まれているため、殻を剥く際や調理中に手に触れることで、接触性皮膚炎(手のかゆみ、発赤、腫れなど)を起こすことがあります。また、重症の方では、エビを調理する際の蒸気や粉末を吸い込むことで呼吸器症状が出ることもあります。
はい、エビエキスやエビから取った出汁にもアレルゲンは含まれており、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。見た目にはエビが入っていなくても、スープやソース、調味料などにエビエキスが使用されている場合があるため注意が必要です。外食時や加工食品を購入する際は、原材料をよく確認することをお勧めします。
エビアレルギーがある方の約75%はカニにも反応するとされていますが、個人差があります。エビとカニは共通のアレルゲン(トロポミオシン)を持っているため交差反応を起こしやすいですが、エビには反応してもカニは大丈夫という方もいます。カニが食べられるかどうかは、アレルギー検査を受けて確認することをお勧めします。自己判断で試すのはリスクがあるため避けてください。
エビアレルギーの検査費用は、検査の種類や医療機関によって異なります。血液検査(特異的IgE抗体検査)は健康保険が適用される場合が多く、3割負担の場合は数千円程度です。皮膚プリックテストも保険適用となることが多いです。詳しい費用については、受診を希望する医療機関にお問い合わせください。
📚 参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
エビアレルギーの発症は、これまで安全に食べられていた食品でも起こりうることが特徴的です。特に日本の食文化ではエビを摂取する機会が多いため、長期間にわたる感作が進行しやすいと考えられています。症状が軽微でも、アレルギーが疑われる場合は専門医による適切な検査と診断を受けることが重要です。