卒業シーズンが近づくと、謝恩会の予定を立てている方も多いのではないでしょうか。先生への感謝を伝える大切な席であるだけに、体調不良で当日を台無しにしたくないと思う方は少なくありません。とくに「お酒が苦手だけど断りにくい」「翌日も仕事や予定がある」という方にとって、二日酔い対策は切実な問題です。この記事では、謝恩会での二日酔いを防ぐための医学的な知識と、前日・当日・翌日それぞれのタイミングでできる実践的な対策を詳しく解説します。楽しい謝恩会を体調万全で過ごすために、ぜひ参考にしてください。
目次
- 二日酔いとはどのような状態か?メカニズムをわかりやすく解説
- 謝恩会で二日酔いになりやすい理由
- 前日からできる二日酔い予防策
- 謝恩会当日の飲み方・食べ方のコツ
- 飲みながらできるリアルタイム対策
- 謝恩会後・帰宅してからの回復ケア
- 翌日に二日酔いになってしまったときの対処法
- 市販薬・サプリメントの活用法と選び方
- お酒が弱い人・飲めない人のための上手な断り方
- 二日酔いの症状が重いときはクリニックへ

🎯 二日酔いとはどのような状態か?メカニズムをわかりやすく解説
二日酔いとは、アルコールを過剰に摂取した翌日以降に頭痛・吐き気・倦怠感・口の渇きなどの不快な症状が続く状態のことを指します。医学的には「アルコール後遺症(Veisalgia)」と呼ばれることもあり、単純にアルコールが残っているだけではなく、いくつかの複合的なメカニズムが関係しています。
まず理解しておきたいのは、アルコール(エタノール)が体内で分解される過程です。飲んだアルコールは主に肝臓で処理されます。肝臓はアルコール脱水素酵素(ADH)を使ってエタノールをアセトアルデヒドに変換し、次にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)がアセトアルデヒドを無害な酢酸へと変えます。この酢酸はさらに水と二酸化炭素に分解されて体外へ排出されます。
二日酔いの主な原因の一つは、このアセトアルデヒドです。アセトアルデヒドは毒性が高く、頭痛・吐き気・動悸・顔の赤みといった症状を引き起こします。また、アセトアルデヒドの分解速度は個人差が大きく、ALDHの活性が低い体質(いわゆる「お酒に弱い体質」)の方は、アセトアルデヒドが体内に長く蓄積しやすいため、少量でも強い症状が出ることがあります。
さらに、二日酔いを複雑にしている要因がほかにもいくつかあります。一つ目は脱水です。アルコールには利尿作用があるため、飲んだ量以上に水分が排出されてしまいます。これが口の渇き・頭痛・倦怠感の原因となります。二つ目は低血糖です。アルコールの代謝によって肝臓のグリコーゲン(血糖を維持するためのエネルギー源)が消費されるため、翌朝に血糖値が低下しやすくなります。三つ目は胃腸への刺激です。アルコールは胃粘膜を直接刺激して炎症を起こし、吐き気や胃痛を引き起こすことがあります。四つ目はコンジナー(副産物)の影響です。ウイスキー・赤ワイン・日本酒などには醸造・熟成の過程で生じたメタノールやフーゼル油などの不純物(コンジナー)が含まれており、これらがアセトアルデヒドとは別に二日酔いを悪化させると考えられています。
これらのメカニズムを理解することで、なぜ特定の対策が有効なのかが見えてきます。
📋 謝恩会で二日酔いになりやすい理由
謝恩会には、一般的な飲み会とは異なる特有の「二日酔いリスク」が存在します。なぜ謝恩会では飲み過ぎてしまいがちなのでしょうか。
まず、謝恩会は感情的に高揚した場面であるということが挙げられます。卒業という節目を祝い、先生や仲間への感謝を伝える特別な席では、気分が昂って普段よりもついお酒が進んでしまいます。「嬉しいから飲む」「感謝の気持ちを示したいから断れない」という心理が働きやすい環境です。
次に、謝恩会は準備や段取りでばたばたしやすく、食事をきちんと摂れないまま会場に向かうケースが多いという点もあります。空腹の状態でアルコールを摂取すると、胃から小腸への移行が早まり、血中アルコール濃度が急上昇しやすくなります。これが酔いの速さと強さを高め、気づかないうちに飲み過ぎてしまう原因となります。
また、謝恩会はコース料理や立食スタイルで複数のアルコール種が提供されるケースが多く、ビール・ワイン・日本酒・シャンパンなどを混ぜて飲む「ちゃんぽん」になりやすい環境でもあります。コンジナーの種類が増えることで、二日酔いのリスクが高まります。
さらに、スピーチや余興が続く謝恩会では、水を飲む余裕がなく水分補給が疎かになることもしばしばあります。アルコール摂取中に水を飲まないでいると脱水が進み、翌朝の症状が重くなりやすいのです。
これらの要素が重なることで、「気がついたら飲み過ぎていた」という事態が起きやすいのが謝恩会の特徴です。対策は「当日だけ」ではなく、前日からしっかり準備しておくことが重要です。
💊 前日からできる二日酔い予防策
二日酔いの対策は、謝恩会の当日だけでなく前日から始まっています。事前に体の状態を整えておくことで、アルコールへの耐性を高めることができます。
前日にとくに意識したいのは、十分な睡眠を確保することです。睡眠不足の状態ではアルコールの分解に関わる肝臓の働きが低下するとされており、普段より少ない量でも酔いやすくなってしまいます。謝恩会前夜は無理に夜更かしせず、できるだけ規則正しい時間に就寝することをおすすめします。
また、前日の食事にも気を配りましょう。とくに意識してほしいのはたんぱく質と脂質を含む食事を摂ることです。たんぱく質はアルコール分解酵素の材料となりますし、脂質は胃粘膜を保護して胃からのアルコール吸収速度を緩やかにしてくれます。前日の夕食には肉・魚・卵・乳製品などのたんぱく質源と、適度な脂質を含む食事を心がけると良いでしょう。
水分補給も前日から意識することが大切です。日頃から水分が不足しがちな方は、謝恩会の前日に意識的に水やノンカフェインの飲み物を多めに摂るようにしましょう。体内の水分量が十分に保たれていると、翌日の脱水による頭痛などの症状が出にくくなります。
さらに、前日のアルコール摂取は控えることが理想的です。前の日も飲んでいた場合、肝臓が休む間もなくアルコール分解を行うことになり、本番当日に処理能力が低下した状態でアルコールを摂取することになります。謝恩会の前日は禁酒するか、ごく少量に留めておきましょう。
肝臓のサポートという観点では、ウコンやオルニチン・シジミエキスなどを含むサプリメントや飲料を前日の夜から飲み始めることで、アルコール代謝をサポートできると期待されています(詳細は後述のサプリメントの項目で解説します)。
🏥 謝恩会当日の飲み方・食べ方のコツ
謝恩会当日は、会場に向かう前から対策を始めることが大切です。まず、会場に行く前に必ず食事を摂るようにしましょう。空腹の状態でいきなりアルコールを摂取すると血中アルコール濃度が急激に上がるため、おにぎりやサンドイッチなど手軽なものでも構いませんので、何かお腹に入れてから会場に向かうことをおすすめします。
理想的なのは、牛乳やヨーグルトなど乳製品を事前に摂ることです。乳製品に含まれる脂肪とたんぱく質が胃壁をコーティングし、アルコールの吸収を緩やかにする効果が期待できます。また、オリーブオイルを少量飲む方法を実践している人もいますが、これも同じ原理で胃粘膜を保護することを目的としています。
会場に着いてからの飲み方としては、まず最初の一杯をゆっくり飲むことを意識しましょう。乾杯の後、勢いよく飲み干すと血中アルコール濃度が急上昇します。口をつけて軽く飲む程度にして、あとはグラスを持ちながら会話に参加するなど、「飲んでいる雰囲気」を演出するだけで十分な場面も多いです。
食事は積極的に摂るようにしましょう。アルコールと一緒に食べ物を摂ることで、胃での滞留時間が延び、アルコールの吸収速度が低下します。とくに油脂分の多い料理(チーズ・揚げ物・バター料理など)や、たんぱく質の豊富な料理(肉・魚・豆腐など)は胃から小腸へのアルコール移行を遅らせる効果が期待できます。反対に、炭酸で割ったアルコール飲料(スパークリングワイン・ハイボール・カクテル)は炭酸によってアルコールの吸収が速まるとも言われているため、飲む際には食事と一緒に、ゆっくりと摂るよう心がけましょう。
アルコールの種類を絞ることも大切です。前述のとおり、複数種類のお酒を混ぜると「ちゃんぽん」になりコンジナーの種類が増えます。できれば一種類のお酒に絞るか、コンジナーの少ないとされる蒸留酒(ウォッカ・ジン・焼酎・ホワイトラムなど)に限定することも一つの方法です。
⚠️ 飲みながらできるリアルタイム対策
謝恩会の最中、飲みながらでも実践できる対策があります。これらを習慣にするだけで、翌朝の状態が大きく変わります。
もっとも効果的で、かつ簡単にできるのは水を合間に飲むこと(チェイサー)です。アルコール一杯に対して同量程度の水を飲む「チェイサー」の習慣は、二日酔い予防においてとても理にかなっています。チェイサーとして水を飲むことで、血中アルコール濃度の上昇を抑え、脱水を防ぐことができます。会場でウェイターに「お水をいただけますか」と頼むのは決して恥ずかしいことではありません。
お酒の間にソフトドリンクを挟む方法もおすすめです。ウーロン茶・緑茶・ノンアルコールビール・ジュースなど、アルコールを含まない飲み物を適宜挟むことで、摂取するアルコール量全体を減らすことができます。「飲んでいるフリをしている」と思われたくない場合は、炭酸水をグラスに注いで持っているだけでも、おかわりを勧められる頻度が下がります。
食べ続けることも大切です。会場での食事が終わっても、テーブルに残っているパンやチーズ・おつまみなどを少しずつ食べ続けることで、胃にアルコールを緩やかに吸収させる環境を維持できます。ただし、塩分の多いおつまみを大量に摂ると喉が渇いてアルコールが進みやすくなるため、注意が必要です。
自分のペースを守ることも重要なリアルタイム対策です。謝恩会の席では「一気飲み」や「飲み干してください」という雰囲気になることがありますが、無理に合わせることは禁物です。自分の限界を超えてしまうと体にとって大きな負担になるだけでなく、場合によっては急性アルコール中毒のリスクもあります。「ゆっくり飲むのが流儀」というスタンスで、自分のペースを守りましょう。
また、飲酒中の喫煙は避けることをおすすめします。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、アルコールの代謝を妨げるとされています。喫煙者であっても、謝恩会中はできるだけ喫煙を控えることが二日酔い予防につながります。
🔍 謝恩会後・帰宅してからの回復ケア
謝恩会が終わって帰宅してからの過ごし方が、翌朝の状態を大きく左右します。帰宅後に行うべきケアを丁寧に行うことで、二日酔いの症状をかなり和らげることができます。
帰宅後に最初にすべきことは、コップ2〜3杯程度の水やスポーツドリンクをゆっくりと飲むことです。スポーツドリンクにはナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれており、水だけより効率よく水分と電解質を補給できます。ただし、カフェインを含むコーヒーや緑茶は利尿作用があるため、就寝前には避けたほうが無難です。
水分補給と合わせて、軽い食事や間食を摂ることも効果的です。バナナはカリウムやマグネシウムを補給でき、アルコールで失われたミネラルを補う助けになります。また、消化に優しい炭水化物(クラッカー・食パン・おかゆなど)を少量摂ることで低血糖を防ぎ、翌朝の倦怠感を和らげやすくなります。ただし、揚げ物や脂っこい食事は胃腸に負担をかけるため、帰宅後の夜食には向いていません。
お風呂については、熱いお湯に長時間つかるのは避けましょう。アルコールが体内に残っている状態で高温の入浴をすると、心拍数が上がり血管が拡張して体への負担が増します。シャワーで汗を流す程度に留め、サウナや長湯は翌日に回すのが安全です。
就寝前に頭痛や不快感を感じている場合、市販の鎮痛剤を使用する方もいますが、アセトアミノフェン系の薬(カロナールなど)はアルコールと組み合わせることで肝臓への負担が増すとされています。また、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDs系鎮痛剤は胃を刺激しやすいため、アルコール摂取後の使用には注意が必要です。薬を使う場合は翌朝まで待つか、使用前に成分を確認することをおすすめします。
睡眠は最大の回復手段です。アルコールには一時的に眠くなりやすい効果がありますが、睡眠の質を低下させることが知られています。それでも睡眠を十分に確保することが、体の回復を促す上で最も重要なことには変わりありません。横になる際は、嘔吐した際の窒息を防ぐために横向きに寝ることが推奨されます。
📝 翌日に二日酔いになってしまったときの対処法
どれほど対策をしていても、体調や飲んだ量によっては翌朝に二日酔いの症状が出てしまうことはあります。翌日の回復を早めるための方法を確認しておきましょう。
起床後は、まず水分を摂ることが優先です。アルコールによって失われた水分と電解質を補うために、水・スポーツドリンク・経口補水液などをゆっくり飲みましょう。一気に大量に飲むと胃に負担がかかるため、少量ずつ継続的に補給するのがポイントです。
吐き気がある場合は、無理に食事を摂ろうとせず、まず水分補給に集中しましょう。吐き気が落ち着いてきたら、消化のよい軽い食事を少しずつ摂り始めてください。白いご飯・おかゆ・トースト・バナナ・すりおろしたりんごなどが適しています。みそ汁は水分・塩分・アミノ酸を同時に補給できるため、二日酔いの朝にとくに適した食品の一つです。
「迎え酒(ヘアーオブザドッグ)」については、医学的には推奨されていません。一時的に症状が和らいで見えることがありますが、アルコール依存のリスクを高めるうえ、根本的な解決にはなりません。二日酔いの朝にアルコールを飲むことは避けましょう。
頭痛がある場合は、アセトアミノフェン系の鎮痛剤を適切な用量で使用することは一定の選択肢となりますが、胃の不調があるときは空腹での服用を避け、食後に服用するようにしましょう。薬の使用に不安がある場合は薬剤師に相談することをおすすめします。
ビタミンB群の補給も回復を助けると言われています。アルコールの代謝にはビタミンB1(チアミン)・B2(リボフラビン)・ナイアシン・B6・B12などが消費されます。これらを含むサプリメントやドリンクを摂取することで、代謝を助ける栄養素を補うことができます。
適度な運動(散歩など)が回復に効果的という声もありますが、体調が優れない場合は無理をしないことが最優先です。激しい運動は脱水をさらに悪化させる可能性があるため、軽い散歩程度に留めておきましょう。
とにかく最大の薬は「時間と休養」です。アルコールを完全に分解するには時間がかかり、それには個人差があります。焦らず体を休めることが、最も確実な回復方法です。
💡 市販薬・サプリメントの活用法と選び方
ドラッグストアや薬局には、二日酔いの予防・緩和をうたう製品が多数並んでいます。うまく活用することで対策の補助になりますが、その成分と期待できる効果を正しく理解したうえで選ぶことが大切です。
ウコン(クルクミン)は、日本での二日酔い対策として最もポピュラーな成分の一つです。ウコンに含まれるクルクミンは胆汁の分泌を促し、肝臓の解毒機能をサポートすると考えられています。ウコンの力・ヘパリーゼなどの製品が広く知られています。ただし、ウコンは空腹時に多量に摂取すると胃を刺激することがあるため、食事と一緒に摂るか食後に飲むことをおすすめします。また、肝臓に疾患がある方はかかりつけ医に相談してから使用してください。
オルニチンは、アミノ酸の一種でアンモニアの代謝を助ける働きがあるとされています。シジミに多く含まれることで知られており、肝臓の機能をサポートする目的で飲酒前後の摂取が広く行われています。シジミエキスを含む製品も同様の目的で活用されています。
L-システインはアミノ酸の一種で、アセトアルデヒドの分解を助ける働きがあるとされています。顔の赤みや頭痛の予防に効果が期待できると言われており、飲み会前の摂取が推奨されることが多い成分です。「チオビタ」などに含まれています。
ビタミンB群(とくにB1・B2・ナイアシン)は、アルコールの代謝に直接関わる栄養素です。飲酒によってこれらのビタミンは消耗されやすいため、飲む前・飲んだ後に補給することで代謝をサポートする効果が期待できます。マルチビタミンのサプリメントや、ビタミンB群を強化したドリンク剤を活用するのも一つの方法です。
ミルクシスル(オオアザミ)はヨーロッパで伝統的に肝臓のサポートに使用されてきたハーブです。その有効成分シリマリンには抗酸化作用があり、肝細胞を保護する効果が研究されています。海外のサプリメントによく含まれており、日本でも輸入品として入手できます。
市販の「二日酔い薬」として販売されている製品(太田胃散・ヘパリーゼドリンクなど)は、上記の成分を複合的に含んでいることが多く、便利に活用できます。ただし、いずれの製品も「飲めば絶対に二日酔いにならない」というわけではなく、あくまで補助的な役割であることを念頭に置いておきましょう。
✨ お酒が弱い人・飲めない人のための上手な断り方
謝恩会の席でアルコールを断ることは、決して失礼なことではありません。しかし、場の雰囲気や立場上「断りにくい」と感じる方も多いのが現実です。上手に断るためのコツをいくつかご紹介します。
まず、体質や健康上の理由を正直に伝えることは非常に有効です。「アルコールに弱い体質なので」「薬を飲んでいまして」などの理由は、相手も無理には勧めにくくなります。嘘をつかなくても、「お酒が得意ではないので少量にしております」と正直に伝えることで、多くの場合は理解してもらえます。
ノンアルコール飲料を手に持つのも効果的な方法です。ノンアルコールビールや炭酸水、ジュースをグラスに注いで持っていれば、見た目はほかの参加者と変わりなく見えます。「飲んでいる雰囲気」を演出するだけで、おかわりを勧められる場面が減ります。
乾杯の場面では、グラスを口に近づけるだけで実際には飲まないという方法もあります。乾杯の挨拶に参加すること自体に意義があり、実際に飲む量は問題ではないという雰囲気の席も増えています。
幹事や主催者側に事前に伝えておくという方法も有効です。「私はお酒が飲めないので、ノンアルコール飲料を用意していただけますか」と事前に相談しておけば、当日焦らずに過ごすことができます。多様性を尊重する現代では、飲めない参加者への配慮は当然のことと考えられています。
断ったことで場の雰囲気が悪くなると心配する方もいますが、「みなさんの楽しそうな様子を見ているのが好きなので」「お料理を楽しむために控えています」といった言い方で、飲まないながらも場に積極的に参加しているという姿勢を見せると、場の雰囲気を壊すことなく自分を守ることができます。
アルコールハラスメント(アルハラ)に対する意識が社会的に高まっている現在、飲酒を強要する行為は問題視されるようになっています。自分の体を守ることを優先し、無理なく謝恩会を楽しむことが最も大切なことです。
📌 二日酔いの症状が重いときはクリニックへ
通常の二日酔いは時間とともに回復していきますが、症状が非常に強い場合や長引く場合は、医療機関への受診を検討することが大切です。
とくに注意が必要な症状には以下のものがあります。激しい嘔吐が続き水分を全く受け付けない状態・意識がもうろうとしている・呼びかけに反応しない・呼吸が浅い・手足が震える・痙攣が起きている・胸痛や動悸が強い・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が出ている、などの症状がある場合は速やかに救急外来を受診してください。
これらは通常の二日酔いではなく、急性アルコール中毒・アルコール性肝炎・低血糖症などの可能性があります。とくに意識障害がある場合は非常に危険な状態であり、救急車を呼ぶことをためらわないでください。
また、「いつも飲み会のたびに二日酔いがひどい」「翌日の夕方になっても頭痛と倦怠感が続く」「二日酔いで仕事に行けないことが頻繁にある」という場合は、飲酒量・飲み方の見直しだけでなく、肝機能や体の状態を医療機関で確認することをおすすめします。アルコール依存症の初期症状として飲酒量が自分でコントロールできなくなっているケースもあり、早期に専門的なサポートを受けることが重要です。
近年では「二日酔い点滴」を提供するクリニックも増えています。点滴では、ビタミン類・電解質・輸液などを直接血管内に投与するため、経口摂取よりも素早く体に吸収され、脱水の改善や倦怠感・頭痛の緩和に効果的とされています。翌日に重要な予定がある場合や、症状が重くてどうしても早く回復したいという方は、クリニックでの点滴療法を検討する価値があります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、謝恩会や卒業パーティーの時期になると、二日酔いや飲みすぎによる体調不良でご来院される方が増える傾向があります。アセトアルデヒドの蓄積や脱水など、二日酔いの背景には複合的なメカニズムがあるため、この記事で解説しているように「前日からの準備」と「こまめな水分補給」を意識するだけで翌日の状態が大きく変わります。症状が重く、嘔吐が続いて水分が摂れない場合や意識がもうろうとしているような場合は我慢せず、お気軽にご相談ください。」
🎯 よくある質問
二日酔いの主な原因は、アルコールが分解される過程で生じる「アセトアルデヒド」という有害物質の蓄積です。加えて、アルコールの利尿作用による脱水、肝臓のグリコーゲン消費による低血糖、胃粘膜への刺激なども複合的に関わっています。これらが重なることで、頭痛・吐き気・倦怠感などの症状が現れます。
前日は十分な睡眠を確保し、たんぱく質と脂質を含む食事を摂ることが大切です。また、意識的に水分補給を行い、体内の水分量を整えておきましょう。前日の飲酒は肝臓の処理能力を低下させるため、できるだけ控えることが理想です。ウコンやオルニチンを含むサプリメントを前日夜から飲み始めることも補助的な対策として活用できます。
アルコール1杯ごとに同量程度の水を「チェイサー」として飲む習慣が効果的です。ウーロン茶やノンアルコール飲料を合間に挟んで摂取量を減らすことも有効です。また、油脂分やたんぱく質を含む食事と一緒に飲むことでアルコールの吸収速度が緩やかになります。複数種類のお酒を混ぜる「ちゃんぽん」はコンジナーが増えるため、できるだけ避けましょう。
「アルコールに弱い体質なので」「薬を服用中なので」など、体質や健康上の理由を正直に伝えると相手も無理に勧めにくくなります。ノンアルコール飲料や炭酸水をグラスに持つだけで場の雰囲気に溶け込めます。また、事前に幹事へノンアルコール飲料の用意を相談しておくと当日も安心です。飲酒を強要するアルハラは社会的に問題視されており、自分の体を守ることを優先してください。
激しい嘔吐が続いて水分を全く受け付けない・意識がもうろうとしている・呼びかけに反応しない・痙攣や強い動悸がある・皮膚や白目が黄色くなるといった症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

📋 まとめ
謝恩会は先生への感謝を伝える大切な機会であり、体調を万全に保って楽しく過ごしたいものです。この記事では、二日酔いのメカニズムから始まり、前日・当日・帰宅後・翌日それぞれのタイミングでできる具体的な対策を幅広く解説しました。
対策のポイントを改めて整理すると、前日は睡眠・水分補給・禁酒を意識し、当日は空腹で会場に向かわず食事と水を合間に摂りながらゆっくり飲む、帰宅後は水分補給・軽食・十分な睡眠を確保し、翌朝は電解質の補給と消化に良い食事で体を労わる、という流れが基本となります。
サプリメントや市販薬は有効な補助手段になりますが、あくまでも補助であり、根本は「飲む量をコントロールすること」「水分補給を怠らないこと」「食事と一緒に飲むこと」という基本的な習慣にあります。
また、お酒が苦手な方や飲めない方は、無理に飲む必要はありません。自分の体を守ることを最優先にしながら、謝恩会の場を楽しみましょう。症状が重かったり長引いたりする場合は、迷わずクリニックに相談することをおすすめします。体調管理をしっかり行い、素晴らしい謝恩会の思い出を作ってください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – アルコールの体内代謝メカニズム、適切な飲酒量の目安、アルコール依存リスクに関する公式情報として参照
- WHO(世界保健機関) – アルコールが健康に与える影響、脱水・低血糖・臓器への負荷など二日酔いの医学的メカニズムに関する国際的根拠として参照
- PubMed – 二日酔い(Veisalgia)のメカニズム、アセトアルデヒドの毒性、コンジナーの影響、ビタミンB群・L-システイン・ミルクシスルなどサプリメントの有効性に関する査読済み研究論文として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務