「人間ドックを受けようと思っているけれど、どの項目を選べばいいのかわからない」「基本コースで十分なのか、それともオプションを追加すべきか迷っている」という方は多いのではないでしょうか。人間ドックは健康状態を総合的に把握するための大切な機会ですが、検査項目が多岐にわたるため、何を選べばよいか判断に迷ってしまうことも少なくありません。この記事では、人間ドックの主な検査項目の内容から、自分に合った項目の選び方まで、わかりやすく解説します。
目次
- 人間ドックとは何か
- 人間ドックの基本的な検査項目一覧
- オプション検査の種類と内容
- 年齢別の選び方のポイント
- 性別による検査項目の違い
- 生活習慣・リスクに応じた選び方
- 検査を受ける頻度と注意点
- まとめ

🎯 人間ドックとは何か
人間ドックとは、自覚症状がない段階で病気や体の異常を早期に発見することを目的とした、総合的な健康診断のことです。一般的な健康診断と比べて検査項目が多く、より詳細に体の状態を調べることができます。名称の由来は、船が点検・整備のために停泊する「ドック(乾ドック)」からきており、人間も船と同じように定期的にメンテナンスを行うという考え方が背景にあります。
健康診断との主な違いとして、まず検査の範囲が挙げられます。会社の定期健康診断は労働安全衛生法に基づいて実施されるもので、検査項目はある程度決まっています。一方、人間ドックはそれよりも幅広い項目を検査することができ、内視鏡検査や画像診断なども含まれることが多いです。また、人間ドックは基本的に任意で受けるものであり、費用は自己負担が原則ですが、健康保険組合によっては補助金が出る場合もあります。
人間ドックを受けることの最大のメリットは、病気の早期発見につながる可能性が高まる点です。がんや生活習慣病、心臓病、脳卒中などは、初期段階では自覚症状がほとんどない場合が多く、症状が出てから病院を受診したときには病状が進行していることも少なくありません。定期的に人間ドックを受けることで、こうした病気を早い段階で発見し、治療の選択肢を広げることが期待できます。
人間ドックには日帰りで完了する「日帰りドック」と、1泊2日以上かけてより詳細な検査を行う「宿泊ドック」があります。日帰りドックは時間がかかりすぎず、仕事や家事が忙しい方でも受けやすいのが特徴です。宿泊ドックはより多くの検査を行えるほか、検査後の説明や相談に時間をかけられるというメリットがあります。
📋 人間ドックの基本的な検査項目一覧
人間ドックの基本コースに含まれる検査項目は医療機関によって異なりますが、一般的には以下のような項目が含まれています。それぞれどのような目的で行われるのかを理解しておくと、検査結果を正しく活用しやすくなります。
🦠 問診・身体計測
問診では、現在の健康状態、既往歴、家族歴、生活習慣(喫煙・飲酒・運動・食事など)について確認します。問診の内容は、その後の検査の方向性や結果の解釈に影響するため、できるだけ正直に答えることが大切です。身体計測では身長・体重・BMI(体格指数)・腹囲などを測定します。腹囲の測定はメタボリックシンドロームの判定に用いられるため、近年特に重視されています。
👴 血圧測定・脈拍測定
血圧は心臓や血管の健康状態を知るための基本的な指標です。高血圧は自覚症状がなく「沈黙の病」とも呼ばれ、放置すると心臓病や脳卒中のリスクが高まります。脈拍の測定では、心拍数や不整脈の有無を確認します。
🔸 血液検査
血液検査は人間ドックの中核をなす検査の一つです。一般的に以下のような項目が含まれます。
血算(CBC)では、赤血球・白血球・血小板などの数や形態を調べ、貧血や感染症、血液疾患などの有無を確認します。生化学検査では、肝機能(AST・ALT・γ-GTPなど)、腎機能(クレアチニン・尿素窒素など)、血糖値、HbA1c(ヘモグロビンA1c)、脂質(LDLコレステロール・HDLコレステロール・中性脂肪)、尿酸値などを測定します。これらは生活習慣病の早期発見に非常に重要な指標です。
血清免疫検査では、B型肝炎ウイルス(HBs抗原・HBs抗体)やC型肝炎ウイルス(HCV抗体)の感染の有無を調べます。これらのウイルス感染は慢性肝炎・肝硬変・肝がんへと進展する可能性があるため、早期に把握しておくことが重要です。
💧 尿検査
尿検査では、尿中の糖・タンパク・潜血・白血球などを調べます。尿に糖が出ている場合は糖尿病の疑い、タンパクが出ている場合は腎臓の異常が疑われます。潜血反応が陽性の場合は、腎臓や膀胱、尿路に何らかの異常がある可能性があります。
✨ 胸部X線検査
胸部X線検査では、肺や心臓、大血管などの形態を確認します。肺がんや肺結核、肺炎、気胸、心拡大などを発見するために行われます。ただし、胸部X線だけでは発見しにくい早期肺がんもあるため、リスクの高い方には低線量CTの追加を検討することもあります。
📌 心電図検査
安静時に心臓の電気的活動を記録する検査です。不整脈や心筋梗塞の痕跡、心臓肥大などを調べます。安静時心電図では捉えにくい異常もあるため、気になる症状がある方は運動負荷心電図などの追加検査を検討する場合もあります。
▶️ 眼科的検査(眼圧・眼底)
眼圧検査では緑内障のリスクを調べます。眼底検査では網膜の血管を直接観察することができ、高血圧や糖尿病による血管変化、視神経の異常などを確認できます。眼底は体の中で直接血管を観察できる唯一の場所であるため、全身の血管状態を把握するうえでも重要な検査です。
🔹 腹部超音波(エコー)検査
超音波を使って腹部の臓器(肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓など)の形態や構造を調べます。放射線を使わないため体への負担が少なく、胆石・脂肪肝・肝嚢胞・腎嚢胞・腫瘤などを発見するのに有効です。
📍 便潜血検査
便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がんやポリープなどから出血があると陽性になることがあります。2日分の便を採取して検査する方法が一般的です。陽性の場合は大腸内視鏡検査など、さらなる精密検査が必要になります。
💫 肺機能検査(スパイロメトリー)
肺の換気機能を調べる検査で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの有無・程度を評価します。特に喫煙習慣のある方には重要な検査です。
💊 オプション検査の種類と内容
基本コースに加えて、さまざまなオプション検査を追加することができます。オプション検査は特定の疾患リスクが高い方や、より詳しく調べたい方に向けたものです。代表的なオプション検査の種類と内容を紹介します。
🦠 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
口や鼻からスコープを挿入し、食道・胃・十二指腸を直接観察する検査です。胃がんや食道がん、胃潰瘍、逆流性食道炎などを発見できます。かつては上部消化管X線検査(胃のバリウム検査)が主流でしたが、近年は内視鏡検査が精度面で優れているとして普及しています。鼻から挿入する経鼻内視鏡は嘔吐反射が起きにくく、受けやすいとされています。また、鎮静剤を使用したいわゆる「楽な胃カメラ」も多くの施設で選択できます。
👴 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門からスコープを挿入し、直腸・大腸全体を直接観察する検査です。大腸がんやポリープを発見でき、ポリープが見つかった場合はその場で切除することも可能です。便潜血検査で陽性が出た場合や、大腸がんの家族歴がある方に特に推奨されます。検査前日から腸管洗浄液を飲む準備が必要なため、やや負担を感じる方もいますが、大腸がんの早期発見に非常に有効な検査です。
🔸 低線量胸部CT検査
通常の胸部X線検査よりも詳細に肺の状態を調べることができる検査です。X線では発見しにくい小さな結節や早期肺がんを検出できる可能性があります。喫煙歴のある方や、粉じんにさらされる職業についている方などに特に推奨されます。放射線被ばく量は従来のCTより抑えられていますが、X線よりは多くなります。
💧 頭部MRI・MRA検査
MRI(磁気共鳴画像)で脳の形態を、MRA(磁気共鳴血管造影)で脳の血管を調べます。脳梗塞の痕跡、脳腫瘍、脳動脈瘤などを発見することができます。放射線を使わないため被ばくの心配がなく、脳卒中の家族歴がある方や高血圧・糖尿病のある方に特に推奨されます。閉所恐怖症がある方や、体内に金属製のインプラントがある方は受けられない場合があります。
✨ 腹部CT検査
超音波検査よりも詳細に腹部臓器を調べることができます。膵臓がんや腎臓がんなど、超音波では見えにくい部位の病変を発見するのに有効です。また、大動脈瘤の有無も確認できます。
📌 乳がん検査(マンモグラフィ・乳腺超音波)
乳がんは女性に最も多いがんの一つです。マンモグラフィは乳腺をX線で撮影する検査で、石灰化や腫瘤を発見できます。乳腺超音波(エコー)は超音波で乳腺を調べる検査で、若い女性や乳腺密度が高い方(デンスブレスト)に有効とされています。両方を組み合わせることで発見精度が高まります。
▶️ 子宮頸がん・子宮体がん検査
子宮頸がん検査は子宮の出口(頸部)の細胞を採取して調べる検査です。HPV(ヒトパピローマウイルス)検査を同時に行うこともあります。子宮体がん検査は子宮内膜の細胞を採取する検査で、月経不順や不正出血がある方に特に推奨されます。卵巣がんについては超音波検査や腫瘍マーカー(CA125)で確認できます。
🔹 前立腺がん検査(PSA)
血液検査によりPSA(前立腺特異抗原)の値を測定します。PSAが高い場合は前立腺がんや前立腺肥大、前立腺炎などが疑われます。50歳以上の男性、前立腺がんの家族歴がある方に特に推奨されます。
📍 骨密度検査
骨の密度(骨量)を測定し、骨粗しょう症のリスクを評価します。閉経後の女性や高齢者に特に重要な検査です。骨粗しょう症が進行すると骨折しやすくなり、寝たきりのリスクが高まります。
💫 腫瘍マーカー検査
がん細胞が産生する物質や、がんに反応して体が産生する物質(腫瘍マーカー)を血液検査で調べます。CEA(大腸がんなど)、CA19-9(膵臓がん・胆管がんなど)、AFP(肝細胞がんなど)、CA125(卵巣がんなど)などがあります。ただし、腫瘍マーカーは単独では診断には用いられず、陽性だからといって必ずしもがんがあるわけではありません。異常値が出た場合はさらなる精密検査が必要です。
🦠 動脈硬化検査(ABI・PWV)
ABI(足関節上腕血圧比)は手足の血圧の比較から末梢動脈疾患のリスクを評価します。PWV(脈波伝播速度)は血管の硬さを測定し、動脈硬化の程度を調べます。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙習慣のある方に特に推奨されます。
👴 ピロリ菌検査
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染を調べる検査です。ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍の原因となることがわかっており、感染が確認された場合は除菌治療を行うことで胃がんのリスクを下げる効果が期待できます。血液検査や尿素呼気試験などの方法があります。
🏥 年齢別の選び方のポイント
人間ドックの項目を選ぶ際に、年齢は重要な判断基準の一つです。年代によってかかりやすい病気やリスクが異なるため、それに応じた検査を選ぶことが効果的です。
🔸 20〜30代
この年代では全体的に病気のリスクは低いとはいえ、生活習慣の乱れや過度なストレスによる体への影響が蓄積し始める時期でもあります。基本コースを中心に、以下のような項目に注目するとよいでしょう。
まず、血液検査・尿検査・血圧測定など基本的な生活習慣病の指標を把握することが大切です。また、ピロリ菌検査は若いうちに感染を確認し、除菌することで将来の胃がんリスクを下げる観点から受けておくことが推奨されます。女性の場合は子宮頸がん検査を20代後半から始めることが推奨されています。喫煙習慣がある方は、肺機能検査や低線量胸部CTも考慮に値します。
💧 40代
がんの罹患率が上昇し始める時期であり、生活習慣病の発症リスクも高まります。基本コースに加えて、がんスクリーニング検査を積極的に追加することが推奨されます。胃カメラや大腸内視鏡検査(または便潜血検査)、胸部CT、腹部超音波などを選択することで、早期発見につながる可能性が高まります。
女性は乳がん検査(マンモグラフィ・乳腺超音波)も40代から始めることが推奨されています。また、閉経前後の時期には骨密度検査を追加することも重要です。男性は前立腺の状態も気にし始めてよい年代です。
✨ 50代
がんをはじめとした重大な疾患が増える年代です。基本コースに加えて、より多くのオプション検査を追加することを積極的に検討しましょう。男性では前立腺がんのPSA検査を受けることが強く推奨されます。また、脳卒中のリスクが高まるため、頭部MRI・MRAも検討に値します。
大腸がんは50代以降に急増するため、大腸内視鏡検査を受けることが特に重要です。女性は乳がん・子宮がん・卵巣がんのリスクも引き続き高く、これらの検査を継続して受けることが大切です。骨密度検査も定期的に行い、骨粗しょう症の予防・治療に役立てましょう。
📌 60代以上
さまざまな疾患のリスクが高まる年代です。総合的な検査に加えて、心臓・血管系のチェックも重要になります。動脈硬化検査(ABI・PWV)、心臓超音波検査(心エコー)なども追加を検討しましょう。また、骨密度の低下が進む時期でもあるため、骨密度検査も定期的に受けることが推奨されます。
認知機能の変化が気になる方は、頭部MRI・MRAに加えて、専門的な認知機能評価を相談してみることも一つの選択肢です。体力的な負担を考慮しながら、優先度の高い検査を選んで受けるようにしましょう。
⚠️ 性別による検査項目の違い
人間ドックの項目を選ぶ際には、性別も重要な考慮事項です。男女でかかりやすいがんの種類や、ホルモンの影響を受ける疾患が異なるため、それぞれに合った検査を選ぶことが大切です。
▶️ 女性に推奨される検査
乳がんは日本人女性に最も多いがんであり、早期発見が治療成績を大きく左右します。一般的に40歳以上の女性にマンモグラフィが推奨されていますが、乳腺密度が高い方(デンスブレスト)には乳腺超音波の方が有効な場合もあります。30代以下の女性では乳腺超音波が主な選択肢となります。
子宮頸がんは20〜30代の若い女性にも発症することがあるため、性経験のある方は20代後半から定期的に検査を受けることが推奨されています。子宮体がんは40〜50代以降に増加するため、この年代からは子宮体がん検査も加えることが望ましいです。卵巣がんについては超音波検査や腫瘍マーカー(CA125)で確認できます。
閉経後の女性は骨粗しょう症のリスクが急激に高まるため、骨密度検査を定期的に受けることが重要です。また、閉経後は脂質異常症や高血圧のリスクも上昇するため、これらの指標にも注意が必要です。
🔹 男性に推奨される検査
前立腺がんは50代以降の男性に増加するがんです。PSA(前立腺特異抗原)の血液検査は簡便に受けることができ、前立腺がんの早期発見に有用です。前立腺がんの家族歴がある方は、より早い年齢から検査を検討することをお勧めします。
男性は一般的に女性と比べて喫煙率・飲酒率が高く、生活習慣病のリスクも高い傾向があります。肝機能検査・脂質検査・血糖値などを重視することが大切です。また、喫煙歴のある男性は肺がんのリスクが高く、低線量胸部CTを積極的に検討する価値があります。
男性は女性と比べてメタボリックシンドロームの発症率が高く、動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞につながるリスクも高い傾向があります。動脈硬化検査や心臓に関連した検査(心臓超音波、運動負荷心電図など)を追加することも選択肢の一つです。
🔍 生活習慣・リスクに応じた選び方
年齢や性別に加えて、個人の生活習慣や健康リスクに応じて検査項目をカスタマイズすることが、より効果的な人間ドック活用につながります。以下に代表的な状況別のポイントをまとめます。
📍 喫煙習慣がある方
喫煙は肺がんをはじめ、口腔がん・咽頭がん・食道がん・膀胱がんなど多くのがんのリスクを高めます。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクも大幅に上昇します。低線量胸部CT、肺機能検査(スパイロメトリー)、腫瘍マーカー検査などを追加することが推奨されます。喫煙が長年続いている方は特に、これらの検査を優先的に受けるようにしましょう。
💫 飲酒習慣がある方
アルコールの過剰摂取は肝臓に大きな負担をかけ、脂肪肝・肝炎・肝硬変・肝がんへと進展するリスクがあります。また、食道がんや口腔がん、大腸がんのリスクも高まります。肝機能検査(血液検査)、腹部超音波、上部消化管内視鏡検査などを重視することが大切です。血液検査のγ-GTP・ALT・ASTの値を定期的に確認しましょう。
🦠 家族歴がある方
特定の病気を発症した家族がいる場合、その病気にかかるリスクが高まる可能性があります。たとえば、大腸がんの家族歴がある方は大腸内視鏡検査を、胃がんの家族歴がある方は胃カメラを積極的に受けることが推奨されます。脳卒中や心筋梗塞の家族歴がある方は、頭部MRI・MRAや動脈硬化検査、心臓に関連した検査を優先的に受けることが望ましいです。乳がんの家族歴がある方(特に母親や姉妹)は、乳がん検査を早い年齢から受け始めることを検討しましょう。
👴 肥満・メタボリックシンドロームが疑われる方
BMIが25以上の肥満や、腹囲が基準値を超える方(男性85cm以上、女性90cm以上)は、生活習慣病のリスクが高まります。血糖値・HbA1c・脂質(LDLコレステロール・中性脂肪)・血圧などの指標を重点的に確認することが大切です。また、脂肪肝を調べるための腹部超音波も重要な検査です。動脈硬化が進んでいないかを確認するために、動脈硬化検査も追加することを検討しましょう。
🔸 ストレスが多い・睡眠が乱れている方
慢性的なストレスや睡眠不足は、免疫機能の低下や血圧・血糖値の上昇、消化器系の不調など、さまざまな健康問題につながることがあります。基本的な血液検査・血圧測定に加えて、自律神経の状態や心臓の負担を確認するための心電図検査、睡眠障害が疑われる場合は睡眠時無呼吸症候群の検査なども検討するとよいでしょう。
💧 既往症・現在治療中の病気がある方
すでに生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)の治療を受けている方や、過去に大きな病気をした方は、主治医に相談したうえで人間ドックの項目を選ぶことが重要です。治療中の病気の経過確認に関連した項目を重点的に受けるほか、その病気が引き起こしやすい合併症を調べる検査も追加することが推奨されます。たとえば、糖尿病の方は腎機能・眼底・末梢神経などの合併症スクリーニングが重要です。
📝 検査を受ける頻度と注意点
人間ドックは一度受けて終わりではなく、定期的に継続して受けることが大切です。ここでは検査を受ける頻度の目安と、受診前後に気をつけておきたいポイントを解説します。
✨ 受ける頻度の目安
一般的に、人間ドックは年に1回受けることが推奨されています。ただし、年齢やリスクによってより頻繁に受けることが望ましい場合もあります。たとえば、過去の検査で要精密検査・要経過観察と判定されたことがある方や、生活習慣病の治療中の方、がんの治療後のフォローアップとして受ける方などは、主治医の指示に従って受診間隔を決めるとよいでしょう。
大腸内視鏡検査はポリープが見つかった場合は1〜3年ごと、何もなければ3〜5年ごとが目安とされることが多いです。一方、マンモグラフィや子宮頸がん検査は2年に1回程度が国の指針として示されています(ただし、リスクが高い方は毎年受けることも選択肢です)。
📌 受診前の準備と注意点
正確な検査結果を得るために、受診前には適切な準備が必要です。多くの検査では前日の夜から絶食が必要となります。食事をとると血糖値・中性脂肪・肝機能の数値が変動するほか、腹部超音波では胆嚢の観察が難しくなります。また、飲酒も前日から控えることが推奨されます。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)を受ける場合は、事前に医療機関から詳細な準備の指示が出ます。大腸カメラの場合は前日から低残渣食にして、当日は腸管洗浄液を飲む必要があります。
現在服用している薬がある方は、当日も服用してよいかどうかを事前に確認しておきましょう。血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる方は、内視鏡などの処置を行う場合に注意が必要なことがあります。
▶️ 検査結果の活用方法
検査結果を受け取ったら、異常値や要注意の項目を見逃さないようにしましょう。結果の判定は一般的に「異常なし」「要経過観察」「要再検査」「要精密検査」「要治療」などに分類されます。「要精密検査」「要治療」の判定が出た場合は、必ず専門の医療機関を受診することが大切です。
また、人間ドックの結果は年ごとに比較することも重要です。1回の結果だけでなく、経年的な変化を追うことで、体の状態の変化をより正確に把握することができます。検査結果は大切に保管し、次回の受診の際に持参するか、医療機関のポータルサイトなどで管理できる場合はそれを活用しましょう。
🔹 費用と保険・補助制度について
人間ドックの費用は医療機関によって異なりますが、基本コースで2〜5万円程度、オプションを追加すると費用はさらに増えます。人間ドックは健康保険の適用外(自由診療)であるため、基本的には全額自己負担となります。しかし、健康保険組合や共済組合によっては補助金制度がある場合があります。勤務先の福利厚生として費用の一部が補助されることもあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、自治体が実施している特定健診(40〜74歳の方が対象)やがん検診を活用することも一つの方法です。これらは費用負担が少なく受けられる場合があります。ただし、人間ドックと比べると検査項目が限られるため、より詳細な検査を受けたい場合は人間ドックとあわせて利用することが効果的です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「何を受けたらいいかわからない」とお悩みの患者さんが多くいらっしゃいますが、年齢・性別・生活習慣・家族歴をお聞きするだけで、優先すべき検査項目がかなり絞り込めることがほとんどです。最近の傾向として、40代以降の方が初めて胃カメラや大腸内視鏡検査を受けられた際に、自覚症状がないままポリープや早期の異常が見つかるケースも少なくなく、定期的な検査の重要性を改めて実感しています。「自分にはまだ早い」と感じている方こそ、ぜひ一度ご相談いただき、ご自身に合った検査プランを一緒に考えさせてください。」
💡 よくある質問
一般的な健康診断は労働安全衛生法に基づく決まった項目のみですが、人間ドックはそれよりも幅広い項目を検査できます。内視鏡検査や画像診断なども含まれることが多く、より詳細に体の状態を把握できます。費用は原則自己負担ですが、健康保険組合から補助が出る場合もあります。
一般的な基本コースには、問診・身体計測、血圧測定、血液検査(肝機能・腎機能・血糖値・脂質など)、尿検査、胸部X線、心電図、腹部超音波、便潜血検査などが含まれます。医療機関によって内容が異なるため、事前に確認することをお勧めします。
はい、年代ごとにリスクが異なるため推奨検査も変わります。20〜30代は基本コースとピロリ菌検査が中心、40代からは胃カメラや大腸内視鏡などがん検診の追加が推奨されます。50代以降はさらに前立腺がん検査(男性)や頭部MRI・MRAなど脳・血管系の検査も重要になります。
一般的には年に1回の受診が推奨されています。ただし、過去に要精密検査の判定が出た方や生活習慣病の治療中の方は、主治医の指示に従って受診間隔を調整することが大切です。大腸内視鏡検査はポリープの有無によって1〜5年ごとが目安となります。
年齢・性別・生活習慣・家族歴をもとに、優先すべき検査項目を絞り込むことができます。当院では「何を受けたらいいかわからない」という方のご相談にも対応しており、一人ひとりの状況に合わせた検査プランをご提案しています。まずはお気軽にご相談ください。

✨ まとめ
人間ドックは、自覚症状のない段階で病気を早期発見し、健康を守るための非常に有効な手段です。基本的な検査項目は血液検査・尿検査・画像検査・生理機能検査などをカバーしており、これだけでも多くの疾患の早期発見に役立ちます。さらに、自分の年齢・性別・生活習慣・家族歴などに合わせてオプション検査を追加することで、より自分に合った検査を受けることができます。
20〜30代のうちは基本コースを中心に生活習慣病の指標を把握し、ピロリ菌検査や性別に応じたがん検診を始めることが推奨されます。40代以降はがんのリスクが高まるため、内視鏡検査や画像検査などをより積極的に追加することが大切です。50代・60代以降はさらに多くの検査が必要になり、特に脳・心臓・血管系の検査も重要になります。
どの検査を選べばよいか迷った場合は、医療機関のスタッフや医師に相談してみることをお勧めします。自分の健康状態や生活習慣を正直に伝えることで、より適切な検査項目を提案してもらうことができます。人間ドックは定期的に受け続けることで、その効果が最大限に発揮されます。ぜひ自分に合った項目を選び、健康管理に役立ててください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 健康診断・人間ドックに関する制度概要、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の検査項目、メタボリックシンドロームの判定基準、がん検診の推奨項目(乳がん・子宮頸がん・大腸がん等)に関する公式情報
- WHO(世界保健機関) – がんの早期発見・スクリーニングの意義、生活習慣(喫煙・飲酒・肥満)とがんリスクの関連、各種がん検診の国際的な推奨基準に関するエビデンスベースの情報
- PubMed – 人間ドックの各検査項目(低線量胸部CT・大腸内視鏡・頭部MRI・腫瘍マーカー等)の有効性、年齢・性別・生活習慣リスクに応じたスクリーニング検査の推奨に関する査読済み医学文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務