お正月やお祝いの席で欠かせない餅ですが、「消化に時間がかかる」「胃もたれしやすい」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。実際に餅を食べた後、お腹が重く感じたり、なかなか空腹感が戻らなかったりした経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
餅の消化時間は、食べ方や調理法、個人の消化能力によって大きく異なります。本記事では、餅の消化時間の目安から、胃に負担をかけにくい食べ方、消化不良を起こしやすい方への注意点まで、医学的な観点から詳しく解説いたします。正しい知識を身につけて、安心して餅を楽しみましょう。
目次
- 餅の消化時間は約2〜3時間が目安
- 餅の消化が遅いと言われる理由
- 消化時間に影響を与える要因
- 胃もたれしにくい餅の食べ方
- 消化を助ける食べ合わせ
- 餅を食べ過ぎた時の対処法
- 餅の摂取に注意が必要な方
- 餅と他の炭水化物の消化時間比較
- よくある質問
この記事のポイント
餅の消化時間は約2〜3時間で、白米より長い。アミロペクチンによる粘着性が原因で、よく噛む・温かいうちに食べる・大根おろしと組み合わせるなどで胃もたれを予防できる。高齢者や消化器疾患・糖尿病の方は特に注意が必要。
⏰ 餅の消化時間は約2〜3時間が目安
餅の消化時間は、一般的に約2〜3時間程度とされています。ただし、これはあくまでも目安であり、実際の消化時間は個人差や食べ方によって大きく異なります。
🥼 胃での滞留時間
食べ物が胃に入ってから十二指腸へ移動するまでの時間を「胃内滞留時間」と呼びます。餅の場合、この胃内滞留時間は約2〜3時間程度です。これは白米の胃内滞留時間(約2時間程度)と比較すると、やや長い傾向にあります。
胃での消化は、胃酸や消化酵素によって食べ物を細かく分解する過程です。餅は粘りが強く、胃の中で塊になりやすいため、消化酵素が作用しにくい特性があります。そのため、白米と比べて胃に留まる時間が長くなる傾向があるのです。
🔬 小腸での消化・吸収時間
胃で消化された餅は、その後小腸へと送られます。小腸では、膵液や胆汁などの消化液によってさらに分解され、栄養素として吸収されます。小腸での消化・吸収には通常3〜5時間程度かかります。
つまり、餅を食べてから体内で完全に消化・吸収されるまでには、合計で5〜8時間程度かかると考えられます。ただし、餅に含まれるでんぷんが体内でエネルギーとして利用され始めるのは、食後30分〜1時間程度からです。
👥 消化時間の個人差
消化時間には大きな個人差があります。以下の要因によって、同じ量の餅を食べても消化にかかる時間は異なります。
- 年齢、性別、体質
- 消化器官の状態
- 食事の際の咀嚼回数
- ストレスの有無
高齢者や消化機能が低下している方は、より長い時間がかかる傾向があります。
Q. 餅の消化時間はどのくらいかかりますか?
餅の胃内滞留時間は約2〜3時間で、白米の約2時間と比べるとやや長い傾向があります。その後、小腸での消化・吸収に3〜5時間かかるため、完全に消化・吸収されるまでには合計5〜8時間程度かかると考えられています。
🤔 餅の消化が遅いと言われる理由
餅が「消化に時間がかかる」「胃にもたれやすい」と言われる理由には、餅特有の成分や構造が関係しています。ここでは、その科学的な背景について解説します。
🍚 もち米に含まれるアミロペクチンの特性
餅の原料であるもち米には、でんぷんの一種である「アミロペクチン」が約100%含まれています。一方、普通のうるち米には「アミロース」が約20%、「アミロペクチン」が約80%含まれています。
アミロペクチンは分岐した構造を持つでんぷんで、水を加えて加熱すると強い粘りを生じます。この粘りが餅特有のもちもちした食感を生み出していますが、同時に胃の中で塊になりやすく、消化酵素が作用しにくい原因にもなっています。
🧬 餅の粘着性と消化の関係
餅の強い粘着性は、消化過程において以下のような影響を与えます。
- 餅は噛んでも完全にバラバラにならず、ある程度の塊として胃に到達
- 胃の中でも餅は粘り気を保ち、胃液が浸透しにくい状態が続く
- 消化酵素が作用できる表面積が小さくなり、消化効率が低下
これが餅の消化に時間がかかる主な理由です。
🌡️ 温度変化による影響
餅は温度によって物性が大きく変化します。温かい状態では柔らかく伸びやすいですが、冷えると硬くなります。胃の中の温度は約37度前後ですが、この温度では餅は完全に柔らかい状態を維持できません。
冷めた餅や、食べている途中で冷えてしまった餅は、胃の中でさらに硬くなり、消化により時間がかかる可能性があります。温かいうちに食べることが、消化の観点からも重要なポイントとなります。
📊 消化時間に影響を与える要因
餅の消化時間は一定ではなく、さまざまな要因によって変化します。消化時間に影響を与える主な要因について理解しておくことで、より快適に餅を楽しむことができます。
📏 食べる量
当然のことながら、食べる量が多ければ消化にかかる時間も長くなります。
- 切り餅1個(約50g)程度:胃への負担は比較的軽い
- 3〜4個以上:胃の処理能力を超え、消化に時間がかかる
特にお正月などは、お雑煮やお汁粉、焼き餅など、さまざまな形で餅を食べる機会が増えます。1日を通しての総摂取量を意識することが大切です。
🦷 咀嚼回数
餅の消化時間に最も大きく影響するのが、咀嚼(そしゃく)回数です。よく噛むことで以下の効果が得られます。
- 餅が細かくなり、唾液中の消化酵素(アミラーゼ)がでんぷんの分解を開始
- 細かくなった餅は胃液が浸透しやすく、胃での消化もスムーズに進む
一般的に、一口あたり30回以上噛むことが推奨されていますが、餅の場合は50回以上噛むことで、より消化が良くなると言われています。
🍳 調理法
餅の調理法によっても消化時間は変わります。
- 焼き餅:表面が硬くなるため、内部まで消化酵素が到達しにくい
- お雑煮:汁物に入れて柔らかく煮た餅は比較的消化しやすい
- 揚げ餅:油を含むため、消化により時間がかかる
🥗 一緒に食べる食品
餅と一緒に食べる食品も消化時間に影響します。
- 脂っこいおかず:全体の消化時間が長くなる
- 大根おろしやなめこ:消化を助ける食品と組み合わせることで消化がスムーズに
😔 体調やストレス
体調不良やストレスは消化機能を低下させます。自律神経のバランスが乱れると、以下のような影響があります。
- 胃の動きが悪くなる
- 消化液の分泌も減少
- 疲労が蓄積している時や精神的ストレスを感じている時は消化に時間がかかる
Q. 餅が消化に時間がかかる理由は何ですか?
餅の原料であるもち米にはアミロペクチンが約100%含まれており、これが強い粘りを生み出します。この粘着性により、餅は胃の中で塊になりやすく、消化酵素が作用できる表面積が小さくなるため、消化効率が低下し時間がかかります。
✅ 胃もたれしにくい餅の食べ方
餅による胃もたれや消化不良を防ぐためには、食べ方を工夫することが重要です。ここでは、胃に負担をかけにくい餅の食べ方について詳しく解説します。
🦷 よく噛んで食べる
最も重要なポイントは、よく噛んで食べることです。餅は粘り気があるため、十分に噛まずに飲み込んでしまいがちですが、これが胃もたれの大きな原因となります。
- 一口あたり50回以上を目標に、餅がほぼペースト状になるまで噛む
- 唾液に含まれるアミラーゼがでんぷんの分解を開始し、胃での消化負担を軽減
- よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎの防止にもつながる
🔥 温かいうちに食べる
餅は温かいうちに食べることで、柔らかい状態を保ち、消化しやすくなります。冷えた餅は硬くなり、胃の中でも固まりやすくなるため、消化に時間がかかります。
お雑煮やお汁粉など、温かい状態で提供される料理は消化の観点からも理にかなっています。焼き餅の場合も、焼きたてを少しずつ食べるようにしましょう。
✂️ 小さく切って食べる
大きな餅をそのまま食べるのではなく、小さく切ってから食べることをおすすめします。
- 小さく切ることで一口あたりの量が減り、しっかり噛める
- 表面積が増えることで消化酵素が作用しやすくなる
- 高齢者や咀嚼力が弱い方は誤嚥(ごえん)のリスクも軽減
⚖️ 適量を守る
餅は1〜2個(50〜100g程度)を目安にすると良いでしょう。切り餅1個のカロリーは約120kcal程度で、ご飯1膳(約150g)とほぼ同等です。
お正月など餅を食べる機会が多い時期は、1日の総摂取量を意識して調整しましょう。
🐌 ゆっくり食べる
急いで食べると、咀嚼が不十分になり、空気も一緒に飲み込んでしまいます。これは胃もたれや膨満感の原因となります。
- 食事には十分な時間をかけ、リラックスした状態で餅を楽しむ
- 「ながら食べ」は避け、食事に集中する
- 自然と咀嚼回数も増える
🤝 消化を助ける食べ合わせ
餅と一緒に食べる食品を工夫することで、消化を助け、胃への負担を軽減することができます。昔から伝わる餅の食べ方には、消化の観点から理にかなったものが多くあります。
🌿 大根おろし
大根には消化酵素であるジアスターゼ(アミラーゼ)が含まれています。この酵素はでんぷんの分解を助ける働きがあり、餅と一緒に食べることで消化をスムーズにします。
からみ餅(大根おろしと餅の組み合わせ)は、消化の観点から非常に優れた食べ方と言えます。ただし、ジアスターゼは熱に弱いため、大根おろしは加熱せずに生のまま餅に添えて食べるのがポイントです。
🫘 納豆
納豆に含まれるナットウキナーゼやプロテアーゼなどの酵素には、消化を助ける働きがあります。また、納豆のネバネバ成分には胃の粘膜を保護する効果も期待できます。納豆餅は、味だけでなく消化の面でも優れた組み合わせです。
🍄 なめこ
なめこに含まれるムチン(ぬめり成分)には、胃の粘膜を保護し、消化を助ける働きがあります。なめこ汁に餅を入れた「なめこ雑煮」は、胃に優しい食べ方としておすすめです。
🥕 野菜たっぷりの汁物
お雑煮のように、野菜と一緒に温かい汁物として餅を食べることも消化に良い食べ方です。
- 野菜に含まれる食物繊維は腸の動きを活発にする
- スープは餅を柔らかく保つ効果
- 白菜、大根、人参、ごぼうなどの根菜類をたっぷり入れると栄養バランスも良好
🌾 きな粉
きな粉には食物繊維やタンパク質が含まれており、餅だけを食べるよりも栄養バランスが良くなります。また、きな粉をまぶすことで餅同士がくっつきにくくなり、よく噛んで食べやすくなる効果もあります。
❌ 避けたい食べ合わせ
一方で、餅と一緒に食べると消化に負担がかかる食品もあります。
- 揚げ物や脂っこい料理:脂質は消化に時間がかかる
- 冷たい飲み物:胃の動きを鈍くする
- 炭酸飲料:胃を膨らませ、餅と合わさることで膨満感が増す
餅を食べる際は、温かいお茶やお味噌汁など、胃に優しい飲み物を選びましょう。
Q. 餅を食べるとき胃もたれを防ぐ方法は?
胃もたれを防ぐには、一口あたり50回以上よく噛むこと、温かいうちに食べること、小さく切ること、1〜2個を目安に適量を守ることが重要です。また、大根おろしや納豆と組み合わせると、含まれる消化酵素が餅のでんぷん分解を助け、消化がスムーズになります。
🆘 餅を食べ過ぎた時の対処法
餅を食べ過ぎてしまい、胃もたれや膨満感を感じた場合の対処法について解説します。適切な対応を知っておくことで、不快な症状を和らげることができます。
🚶♀️ 食後の過ごし方
餅を食べ過ぎた後は、以下の点に注意して過ごしましょう。
- すぐに横にならない(胃酸が逆流しやすくなり、胸焼けの原因)
- 食後30分〜1時間程度は椅子に座った状態か軽く体を動かす
- 激しい運動は消化の妨げ、軽い散歩程度は胃腸の動きを活発に
🍵 温かい飲み物を摂る
温かいお茶や白湯を飲むことで、胃の中の餅を柔らかくし、消化を助けることができます。特に緑茶にはカテキンが含まれており、消化を促進する効果が期待できます。
ただし、一度に大量の水分を摂ると胃液が薄まり、かえって消化に時間がかかることがあります。少量ずつ、ゆっくりと飲むようにしましょう。
🍚 次の食事を調整する
餅を食べ過ぎた後の食事は、胃に負担のかからない消化の良いものを選びましょう。
- おすすめ:おかゆ、うどん、野菜スープ
- 避ける:脂っこい食事や刺激の強い食品
- 無理に食事をする必要はなく、空腹感を感じるまで次の食事を遅らせても問題なし
💊 市販の胃腸薬の活用
胃もたれや膨満感が強い場合は、市販の胃腸薬を服用することも一つの選択肢です。
- 消化酵素を補う薬
- 胃の動きを活発にする薬
- 胃酸を中和する薬
症状に応じて選びましょう。
🏥 医療機関への相談が必要な場合
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
- 強い腹痛が続く場合
- 嘔吐を繰り返す場合
- 血便や黒色便がある場合
- 発熱を伴う場合
また、高齢者の場合は餅による腸閉塞のリスクもあるため、腹痛やガスが出ない、便が出ないなどの症状があれば、速やかに受診してください。
⚠️ 餅の摂取に注意が必要な方
餅は多くの方にとって安全に楽しめる食品ですが、特定の状態や疾患をお持ちの方は注意が必要です。ここでは、餅の摂取に特に気をつけていただきたい方について解説します。
👴 高齢者
高齢者は加齢に伴い、以下の機能が低下していることがあります。
- 咀嚼力や嚥下機能の低下
- 消化機能の低下
- 餅による胃もたれや消化不良を起こしやすい
さらに重要なのが、餅による窒息のリスクです。餅は粘り気が強く、気道に詰まると窒息の原因となります。毎年お正月には餅による窒息事故が報告されており、その多くが高齢者です。
高齢者が餅を食べる際の対策:
- 小さく切る
- よく噛む
- 見守りのある環境で食べる
🩺 消化器疾患をお持ちの方
以下の疾患をお持ちの方は、餅が症状を悪化させる可能性があります。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 逆流性食道炎
- 慢性胃炎
これらの疾患がある方は、主治医に相談の上、餅の摂取について判断してください。特に逆流性食道炎の方は、餅の粘り気と消化に時間がかかる特性が、胃酸の逆流を引き起こしやすくする可能性があります。
🩸 糖尿病の方
餅は糖質を多く含む食品です。切り餅1個(約50g)には約25gの糖質が含まれています。これはご飯茶碗半分程度に相当します。
また、餅は血糖値を急激に上昇させやすい食品(GI値が高い食品)でもあります。
糖尿病の方への注意点:
- 摂取量の調整が必要
- 野菜やタンパク質と一緒に食べることで血糖値の急上昇を抑制
👶 小さなお子さん
乳幼児や小さなお子さんは、咀嚼機能が未発達なため、餅をしっかり噛み砕くことができません。餅による窒息のリスクは高齢者と同様に高いため、特に注意が必要です。
- 3歳未満のお子さんには餅を与えないことが推奨
- 3歳以上でも小さく切り、大人が見守る中で少量ずつ与える
🗣️ 嚥下障害のある方
脳卒中後遺症やパーキンソン病などにより嚥下障害がある方は、餅の摂取は控えた方が良いでしょう。餅は口の中でバラバラになりにくく、嚥下障害のある方にとっては非常に危険な食品です。
どうしても餅を食べたい場合は、言語聴覚士や管理栄養士に相談してください。
Q. 餅の摂取を特に注意すべき人は誰ですか?
高齢者は咀嚼・嚥下機能の低下により窒息リスクが高く、小さく切って食べることが必須です。胃潰瘍や逆流性食道炎などの消化器疾患がある方は症状悪化の恐れがあります。また糖尿病の方は餅の糖質量と高GI値に注意し、野菜やタンパク質と組み合わせて血糖値の急上昇を抑えることが推奨されます。
📈 餅と他の炭水化物の消化時間比較
餅の消化時間を他の主食と比較することで、その特性をより理解することができます。ここでは、代表的な炭水化物食品との比較を行います。
🍚 白米との比較
白米の胃内滞留時間は約2時間程度とされています。餅の約2〜3時間と比較すると、白米の方がやや消化が早い傾向にあります。これは、白米には適度に粒の形状が残っており、唾液や胃液が浸透しやすいためです。
ただし、白米も十分に咀嚼しないと消化に時間がかかります。餅と白米の消化時間の差は、咀嚼をしっかり行うことで小さくなります。
🍞 パンとの比較
食パンの胃内滞留時間は約2〜2.5時間程度です。パンは比較的消化が良い食品ですが、これはパンの構造が多孔質で、消化酵素が浸透しやすいためです。
ただし、バターやジャムを多く塗ったパン、クロワッサンなど油脂分が多いパンは消化に時間がかかります。
🍜 麺類との比較
うどんやそうめんなどの麺類は、消化が良い食品として知られています。特にうどんは胃内滞留時間が約2時間程度と比較的短く、風邪をひいた時や胃腸の調子が悪い時にも食べやすい食品です。
一方、ラーメンなど脂っこいスープと一緒に食べる麺類は、消化に時間がかかります。
🍠 さつまいもとの比較
さつまいもの胃内滞留時間は約3〜4時間程度とされ、餅よりもさらに長い傾向があります。これは、さつまいもに含まれる食物繊維が消化を遅くするためです。
ただし、さつまいもの食物繊維は腸内環境を整える効果があり、健康面ではメリットもあります。
📊 消化時間の目安一覧
主な炭水化物食品の胃内滞留時間の目安をまとめると、以下のようになります。
- うどん:約2時間
- 白米:約2時間
- 食パン:約2〜2.5時間
- 餅:約2〜3時間
- さつまいも:約3〜4時間
ただし、これらはあくまでも目安であり、調理法や食べ方、個人差によって大きく変動します。消化時間の長さだけで食品の良し悪しを判断するのではなく、栄養バランスや自分の体調に合わせて食品を選ぶことが大切です。

❓ よくある質問
餅は消化に時間がかかる食品ですが、「消化に悪い」とは言い切れません。よく噛んで適量を食べれば、多くの方が問題なく消化できます。消化時間が長いことは、満腹感が持続するというメリットでもあります。ただし、消化器疾患をお持ちの方や高齢者は注意が必要です。
餅はもち米に含まれるアミロペクチンの影響で粘りが強く、胃の中で塊になりやすい特性があります。この塊に消化酵素が浸透しにくいため、消化に時間がかかり胃もたれを感じることがあります。よく噛んで食べること、一度にたくさん食べないことで胃もたれを予防できます。
夜に餅を食べること自体は問題ありませんが、就寝直前は避けた方が良いでしょう。餅の消化には2〜3時間程度かかるため、就寝の3時間前までに食べ終えることをおすすめします。寝る直前に食べると胃に負担がかかり、睡眠の質にも影響する可能性があります。
健康な成人の場合、1食あたり1〜2個(50〜100g程度)が適量の目安です。切り餅1個は約120kcalで、ご飯1膳とほぼ同等のカロリーがあります。食べ過ぎは胃への負担だけでなく、カロリーオーバーにもつながります。個人の体格や活動量に応じて調整してください。
餅を食べた直後の激しい運動は避けた方が良いでしょう。消化のために胃腸に血流が集中している時に運動すると、消化不良や腹痛の原因となることがあります。食後1〜2時間程度は激しい運動を控え、軽い散歩程度にとどめることをおすすめします。
一般的にお雑煮の方が消化に良いとされています。お雑煮は汁物の中で餅が柔らかく保たれ、野菜と一緒に食べることで栄養バランスも良くなります。焼き餅は表面が硬くなるため、内部まで消化酵素が到達しにくい傾向があります。ただし、どちらもよく噛んで食べれば問題ありません。
📚 参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
餅の粘着性は確かに消化を遅らせる要因となりますが、これは必ずしもデメリットばかりではありません。ゆっくりと消化される特性により、血糖値の上昇が穏やかになったり、満腹感が持続したりといったメリットもあります。大切なのは正しい食べ方を理解し、自分の体調に合わせて適量を摂取することです。