「もう花粉の季節は終わったはずなのに、まだくしゃみや鼻水が止まらない」「毎年、花粉症の症状が長引いてつらい思いをしている」という方は少なくありません。花粉症は春先だけに起こるイメージが強いですが、実際には一年中症状が出続けることもあります。症状が長引く背景には、複数の花粉が関係していることや、アレルギー反応が変化していること、生活環境の問題など、さまざまな原因が絡み合っています。この記事では、花粉症が長引く原因をひとつひとつ丁寧に解説するとともに、症状を和らげるための具体的な対策についてもご紹介します。花粉症で悩んでいる方、なかなか症状が治まらずに困っている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
- 花粉症とはどんな病気か
- 花粉症が長引く主な原因
- 複数の花粉が重なるシーズンの問題
- 通年性アレルギー性鼻炎との合併
- 花粉症を悪化させる生活習慣と環境要因
- 長引く花粉症に関係するアレルギーの変化
- 花粉症が長引いていると感じたときに確認すること
- 長引く花粉症への対処法と治療の選択肢
- まとめ

🎯 花粉症とはどんな病気か
花粉症は、植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー性疾患です。医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、鼻炎症状(くしゃみ・鼻水・鼻づまり)を主症状とします。目のかゆみや充血といった「アレルギー性結膜炎」を伴うことも多く、日常生活の質に大きな影響を与えます。
花粉症が発症するメカニズムは、免疫反応の過剰な働きによるものです。本来、免疫は体に害をなすウイルスや細菌に対抗するための仕組みですが、花粉症の方では無害な花粉に対しても過剰に反応してしまいます。花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、体は「異物が侵入した」と判断し、IgE抗体という物質を産生します。この抗体が再び花粉に接触すると、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、くしゃみや鼻水といった炎症症状が現れます。
日本では現在、約40〜50%の人が花粉症を持っていると言われており、国民病とも呼ばれるほど広く見られる疾患です。かつては春のスギやヒノキ花粉が代表的なアレルゲンでしたが、近年ではさまざまな植物の花粉が問題となっており、症状が現れる時期も多様化しています。
花粉症の症状が出る時期は、原因となる花粉の飛散時期に一致することが多いです。しかし実際には、「症状が長引いてなかなか治まらない」「特定のシーズンが終わっても楽にならない」という訴えが多く聞かれます。こうした状況には、複合的な原因が存在しています。
📋 花粉症が長引く主な原因
花粉症の症状が長引く背景には、いくつかの重要な要因が挙げられます。単純に「花粉が飛んでいるから症状がある」というわけではなく、さまざまな要素が組み合わさることで症状が持続・悪化します。
🦠 原因その1:複数の花粉に感作されている
日本では、年間を通じてさまざまな植物が花粉を飛散させています。代表的なスギ花粉は2〜4月が主な飛散時期ですが、これ以外にも多くの植物が花粉を飛ばしています。ヒノキは3〜5月、カモガヤなどのイネ科植物は5〜8月、ブタクサやヨモギなどのキク科植物は8〜10月にかけて飛散します。
こうした複数の花粉に対してアレルギー反応を持つ人が増えており、春から秋にかけてほぼ一年中花粉症症状が続くケースも珍しくありません。最初はスギ花粉だけに反応していた方が、年月が経つにつれてヒノキやイネ科の花粉にも反応するようになることがあります。これを「感作の拡大」と呼び、花粉症が長引く大きな原因のひとつです。
👴 原因その2:花粉飛散量の多い年や地域の影響
花粉の飛散量は毎年一定ではなく、前年の夏の気候条件などによって大きく変動します。特に猛暑が続いた翌年はスギ・ヒノキ花粉の飛散量が増える傾向があります。飛散量が多い年は症状が出やすく、長期間にわたって粘膜が刺激され続けることで慢性的な炎症状態が続くことがあります。
また、居住地域によっても飛散量は異なります。スギやヒノキが多い地域に引っ越した場合、以前よりも症状が強くなったり長引いたりすることがあります。都市部では花粉そのものの量は少ない一方で、大気汚染物質(PM2.5・ディーゼル排気ガスなど)が花粉の刺激を強める作用があるとされ、都市部でも症状が強く出やすいという報告があります。
🔸 原因その3:花粉症の治療が不十分または中断されている
症状が落ち着いてきたと感じて薬の服用を自己判断でやめてしまう方が多いですが、これが症状を長引かせる原因になることがあります。アレルギー反応による粘膜の炎症は、症状が軽くなっても内部では続いていることがあります。治療を中断することで炎症がぶり返し、また症状が悪化するという繰り返しに陥ることがあります。
また、市販薬だけで対処しようとしているケースでは、症状の種類やアレルゲンに合った薬が選ばれていないことがあります。特に鼻づまりに対しては、抗ヒスタミン薬だけでは効果が不十分なこともあり、適切な治療薬を使用していないことが症状の長期化につながります。
💊 複数の花粉が重なるシーズンの問題
日本の花粉カレンダーを詳しく見ると、花粉の飛散は春だけではないことがわかります。1月下旬〜2月頃からスギ花粉が飛び始め、3〜4月はスギとヒノキが重なり、5月にはカモガヤやシラカンバ(北海道・東北地方)が飛散を開始します。6〜8月はカモガヤなどのイネ科花粉が続き、8〜10月はブタクサ・ヨモギ・カナムグラなどの秋の花粉が飛散します。
つまり、複数の花粉にアレルギーがある方は、2月から10月以上にわたって何らかの花粉に反応し続ける可能性があります。「春の花粉症が終わったと思ったらまた症状が出てきた」という場合、実際には別の花粉に反応しているケースが多いです。
特に近年増加しているのが、スギ・ヒノキに加えてイネ科やキク科の花粉にも感作している方です。このような方では、ほぼ春から秋にかけて症状が続き、「花粉症が長引いている」と感じやすくなります。どの花粉に反応しているかを知るためには、血液検査(特異的IgE抗体検査)を行うことが重要です。複数のアレルゲンへの感作が確認された場合、それぞれの花粉の飛散時期に合わせた対策が必要になります。
また、花粉の飛散時期が終わりに近づいたシーズン末期でも、粘膜がすでに過敏な状態になっているため、少量の花粉でも症状が出やすくなっています。これを「最小感作量の低下」といい、シーズン後半に症状がむしろひどくなる原因のひとつです。
🏥 通年性アレルギー性鼻炎との合併
花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)と混同されやすいのが、「通年性アレルギー性鼻炎」です。通年性アレルギー性鼻炎は、花粉ではなくダニ・ハウスダスト・ペットの毛・カビなどを原因として引き起こされ、文字通り季節を問わず一年中症状が現れます。
花粉症の方が通年性アレルギー性鼻炎を合併しているケースは非常に多く、この場合は花粉シーズンが終わっても症状が治まりません。「花粉が飛んでいないはずなのに鼻水が続く」という方の中には、ダニやハウスダストへのアレルギーが症状の原因になっている場合があります。
ダニは特に6〜8月の高温多湿な時期に繁殖し、秋になると死骸やフンがハウスダストとして舞い上がりやすくなります。スギ・ヒノキ花粉のシーズンが終わった後も症状が続く場合には、ダニアレルギーが関与している可能性を疑ってみることが大切です。
また、ペットを飼っている方では、猫や犬のアレルゲンが原因で一年中症状が出ることがあります。これらは花粉症とは別の問題ですが、症状が重なるために「花粉症がずっと続いている」と誤解されることがあります。正確な診断のためには、アレルゲン検査を行い、何に対してアレルギーがあるかを把握することが重要です。
さらに、副鼻腔炎(蓄膿症)を合併している場合も、症状が長引く原因になります。アレルギー性鼻炎が続くことで鼻の中の粘膜が腫れ、副鼻腔に炎症が波及して副鼻腔炎を引き起こすことがあります。副鼻腔炎になると、鼻づまりや鼻水がさらに悪化し、頭重感や顔面の痛みなどの症状も加わります。この場合は花粉症の治療だけでは改善が難しく、副鼻腔炎への適切な治療が必要です。
⚠️ 花粉症を悪化させる生活習慣と環境要因
花粉症の症状が長引く背景には、日常の生活習慣や環境が大きく関係しています。アレルギー反応そのものが直接の原因ですが、それを悪化させる要因を理解しておくことが重要です。
💧 睡眠不足と疲労
睡眠が不足すると免疫系のバランスが崩れ、アレルギー反応が起きやすくなることが知られています。花粉症の症状がひどいと夜間の鼻づまりや目のかゆみで眠れないことがあり、睡眠不足が症状をさらに悪化させるという悪循環に陥りやすいです。十分な睡眠を確保することは、花粉症の管理において非常に重要です。
✨ ストレス
精神的なストレスはアレルギー症状を悪化させることが知られています。ストレスが加わると自律神経のバランスが乱れ、免疫機能に影響を与えます。仕事や家庭でのストレスが高い時期に花粉症の症状が強くなったと感じる方も多いでしょう。ストレスマネジメントも花粉症対策の一環と言えます。
📌 喫煙と受動喫煙
タバコの煙は鼻や気道の粘膜を直接刺激し、アレルギー反応を増強させます。喫煙者はアレルギー性鼻炎が悪化しやすく、治療薬の効果が出にくいこともあります。本人の喫煙だけでなく、受動喫煙でも同様の影響があります。花粉症の症状が長引いている方は、喫煙習慣を見直すことも検討が必要です。
▶️ 飲酒
アルコールには血管拡張作用があり、鼻粘膜の腫れを誘発します。花粉症のシーズン中に飲酒量が多いと、鼻づまりや鼻水がひどくなることがあります。特に日本酒やワインに含まれるヒスタミン様物質が、アレルギー症状を悪化させる場合もあります。
🔹 食生活の乱れ
腸内環境とアレルギーの関係が近年注目されています。腸内の善玉菌が減少すると免疫バランスが崩れ、アレルギー反応が起きやすくなるとされています。偏った食事や食物繊維の不足は腸内環境を悪化させるため、バランスの良い食事と発酵食品の摂取が花粉症改善にも役立つと考えられています。
📍 室内環境の問題
花粉症の方は室内でも花粉に注意が必要です。外出時に衣服や髪に付着した花粉を室内に持ち込むことで、家の中でも花粉にさらされ続けることになります。また、換気の際に花粉が大量に入り込むことも問題です。特に花粉の飛散量が多い日や時間帯には、窓の開閉に注意が必要です。室内の空気清浄機の活用も効果的です。
💫 大気汚染物質との相互作用
PM2.5やディーゼル排気ガスなどの大気汚染物質は、花粉と相互作用してアレルギー症状を増強させることが研究で示されています。交通量の多い地域や工場の近くなど、大気汚染が進んだ環境では花粉症が出やすく症状も強くなる傾向があります。また、黄砂が多い時期には花粉と黄砂が同時に飛来することがあり、症状が一層悪化します。
🔍 長引く花粉症に関係するアレルギーの変化
花粉症が長引く原因として、アレルギー反応そのものが変化・進行していることも挙げられます。
🦠 感作の広がり(多価感作)
最初は特定の花粉だけに反応していた方でも、長年にわたって花粉に暴露され続けることで、別の花粉や他のアレルゲンにも感作が広がっていくことがあります。これを「多価感作」と呼びます。スギ花粉だけに反応していた方が、ヒノキ・イネ科・キク科と次第に反応する花粉が増えていくことがあり、これにより症状が出る期間が年々長くなっていきます。
👴 口腔アレルギー症候群
花粉症と関連して注目されているのが「口腔アレルギー症候群(OAS)」です。これは特定の花粉アレルギーを持つ方が、同じアレルゲン構造を持つ食物を食べたときに口や喉のかゆみ・腫れなどの症状を起こすものです。たとえば、シラカンバ花粉症の方がリンゴ・桃・キウイなどを食べたときに症状が出やすいと言われています。このような症状も広義の花粉症関連症状として捉えられており、症状の多様化が見られる方は口腔アレルギー症候群の可能性も考えられます。
🔸 非特異的過敏性の亢進
花粉シーズン中に鼻粘膜が繰り返し刺激されると、粘膜の過敏性が高まります。この状態になると、花粉だけでなく、煙・においの強い物質・温度変化・運動など、通常では症状を引き起こさないような刺激にも反応してしまうようになります。これを「非特異的過敏性の亢進」と呼び、花粉シーズンが終わった後も症状が続く原因のひとつです。粘膜の炎症が慢性化することで、この過敏状態が長期間にわたって続くことがあります。
💧 好酸球性副鼻腔炎への移行
長期にわたるアレルギー性鼻炎を治療しないまま放置すると、「好酸球性副鼻腔炎」と呼ばれる難治性の副鼻腔炎に移行するリスクがあります。この疾患は一般的な副鼻腔炎とは異なり、嗅覚障害などの深刻な症状を引き起こすこともあります。長引く花粉症を適切に治療することは、こうした合併症を予防するためにも重要です。
📝 花粉症が長引いていると感じたときに確認すること
「花粉症が長引いている」と感じたとき、まず確認しておくべきことがあります。
✨ 症状の種類と出るタイミングを記録する
くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状がいつ出やすいか、どんな状況で悪化するかを記録しておくと、原因の特定に役立ちます。屋外にいるときに症状が悪化するなら花粉が主な原因の可能性が高いですが、自宅にいても朝起きたときに症状が強いならダニ・ハウスダストへのアレルギーが疑われます。
📌 花粉情報と症状の関連を確認する
インターネットやアプリで地域の花粉飛散情報を確認し、花粉が多い日に症状が悪化するかどうかを確認してみましょう。花粉飛散量と症状の強さが一致している場合は、まだ花粉が関与している可能性があります。一方、花粉が少ない日でも症状が変わらない場合は、別のアレルゲンが関与していることが考えられます。
▶️ 使っている薬が合っているか確認する
市販薬を使用している場合、薬の種類が症状に合っていない可能性があります。抗ヒスタミン薬は主にくしゃみや鼻水に効果がありますが、鼻づまりに対しては別のタイプの薬が必要なことがあります。また、薬の服用タイミングや量が適切でない場合も、十分な効果が得られないことがあります。
🔹 医療機関でアレルゲン検査を受ける
症状が長引いている場合は、自己判断で対処するのではなく、耳鼻咽喉科やアレルギー科を受診することをおすすめします。血液検査によって、どの花粉やアレルゲンに対して抗体を持っているかを確認できます。複数のアレルゲンへの感作が確認されれば、それぞれに応じた治療計画を立てることが可能です。また、副鼻腔炎などの合併症がある場合も、適切に診断・治療してもらえます。
💡 長引く花粉症への対処法と治療の選択肢
花粉症が長引いている場合、その原因に応じた対処・治療が必要です。ここでは主な対処法と治療の選択肢について解説します。
📍 抗原(アレルゲン)回避
花粉症の基本的な対処法は、できるだけ花粉に触れないようにすることです。具体的には、外出時にはマスクと眼鏡を着用する、花粉の多い日の外出を控える、帰宅後は服についた花粉を払い落としてから室内に入る、洗顔・うがい・鼻洗浄を行うなどの対策が有効です。花粉の飛散量が多い午前中(特に10〜14時頃)の屋外活動を減らすことも効果的です。
室内対策としては、空気清浄機の活用、窓の開閉を最小限にする、花粉飛散の多い日の布団の外干しを避けるといった工夫が役立ちます。
💫 薬物療法
花粉症の薬物療法には、内服薬・点鼻薬・点眼薬などさまざまな剤形があります。医療機関では症状の種類や重さに応じて、適切な薬を処方してもらえます。
内服薬としては、抗ヒスタミン薬が最もよく使われます。くしゃみや鼻水・目のかゆみに効果があります。第1世代の抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が強いですが、第2世代の薬は眠気が少なく使いやすいものが多いです。鼻づまりに対しては、抗ロイコトリエン薬がよく使用されます。
点鼻薬には、局所ステロイド薬が含まれるものがあり、鼻の炎症を直接抑える効果があります。内服ステロイドと違って全身への影響が少なく、継続使用しやすいのが特徴です。重症の場合には、経口ステロイドが短期間使用されることもあります。
症状が長引いている場合、薬物療法の継続と適切な薬の選択が症状コントロールに重要です。自己判断での服薬中断や薬の変更はせず、医師の指示に従って治療を継続することが大切です。
🦠 アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法・皮下免疫療法)
アレルゲン免疫療法は、花粉症の根本的な改善を目指す治療法です。原因となるアレルゲンを少量から体内に取り入れ、徐々に免疫を慣らしていくことで、アレルギー反応そのものを軽減していきます。
近年普及している「舌下免疫療法」は、アレルゲンのエキスを舌の下に置いて吸収させる方法です。スギ花粉症・ダニアレルギーに対して保険適用されており、毎日自宅で行えるため続けやすいという利点があります。ただし、効果が出るまでに数ヶ月〜1年以上かかること、治療期間が3〜5年と長期にわたることが特徴です。
免疫療法は、症状を一時的に抑えるだけでなく、治療終了後も効果が持続することが期待できます。花粉症が毎年長引いてつらい思いをしている方、薬物療法だけでは症状のコントロールが難しい方には、特に検討していただきたい治療法です。
👴 生活習慣の改善
薬物療法に加えて、日常生活の見直しも症状改善に役立ちます。十分な睡眠を確保し、ストレスを溜めないようにすること、禁煙・節酒に取り組むこと、バランスの良い食事を心がけることなど、免疫バランスを整える生活習慣が花粉症の症状緩和にも役立ちます。
また、ヨーグルトや納豆・キムチなどの発酵食品、食物繊維を多く含む野菜・豆類・きのこ類などを積極的に摂ることで腸内環境を整え、アレルギー症状の緩和に働きかけることも期待されています。
🔸 手術療法
薬物療法や免疫療法で十分な効果が得られない場合や、鼻の構造的な問題(鼻中隔弯曲症など)が合併している場合には、手術が検討されることがあります。レーザーや高周波を用いて鼻粘膜を処置する手術は、比較的負担が少なく外来でも受けられるものがあります。鼻中隔弯曲症の矯正手術や下鼻甲介の切除術なども、重症例では行われることがあります。
どのような治療が自分に合っているかは、症状の種類・重さ・アレルゲンの種類・生活スタイルなどによって異なります。耳鼻咽喉科専門医やアレルギー科医に相談し、自分に最適な治療計画を立ててもらうことが重要です。
💧 花粉症シーズン前からの予防的治療
花粉症の症状が出始めてから治療を開始するのではなく、花粉飛散が始まる前から予防的に薬を服用する「初期療法」も効果的です。飛散開始の2週間程度前から抗ヒスタミン薬などを服用することで、症状の発現を抑えたり、症状が出ても軽くすんだりする効果が期待できます。毎年花粉症が長引いて困っている方は、翌年のシーズンに備えて早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「スギ花粉の季節が終わったのに症状が続いている」というご相談を多くいただきますが、実際には複数の花粉への感作や、ダニ・ハウスダストによる通年性アレルギーが重なっているケースが少なくありません。最近の傾向として、花粉症を長年放置されていた方ほど感作が広がり、症状が出る期間が年々長くなっているケースが見受けられますので、「どうせ毎年のことだから」と諦めず、ぜひ一度アレルゲン検査を受けていただくことをお勧めします。舌下免疫療法をはじめとする根本的な治療の選択肢もございますので、お気軽にご相談ください。」
✨ よくある質問
スギ・ヒノキ以外にも、イネ科(5〜8月)やキク科(8〜10月)など、季節ごとに異なる花粉が飛散しています。複数の花粉にアレルギーがある場合、春から秋にかけてほぼ一年中症状が続くことがあります。「花粉症が長引いている」と感じる方は、別の花粉に反応している可能性があります。
花粉症は花粉が原因で特定の季節に起こる「季節性アレルギー性鼻炎」です。一方、通年性アレルギー性鼻炎はダニ・ハウスダスト・ペットの毛などが原因で、季節を問わず一年中症状が現れます。両方を合併しているケースも多く、花粉シーズン後も症状が続く場合はダニアレルギーなどが関与している可能性があります。
睡眠不足・精神的ストレス・喫煙・過度な飲酒・偏った食生活などが花粉症を悪化させる要因として挙げられます。これらは免疫バランスを乱し、アレルギー反応を強める原因になります。十分な睡眠、バランスの良い食事、禁煙・節酒を心がけることが症状の緩和にもつながります。
アレルゲンのエキスを毎日舌の下に置いて吸収させ、免疫を徐々に慣らすことでアレルギー反応そのものを軽減する治療法です。スギ花粉症・ダニアレルギーに保険適用されており、自宅で続けやすいのが特徴です。効果が出るまで数ヶ月〜1年以上、治療期間は3〜5年が目安です。当院でもご相談を受け付けています。
耳鼻咽喉科またはアレルギー科の受診をおすすめします。血液検査(特異的IgE抗体検査)でどの花粉やアレルゲンに反応しているかを確認でき、症状に合った治療計画を立てることが可能です。副鼻腔炎などの合併症が疑われる場合も適切に診断・治療が受けられます。

📌 まとめ
花粉症が長引く原因はひとつではなく、複数の花粉への感作、通年性アレルギーとの合併、生活習慣の問題、粘膜の慢性的な炎症状態、治療の不徹底など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。「毎年花粉症がひどくなっている気がする」「シーズンが終わっても症状が治まらない」という方は、自己判断で対処するだけでなく、一度専門医に相談されることをおすすめします。
正確なアレルゲン検査と適切な診断のもとで、薬物療法・アレルゲン免疫療法・生活習慣の改善を組み合わせることで、花粉症の症状を大幅に軽減できる可能性があります。特に、スギ花粉症やダニアレルギーに対する舌下免疫療法は、長期的な根本改善を目指せる治療として注目されており、長年花粉症に悩んでいる方には特におすすめの選択肢です。
花粉症は適切に管理することで、症状を大きく改善し、日常生活の質を高めることができます。症状が長引いてお困りの方、治療法について詳しく知りたい方は、ぜひご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 花粉症の基本的な定義・メカニズム・治療法(薬物療法・免疫療法)および国内における花粉症の有病率に関する公式情報
- PubMed – 季節性・通年性アレルギー性鼻炎の感作拡大(多価感作)・大気汚染物質との相互作用・舌下免疫療法の有効性に関する国際的な査読論文
- WHO(世界保健機関) – アレルギー性鼻炎および副鼻腔炎の世界的な疾患負荷・定義・管理に関する国際的な医療情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務