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男性の立ちくらみの原因とは?症状・対処法・予防方法を徹底解説

はじめに

急に立ち上がった時や、長時間立っていた後に目の前が暗くなったり、フワッとした感覚に襲われたりする「立ちくらみ」。多くの方が一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

立ちくらみは女性に多いイメージがありますが、実は男性にも決して珍しくない症状です。特に働き盛りの男性の場合、過労やストレス、生活習慣の乱れなど、さまざまな要因が立ちくらみを引き起こす可能性があります。

「たかが立ちくらみ」と軽視されがちですが、背後に重大な病気が隠れているケースもあり、転倒による怪我のリスクも無視できません。本記事では、男性特有の原因も含めて、立ちくらみのメカニズムから予防方法まで、詳しく解説していきます。

立ちくらみとは

立ちくらみの定義

立ちくらみは、医学用語では「起立性低血圧」や「脳貧血」と呼ばれることもある症状です。急に立ち上がった際や、長時間立ち続けた後に、一時的にめまいや目の前が暗くなる感覚、ふらつきなどが生じる状態を指します。

重要なのは、立ちくらみは「貧血」とは異なるということです。貧血は血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態を指しますが、立ちくらみは脳への血流が一時的に不足することで起こります。そのため、血液検査で貧血がなくても立ちくらみは起こりえます。

主な症状

立ちくらみが起きた際には、以下のような症状が現れます。

目の前が暗くなる、または白くなる感覚は、立ちくらみの最も典型的な症状です。視界がかすんだり、まるで幕が下りてくるような感覚を覚える方もいます。

めまいやふらつきも頻繁に起こります。グラグラと揺れるような感覚や、体が浮いているような感じがすることもあります。

耳鳴りを伴うケースも少なくありません。「キーン」という高音の耳鳴りや、「ゴー」という低音の耳鳴りが一時的に生じることがあります。

動悸や冷や汗、吐き気を感じる場合もあります。これらは自律神経の反応によるものです。

重症の場合には、意識が遠のいたり、実際に倒れてしまったりすることもあります。

立ちくらみと似た症状との違い

立ちくらみと混同されやすい症状として、回転性めまいがあります。回転性めまいは、自分や周囲がグルグル回っているように感じるもので、主に内耳の問題で起こります。一方、立ちくらみは「フワッ」とした浮遊感や、目の前が暗くなる感じが特徴です。

また、前述のとおり貧血とも異なります。貧血は持続的に症状が出る傾向がありますが、立ちくらみは姿勢の変化に伴って一時的に症状が現れるのが特徴です。

立ちくらみが起こるメカニズム

正常な血圧調節のしくみ

人間の体には、姿勢が変わっても脳への血流を一定に保つための巧妙な仕組みが備わっています。

座った状態や横になった状態から立ち上がると、重力の影響で血液が下半身に移動します。健康な人の場合、立ち上がった瞬間に下半身に約500〜800mlもの血液が移動すると言われています。

この血液の移動により、心臓に戻ってくる血液量が減少し、一時的に血圧が下がろうとします。しかし、正常な体では以下のような調節機能が素早く働きます。

首の動脈や大動脈にある圧受容器(バロレセプター)が血圧の低下を感知します。この信号が脳の延髄にある血管運動中枢に送られ、自律神経系が活性化されます。

交感神経が働いて心拍数を上げ、心臓からの血液の送り出し量を増やします。同時に、下半身の血管を収縮させることで、血液を上半身に戻しやすくします。

このような調節が瞬時に行われることで、通常は立ち上がっても脳への血流が保たれ、立ちくらみは起こりません。

立ちくらみが起こるメカニズム

立ちくらみは、上記の血圧調節機能がうまく働かない時に発生します。

立ち上がった際に下半身に血液が移動し、心臓への血液の戻りが減少します。そのため心臓から送り出される血液量が減り、血圧が低下します。

血圧調節が間に合わないと、脳への血流が一時的に不足します。脳は酸素とブドウ糖を大量に必要とする臓器であり、血流不足に非常に敏感です。わずか数秒間の血流低下でも、めまいや視界の暗転といった症状が現れます。

特に、脳の後頭葉にある視覚中枢への血流が不足すると、目の前が暗くなる症状が出やすくなります。

男性と女性での違い

立ちくらみは一般的に女性に多いとされていますが、これにはいくつかの理由があります。

女性は月経による出血があるため、貧血になりやすく、それに伴って立ちくらみも起こりやすい傾向があります。また、女性ホルモンの影響で血管の柔軟性が変化しやすいことも関係しています。

一方、男性の場合は女性とは異なる要因で立ちくらみが起こることが多いです。後述するように、過労やストレス、生活習慣病、アルコールの影響などが男性の立ちくらみの主な原因となります。

また、男性は症状を我慢してしまう傾向があるため、立ちくらみがあっても受診せず、重大な病気のサインを見逃してしまうリスクもあります。

男性に多い立ちくらみの原因

過労・睡眠不足

働き盛りの男性に特に多いのが、過労や睡眠不足による立ちくらみです。

長時間労働が続くと、自律神経のバランスが崩れやすくなります。自律神経は血圧調節に重要な役割を果たしているため、そのバランスが乱れると、立ち上がった時の血圧調節がスムーズに行われなくなります。

睡眠不足も同様に自律神経の機能を低下させます。特に質の良い深い睡眠が不足すると、副交感神経の働きが弱まり、結果として交感神経とのバランスが崩れます。

また、疲労が蓄積すると血液循環が悪化し、立ち上がった際に必要な血圧の上昇が起こりにくくなります。

デスクワークで長時間座り続けた後に立ち上がる際や、朝起きた直後などに立ちくらみが起こりやすいのは、このような理由によるものです。

ストレス

現代社会において、男性は職場でのプレッシャーや人間関係のストレスにさらされることが多く、これが立ちくらみの原因となることがあります。

慢性的なストレスは自律神経系に大きな影響を与えます。ストレス状態では交感神経が過剰に働き続け、やがて自律神経全体のバランスが崩れます。

ストレスによって血管が収縮しやすい状態が続くと、かえって血圧調節機能が鈍くなることがあります。また、ストレスはコルチゾールなどのストレスホルモンの分泌を増やし、これが血圧や血管の機能に影響を及ぼします。

精神的なストレスは、睡眠の質の低下や食欲不振なども引き起こし、これらが複合的に作用して立ちくらみを起こしやすくします。

脱水・水分不足

男性は女性に比べて水分摂取への意識が低い傾向があり、知らず知らずのうちに脱水状態になっていることがあります。

体内の水分が不足すると、血液量が減少します。血液量が減ると、立ち上がった時に脳に送られる血液の量も減少し、立ちくらみが起こりやすくなります。

特に夏場の暑い時期や、運動後、またはアルコールを飲んだ後などは脱水になりやすく注意が必要です。仕事に集中していると水分補給を忘れがちですが、こまめな水分摂取が重要です。

また、コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料には利尿作用があり、飲んでいるつもりでも実際には体内の水分を減らしている可能性があります。

飲酒・二日酔い

お酒を飲む機会が多い男性の場合、アルコールが立ちくらみの原因となることがあります。

アルコールには血管を拡張させる作用があります。血管が拡張すると血圧が下がりやすくなり、立ち上がった際に十分な血圧を維持できなくなることがあります。

また、アルコールには強い利尿作用があり、体内の水分を失わせます。飲酒後や二日酔いの時に立ちくらみが起こりやすいのは、この脱水状態が主な原因です。

さらに、アルコールは自律神経の機能を一時的に低下させます。飲酒の翌朝、トイレに行こうと急に立ち上がった際に立ちくらみを起こすケースは珍しくありません。

慢性的な飲酒習慣がある場合、肝機能の低下や栄養バランスの乱れなども加わり、立ちくらみがより起こりやすくなります。

喫煙

喫煙は血管にさまざまな悪影響を及ぼし、立ちくらみの原因となることがあります。

タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。慢性的な喫煙により血管の柔軟性が失われると、姿勢の変化に応じた血圧調節がスムーズに行われなくなります。

また、喫煙は動脈硬化を進行させます。動脈硬化により血管が硬くなると、血圧の変動に対する血管の適応能力が低下し、立ちくらみが起こりやすくなります。

さらに、タバコの一酸化炭素は血液の酸素運搬能力を低下させます。ただでさえ脳への血流が減少している状態で、血液中の酸素濃度も低いと、より強い立ちくらみの症状が出やすくなります。

生活習慣病(高血圧・糖尿病)

40代以降の男性に増えてくる生活習慣病も、立ちくらみの重要な原因です。

高血圧の治療を受けている方の場合、降圧薬の影響で立ちくらみが起こることがあります。特に治療開始直後や薬の量を調整した後には注意が必要です。また、高血圧自体が血管の動脈硬化を進め、血圧調節機能を低下させることもあります。

糖尿病は自律神経障害を引き起こすことがあります。糖尿病性神経障害により血圧を調節する自律神経の機能が低下すると、起立性低血圧という形で立ちくらみが現れます。

糖尿病による血管障害も、血流調節を困難にします。また、糖尿病の治療薬の中には、低血糖を起こしやすいものもあり、低血糖状態では立ちくらみが生じやすくなります。

脂質異常症(高脂血症)も動脈硬化を進行させ、間接的に立ちくらみのリスクを高めます。

薬剤の副作用

男性が服用することの多いいくつかの薬剤が、立ちくらみの原因となることがあります。

前述の降圧薬(血圧を下げる薬)は、立ちくらみの原因として最も多い薬剤です。特にα遮断薬、ACE阻害薬、ARB、利尿薬などは起立性低血圧を引き起こしやすい傾向があります。

前立腺肥大症の治療に使われるα遮断薬も、血圧を下げる作用があり、立ちくらみを起こすことがあります。特に服用開始時や、用量を増やした時には注意が必要です。

抗うつ薬や抗不安薬なども、自律神経への作用により立ちくらみを引き起こすことがあります。また、睡眠薬の影響が朝まで残っている場合、起床時の立ちくらみが起こりやすくなります。

風邪薬や花粉症の薬に含まれる抗ヒスタミン薬も、人によっては立ちくらみの原因となることがあります。

新しい薬を飲み始めてから立ちくらみが出るようになった場合は、薬の副作用の可能性があるため、医師や薬剤師に相談することが大切です。

激しい運動後

スポーツや筋力トレーニングなど、激しい運動の後に立ちくらみが起こることがあります。

運動中は筋肉への血流が増加し、心拍数も上がって体内の血液循環が活発になります。しかし、運動を急に止めると、それまで筋肉に集まっていた血液が下半身に溜まりやすくなります。

特にランニングやサイクリングなどの有酸素運動を急に止めた直後や、重いウエイトトレーニングの後などは、立ちくらみが起こりやすくなります。

また、運動による発汗で水分が失われ、相対的な脱水状態になることも立ちくらみの原因となります。

さらに、激しい運動直後は血管が拡張した状態にあり、血圧が下がりやすくなっています。このタイミングで急に立ち上がったり、動きを止めたりすると、血圧がさらに低下して立ちくらみが起こります。

運動後は急に動きを止めるのではなく、徐々にペースを落としていく「クールダウン」が大切です。

食後の低血圧

食事の後に立ちくらみが起こることもあります。これは「食後低血圧」と呼ばれる現象です。

食事をすると、消化のために胃や腸への血流が増加します。その分、他の部位への血流が相対的に減少します。通常は自律神経の働きにより血圧が調整されますが、調整がうまくいかないと血圧が低下し、立ちくらみが起こります。

特に高齢の方や、自律神経の機能が低下している方、糖尿病の方などで起こりやすいとされています。

大量の食事や、炭水化物を多く含む食事の後は、より血圧が下がりやすい傾向があります。また、アルコールを伴う食事の場合、さらにリスクが高まります。

食後の立ちくらみを防ぐには、食べ過ぎを避け、ゆっくり時間をかけて食べること、食後すぐに立ち上がらないことが重要です。

その他の立ちくらみの原因

起立性調節障害

起立性調節障害は、思春期に多く見られる自律神経の病気ですが、成人男性でも起こることがあります。

この病気では、立ち上がった時の血圧調節がうまく行われず、脳への血流が不足して様々な症状が現れます。立ちくらみ以外にも、朝起きられない、全身倦怠感、頭痛、動悸、腹痛などの症状を伴うことがあります。

ストレスや不規則な生活リズムが引き金となることが多く、真面目で几帳面な性格の方に起こりやすいとされています。

症状が強い場合は、循環器内科や心療内科での治療が必要になります。

不整脈・心疾患

心臓の病気が原因で立ちくらみが起こることもあり、この場合は特に注意が必要です。

不整脈、特に徐脈性の不整脈(脈が遅くなるタイプ)や、心房細動などの頻脈性不整脈でも、心臓からの血液の送り出しが不十分になり、立ちくらみが起こることがあります。

弁膜症や心筋症、心不全などの心疾患も、心臓のポンプ機能の低下により、立ち上がった時に十分な血液を脳に送れなくなることがあります。

立ちくらみと同時に胸痛や息切れ、動悸などがある場合は、心疾患の可能性を考える必要があります。

貧血

貧血自体は立ちくらみとは異なりますが、貧血があると立ちくらみが起こりやすくなります。

男性の貧血は女性に比べて少ないですが、消化管からの出血(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、大腸がんなど)、腎臓の病気、血液の病気などが原因で起こることがあります。

貧血では血液の酸素運搬能力が低下しているため、立ち上がって脳への血流が一時的に減少した時に、より症状が出やすくなります。

健康診断などで貧血を指摘された場合は、原因を調べることが重要です。

神経系の病気

パーキンソン病、多系統萎縮症などの神経変性疾患では、自律神経の障害により起立性低血圧が起こることがあります。

これらの病気では、立ちくらみ以外にも、手の震え、動作の緩慢さ、筋肉のこわばりなど、特有の症状が見られます。

脊髄や末梢神経の病気も、自律神経の機能に影響を与え、立ちくらみの原因となることがあります。

立ちくらみが長期間続く場合や、他の神経症状を伴う場合は、神経内科での精密検査が必要になることがあります。

内分泌疾患

ホルモンの異常も立ちくらみの原因となることがあります。

副腎不全(アジソン病)では、血圧を維持するホルモンが不足し、低血圧と立ちくらみが起こります。全身倦怠感、体重減少、皮膚の色素沈着などの症状も見られます。

甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症など、甲状腺の病気も血圧や心拍数に影響を与え、立ちくらみを起こすことがあります。

糖尿病については前述しましたが、血糖値のコントロールが不良な場合や、低血糖を起こした時にも立ちくらみが生じやすくなります。

これらの内分泌疾患は血液検査で診断できることが多いため、立ちくらみが続く場合は検査を受けることが大切です。

立ちくらみの症状と経過

典型的な症状の経過

立ちくらみの症状は、通常以下のような経過をたどります。

まず、座った状態や横になった状態から立ち上がった瞬間、または立ち上がって数秒から数十秒後に症状が現れます。

目の前が暗くなったり、視界がかすんだりする視覚症状が最初に現れることが多く、同時にフワッとした浮遊感や、体が揺れるような感覚を覚えます。

症状がピークに達するのは立ち上がってから数秒から1分程度の間で、その後徐々に回復していきます。多くの場合、1〜2分程度で症状は消失します。

軽度の場合は、ちょっとしたふらつきや目の前が一瞬暗くなる程度で済みますが、重度の場合は意識が遠のいたり、実際に倒れてしまったりすることもあります。

付随する症状

立ちくらみの際には、以下のような症状を伴うことがあります。

耳鳴りは多くの方が経験する症状で、「キーン」「ジー」といった音が聞こえることがあります。

動悸や脈が速くなる感じがすることもあります。これは体が血圧の低下を補おうとして心拍数を上げるためです。

冷や汗が出たり、顔面が蒼白になったりすることもあります。吐き気や気分不良を感じる方もいます。

頭痛やこめかみの圧迫感を訴える方もいます。また、全身の脱力感や、手足がしびれる感覚を覚えることもあります。

これらの症状の程度や組み合わせは人によって異なり、また同じ人でも時と場合によって変わることがあります。

重症度の見極め

立ちくらみの重症度を見極めることは、適切な対応を取るために重要です。

軽症の場合は、一瞬の視界の揺れやふらつき程度で、特に対処しなくても自然に回復します。日常生活への影響も少なく、たまに起こる程度であれば大きな問題はありません。

中等症になると、目の前が暗くなり、しゃがみ込んだり壁に手をついたりする必要が出てきます。症状の持続時間も長くなり、1〜2分かかって回復します。日常生活で頻繁に起こる場合は、治療を検討する必要があります。

重症の場合は、意識を失ってその場に倒れてしまったり、転倒して怪我をしたりするリスクがあります。このような状態が繰り返される場合は、早急な医療機関の受診が必要です。

また、立ちくらみの頻度が高く、1日に何度も起こったり、毎日のように起こったりする場合も、重症度が高いと考えられます。

危険な立ちくらみの見分け方

緊急性の高い症状

以下のような症状を伴う立ちくらみは、重大な病気のサインである可能性があるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。

胸痛や胸の圧迫感を伴う場合は、心筋梗塞や狭心症などの心疾患の可能性があります。特に、息切れや冷や汗を伴う場合は緊急性が高く、すぐに救急車を呼ぶべきです。

激しい頭痛、特に今まで経験したことのないような突然の激しい頭痛を伴う場合は、くも膜下出血などの脳血管障害の可能性があります。

意識を完全に失って倒れてしまう場合や、倒れた後に意識の戻りが悪い場合も危険です。不整脈や脳の病気が隠れている可能性があります。

呼吸困難や激しい動悸、脈の乱れなどを伴う場合も、心疾患や不整脈の可能性があるため、早急な受診が必要です。

麻痺やしびれ、呂律が回らない、視野が欠ける、激しいめまいなどの神経症状を伴う場合は、脳卒中の可能性があります。これらの症状があれば、一刻も早く救急車を呼ぶべきです。

受診を検討すべき症状

緊急性は高くないものの、以下のような場合は医療機関での相談が推奨されます。

立ちくらみの頻度が高く、週に何度も起こったり、日常生活に支障が出たりする場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。

症状が徐々に悪化している場合や、以前は軽度だったのに最近重くなってきた場合も、基礎疾患の進行が考えられます。

立ちくらみ以外にも、慢性的な疲労感、息切れ、動悸、体重減少、むくみなど、他の症状がある場合は、全身性の病気の可能性があります。

新しい薬を飲み始めてから立ちくらみが出るようになった場合は、薬の副作用の可能性があるため、処方した医師に相談しましょう。

家族に不整脈や心疾患、失神の既往がある場合は、遺伝性の心疾患の可能性も考慮し、検査を受けることが推奨されます。

高齢の方や、糖尿病などの基礎疾患がある方の場合は、立ちくらみが軽度でも一度医療機関で相談することが望ましいです。

診断のために必要な検査

医療機関では、立ちくらみの原因を調べるために以下のような検査が行われることがあります。

問診では、症状の詳細(いつ、どんな時に起こるか、どれくらい続くか、他の症状はあるかなど)、既往歴、服用中の薬、生活習慣などについて詳しく聞かれます。

血圧測定では、横になった状態と立った状態での血圧を測定し、起立性低血圧の有無を確認します。ヘッドアップティルト試験という、専用の機器を使ったより詳しい検査が行われることもあります。

血液検査では、貧血の有無、血糖値、甲状腺機能、電解質バランスなどを調べます。

心電図検査では、不整脈や心疾患の有無を確認します。場合によっては24時間心電図(ホルター心電図)や心エコー検査が行われることもあります。

その他、必要に応じて頭部MRIやCT、神経学的検査、自律神経機能検査などが実施されることがあります。

立ちくらみが起きた時の対処法

症状が出た際の即座の対応

立ちくらみの症状が出た時は、以下のように対処しましょう。

まず、転倒を防ぐことが最優先です。すぐに壁や手すりにつかまるか、その場にしゃがみ込みましょう。無理に立ち続けようとすると、倒れて怪我をするリスクがあります。

可能であれば、その場に座り込むか、横になりましょう。横になる場合は、足を心臓より高い位置に上げると、脳への血流が改善されやすくなります。

症状が治まるまで、急に立ち上がらないことが重要です。焦って動くと、再び症状が出る可能性があります。

深呼吸をしてリラックスすることも効果的です。緊張すると症状が悪化することがあるため、ゆっくりと深い呼吸を心がけましょう。

衣服やベルトなど、体を締め付けているものを緩めると、血液循環が改善されることがあります。

症状が治まってから立ち上がる際も、急に立ち上がらず、まず座った状態で数分待ち、それから徐々に立ち上がるようにしましょう。

周囲に人がいる場合は、状況を伝えて助けを求めることも大切です。

頻繁に立ちくらみが起こる場合の生活上の工夫

立ちくらみが頻繁に起こる方は、日常生活で以下のような工夫をすることが推奨されます。

朝起きる時は、いきなり起き上がらず、まず布団の中で手足を動かして血流を促進させてから、ゆっくりと起き上がりましょう。ベッドの縁に腰掛けて数分待ってから立ち上がるのも効果的です。

トイレから出る時や、椅子から立ち上がる時など、姿勢を変える際は必ずゆっくりと動きましょう。

長時間立ち続けることは避け、適度に休憩を取るようにしましょう。どうしても立ち続ける必要がある場合は、足踏みをしたり、ふくらはぎの筋肉を動かしたりして、血液の循環を促しましょう。

入浴時は、熱いお湯に長時間浸かることを避けましょう。ぬるめのお湯に短時間浸かる程度にし、浴槽から出る時は特にゆっくりと動きましょう。

脱水を防ぐため、こまめに水分を摂取しましょう。特に夏場や運動後は意識的に水分補給を心がけます。

アルコールの摂取は控えめにし、飲酒後は急な動きを避けましょう。

弾性ストッキングや着圧ソックスを着用することで、下半身への血液の滞留を防ぐことができます。医師と相談の上、適切なものを選びましょう。

立ちくらみの予防方法

生活習慣の改善

立ちくらみを予防するためには、日常の生活習慣を見直すことが最も重要です。

十分な睡眠を確保することは、自律神経のバランスを整えるために不可欠です。理想的には7〜8時間の睡眠を取り、規則正しい睡眠リズムを保ちましょう。

過労を避け、適度な休息を取ることも大切です。長時間労働が続いている場合は、業務の見直しや、休暇の取得を検討しましょう。

ストレス管理も重要です。趣味や運動など、自分なりのストレス解消法を持ち、定期的にリフレッシュする時間を作りましょう。

規則正しい食生活を心がけ、1日3食をバランス良く食べましょう。特に朝食を抜くと、午前中の立ちくらみが起こりやすくなります。

適度な運動習慣を持つことで、心肺機能や血液循環が改善され、立ちくらみが起こりにくくなります。ウォーキングや軽いジョギング、水泳などの有酸素運動が推奨されます。

水分・塩分の適切な摂取

適切な水分摂取は、立ちくらみの予防に非常に重要です。

成人男性の場合、1日に2〜2.5リットル程度の水分摂取が目安とされています。一度に大量に飲むのではなく、こまめに少しずつ飲むことが効果的です。

特に朝起きた時、運動前後、入浴前後、就寝前などは意識的に水分を摂りましょう。

コーヒーや緑茶などのカフェイン飲料だけでなく、水や麦茶など、カフェインを含まない飲料も積極的に摂取しましょう。

塩分については、通常は過剰摂取が問題になりますが、立ちくらみが頻繁に起こる場合は、医師の指導のもとで適度な塩分摂取が推奨されることがあります。ただし、高血圧や心疾患、腎疾患がある方は、必ず医師に相談してください。

禁煙・節酒

タバコとアルコールは、立ちくらみのリスクを高める大きな要因です。

禁煙することで、血管の健康が改善され、血圧調節機能が正常化します。禁煙は立ちくらみの予防だけでなく、様々な健康上のメリットがあるため、強く推奨されます。

喫煙習慣がある方は、禁煙外来の利用や、ニコチン代替療法なども検討しましょう。

アルコールについては、完全に断つ必要はありませんが、適度な量に抑えることが重要です。厚生労働省が推奨する適量は、純アルコールで1日あたり20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)です。

飲酒する際は、同時に水も飲むようにし、脱水を防ぎましょう。また、飲酒後すぐに入浴することや、急な動きをすることは避けましょう。

適度な運動

適度な運動は、心肺機能を高め、血液循環を改善し、自律神経のバランスを整える効果があります。

有酸素運動が特に効果的です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などを、週に3〜5回、1回30分程度行うことが推奨されます。

ふくらはぎの筋肉を鍛えることも有効です。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、下半身の血液を心臓に戻す重要な役割を果たしています。つま先立ちの運動やカーフレイズ(かかと上げ)などが効果的です。

ただし、激しすぎる運動や、急に運動を始めることは逆効果になることがあります。自分の体力に合わせて、無理のない範囲で徐々に運動量を増やしていきましょう。

運動前後は必ず水分補給を行い、運動後は急に動きを止めるのではなく、徐々にペースを落としていくクールダウンを行いましょう。

基礎疾患の適切な管理

高血圧、糖尿病、不整脈などの基礎疾患がある場合は、その適切な管理が立ちくらみの予防につながります。

定期的に医療機関を受診し、処方された薬は指示通りに服用しましょう。勝手に薬を中断したり、量を変えたりすることは避けてください。

血圧や血糖値などを自宅でも測定し、記録をつけることで、より良い管理が可能になります。

薬の副作用として立ちくらみが出ている場合は、医師に相談して薬の変更や調整を検討してもらいましょう。決して自己判断で服薬を中止しないでください。

医療機関での治療

治療の基本方針

立ちくらみの治療は、まず原因となる病気や要因を特定し、それに応じた対応を行うことが基本です。

生活習慣が原因の場合は、生活指導が中心となります。睡眠、食事、運動、ストレス管理などの改善により、多くの場合は症状が改善します。

薬剤性の場合は、原因となっている薬の中止や変更、用量調整などが検討されます。

基礎疾患がある場合は、その治療を適切に行うことで、立ちくらみも改善することが期待できます。

起立性低血圧が明らかな場合は、薬物療法が検討されることがあります。

薬物療法

生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合、薬物療法が行われることがあります。

昇圧薬は、血圧を上げることで立ちくらみを防ぐ薬です。ミドドリンなどが使用されることがあります。

鉱質コルチコイド(フルドロコルチゾンなど)は、体内の塩分と水分を保持することで血液量を増やし、血圧を維持します。

β遮断薬が使用されることもあります。これは心拍数をコントロールし、血圧の変動を抑える効果があります。

抗コリン薬など、自律神経に作用する薬が使われることもあります。

薬物療法は、症状の程度や原因、患者さんの状態に応じて、医師が適切に選択します。薬には必ず副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って正しく服用することが重要です。

非薬物療法

薬以外の治療法も、立ちくらみの改善に有効です。

弾性ストッキングや腹部バンドの着用は、下半身への血液の滞留を防ぐ効果があります。特に症状が強い方には推奨されます。

水分・塩分摂取の指導が行われることもあります。医師の指導のもと、通常よりも多めの水分や塩分を摂取することで、血液量を増やし、血圧を維持します。

運動療法として、ふくらはぎの筋肉を鍛える運動や、有酸素運動が指導されることがあります。

自律訓練法やバイオフィードバック療法など、自律神経のバランスを整える心理療法が有効な場合もあります。

専門医療機関での治療

一般的な治療で改善しない場合や、重症の場合は、専門的な医療機関での治療が必要になることがあります。

循環器内科では、心疾患や不整脈が原因の場合に、より専門的な検査や治療が行われます。

神経内科では、自律神経障害や神経疾患が疑われる場合に、詳しい検査と治療が提供されます。

心療内科や精神科では、ストレスや心理的要因が強く関わっている場合や、起立性調節障害などの治療が行われます。

内分泌内科では、ホルモン異常が原因の場合に、専門的な検査と治療が実施されます。

よくある質問

立ちくらみと貧血は同じですか?

立ちくらみと貧血は異なるものです。貧血は血液中のヘモグロビンが減少した状態で、血液検査で診断されます。一方、立ちくらみは姿勢の変化により脳への血流が一時的に不足することで起こります。貧血があると立ちくらみが起こりやすくなりますが、貧血がなくても立ちくらみは起こります。

立ちくらみは遺伝しますか?

立ちくらみそのものは遺伝しませんが、自律神経の調節機能の個人差には遺伝的要因も関係していると考えられています。また、不整脈や心疾患など、立ちくらみの原因となる病気の中には遺伝性のものもあります。

男性と女性で立ちくらみの起こりやすさは違いますか?

一般的に女性の方が立ちくらみを起こしやすいとされています。これは月経による出血、ホルモンバランスの変化、妊娠などの影響によるものです。しかし、男性でも過労、ストレス、生活習慣病、アルコールなどの要因により、立ちくらみは十分に起こりえます。

運動後の立ちくらみは危険ですか?

激しい運動の直後に起こる立ちくらみは、多くの場合は一時的なもので危険ではありません。ただし、意識を失うほどの症状がある場合や、胸痛や動悸を伴う場合は、心疾患の可能性があるため医療機関を受診しましょう。運動後は急に動きを止めず、徐々にペースを落とすクールダウンが大切です。

立ちくらみが起きやすい時間帯はありますか?

朝起きた直後は、就寝中に副交感神経が優位になっており、血圧も低めであるため、立ちくらみが起こりやすい時間帯です。また、食後、特に昼食後も、消化のために血液が胃腸に集まるため、立ちくらみが起こりやすくなります。入浴後や飲酒後も注意が必要です。

サプリメントは効果がありますか?

立ちくらみに対するサプリメントの効果は限定的です。鉄分サプリメントは貧血がある場合には有効ですが、貧血がない場合の立ちくらみには効果がありません。まずは生活習慣の改善を行い、それでも改善しない場合は医療機関を受診して、適切な診断と治療を受けることが重要です。

立ちくらみで救急車を呼ぶべき基準は?

胸痛、激しい頭痛、麻痺やしびれ、呂律が回らない、視野障害などの症状を伴う場合や、意識を失って倒れた場合、特に意識の戻りが悪い場合は、すぐに救急車を呼ぶべきです。これらは心筋梗塞、脳卒中、重篤な不整脈などの可能性があるためです。

まとめ

立ちくらみは多くの人が経験する身近な症状ですが、背後には様々な原因が隠れている可能性があります。

男性の場合、過労、睡眠不足、ストレス、脱水、アルコール、喫煙、生活習慣病、薬の副作用など、様々な要因が立ちくらみを引き起こします。多くの場合、生活習慣を見直すことで改善が期待できます。

しかし、胸痛や激しい頭痛、神経症状を伴う場合や、立ちくらみが頻繁に起こる場合、症状が悪化している場合などは、重大な病気のサインである可能性があるため、早めに医療機関を受診することが重要です。

立ちくらみを予防するためには、十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、こまめな水分補給、ストレス管理、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけることが大切です。

症状が出た際は、転倒を防ぐためにすぐに座るか横になり、ゆっくりと深呼吸をして症状が治まるのを待ちましょう。

基礎疾患がある方は、その適切な管理を行うことが、立ちくらみの予防にもつながります。

立ちくらみは適切な対応により、多くの場合改善が可能です。気になる症状がある場合は、一人で悩まず、医療機関に相談することをお勧めします。

参考文献

  1. 日本循環器学会「循環器病の診断と治療に関するガイドライン
  2. 厚生労働省「e-ヘルスネット 起立性低血圧
  3. 日本自律神経学会「自律神経機能検査」
  4. 厚生労働省「健康日本21
  5. 日本神経学会「神経疾患診療ガイドライン」
  6. 国立循環器病研究センター「循環器病情報サービス
  7. 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」
  8. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン」

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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