「便秘が続いているけど、何日くらいで病院に行けばいいの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。便秘は非常に身近な症状であるため、つい我慢してしまったり、市販薬で対処し続けてしまったりすることがあります。しかし、便秘の中には重大な病気が隠れている場合もあり、適切なタイミングでの受診が重要です。
この記事では、便秘が何日続いたら病院に行くべきか、危険な症状のサイン、受診すべき診療科、病院での検査・治療内容まで詳しく解説します。便秘でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 便秘の基本知識と定義
- 便秘は何日続いたら病院に行くべきか
- すぐに受診すべき危険な症状
- 便秘で受診する診療科の選び方と検査内容
- 便秘の治療方法と生活習慣改善
- 市販薬の使用における注意点
- よくある質問
- まとめ
この記事のポイント
便秘は1週間以上排便がなければ受診を検討し、2週間以上続く場合は早めに医療機関を受診すべきです。激しい腹痛・血便・嘔吐・発熱・急激な体重減少がある場合は日数に関わらず即受診が必要です。
🔍 便秘の基本知識と定義
便秘について考える前に、まずは「便秘とは何か」という定義と、正常な排便回数について理解しておきましょう。
📋 医学的な便秘の定義
日本消化器病学会によると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。これは単に排便回数だけでなく、排便時の不快感や残便感なども含めた広い概念です。
便秘の診断基準としては、国際的に用いられている「Rome IV基準」があります。この基準では、以下の症状のうち2つ以上が過去3ヶ月間にわたって存在し、少なくとも6ヶ月前から症状が始まっている場合に「慢性便秘症」と診断されます。
- 排便の25%以上でいきみがある
- 排便の25%以上で硬い便または兎糞状の便が出る
- 排便の25%以上で残便感がある
- 排便の25%以上で直腸肛門の閉塞感や詰まった感じがある
- 排便の25%以上で用手的な排便介助が必要
- 自発的な排便が週に3回未満
📊 正常な排便回数とは
「毎日排便がないと便秘」と考えている方も多いかもしれませんが、実際にはそうとは限りません。正常な排便回数は個人差が大きく、一般的には「週3回から1日3回」の範囲であれば正常とされています。
つまり、2日に1回程度の排便であっても、スムーズに排便でき、お腹の張りや不快感がなければ、医学的には便秘とは言えません。逆に、毎日排便があっても、強くいきまないと出ない、硬い便しか出ない、残便感があるといった場合は便秘の可能性があります。
自分の普段の排便パターンを把握しておくことが、便秘かどうかを判断する上で重要です。
🔢 便秘のタイプと原因
便秘は大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2つに分類されます。機能性便秘は腸の動きの問題によるもので、器質性便秘は腸の構造的な異常によるものです。原因を理解することで、適切な治療や受診のタイミングを判断することができます。
Q. 便秘は何日続いたら病院に行くべきですか?
便秘が1週間以上続く場合は受診を検討し、2週間以上続く場合は早めに医療機関を受診することが推奨されます。ただし高齢者は5日以上、妊婦は3〜4日以上排便がない場合は早めの相談が必要です。日数に関わらず激しい腹痛や血便がある場合は即受診してください。
⏰ 便秘は何日続いたら病院に行くべきか
便秘が何日続いたら病院に行くべきかは、個人の状態や症状によって異なります。ここでは、一般的な受診の目安について解説します。
📅 一般的な受診の目安
便秘で病院を受診する一般的な目安は、以下のとおりです。
まず、普段は問題なく排便できている人が、1週間以上排便がない場合は受診を検討しましょう。1週間という期間は、腸内に便が滞留することで様々な問題が起きやすくなる時期の目安です。
また、2週間以上便秘が続く場合は、何らかの原因がある可能性が高いため、早めに病院を受診することをお勧めします。特に、普段の排便習慣と比べて明らかに変化がある場合は注意が必要です。
ただし、これらはあくまでも目安です。たとえ数日の便秘であっても、強い腹痛や吐き気などの症状がある場合は、すぐに受診する必要があります。
👴 高齢者の場合の注意点
高齢者の便秘は、若い人と比べてより注意が必要です。加齢に伴い腸の動きが低下し、便秘になりやすくなるだけでなく、便秘が重症化しやすい傾向があります。
高齢者の場合は、5日以上排便がない場合は病院への受診を検討してください。また、認知症のある方は便秘の症状を適切に訴えられないことがあるため、周囲の方が排便状況を注意深く観察することが大切です。
高齢者の便秘で特に注意すべきなのは「糞便塞栓(ふんべんそくせん)」という状態です。これは硬くなった便が直腸に詰まってしまう状態で、重症化すると腸閉塞を引き起こすこともあります。
👶 子どもと妊婦の受診目安
子どもの便秘も見過ごされやすい問題です。子どもの場合、4〜5日以上排便がない場合や、排便時に痛がる、便に血が混じる、お腹を痛がるといった症状がある場合は、小児科を受診しましょう。
妊娠中は便秘になりやすく、また使用できる薬に制限があります。3〜4日排便がない場合や、お腹の張りが強い場合は、かかりつけの産婦人科に相談することが大切です。
Q. 便秘ですぐに受診すべき危険な症状は何ですか?
便秘に以下の症状が伴う場合は、日数に関わらず直ちに医療機関を受診してください。①激しい腹痛・腹部が板のように硬い、②嘔吐が止まらない、③血便または黒色便、④38度以上の発熱、⑤数週間での急激な体重減少、⑥鉛筆状の細い便。これらは腸閉塞や大腸がんなど重篤な疾患のサインである可能性があります。
🚨 すぐに受診すべき危険な症状
便秘の中には、すぐに医療機関を受診すべき危険なケースがあります。以下の症状がある場合は、日数に関係なく早急に病院を受診してください。
💥 激しい腹痛がある場合
便秘に伴う軽いお腹の張りや鈍痛は珍しくありませんが、激しい腹痛や、我慢できないほどの痛みがある場合は要注意です。このような症状は、腸閉塞や腸捻転などの重篤な状態を示している可能性があります。
特に、以下のような場合は緊急性が高く、すぐに救急外来を受診するか救急車を呼ぶ必要があります:
- 痛みが徐々に強くなっている場合
- 痛みの場所が移動している場合
- お腹が板のように硬くなっている場合
🤢 嘔吐と血便を伴う症状
便秘に嘔吐が伴う場合は、腸閉塞(イレウス)の可能性があります。腸閉塞とは、何らかの原因で腸が詰まってしまい、腸の内容物が先に進めなくなる状態です。
便に血が混じる、または便が黒っぽい場合は、消化管のどこかで出血が起きている可能性があります。便秘で硬い便が出る際に肛門が切れて出血することもありますが、それ以外の原因による出血の可能性もあります。
⚖️ 急激な体重減少と便の形状変化
便秘とともに、意図していないのに体重が減少している場合は注意が必要です。特に、数週間から数ヶ月の間に体重の5%以上が減少している場合は、大腸がんなどの悪性疾患の可能性も考慮する必要があります。
以前と比べて便が細くなった、鉛筆のような細い便しか出なくなった場合は、大腸の一部が狭くなっている可能性があります。これは大腸がんやポリープによって腸管が狭窄している場合に見られる症状です。
🌡️ 発熱を伴う場合
便秘とともに発熱がある場合は、腸の炎症や感染症が起きている可能性があります。憩室炎や虫垂炎などの急性腹症が原因となっていることもあり、早急な診断と治療が必要です。
以下の場合はすぐに医療機関を受診してください:
- 38度以上の発熱が続く場合
- 悪寒を伴う場合
🏥 便秘で受診する診療科の選び方と検査内容
便秘で病院を受診する際、どの診療科に行けばよいか迷う方も多いでしょう。ここでは、症状に応じた診療科の選び方と、病院で行われる検査について解説します。
🫁 消化器内科・胃腸科
便秘の診療で最も一般的な選択肢は消化器内科や胃腸科です。消化器内科では、便秘の原因を詳しく調べるための検査(大腸内視鏡検査など)が行え、適切な治療を受けることができます。
特に、以下の症状がある場合は消化器内科を受診しましょう:
- 血便がある
- 便が細くなった
- 体重減少がある
- 大腸の病気が疑われる症状
🩺 内科・かかりつけ医と専門科
軽度の便秘や、とりあえず相談したいという場合は、一般内科やかかりつけ医を受診するのもよいでしょう。かかりつけ医であれば、普段の健康状態や服用している薬などを把握しているため、便秘の原因についても的確なアドバイスが得られます。
お子さんの便秘は小児科で、妊娠中の便秘は産婦人科で相談し、肛門からの出血や痛みがある場合は肛門科や大腸肛門科を受診しましょう。
🔬 病院で行われる主な検査
便秘で病院を受診すると、問診や身体診察に加えて、必要に応じて様々な検査が行われます。
腹部X線検査(レントゲン)は、腸内の便やガスの貯留状況を確認するために行われます。血液検査では貧血や炎症反応、甲状腺機能などを調べます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡を挿入して、大腸の内部を直接観察する検査です。特に、50歳以上の方、血便がある方、便が細くなった方などは、この検査を受けることが推奨されます。
Q. 便秘で受診する診療科はどこが適切ですか?
便秘の受診先は症状によって異なります。血便・体重減少・便の形状変化がある場合は消化器内科が適切です。軽度の便秘はかかりつけの内科でも対応できます。子どもは小児科、妊婦は産婦人科、肛門の痛みや出血がある場合は肛門科・大腸肛門科への受診が推奨されます。
💊 便秘の治療方法と生活習慣改善
便秘の治療は、原因や症状の程度によって異なります。ここでは、主な治療方法と予防・改善のための生活習慣について解説します。
🌱 生活習慣の改善指導
便秘治療の基本は、生活習慣の改善です。医師から以下のような指導を受けることが多いでしょう:
- 食物繊維の摂取量を増やす
- 十分な水分を摂取する
- 適度な運動を習慣化する
- 規則正しい排便習慣をつける
- 便意を感じたら我慢しない
これらの生活習慣の改善だけで、便秘が解消することも少なくありません。
🥗 食事療法と運動の重要性
食物繊維は便のかさを増やし、腸の動きを促進する働きがあります。野菜、果物、豆類、きのこ類、海藻類、全粒穀物などを意識して取り入れましょう。
水分摂取が不足すると、便が硬くなりやすくなります。1日に1.5〜2リットル程度の水分を摂取し、朝起きたときにコップ1杯の水を飲むと、腸が刺激されて排便が促されます。
適度な運動は腸の動きを活発にし、便秘の予防・改善に役立ちます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を、毎日30分程度心がけましょう。
💉 薬物療法と専門的治療
生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合、薬物療法が行われます。浸透圧性下剤は腸管内に水分を引き込むことで便を軟らかくし、排便を促します。酸化マグネシウムなどが代表的で、比較的安全性が高いとされています。
重症の便秘や、排便時の骨盤底筋の協調運動障害がある場合には、バイオフィードバック療法や、必要に応じて外科的治療が検討されることもあります。
Q. 便秘に市販薬を使い続けるのは問題ありますか?
市販の便秘薬に含まれるセンノシドなどの刺激性下剤を長期連用すると、薬が効きにくくなる耐性や大腸メラノーシス(大腸黒皮症)、電解質異常を引き起こすリスクがあります。また市販薬で症状を抑え続けると、大腸がんなど原因疾患の発見が遅れる恐れもあるため、繰り返す便秘は医療機関での受診が重要です。
⚠️ 市販薬の使用における注意点
便秘になると、手軽に購入できる市販薬に頼る方も多いでしょう。しかし、市販薬に頼りすぎることにはいくつかのリスクがあります。
🔄 刺激性下剤の乱用による問題
市販の便秘薬の多くは、センノシドやビサコジルなどの刺激性下剤です。これらは大腸を刺激して排便を促す薬ですが、長期間連用すると耐性(効きにくくなる)や大腸メラノーシス(大腸黒皮症)、電解質異常などの問題が生じることがあります。
🔍 原因疾患の見逃しと適切な治療の遅れ
市販薬で症状を抑え続けることで、便秘の原因となっている病気の発見が遅れる可能性があります。大腸がんなどの重大な病気が便秘の原因となっている場合、早期発見が重要です。
市販薬を使用しても便秘が改善しない場合や、繰り返し便秘になる場合は、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることをお勧めします。
また、ストレスによる胃痛と同様に、便秘もストレスが原因となることがあります。根本的な原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

❓ よくある質問
激しい腹痛がある、嘔吐が止まらない、意識がもうろうとしているなどの症状がある場合は、救急車を呼んでも問題ありません。腸閉塞など緊急性の高い状態の可能性があります。ただし、単に数日間排便がないだけで他の症状がない場合は、まずは日中に医療機関を受診することをお勧めします。
便秘は非常に多くの人が経験する症状であり、医療者にとっては日常的に診療する症状の一つです。恥ずかしいと感じる必要はありません。むしろ、早めに受診することで適切な治療を受けられ、症状の改善につながります。どうしても対面での受診に抵抗がある場合は、オンライン診療を利用する方法もあります。
健康保険が適用される場合、初診料と診察で1000〜2000円程度(3割負担の場合)が目安です。血液検査を行う場合は追加で1000〜3000円程度、腹部X線検査は500〜1000円程度かかります。大腸内視鏡検査を行う場合は5000〜10000円程度(3割負担)かかりますが、検査内容や医療機関によって異なります。
妊娠中は便秘になりやすく、また使用できる薬に制限があります。3〜4日排便がない場合や、お腹の張りが強い場合は、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。市販薬を自己判断で使用することは避け、医師の指示に従ってください。妊娠中でも安全に使用できる薬がありますので、我慢せずに相談することが大切です。
大腸内視鏡検査は全ての便秘患者に行われるわけではありません。50歳以上の方、血便がある方、便が細くなった方、体重減少がある方、大腸がんの家族歴がある方など、器質的疾患が疑われる場合に行われます。若い方で生活習慣の乱れによる機能性便秘と考えられる場合は、問診と診察、生活指導で様子を見ることが多いです。
📋 まとめ
便秘が何日続いたら病院に行くべきかは、個人の状態や症状によって異なりますが、一般的には1週間以上排便がない場合は受診を検討し、2週間以上続く場合は早めに受診することをお勧めします。
ただし、以下の症状がある場合は、日数に関係なくすぐに医療機関を受診してください:
- 激しい腹痛
- 嘔吐
- 血便
- 発熱
- 急激な体重減少
- 便が細くなる
便秘は多くの場合、生活習慣の改善で予防・改善が可能です。食物繊維の摂取、十分な水分補給、適度な運動、規則正しい排便習慣を心がけましょう。市販薬に頼りすぎることは避け、繰り返す便秘や改善しない便秘は医療機関で適切な診断と治療を受けることが大切です。
便秘を甘く見ず、気になる症状があれば早めに専門家に相談することで、重大な病気の早期発見にもつながります。この記事を参考に、ご自身の排便状況を見直し、必要であれば適切なタイミングで受診してください。
便秘の改善には、救急外来に行くべき目安を理解し、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。また、風邪で熱が何度から病院に行くべきかと同様に、症状の重さや持続期間を総合的に判断することが大切です。
📚 参考文献
- 日本消化器病学会 – 慢性便秘症診療ガイドライン2017
- 厚生労働省 – 日本人の食事摂取基準(2020年版)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット – 食物繊維の必要性と健康
- 日本大腸肛門病学会 – 便秘・排便障害に関する診療ガイドライン
- 国立がん研究センター – 大腸がん情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
便秘の診断は排便回数だけでなく、総合的な症状で判断します。特に高齢者や慢性疾患をお持ちの方は、便秘が他の健康問題を引き起こすリスクが高いため、早めの受診をお勧めしています。我慢せずに専門医に相談することで、適切な治療方針を立てることができます。