一般皮膚科

子供のとびひに使う薬の種類と正しい使い方・受診の目安を解説

子供の肌にぷつぷつとした水ぶくれや、じゅくじゅくとしたかさぶたが現れたとき、「もしかしてとびひ?」と心配になる保護者の方は多いのではないでしょうか。とびひは正式には「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」と呼ばれる皮膚感染症で、特に乳幼児や小学校低学年の子供に多くみられます。名前のとおり、まるで火の粉が飛び散るように皮膚の症状がどんどん広がっていく特徴があり、適切な薬を使って早めに対処することがとても重要です。この記事では、とびひに使われる薬の種類や正しい使い方、市販薬と処方薬の違い、そして受診が必要なタイミングまで詳しく解説します。


目次

  1. とびひとはどんな病気か
  2. とびひの原因と感染経路
  3. とびひの症状と種類
  4. とびひの治療に使われる薬の種類
  5. 処方薬(抗菌薬・抗生物質)について
  6. 市販薬でとびひは治せるのか
  7. 外用薬(塗り薬)の正しい使い方
  8. 内服薬(飲み薬)を使うときのポイント
  9. 薬を使っても治らないときの原因
  10. とびひを悪化させないためのケア
  11. 受診すべきタイミングと診療科
  12. まとめ

この記事のポイント

子供のとびひ治療には処方抗菌薬(外用・内服)が基本で、市販薬には限界がある。症状改善後も自己判断で薬を中断せず、発熱・急速な拡大時は速やかに皮膚科・小児科を受診することが重要。

🎯 とびひとはどんな病気か

とびひは細菌が皮膚に感染することで起こる、子供に非常に多い皮膚の感染症です。医学用語では「伝染性膿痂疹」といい、皮膚のバリア機能が低下したところに細菌が入り込み、炎症を起こすことで発症します。

「とびひ」という名前は、症状が次々と別の場所へ広がっていく様子が、まるで火のついた燃え草が風に飛んで周囲に燃え移っていくように見えることから名付けられました。最初は小さな赤みやかゆみから始まり、気づいたときには顔や手足、体全体に広がってしまっていることも珍しくありません。

とびひが子供に多い理由には、大人に比べて皮膚のバリア機能が未熟であること、虫刺されやあせも、湿疹、アトピー性皮膚炎などによって皮膚が傷つきやすいこと、そして公園や幼稚園・保育園・学校などでほかの子供と密接に触れ合う機会が多いことが挙げられます。

夏場に特に多くみられますが、これは汗をかくことで皮膚が蒸れやすくなり、細菌が繁殖しやすくなるためです。また、かきむしりによる傷が感染の入り口になりやすいことも、夏に流行する要因のひとつです。

Q. とびひの原因菌と2つのタイプの違いは?

とびひの原因菌は主に黄色ブドウ球菌と溶血性連鎖球菌の2種類です。黄色ブドウ球菌による「水疱型」は透明〜黄色の水ぶくれが特徴で子供に多く、溶血性連鎖球菌による「痂皮型」は厚いかさぶたを形成し、発熱やリンパ節腫れを伴うこともあり重症化しやすい傾向があります。

📋 とびひの原因と感染経路

とびひの主な原因菌は、黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)と溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)の2種類です。どちらも私たちの生活環境のあちこちに存在する細菌であり、健康な皮膚に対しては基本的に害を与えませんが、皮膚に傷やひっかき傷があるとそこから侵入して感染を起こします。

黄色ブドウ球菌が原因のとびひは、透明や黄色みがかった液体を含む水ぶくれ(水疱)が特徴的で、水疱型とびひとも呼ばれます。一方、溶血性連鎖球菌が原因のとびひは、厚いかさぶたを形成しやすく、かさぶた型あるいは痂皮性膿痂疹と呼ばれることがあります。近年では黄色ブドウ球菌による水疱型が特に多くみられます。

感染経路としては、主に「接触感染」があります。とびひの水ぶくれがつぶれて中の液が手や物につき、それが別の皮膚の傷口に触れることで広がります。タオルやシーツの共有も感染拡大につながることがあるため、注意が必要です。

また、もともとアトピー性皮膚炎がある子供は皮膚バリアが弱いため、とびひを繰り返しやすい傾向があります。こうした基礎疾患がある場合は、とびひのケアと並行して皮膚のコンディションを整えることが大切です。

💊 とびひの症状と種類

とびひには大きく分けて「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」と「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」の2種類があります。それぞれ症状の特徴や好発年齢が異なります。

水疱性膿痂疹は、子供のとびひの大多数を占めるタイプです。最初は米粒大の小さな赤みやかゆみとして始まり、次第に透明から黄色みがかった液体を含む水ぶくれ(水疱)が形成されます。水疱は薄くて破れやすく、つぶれると中の液体が周囲の皮膚につき、新たな感染巣を作ります。これが「飛び火」のように広がっていく現象です。主に顔や首まわり、四肢(手足)などに多くみられます。かゆみが強いため、かきむしることで症状がさらに広がりやすくなります。

痂皮性膿痂疹は、厚いかさぶた(痂皮)を形成するタイプのとびひです。溶血性連鎖球菌が主な原因菌で、乾燥した厚いかさぶたが口周りや鼻の周囲に多くできます。かゆみよりも痛みを伴うことがあり、発熱やリンパ節の腫れを伴う場合もあります。水疱性に比べると重症化しやすく、丁寧な治療が必要です。

いずれのタイプも、早期に適切な治療を始めることで比較的短期間で改善しますが、放置したり治療が不十分だと悪化・拡大して長引くことがあります。特に発熱や全身症状がある場合、患部が顔や目の周りに及んでいる場合、あるいは症状が急速に広がっている場合は早急な受診が必要です。

Q. とびひに処方される外用薬と内服薬の種類は?

とびひの外用薬としては、フシジン酸ナトリウム軟膏やムピロシン軟膏(バクトロバン)が代表的です。内服薬にはセファレキシンなどセファロスポリン系抗菌薬が第一選択として使われます。症状が広範囲・重症の場合は外用と内服を併用し、医師の指示通りの期間(通常5〜10日)服用を続けることが重要です。

🏥 とびひの治療に使われる薬の種類

とびひは細菌感染症ですので、治療の基本は「抗菌薬(抗生物質)」の使用です。症状の程度や広がり方によって、外用薬(塗り薬)のみで対応する場合と、内服薬(飲み薬)を組み合わせる場合があります。

軽度のとびひであれば、患部に直接塗る抗菌薬の外用薬だけで改善することがあります。一方、患部が広範囲にわたる場合、症状が急速に広がっている場合、発熱などの全身症状がある場合には、飲み薬の抗菌薬も処方されることが一般的です。

外用薬として最もよく使われるのが、フシジン酸(フシジンレオ軟膏など)やムピロシン(バクトロバン軟膏)などの抗菌作用をもつ軟膏です。これらは皮膚科や小児科で処方される薬で、原因菌に直接作用して菌の増殖を抑えます。

内服薬としては、セファレキシン(ケフレックスなど)に代表されるセファロスポリン系抗菌薬が第一選択として使われることが多いです。アモキシシリンなどのペニシリン系抗菌薬が使われることもあります。近年では薬剤耐性菌(MRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の問題もあり、治療が効かない場合には別の系統の抗菌薬が選択されることもあります。

また、かゆみが強い場合には抗ヒスタミン薬(かゆみ止めの飲み薬)が処方されることもあります。かゆみをおさえることでかきむしりを防ぎ、とびひのさらなる拡大を防ぐ効果が期待できます。

⚠️ 処方薬(抗菌薬・抗生物質)について

とびひの治療において、処方薬の抗菌薬は非常に重要な役割を果たします。正しく使うことで多くの場合1〜2週間程度で改善しますが、使い方を誤ると治りが遅くなったり、耐性菌を生み出す原因になったりすることがあるため、注意が必要です。

外用抗菌薬(塗り薬)については、患部に薄く塗るのが基本です。代表的な薬として以下のものがあります。

フシジン酸ナトリウム軟膏(フシジンレオ軟膏など)は、グラム陽性菌(黄色ブドウ球菌など)に対して強い抗菌作用をもつ塗り薬です。とびひに対して広く使われており、比較的安全性が高く、子供にも使いやすい薬です。1日に2〜3回程度、患部に薄く塗布します。

ムピロシン軟膏(バクトロバン軟膏)は、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌に効果的な抗菌薬の塗り薬です。MRSAにも効果があることが多く、耐性菌が疑われる場合にも使われます。1日に2〜3回患部に塗ります。

内服抗菌薬(飲み薬)については、医師から指示された用量・用法を必ず守ることが大切です。

セファロスポリン系抗菌薬(セファレキシン、セファクロルなど)は、子供のとびひに最もよく使われる系統の飲み薬です。黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌に効果的で、子供用のシロップや粉末(ドライシロップ)の形態もあるため、飲みやすい薬です。

ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリンなど)も、溶血性連鎖球菌によるとびひに効果があります。

抗菌薬を使う上で最も重要なのは、「症状が良くなっても自己判断でやめない」ことです。症状が改善してきたからといって途中でやめてしまうと、菌が完全に死滅せず再発したり、耐性菌ができやすくなったりするリスクがあります。医師から指示された期間(一般的には5〜10日程度)はしっかり使い続けることが大切です。

🔍 市販薬でとびひは治せるのか

「病院に行く時間がない」「まずは市販薬で様子を見たい」と思う保護者の方も多いかもしれません。しかし、とびひの治療に関しては、市販薬だけで対応するには限界があることを知っておいていただきたいと思います。

市販薬の中には、抗菌成分(バシトラシン、硫酸フラジオマイシンなど)を含む軟膏が存在します。代表的なものとしては、テラマイシン軟膏やドルマイシン軟膏などが挙げられます。これらはとびひの原因菌に対してある程度の抗菌作用をもちますが、病院で処方される薬(フシジン酸やムピロシンなど)と比べると効果の面で劣ることがあります。

また、市販の軟膏に含まれる抗菌成分の中には、耐性菌が生じやすいものや、ネオマイシンのようにアレルギーを引き起こすリスクがあるものも含まれています。特に小さな子供や、肌が弱いお子さんに使う際には注意が必要です。

市販薬でよく見かける「ステロイド系軟膏」については、とびひには使用しないようにしましょう。ステロイドは炎症を抑える効果がありますが、免疫を抑制する作用もあるため、細菌感染が起きているとびひに使うと菌がさらに繁殖しやすくなり、症状を悪化させることがあります。

市販薬が活用できる場面があるとすれば、とびひのごく初期段階で、ほんのわずかな範囲に症状があり、すぐに受診できない状況で一時的に使用する場合のみ、と考えるのがよいでしょう。いずれにしても、できるだけ早めに皮膚科または小児科を受診し、適切な処方薬を使うことが望ましいです。

なお、市販薬を使う場合でも、薬局の薬剤師に必ず相談し、お子さんの年齢や症状に適した薬を選んでもらうようにしましょう。

Q. とびひに市販のステロイド軟膏を使っても大丈夫?

とびひに市販のステロイド系軟膏を使用することは避けてください。ステロイドには免疫を抑制する作用があるため、細菌感染が起きているとびひに使うと菌がさらに繁殖しやすくなり、症状を悪化させるリスクがあります。市販の抗菌薬含有軟膏も処方薬より効果が劣るため、できるだけ早めに皮膚科や小児科を受診することが望ましいです。

📝 外用薬(塗り薬)の正しい使い方

処方された外用薬の効果を最大限に発揮させるためには、正しい使い方を知っておくことが大切です。以下に正しい手順と注意点を詳しく説明します。

まず、薬を塗る前に患部を清潔にすることが基本です。ぬるま湯で優しく洗うか、清潔なガーゼを水で濡らして患部の汚れやかさぶたを丁寧に取り除きます。このとき、強くこすったり水ぶくれを無理につぶしたりしないようにしましょう。水疱の液が周囲に広がることで感染が拡大するリスクがあります。

患部を洗ったあとは、清潔なタオルやガーゼで軽く押さえるようにして水分を拭き取ります。水分が残ったまま薬を塗ると、薬が密着しにくくなることがあります。

次に、処方された塗り薬を患部に薄く塗ります。量は「薄く均一に」が基本です。塗る量については「フィンガーチップユニット(FTU)」という目安が参考になります。人差し指の第一関節から先端までに出した量(約0.5g)が、手のひら2枚分の面積に塗る適量とされています。

薬を塗り終わったあとは、清潔なガーゼや不織布のパッドで患部を覆うと、液体が周囲に広がることを防ぎ、かきむしりも防止できます。ただし、密閉しすぎると蒸れて逆効果になることもあるため、通気性のある素材を使いましょう。

塗り薬を使う回数は、医師や薬剤師から指示された回数を守ることが最も大切です。「1日2回朝・夕」「1日3回」など、処方された内容に従って使いましょう。自己判断で回数を増やしたり減らしたりしないようにしてください。

また、薬を塗るときは必ず手を洗ってから行うようにしましょう。薬を塗った後も手を洗い、菌が手を介して別の場所に広がらないようにすることが重要です。子供が自分で触れないよう、塗布後は患部を覆うか、手の届かない状態にしておくとよいでしょう。

💡 内服薬(飲み薬)を使うときのポイント

とびひが広範囲に広がっている場合や、症状が重い場合には、塗り薬に加えて飲み薬の抗菌薬が処方されます。飲み薬を正しく使うためのポイントをまとめます。

子供用の抗菌薬は、シロップや粉末(ドライシロップ)の形態で処方されることが多く、体重に応じた量が処方されます。決められた量を決められた回数・タイミングで服用することが基本です。

飲み薬の中には食事のタイミングと服用時間が関係するものがあります。セファロスポリン系抗菌薬の多くは「食後」に服用することが推奨されていますが、医師や薬剤師から特別な指示がある場合はそれに従いましょう。

粉薬や顆粒が飲みにくい場合は、少量の水やジュースに溶かして飲ませるか、ゼリー状のお薬補助食品を活用する方法があります。ただし、牛乳や乳製品と一緒に飲むと吸収が阻害される薬もあるため、事前に薬剤師に確認しておくと安心です。

最も大切なのは、先にも述べたように「途中でやめない」ことです。症状が目に見えて改善してくると、「もう薬はいらないかな」と思いたくなることがありますが、これは危険です。細菌が完全に体内で死滅するまでには、ある一定の期間が必要です。途中でやめると残った菌が再び増殖し、再発や薬剤耐性菌の出現につながります。

一方で、薬を飲み始めて24〜48時間以内に皮膚症状が明らかに悪化したり、発熱が出たり、皮膚が急速に広がるようであれば、すぐに受診して医師に報告することも重要です。薬に対してアレルギー反応(発疹・じんましん・呼吸困難など)が起きた場合は、直ちに服用を中止して病院を受診してください。

また、以前に使った抗菌薬が余っているからといって、医師の診察なしに自己判断で使うことは避けてください。以前とは原因菌が異なる場合や、薬が合わない場合があり、適切な治療の妨げになることがあります。

✨ 薬を使っても治らないときの原因

処方された薬を正しく使っているにもかかわらず、なかなか症状が改善しない場合にはいくつかの原因が考えられます。

一つ目は、薬剤耐性菌の存在です。近年、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)など、一般的な抗菌薬が効きにくい菌が増えており、通常の治療では改善しない場合があります。このような場合、医師が患部の菌の検査(細菌培養検査)を行い、その結果に応じて別の系統の抗菌薬に変更することがあります。

二つ目は、薬の使い方の問題です。塗り薬を塗る回数が不十分だったり、患部の一部を塗り忘れたりすると、菌が残って再増殖します。また、飲み薬を途中でやめてしまったり、服用量が少なかったりすることも治りが遅くなる原因になります。

三つ目は、感染の繰り返しです。手洗いが不十分だったり、同じタオルを使い続けたり、患部をかきむしったりすることで、治りかけたとびひが再び悪化するサイクルに陥ることがあります。家族内での感染が続いているケースもあります。

四つ目は、基礎疾患の影響です。アトピー性皮膚炎がある子供は、皮膚バリアが慢性的に低下しているため、とびひが治りにくく、繰り返しやすい傾向があります。この場合、とびひの治療と並行して、アトピー性皮膚炎のコントロールを適切に行うことが重要です。

五つ目は、とびひ以外の疾患が含まれている可能性です。水痘(みずぼうそう)、ヘルペス、疥癬(かいせん)など、とびひと見た目が似た別の感染症や皮膚疾患が合併している場合、抗菌薬だけでは改善しません。症状が長引く場合は、診断を見直してもらうために改めて受診することをお勧めします。

Q. とびひで速やかに受診すべき症状・状況は?

以下の場合はとびひで速やかに医療機関を受診してください。①症状が半日〜1日で急速に広がる、②発熱やリンパ節の腫れなど全身症状がある、③患部が目や口の周囲に及んでいる、④薬を使っても改善しない・再発を繰り返す、⑤新生児・乳児に症状が出ている場合です。特に新生児は重症化しやすいため早急な対応が必要です。

📌 とびひを悪化させないためのケア

薬を使う治療と並行して、日常生活での適切なケアも非常に重要です。正しいケアを行うことで、とびひの拡大を防ぎ、回復を早めることができます。

まず、患部を清潔に保つことが最も基本的なケアです。入浴やシャワーは基本的に問題なく行えます。むしろ、ぬるめのシャワーで患部の汚れや菌を丁寧に洗い流すことは、治癒を助けます。ただし、強くこすり洗いすることは避け、石けんを泡立てて優しく洗うようにしましょう。入浴後はすぐに薬を塗るとよいでしょう。

かきむしりを防ぐことも重要なポイントです。特に子供は無意識のうちに患部をかいてしまいます。爪を短く切っておく、患部にガーゼを当てる、就寝時には手袋や靴下を使うなどの工夫が効果的です。かゆみが強い場合は医師に相談して、かゆみ止めの内服薬を処方してもらうことも一つの方法です。

タオルや衣類、シーツなどの共有を避けることも大切です。とびひの菌が付着した物を介して感染が広がることがあるため、感染中は家族と別々のタオルを使用し、使用後はきちんと洗濯するようにしましょう。

手洗いも感染予防に非常に効果的です。患部を触った後や、薬を塗った後は必ず手をよく洗うようにしましょう。子供自身にも手洗いの習慣をつけさせることが大切です。

衣類については、患部が蒸れないよう、なるべく通気性のよい素材のものを選びましょう。夏場はとびひが悪化しやすい季節なので、汗をこまめに拭き取り、涼しい環境を保つことも助けになります。

食事面では、特別な制限は必要ありませんが、免疫力を高めるためにバランスのよい食事と十分な睡眠を心がけることが、体の回復を後押しします。

プールや公共の水場については、とびひが完全に治癒するまでは避けることが推奨されます。感染した水が他の子供に触れることで集団感染が起こるリスクがあります。学校や幼稚園・保育園についても、医師の指示に従いながら、症状が完全に治まるまでは登校・登園を控えるか、担任の先生や保健室の先生に状況を相談するとよいでしょう。

🎯 受診すべきタイミングと診療科

とびひは基本的に適切な治療を行えば改善する疾患ですが、以下のような状況では早めに医療機関を受診することが重要です。

まず、症状が急速に広がっている場合です。最初は小さな水ぶくれだったものが、半日や1日の間に急激に数や範囲が増えているようであれば、なるべく早く受診しましょう。とびひは進行が早いことがあるため、「少し様子を見よう」と時間をかけすぎると、その間に症状が大きく悪化してしまうことがあります。

発熱や全身症状がある場合も受診の目安です。とびひは通常、局所的な皮膚の症状にとどまりますが、細菌が全身に広がると発熱やリンパ節の腫れ、倦怠感などを引き起こすことがあります。このような全身症状を伴う場合は、重症のサインである可能性があるため、速やかに受診が必要です。

患部が顔、特に目や口の周りに及んでいる場合も要注意です。目の周りに感染が及ぶと、眼球の感染(眼内炎など)につながるリスクもゼロではないため、早めの対処が必要です。

市販薬や以前処方された薬を使っても改善が見られない場合、または一度治まったかと思ったら再発した場合も、再度受診して原因を確かめてもらうことをお勧めします。

また、新生児や乳児のとびひは特に注意が必要です。免疫機能が未発達なため、重症化しやすい傾向があります。黄色ブドウ球菌が産生する毒素によって広範囲の皮膚がはがれてしまう「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)」という重篤な疾患を引き起こす危険もあるため、皮膚に異変を感じたら早急に受診してください。

受診する診療科は、まずかかりつけの小児科または皮膚科が適切です。どちらでもとびひの診断・治療は対応可能ですが、皮膚の状態が複雑な場合や繰り返し再発する場合は皮膚科専門医への受診がより適しているでしょう。アイシークリニック渋谷院のような皮膚科専門クリニックでは、とびひをはじめとした皮膚感染症の診断・治療に関する専門的な知識と経験をもった医師が対応しています。「症状が気になるけれど受診すべきか迷っている」という場合は、電話などで事前に相談してみることも一つの方法です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、とびひのお子さんを診察する際、保護者の方が市販薬で様子を見ているうちに症状が広がってしまったケースを多く経験しています。最近の傾向として、アトピー性皮膚炎を基礎疾患にもつお子さんがとびひを繰り返しやすく、皮膚のコンディション管理と並行した治療が必要なケースが増えていると感じています。「少し様子を見よう」と思う気持ちはよく理解できますが、とびひは進行が早い感染症ですので、気になる症状があれば早めにご相談いただくことが、お子さんの早期回復につながります。」

📋 よくある質問

とびひに市販薬は効きますか?

市販薬(バシトラシン、硫酸フラジオマイシン含有軟膏など)でもある程度の対応は可能ですが、病院で処方されるフシジン酸やムピロシン軟膏と比べると効果の面で劣ることがあります。また、ステロイド系市販薬はとびひに使用すると症状を悪化させる恐れがあるため、できるだけ早めに医療機関を受診して処方薬を使うことが望ましいです。

抗菌薬は症状が良くなったらやめてもいいですか?

自己判断で途中でやめることは避けてください。症状が改善しても細菌が体内に残っている場合があり、服用を中断すると再発や薬剤耐性菌(MRSAなど)出現のリスクが高まります。医師から指示された期間(一般的には5〜10日程度)は、必ず最後まで使い続けることが大切です。

とびひはどんなときに受診が必要ですか?

以下の場合は早めに医療機関を受診してください。①症状が急速に広がっている、②発熱やリンパ節の腫れなど全身症状がある、③患部が目や口の周りに及んでいる、④薬を使っても改善しない・再発を繰り返す、⑤新生児・乳児に症状がある場合です。特に新生児は重症化しやすいため、皮膚に異変を感じたら速やかに受診しましょう。

とびひの感染拡大を防ぐ日常ケアは何ですか?

感染拡大を防ぐために以下のケアが重要です。①患部を清潔に保ち、優しくシャワーで洗う、②爪を短く切りガーゼを当てるなどでかきむしりを防ぐ、③タオルや衣類・シーツの共有を避ける、④患部を触った後は必ず手洗いを徹底する、⑤完治するまでプールや集団生活を控えるなどが効果的です。

とびひが治りにくい場合、どんな原因が考えられますか?

治りにくい主な原因として、①薬剤耐性菌(MRSAなど)の存在、②塗り薬の回数不足や飲み薬の途中中断など薬の使い方の問題、③手洗い不足やかきむしりによる再感染、④アトピー性皮膚炎など基礎疾患の影響、⑤水痘や疥癬など似た症状の別疾患の合併が挙げられます。症状が長引く場合は、当院のような皮膚科専門クリニックへの受診をお勧めします。

💊 まとめ

子供のとびひは、適切な薬の使用と日常ケアを組み合わせることで、比較的短期間で改善できる皮膚感染症です。ここまで解説した内容を振り返ると、以下のポイントが特に重要です。

とびひの治療の基本は抗菌薬(抗生物質)であり、外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)が使われます。市販薬でもある程度の対応は可能ですが、処方薬と比べると効果の面で限界があるため、できるだけ早めに医療機関を受診して処方薬をもらうことが望ましいです。ステロイド系の市販薬はとびひには使用しないようにしてください。

薬を使う際は、処方された用法・用量を守り、症状が改善しても自己判断でやめないことが非常に重要です。途中でやめると再発や耐性菌出現のリスクが高まります。

日常ケアとして、患部を清潔に保つこと、かきむしりを防ぐこと、タオルや衣類の共有を避けること、手洗いを徹底することが感染の拡大防止に効果的です。

症状が急速に広がる場合、発熱などの全身症状がある場合、患部が目・口の周囲に及ぶ場合、薬を使っても改善しない場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

子供のとびひは「よくある病気」ではありますが、放置したり間違った対処をしたりすると長引いたり悪化したりすることがあります。少しでも「おかしいな」と感じたら、早めに専門家に相談することが、お子さんの健康を守る上で最も大切なことです。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 伝染性膿痂疹(とびひ)の診断基準・治療方針・使用する抗菌薬の種類に関する皮膚科専門医による公式情報
  • 国立感染症研究所 – とびひの原因菌(黄色ブドウ球菌・溶血性連鎖球菌)や感染経路・感染拡大防止策に関する疫学的情報
  • 厚生労働省 – 薬剤耐性菌(MRSA等)への対策・抗菌薬の適正使用に関する公式ガイドライン情報

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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