夜中に子供が急に熱を出すと、親御さんは不安でいっぱいになるものです。「すぐに病院に連れて行くべきか」「朝まで様子を見て大丈夫か」と迷われる方は多いでしょう。子供の発熱は珍しいことではありませんが、適切な対処法を知っておくことで、慌てずに対応でき、お子さんの負担も軽減できます。この記事では、子供が夜間に発熱した際の対処法、受診の目安、そして救急外来を受診すべき危険なサインについて詳しく解説します。
目次
- 子供の発熱とは?知っておきたい基礎知識
- 夜間に子供が発熱したときの初期対応
- 子供の熱を下げるための具体的な方法
- 解熱剤の正しい使い方と注意点
- 夜間でもすぐに受診すべき危険なサイン
- 朝まで様子を見てよい場合の判断基準
- 年齢別の発熱対応ポイント
- 発熱時の水分補給と食事について
- 熱性けいれんへの対処法
- 夜間救急を利用する際の準備と心構え
- よくある質問
- 参考文献
🌡️ 子供の発熱とは?知っておきたい基礎知識
子供の発熱について正しく理解することは、冷静な対応の第一歩です。発熱は体の防御反応であり、必ずしも悪いことではありません。まずは発熱に関する基本的な知識を押さえておきましょう。
🌡️ 発熱の定義と正常体温
一般的に、子供の発熱とは体温が37.5℃以上の状態を指します。
- 38℃以上:発熱
- 39℃以上:高熱
ただし、子供の体温は大人よりも高めで、日内変動も大きいのが特徴です。朝は低く、夕方から夜にかけて高くなる傾向があります。
また、以下の状況では一時的に体温が上がることも覚えておきましょう:
- 食事後
- 入浴後
- 運動後
そのため、普段からお子さんの平熱を把握しておくことが重要です。
🌙 なぜ子供は夜間に熱が上がりやすいのか
子供が夜間に発熱しやすいのには理由があります。
- 人間の体温は自律神経によって調節されており、夕方から夜にかけて体温が上昇するリズムがある
- 日中に感染した病原体に対する免疫反応が活発になる時間帯と重なる
- 布団に入って体が温まることも影響
このような理由から、昼間は元気だった子供が夜になって急に発熱することは珍しくありません。
🦠 発熱が起こるメカニズム
発熱は体がウイルスや細菌と戦っている証拠です。病原体が体内に侵入すると、以下のプロセスが起こります:
- 免疫細胞が病原体を感知
- 脳の視床下部にある体温調節中枢に信号を送る
- 体温の設定値が上がる
- 体は熱を産生して体温を上げる
この過程で子供は寒気を感じ、ガタガタ震えることもあります。体温が上がることで免疫細胞の働きが活発になり、病原体の増殖を抑える効果があるため、発熱自体は体を守るための重要な反応なのです。
🚨 夜間に子供が発熱したときの初期対応
子供が夜間に発熱したとき、まず落ち着いて状況を確認することが大切です。慌てて行動すると適切な判断ができなくなります。ここでは、発熱に気づいた際の初期対応について説明します。
🌡️ 体温を正確に測定する
まずは体温計で正確に体温を測りましょう。
測定のポイント:
- わきの下の汗をふき取る
- 体温計の先端がわきの中心にしっかり当たるようにする
- 説明書に従って正しく測定する
- 定期的に測定して記録する
耳式体温計や非接触体温計は手軽ですが、測定誤差が生じやすいため、わきの下での測定が基本となります。体温は時間経過とともに変化するため、記録しておくと医療機関を受診する際に役立ちます。
👀 全身状態を観察する
体温だけでなく、お子さんの全身状態をよく観察してください。熱の高さと病気の重症度は必ずしも一致しません。
観察すべきポイント:
- 顔色
- 機嫌
- 食欲
- 水分摂取
- 呼吸の様子
- 発疹の有無
- 嘔吐や下痢の有無
39℃の高熱でも元気に遊んでいる子もいれば、37℃台でもぐったりしている子もいます。これらの情報は、受診の必要性を判断する上で非常に重要になります。
🏠 衣類と室温を調整する
発熱時の衣類と室温の調整は、お子さんの症状によって異なります。
症状別の対応:
- 熱の上がり始めで寒気がある場合:体を温めてあげる
- 熱が上がりきって暑がっている場合:薄着にして熱がこもらないようにする
環境設定の目安:
- 室温:20〜25℃程度
- 湿度:50〜60%
布団のかけすぎは熱がこもる原因になるため、子供が暑がっていないか確認しながら調整してください。
❄️ 子供の熱を下げるための具体的な方法
発熱した子供を少しでも楽にしてあげたいと思うのは当然のことです。ただし、熱を下げることだけに集中するのではなく、子供が快適に過ごせるようにすることが大切です。ここでは、発熱時に行える具体的なケア方法を紹介します。
🧊 効果的な体の冷やし方
発熱時に体を冷やす場合は、太い血管が通っている部分を冷やすと効果的です。
効果的な冷却部位:
- 首の左右
- わきの下
- 太ももの付け根(そけい部)
冷却方法の注意点:
- 保冷剤や氷嚢をタオルで包む
- 直接肌に当てない(凍傷防止のため)
- 子供が嫌がる場合は無理に冷やさない
おでこを冷やすのは気持ちよく感じますが、解熱効果はほとんどありません。冷やすことよりも、水分補給や安静を優先しましょう。
🏷️ 冷却シートの正しい使い方
冷却シート(熱さまシートなど)は手軽に使えますが、解熱効果は限定的です。
冷却シートの特徴:
- メントールなどの成分によって冷感を得られる
- 子供が気持ちよく感じて眠りやすくなる
- あくまで補助的なケアとして考える
使用時の注意点:
- 乳児や肌が敏感な子供には刺激が強い場合がある
- 眠っている間にシートがずれて口や鼻を覆う危険性がある
- 特に小さな子供に使用する場合は目を離さない
🚿 ぬるま湯で体を拭く方法
発熱時にぬるま湯で体を拭くことは、気化熱によって体温を下げる効果があります。
正しい体拭きの方法:
- 30〜35℃程度のぬるま湯でタオルを濡らす
- 首、胸、背中、手足などを優しく拭く
- 適度に乾いたタオルで拭く
注意点:
- 冷たい水は使わない(震えを引き起こし、かえって熱を産生する)
- 長時間濡れたままにしない
- 入浴については38.5℃以上の発熱時は控える
- ぬるめのシャワーで汗を流す程度にとどめる
💊 解熱剤の正しい使い方と注意点
解熱剤は子供の発熱時によく使用されますが、正しく使わないと効果が得られなかったり、副作用が出たりする可能性があります。解熱剤について正しい知識を持っておきましょう。
💊 子供に使用できる解熱剤の種類
子供に安全に使用できる解熱剤は限られています。
推奨される解熱剤:
- アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)
- 比較的副作用が少ない
- 生後3ヶ月以降から使用可能
禁忌の解熱剤:
- アスピリン:ライ症候群のリスクのため子供への使用禁止
- イブプロフェン:医師の判断のもとで使用される場合がある
市販薬を購入する際は、必ず成分を確認し、子供用の製品を選んでください。
⏰ 解熱剤を使うタイミング
解熱剤は熱が出たらすぐに使うべきものではありません。発熱は体の防御反応であり、むやみに熱を下げることで病気の回復が遅れる可能性も指摘されています。
解熱剤使用の目安:
- 38.5℃以上の発熱
- かつ子供がつらそうにしている場合
「つらそう」の具体例:
- ぐったりしている
- 眠れない
- 水分が取れない
38℃台でも元気に遊んでいる場合は、無理に解熱剤を使う必要はありません。解熱剤の効果は一時的なもので、薬が切れれば再び熱が上がります。これは病気が治っていないためであり、薬が効いていないわけではありません。
📏 解熱剤の投与量と間隔
解熱剤の投与量は子供の体重によって決まります。
アセトアミノフェンの投与量:
- 1回10〜15mg/kg(標準的な投与量)
- 例:体重10kgの子供 → 100〜150mgが1回量
投与間隔と回数:
- 投与間隔:最低4〜6時間空ける
- 1日の投与回数:3〜4回まで
注意点:
- 坐薬と内服薬で用量が異なる場合がある
- 短時間での繰り返し投与は肝臓に負担をかける
- 坐薬と内服薬の同時使用は過量投与になるため避ける
💊 坐薬の正しい入れ方
坐薬は内服が難しい小さな子供にも使いやすい剤形ですが、正しく挿入しないと効果が得られません。
坐薬挿入の手順:
- 坐薬を冷蔵庫から出して少し温め、硬さを確認
- 子供を仰向けに寝かせ、両足を持ち上げて肛門を確認
- 坐薬の先端にワセリンやベビーオイルを塗る
- 坐薬を肛門に入れる
- 1〜2分程度お尻を押さえておく
挿入後の対応:
- 挿入後すぐに排便して坐薬が原形をとどめている場合:再度入れ直す
- 坐薬が溶けていれば:効果は得られているため追加しない
🚨 夜間でもすぐに受診すべき危険なサイン
多くの場合、発熱は翌朝まで様子を見ても問題ありませんが、緊急性の高い症状が見られる場合は夜間でもすぐに医療機関を受診する必要があります。以下の症状がある場合は、迷わず救急外来を受診してください。
👶 生後3ヶ月未満の発熱
生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の発熱をした場合は、緊急性が高いと考えてください。
理由:
- 免疫機能が未熟
- 重症の細菌感染症を起こしやすい(髄膜炎、敗血症、尿路感染症など)
- 症状が急激に悪化する可能性がある
発熱以外に目立った症状がなくても、夜間であっても速やかに医療機関を受診してください。この月齢では血液検査や尿検査などの精密検査が必要になることが多いです。
😵 意識がおかしい、ぐったりしている
普段と比べて明らかに反応が悪い場合は、髄膜炎や脳炎などの重篤な感染症の可能性があります。
危険なサイン:
- 呼びかけても目を開けない
- ぼんやりしている
- ぐったりして動かない
- いつもと様子が違う
- 目がうつろ
- 反応が極端に鈍い
高熱でつらそうにしているのと、意識がおかしいのとは異なります。熱があっても水分を取れたり、話しかけると反応したりする場合は、意識は保たれていると判断できます。
😮💨 呼吸がおかしい
呼吸困難は緊急性の高い症状です。以下のような呼吸の異常がある場合は、すぐに受診が必要です。
危険な呼吸のサイン:
- 呼吸が極端に速い(1分間に60回以上)
- 息をするたびに肋骨の間や鎖骨の上がへこむ(陥没呼吸)
- ゼーゼー・ヒューヒューという音が聞こえる
- 唇や爪の色が青紫色になっている(チアノーゼ)
- 息を吸うときに苦しそうにうなる
これらは気管支炎、肺炎、クループ症候群、喘息発作などの可能性を示唆しています。呼吸の問題は急速に悪化することがあるため、躊躇せずに救急車を呼んでください。
🫨 けいれんを起こした
発熱に伴うけいれん(熱性けいれん)は、6ヶ月〜5歳の子供の約8%に起こるとされています。
救急受診が必要なけいれん:
- 初めてけいれんを起こした場合
- けいれんが5分以上続く場合
- けいれん後に意識が戻らない場合
- 24時間以内に複数回けいれんを起こした場合
- けいれんの様子が左右非対称な場合
熱性けいれんの多くは良性で後遺症を残しませんが、初回は必ず医師の診察を受けて、他の原因によるけいれんではないことを確認してもらいましょう。
🔴 発疹がある
発熱と同時に発疹が出現した場合、特に注意が必要なのは押しても消えない発疹(点状出血、紫斑)です。
発疹の見分け方:
- 危険な発疹:ガラスのコップを押し当てても色が消えない(髄膜炎菌感染症などの可能性)
- 比較的安全な発疹:押すと色が消える(麻疹、風疹、突発性発疹、水痘など)
判断に迷う場合は、医療機関に電話で相談してください。
🤮 激しい頭痛や嘔吐を繰り返す
発熱とともに激しい頭痛を訴える場合、特に首を前に曲げることを嫌がる(項部硬直)場合は、髄膜炎の可能性があります。
緊急性の高い症状:
- 噴水のように勢いよく嘔吐する(噴射性嘔吐)
- 嘔吐を繰り返して水分が取れない
- 脱水症状の進行(涙が出ない、おしっこが極端に少ない、口の中が乾燥)
これらの症状がある場合は、点滴による水分補給が必要になることがあるため、夜間でも受診を検討してください。
☀️ 朝まで様子を見てよい場合の判断基準
夜間に発熱しても、多くの場合は翌朝まで様子を見ても問題ありません。以下のような状態であれば、自宅で経過観察しながら翌朝にかかりつけ医を受診することができます。
😊 比較的元気がある
熱が高くても、以下のような反応があれば安心材料になります:
- 機嫌がそこまで悪くない
- 遊ぼうとする
- テレビを見たがる
- 呼びかけに反応する
- 目を開けて周囲を見る
- 好きな食べ物やおもちゃに興味を示す
もちろん発熱時には普段よりぐったりするのが普通ですが、ある程度活動性が保たれている場合は、重症の可能性は低いと考えられます。
💧 水分が取れている
発熱時には食欲が落ちることが多いですが、水分がある程度取れていれば翌朝まで様子を見ることができます。
摂取可能な水分:
- 母乳やミルク
- お茶
- イオン飲料
- 経口補水液
少量ずつでも飲めていれば、脱水の心配は少ないでしょう。尿の回数が普段より減っていても、全く出ないわけでなければ経過観察は可能です。
注意が必要な場合:
- 水分を全く受け付けない
- 飲んでもすぐに吐いてしまう
😴 睡眠が取れている
発熱でつらそうでも、うとうとと眠れている場合は、体が回復しようとしている証拠です。
熱があると以下のことがありますが、問題ありません:
- 眠りが浅くなる
- 途中で起きる
解熱剤を使って熱を下げると眠りやすくなることがあります。眠っている間は無理に起こして体温を測る必要はありません。呼吸の様子を確認しながら、そっと見守ってあげてください。
🤧 発熱以外の症状が軽い
発熱に加えて咳や鼻水がある場合でも、症状が軽度であれば一般的な風邪の可能性が高いです。
経過観察可能な症状:
- 軽度の咳や鼻水
- 軽度の下痢(水分が取れて脱水症状がない場合)
対症療法が必要だが緊急性は高くない症状:
- 咳き込んで眠れない
- 鼻が詰まって呼吸が苦しそう
速やかに受診が必要な症状:
- 血便が出た場合
👶 年齢別の発熱対応ポイント
子供の発熱への対応は、年齢によって注意すべきポイントが異なります。ここでは年齢別の特徴と対応方法について解説します。
👶 乳児(0〜1歳)の発熱
乳児は免疫機能が未熟で、重症化しやすい時期です。特に生後3ヶ月未満は要注意です。
観察のポイント(症状を言葉で伝えられないため):
- 哺乳量の低下
- 機嫌の悪さ
- 泣き声がいつもと違う
- 反応が鈍い
この月齢で多い疾患:
- 突発性発疹:3〜4日間の高熱の後、解熱とともに全身に発疹が出現
発疹が出れば診断がつきますが、発熱中は他の病気との区別が難しいため、心配な場合は受診をおすすめします。
🧒 幼児(1〜6歳)の発熱
幼児期は保育園や幼稚園に通い始め、集団生活によってさまざまな感染症にかかりやすくなる時期です。
この年齢で多い感染症:
- 風邪
- インフルエンザ
- アデノウイルス感染症(プール熱)
- 手足口病
- ヘルパンギーナ
特徴:
- 「痛い」「つらい」などある程度症状を伝えられる
- 正確ではないことも多い
- 熱性けいれんが起こりやすい年齢層
過去に熱性けいれんの経験がある場合は、発熱時に予防的に解熱剤を使用するか、主治医と相談しておきましょう。
🎒 学童(6歳以上)の発熱
学童期になると免疫機能も発達し、発熱時の対応は大人に近づきます。
この年齢の特徴:
- 自分の症状を言葉で伝えられる
- 頭痛、喉の痛み、関節痛などの随伴症状を確認しやすい
- 学校を休みたくないなどの理由で症状を隠すことがある
- 逆に休みたくて大げさに言うことがある
この年代で多い感染症:
- インフルエンザ
- 溶連菌感染症
- マイコプラズマ肺炎
受診の目安:
- 発熱が3日以上続く場合
- 一度下がった熱が再び上がる場合
💧 発熱時の水分補給と食事について
発熱時は体から水分が失われやすくなります。適切な水分補給と食事のケアについて説明します。
💧 水分補給の重要性
発熱すると以下の理由で通常より多くの水分が失われます:
- 体温調節のために発汗が増える
- 呼吸も速くなる
- 食欲低下による水分摂取量の減少
脱水を防ぐためには、こまめな水分補給が欠かせません。
水分補給のポイント:
- 一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつ頻回に与える
- 嫌がって飲まない場合も、スプーンやスポイトで少しずつ口に入れる
🥤 適した飲み物と避けるべき飲み物
発熱時に適した飲み物:
- 経口補水液(OS-1など):水分と電解質のバランスが良い
- イオン飲料(ポカリスエットなど)
- 麦茶
- ほうじ茶
- 薄めたりんごジュース
- 母乳やミルク(乳児の場合)
避けるべき飲み物:
- 炭酸飲料
- 濃いジュース(糖分が多すぎると吸収が悪くなる)
- カフェインを含む飲み物(利尿作用があるため)
- 緑茶
- 紅茶
- コーラ
冷たすぎる飲み物はお腹を刺激することがあるため、常温か少し冷やす程度がおすすめです。
🍚 発熱時の食事について
発熱時は食欲が落ちることが多いですが、無理に食べさせる必要はありません。水分が取れていれば、1〜2日程度食事量が減っても問題ありません。
食べられる場合におすすめの食品:
- おかゆ
- うどん
- 豆腐
- バナナ
- りんごのすりおろし
- ゼリー
- ヨーグルト
避けるべき食品:
- 脂っこいもの(消化に負担がかかる)
- 繊維質の多いもの(消化に負担がかかる)
- 喉が痛い場合:
- 熱いもの
- 刺激の強いもの(酸っぱいもの、辛いもの)
喉が痛い場合は、のど越しの良いものを選んでください。
🫨 熱性けいれんへの対処法
熱性けいれんは、発熱に伴って起こるけいれん発作で、小児科の救急外来を受診する理由として多いものの一つです。突然子供がけいれんを起こすと親御さんは非常に驚かれますが、適切な対応を知っておくことで冷静に対処できます。
🧠 熱性けいれんとは
熱性けいれんは、38℃以上の発熱時に起こる、感染症に伴うけいれん発作です。
熱性けいれんの特徴:
- 生後6ヶ月〜5歳の子供に多い
- 日本では約8%の子供が経験
- 熱の上がり始めに起こることが多い
- 発熱に気づく前にけいれんが起こることもある
- 多くの場合、5分以内に自然に止まる
- 後遺症を残すことはない
ただし、初めてのけいれんや、いつもと様子が違うけいれんの場合は、必ず医療機関を受診して評価を受けてください。
🚨 けいれん発作中の対応
子供がけいれんを起こしたら、まず落ち着いてください。けいれん中にやるべきことは限られています。
けいれん中にやるべきこと:
- 子供を安全な場所に移動させる
- 周囲に危険なものがないか確認
- 衣類を緩める
- 横向きに寝かせて気道を確保
- 顔を横に向けておく(嘔吐した場合の窒息防止)
- けいれんの様子を観察(左右対称かどうか、持続時間など)
- 可能であれば動画を撮影
けいれん中に絶対にやってはいけないこと:
- 口の中に物を入れる(スプーンや指など)
- 体を強く押さえつける
- 大声で呼びかける
😴 けいれんが止まった後の対応
けいれんが止まった後、子供は眠ってしまうことが多いです。これは発作後の自然な反応なので、無理に起こす必要はありません。
けいれん後の対応:
- 呼吸が安定していることを確認
- そのまま休ませる
- 意識が戻ったら、水分を少しずつ与える
救急外来を受診すべき場合:
- 初めての熱性けいれん
- 5分以上続いたけいれん
- 24時間以内に複数回のけいれん
- けいれん後も意識がおかしい
翌日のかかりつけ医受診で構わない場合:
- 以前に熱性けいれんの経験がある
- 短時間で止まった
- 意識も回復している
🛡️ 熱性けいれんの予防
熱性けいれんを繰り返す子供の場合、発熱時に予防的な対応をとることがあります。
予防薬:
- ダイアップ坐剤(ジアゼパム)
- 発熱時(37.5℃以上)に使用
- けいれんを予防できることがある
注意点:
- 眠気やふらつきなどの副作用がある
- すべての子供に必要なわけではない
- 予防薬の使用については主治医とよく相談して決める
- 解熱剤だけでは熱性けいれんを予防できない
発熱時には慌てず、けいれんへの対処法を家族で共有しておくことが大切です。
🏥 夜間救急を利用する際の準備と心構え
夜間に子供を救急外来に連れて行く場合、いくつかの準備と心構えをしておくとスムーズです。
📞 受診前に電話で相談する
受診が必要かどうか迷う場合は、小児救急電話相談(#8000)を利用することをおすすめします。
#8000の特徴:
- 全国共通の番号
- 夜間や休日に小児科医や看護師に相談可能
- 多くの地域で19時〜翌朝まで対応
電話で症状を伝えると、受診の必要性や自宅でのケアについてアドバイスをもらえます。また、救急外来に直接電話して、受診してよいか確認することもできます。
🎒 受診時に持っていくもの
夜間救急を受診する際は、以下のものを持参してください:
必須の持ち物:
- 健康保険証
- 乳幼児医療証
- お薬手帳(あれば)
- 母子健康手帳
- 体温記録(時間と体温をメモしたもの)
- 今飲んでいる薬があれば現物
子供のケア用品:
- 替えのおむつや着替え
- 飲み物(子供用)
- バスタオルやブランケット
- 嘔吐に備えたビニール袋
救急外来では待ち時間が長くなることもあるため、子供が過ごしやすいよう準備しておきましょう。
📝 医師に伝えるべき情報
受診時には、発熱の経過と症状を簡潔に伝えられるよう準備しておきましょう。
伝えるべき情報:
- いつから熱が出たか
- 最高何度まで上がったか
- 解熱剤を使ったかどうかとその効果
- 発熱以外の症状(咳、鼻水、嘔吐、下痢、発疹など)
- 水分摂取の状況
- 尿の回数
- 機嫌や活動性の変化
- 周囲で流行している病気
- 予防接種の履歴
- アレルギーの有無
- 既往歴
慌てると伝え忘れることがあるため、メモにまとめておくと安心です。

🏥 夜間救急の役割を理解する
夜間救急は、緊急性の高い患者さんを優先的に診療する場所です。
夜間救急の特徴:
- 軽症の患者さんが多く受診すると、重症患者の診療が遅れる
- 詳しい検査や継続的な治療は難しい場合がある
- とりあえずの対応をして、翌日にかかりつけ医受診を指示されることが多い
これは手抜きではなく、夜間救急の役割と限界によるものです。本当に夜間に受診が必要かどうか、冷静に判断することが大切です。
📚 参考文献
- 小児救急電話相談事業(#8000)について|厚生労働省
- 熱性けいれん診療ガイドライン2015|日本小児神経学会
- 小児救急について|国立成育医療研究センター
- 発熱に関する解説|日本小児科学会
- 医薬品情報|医薬品医療機器総合機構(PMDA)
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
夜間の発熱で慌てて受診される方が多いのですが、まずは落ち着いてお子さんの全身状態を観察することが大切です。体温の数値だけでなく、普段と比べて機嫌や反応がどうかを見ていただくことで、緊急性を判断できます。当院でも夜間診療を行っておりますので、心配な症状があれば遠慮なくご相談ください。