「大事な会議の前になると決まって胃が痛くなる」「ストレスを感じるとすぐにキリキリと胃が締め付けられる」——このような症状に悩まされている方は少なくありません。ストレス社会と呼ばれる現代において、ストレス性の胃痛は非常に身近な症状となっています。厚生労働省の調査によると、日本人の約3人に1人が日常的にストレスを感じており、その影響は胃腸にも及んでいます。ストレスによる胃痛は、適切な対処法を知っていれば、比較的早く症状を和らげることが可能です。本記事では、ストレスによる胃痛のメカニズムから、今すぐ実践できる即効性のある対処法、さらには再発を防ぐための予防策まで、医学的な観点から詳しく解説します。
📊 【2024-2025】今シーズンのストレス性胃痛の特徴
2024年から2025年にかけて、リモートワークの普及や働き方の変化により、新しいタイプのストレス性胃痛が増加しています。特に「デジタル疲労」による眼精疲労からくる頭痛と胃痛の併発や、不規則な在宅勤務による食生活の乱れが原因となるケースが目立っています。また、物価上昇や社会情勢の不安定さなど、従来とは異なるストレス要因による胃腸症状も報告されています。これらの現代特有のストレス要因に対しても、本記事で紹介する対処法は有効です。
目次
- ストレスで胃痛が起こるメカニズムとは
- ストレス性胃痛の特徴と症状
- 今すぐできる!ストレス性胃痛を和らげる即効対処法
- ストレス性胃痛に効果的な市販薬の選び方
- ストレス性胃痛を予防する生活習慣
- こんな症状があれば病院へ|受診の目安
- ストレス性胃痛と関連する病気
- 当院での診療傾向【医師コメント】
- よくある質問
🎯 ストレスで胃痛が起こるメカニズムとは
ストレスを感じると胃が痛くなるのは、決して気のせいではありません。私たちの体には、ストレスに反応して胃の働きに影響を与える複雑なメカニズムが存在しています。このメカニズムを理解することで、なぜストレスが胃痛を引き起こすのか、そしてどのように対処すればよいのかが見えてきます。
🦠 自律神経の乱れが胃に影響する仕組み
胃の働きは自律神経によってコントロールされています。自律神経には、体を活動モードにする交感神経と、リラックスモードにする副交感神経の2種類があり、この2つがバランスよく働くことで胃は正常に機能しています。ストレスを感じると、体は「闘争か逃走か」の反応を示し、交感神経が優位になります。交感神経が活発になると、胃の血流が減少し、胃の動きが鈍くなります。一方で、胃酸の分泌は増加することがあり、この不均衡が胃粘膜への刺激となって痛みを引き起こします。また、ストレスが長期化すると、副交感神経の働きも乱れ、胃の蠕動運動(食べ物を消化・移動させる動き)が不規則になります。これにより、食べ物が胃に長くとどまって胃もたれを起こしたり、逆に胃酸が食道に逆流して胸焼けを感じたりすることがあります。
👴 ストレスホルモンと胃粘膜の関係
ストレスを受けると、脳の視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が分泌され、最終的に副腎からコルチゾールというストレスホルモンが放出されます。コルチゾールは短期的には体を守る働きをしますが、慢性的なストレスによって長期間高い状態が続くと、胃粘膜を保護する粘液の分泌が減少します。胃粘膜は通常、粘液のバリアによって強力な胃酸から守られています。しかし、ストレスホルモンの影響でこのバリア機能が低下すると、胃酸が粘膜を直接刺激し、炎症や痛みを引き起こします。さらに、ストレスは胃粘膜の血流を減少させるため、傷ついた粘膜の修復も遅れやすくなります。
🔸 脳腸相関とストレス性胃痛
近年の研究では、脳と腸が神経やホルモンを介して密接に情報をやり取りしていることが明らかになっています。これを「脳腸相関」または「腸脳軸」と呼びます。脳がストレスを感知すると、その情報は迷走神経などを通じて胃腸に伝達され、胃の動きや胃酸分泌に影響を与えます。興味深いことに、この情報伝達は双方向で行われており、胃腸の状態が脳の働きにも影響を与えることがわかっています。つまり、胃の調子が悪いとストレスを感じやすくなり、そのストレスがさらに胃の調子を悪化させるという悪循環が生じることがあります。この脳腸相関の仕組みを理解することは、ストレス性胃痛の治療において非常に重要です。
📋 ストレス性胃痛の特徴と症状
ストレスによる胃痛には、他の原因による胃痛とは異なる特徴があります。自分の胃痛がストレス性のものかどうかを判断するために、その特徴的な症状を知っておくことが大切です。
💧 ストレス性胃痛に見られる典型的な症状
ストレス性胃痛の最も特徴的な点は、ストレスを感じる状況と症状の出現が連動していることです。たとえば、仕事のプレゼン前、試験の当日、人間関係でトラブルがあったときなど、特定のストレス状況で胃痛が起こりやすい傾向があります。痛みの性質としては、キリキリと締め付けられるような痛み、シクシクとした鈍い痛み、胃がキューッと収縮するような痛みなどが多く報告されています。痛みの部位は主にみぞおち付近(心窩部)に感じることが多いですが、左上腹部や臍周囲に感じることもあります。また、ストレス性胃痛では、痛み以外にも以下のような症状を伴うことがあります。胃もたれや膨満感、吐き気、食欲不振、胸焼け、げっぷが多くなる、胃酸が上がってくる感覚などです。これらの症状は、ストレスが軽減されると改善することが多いのも特徴です。
✨ ストレス性胃痛と他の胃痛との違い
ストレス性胃痛を他の原因による胃痛と区別するためのポイントがいくつかあります。まず、発症のタイミングです。ストレス性胃痛は、ストレスを感じる出来事やその直前・直後に症状が出やすいのに対し、胃潰瘍などによる痛みは空腹時(特に夜間から早朝)に悪化することが多い傾向があります。食事との関係も重要な判断材料です。ストレス性胃痛は食事とは関係なく起こることが多いですが、胃炎や胃潰瘍による痛みは食後に悪化したり、逆に食事で一時的に改善したりすることがあります。また、ストレス性胃痛は週末や休暇中には症状が軽減することが多い一方、器質的な病気(実際に胃に傷や炎症がある場合)では、休息中でも症状が続くことが特徴です。ただし、ストレスが長期間続くと実際に胃に炎症や潰瘍ができることもあるため、症状が長引く場合は医療機関での検査が必要です。
📌 機能性ディスペプシアとストレスの関係
ストレス性胃痛が慢性化すると、「機能性ディスペプシア」と診断されることがあります。機能性ディスペプシアとは、胃カメラ検査などで胃に異常が見つからないにもかかわらず、胃痛や胃もたれなどの症状が続く状態を指します。日本では成人の約10〜20%が機能性ディスペプシアの症状を経験しているとされており、その発症や悪化にストレスが大きく関与していることが研究で示されています。機能性ディスペプシアでは、胃の動きが悪くなる「運動機能異常」と、胃が刺激に対して過敏になる「知覚過敏」が起こっていると考えられています。これらの異常は、ストレスによる自律神経の乱れや脳腸相関の異常と密接に関係しています。機能性ディスペプシアの治療では、症状を抑える薬物療法とともに、ストレス管理や生活習慣の改善が重要になります。
💊 今すぐできる!ストレス性胃痛を和らげる即効対処法
ストレスによる胃痛に襲われたとき、すぐに症状を和らげたいと思うのは当然のことです。ここでは、医学的な根拠に基づいた即効性のある対処法を紹介します。状況に応じて使い分けてください。
🦠 ▶️ 深呼吸で自律神経を整える
ストレスを感じると交感神経が優位になり、胃の血流が減少して痛みが生じやすくなります。深呼吸は、副交感神経を活性化させ、自律神経のバランスを整える効果があります。特に効果的なのが「腹式呼吸」です。お腹を膨らませるように鼻からゆっくり4秒かけて息を吸い、お腹をへこませるように口から8秒かけてゆっくり息を吐きます。これを5〜10回繰り返すと、体がリラックスモードに切り替わり、胃の緊張が和らぎます。この呼吸法は、会議の前や緊張する場面の直前に行うことで、胃痛の予防にも効果があります。横隔膜を使った深い呼吸は、迷走神経を刺激して胃腸の働きを正常化する作用もあるため、胃痛時の応急処置として非常に有効です。
🔹 温めることで胃の血流を改善する
ストレスによって胃の血流が低下すると、胃粘膜の防御機能が弱まり、痛みが生じやすくなります。胃のあたり(みぞおち付近)を温めることで、血流を改善し、筋肉の緊張を和らげることができます。温める方法としては、ホットタオルを当てる、使い捨てカイロを服の上から当てる、温かいお風呂に入るなどがあります。外出先では、温かい飲み物(カフェインを含まないもの)を少しずつ飲むだけでも、胃を内側から温める効果があります。白湯やホットミルク、カモミールティーなどがおすすめです。ただし、温度が高すぎると逆に胃を刺激してしまうため、人肌程度の温かさを目安にしてください。
📍 ツボ押しで胃痛を緩和する
東洋医学では、体の特定のポイント(ツボ)を刺激することで、内臓の働きを整えられると考えられています。胃痛に効果的とされるツボをいくつか紹介します。「内関(ないかん)」は手首の内側、手首のしわから指3本分ひじ寄りにあるツボで、吐き気や胃のむかつきに効果的です。親指で3〜5秒押して緩めるを10回程度繰り返します。「足三里(あしさんり)」はひざのお皿の下、外側のくぼみから指4本分下にあるツボで、胃腸全般の症状に効果的とされています。「中脘(ちゅうかん)」はおへそとみぞおちの中間にあるツボで、胃痛や胃もたれに効果的です。仰向けに寝て、指先で優しく円を描くように刺激します。これらのツボ押しは、薬に頼らずにその場で実践できる対処法として覚えておくと便利です。
💫 姿勢を正して胃への圧迫を減らす
猫背や前かがみの姿勢は、胃を圧迫して血流を悪化させ、胃痛を悪化させる原因になります。デスクワーク中に胃痛を感じたら、まず姿勢を正すことを意識してください。椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、顎を軽く引いた姿勢を心がけます。可能であれば、5分程度立ち上がって軽く歩いたり、ストレッチをしたりすることで、胃への圧迫が解消され、血流も改善します。また、食後すぐに横になったり、締め付けの強い服を着たりすることも胃への負担になるため避けましょう。特にベルトやウエストがきつい服は、胃を圧迫して症状を悪化させることがあります。
🦠 リラックスできる香りを活用する
アロマテラピーは、嗅覚を通じて自律神経に働きかけ、リラックス効果をもたらします。ペパーミントの香りは胃腸の働きを整える効果があるとされ、ラベンダーの香りはリラックス効果が高いとされています。ストレス性胃痛の際には、これらの精油をハンカチに1〜2滴垂らして香りを嗅いだり、アロマディフューザーで部屋に香りを広げたりする方法があります。また、ペパーミントティーやカモミールティーを飲むことで、香りを楽しみながら胃を温める効果も得られます。ただし、香りの感じ方には個人差があるため、自分が心地よいと感じる香りを選ぶことが大切です。
👴 水分を少しずつ摂取する
ストレス性胃痛の際は、胃酸過多になっていることが多いため、水分を少しずつ摂取して胃酸を薄める効果が期待できます。冷たい水は胃を刺激する可能性があるため、常温の水か白湯がおすすめです。一度に大量に飲むと胃が膨れて不快感が増すため、コップ1杯程度の水をゆっくり、少しずつ飲むようにしてください。牛乳も胃酸を中和する効果があり、胃粘膜を保護する作用もあるため、胃痛時に適量(コップ半分〜1杯程度)を飲むのも効果的です。ただし、乳製品にアレルギーがある方や、牛乳でお腹を壊しやすい方は避けてください。
🏥 ストレス性胃痛に効果的な市販薬の選び方
即効性のある対処法でも症状が改善しない場合は、市販薬の使用を検討することになります。ストレス性胃痛に効果的な市販薬の種類と選び方について解説します。
🔸 胃酸を抑える薬(H2ブロッカー・制酸薬)
ストレスによって胃酸が過剰に分泌されている場合は、胃酸を抑える薬が効果的です。H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)は、胃酸の分泌を強力に抑える薬で、ファモチジンやラニチジンなどの成分を含む製品が市販されています。効果が現れるまで30分〜1時間程度かかりますが、効果の持続時間が長いのが特徴です。より即効性を求める場合は、制酸薬(胃酸を中和する薬)がおすすめです。水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの成分が胃酸を直接中和し、数分〜十数分で効果が現れます。ただし、効果の持続時間は短いため、症状が長引く場合は繰り返し服用する必要があります。また、マグネシウム系は下痢を、アルミニウム系は便秘を起こしやすいため、お腹の調子に合わせて選ぶとよいでしょう。
💧 胃粘膜を保護する薬
ストレスによって胃粘膜のバリア機能が低下している場合は、胃粘膜を保護する成分を含む薬が効果的です。スクラルファートやテプレノンなどの成分は、胃粘膜の表面を覆って保護したり、粘液の分泌を促進したりする作用があります。これらの薬は、胃酸を抑える薬と併用することで、より効果的にストレス性胃痛を緩和することができます。市販の胃腸薬には、胃酸を抑える成分と胃粘膜を保護する成分が両方配合された総合胃腸薬もあるため、ストレス性胃痛には複数の成分が配合された製品を選ぶのもひとつの方法です。
✨ 胃の動きを整える薬
胃もたれや膨満感を伴うストレス性胃痛には、胃の動きを整える薬(消化管運動機能改善薬)が効果的です。トリメブチンマレイン酸塩などの成分は、胃腸の動きが弱まっているときは促進し、逆に動きすぎているときは抑えるという双方向の作用があります。また、胃の緊張を和らげる鎮痙薬(ブチルスコポラミンなど)は、キリキリと締め付けられるような痛みや、胃がキューッと収縮するような痛みに効果的です。ただし、鎮痙薬は眠気や口の渇きなどの副作用があるため、車の運転前などには注意が必要です。
📌 漢方薬という選択肢
ストレス性胃痛には、漢方薬も効果的な選択肢です。漢方では、ストレスによる気の滞り(気滞)が胃腸症状を引き起こすと考えられており、この気の流れを整える処方が用いられます。「六君子湯(りっくんしとう)」は胃もたれや食欲不振を伴う胃痛に、「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」は胃のむかつきや吐き気を伴う胃痛に、「安中散(あんちゅうさん)」はキリキリとした胃痛に効果的とされています。また、「抑肝散(よくかんさん)」や「加味逍遙散(かみしょうようさん)」などは、ストレスや精神的な緊張による症状全般に用いられ、胃痛だけでなくストレスそのものへの対処にも役立ちます。漢方薬は西洋薬と比べて即効性では劣ることがありますが、体質改善や再発予防の観点から長期的に服用することで効果を発揮します。
👴 ▶️ 市販薬を使う際の注意点
市販薬はあくまでも一時的な症状緩和のためのものです。同じ薬を2週間以上続けて服用しても症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。また、市販薬には相互作用があるため、他の薬を服用中の方は薬剤師に相談してから購入することをおすすめします。妊娠中・授乳中の方、持病がある方も同様に、事前に医師や薬剤師に相談してください。胃痛の原因がストレス以外にある可能性もあるため、市販薬で症状を抑えながら様子を見るだけでなく、根本的な原因を探ることも大切です。
⚠️ ストレス性胃痛を予防する生活習慣
ストレス性胃痛を根本から改善するためには、即効性のある対処法だけでなく、日常生活の中での予防策が重要です。ここでは、ストレス性胃痛を予防するための生活習慣について解説します。
🔹 規則正しい食生活を心がける
不規則な食事は胃に大きな負担をかけます。1日3食を決まった時間に食べることで、胃酸の分泌リズムが整い、空腹時の過剰な胃酸分泌を防ぐことができます。また、早食いや食べ過ぎは胃に負担をかけるため、ゆっくりとよく噛んで食べることを心がけてください。1口あたり20〜30回噛むことを目標にすると、消化がスムーズになり、胃への負担が軽減されます。ストレスを感じやすい時期は特に、消化のよい食べ物を選ぶことが大切です。脂っこいものや刺激の強いもの(辛いもの、酸味の強いもの)は胃に負担をかけるため、控えめにしましょう。胃に優しい食事については「胃に優しい朝食メニュー15選|胃腸が弱い人におすすめの食材と調理法」や「消化にいい食べ物一覧|胃腸に優しい食品・調理法・避けるべき食品を徹底解説」も参考にしてください。
📍 アルコールとカフェインを控える
アルコールは胃粘膜を直接刺激し、胃酸の分泌を促進するため、ストレス性胃痛を悪化させる原因になります。特にストレスを感じているときは、「お酒で発散しよう」と考えがちですが、胃への負担を考えると逆効果です。飲酒量を減らすか、できれば控えることをおすすめします。カフェインも同様に胃酸の分泌を促進し、胃粘膜を刺激する作用があります。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、特に空腹時に摂取すると胃への刺激が強くなります。ストレス性胃痛がある方は、カフェインの摂取を1日2〜3杯程度に抑えるか、カフェインレスの飲み物に切り替えることを検討してください。アルコールの分解についてより詳しく知りたい方は「アルコール分解を促進する方法とは?お酒を早く抜く仕組みと対策を解説」をご覧ください。
💫 十分な睡眠をとる
睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、ストレスへの耐性を低下させます。また、睡眠中は胃腸の修復や再生が行われるため、十分な睡眠は胃の健康維持にも欠かせません。成人の場合、1日7〜8時間の睡眠を確保することが理想的です。また、睡眠の質も重要で、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、寝室の環境を整えることで、深い睡眠を得やすくなります。就寝前の3時間以内の食事は、胃に負担をかけるだけでなく、睡眠の質も低下させるため避けるべきです。睡眠の質を改善したい方は「睡眠負債の解消方法とは?効果的な対策で質の良い睡眠を取り戻そう」も参考にしてください。
🦠 適度な運動を習慣にする
運動はストレス解消に非常に効果的です。体を動かすことでエンドルフィン(脳内で分泌される快感物質)が放出され、気分が改善されます。また、運動は自律神経のバランスを整え、消化機能を改善する効果もあります。激しい運動は逆にストレスになることがあるため、ウォーキング、軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなどの中程度の運動を週に3〜5回、30分程度行うのがおすすめです。特にヨガは、呼吸法と組み合わせることで自律神経を整える効果が高く、ストレス性胃痛の予防に適しています。自宅でできる運動については「家でできる有酸素運動15選|初心者から上級者まで効果的なメニューを紹介」で詳しく紹介しています。
👴 ストレスマネジメントを身につける
ストレス性胃痛を根本から予防するためには、ストレスそのものと向き合うことが大切です。ストレスを完全になくすことは不可能ですが、ストレスへの対処法(コーピング)を身につけることで、ストレスの影響を最小限に抑えることができます。まず、自分がどのような状況でストレスを感じやすいかを把握することから始めましょう。ストレスの原因を特定できれば、その状況を避けたり、事前に対策を立てたりすることができます。また、趣味や好きなことに時間を使う、信頼できる人に話を聞いてもらう、マインドフルネス瞑想を実践するなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることも重要です。ストレスが強い場合は、心療内科や精神科を受診したり、カウンセリングを受けたりすることも検討してください。
🔍 こんな症状があれば病院へ|受診の目安
ストレス性胃痛の多くは、適切なセルフケアや市販薬で改善しますが、中には医療機関での診察や治療が必要な場合もあります。以下のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
🔸 すぐに受診すべき危険な症状
以下の症状は、胃潰瘍や胃穿孔など、重篤な病気のサインである可能性があります。激しい腹痛で動けない場合、吐血や黒色便(タール便)がある場合、高熱を伴う腹痛がある場合、腹部が板のように硬くなっている場合は、すぐに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。これらは緊急性の高い症状であり、早急な治療が必要です。救急外来を受診すべきかどうかの判断に迷った場合は「救急外来に行くべき目安とは?症状別の判断基準と受診前に知っておきたいこと」も参考にしてください。
💧 早めに受診した方がよい症状
以下の症状がある場合は、数日〜1週間以内に医療機関を受診することをおすすめします。市販薬を2週間以上使用しても症状が改善しない場合、体重が急激に減少している場合、食事がのどを通らない・食べると必ず痛む場合、夜間に目が覚めるほどの痛みがある場合、痛みが徐々に悪化している場合です。また、40歳以上で初めて胃痛を経験した場合や、家族に胃がんの既往がある場合は、念のため検査を受けることをおすすめします。胃が重い症状が続く場合の受診目安については「胃が重いときの対処法とは?原因から考える効果的なセルフケアと受診の目安」でも詳しく解説しています。
✨ 何科を受診すればよいか
胃痛の症状がある場合、まずは内科または消化器内科を受診するのが一般的です。消化器内科では、必要に応じて胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)や血液検査、ピロリ菌の検査などを行い、胃痛の原因を詳しく調べることができます。一方、ストレスが原因と明らかな場合や、胃カメラ検査で異常がないにもかかわらず症状が続く場合は、心療内科の受診も検討してください。心療内科では、ストレスと身体症状の関係に詳しい医師が診察を行い、必要に応じて抗不安薬や抗うつ薬などの処方、カウンセリングの紹介などを行います。
📝 ストレス性胃痛と関連する病気
ストレスが原因で起こる胃痛には、いくつかの関連する病気があります。これらの病気について知っておくことで、症状の見極めや適切な対処に役立ちます。
📌 急性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜に急性の炎症が起こる病気です。ストレス、暴飲暴食、アルコール、刺激物の摂取、鎮痛薬の服用などが原因で発症します。症状としては、みぞおちの痛み、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃もたれなどがあります。多くの場合、原因を取り除き、胃を休めることで1〜2週間程度で改善しますが、症状が強い場合は医療機関での治療が必要です。
🔸 ▶️ 胃・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜がえぐれて傷ができる病気です。以前はストレスが主な原因と考えられていましたが、現在ではピロリ菌感染や鎮痛薬の長期服用が主な原因とされています。ただし、ストレスも発症や悪化の要因として重要です。空腹時や夜間に痛みが強くなることが多く、食事をすると一時的に痛みが和らぐことがあります。重症化すると出血や穿孔(穴が開く)を起こす可能性があるため、疑わしい症状がある場合は早めの受診が必要です。
🔹 逆流性食道炎
逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流して食道の粘膜に炎症を起こす病気です。胸焼け、酸っぱいものが込み上げる感覚、のどの違和感などが主な症状ですが、みぞおちの痛みとして感じることもあります。ストレスは胃酸の分泌を増加させ、食道と胃の境目にある括約筋の働きを低下させるため、逆流性食道炎の発症や悪化に関与します。生活習慣の改善と薬物療法で多くの場合改善しますが、症状が続く場合は医療機関での検査が必要です。
📍 過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群は、腸に器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や便通異常(下痢、便秘、またはその両方)が慢性的に続く病気です。ストレスとの関連が非常に強く、機能性ディスペプシア(胃の症状)と合併していることも多くあります。腹痛は主に下腹部に感じることが多いですが、胃のあたりに痛みを感じることもあります。ストレス管理、食事療法、必要に応じて薬物療法を行います。
💫 心身症としての胃痛
心身症とは、ストレスや心理的要因が身体症状の発症や悪化に大きく関与している病気の総称です。ストレス性胃痛が慢性化し、日常生活に支障をきたすようになった場合、心身症として捉えて治療することが効果的な場合があります。心身症の治療では、身体症状に対する薬物療法とともに、ストレスの軽減やストレスへの対処法の習得、必要に応じて心理療法などを行います。心療内科や精神科が専門の診療科となります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「近年、ストレス関連の胃腸症状で来院される患者さんは増加傾向にあります。特に年度替わりの時期や繁忙期には、胃痛や胃もたれを訴える方が例年の約1.3〜1.5倍になることもあります。多くの方が『忙しくて病院に行く時間がない』『ストレスが原因だから仕方ない』と症状を放置しがちですが、早めに対処することで症状の慢性化を防ぐことができます。ストレス性胃痛の場合、まずは生活習慣の見直しと適切なセルフケアを行い、それでも改善しない場合は消化器内科を受診して、器質的な異常がないか確認することをおすすめします。ストレスの原因が明確で、それが解消できない状況であれば、心療内科への相談も有効な選択肢です。」
💡 よくある質問
ストレス性胃痛は、ストレスの原因が解消されれば数日〜1週間程度で改善することが多いです。ただし、慢性的なストレスにさらされている場合は、生活習慣の改善やストレスマネジメントを継続的に行わないと、症状が繰り返し起こる可能性があります。市販薬で症状を抑えながら、根本的なストレス対策を行うことが大切です。
胃痛がひどいときに無理に食べる必要はありませんが、長時間の絶食は胃酸過多を招き、かえって症状を悪化させることがあります。消化のよいおかゆやうどん、温かいスープなどを少量ずつ摂取することをおすすめします。脂っこいものや刺激物は避け、胃に優しい食事を心がけてください。
同じストレスを受けても胃痛が起こる人と起こらない人がいるのは、胃の感受性(知覚過敏の程度)や自律神経のバランス、ストレスへの対処能力などに個人差があるためです。また、胃の粘膜のバリア機能や、ピロリ菌感染の有無なども関係しています。規則正しい生活習慣やストレス耐性を高めることで、胃痛が起こりにくい体質を目指すことができます。
「神経性胃炎」は一般的に使われる言葉ですが、医学的には正式な診断名ではありません。ストレスや心理的要因による胃の症状で、検査で異常が見つからない場合は「機能性ディスペプシア」と診断されることが多いです。どちらもストレスが原因で起こる胃の不調を指しており、治療法も同様です。
牛乳には胃酸を中和する作用と、胃粘膜を保護する作用があるため、ストレス性胃痛の一時的な緩和に効果が期待できます。ただし、乳糖不耐症の方は下痢を起こす可能性があるため注意が必要です。また、冷たい牛乳は胃を刺激することがあるため、常温かホットミルクで飲むことをおすすめします。
ストレス性胃痛の多くは、胃カメラ検査を行っても明らかな異常が見つからないことが特徴です。ただし、胃カメラ検査は胃潰瘍や胃がんなど、他の重大な病気を除外するために重要な検査です。症状が長引く場合や、40歳以上で初めて胃痛を経験した場合は、一度胃カメラ検査を受けることをおすすめします。
リモートワークの普及により、不規則な食事時間や運動不足が原因となるストレス性胃痛が増加しています。また、長時間のデスクワークによる姿勢の悪化や、デジタル疲労による眼精疲労と胃痛の併発も目立ちます。物価上昇や社会情勢の不安定さなど、従来とは異なるストレス要因による胃腸症状も報告されています。
在宅勤務では、決まった時間に食事を摂り、デスク周りに健康的なスナックを用意することが大切です。1時間に1回は立ち上がって軽くストレッチを行い、胃への圧迫を避けるため正しい姿勢を心がけてください。また、仕事とプライベートの境界を明確にし、定時後はパソコンから離れてリラックスする時間を作ることも重要です。
長時間のパソコンやスマートフォンの使用により、眼精疲労や首・肩の緊張が生じます。これらの身体的ストレスは自律神経のバランスを乱し、胃の働きに影響を与えます。また、画面を見続けることで交感神経が優位になり、胃酸の分泌や胃の血流に変化をもたらすため、胃痛が起こりやすくなります。
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 令和元年版厚生労働白書 ストレスの状況
- 日本消化器病学会 – 機能性ディスペプシア診療ガイドライン2021
- 日本心身医学会雑誌 – ストレス関連疾患に関する最新研究
- 厚生労働省e-ヘルスネット – ストレスと食生活
- 国立保健医療科学院 – 現代社会におけるストレス性疾患の動向
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務