ふと肩を触ったときに、これまでなかったはずのしこりやできものに気づいて不安を感じたことはありませんか。肩は背中や首と並んで皮下腫瘍が発生しやすい部位であり、多くの方が経験する身近な症状です。
しこりやできものの大部分は良性腫瘍であり、過度に心配する必要はありません。しかし、なかには悪性腫瘍(がん)の可能性もゼロではないため、自己判断で放置せず、専門医による適切な診断を受けることが大切です。本記事では、肩にできるしこりやできものの原因となる代表的な疾患、良性と悪性の見分け方のポイント、そして治療法について詳しく解説します。渋谷エリアで受診を検討されている方に向けた情報もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 肩にできるしこり・できものとは
- 肩のしこりの主な原因と疾患
- 粉瘤(アテローム)
- 脂肪腫
- ガングリオン
- リンパ節腫脹
- その他の良性腫瘍
- 良性と悪性の見分け方
- 放置するとどうなる?早期受診の重要性
- 治療法の種類と選択
- 粉瘤の手術法
- 脂肪腫の手術法
- ガングリオンの治療法
- 病院は何科を受診すべきか
- 渋谷エリアでの治療について
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
- 参考文献
肩にできるしこり・できものとは
しこりとは、皮膚や皮下組織にできる腫瘤(しゅりゅう)の総称で、「できもの」「こぶ」「はれもの」などとも呼ばれます。全身のあらゆる部位に生じる可能性がありますが、特に背部、肩、頸部(首)は皮下腫瘍が発生しやすい部位として知られています。
肩にできるしこりの大きさや硬さはさまざまで、数ミリ程度の小さなものから10センチを超える大きなものまであります。痛みを伴うものもあれば、まったく自覚症状がないまま徐々に大きくなるものもあります。多くの場合、入浴時や着替えの際に偶然発見されることが多いのが特徴です。
しこりには良性のものと悪性のものがあります。良性のしこりは、皮膚内に老廃物や脂肪などが蓄積することが原因の一つです。一方、悪性のしこりはがんなどの場合があり、早急な治療が必要となります。良性であっても、大きくなって周囲の神経を圧迫するようになれば治療の対象となりますので、気になるしこりがあれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。
肩のしこりの主な原因と疾患
肩にできるしこりの原因として、以下の疾患が代表的です。それぞれの特徴や症状について詳しく解説します。
粉瘤(アテローム)
粉瘤は、皮膚科医が最も診察する機会の多い皮膚腫瘍の一つです。アテローム、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)とも呼ばれ、皮膚の内側に袋状の構造物ができ、本来であれば皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)や皮脂が袋の中に溜まってできる良性腫瘍です。
粉瘤の特徴
粉瘤は体のどこにでもできますが、顔、首、背中、耳の後ろ、肩などに特に発生しやすい傾向があります。やや盛り上がった数ミリから数センチの半球状のしこりとして現れ、しばしば中央に黒点状の開口部(へそ)があることが特徴です。この開口部を強く圧迫すると、臭くてドロドロしたネリ状の物質が出てくることがあります。
粉瘤の原因
粉瘤ができる明確な原因は解明されていませんが、以下のようなケースで発生することがあります。
- ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染
- 外傷や手術により皮膚の一部が内側に入り込んだ場合
- 毛穴の詰まりや皮脂腺の異常
- 体質的に粉瘤ができやすい方
ニキビと混同されることがありますが、ニキビは毛穴が詰まったものであるのに対し、粉瘤は皮膚の下に袋状の組織ができたものであり、自然治癒することはありません。袋状の組織を完全に除去しない限り、再発する可能性があります。
炎症性粉瘤とは
粉瘤は通常痛みを伴いませんが、細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、赤く腫れて強い痛みを生じることがあります。炎症を起こした場合は、まず切開して膿を排出させる処置を優先し、炎症が落ち着いてから袋ごと摘出する手術を行うのが一般的です。
脂肪腫
脂肪腫は、皮下に発生する良性腫瘍のなかで最も多くみられるものです。脂肪細胞が増殖して塊となったもので、薄い線維の膜に包まれています。リポーマとも呼ばれ、軟部組織の腫瘍のなかでは最も発生頻度が高い疾患です。
脂肪腫の特徴
脂肪腫は背部、肩、頸部に最も多く発生し、次いで上腕、臀部、大腿などの体幹に近い四肢に多くみられます。顔面、頭皮、膝下、足などに発生することは比較的まれです。
大きさは数ミリから10センチ以上になることもあり、通常は痛みやかゆみといった症状はありません。皮膚がドーム状に盛り上がり、触ると柔らかいしこりとして感じられ、指で押すと少し動くのが特徴です。
脂肪腫の原因
脂肪腫の発生原因ははっきりとは分かっていませんが、以下のような要因との関連が指摘されています。
- 遺伝的要因(家族性脂肪腫症)
- 外傷との関連
- 肥満、高脂血症、糖尿病をお持ちの方に多い傾向
脂肪腫は幼少期から発生すると考えられていますが、発育が非常に緩やかなため、40〜50歳代になってから発見されることが多いです。女性に多いとされ、肥満の方に発生しやすいという報告もあります。
脂肪腫の種類
脂肪腫にはいくつかの種類があります。
- 線維脂肪腫:最も一般的なタイプで、被膜に包まれている
- 血管脂肪腫:つまむと痛みを伴うことがあり、多発することもある
- 筋脂肪腫:筋肉内に発生し、後頸部に好発する
- 脂肪肉腫:悪性の腫瘍で、軟部肉腫の一種(希少がん)
特に5センチ以上の大きさがある場合や、急速に成長している場合は、悪性腫瘍である脂肪肉腫との鑑別が必要となります。
ガングリオン
ガングリオンは、関節や腱鞘の周囲にできる良性の腫瘤です。内部にはゼリー状の粘液が詰まっており、腫瘍ではありません。手首の甲側に最も多く発生しますが、肩関節付近にできることもあります。
ガングリオンの特徴
ガングリオンの大きさは米粒大からピンポン玉大までさまざまで、柔らかいものから硬いものまであります。大きくなったり小さくなったり、消えたと思ったらまた再発したりすることがあるのが特徴です。
ガングリオン自体は良性であり、痛みがないことが多いですが、神経の近くにできた場合は神経を圧迫して痛みやしびれ、運動障害を起こすことがあります。
ガングリオンの原因
ガングリオンができる明確な原因は分かっていませんが、関節包や腱鞘の部分から発生します。関節液や腱と腱鞘の潤滑油である滑液がガングリオンの袋に送られて濃縮し、ゼリー状になると考えられています。
若い女性に多くみられますが、必ずしも手をよく使う人にできるわけではありません。20〜50歳代に発症することが多いとされています。
リンパ節腫脹
リンパ節は全身に300〜600個存在し、体内に入ってきた細菌やウイルス、がん細胞などの異物から身体を守る免疫応答において重要な役割を担っています。このリンパ節が通常よりも腫れている状態を「リンパ節腫脹」と呼び、肩や鎖骨周辺にしこりとして触れることがあります。
リンパ節腫脹の原因
リンパ節腫脹の主な原因は以下の3つに分類されます。
- 感染症によるもの(約8割)
- ウイルス感染症(風邪、インフルエンザなど)
- 細菌感染(咽頭炎、扁桃炎、歯の感染など)
- 結核
- 自己免疫疾患によるもの
- 関節リウマチ
- 全身性エリテマトーデス(SLE)
- 悪性疾患によるもの
- 悪性リンパ腫
- がんのリンパ節転移
感染症による腫れは通常痛みを伴い、数日から2週間程度で自然に軽快することが多いです。一方、悪性疾患による腫れは痛みを伴わないことが多く、硬くて可動性がない特徴があります。
その他の良性腫瘍
肩にできるしこりとして、以下のような良性腫瘍も考えられます。
石灰化上皮腫(毛母腫)
毛根に存在する毛母細胞を起源とする良性腫瘍です。皮膚の直下に石のように硬いしこりを触れ、触ると表面が凸凹しています。特に小児の顔(まぶた)、腕、首などに発生することが多いですが、肩にできることもあります。
神経鞘腫
神経から発生する良性腫瘍で、押すと電気が走るような痛みを感じることがあります。肩甲骨周辺に発生することもあります。
血管腫
血管から発生する良性腫瘍で、皮膚表面が赤みを帯びることがあります。
良性と悪性の見分け方
しこりが良性か悪性かを完全に自分で判断することは困難です。しかし、以下のようなポイントを参考にすることで、ある程度の目安を得ることができます。最終的な診断は必ず専門医に委ねてください。
良性のしこりの特徴
- 周囲の皮膚としこりの境界がはっきりしている
- ゆっくりと大きくなる(急激な変化がない)
- 皮膚の表面に異常がみられない
- 触ると柔らかく、滑らかである
- 指で押すと動く(可動性がある)
- 痛みを伴うことがある(炎症性の場合)
悪性のしこりの特徴
- 周囲の皮膚との境界がはっきりしない
- 硬く、表面が凸凹している
- 短期間で急速に大きくなる
- 押しても動かない(周囲組織と癒着している)
- 痛みがないことが多い
- 出血がある、ジクジクしている
- 5センチ以上の大きさがある
特に注意すべき警戒サインとして、以下の症状がある場合は早急に医療機関を受診してください。
- しこりが急速に大きくなっている
- しこりが5センチ以上ある
- しこりが硬く、動かない
- 原因不明の体重減少がある
- 発熱や寝汗が続いている
- しこりの数が増えている
放置するとどうなる?早期受診の重要性
「痛みがないから大丈夫」「そのうち消えるだろう」と考えてしこりを放置することは、さまざまなリスクを伴います。
粉瘤を放置した場合
粉瘤は自然に消えることはなく、放置すると以下のような問題が生じる可能性があります。
- 徐々に大きくなり、外見上の問題が生じる
- 細菌感染を起こし、炎症性粉瘤となって強い痛みや腫れを生じる
- 袋が破裂して周囲の組織に炎症が広がる
- 大きくなるほど手術時の傷跡も大きくなる
- ごくまれに悪性化(有棘細胞がんなど)の報告がある
脂肪腫を放置した場合
脂肪腫も自然に消えることはなく、時間とともに大きくなっていきます。
- 大きくなると周囲の神経を圧迫し、しびれや痛みを生じることがある
- 外見上の問題(見た目が気になる)
- 大きくなってからの手術は傷跡も大きくなる
- まれに悪性腫瘍(脂肪肉腫)である可能性を見落とすリスク
早期受診のメリット
しこりに気づいた時点で早めに受診することには、以下のメリットがあります。
- 正確な診断が得られる
- 良性か悪性かの判断ができる
- 適切な治療方針が立てられる
- 治療が容易になる
- 小さいうちは手術も簡単で、傷跡も目立ちにくい
- 回復も早い
- 悪性腫瘍の早期発見
- 万が一悪性であった場合でも、早期発見により予後が良くなる
- 精神的な安心
- 「悪い病気ではないか」という不安を解消できる
治療法の種類と選択
肩にできたしこりの治療は、その原因や大きさ、症状によって異なります。ここでは代表的な治療法について解説します。
粉瘤の手術法
粉瘤は塗り薬や飲み薬で治すことはできず、根治には手術による摘出が必要です。手術方法には主に「切開法(従来法)」と「くり抜き法(へそ抜き法)」の2種類があります。
切開法(従来法)
メスを使って粉瘤の直上を紡錘形に切開し、袋ごと摘出する方法です。
長所:
- 袋を破らずに完全に取り出せるため、再発率が低い
- 大きな粉瘤にも対応可能
短所:
- 粉瘤の大きさと同程度の傷跡が残る
- 抜糸のための通院が必要
くり抜き法(へそ抜き法)
トレパン(ディスポーザブルパンチ)という直径4〜5ミリほどの円筒状のメスを使い、粉瘤の中央に小さな穴をあけて内容物と袋を取り出す方法です。
長所:
- 傷跡が小さく目立ちにくい
- 手術時間が短い
- 縫合が不要な場合もあり、抜糸の必要がないことも
- 炎症を起こしている粉瘤にも対応可能な場合がある
短所:
- 袋の取り残しがあると再発の可能性がある
- 手のひらや足の裏の粉瘤には適応にならない
- 炎症を繰り返して癒着が強い場合は適応外
日本皮膚科学会によれば、良性腫瘍である粉瘤は炎症を伴わず痛みなどの自覚症状がなければ特に治療をしなくても問題ありませんが、外観的に問題になる場合や将来的に炎症を起こす可能性が高い場合は外科的に切除することが推奨されています。
炎症性粉瘤の治療
炎症を起こして赤みや腫れ、痛みが強い場合は、まず表面の皮膚を切開して膿を排出させることを優先します。炎症が落ち着いた後(通常2〜3ヶ月後)に、改めて袋ごと摘出する手術を行います。
脂肪腫の手術法
脂肪腫は自然に消えることがなく、根治には手術による摘出が必要です。
手術の流れ
- 局所麻酔を行う
- 脂肪腫の直上を切開する
- 脂肪腫を被膜ごと摘出する
- 必要に応じてドレーン(排液管)を留置する
- 縫合する
小さな脂肪腫であれば日帰り手術が可能ですが、大きなものや深部にあるもの、筋肉内脂肪腫などは入院して全身麻酔下で手術を行うこともあります。
注意点
- 脂肪腫は脂肪吸引では完全に除去できない
- 小さいうちに手術すれば傷跡も小さくて済む
- 摘出した組織は病理検査を行い、悪性でないことを確認する
ガングリオンの治療法
ガングリオンは良性腫瘤であり、症状がなければ特に治療は必要ありません。ただし、痛みやしびれがある場合や、大きくなって日常生活に支障がある場合は治療を行います。
保存的治療
穿刺吸引療法:注射針をガングリオンに刺してゼリー状の内容物を吸引する方法です。何回か繰り返すことで治ることもありますが、再発率は50〜70%程度と高いです。
圧迫療法:ガングリオンに力を加えて押し潰す方法です。ただし、自分で行うと感染を起こす危険があるため、必ず専門医の処置を受けてください。
手術療法
保存的治療を繰り返しても再発する場合は、手術によりガングリオンを摘出します。再発を防ぐためには、関節包や腱鞘につながっている茎も含めて完全に摘出することが重要です。
病院は何科を受診すべきか
肩にしこりやできものができた場合、何科を受診すべきか迷う方も多いでしょう。結論から言えば、皮膚科または形成外科の受診が適切です。
皮膚科
皮膚科は、皮膚に関するあらゆる疾患を診断・治療する診療科です。しこりの診断から内服薬・外用薬による治療まで対応可能です。ただし、手術を行っていない皮膚科もあるため、手術が必要な場合は形成外科や外科を紹介されることがあります。
形成外科
形成外科は、体の表面に現れる異常を主に手術によって治療する診療科です。機能の回復だけでなく、見た目の仕上がりも重視しているため、傷跡を目立たなくする技術に優れています。日本形成外科学会では「皮膚腫瘍外科分野指導医」という専門資格も設けており、皮膚腫瘍の診断・治療のスペシャリストが在籍しています。
どちらを選ぶべきか
- まずは診断を受けたい → 皮膚科
- すぐに手術を希望する → 形成外科
- 傷跡を目立たなくしたい → 形成外科
- どちらか迷う場合 → 皮膚科または形成外科のどちらでも可
しこりが深い部位にある場合や、骨や筋肉に関連が疑われる場合は整形外科を受診することもあります。また、首のリンパ節が腫れている場合は耳鼻咽喉科や内科(血液内科)が適切な場合もあります。
渋谷エリアでの治療について
渋谷エリアには、皮膚科や形成外科を標榜するクリニックが多数あり、肩のしこりやできものの診断・治療を受けることができます。
渋谷で治療を受けるメリット
渋谷は交通の便が良く、JR各線、東京メトロ各線、東急各線、京王線など複数の路線が乗り入れています。仕事帰りや学校帰りにも通院しやすく、土日も診療しているクリニックが多いのが特徴です。
また、渋谷エリアには大学病院や総合病院と連携しているクリニックも多く、万が一悪性が疑われる場合や専門的な治療が必要な場合でも、スムーズに紹介を受けることができます。
クリニック選びのポイント
- 専門医資格の確認
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本形成外科学会認定形成外科専門医
- 皮膚腫瘍外科分野指導医
- 手術実績
- 粉瘤や脂肪腫の手術経験が豊富か
- 診療時間
- 平日夜間や土日の診療があるか
- 日帰り手術の可否
- 当日手術が可能か
- アクセス
- 通院しやすい場所にあるか
治療費の目安
粉瘤や脂肪腫の手術は健康保険が適用されます。費用は腫瘍の大きさや部位によって異なりますが、目安として以下のとおりです。
粉瘤(3割負担の場合):
- 露出部(顔など)2cm未満:約5,000〜6,000円
- 露出部2cm以上4cm未満:約11,000〜12,000円
- 非露出部3cm未満:約4,000〜5,000円
- 非露出部3cm以上6cm未満:約10,000〜11,000円
脂肪腫(3割負担の場合):
- 3cm未満:約10,000円前後
- 3cm以上6cm未満:約15,000円前後
- 6cm以上:約25,000円前後
上記に加えて、初診料、検査料、処方料などが別途かかります。また、生命保険や医療保険に加入している場合は、手術給付金が受けられることがありますので、事前に保険会社に確認することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)
粉瘤や脂肪腫は自然に消えることはありません。むしろ放置すると徐々に大きくなっていきます。ガングリオンは自然に消失することもありますが、再発しやすい傾向があります。気になるしこりがある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
絶対にやめてください。自分でしこりを潰すと、細菌感染を起こして炎症が悪化したり、袋が破れて周囲の組織に炎症が広がったりする危険があります。また、内容物を出しても袋が残っていれば再発します。必ず医療機関で適切な処置を受けてください。
Q3. 手術は痛いですか?
手術は局所麻酔を行ってから実施するため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時に少しチクッとした感覚がありますが、処置中は無痛です。術後も軽い違和感や鈍い痛み程度で、強い痛みを訴える方は少数です。
Q4. 手術後はどのくらいで日常生活に戻れますか?
日帰り手術の場合、当日から日常生活に戻ることができます。ただし、手術当日は飲酒や激しい運動を避け、ゆっくり休息をとることが大切です。抜糸までの約1週間はシャワーのみにとどめ、傷口を湯船につけないようにしてください。
Q5. 手術跡は目立ちますか?
形成外科では傷跡を目立たなくする技術を持っています。くり抜き法を選択すれば傷跡は非常に小さく、時間の経過とともに目立たなくなります。ただし、体質や部位によっては一時的な赤みや色素沈着がみられることもあります。
Q6. 再発することはありますか?
粉瘤の場合、袋を完全に取り切れなかった場合は再発することがあります。切開法では再発率が低く、くり抜き法ではやや高い傾向があります。脂肪腫も被膜を完全に摘出できなかった場合は再発の可能性があります。
Q7. 悪性かどうかはどうやって調べるのですか?
摘出した組織は病理検査に出し、顕微鏡で細胞を調べて良性か悪性かを診断します。また、手術前に超音波検査(エコー)やMRI検査、CT検査などの画像検査を行うこともあります。
Q8. 保険は適用されますか?
粉瘤や脂肪腫などの良性腫瘍の摘出手術は、健康保険が適用されます。美容目的でない限り、保険診療で治療を受けることができます。
まとめ
肩にできたしこりやできものの多くは、粉瘤(アテローム)や脂肪腫などの良性腫瘍です。これらは自然に消えることがなく、放置すると大きくなったり炎症を起こしたりする可能性があるため、気づいた時点で早めに医療機関を受診することをお勧めします。
良性と悪性の見分け方にはある程度の目安がありますが、自己判断は危険です。特にしこりが急速に大きくなっている場合や、5センチ以上ある場合、硬くて動かない場合は、早急に専門医の診察を受けてください。
治療は基本的に手術による摘出が必要ですが、局所麻酔による日帰り手術で行えることがほとんどです。形成外科では傷跡を目立たなくする技術を持っており、くり抜き法などの低侵襲な手術法も選択できます。
渋谷エリアには、皮膚科専門医や形成外科専門医が在籍するクリニックが多数あり、土日診療や夜間診療を行っている施設もあります。アクセスの良さを活かして、仕事帰りや休日に気軽に受診することができます。
「このしこりは何だろう?」と不安に感じている方は、まずは専門医の診察を受けて正確な診断を得ることが大切です。早期に受診することで、適切な治療を受けられるだけでなく、精神的な安心も得られます。お気軽にご相談ください。
参考文献
- 公益社団法人日本皮膚科学会「アテローム(粉瘤)」皮膚科Q&A https://www.dermatol.or.jp/qa/qa17/index.html
- 一般社団法人日本形成外科学会「脂肪腫」 https://jsprs.or.jp/general/disease/shuyo/hifu_hika/shiboshu.html
- 一般社団法人日本形成外科学会「粉瘤(アテローム・表皮嚢腫)」 https://jsprs.or.jp/general/disease/shuyo/hifu_hika/funryu.html
- 公益社団法人日本整形外科学会「ガングリオン」症状・病気をしらべる https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/ganglion.html
- 社会福祉法人恩賜財団済生会「しこり」症状から調べる https://www.saiseikai.or.jp/medical/symptom/lump/
- 中外製薬「しこりの原因は?考えられる病気の特徴やチェックポイント」おしえてリンパ腫のコト https://oshiete-gan.jp/lymphoma/concerns/symptoms/lump.html
- 国立がん研究センター希少がんセンター「体幹の肉腫」 https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/sarcoma_in_the_trunk/index.html
- 国立がん研究センター「リンパ腫の原因・症状について」 https://www.ncc.go.jp/jp/information/knowledge/Lymphoma/001/index.html
- 公益財団法人長寿科学振興財団「リンパ節腫脹」健康長寿ネット https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/rinpa.html
- 東京逓信病院形成外科「脂肪腫について」 https://www.hospital.japanpost.jp/tokyo/shinryo/keisei/shibousyu.html
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務