はじめに
咳をしたときに、グミのようなゼリー状の緑色の痰が出て驚いた経験はありませんか?普段とは違う色や質感の痰が出ると、「何か重大な病気では?」と不安になる方も多いでしょう。
痰は私たちの気道の健康状態を示す重要なサインです。特に緑色でグミのような質感の痰は、体内で何らかの変化が起きていることを示しています。この記事では、グミみたいな緑色の痰が出る原因、考えられる病気、そして適切な対処法について、アイシークリニック渋谷院の医師が詳しく解説します。
痰とは何か?基礎知識を理解する
痰の役割と成分
痰(たん)は、気道の粘膜から分泌される粘液性の物質です。医学的には「喀痰(かくたん)」とも呼ばれます。健康な人でも常に少量の痰は産生されており、気道を保護する重要な役割を担っています。
痰の主な成分は以下の通りです:
- 水分(約95%)
- ムチン(糖タンパク質)
- 免疫グロブリン(抗体)
- 白血球
- 気道の上皮細胞
- 細菌やウイルスなどの異物
健康な状態では、痰は透明から白色で、粘り気はあまり強くありません。しかし、感染症や炎症が起こると、痰の量、色、質感が変化します。
正常な痰と異常な痰の違い
正常な痰の特徴:
- 色:透明または白色
- 量:1日に10〜100ml程度(無意識に飲み込んでいる)
- 質感:サラサラしている
- におい:ほとんどない
異常な痰の特徴:
- 色:黄色、緑色、茶色、赤色など
- 量:明らかに増加している
- 質感:粘り気が強い、ドロドロしている、塊がある
- におい:悪臭がする
今回のテーマである「グミみたいな緑色の痰」は、明らかに異常な痰の特徴を持っています。
グミのような質感になる理由
痰の粘稠度が増す仕組み
痰がグミのようなゼリー状、ゼラチン状になるのは、痰の「粘稠度(ねんちゅうど)」が高くなっているためです。粘稠度とは、液体の粘り気の強さを示す指標です。
粘稠度が高くなる主な理由:
- ムチンの過剰産生 気道に炎症が起こると、粘液を産生する杯細胞が活性化され、ムチンという糖タンパク質が過剰に分泌されます。ムチンは水分を吸収してゲル状になる性質があり、これが痰をグミのような質感にします。
- 水分量の減少 体内の水分が不足していたり、気道の乾燥が進むと、痰に含まれる水分の割合が減り、相対的に固形成分が増えて粘り気が強くなります。
- 白血球やDNAの増加 感染症が起こると、白血球が病原体と戦うために集まります。白血球が破壊されると、細胞内のDNAが放出され、これが痰の粘り気を増す原因となります。
- 細菌や細胞の残骸 細菌感染が起こると、細菌本体やその代謝産物、戦った白血球の残骸などが痰に混ざり込み、ドロドロとした質感になります。
なぜ「グミみたい」と感じるのか
グミやゼリーのような弾力性のある質感は、ムチンの分子構造によるものです。ムチンは長い鎖状の分子構造を持ち、それらが絡み合うことでゲル状の網目構造を形成します。これはゼラチンやグミの構造と似ており、独特の弾力性や粘着性を生み出します。
特に細菌感染による炎症が強い場合、ムチンの産生がさらに増え、より強い粘性と弾力性を持つ痰になります。
緑色の痰が出る理由
痰が緑色になるメカニズム
痰が緑色になるのは、主に好中球という白血球が関係しています。好中球は細菌感染に対して最前線で戦う免疫細胞です。
緑色になる具体的なメカニズム:
- ミエロペルオキシダーゼの作用 好中球には「ミエロペルオキシダーゼ(MPO)」という酵素が含まれています。この酵素は緑色の色素を持っており、好中球が細菌と戦って破壊されると、MPOが痰に放出されます。
- ベルドペルオキシダーゼ もう一つの緑色色素として「ベルドペルオキシダーゼ」があります。これも好中球由来の酵素で、緑色の外観を作り出します。
- 細菌の色素 一部の細菌、特に緑膿菌(りょくのうきん)は、「ピオシアニン」や「ピオベルディン」といった緑色の色素を産生します。これらの色素が痰に混ざることで、より鮮やかな緑色になることがあります。
緑色の痰が示す意味
緑色の痰は、細菌感染が起きている可能性が高いことを示しています。ウイルス感染の場合、痰は透明から白色、あるいは黄色になることが多く、緑色になることは比較的少ないとされています。
ただし、痰の色だけで病気を特定することはできません。緑色の痰に加えて、他の症状(発熱、咳の性質、呼吸困難など)を総合的に評価することが重要です。
グミみたいな緑色の痰が出る主な病気
1. 急性気管支炎
概要: 急性気管支炎は、気管支の粘膜に炎症が起こる病気です。最も一般的な原因はウイルス感染ですが、細菌感染によって起こることもあります。
症状:
- 咳(最初は乾いた咳、次第に湿った咳へ)
- 緑色や黄色の痰
- 胸の不快感や痛み
- 微熱(37〜38度程度)
- 倦怠感
- 呼吸時のゼーゼーという音(喘鳴)
特徴: 急性気管支炎では、当初は透明な痰が出ますが、感染が進行すると黄色から緑色の粘稠な痰に変化します。グミのような質感の緑色の痰が出る場合、細菌の二次感染が起きている可能性があります。
治療: ウイルス性の場合は対症療法が中心ですが、細菌性が疑われる場合は抗菌薬が処方されることがあります。咳止め、去痰薬なども使用されます。
2. 細菌性肺炎
概要: 肺炎は肺の奥深く(肺胞)に炎症が起こる病気です。細菌性肺炎は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの細菌によって引き起こされます。
症状:
- 高熱(38度以上)
- 激しい咳
- 膿性の痰(緑色、黄色、時に茶色)
- 胸痛(深呼吸や咳で悪化)
- 呼吸困難
- 悪寒、戦慄
- 全身倦怠感
特徴: 細菌性肺炎では、大量の好中球が肺に集まるため、緑色でグミのような粘稠な痰が特徴的です。特に肺炎球菌による肺炎では、「鉄さび色」と呼ばれる茶褐色がかった痰が出ることもあります。
重症度: 肺炎は重症化すると生命に関わる疾患です。特に高齢者、慢性疾患を持つ方、免疫力が低下している方は注意が必要です。
治療: 抗菌薬による治療が必須です。重症の場合は入院治療が必要になります。
3. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪
概要: COPDは、主に長期の喫煙によって肺に慢性的な炎症が起こり、呼吸機能が低下する病気です。普段は安定していても、感染症などをきっかけに急激に症状が悪化することを「急性増悪」と呼びます。
症状:
- 咳の増加
- 痰の量の増加と性状の変化(緑色、黄色)
- 呼吸困難の悪化
- 喘鳴
- 発熱(感染を伴う場合)
特徴: COPD患者さんが細菌感染を起こすと、普段よりも粘り気の強い緑色の痰が大量に出るようになります。グミのような質感の痰は、気道の炎症が強いことを示しています。
治療: 抗菌薬、気管支拡張薬、ステロイド薬などを使用します。酸素療法が必要になることもあります。
4. 副鼻腔炎(蓄膿症)
概要: 副鼻腔炎は、顔の骨の中にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こる病気です。急性副鼻腔炎と慢性副鼻腔炎があり、慢性化したものは蓄膿症とも呼ばれます。
症状:
- 鼻づまり
- 黄色や緑色の鼻水
- 後鼻漏(鼻水が喉に流れ落ちる)
- 顔面痛、頭痛
- 嗅覚障害
- 咳(後鼻漏による刺激)
特徴: 副鼻腔炎では、副鼻腔にたまった膿が喉に流れ落ちることで、グミのような緑色の痰として排出されます。特に朝起きたときに、ドロッとした緑色の塊が喉にある感覚があることが特徴です。
治療: 急性の場合は抗菌薬、慢性の場合はマクロライド系抗菌薬の少量長期投与、鼻洗浄などが行われます。改善しない場合は内視鏡手術が検討されることもあります。
5. 気管支拡張症
概要: 気管支拡張症は、気管支が異常に拡張してしまい、元に戻らなくなる病気です。拡張した気管支には痰が溜まりやすく、細菌感染を繰り返しやすくなります。
症状:
- 慢性的な咳
- 大量の痰(1日に数十ml以上)
- 痰に血が混じることがある
- 繰り返す肺感染症
- 呼吸困難
特徴: 気管支拡張症では、緑膿菌などの細菌が慢性的に感染することが多く、常に緑色の痰が出ることがあります。痰の量が非常に多く、グミのような塊として何度も喀出されることが特徴です。
治療: 去痰療法、体位ドレナージ(姿勢を変えて痰を出しやすくする)、感染時の抗菌薬投与などが行われます。
6. 肺膿瘍
概要: 肺膿瘍は、肺の組織内に膿がたまった状態です。細菌感染によって肺組織が壊死し、そこに膿瘍(のうよう)が形成されます。
症状:
- 高熱
- 激しい咳
- 大量の悪臭のある膿性痰
- 胸痛
- 体重減少
- 全身衰弱
特徴: 肺膿瘍では、非常に強い悪臭を伴う緑色の痰が特徴的です。痰の量も多く、グミのような塊が何度も出ることがあります。嫌気性菌が原因の場合、特に悪臭が強くなります。
治療: 長期間(数週間から数ヶ月)の抗菌薬投与が必要です。改善しない場合は、ドレナージや外科的治療が検討されます。
7. 緑膿菌感染症
概要: 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、環境中に広く存在する細菌で、健康な人には通常感染しませんが、免疫力が低下している人や慢性肺疾患のある人に感染します。
症状:
- 咳
- 鮮やかな緑色の痰
- 発熱
- 呼吸困難
特徴: 緑膿菌は緑色の色素(ピオシアニン)を産生するため、感染すると非常に鮮やかな緑色の痰が出ます。グミのような質感に加えて、独特の甘い匂いがすることもあります。
治療: 緑膿菌は多くの抗菌薬に耐性を持つため、感受性のある抗菌薬を選択して使用する必要があります。治療が難しい場合もあります。
その他の緑色の痰の原因
アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
喘息患者さんなどで、アスペルギルスという真菌(カビ)に対するアレルギー反応が起こり、緑褐色の痰の塊が出ることがあります。
気管支喘息の増悪
喘息発作時に細菌感染を合併すると、緑色の粘稠な痰が出ることがあります。
誤嚥性肺炎
食べ物や唾液が誤って気道に入ることで起こる肺炎です。口腔内の細菌が肺に入るため、緑色の痰が出ることがあります。
症状の見分け方と危険なサイン
受診すべき症状
以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください:
早めの受診が必要な症状:
- 緑色の痰が3日以上続く
- 痰の量が明らかに増えている
- 38度以上の発熱がある
- 咳が2週間以上続いている
- 呼吸が苦しい
- 胸の痛みがある
緊急受診が必要な症状:
- 高熱(39度以上)が続く
- 痰に血が混じる
- 強い呼吸困難がある
- 意識がもうろうとする
- 唇や爪が紫色になる(チアノーゼ)
- 激しい胸痛がある
痰の色と考えられる病態
| 痰の色 | 主な原因 |
|---|---|
| 透明・白色 | 正常、ウイルス感染、アレルギー |
| 黄色 | 細菌感染(初期)、好中球の増加 |
| 緑色 | 細菌感染(進行期)、緑膿菌感染 |
| 茶色・錆色 | 肺炎球菌性肺炎、陳旧性出血 |
| ピンク・赤色 | 新鮮な出血、肺水腫 |
| 黒色 | 喫煙、炭粉吸入、真菌感染 |
診断のための検査
問診と身体診察
医師は以下のような情報を確認します:
- 症状の始まった時期と経過
- 痰の色、量、質感の変化
- 随伴症状(発熱、呼吸困難など)
- 喫煙歴
- 既往歴(肺疾患、心疾患など)
- 職業歴(粉塵暴露など)
身体診察では、聴診で肺の音を確認し、呼吸の状態を評価します。
喀痰検査
一般細菌検査: 痰を顕微鏡で観察し、細菌の種類を調べます。グラム染色という方法で、細菌の大まかな分類ができます。
喀痰培養検査: 痰を培地で培養し、原因菌を特定します。同時に、どの抗菌薬が効くかを調べる薬剤感受性試験も行います。結果が出るまでに数日かかります。
細胞診: 痰の中の細胞を顕微鏡で詳しく観察し、がん細胞の有無などを調べます。
血液検査
- 白血球数とCRP:炎症の程度を評価します
- プロカルシトニン:細菌感染の有無を評価します
- 酸素飽和度:血液中の酸素の状態を評価します
画像検査
胸部X線検査: 肺炎、肺膿瘍、気管支拡張症などの有無を確認します。
胸部CT検査: より詳細に肺の状態を評価できます。気管支拡張症や小さな病変の発見に有用です。
その他の検査
- 肺機能検査:呼吸機能を評価します
- 気管支鏡検査:必要に応じて、直接気管支の内部を観察します
治療法
原因疾患に対する治療
細菌感染に対する抗菌薬治療:
緑色の痰が出る場合、細菌感染が疑われるため、抗菌薬が処方されることが多いです。
- ペニシリン系:アモキシシリンなど
- セフェム系:セフカペンピボキシルなど
- マクロライド系:クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど
- ニューキノロン系:レボフロキサシンなど(緑膿菌に対応)
抗菌薬は医師の指示通りに最後まで飲み切ることが重要です。途中でやめると、耐性菌が発生するリスクが高まります。
対症療法:
- 去痰薬:カルボシステイン、アンブロキソールなど。痰を出しやすくします
- 気管支拡張薬:気管支を広げて呼吸を楽にします
- 解熱鎮痛薬:発熱や痛みを和らげます
痰を出しやすくする方法
水分補給: 十分な水分摂取(1日1.5〜2リットル程度)により、痰が柔らかくなり、排出しやすくなります。
加湿: 室内の湿度を50〜60%に保つことで、気道の乾燥を防ぎます。加湿器の使用が効果的です。
体位ドレナージ: 体の位置を変えることで、重力を利用して痰を排出しやすくします。理学療法士の指導のもとで行うことが理想的です。
咳嗽介助: 効果的な咳の方法を習得することで、痰の排出を促進できます。
呼吸リハビリテーション: 適切な呼吸法や運動により、痰の排出能力を改善します。
ネブライザー療法
薬剤を細かい霧状にして吸入する治療法です。気管支拡張薬や去痰薬を直接気道に届けることができます。
重症例の治療
肺炎や肺膿瘍など重症の場合は、以下のような治療が必要になることがあります:
- 入院治療:点滴による抗菌薬投与、酸素療法
- 膿瘍のドレナージ:膿を外科的に排出する
- 人工呼吸管理:重症呼吸不全の場合
日常生活での予防法
感染症予防
手洗い・うがい: 最も基本的で効果的な予防法です。特に外出後、食事前には必ず行いましょう。
マスクの着用: 人混みや乾燥した環境では、マスクの着用が気道の保護に効果的です。
予防接種:
- インフルエンザワクチン:毎年接種することで、インフルエンザとその合併症を予防できます
- 肺炎球菌ワクチン:高齢者や慢性疾患のある方に推奨されます
生活習慣の改善
禁煙: 喫煙は気道の粘膜を傷つけ、免疫機能を低下させます。禁煙は呼吸器疾患予防の最も重要な対策です。
規則正しい生活: 十分な睡眠、バランスの取れた食事により、免疫力を維持します。
適度な運動: ウォーキングなどの有酸素運動は、心肺機能を高め、免疫力を向上させます。
ストレス管理: 過度なストレスは免疫機能を低下させます。適切な休息とリラクゼーションを心がけましょう。
環境整備
室内の清潔を保つ: こまめな掃除により、カビやダニなどのアレルゲンを減らします。
適切な温度・湿度管理: 室温は18〜22度、湿度は50〜60%が理想的です。
換気: 定期的な換気により、室内の空気を新鮮に保ちます。

よくある質問(Q&A)
A. 必ずしもそうではありません。緑色の痰が出ても、全身状態が良好で症状が軽い場合は、経過観察で改善することもあります。ただし、発熱や呼吸困難などの症状を伴う場合、症状が長引く場合は、医療機関を受診して適切な診断を受けることが重要です。
A. 以下の方法を試してみてください:
温かい飲み物(白湯、お茶)をゆっくり飲む
蒸気を吸入する(お風呂や加湿器の蒸気)
うがいをする
深呼吸をしてから、腹部に力を入れて強く咳をする
それでも改善しない場合や、呼吸困難を伴う場合は医療機関を受診してください
Q3. 痰に血が混じっています。大丈夫でしょうか?
A. 痰に血が混じる(血痰)場合は、必ず医療機関を受診してください。少量の血が筋状に混じる程度なら、激しい咳による粘膜の損傷の可能性がありますが、肺がんや肺結核などの重大な疾患のサインである可能性も否定できません。特に大量の血が混じる場合は、緊急受診が必要です。
Q4. 子供が緑色の痰を出しています。注意点はありますか?
A. 小児の場合、特に以下の点に注意してください:
- 呼吸の状態(呼吸が速い、苦しそう)
- 水分摂取ができているか
- 活気があるか
- 高熱が続いていないか
小児は症状が急変することがあるため、心配な場合は早めに小児科を受診してください。
Q5. 慢性的に緑色の痰が出ます。どうすればいいですか?
A. 慢性的に緑色の痰が出る場合、気管支拡張症や慢性副鼻腔炎、COPDなどの慢性疾患が隠れている可能性があります。放置すると病状が進行する可能性があるため、呼吸器内科や耳鼻咽喉科を受診し、精密検査を受けることをお勧めします。
Q6. 市販の去痰薬を飲んでも大丈夫ですか?
A. 市販の去痰薬は、痰を出しやすくする効果がありますので、使用しても構いません。ただし、以下の場合は医療機関を受診してください:
- 高熱がある
- 症状が3日以上続く
- 呼吸困難がある
- 胸痛がある
また、市販薬を使用しても改善しない場合は、医師に相談してください。
Q7. 痰と鼻水の違いは何ですか?
A. 痰は気道(気管・気管支)から分泌される粘液で、主に咳によって喀出されます。一方、鼻水は鼻腔の粘膜から分泌される粘液です。ただし、副鼻腔炎などで鼻水が喉に流れ落ちる(後鼻漏)と、それを痰と感じることがあります。グミのような緑色の塊が喉にある場合、副鼻腔炎による後鼻漏の可能性も考慮する必要があります。
専門医への相談が必要なケース
以下のような場合は、呼吸器内科や耳鼻咽喉科などの専門医への相談をお勧めします:
- 緑色の痰が2週間以上続く
- 治療しても改善しない
- 繰り返し同じ症状が出る
- 痰の量が非常に多い(1日100ml以上)
- 体重減少がある
- 夜間の寝汗がある
- 血痰が出る
- 呼吸機能の低下を感じる
まとめ
グミみたいな緑色の痰は、気道での細菌感染を示唆する重要なサインです。主な原因として、急性気管支炎、細菌性肺炎、副鼻腔炎、COPDの急性増悪、気管支拡張症などが考えられます。
痰が緑色になるのは、細菌と戦った白血球由来の酵素や、細菌自身が産生する色素によるものです。グミのような質感になるのは、炎症によってムチンなどの粘液成分が過剰に分泌され、粘稠度が高くなるためです。
軽症の場合は自然に改善することもありますが、以下の症状がある場合は必ず医療機関を受診してください:
- 高熱がある
- 呼吸が苦しい
- 胸痛がある
- 症状が長引く(3日以上)
- 痰に血が混じる
適切な診断と治療により、多くの場合は改善します。また、日常生活での予防策として、手洗い・うがい、禁煙、予防接種、十分な水分補給、室内の湿度管理などを心がけましょう。
気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。早期発見・早期治療により、重症化を防ぐことができます。
参考文献
本記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました:
- 厚生労働省 健康情報サイト – 呼吸器疾患に関する公的情報
- 日本呼吸器学会 – COPD、肺炎などの診療ガイドライン
- 日本感染症学会 – 感染症診療の手引き
- 国立感染症研究所 – 感染症情報と予防対策
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 – 副鼻腔炎に関する情報
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務