現代社会において、パソコンやスマートフォンを長時間使用するデスクワークが一般的になり、多くの人が目の疲れに悩まされています。画面を見続けることで起こる眼精疲労は、単なる疲れ目とは異なり、日常生活に支障をきたすほど深刻な症状を引き起こすことがあります。本記事では、デスクワークによる目の疲れの原因から効果的な対策方法まで、眼科の専門知識を基に詳しく解説していきます。
目次
- デスクワークによる目の疲れとは
- 目の疲れが起こる原因
- 眼精疲労の症状
- デスクワーク環境の見直しポイント
- 効果的な目の疲れ対策
- 日常生活でできる予防法
- 医療機関での治療方法
- まとめ

この記事のポイント
デスクワークによる眼精疲労はブルーライト・調節機能疲労・瞬き減少が主因。20-20-20ルールや作業環境の改善が有効で、セルフケアで改善しない場合は眼科での専門診断が推奨される。
🎯 デスクワークによる目の疲れとは
デスクワークによる目の疲れは、主にパソコンやタブレット、スマートフォンなどのデジタル機器を長時間使用することで生じる眼精疲労の一種です。従来の「疲れ目」とは異なり、症状が持続的で、休息をとっても改善されにくいのが特徴です。
近年、このようなデジタル機器の使用による眼精疲労は「デジタル眼精疲労症候群(Digital Eye Strain)」や「コンピューター視覚症候群(Computer Vision Syndrome)」と呼ばれることもあり、現代特有の健康問題として注目されています。
アメリカ眼科学会の調査によると、デジタル機器を1日2時間以上使用する人の約90%が何らかの目の症状を経験していると報告されており、現代社会における深刻な健康課題となっています。
デスクワークによる目の疲れは、単に目の問題だけでなく、肩こりや頭痛、集中力の低下など、全身の不調につながることも多く、生活の質に大きな影響を与える可能性があります。そのため、適切な理解と対策が重要になります。
Q. デスクワーク中に目の疲れが起こる主な原因は何ですか?
デスクワークによる目の疲れの主な原因は、画面から発せられるブルーライトの刺激、同じ距離を見続けることによる毛様体筋の疲労、そして瞬きの回数減少による目の乾燥の3つです。通常1分間に15〜20回の瞬きが、デスクワーク中は3分の1程度まで減少します。
📋 目の疲れが起こる原因
🦠 ブルーライトの影響
デスクワークで使用するパソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、目の疲れの主要な原因の一つです。ブルーライトは可視光線の中でも高エネルギーで、角膜や水晶体を通過して網膜まで届きます。
ブルーライトが目に与える影響には以下があります:
- 網膜の光受容体への過度な刺激
- 睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌抑制
- 眼の筋肉の緊張増加
- 瞬きの回数減少による乾燥
👴 画面を見続けることによる調節機能の疲労
パソコン作業では、一定の距離にある画面を長時間見続けることになります。この際、目の水晶体を調節する毛様体筋が同じ状態で緊張し続けることで疲労が蓄積されます。
正常な視覚では、遠くや近くを交互に見ることで毛様体筋が伸縮し、適度な運動が行われます。しかし、デスクワークでは同じ距離の画面を見続けるため、筋肉が同じ位置で固定されてしまい、血流が悪化し疲労が生じます。
🔸 瞬きの回数減少
集中してパソコン画面を見ているとき、無意識のうちに瞬きの回数が大幅に減少します。通常、人は1分間に15~20回程度瞬きをしますが、デスクワーク中は3分の1程度まで減少することが研究で明らかになっています。
瞬きの減少により以下の問題が生じます:
- 涙の分泌量の減少
- 角膜表面の乾燥
- 眼球表面の汚れの蓄積
- 栄養供給の低下
💧 不適切な作業環境
デスクワーク環境が適切でない場合、目の負担が増大します。主な環境要因には以下があります:
照明の問題:画面と周囲の明度差が大きすぎると、目は常に明暗に適応しようとして疲労します。また、照明が画面に反射することでグレア(まぶしさ)が生じ、目の負担が増加します。
画面の位置と角度:画面が目線より上にあったり、近すぎたり遠すぎたりすると、不自然な姿勢での作業を強いられ、目だけでなく首や肩にも負担がかかります。
湿度と空気の質:エアコンによる乾燥した空気や空気の循環不良は、目の乾燥を促進し、疲労を増大させます。
Q. 20-20-20ルールとはどのような方法ですか?
20-20-20ルールとは、アメリカ眼科学会が推奨する目の休息法です。20分ごとに作業を中断し、20秒間、約6メートル以上離れた物を見ることで、近距離作業で緊張した毛様体筋をリラックスさせます。休憩中に意識的に瞬きを行うと、ドライアイの予防にも効果的です。
💊 眼精疲労の症状
✨ 目に現れる症状
デスクワークによる眼精疲労では、様々な目の症状が現れます。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に発症することもあります。
代表的な目の症状:
- 目の痛みや重い感じ
- 目の乾燥感(ドライアイ)
- 充血
- 涙が出る
- まぶたのけいれん
- 視界がかすむ
- 焦点が合いにくい
- 光をまぶしく感じる(羞明)
これらの症状は、作業時間が長くなるほど強くなる傾向があり、特に午後から夕方にかけて顕著になることが多いです。
📌 全身に現れる症状
眼精疲労は目だけの問題ではなく、全身に様々な症状を引き起こします。これは、視覚情報の処理が脳や自律神経系と密接に関連しているためです。
全身症状には以下があります:
- 頭痛(特に前頭部や側頭部)
- 肩こり・首こり
- 背中の痛み
- めまい
- 吐き気
- 集中力の低下
- イライラ感
- 睡眠障害
これらの症状は相互に関連し合い、悪循環を形成することがあります。例えば、目の疲れから頭痛が生じ、それによってさらに集中力が低下し、作業効率が悪くなって長時間の作業が必要になるといったパターンです。
▶️ 症状の進行段階
眼精疲労の症状は段階的に進行することが多く、早期の対応が重要です。
初期段階では、作業終了後の休息で症状が改善されます。軽い目の疲れや乾燥感程度で、一晩休むと翌朝には症状が軽減されているのが特徴です。
中期段階になると、休息をとっても症状が完全には回復せず、翌日にも疲労感が残るようになります。頭痛や肩こりなどの全身症状も現れ始めます。
重篤な段階では、休息をとっても症状が改善されず、日常生活に支障をきたすレベルになります。睡眠障害や精神的な不調も併発することがあり、医療機関での治療が必要になります。
🏥 デスクワーク環境の見直しポイント
🔹 適切な画面の位置と角度
デスクワークにおける目の疲れを軽減するためには、画面の位置と角度の調整が最も重要な要素の一つです。適切な位置設定により、目の負担を大幅に軽減できます。
画面の高さについては、画面の上端が目の高さと同じか、わずかに下になるように設置します。この位置により、自然な視線の角度(下方向に10~20度)で画面を見ることができ、首への負担も軽減されます。
画面との距離は、一般的に50~70センチメートルが推奨されます。これは腕を伸ばした際の手首から肘までの長さに相当します。近すぎると目の調節機能に過度な負担がかかり、遠すぎると画面の文字が見にくくなり、前かがみの姿勢になりがちです。
画面の角度は、垂直から後方に10~20度傾けることが理想的です。この角度により、画面への映り込みを軽減し、自然な視線で画面を見ることができます。
📍 照明環境の最適化
適切な照明環境は、目の疲れを大幅に軽減する重要な要素です。照明の質と配置により、作業効率と目の健康の両方を向上させることができます。
室内の照明は、画面の明度と大きな差がないよう調整します。理想的には、画面の明度と周囲の明度の比が3:1以下になるようにします。暗い部屋で明るい画面を見ることは、目に大きな負担をかけます。
照明の配置では、画面への直接的な反射を避けることが重要です。照明器具は画面の真上や真正面ではなく、側面や斜め後方に配置します。また、窓からの自然光も画面に直接当たらないよう、ブラインドやカーテンで調整します。
間接照明の活用も効果的です。天井の一般照明だけでなく、デスクライトや間接照明を併用することで、柔らかく均等な光環境を作ることができます。
💫 画面設定の調整
パソコンやモニターの画面設定を適切に調整することで、目への負担を大幅に軽減できます。多くの人が初期設定のまま使用していますが、個人の環境に合わせた調整が重要です。
文字サイズの調整では、無理なく読める大きさに設定します。小さい文字を見ようと目を細めたり、画面に近づいたりする必要がない程度の大きさが理想的です。一般的には、12ポイント以上の文字サイズが推奨されます。
画面の明度は、周囲の環境に合わせて調整します。暗い部屋では明度を下げ、明るい環境では適度に上げます。コントラストも重要で、文字と背景の明度差が明確であることが読みやすさにつながります。
色温度の設定も目の疲れに影響します。多くのデバイスには「夜間モード」や「ブルーライトカット機能」が搭載されており、これらを活用することで目への負担を軽減できます。
🦠 作業環境の湿度管理
室内の湿度は目の健康に大きく影響します。特にエアコンを使用する環境では、空気が乾燥しやすく、目の乾燥が促進されます。
理想的な室内湿度は40~60%とされています。湿度が低すぎると目や皮膚の乾燥が進み、高すぎるとカビの発生や不快感の原因となります。加湿器の使用や観葉植物の配置により、適切な湿度を維持できます。
エアコンの風が直接顔に当たらないよう、風向きを調整することも重要です。直接的な風は目の表面の涙を蒸発させ、乾燥を促進させます。
Q. パソコン画面の位置や距離はどう設定すべきですか?
パソコン画面は、上端が目の高さと同じかわずかに下になるよう設置し、距離は50〜70センチメートルを目安にします。画面は垂直から後方に10〜20度傾けると映り込みを軽減できます。文字サイズは12ポイント以上に設定し、画面の明度は周囲の環境に合わせて調整することで目の負担を大幅に減らせます。
⚠️ 効果的な目の疲れ対策
👴 20-20-20ルールの実践
20-20-20ルールは、デスクワークによる目の疲れを軽減するための最も基本的で効果的な方法の一つです。このルールは、アメリカ眼科学会が推奨する簡単な休息方法で、多くの眼科医が患者に指導しています。
20-20-20ルールの内容は以下の通りです:20分ごとに、20秒間、20フィート(約6メートル)以上離れた物を見る。これにより、近距離での作業により緊張した毛様体筋をリラックスさせ、目の調節機能を回復させることができます。
実践のコツとしては、スマートフォンのタイマーやパソコンのリマインダー機能を活用して、20分間隔で休憩を取ることを習慣化することが重要です。休憩時間中は、窓の外の景色を眺めたり、遠くの壁の時計を見たりするなど、意識的に遠方に視線を向けます。
また、この休憩時間中に意識的に瞬きを行うことで、目の表面を潤すことができ、ドライアイの予防にもつながります。
🔸 目の体操とマッサージ
目の周りの筋肉をほぐし、血流を改善する体操やマッサージは、眼精疲労の軽減に大変効果的です。これらの方法は、デスクワーク中でも簡単に実践でき、即効性があります。
眼球運動による体操では、以下のような動きを行います:
- 上下運動:目を閉じて、眼球を上下にゆっくり5回動かす
- 左右運動:同様に左右にゆっくり5回動かす
- 円運動:時計回りと反時計回りに各5回ゆっくり回す
- 遠近運動:近くの指と遠くの物を交互に見る(各5秒間)
目の周りのマッサージでは、清潔な手で以下の部位を優しく刺激します:
こめかみのマッサージ:こめかみに人差し指と中指を当て、小さな円を描くように5~10回マッサージします。これにより、側頭筋の緊張がほぐれ、目の周りの血流が改善されます。
眉毛の上のマッサージ:眉毛の上の骨の部分を親指で内側から外側に向かって優しく押します。眼窩上神経の圧迫を解放し、目の疲れを軽減します。
💧 温冷療法
目の疲れに対する温冷療法は、血流改善と筋肉のリラクゼーションに効果的です。症状に応じて温めることと冷やすことを使い分けることが重要です。
温熱療法は、目の周りの血流を改善し、筋肉の緊張をほぐします。蒸しタオルを作り、目の上に3~5分間置きます。タオルの温度は体温より少し高い程度(40~45度)が適切です。温めることで、メイボーム腺の機能も改善され、ドライアイの症状も軽減されます。
冷却療法は、目の充血や炎症がある場合に効果的です。冷たいタオルやアイマスクを使用し、2~3分間目の上に置きます。ただし、氷などで直接冷やしすぎないよう注意が必要です。
これらの療法は、1日に数回繰り返すことで効果が高まります。特に、一日の作業終了後に温熱療法を行うことで、蓄積された疲労を効果的に軽減できます。
✨ 適切な瞬きの意識
デスクワーク中は無意識に瞬きの回数が減少するため、意識的に瞬きを増やすことが重要です。質の良い瞬きを行うことで、目の表面を適切に潤し、乾燥を防ぐことができます。
完全な瞬きでは、上まぶたが下まぶたに完全に接触し、目全体がしっかりと閉じられます。不完全な瞬きでは十分な涙の分泌や分布が行われないため、意識して完全な瞬きを心がけます。
瞬きエクササイズとして、以下の方法が効果的です:
- ゆっくりとした瞬き:通常より少しゆっくりと、意識して瞬きを行う
- 強めの瞬き:目をしっかりと閉じてから開く動作を数回繰り返す
- 連続瞬き:短時間で数回連続して瞬きを行う
🔍 日常生活でできる予防法
📌 栄養面での対策
目の健康を維持するためには、適切な栄養素の摂取が重要です。特に現代のデスクワーク環境では、目に必要な栄養素を意識的に摂取することで、疲労の軽減と予防効果が期待できます。
ビタミンAは、目の網膜の健康維持に不可欠な栄養素です。特にロドプシンという視覚色素の構成成分であり、暗所での視力維持に重要な役割を果たします。人参、ほうれん草、レバー、うなぎなどに豊富に含まれています。
ルテインとゼアキサンチンは、網膜の中心部である黄斑部に存在するカロテノイドで、ブルーライトから目を保護する天然のサングラスのような働きをします。ほうれん草、ケール、ブロッコリー、卵黄などに含まれており、デスクワーカーには特に重要な栄養素です。
オメガ3脂肪酸は、涙の質を改善し、ドライアイの症状を軽減する効果があります。EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が特に重要で、青魚、亜麻仁油、チアシードなどから摂取できます。
ビタミンCとEは強力な抗酸化作用を持ち、目の老化や疲労の原因となる活性酸素を除去します。柑橘類、ベリー類、ナッツ類、緑黄色野菜に豊富に含まれています。
▶️ 水分摂取の重要性
適切な水分摂取は、目の健康維持に欠かせない要素です。体の水分不足は直接的に涙の質と量に影響し、ドライアイの原因となります。
一般的に、成人は1日に約2リットルの水分摂取が推奨されています。ただし、エアコンの効いた環境で長時間過ごすデスクワーカーは、通常より多めの水分摂取を心がけることが重要です。
水分摂取のタイミングも重要で、のどが渇く前に定期的に少量ずつ摂取することが理想的です。一度に大量の水を飲むよりも、30分から1時間ごとに少しずつ飲むことで、体内の水分レベルを安定して維持できます。
カフェインやアルコールを含む飲料は利尿作用があるため、これらを摂取する際は、同量以上の水も併せて摂取することが推奨されます。
🔹 生活リズムの改善
規則正しい生活リズムは、目の健康にも大きく影響します。特に睡眠の質と量は、目の疲労回復に直接関わっています。
質の良い睡眠を確保するためには、就寝前のブルーライト曝露を避けることが重要です。スマートフォンやパソコンの使用は、就寝の1~2時間前までに終了し、その後は読書や軽いストレッチなど、リラックスできる活動に切り替えます。
睡眠中は目を閉じているため、角膜が十分に休息し、涙による栄養供給が行われます。睡眠不足は目の回復を阻害し、翌日の疲労感を増大させます。
また、適度な運動は全身の血流を改善し、目の周りの血流も促進します。特に首や肩の筋肉をほぐすストレッチは、目の疲れの軽減に効果的です。
📍 ブルーライト対策グッズの活用
現在市場には様々なブルーライト対策グッズがあり、適切に使用することで目の負担を軽減できます。ただし、製品選択や使用方法について正しい知識を持つことが重要です。
ブルーライトカットメガネは、レンズにブルーライトを吸収または反射するコーティングが施されています。カット率は製品により異なりますが、20~50%程度のカット率のものが一般的です。ただし、カット率が高すぎると色の見え方に影響することがあるため、用途に応じて選択することが重要です。
画面保護フィルムタイプの製品は、パソコンやスマートフォンの画面に直接貼付けて使用します。メガネと比較して、特定のデバイスでのみ効果を発揮しますが、画面の見やすさに与える影響が少ないという利点があります。
ソフトウェアによる対策では、多くのオペレーティングシステムにブルーライト軽減機能が搭載されています。時間帯に応じて自動的に色温度を調整する機能もあり、夜間の使用時に特に効果的です。
Q. 眼精疲労に効果的な栄養素と食べ物を教えてください。
眼精疲労の予防には、ビタミンA(人参・ほうれん草)、ブルーライトから目を保護するルテイン・ゼアキサンチン(ケール・卵黄)、涙の質を改善するオメガ3脂肪酸(青魚・亜麻仁油)、抗酸化作用を持つビタミンC・E(柑橘類・ナッツ類)を意識的に摂取することが推奨されます。
📝 医療機関での治療方法
💫 眼科での診断
セルフケアでも症状が改善されない場合や、症状が重篤な場合は、眼科での専門的な診断と治療が必要です。眼科では、単なる疲れ目なのか、それとも他の疾患が隠れているかを正確に判断します。
眼科での診断では、まず詳細な問診が行われます。症状の内容、発症時期、悪化要因、改善要因、仕事内容、生活習慣などについて詳しく聞き取りが行われます。
視力検査では、遠見視力だけでなく、近見視力も測定します。また、調節機能検査により、毛様体筋の疲労状態を評価します。屈折検査では、近視、遠視、乱視の有無と程度を正確に測定し、適切な矯正が行われているかを確認します。
ドライアイの検査では、涙の量を測定するシルマーテストや、涙の質を評価する涙液層破綻時間(BUT)測定が行われます。これらの検査により、ドライアイの程度と原因を特定します。
眼圧測定や眼底検査により、緑内障や他の眼疾患の有無も確認されます。これは、眼精疲労様の症状を呈する他の疾患を除外するために重要です。
🦠 処方薬による治療
眼科での診断結果に基づき、症状に応じて様々な処方薬が使用されます。これらの薬物療法は、症状の軽減と根本的な原因への対処を目的としています。
人工涙液や点眼薬は、ドライアイに対する第一選択の治療です。ヒアルロン酸やムチン分泌促進作用のある薬剤など、症状に応じて適切な成分の点眼薬が処方されます。防腐剤フリーの製剤は、頻回使用においても副作用のリスクが少なく、長期使用に適しています。
調節機能改善薬は、毛様体筋の緊張を和らげ、調節機能の回復を促進します。ビタミンB12やシアノコバラミンなどが配合された点眼薬や内服薬が使用されることがあります。
抗炎症薬は、目の炎症が強い場合に処方されます。ステロイド系と非ステロイド系があり、症状の程度と副作用のリスクを考慮して選択されます。
👴 専門的な治療法
重篤なドライアイや従来の治療で改善が見られない場合、より専門的な治療法が検討されます。
涙点プラグは、涙の排出を一時的または永続的に遮断することで、目の表面に涙を留める治療法です。コラーゲン製の溶解性プラグと、シリコン製の半永久プラグがあり、症状に応じて選択されます。
IPL(Intense Pulsed Light)治療は、特殊な光を照射することでメイボーム腺機能不全を改善する比較的新しい治療法です。マッサージと併用することで、脂質の分泌を改善し、ドライアイの症状を軽減します。
LipiFlow治療は、温熱と圧迫を組み合わせてメイボーム腺の詰まりを解消する治療です。12分間の治療で、長期間にわたる症状の改善が期待できます。
自己血清点眼は、患者自身の血液から作製した血清を点眼薬として使用する治療法です。成長因子や栄養素が豊富に含まれており、重篤なドライアイに対して高い効果を示すことがあります。
🔸 継続的なフォローアップ
眼精疲労の治療では、継続的なフォローアップが重要です。症状の改善度合いや治療効果を定期的に評価し、必要に応じて治療方針を調整します。
定期検査では、視力や調節機能の変化、ドライアイの程度、治療薬の効果などを総合的に評価します。また、患者の生活習慣や作業環境の変化も考慮し、個別化された管理計画を立てます。
治療の成功には、患者自身の理解と協力が不可欠です。そのため、定期的な指導と教育も治療の一環として重要視されています。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、デスクワークによる眼精疲労で受診される患者様が年々増加しており、特にテレワークが普及してから症状が悪化している方が多い印象です。記事で紹介されている20-20-20ルールは実際に効果的で、約7割の患者様が実践後に症状の改善を実感されています。ただし、セルフケアでも症状が続く場合は、ドライアイや調節機能の低下など根本的な原因が隠れていることもあるため、早めの受診をお勧めしています。」
💡 よくある質問
20-20-20ルールがおすすめです。20分ごとに20秒間、20フィート(約6メートル)以上離れた物を見るという方法で、緊張した目の筋肉をリラックスさせることができます。また、意識的にゆっくりと瞬きを行うことで目の乾燥も防げます。
ブルーライトカットメガネは一定の効果があります。20~50%程度のカット率の製品が一般的で、目の負担軽減に役立ちます。ただし、カット率が高すぎると色の見え方に影響することもあるため、用途に応じて適切なものを選択することが重要です。
ビタミンA(人参、ほうれん草)、ルテイン・ゼアキサンチン(ケール、ブロッコリー、卵黄)、オメガ3脂肪酸(青魚、亜麻仁油)、ビタミンC・E(柑橘類、ナッツ類)などが目の健康に効果的です。これらの栄養素は目の疲労軽減と保護に役立ちます。
適切な休息や環境改善を行っても症状が続く場合、頭痛や肩こりなどの全身症状が出現した場合は、当院のような眼科での受診をおすすめします。単なる疲れ目ではなく、ドライアイや調節機能の低下など根本的な原因が隠れている可能性があります。
画面の上端を目の高さと同じかわずかに下に設置し、距離は50~70センチメートル(腕を伸ばした手首から肘の長さ)に調整してください。文字サイズは12ポイント以上とし、明度は周囲の環境に合わせて調整することで目の負担を大幅に軽減できます。
✨ まとめ
デスクワークによる目の疲れは、現代社会において多くの人が直面する健康問題です。ブルーライトの曝露、調節機能の疲労、瞬きの減少、不適切な作業環境など、複数の要因が組み合わさって生じるため、包括的な対策が必要です。
予防と改善には、まず作業環境の適切な整備が基本となります。画面の位置や角度の調整、照明環境の最適化、適切な休息の確保などは、誰でも実践できる重要な対策です。20-20-20ルールの実践や目の体操、温冷療法などのセルフケアも、日常的に継続することで大きな効果を発揮します。
栄養面では、目の健康に必要なビタミンやミネラル、オメガ3脂肪酸などを意識的に摂取し、適切な水分補給を心がけることが重要です。また、質の良い睡眠と規則正しい生活リズムは、目の疲労回復に欠かせない要素です。
セルフケアでも症状が改善されない場合は、眼科での専門的な診断と治療を受けることが大切です。適切な診断により、単なる疲れ目なのか、それとも他の疾患が原因なのかを正確に判断し、個々の症状に応じた治療を受けることができます。
目の疲れは放置すると症状が悪化し、日常生活や仕事の効率に大きな影響を与える可能性があります。早期の対策と継続的なケアにより、健康な目を維持し、快適なデスクワーク環境を実現することが可能です。目の健康は全身の健康とも密接に関連しているため、総合的な健康管理の一環として、目のケアを重要視していくことが求められます。

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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 職場における情報機器作業(VDT作業)による健康障害の防止対策に関するガイドライン。デスクワーク環境の設定、作業時間管理、健康管理について詳細な指針を提供
- PubMed – デジタル眼精疲労症候群(Digital Eye Strain)やコンピューター視覚症候群(Computer Vision Syndrome)に関する国際的な研究論文。ブルーライトの影響、20-20-20ルールの効果、治療法に関する科学的根拠
- 日本眼科学会 – 眼精疲労、ドライアイ、調節機能障害の診断・治療指針。専門的な治療法(涙点プラグ、IPL治療等)や眼科での診断方法に関する学会ガイドライン
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務