ワキガ・多汗症

剪除法でワキガ(腋臭症)を根本から治療|渋谷で保険適用のワキガ手術

はじめに|ワキガの悩みを抱える方へ

ワキガ(腋臭症)は、多くの方が人知れず悩んでいる身近な疾患です。日本人のワキガ有病率は約10%とされており、これは決して珍しい症状ではありません。しかし、体臭に対する意識が高い日本社会においては、ワキガが強いコンプレックスとなり、対人関係や日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。

「制汗剤を使っても効果が続かない」「夏場や緊張時に臭いが気になって仕方ない」「周囲の視線が気になる」など、ワキガに関するお悩みは様々です。近年ではワキガ治療の選択肢も増えており、外用薬やボトックス注射、ミラドライなどの「切らない治療」から、手術による根治治療まで幅広い方法が存在します。

その中でも、剪除法(せんじょほう)はワキガの原因となるアポクリン汗腺を直接除去する手術であり、保険適用が認められた治療法として、高い効果と経済的なメリットを兼ね備えています。本記事では、渋谷エリアでワキガ治療をお考えの方に向けて、剪除法の特徴やメリット・デメリット、術後の経過、他の治療法との比較など、専門的かつ実践的な情報を詳しく解説いたします。


ワキガ(腋臭症)とは?臭いが発生するメカニズム

ワキガの医学的定義

ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」または「アポクリン臭汗症」と呼ばれます。ワキの下から特有の刺激臭が発せられる状態を指し、発汗時に臭いが強くなるのが特徴です。この臭いは、硫黄のような臭い、酢酸臭、スパイス臭、雑巾のような臭いなど、個人によって異なる特徴を持ちます。

ワキガという名称は、アポクリン汗腺が集中する「腋(ワキ)」の「下」から臭いが発生することに由来しています。ワキガは思春期以降に発症することが多く、特に20代でピークを迎えるとされています。これは、アポクリン汗腺の活動が性ホルモンの影響を受けて活発化するためです。

2種類の汗腺とワキガの関係

私たちの体には「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」という2種類の汗腺が存在します。それぞれの汗腺は異なる役割と特徴を持っており、ワキガの発症メカニズムを理解する上で重要な知識となります。

エクリン汗腺はほぼ全身に分布しており、主に体温調節のために汗を分泌します。エクリン汗腺から出る汗は99%以上が水分で構成されており、基本的に無臭です。一方、アポクリン汗腺はワキの下、耳の中(外耳道)、乳輪周囲、陰部、肛門周辺など、体の特定の部位に限定して存在しています。

アポクリン汗腺から分泌される汗には、脂肪酸、タンパク質、脂質、鉄分、アンモニアなどの成分が含まれています。この汗自体は分泌直後には無臭ですが、皮膚の表面に存在する常在菌(特に表皮ブドウ球菌などのグラム陽性球菌)によって分解されることで、ワキガ特有の臭いが発生します。具体的には、脂肪酸が細菌によって分解されて「3メチル2へキセノイン酸」という物質が生成され、これが独特の臭いの原因となります。

ワキガの遺伝的要因

ワキガは優性遺伝(顕性遺伝)の形式で受け継がれることが明らかになっています。両親のどちらか一方がワキガ体質である場合、子どもにワキガが遺伝する確率は約50%、両親ともにワキガ体質である場合は約80%の確率で遺伝するとされています。

アポクリン汗腺の数や大きさは生まれつき遺伝的に決まっており、成長過程で増減することはありません。つまり、ワキガ体質の方はアポクリン汗腺が多く、かつ一つ一つの腺が大きい傾向にあるのです。このため、後天的にワキガ体質に「なる」ことや、他人から「うつる」ことはありません。

近年の研究では、16番染色体上にある「ABCC11遺伝子」がワキガや耳垢の性状に関わっていることが解明されています。この遺伝子の型によって、耳垢が乾型(乾いている)か湿型(湿っている)かが決まり、湿型の耳垢を持つ人の多くがワキガ体質であることがわかっています。日本人の約16%が湿型耳垢を持ち、そのうち約80%がワキガ体質を有するとされています。

日本人とワキガの関係

興味深いことに、ワキガの有病率は人種によって大きく異なります。欧米人やアフリカ系の人々では約70〜100%がワキガ体質を持つとされているのに対し、日本人を含む東アジア人ではその割合は約10%程度にとどまります。これは新モンゴロイドの遺伝的特徴と関連しており、世界的に見ると「無臭」である方が珍しい体質なのです。

このような背景から、欧米ではワキガは生理学的現象として受け入れられ、治療対象とされることは稀です。一方、日本や韓国、台湾、中国の一部地域では、ワキガが社会的な問題として認識され、積極的な治療が行われています。日本人は臭いに対して敏感な傾向があり、軽度のワキガであっても強いコンプレックスを感じる方が多いのが現状です。


ワキガかどうかを知るセルフチェック方法

自分がワキガかどうかを判断することは意外に難しいものです。人は自分自身の体臭に慣れてしまうため、客観的な判断が困難になるからです。以下のセルフチェック項目を参考に、ご自身の状態を確認してみてください。

耳垢の状態で確認する

ワキガと耳垢の状態には強い相関関係があります。耳垢が湿っている(アメ耳、軟耳垢)場合、ワキガ体質である可能性が高いとされています。これは、耳の中にもアポクリン汗腺が存在するため、その活動が活発な人は耳垢も湿りやすくなるからです。実際に、ワキガ患者の約98%が湿った耳垢を持つという報告があります。

耳垢が乾燥している(乾型耳垢)場合は、ワキガの可能性は低いと考えられます。ただし、耳垢の湿り方には個人差があり、入浴後などの一時的な湿りは判断材料にはなりません。

家族歴を確認する

ワキガは遺伝性の高い体質です。ご両親や兄弟姉妹、親族にワキガの方がいる場合は、ご自身もワキガ体質である可能性があります。ただし、遺伝があっても必ずしも症状が強く出るわけではなく、生活習慣やホルモンバランスによっても臭いの程度は変化します。

衣服の黄ばみをチェックする

アポクリン汗腺から分泌される汗には「リポフスチン」という色素成分が含まれています。そのため、ワキガ体質の方は白い衣服のワキ部分に黄色や黄土色のシミがつきやすい傾向があります。通常の汗染みは洗濯で落ちやすいですが、ワキガによる染みはこびりつきやすく、落ちにくいのが特徴です。

ワキ毛の状態を確認する

アポクリン汗腺は毛根部に存在するため、ワキ毛が濃い方はアポクリン汗腺も多い傾向にあります。女性の場合は、ワキ毛が太く、一つの毛穴から2本以上の毛が生えているケースでアポクリン汗腺が多く見られます。男性の場合は、猫毛のように細くサラサラしたワキ毛の方にアポクリン汗腺が多い傾向があるとされています。

ガーゼテストによる確認

医療機関でも実施されるガーゼテストは、自宅でも行える簡易的な診断方法です。清潔なガーゼをワキに約5分間挟み、その後ガーゼの臭いを確認します。自分自身では判断が難しい場合は、家族など信頼できる第三者に臭いを確認してもらうとより正確です。

ガーゼテストでは、臭いの強さを以下の5段階で評価します。

  • レベル1:臭わない
  • レベル2:ワキに鼻を近づけると臭う
  • レベル3:鼻を近づけなくても臭う
  • レベル4:1メートル以内で臭う
  • レベル5:1メートル以上離れていても臭う

一般的にレベル3以上がワキガと診断され、手術の適応となることが多いです。


ワキガの治療法|対症療法から根治療法まで

ワキガの治療法は大きく分けて「対症療法」と「根治療法」の2つのアプローチがあります。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身の症状や生活スタイルに合った治療法を選択することが重要です。

対症療法(保存的治療)

対症療法は、ワキガの原因そのものを除去するのではなく、症状を一時的に抑える治療法です。手軽に始められる反面、継続的な治療が必要となります。

外用薬による治療としては、塩化アルミニウム製剤が古くから使用されてきました。塩化アルミニウムは水分と反応して汗腺の出口に栓を作り、発汗を抑制する効果があります。殺菌作用もあるため、臭いの軽減にも一定の効果が期待できます。日本皮膚科学会の原発性局所多汗症診療ガイドラインでも推奨されている治療法です。

2020年には、日本初の保険適用外用薬として「エクロックゲル5%」が登場しました。これは抗コリン外用薬で、汗を分泌させる神経伝達物質(アセチルコリン)の働きをブロックすることで発汗を抑制します。12歳以上から使用可能で、効果は約2週間で実感できるとされています。2022年には同様の作用機序を持つ「ラピフォートワイプ2.5%」も保険適用となり、使い捨てのシートタイプで使用しやすいと好評です。

ただし、これらの外用薬は主に多汗症に対する治療薬であり、ワキガの臭いそのものを根本的に解消するものではありません。汗の量が減ることで臭いの軽減は期待できますが、重度のワキガに対しては効果が限定的な場合もあります。

ボトックス注射(ボツリヌス毒素注射)も対症療法の一つです。ボツリヌス毒素を皮膚内に注射することで、神経終末からのアセチルコリン放出を抑制し、主にエクリン汗腺からの発汗を抑制します。効果は4〜6ヶ月程度持続しますが、効果を維持するには定期的な再投与が必要です。重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合には保険適用となることもあります。

根治療法(手術療法・機器治療)

根治療法は、ワキガの原因となるアポクリン汗腺を物理的に除去または破壊することで、永続的な効果を目指す治療法です。

剪除法(皮弁法)は、最も確実性の高いワキガ根治治療として位置づけられています。ワキの皮膚を切開し、皮膚を反転させてアポクリン汗腺を直接目視しながら一つずつ丁寧に除去する方法です。医師が目で確認しながら汗腺を取り除くため、取り残しが少なく、再発率が低いのが特徴です。保険適用が認められているため、経済的負担も抑えられます。

ミラドライは、マイクロ波(電磁波)を照射して汗腺を熱破壊する治療法です。皮膚を切開しないため傷跡が残らず、ダウンタイムも短いのがメリットです。米国では多汗症とワキガの両方に対して承認されており、日本では重度の原発性腋窩多汗症に対して薬事承認を受けています。ただし、保険適用外のため費用は全額自己負担(一般的に20〜50万円程度)となります。


剪除法とは?手術の詳細と特徴

剪除法の概要

剪除法(せんじょほう)は「皮弁法」「直視下摘除法」とも呼ばれ、ワキガ治療において最も効果が高いとされる手術方法です。この手術は、ワキの皮膚を切開してアポクリン汗腺を直接除去するもので、日本国内では保険適用が認められています。

手術ではまず、ワキのシワに沿って約3〜5cm程度の切開を行います。切開の長さはアポクリン汗腺の分布範囲(おおむねワキ毛の生えている範囲)によって異なり、一般的に女性では約3cm、男性では約5cm程度となります。

切開後、皮膚を反転させて皮膚の裏側を露出させます。アポクリン汗腺は皮膚の真皮層と皮下組織の境界付近に存在しており、医師はこれを肉眼で直接確認しながら、剪刀(はさみ)などを用いて一つずつ丁寧に切除していきます。

アポクリン汗腺を十分に除去した後、剥離した皮膚が再び密着して生着するよう、タイオーバー(ガーゼを綿で包んだもの)で圧迫固定を行います。この圧迫固定は皮膚の生着と血腫形成の予防のために非常に重要な工程です。

剪除法の手術手順

剪除法の一般的な手術の流れは以下の通りです。

まず、診察とカウンセリングにおいて、医師がワキガの症状の程度を確認し、手術の適応を判断します。手術方法、期待される効果、リスク、術後の経過などについて詳しい説明が行われます。

手術当日は、まずワキのシワに沿って切開線のデザインを行います。その後、局所麻酔を施します。極細の針を使用し、ゆっくりと麻酔薬を注入することで、注射時の痛みも最小限に抑えられます。

麻酔が効いた後、デザインに沿って皮膚を切開します。切開部から皮膚をめくり、皮下組織と皮膚を剥離して「皮弁」を形成します。この皮弁を反転させ、アポクリン汗腺が存在する層を露出させます。

医師は直視下でアポクリン汗腺を確認しながら、取り残しのないよう丁寧に切除していきます。この際、アポクリン汗腺と一緒に毛根の一部も除去されるため、脱毛効果も得られます。

汗腺の除去が完了したら、皮下に細いドレーン(排液管)を挿入する場合もあります。これは術後に血液やリンパ液が溜まるのを防ぐためです。その後、形成外科の縫合技術を活かして丁寧に縫合します。最後にタイオーバーを装着し、ガーゼと包帯でしっかりと圧迫固定します。

手術時間は片側30分〜1時間程度で、両ワキで約1〜2時間が目安です。体格の大きな方や汗腺の分布が広い方はさらに時間を要することがあります。手術は日帰りで行われ、入院の必要はありません。

剪除法の効果と再発率

剪除法は、ワキガ治療の中で最も高い治療効果が期待できる方法です。海外の臨床研究では、剪除法を受けた患者の95%以上で臭いの明らかな改善が報告されており、再発率も低いことが示されています。

経験豊富な医師による手術では、術前と比較して汗と臭いが80〜90%程度減少し、その効果は原則として半永久的に持続します。ただし、アポクリン汗腺を100%完全に除去することは技術的に困難であり、また手術範囲外の周辺部にも少量の汗腺が存在するため、臭いが完全にゼロになるわけではありません。

剪除法の目標は「制汗スプレーなどの一般的なケアをすれば臭いが気にならないレベルにする」ことであり、日常生活で気にならない程度まで臭いを軽減できれば、治療は成功したと考えられます。

再発リスクは一般的に5〜10%程度とされていますが、これは執刀医の技術力と経験に大きく左右されます。汗腺の取り残しがあると再発の原因となるため、形成外科専門医など経験豊富な医師による手術を受けることが重要です。また、10代など若年で手術を受けた場合、二次性徴に伴い再発するリスクも報告されています。


剪除法のメリットとデメリット

剪除法のメリット

剪除法には以下のような多くのメリットがあります。

第一に、高い治療効果と根治性が挙げられます。アポクリン汗腺を直視下で直接確認しながら除去するため、外用薬やボトックス注射などの対症療法とは異なり、ワキガの原因そのものを取り除くことができます。一度の手術で長期的かつ永続的な効果が期待でき、再治療が不要となるケースがほとんどです。

第二に、保険適用により経済的負担を大幅に軽減できます。重度の腋臭症と医師に診断された場合、剪除法は健康保険の適用対象となります。3割負担の場合、両ワキで約4〜5万円程度の自己負担で手術を受けることができます。ミラドライなどの自由診療と比較すると、費用は大幅に抑えられます。

第三に、臭いだけでなく多汗症状の改善も期待できます。剪除法ではアポクリン汗腺とともにエクリン汗腺の一部も除去されるため、汗の量も術前の3分の1程度まで減少することがあります。

第四に、脱毛効果も得られます。アポクリン汗腺は毛根部に存在するため、汗腺の除去とともに毛根も取り除かれます。これにより、ワキ毛が薄くなる副次的な効果が期待できます。

第五に、1回の手術で効果が得られることです。ボトックス注射のように定期的な再治療が必要ないため、長期的に見ると時間的・経済的なメリットがあります。

剪除法のデメリット

一方で、剪除法には以下のようなデメリットや注意点も存在します。

第一に、術後のダウンタイムが長いことです。皮膚を切開して汗腺を除去する手術であるため、術後は1〜2週間程度の安静期間が必要です。この間、ワキをガーゼで圧迫固定し、腕の動きに制限が生じます。デスクワークであれば数日で復帰可能な場合もありますが、重労働や激しい運動は約1ヶ月間控える必要があります。

第二に、傷跡が残る可能性があります。ワキのシワに沿って切開するため、傷跡は徐々にシワとなじんでいきます。経過が順調であれば術後2〜3週間で改善が見られ、1年程度で目立ちにくくなりますが、完全に消えるわけではありません。また、色素沈着(皮膚の黒ずみ)が生じることもありますが、これも時間とともに薄くなっていきます。

第三に、術後の合併症リスクがあります。血腫(皮下に血液が溜まる)、感染・化膿、皮膚壊死、ひきつれ感などの合併症が起こる可能性があります。これらは手術手技よりも、患者自身の体質や術後の安静度、セルフケアが大きな要因となります。術後の医師の指示を守り、安静を保つことで多くのリスクは軽減できます。

第四に、執刀医の技術力によって効果に差が出ることです。剪除法は高度な技術を要する手術であり、医師の経験と技量が治療効果や再発リスクに直結します。実績豊富な形成外科専門医による手術を選択することが重要です。


剪除法の術後経過とダウンタイム

手術当日〜3日目

手術当日は、麻酔が効いている間は痛みを感じませんが、麻酔が切れると痛みが出始めます。痛み止めが処方されるため、服用することで対処できます。痛みのピークは当日夜から翌朝にかけてで、その後は徐々に軽減していきます。

ワキはガーゼとタイオーバーでしっかりと圧迫固定されています。この固定は皮膚を生着させるために非常に重要であり、自己判断で外したり緩めたりしてはいけません。腕を肩より上に挙げる動作は避け、できる限り安静に過ごします。

入浴は患部を濡らさないようにすれば翌日からシャワー可能な場合が多いですが、洗髪時もワキを締めて行う必要があります。湯船につかる入浴は術後2週間程度控えます。

術後4日〜7日目

術後4〜5日でタイオーバーを除去し、傷の状態を確認します。ドレーンを挿入した場合は、この時点で抜去されることが多いです。タイオーバー除去後は、やや軽めの圧迫固定に移行します。

内出血や腫れが見られることがありますが、これは正常な経過です。時間とともに吸収されていきます。患部のシャワー浴はタイオーバー除去後から可能となります。

術後1週間〜2週間

術後約2週間で抜糸を行います。抜糸後も傷跡は不安定な状態が続くため、引き続き過度な動きは控えます。

この時期、傷跡に硬さや赤みが強く出ることがありますが、これも正常な治癒過程です。傷の治りには個人差があり、なかなか塞がらないケースもありますが、焦らず経過を見守ることが大切です。

軽いデスクワークであれば、この頃から復帰可能な場合が多いです。ただし、重いものを持つ、腕を大きく動かすなどの動作は引き続き控えます。

術後1ヶ月〜

術後1ヶ月頃になると、日常生活での制限もほぼなくなります。軽い運動は術後2週間から、激しい運動は術後1ヶ月から可能になるのが一般的です。

傷跡の赤みや硬さは、術後1〜2ヶ月では安定しません。傷跡が落ち着くまでには6ヶ月〜1年程度かかります。ワキの下の皮膚は比較的傷跡が残りにくい部位であり、時間の経過とともにシワと同化して目立たなくなっていきます。

男性の場合は術後約2ヶ月、女性の場合は約1.5ヶ月でガーゼ交換が不要となり、入浴や運動の制限がなくなります。完治するまでの間は毎日の軟膏塗布とガーゼ交換が必要で、週1回程度の通院が必要となります。


剪除法の術後合併症とその対策

血腫

血腫は、皮下に血液が溜まる状態です。術後の安静が不十分で腕を動かしてしまった場合に起こりやすく、剪除法の合併症の中で最も注意が必要なものの一つです。

血腫ができると、皮膚が生着せず壊死を起こす原因となる可能性があります。万が一血腫が形成された場合は、早期に血腫除去の処置を行うことで、皮膚壊死を防ぐことができます。

予防のためには、術後3日間は特に安静を心がけ、その後1週間も急な動きを控えることが重要です。術後2週間を過ぎるまでは、できるだけ安静に過ごすことが推奨されます。

感染・化膿

術後の創部感染は、適切な術後ケアを行うことで予防できます。処方された抗生物質を指示通りに服用し、創部の清潔を保つことが大切です。

万が一、創部の赤みや熱感、膿の排出などの症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。早期対応により、重篤な状態を避けることができます。

皮膚壊死

剪除法では皮膚を剥離して汗腺を除去するため、剥離した皮膚への血流が一時的に低下します。これに血腫や感染が加わると、皮膚の一部が壊死を起こすリスクがあります。

皮膚壊死は、しっかりした圧迫固定と安静を守ることで予防できます。喫煙は血流を悪化させるため、手術前後は禁煙が必要です。

傷跡の肥厚・ケロイド

傷跡の治り方には個人差があり、体質によっては傷跡が肥厚したり、ケロイド状になったりすることがあります。特にケロイド体質の方は、事前に医師に相談しておくことをお勧めします。

傷跡のケアとして、抜糸後にテープ固定を続けることで、傷跡の肥厚を予防できる場合があります。

知覚異常

術後、ワキの皮膚や腕に一時的なしびれや知覚鈍麻が生じることがあります。これは手術時に細かな神経が影響を受けるためですが、多くの場合は時間とともに改善します。


剪除法の保険適用と費用

保険適用の条件

剪除法(皮弁法)は、厚生労働省の診療報酬点数表において「皮下汗腺除去術(K008-1)」として明確に定められており、医学的に必要と判断されれば保険診療の対象となります。

保険適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

まず、医師による「腋臭症」の診断が必要です。診断には問診とガーゼテストが用いられます。ガーゼテストでは、ワキに数分間ガーゼを挟んで汗を回収し、第三者(医師・看護師など)が臭いを評価します。

保険適用の目安として、「悪臭が著しく、他人の就業に支障を生じる事実が明確で、客観的に見て医療に委ねる必要がある場合」という基準があります。ただし、実際の適用判断は医療機関によって異なる場合もあります。

保険適用時の費用

剪除法(皮弁法)の保険点数は6,870点です。これに基づくと、医療機関が受け取る金額は片側で68,700円、両側で137,400円となります。

患者の自己負担額は、保険の負担割合によって異なります。3割負担の場合、両ワキで約41,000〜50,000円程度(診察料、薬代等を含む)が目安です。1割負担の場合は、両ワキで約14,000円程度となります。

術前の血液検査や術後の通院費用(数千円)が別途必要となる場合があります。

医療保険の活用

生命保険会社や共済組合などの医療保険に加入している場合、保険診療で手術を受けた際に手術給付金が受けられることがあります。給付を受けた場合、実質的な自己負担がさらに軽減されたり、費用以上の金額が戻ってくることもあります。

手術給付金の申請には医師の診断書が必要となる場合が多いため、事前に加入している保険会社に確認の上、クリニックにお伝えください。


剪除法と他の治療法との比較

剪除法 vs ミラドライ

ミラドライは、マイクロ波を照射して汗腺を熱破壊する「切らない治療」です。傷跡が残らず、ダウンタイムが短いというメリットがあります。

効果の面では、剪除法の方が高い効果が期待できます。剪除法では術前と比較して汗・臭いが80〜90%減少するのに対し、ミラドライでは60〜80%程度の減少とされています。

費用面では大きな差があります。剪除法は保険適用で両ワキ約4〜5万円であるのに対し、ミラドライは自由診療のため20〜50万円程度の費用がかかります。

ダウンタイムは、ミラドライが最短翌日から日常生活に戻れるのに対し、剪除法は2週間程度の安静期間が必要です。仕事などの都合で長期間休めない方には、ミラドライの方が適している場合もあります。

傷跡については、ミラドライは傷跡が残りませんが、剪除法は3〜5cm程度の傷跡が残ります。ただし、ワキのシワに沿った傷跡は時間とともに目立たなくなります。

剪除法 vs ボトックス注射

ボトックス注射は、汗の分泌を抑える手軽な治療法です。施術時間は約10分程度で、傷跡も残らず、ダウンタイムもほぼありません。

ただし、ボトックスの主な効果は「制汗」であり、ワキガの臭いに対する効果は限定的です。軽度のワキガには有効な場合もありますが、中等度〜重度のワキガには効果が不十分なことがあります。

また、ボトックスの効果は4〜6ヶ月程度で切れるため、効果を維持するには定期的な再投与が必要です。長期的に見ると、費用と手間がかかります。

剪除法は1回の手術で永続的な効果が得られるため、重度のワキガで根治を希望する方には剪除法が適しています。

剪除法 vs シェービング法・吸引法

シェービング法や吸引法は、小さな切開から器具を挿入して汗腺を除去・吸引する方法です。傷跡が小さく、ダウンタイムも剪除法より短いのがメリットです。

ただし、これらの方法では医師が汗腺を直接目視しながら除去するわけではないため、取り残しが生じやすく、効果は剪除法に劣るとされています。再発率も剪除法より高い傾向にあります。

確実な効果を求める方、重度のワキガの方には、やはり剪除法が推奨されます。


渋谷でワキガ治療を受ける際のクリニック選びのポイント

形成外科専門医の有無

剪除法の効果は、執刀医の技術力に大きく依存します。日本形成外科学会認定の形成外科専門医が在籍しているクリニックを選ぶことで、より安全で効果的な治療を受けることができます。

形成外科専門医は、皮膚の縫合技術や創傷治癒に関する専門知識を持っており、傷跡を最小限に抑えながら確実に汗腺を除去する技術を備えています。

症例数と実績

ワキガ手術の症例数が豊富なクリニックでは、様々なケースに対応した経験とノウハウが蓄積されています。年間の手術件数や累計症例数を確認することで、クリニックの実績を把握できます。

1,000件以上の手術実績を持つ医師であれば、安心して治療を任せることができるでしょう。

保険診療への対応

ワキガの保険適用を謳っていても、実際には自由診療に誘導されるケースもあります。初回カウンセリングの段階で、保険適用の可否について明確な説明を受けることが重要です。

アイシークリニックでは、保険適用による剪除法を積極的に行っており、患者様の経済的負担を軽減しながら確実な治療を提供しています。

アクセスの良さ

剪除法は術後の通院が必要な治療です。抜糸や傷の経過観察のため、最低でも週1回程度の通院が必要となります。通院しやすい場所にあるクリニックを選ぶことで、術後のケアも継続しやすくなります。

渋谷は交通の便が良く、各方面からアクセスしやすい立地です。渋谷駅周辺にはワキガ治療を行うクリニックが複数あり、通勤・通学の途中でも通院しやすい環境が整っています。

カウンセリングの質

手術前のカウンセリングで、治療内容、期待される効果、リスク、術後の経過などについて丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。疑問点や不安な点に対して、分かりやすく回答してくれる医師であれば、信頼して治療を受けることができます。


剪除法に関するよくある質問(Q&A)

Q1. 手術は痛いですか?

手術は局所麻酔下で行うため、手術中の痛みはほとんど感じません。麻酔注射時に多少の痛みを感じることはありますが、極細針を使用し、ゆっくりと注入することで痛みを最小限に抑えています。術後は麻酔が切れると痛みが出始めますが、処方される痛み止めで対処できます。痛みのピークは手術当日の夜から翌朝で、その後は徐々に軽減していきます。

Q2. 手術時間はどのくらいですか?

手術時間は両ワキで約1〜2時間が目安です。片側あたり30分〜1時間程度ですが、汗腺の分布範囲が広い方や体格の大きな方はさらに時間がかかる場合があります。手術は日帰りで行われ、入院の必要はありません。

Q3. 仕事はどのくらい休む必要がありますか?

デスクワークなど体を動かさない仕事であれば、術後2〜3日で復帰できる場合もあります。ただし、腕を大きく動かす作業や重いものを持つ仕事、接客業などは術後2週間程度は控えることをお勧めします。運動や激しい動きを伴う仕事は、術後1ヶ月程度は避けてください。

Q4. 傷跡は目立ちますか?

傷跡はワキのシワに沿って形成されるため、時間とともにシワとなじんで目立ちにくくなります。術後2〜3週間で改善が見られ始め、約1年で地肌になじんでいきます。完全に消えるわけではありませんが、腕を上げた状態でも傷跡が気になりにくいレベルまで改善することがほとんどです。傷跡の治り方には個人差があり、ケロイド体質の方は事前に医師にご相談ください。

Q5. 再発することはありますか?

剪除法は再発率が低い治療法ですが、100%再発しないわけではありません。再発リスクは一般的に5〜10%程度とされています。再発の主な原因は、汗腺の取り残しです。経験豊富な医師による手術を受けることで、再発リスクを最小限に抑えることができます。また、10代など若年で手術を受けた場合、二次性徴に伴い再発するリスクもあります。

Q6. 両ワキを同時に手術できますか?

多くの場合、両ワキを同時に手術することができます。ただし、汗腺の分布範囲が広い方や血腫のリスクを軽減したい場合には、片側ずつ2回に分けて手術を行うこともあります。2回に分けることで、ダウンタイムや合併症のリスクを抑えることができます。

Q7. 手術後、入浴はできますか?

患部以外のシャワー浴は手術当日から可能ですが、患部は濡らさないようにする必要があります。洗髪は脇を締めて行ってください。患部のシャワー浴は術後1週間の圧迫固定除去後から可能です。湯船につかる入浴やサウナは術後2週間以降となります。

Q8. 子どもでも手術を受けられますか?

ワキガは思春期以降に症状が顕在化することが多いため、アポクリン汗腺が十分に発達した後(一般的に第二次性徴が完了した後)に手術を受けることが推奨されます。10代前半など若年での手術は、その後の成長に伴い再発するリスクがあります。お子様の手術をご検討の場合は、保護者の方とご一緒にカウンセリングにお越しいただき、適切な時期について医師とご相談ください。

Q9. ワキガ手術で保険が適用されないことはありますか?

はい、あります。保険適用には「重度の腋臭症」という診断が必要です。軽度のワキガでは保険適用の対象外となる場合があります。また、保険適用されるのは剪除法(皮弁法)のみで、ミラドライやボトックス注射(一部の多汗症を除く)などは保険適用外です。カウンセリング時に保険適用の可否について医師に確認することをお勧めします。

Q10. ミラドライを受けた後でも剪除法は受けられますか?

はい、受けられます。ミラドライなどの自費診療を受けた後でも、症状が残っている場合は保険適用で剪除法を受けることが可能です。他院での治療後に臭いが残った場合でも、対応可能ですのでご相談ください。


まとめ|剪除法でワキガの悩みを根本から解決

ワキガ(腋臭症)は、適切な治療を受けることで改善が期待できる疾患です。様々な治療法の中でも、剪除法(皮弁法)は最も効果が高く、保険適用も認められた信頼性の高い治療法として位置づけられています。

剪除法は、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を直視下で直接除去するため、高い根治性と低い再発率を実現します。術後のダウンタイムや傷跡といったデメリットはありますが、経験豊富な形成外科専門医による手術と適切な術後ケアにより、リスクを最小限に抑えながら、長年のワキガの悩みを解決することができます。

渋谷エリアでワキガ治療をお考えの方は、まずは専門医によるカウンセリングを受け、ご自身の症状や生活スタイルに合った治療法を見つけることが大切です。ワキガは一人で悩まず、専門家に相談することで解決への第一歩を踏み出すことができます。

アイシークリニック渋谷院では、専門医が一人ひとりの患者様に寄り添い、丁寧な診察とカウンセリングを行った上で、最適な治療プランをご提案いたします。保険適用の剪除法による確実な治療で、ワキガの悩みから解放され、自信を持って日常生活を送っていただけるようサポートいたします。

ワキガでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 日本皮膚科学会「汗の病気―多汗症と無汗症― Q5」 https://qa.dermatol.or.jp/qa32/q05.html
  2. 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/125/7/125_1379/_article/-char/ja/
  3. 東京大学医科学研究所「腋臭症(わきが)のニオイの原因となる菌を遺伝子レベルで解析」 https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00281.html
  4. みんなの家庭の医学「腋臭症」 https://kateinoigaku.jp/disease/684
  5. Liu Q, Zhou Q, Song Y, et al. Surgical subcision as a cost-effective and minimally invasive treatment for axillary osmidrosis. J Cosmet Dermatol 9: 44-9, 2010
  6. Qian JG, Wang XJ. Effectiveness and complications of subdermal excision of apocrine glands in 206 cases with axillary osmidrosis. J Plast Reconstr Aesthet Surg, 63: 1003-7, 2010

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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