夏が近づくと、去年使いかけた日焼け止めが引き出しから出てきた、という経験はありませんか。「もったいないからまだ使えるかな」「肌に塗って大丈夫だろうか」と迷ったまま結局使ってしまう方も多いのではないでしょうか。日焼け止めには使用期限があり、その期限を過ぎた製品や保管状態が悪かった製品を肌に使うと、紫外線防止効果が十分に得られないだけでなく、肌トラブルを引き起こすリスクもあります。このコラムでは、日焼け止めの使用期限の考え方から、開封・未開封の違い、劣化のサイン、正しい保管方法まで、医療・皮膚科学の観点からくわしくお伝えします。去年の日焼け止めをどうすべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
- 日焼け止めの使用期限はどのくらい?
- 開封済みと未開封では使用期限が変わる
- 去年の日焼け止めが劣化しているサインとは
- 劣化した日焼け止めを使うとどうなる?
- 日焼け止めの正しい保管方法
- 使用期限切れの日焼け止めは使っても大丈夫?
- 日焼け止めの効果を最大限に引き出すためのポイント
- 肌荒れを防ぐ日焼け止めの選び方
- まとめ
この記事のポイント
日焼け止めは未開封で製造から2〜3年、開封後は1年以内が使用目安。去年の開封済み製品は紫外線防止効果の低下と肌トラブルのリスクがあるため、毎年シーズン開始時に新品へ切り替えることを推奨。
🎯 日焼け止めの使用期限はどのくらい?
日焼け止めには、医薬部外品と化粧品の2種類があります。医薬部外品には製造から3年以内が使用期限とされていることが多く、化粧品については製造から3年を超えるものには使用期限の記載が義務付けられています。反対に、製造から3年以内であれば適切な保管状態を前提として安定性が確保されているとみなされるため、パッケージへの期限表示が免除されているケースが多いのが現状です。
ただし、「パッケージに使用期限が書いていない=いつまでも使える」ということではありません。日焼け止めはさまざまな成分が組み合わさった複合製品であり、時間の経過とともに成分が変質・分解する性質を持っています。特に紫外線吸収剤や紫外線散乱剤、防腐剤、保湿成分などはそれぞれ安定性が異なり、保管環境によって劣化の速度も大きく変わります。
一般的に、未開封の状態であれば製造から2〜3年を目安に使用することが推奨されています。これはあくまでも適切な保管環境(高温多湿を避け、直射日光の当たらない場所など)が前提となります。一方、開封後はそのような条件が揃っていても、空気や雑菌の混入、温度変化などにより劣化が進みやすくなるため、開封後1年以内を目安として使い切ることが望ましいとされています。
去年の夏に使い始めた日焼け止めは、今年の夏が来る頃にはすでに開封から約1年が経過していることになります。使用期限の観点からは、使い続けることを慎重に検討する必要があります。
Q. 日焼け止めの使用期限はどのくらい?
日焼け止めは未開封であれば製造から2〜3年、開封後は1年以内に使い切ることが推奨されています。パッケージに使用期限の記載がない製品は「いつでも使える」わけではなく、適切な保管環境を前提とした品質保証期間内での使用が必要です。
📋 開封済みと未開封では使用期限が変わる
日焼け止めを含む化粧品・スキンケア製品全般において、未開封と開封済みでは品質の保ちやすさが大きく異なります。未開封の製品は容器内が密閉された状態であり、空気や外部からの微生物が入り込むことが基本的にはありません。このため、メーカーが設定した使用期限まで成分の安定性を保つことができる設計になっています。
しかし、一度開封した日焼け止めは状況が一変します。開封と同時に容器内に空気が入り込み、酸化が始まります。また、製品を手に取る際には皮膚に付着した雑菌が容器の口や内部に混入することもあります。チューブタイプの場合は比較的こうした混入が起こりにくいですが、ポンプタイプや広口の容器では特に注意が必要です。
また、開封後は使うたびに空気との接触面積が変化し、成分の蒸発や変質が進みやすくなります。特に夏場に使うことが多い日焼け止めは、海やプールのバッグに入れたまま高温にさらされることも多く、一般的な保管状態よりも劣化が速く進む傾向があります。
EU(ヨーロッパ連合)では、化粧品の開封後の使用期限を「開封後使用期限(PAO:Period After Opening)」として、パッケージに小さな開いた容器のマーク(開いた瓶のアイコン)と数字で表示することが義務付けられています。「12M」と書かれていれば開封後12か月以内、「6M」であれば6か月以内が目安です。日本の製品には必ずしもこの表示があるわけではありませんが、参考にできる情報の一つです。
いずれにせよ、去年の夏に開封した日焼け止めは、今年の使用には開封からの経過時間と保管状態の両面から慎重に判断する必要があります。
💊 去年の日焼け止めが劣化しているサインとは
使用期限の表示がなかったり、いつ開封したかはっきりしなかったりする場合でも、製品そのものの状態を確認することで劣化のサインを見分けることができます。使用前に必ずチェックしてほしいポイントを以下にまとめます。
🦠 色の変化
日焼け止めの多くは白色〜乳白色をしていますが、劣化が進むと黄色みがかったり、くすんだ色に変わることがあります。これは成分の酸化や変質が起きているサインです。特に紫外線吸収剤が含まれる製品では、成分が分解されることで見た目の色が変化しやすいとされています。購入当初の色と比べて明らかに変色している場合は、使用を避けるのが安全です。
👴 においの変化
製品本来の香りが変わり、酸っぱいような変なにおい、油が酸化したようなにおいがする場合は劣化のサインです。これは成分が酸化・変質していることを示しています。香料が含まれる製品では特に、劣化によるにおいの変化がわかりやすく出ることがあります。無香料の製品でも「おかしい」と感じるにおいがしたら、使用しないでください。
🔸 テクスチャーの変化
購入当初は滑らかに伸びていたのに、分離していたり、とろみが失われてシャバシャバになっていたり、逆にドロドロに固まっていたりする場合は、製品の乳化状態が崩れているサインです。乳化とは油と水を混合させて安定した状態にする技術ですが、温度変化や時間の経過によってこのバランスが崩れることがあります。乳化が崩れた製品は成分が不均一に分散しており、均一な紫外線防止効果が得られません。
💧 肌への塗り心地の変化
実際に少量を肌に塗ってみたときに、ピリピリとした刺激感や赤み、かゆみが生じた場合は、成分が分解されてアレルギーを引き起こしやすい物質が生成されている可能性があります。手の甲などでパッチテストを行い、異常を感じたら即座に洗い流して使用をやめてください。
上記のいずれかに当てはまる場合は、使用を控えることを強くおすすめします。見た目や香りに問題がなくても、去年の開封済み製品については使用期限の観点から一度立ち止まって判断してください。
Q. 日焼け止めが劣化しているサインは何?
日焼け止めの劣化サインは主に4つあります。①白色から黄色への変色、②酸っぱいにおいや油の酸化臭、③テクスチャーの分離・変質、④塗布時のピリピリ感や赤みです。これらのいずれかに当てはまる場合は使用を避け、新しい製品への切り替えを検討してください。
🏥 劣化した日焼け止めを使うとどうなる?
劣化した日焼け止めを使い続けることには、大きく分けて「紫外線防止効果の低下」と「肌トラブルのリスク」という2つの問題があります。
✨ 紫外線防止効果の低下
日焼け止めの主な成分である紫外線吸収剤や紫外線散乱剤は、時間の経過とともに活性が低下します。紫外線吸収剤(有機系フィルター)は化学反応によって紫外線を吸収してエネルギーに変換する仕組みですが、成分自体が変質すると正しく機能しなくなります。また、紫外線散乱剤(無機系フィルター)は酸化チタンや酸化亜鉛が主成分ですが、製品の乳化が崩れることで均一に塗布できなくなり、想定どおりの遮蔽効果が得られなくなります。
SPFやPA値は製品が設計どおりの状態にあることを前提としています。劣化した製品では表示されているSPF・PA値の効果を期待することができず、思わぬ日焼けや光老化が進んでしまう可能性があります。特に、紫外線対策として日焼け止めに頼っている方にとって、この効果低下は見過ごせません。
📌 肌トラブルのリスク
劣化した日焼け止めには、成分の分解物や酸化物が含まれている場合があります。これらの物質が肌に付着すると、接触性皮膚炎(かぶれ)、刺激性皮膚炎、アレルギー反応を引き起こすリスクがあります。特に、防腐剤が劣化または機能を失った製品では、容器内に雑菌が繁殖している可能性もあり、細菌性の感染リスクも否定できません。
もともと肌が敏感な方、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギーがある方は、劣化成分に対して特に反応しやすい傾向があります。日焼け止めを塗った後に肌が赤くなる、かゆくなる、ニキビやブツブツが増えるといった症状が出た場合は、製品の劣化が原因の一つとして疑われます。
また、日焼け止めに含まれる防腐剤(パラベンなど)は成分が変質することで刺激性が高まることが知られており、これが肌荒れの引き金になることもあります。敏感肌の方には特に、シーズンが変わるたびに新しい製品を使い始めることをおすすめします。
⚠️ 日焼け止めの正しい保管方法
日焼け止めの劣化を防ぐためには、適切な保管方法が非常に重要です。以下のポイントを押さえることで、製品の品質を使用期限まで保ちやすくなります。
▶️ 直射日光・高温を避ける
日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤は、光に当たることで分解が促進されます。また、高温(40℃以上など)になると乳化が崩れたり、防腐剤の効果が低下したりすることがあります。車のダッシュボードや窓際など、温度が上がりやすい場所への放置は避けましょう。夏の海やプールに持参する際も、使わないときはバッグや日陰に保管することを意識してください。
🔹 高湿度の場所を避ける
湿気の多い環境は、容器内に湿気が入り込むことで細菌の繁殖を促進します。洗面所や浴室などの湿度が高い場所に長期間置くことは避け、できれば乾燥した環境で保管してください。
📍 使用後はキャップをしっかり閉める
使用後はすぐにキャップをしっかり閉めることで、空気の混入や乾燥を防ぐことができます。ポンプタイプの場合はポンプを下げてロックするタイプのものが多く、同様にしっかりと封をしてください。
💫 容器口を清潔に保つ
チューブや容器の口に製品が残ったままになると、そこから細菌が繁殖することがあります。使用後は容器の口を清潔なティッシュなどで拭き取る習慣をつけるとよいでしょう。また、直接指を容器に入れるタイプの製品は特に衛生管理に注意が必要です。
🦠 冷暗所での保管が基本
室温が比較的安定している引き出しの中や、洗面台の収納棚など、温度変化が少なく直射日光が当たらない場所が理想的な保管場所です。冷蔵庫での保管は温度が低すぎて乳化が崩れる可能性があり、一般的には推奨されていません。ただし、一部の製品では冷蔵保管が推奨されているものもあるため、パッケージの指示に従ってください。
Q. 劣化した日焼け止めを使うとどんなリスクがある?
劣化した日焼け止めを使用すると、紫外線吸収剤・散乱剤の変質により表示されたSPF・PA値の効果が得られなくなります。さらに成分の分解物が接触性皮膚炎やアレルギー反応を引き起こすリスクもあります。防腐剤が機能を失った場合は容器内で雑菌が繁殖する可能性もあります。
🔍 使用期限切れの日焼け止めは使っても大丈夫?
「開封から1年以上経っているけど、見た目はきれいだし、においも問題ない。これなら使っても大丈夫では?」と思う方もいるかもしれません。確かに、外見上は劣化していないように見える製品でも、内部では成分の変質が進んでいることがあります。
医療・皮膚科学の立場からは、開封から1年以上経過した日焼け止めの使用は基本的に推奨されません。その理由として主に以下が挙げられます。
まず、紫外線防止成分は目には見えない形で分解・変質している可能性があります。表示されているSPFやPA値が実際に機能しているかどうかは、見た目では判断できません。紫外線対策の目的で日焼け止めを使用しているにもかかわらず、実際にはほとんど効果がないという状況は、特にシミや光老化を気にしている方にとって大きなリスクです。
次に、防腐剤が変質または機能を失っている場合、製品内部で微生物が繁殖している可能性があります。目に見えない細菌やカビが含まれた製品を肌に塗ることは、皮膚感染症や炎症の原因になり得ます。
また、成分の分解物の中にはアレルギーを引き起こすものや、肌への刺激性が高まっているものが含まれることがあります。以前は問題なく使えていた製品でも、劣化が進むことでアレルギー反応が出る場合もあります。
もちろん、すべての期限切れ製品が必ずトラブルを引き起こすわけではありません。しかし、「まだ使えるかもしれない」というわずかなリスクを負って肌に塗り続けるよりも、新しい製品に切り替える方が、長期的な肌の健康を守るうえで合理的な判断といえます。
毎年シーズンの始まりに新しい日焼け止めを用意するサイクルを作ることが、肌への安全性と紫外線防止効果の両立につながります。
📝 日焼け止めの効果を最大限に引き出すためのポイント
新しい日焼け止めに切り替えたとしても、使い方が正しくなければ十分な効果は得られません。ここでは、日焼け止めを正しく使うための基本ポイントを解説します。
👴 適切な量を使う
日焼け止めのSPF・PA値は、一定量を均一に塗布した場合の試験結果に基づいています。日本では1cm²あたり2mgを基準として測定されており、顔全体(約600cm²)に塗るなら約1.2g、つまり小さじ4分の1程度が目安です。多くの方がこの量よりも少なく塗っている実態があり、量が少ないと表示された効果が半分以下になることもあります。
日焼け止めを使い切れずに余らせてしまう原因の一つが「ケチって少量しか塗らない」という習慣です。適量を塗ることで初めて期待どおりの効果が得られることを意識しましょう。
🔸 外出の15〜30分前に塗る
日焼け止め、特に紫外線吸収剤を含む製品は、肌に塗布してから成分が安定するまでに少し時間がかかります。外出の15〜30分前に塗布することで、成分が肌になじみ、効果が発揮されやすくなります。外出直前に慌てて塗るよりも、余裕を持って塗るよう心がけましょう。
💧 こまめに塗り直す
日焼け止めは汗や摩擦によって落ちてしまいます。屋外にいる間は2〜3時間ごとに塗り直すことが推奨されています。スポーツや海水浴など、汗をかく場面や水に入る場面では、防水性(ウォータープルーフ)の製品を選んだうえで、こまめな塗り直しを心がけましょう。
✨ SPF・PA値はシーンに応じて選ぶ

日常の通勤や買い物程度であればSPF20〜30・PA++程度で十分なことが多く、屋外でのスポーツやレジャー、強い日差しを長時間受ける場合はSPF50+・PA++++の高い保護効果を持つ製品が適しています。数値が高いほど肌への負担も大きくなる場合があるため、シーンに合わせた選択が肌にやさしい使い方につながります。
📌 塗り残しに注意する
耳の周り、首の後ろ、目尻、鼻の側面などは塗り残しが生じやすい部位です。これらの部位は日焼けやシミができやすい箇所でもあるため、丁寧に塗布するよう意識してください。顔だけでなく、露出している首や手の甲、腕にもしっかり塗ることが大切です。
Q. 日焼け止めの正しい保管方法を教えてください
日焼け止めは直射日光・高温・高湿度を避け、温度変化が少ない引き出しの中などの冷暗所で保管するのが基本です。使用後はキャップをしっかり閉め、容器の口を清潔に保ちましょう。冷蔵庫での保管は乳化が崩れる恐れがあるため一般的には推奨されていません。
💡 肌荒れを防ぐ日焼け止めの選び方
去年の日焼け止めを新しいものに買い替えるにあたって、どのような製品を選べばよいかも気になるところです。特に肌が敏感な方や、日焼け止めで肌荒れを経験したことがある方には、製品の成分や特性に注目した選び方が大切です。
▶️ 紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプ
日焼け止めの紫外線防止成分には、大きく分けて「紫外線吸収剤(ケミカル)」と「紫外線散乱剤(ノンケミカル・フィジカル)」の2種類があります。紫外線吸収剤は化学反応によって紫外線を熱エネルギーに変換しますが、成分によっては肌に刺激を与えたり、アレルギー反応を引き起こしたりすることがあります。一方、紫外線散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛などの無機系成分が光を反射・散乱させることで紫外線を防ぎます。物理的な作用であるため、肌への刺激が比較的少なく、敏感肌やアレルギーが気になる方に向いているとされています。
ただし、散乱剤タイプは白浮きしやすいという特性があるため、最近では散乱剤の粒子を微粒子化した製品や、吸収剤と散乱剤を組み合わせた製品も多く市販されています。自分の肌質や使用目的に合わせて選んでみましょう。
🔹 無香料・無着色・アレルギーテスト済み製品
肌が敏感な方は、香料や着色料が含まれていない製品を選ぶと刺激を軽減できます。アレルギーテスト済みと記載されている製品は、皮膚専門家の監修のもとテストが行われており、アレルギー反応が起きにくいよう設計されていることが多いです。ただし「アレルギーテスト済み」の表示は、あらゆる人にアレルギーが起きないことを保証するものではないため、初めて使用する場合はパッチテストを行うことをおすすめします。
📍 保湿成分が含まれているかどうか
日焼け止めを毎日使用する場合、塗ることで肌が乾燥しやすくなることがあります。ヒアルロン酸、セラミド、スクワランなどの保湿成分が配合されている製品を選ぶことで、紫外線対策と同時に肌の保湿ケアができます。乾燥肌の方や、日焼け止めを塗ると肌がつっぱると感じる方にとっては、こうした成分の有無が使い心地に大きく影響します。
💫 テクスチャーと用途に合った製品を選ぶ
日焼け止めはクリーム、乳液、ジェル、スプレー、スティックなどさまざまなテクスチャーがあります。顔に使うなら化粧下地になるものや、軽いテクスチャーで化粧崩れしにくいものが使いやすいでしょう。体用には塗り広げやすい乳液タイプやスプレータイプが便利です。テクスチャーが合わないと塗る量が少なくなりがちなため、自分が使いやすいと感じる製品を選ぶことも、結果的に効果的な紫外線対策につながります。
🦠 皮膚科やクリニックでの処方・相談も選択肢に
肌に悩みがある方や、何を使っても肌荒れが起きてしまう方は、皮膚科や美容皮膚科に相談することも一つの選択肢です。専門家によって肌の状態を診てもらったうえで、適切な日焼け止め製品をすすめてもらうことができます。また、医療機関ではより高品質・高機能な日焼け止めや、肌の状態に合わせたスキンケア製品が処方・販売されていることもあります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏の終わりから翌春にかけて「去年の日焼け止めを使い続けたら肌が赤くなった・かぶれた」というご相談を受けることが少なくありません。開封から時間が経過した日焼け止めは、見た目に問題がなくても成分の変質により紫外線防止効果が低下しているだけでなく、肌トラブルの原因となる可能性があるため、毎年シーズンの始まりに新しい製品へ切り替えることを強くおすすめしています。肌への安全性と確かな紫外線対策の両立のためにも、少しでも異変を感じたら迷わず皮膚科にご相談ください。」
✨ よくある質問
開封後の日焼け止めは1年以内に使い切ることが推奨されています。去年の夏に開封した製品は、今年の夏には開封からおよそ1年が経過しており、成分の変質や紫外線防止効果の低下が起きている可能性があります。色・におい・テクスチャーに異変がある場合は使用を控え、新しい製品への切り替えをご検討ください。
以下の4つのサインが劣化の目安になります。①色が黄色みがかるなど変色している、②酸っぱいにおいや油が酸化したようなにおいがする、③テクスチャーが分離したりドロドロに固まったりしている、④肌に塗るとピリピリとした刺激や赤みが出る。これらに一つでも当てはまる場合は使用を避けてください。
日本では製造から3年以内の化粧品は使用期限の表示が免除される場合があるため、パッケージに記載がない製品も多くあります。ただし「表示がない=いつでも使える」ではありません。未開封であれば製造から2〜3年、開封後は1年以内を目安として使用し、保管状態が悪かった場合はさらに短くなる点にご注意ください。
直射日光・高温・高湿度を避け、温度変化が少ない冷暗所(引き出しの中など)での保管が基本です。車のダッシュボードや浴室など温度・湿度が上がりやすい場所への放置は劣化を早めます。使用後はキャップをしっかり閉め、容器の口を清潔に保つことも大切です。冷蔵庫への保管は乳化が崩れる恐れがあるため、一般的には推奨されていません。
敏感肌の方には、酸化チタンや酸化亜鉛を使用した紫外線散乱剤(ノンケミカル)タイプが肌への刺激が比較的少なくおすすめです。また、無香料・無着色・アレルギーテスト済みの製品を選ぶとさらに安心です。それでも肌荒れが起きてしまう場合は、皮膚科や美容皮膚科で肌の状態に合った製品を相談されることをおすすめします。
📌 まとめ
去年の日焼け止めについてのポイントを振り返ってみましょう。日焼け止めには使用期限があり、未開封であれば製造から2〜3年が目安、開封後は1年以内に使い切るのが基本です。去年の夏から使っている開封済み製品は、今年の使用を慎重に検討する必要があります。
劣化のサインとしては、色の変化・においの変化・テクスチャーの変化・塗ったときの刺激感などが挙げられます。これらの異変を感じたら、使用を控えてください。劣化した製品は紫外線防止効果が低下しているだけでなく、肌荒れやアレルギー反応のリスクもあります。
日焼け止めを長持ちさせるためには、直射日光・高温・高湿度を避けた冷暗所での保管が基本です。使用後は必ずキャップをしっかり閉め、容器口を清潔に保つことも大切です。
新しい日焼け止めを選ぶ際には、自分の肌質やシーンに合ったSPF・PA値を選び、敏感肌の方は無香料・無着色・ノンケミカルタイプを検討すると安心です。また、効果を最大限に発揮させるためには、適切な量を外出前に塗り、こまめに塗り直すことが不可欠です。
毎年シーズンが来るたびに新しい日焼け止めを用意する習慣を作ることが、肌の健康を守るための最もシンプルで確実な方法です。紫外線は紫外線対策をしていない肌にシミ・シワ・たるみなどの光老化を引き起こすだけでなく、皮膚がんのリスクにも関わります。今年の紫外線シーズンは、信頼できる製品を使って日焼け対策に取り組んでいきましょう。肌の悩みや日焼け止め選びに不安がある方は、ぜひ皮膚科や美容皮膚科への相談を検討してみてください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – 化粧品・医薬部外品の成分規制・表示義務・使用期限に関する薬機法上の規定(化粧品の製造から3年以内の期限表示免除ルール、医薬部外品の品質基準等)
- 日本皮膚科学会 – 紫外線と皮膚への影響・日焼け止めの適切な使用方法に関する皮膚科学的見解(SPF・PA値の意味、接触性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎のリスク、敏感肌への推奨事項等)
- PubMed – 日焼け止め成分(紫外線吸収剤・紫外線散乱剤)の安定性・劣化・光分解に関する国際的な皮膚科学・化粧品科学の査読済み研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務