日焼け止めを手に取ると、必ず目にする「SPF50+」や「PA++++」という表示。これらが紫外線防止に関係していることは何となく知っていても、それぞれの意味や違いをきちんと理解している人は意外と少ないものです。SPFとPAは、異なる種類の紫外線に対する防御力を示す指標であり、肌を守るためには両方を適切に理解して選ぶ必要があります。この記事では、SPFとPAそれぞれの意味と違い、数値の読み方、シーンに合った選び方まで、医療的な観点からわかりやすく解説します。
目次
- 紫外線とは何か?UVAとUVBの違い
- SPFとは何か?その意味と数値の読み方
- PAとは何か?その意味と「+」の数が示すもの
- SPFとPAの根本的な違い
- 数値が高ければ高いほどよいのか?
- シーン別・肌質別の選び方
- 日焼け止めの正しい使い方と塗り直しの重要性
- 日焼け止めだけでは防げない紫外線ダメージ
- 紫外線が引き起こす肌へのダメージとは
- まとめ
この記事のポイント
SPFはUVBによる炎症性日焼け、PAはUVAによる光老化を防ぐ指標で、日焼け止め選びでは両方の確認が必須。日常使いはSPF15〜30・PA++〜+++、屋外活動時はSPF50+・PA++++が目安。適切な塗布量と塗り直しが防御効果維持の基本。
🎯 紫外線とは何か?UVAとUVBの違い
SPFとPAを理解するためには、まず紫外線の種類について知っておく必要があります。紫外線(UV:Ultraviolet)は、太陽から降り注ぐ電磁波の一種で、波長の長さによって大きく3種類に分類されます。
最も波長が長いのがUVA(波長320〜400nm)、次にUVB(波長280〜320nm)、そして最も波長が短く有害性の高いUVC(波長100〜280nm)です。UVCは地球のオゾン層によってほぼ完全に吸収されるため、地表に届くことはほとんどありません。私たちの肌に実際に影響を与えるのは、UVAとUVBの2種類です。
UVBは波長が短く、エネルギーが強いという特徴があります。肌の表面(表皮)に作用し、短時間で肌を赤くしたり炎症を引き起こしたりします。いわゆる「日焼け」のうち、赤くヒリヒリする「サンバーン」を起こすのが主にUVBです。紫外線量は季節や時間帯によって大きく変動し、春から夏にかけて、また正午前後に最も強くなります。
一方のUVAは波長が長く、エネルギーはUVBよりも低いものの、雲や窓ガラスを透過して室内にも届くという厄介な性質を持っています。UVAは肌の奥深くにある真皮層まで到達し、コラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を支えるタンパク質にダメージを与えます。これが長年にわたって蓄積されることで、しわやたるみ、色素沈着などの光老化(フォトエイジング)を引き起こします。UVAによる変化は即座には気づきにくいため、長期的な肌へのダメージという面では非常に注意が必要です。
また、UVAは年間を通じてほぼ一定の量が降り注いでいるため、曇りの日や冬であっても油断は禁物です。こうした2種類の紫外線から肌を守るために開発されたのが日焼け止め製品であり、SPFはUVBへの、PAはUVAへの防御効果を示す指標として設けられています。
Q. SPFとPAはそれぞれ何を示す指標ですか?
SPFはUVB(短波長紫外線)への防御効果を数値で示す指標で、肌の炎症性日焼け(サンバーン)を防ぐ効果を表します。PAはUVA(長波長紫外線)への防御効果を「+」の数で示す指標で、しわ・たるみ・シミなどの光老化を防ぐ効果を表します。両者は対象とする紫外線の種類が異なるため、日焼け止め選びでは必ず両方を確認することが重要です。
📋 SPFとは何か?その意味と数値の読み方
SPFとは「Sun Protection Factor(サン・プロテクション・ファクター)」の略で、日本語に訳すと「紫外線防御指数」となります。この指標はUVBに対する防御効果を数値で表したものです。
SPFの数値は、何も塗っていない状態と比較して、どれだけ長い時間UVBによるサンバーン(紅斑)を遅らせられるかを示しています。たとえばSPF1は、何も塗っていない状態よりも1倍(つまり変わらない)紅斑が起きにくいという意味ではなく、理論上は「SPF1あたり約10〜20分間」紅斑の発生を遅らせる効果があるとされています。
具体的に言うと、何も塗らずに日焼けするまでの時間が20分だとしたとき、SPF30の日焼け止めを適切に塗れば理論上は20分×30=600分(約10時間)紅斑が起きにくくなる計算になります。ただしこれはあくまでも理論値であり、汗や皮脂による落ち、塗り方のムラなどによって実際の効果は大きく変わります。
SPFの数値は1から50+まで表示されており、日本では2013年以降、SPF50を超えるものはすべて「SPF50+」と表示されるよう規定されています。これはそれ以上の数値の差が実用上ほとんど意味をなさないためです。
なお、SPFの数値とUVBカット率の関係をまとめると、SPF15で約93%、SPF30で約97%、SPF50で約98%のUVBをカットできるとされています。数値が高くなるにつれてカット率は上がりますが、その差は縮まっていくことがわかります。
💊 PAとは何か?その意味と「+」の数が示すもの
PAとは「Protection grade of UVA(プロテクション・グレード・オブ・UVA)」の略で、UVAに対する防御効果を示す指標です。SPFが国際的に広く使われている基準であるのに対し、PAは主に日本をはじめとするアジアで使用されているシステムです。ヨーロッパでは「PPD(Persistent Pigmentation Darkening)」という別の指標が用いられることもあります。
PAの基準は日本化粧品工業連合会(粧工連)が定めており、UVAに対する防御効果を「+(プラス)」の数で4段階に分けて表示しています。
PA+はUVA防御効果が「ある」レベルで、PFA値が2以上4未満。PA++は「やや高い」レベルでPFA値4以上8未満。PA+++は「高い」レベルでPFA値8以上16未満。PA++++は「非常に高い」レベルでPFA値16以上の製品に使用されます。
PFA値とは「Protection Factor of UVA」の略で、何も塗っていない状態と比べて何倍UVAによる肌の黒化(即時黒化)を防げるかを示す数値です。数値が高いほどUVAに対する防御効果が高いことを意味します。
UVAは光老化の主な原因であるにもかかわらず、日々の生活の中で軽視されがちです。室内にいても窓から入り込んでくることや、曇りの日にも降り注いでいることを考えると、PAの数値も日焼け止め選びにおいて非常に重要な指標と言えます。
Q. 日常使いの日焼け止めに適切なSPFとPAの数値は?
通勤や買い物など短時間の外出が中心の日常使いでは、SPF15〜30・PA++〜+++程度が適切とされています。数値が高い製品ほど紫外線防止成分が多く含まれ肌への負担が増す傾向があります。屋外スポーツや海水浴などの強い日差しの下では、SPF50+・PA++++の高い防御効果を持つ製品を選ぶことが推奨されます。
🏥 SPFとPAの根本的な違い
ここで改めてSPFとPAの違いを整理しておきましょう。
最も根本的な違いは、対象としている紫外線の種類です。SPFはUVBへの防御効果を、PAはUVAへの防御効果を示しています。つまり、これら2つの指標は異なる紫外線に対する異なる防御力を別々に示しているということです。
次に、数値の表現方法が異なります。SPFは数字(例:SPF30、SPF50+)で表され、数字が大きいほど防御効果が高いことを示します。PAは「+」の数(例:PA+、PA++++)で表され、プラスの数が多いほど防御効果が高いことを意味します。
測定方法にも違いがあります。SPFは紅斑(皮膚の赤み・炎症)を指標として測定されます。一方PAは、UVAによる肌の即時黒化(日焼けによる黒化反応)を指標として測定されています。
また、日焼けのダメージという観点から見ると、UVBは主に「サンバーン」と呼ばれる炎症性の日焼けを起こし、これが皮膚がんのリスクを高めることが知られています。UVAは主に「サンタン」と呼ばれる黒化反応を起こし、長期的な光老化(しわ、たるみ、シミ)の原因となります。SPFはサンバーンの防止、PAはサンタンや光老化の防止に対応しているとも言えます。
日焼け止めを選ぶ際には、この2つが「別々の指標であり、どちらも重要」という認識を持つことが大切です。SPFが高くてもPAが低い製品は、UVBからの防御は優れていますがUVAに対しては弱いということになります。逆もしかりです。完全な紫外線対策のためには、SPFとPA、両方の数値を確認することが必要です。
⚠️ 数値が高ければ高いほどよいのか?
日焼け止めを選ぶ際、多くの人が「数値は高ければ高いほどよい」と考えがちです。しかし、これは必ずしも正解ではありません。数値の高い日焼け止めにはメリットだけでなく、考慮すべきデメリットも存在します。
まず数値が高い製品のメリットとして、強い日差しの下でも長時間の防護効果が期待できる点が挙げられます。海水浴や登山、スポーツなど、長時間屋外で強い紫外線を浴びるシーンでは、高いSPFとPAの製品が適しています。
一方デメリットとして、一般的に数値が高い製品ほど紫外線防止成分が多く含まれているため、肌への負担が大きくなる傾向があります。紫外線吸収剤(化学的フィルター)が多く配合された製品は、肌が敏感な方や乾燥しやすい方にとって、かぶれや刺激感、乾燥の原因になることがあります。また、テクスチャーが重くなりやすく、日常使いには使いにくいと感じる方もいます。
日本皮膚科学会のガイドラインなどでも、日常的な使用ではSPF15〜30程度、PAは++〜+++程度で十分と考えられており、特に紫外線が強い時期や屋外活動時にはSPF30〜50+、PA+++〜++++が推奨されています。
また、数値が高くても正しく使わなければ十分な効果は発揮されません。肌に対して均一に、十分な量を塗布することが大前提です。少量しか塗っていない場合、表示されているSPF・PAの数値通りの効果は得られません。日焼け止めの効果を最大限に引き出すためには、適切な量を塗ること、そして汗や摩擦によって落ちた場合にはこまめに塗り直すことが重要です。
つまり、シーンや目的に合った適切な数値の製品を選ぶことが、肌への負担を最小限にしながら必要な防御効果を得るための賢い方法と言えます。
Q. 日焼け止めの塗布量や塗り直しの目安は?
日焼け止めは顔全体に対して1〜2gが適切な塗布量の目安です。量が少ないと表示されているSPF・PAの数値通りの防御効果は得られません。また、日焼け止めは汗・皮脂・摩擦によって徐々に落ちるため、屋外活動中は2〜3時間おきを目安に塗り直すことが重要です。水に入った後や汗を多くかいた後は、できるだけ早めに塗り直す必要があります。
🔍 シーン別・肌質別の選び方
日焼け止めは一種類をどんな場面にも使えばよいというものではありません。活動内容や肌の状態、季節などによって適切な製品は異なります。以下にシーン別・肌質別の選び方を詳しく解説します。
日常使い(通勤・買い物など短時間の外出)の場合は、SPF15〜30、PA++〜+++程度が適切です。高すぎるSPFやPAの製品は必要以上に肌に負担をかける可能性があるため、毎日使うものとしては軽いテクスチャーで肌への負担が少ない製品を選びましょう。乳液タイプやBBクリームに日焼け止め成分が配合されているものも、日常使いには便利です。
屋外でのスポーツやレジャーの場合は、SPF30〜50+、PA+++〜++++の高い防御効果を持つ製品が必要です。汗や水で落ちにくいウォータープルーフタイプを選ぶことも重要です。ただしウォータープルーフタイプはクレンジング剤でしっかり落とす必要があるため、洗い残しに注意が必要です。
海水浴やプールでの使用には、SPF50+、PA++++の最高レベルのもので、かつ耐水性に優れたウォータープルーフタイプが推奨されます。水中での活動によって日焼け止めが流れやすいため、2時間ごとを目安に塗り直すことが重要です。
敏感肌の方は、紫外線吸収剤を含む製品でかぶれや刺激を感じることがあります。「紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)」と記載された、紫外線散乱剤(酸化チタンや酸化亜鉛)のみを使用した製品を選ぶと安心です。ノンケミカル製品は肌への刺激が少ない反面、白浮きしやすいものもあるため、テクスチャーも確認して選びましょう。
乾燥肌の方には、保湿成分が配合されたクリームタイプや乳液タイプの日焼け止めが向いています。スプレータイプやジェルタイプは使い勝手がよい一方で、乾燥しやすい傾向があるため乾燥肌には不向きな場合があります。
脂性肌やニキビができやすい肌の方には、ノンコメドジェニックテスト済みの製品や、さらりとしたジェルタイプやウォータータイプの製品が適しています。毛穴を詰まらせにくい処方のものを選ぶと、ニキビの悪化を防ぐことができます。
子ども・赤ちゃんには、低刺激処方で紫外線吸収剤不使用のもの、香料や防腐剤を含まない製品を選びましょう。子どもの肌は大人よりも薄く繊細であるため、肌への優しさを優先して製品を選ぶことが大切です。
📝 日焼け止めの正しい使い方と塗り直しの重要性
どれだけ優れた日焼け止めを選んでも、使い方が間違っていれば本来の効果は発揮されません。ここでは日焼け止めの正しい使い方について解説します。
まず、塗布量について。日焼け止めの効果は適切な量を塗ることが前提です。一般的に、顔全体に塗る場合は1〜2gが適切な量とされています。量が少ないと、表示されているSPFやPAの数値通りの効果が得られません。研究によれば、実際に多くの人が推奨量の25〜50%程度しか塗れていないとも言われており、塗布量が少ない場合、実際に得られるSPFは表示値より大幅に低下することがあります。
塗るタイミングについては、外出の15〜30分前に塗ることが推奨されています。これは日焼け止めの成分が肌に定着するまでに若干の時間が必要なためです。特に紫外線吸収剤を含む製品はこの「なじませる時間」が重要です。
塗布方法としては、日焼け止めを顔に直接塗る前に手のひらや指先に適量を取り、薄く均一に伸ばすことが大切です。こすりすぎると肌への刺激になるため、なでるように優しく塗り広げましょう。耳の裏、首筋、手の甲など、見落としやすい部分にも忘れずに塗ることが重要です。
塗り直しについては非常に重要なポイントです。日焼け止めは汗、皮脂、摩擦(タオルで拭いたり、触ったりする)によって徐々に取れてしまいます。屋外での活動中は2〜3時間おきに塗り直すことが理想的です。特に汗をたくさんかいた後や水に入った後は、できるだけ早めに塗り直す必要があります。塗り直しには、スティックタイプやスプレータイプが便利です。ただしスプレータイプは塗布量にムラが生じやすいため、しっかり広げながら使うことが大切です。
日焼け止めのオフ(落とし方)も重要です。ウォータープルーフタイプなど、普通の洗顔では落ちにくい製品は専用のクレンジングを使って丁寧に落とす必要があります。洗い残しは毛穴詰まりや肌荒れの原因になります。一方で強くこすりすぎることも肌への刺激になるため、適切なクレンジング方法を選びましょう。
Q. 紫外線ダメージによるシミや光老化に医療的対処はありますか?
蓄積した紫外線ダメージによるシミやたるみは、日焼け止めだけでの改善には限界があります。アイシークリニックでは、レーザートーニングやフォトフェイシャルといった光治療、ケミカルピーリングなど、肌の状態に合わせた医療的アプローチを提案しています。日焼け止めによる毎日の予防と医療的施術を組み合わせることで、より効果的なケアが可能です。
💡 日焼け止めだけでは防げない紫外線ダメージ
日焼け止めは紫外線対策の重要な手段ですが、これだけで完全に紫外線ダメージを防げるわけではありません。より効果的な紫外線対策のためには、日焼け止めと併せてほかの手段も取り入れることが推奨されます。
まず、物理的な遮断として帽子・サングラス・衣服の活用が挙げられます。広いつばのある帽子は顔・首・耳への紫外線を遮断し、サングラスは目や目周りへのダメージを防ぎます。UVカット機能のある衣服は、日焼け止めが塗れない部位や汗で落ちやすい部位の防護に非常に有効です。
日傘の使用も効果的な紫外線対策のひとつです。UVカット加工が施された日傘は、直射日光を大幅にカットすることができます。ただし、アスファルトや建物の壁からの紫外線の照り返しには対応できないため、日焼け止めと組み合わせて使用することが望ましいです。
行動的な対策として、紫外線が最も強い時間帯(一般的に午前10時〜午後2時ごろ)の外出をなるべく避けることや、日陰を意識的に歩くことも効果的です。また、晴れた日だけでなく曇りの日にも紫外線は降り注いでいます。曇りの日でも晴れの日の約80〜90%の紫外線量があるとも言われており、油断は禁物です。
室内での対策として、窓ガラスにUVカットフィルムを貼ることも有効です。特に長時間窓際で過ごす方や、運転中に窓から紫外線を浴びることが多い方には効果的な対策です。UVBは通常の窓ガラスである程度カットされますが、UVAは一般的なガラスをほぼ透過してしまうため、窓越しの紫外線対策においてもUVAへの注意が必要です。
さらに、食事から抗酸化成分を摂取することで、紫外線によるフリーラジカル(活性酸素)によるダメージを軽減することもできます。ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどを豊富に含む食材(緑黄色野菜、果物、緑茶など)を日常的に摂ることは、肌の内側からのケアとして有効です。
✨ 紫外線が引き起こす肌へのダメージとは

紫外線対策の重要性を正しく理解するためには、紫外線が肌に及ぼすダメージについても知っておく必要があります。
まず、短期的なダメージとしてサンバーンがあります。UVBによる急性炎症反応であり、肌が赤くなり、ヒリヒリとした痛みや熱感を伴います。重症化すると水ぶくれが生じることもあります。サンバーンは表皮細胞のDNAに直接ダメージを与え、繰り返すことで皮膚がんのリスクが高まることが知られています。
サンタンは、UVAとUVBの両方によって引き起こされる肌の黒化反応です。メラノサイトと呼ばれる色素細胞がメラニン色素を産生し、肌が黒く見えるようになります。これは紫外線から肌を守るための防御反応ですが、メラニンが不均一に沈着するとシミ・そばかすの原因になります。
光老化(フォトエイジング)は、長年にわたる紫外線、特にUVAの慢性的な蓄積によって起こる肌の老化現象です。コラーゲンやエラスチンの分解・変性が進み、しわ・たるみ・毛穴の開きが目立つようになります。また、真皮でのヒアルロン酸産生も低下するため、肌の乾燥やハリの低下にもつながります。光老化は自然な加齢による老化に加えて起こるため、同年齢でも紫外線対策をしているかどうかで肌の状態に大きな差が生まれます。
免疫機能への影響についても注目されています。紫外線は皮膚の免疫システムを抑制する作用があることが研究で示されています。これはウイルスや細菌に対する皮膚の防御機能の低下につながる可能性があります。
皮膚がんとの関係も無視できません。国際的な研究によれば、紫外線の累積暴露量が皮膚がんの発症リスクと密接に関係していることが確認されています。特に基底細胞がん、扁平上皮がん、悪性黒色腫(メラノーマ)は紫外線との関連が指摘されています。日本では欧米に比べて皮膚がんの発生率は低いものの、近年は増加傾向にあり、若いうちからの適切な紫外線対策が重要です。
目へのダメージも見落としてはいけません。紫外線は肌だけでなく目にも影響を与えます。角膜炎(雪眼炎)や翼状片、白内障、加齢黄斑変性などは紫外線との関連が示されており、サングラスによる目の保護も紫外線対策の一環として重要です。
また、すでに紫外線ダメージが蓄積してシミや色素沈着が気になる場合は、日焼け止めでの予防に加えて、医療機関での治療を検討することも有効です。レーザートーニングやフォトフェイシャルといった光治療、ケミカルピーリングなどの医療美容施術は、既存のシミや光老化による肌のダメージを改善するのに効果的な選択肢です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、日焼け止めを毎日使用しているにもかかわらず色素沈着や光老化が進んでいるという患者様が多くいらっしゃいますが、お話を伺うと、SPFの数値だけを重視してPAを意識していなかったり、塗布量が不足していたりするケースが少なくありません。UVAは室内にいても窓越しに届くため、在宅時も含めた日常的なUVA対策が光老化予防には欠かせず、SPFとPAの両方をご自身の生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。すでに紫外線ダメージによるシミやたるみが気になる方は、日焼け止めによる予防と並行して医療的なアプローチを組み合わせることでより効果的なケアが可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
SPFはUVB(短波長紫外線)への防御効果を数値で示し、サンバーン(炎症性日焼け)を防ぐ指標です。一方PAはUVA(長波長紫外線)への防御効果を「+」の数で示し、シミ・しわ・たるみなどの光老化を防ぐ指標です。両者は対象とする紫外線の種類が異なるため、日焼け止め選びでは必ず両方の数値を確認することが大切です。
通勤や買い物など短時間の外出が中心の日常使いであれば、SPF15〜30・PA++〜+++程度で十分とされています。数値が高い製品ほど肌への負担が増す傾向があるため、毎日使うものは必要以上に高い数値を選ばず、軽いテクスチャーで使いやすい製品を選ぶのがおすすめです。
必要です。曇りの日でも晴れの日の約80〜90%の紫外線が降り注いでいます。また、UVAは窓ガラスを透過して室内にも届くため、在宅中や車の運転中も油断は禁物です。特に光老化(しわ・たるみ・シミ)の主な原因であるUVAは年間を通じてほぼ一定量降り注いでいるため、天気や季節に関わらず毎日のUVA対策が重要です。
一度の塗布で一日中効果が持続するわけではありません。日焼け止めは汗・皮脂・摩擦によって徐々に落ちるため、屋外での活動中は2〜3時間おきに塗り直すことが理想的です。また、表示通りの効果を得るには適切な量(顔全体で1〜2g)を均一に塗ることが前提であり、量が少ないと実際の防御効果は大幅に低下します。
日焼け止めによる毎日の予防を続けることが基本ですが、すでに蓄積した紫外線ダメージによるシミやたるみには、日焼け止めだけでの改善には限界があります。アイシークリニックでは、レーザートーニングやフォトフェイシャルといった光治療、ケミカルピーリングなど、肌の状態に合わせた医療的アプローチをご提案しています。気になる方はお気軽にご相談ください。
🎯 まとめ
SPFとPAは、どちらも日焼け止めの紫外線防御効果を示す重要な指標ですが、対象としている紫外線の種類と、引き起こす肌ダメージの種類がそれぞれ異なります。SPFはUVBによるサンバーン(炎症性日焼け)への防御効果を数値で示し、PAはUVAによるサンタン(黒化)や光老化(しわ・たるみ・シミ)への防御効果を「+」の数で示しています。
完全な紫外線対策のためには、SPFとPAの両方の指標を確認し、使用するシーンや目的、自分の肌質に合った製品を選ぶことが大切です。日常使いには比較的低めの数値でも十分ですが、屋外での長時間活動や強い日差しの下では高めの数値を選ぶとよいでしょう。また、どれだけ優れた日焼け止めを選んでも、適切な量を均一に塗布し、こまめに塗り直すことが防御効果を維持するための基本です。
日焼け止めの使用に加えて、帽子・日傘・UVカット衣服などの物理的な遮断手段も組み合わせることで、より効果的な紫外線対策が実現できます。紫外線ダメージは積み重なることで肌の老化を加速させ、健康にも影響を与えることがあります。毎日のスキンケアに日焼け止めをきちんと取り入れることは、今すぐできる最も効果的なエイジングケアのひとつです。
すでにシミや光老化が気になる方、紫外線ダメージによる肌トラブルを改善したい方は、ぜひ皮膚科や美容医療機関へのご相談をおすすめします。アイシークリニック渋谷院では、肌の状態に合わせた紫外線ダメージへの対処法や、美しい肌を長く保つためのケアについてご相談いただけます。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 日焼け止めの推奨SPF・PA値、紫外線による皮膚障害(サンバーン・光老化・皮膚がん)に関する診療ガイドラインおよび患者向け情報
- 厚生労働省 – 日焼け止め製品(化粧品)のSPF・PA表示に関する薬事規制・承認基準および紫外線防止に関する行政情報
- WHO(世界保健機関) – 紫外線(UVA・UVB・UVC)の分類、皮膚がんリスクとの関連、国際的な紫外線対策推奨に関する情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務