「塗らなくていい日焼け止めがあるらしい」と聞いて、興味を持ったことはありませんか?近年、サプリメントや飲料タイプの「飲む日焼け止め」が注目を集めており、ドラッグストアや美容クリニックでも取り扱いが増えています。しかし、実際のところ飲むだけで本当に紫外線対策ができるのか、どんな仕組みで効果が出るのか、外用の日焼け止めとの違いは何か、疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、飲む日焼け止めの仕組みや成分、期待できる効果と限界、正しい使い方について、医学的な観点からわかりやすく解説します。
目次
- 飲む日焼け止めとは?基本的な概要
- 飲む日焼け止めの仕組みを解説
- 主な成分とそれぞれの働き
- 飲む日焼け止めで期待できる効果
- 飲む日焼け止めの限界と注意点
- 外用日焼け止めとの違いと比較
- 飲む日焼け止めの正しい使い方
- 飲む日焼け止めが向いている人・向いていない人
- クリニックでの日焼け止めとの違い
- まとめ
この記事のポイント
飲む日焼け止めは抗酸化・免疫調整作用で紫外線ダメージを内側から軽減する補助手段だが、SPF相当値はSPF3〜8程度と低く、外用日焼け止めの代替にはならない。PLEやニコチンアミドなど一部成分には科学的根拠があるが、効果発現には1〜3か月の継続摂取が必要。外用ケアとの併用が基本であり、疾患・妊娠中の方は医師に相談が必須。
🎯 飲む日焼け止めとは?基本的な概要
飲む日焼け止めとは、経口摂取によって体の内側から紫外線ダメージや光老化を軽減することを目的としたサプリメントや飲料の総称です。正式な医学用語では「oral photoprotection(経口光防護)」と呼ばれ、近年の皮膚科学や美容医療の分野で研究が進んでいる領域です。
日本では医薬品ではなくサプリメントとして流通しているものがほとんどであり、食品扱いとなるため、医薬品のような厳密な有効性・安全性の審査は受けていません。一方、海外では一部の成分について皮膚科学的な臨床研究が行われており、特定の条件下において一定の光防護効果が報告されているものもあります。
種類としては錠剤・カプセル・顆粒・飲料など様々な形状があり、配合成分もポリポジウム・ロイコトモス抽出物、カロテノイド類(リコピン、ベータカロテン、ルテイン)、ポリフェノール類、ビタミンC・Eなど多岐にわたります。
「飲むだけで日焼け止めの代わりになる」と誤解されることも多いのですが、正確にはあくまでも補助的な光防護手段として位置づけられており、外用の日焼け止めや物理的な紫外線対策を完全に置き換えるものではありません。この点については後述する「限界と注意点」の章で詳しく説明します。
Q. 飲む日焼け止めはどんな仕組みで効果を発揮するの?
飲む日焼け止めは、紫外線を直接遮断するのではなく、体内の抗酸化作用・免疫調整作用・炎症抑制作用を通じて、紫外線が皮膚細胞に与えるダメージを内側から和らげる仕組みです。血液を通じて全身の皮膚細胞に働きかける点が特徴です。
📋 飲む日焼け止めの仕組みを解説
飲む日焼け止めが体の中でどのように作用するのかを理解するには、まず紫外線が肌に与えるダメージのメカニズムを知る必要があります。
紫外線(UV)には主にUVA(波長320〜400nm)とUVB(波長280〜320nm)があります。UVBは皮膚の表面で吸収されやすく、日焼け(サンバーン)や皮膚がんのリスクと関係しています。一方、UVAは肌の奥深く(真皮層)まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊することで光老化(シワ・たるみ・くすみ)を引き起こします。
紫外線が皮膚に当たると、体内では活性酸素(フリーラジカル)が大量に発生します。この活性酸素がDNAを傷つけ、炎症を引き起こし、メラニン生成を促進することで、色素沈着(シミ・そばかす)や皮膚の老化が進行します。
飲む日焼け止めの主な作用機序は、大きく以下の3つに分類できます。
1つ目は「抗酸化作用」です。ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類などの抗酸化成分を摂取することで、紫外線によって発生した活性酸素を消去し、細胞への酸化ダメージを軽減します。外側から塗る抗酸化剤とは異なり、血液を通じて全身の皮膚細胞に届くという特徴があります。
2つ目は「免疫調整作用」です。ポリポジウム・ロイコトモス(PLE)などの植物由来成分は、紫外線照射による免疫抑制を軽減し、皮膚の自然な防御機能を維持するとされています。紫外線は皮膚の局所免疫を低下させる作用があることが知られており、これを補う働きが期待されます。
3つ目は「メラニン生成抑制・炎症抑制作用」です。一部の成分は、チロシナーゼ(メラニン合成に関わる酵素)の活性を抑制したり、炎症性サイトカインの産生を抑えることで、紫外線後の色素沈着や炎症を軽減する効果が期待されます。
重要なのは、飲む日焼け止めは「紫外線そのものを皮膚に届かないようにブロックする」わけではないという点です。外用の日焼け止めのように紫外線を物理的・化学的に遮断・吸収する機能はなく、あくまでも「紫外線を浴びた後の細胞へのダメージを和らげる」「体内での酸化ストレスを軽減する」という間接的なアプローチです。
💊 主な成分とそれぞれの働き
飲む日焼け止め製品に含まれる代表的な成分とその作用について詳しく見ていきましょう。
🦠 ポリポジウム・ロイコトモス抽出物(PLE)
ポリポジウム・ロイコトモスは中米原産のシダ植物で、その葉の抽出物(PLE)は飲む日焼け止めの成分の中でも最も研究データが多いものの一つです。元々は海に生息していた植物が陸上に進化する過程で強烈な紫外線から身を守るために獲得した抗酸化物質が豊富に含まれているとされています。
複数の臨床試験において、PLEを経口摂取することでサンバーン(日焼け)を起こす最小紫外線量(MED:最小紅斑量)が増加する、つまり日焼けしにくくなる効果が確認されています。また、紫外線によるDNA損傷の軽減、免疫抑制の緩和、炎症反応の抑制なども報告されています。尋常性白斑や多形性日光疹などの光線過敏性疾患の補助療法としての研究も行われています。
👴 カロテノイド類(リコピン・ベータカロテン・ルテイン・アスタキサンチン)
カロテノイドは植物や藻類が合成する天然色素で、強い抗酸化活性を持ちます。食事からも摂取できる成分ですが、飲む日焼け止めには高濃度で配合されていることが多いです。
リコピンはトマトに多く含まれる赤い色素で、一重項酸素(活性酸素の一種)の消去能力が高く、紫外線による酸化ダメージの軽減に役立つとされています。ベータカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚細胞の修復や維持に関わります。ルテインは目の黄斑部の保護でよく知られていますが、皮膚への光保護効果も研究されています。アスタキサンチンはサーモンやエビに含まれる赤い色素で、強力な抗酸化作用によりシワや色素沈着の予防効果が期待されています。
🔸 ビタミンC(アスコルビン酸)
ビタミンCは水溶性の抗酸化ビタミンで、紫外線によって生じた活性酸素を消去する働きがあります。また、コラーゲンの合成を促進し、メラニン生成を抑制するチロシナーゼの働きを阻害する作用もあります。ビタミンEと組み合わせることで相乗的な抗酸化効果を発揮するとされており、多くの飲む日焼け止め製品にはビタミンCとEが一緒に配合されています。
💧 ビタミンE(トコフェロール)
ビタミンEは脂溶性の抗酸化ビタミンで、細胞膜の脂質過酸化を抑制します。皮膚の細胞膜は脂質で構成されており、紫外線によって脂質の過酸化が起きると細胞が傷つきます。ビタミンEはこの反応を阻害することで、細胞を保護します。また、ビタミンCと協働して互いの抗酸化力を再生・増強する関係にあります。
✨ ポリフェノール類(緑茶抽出物・ブドウ種子抽出物・レスベラトロールなど)
植物由来のポリフェノールは多様な抗酸化・抗炎症作用を持ちます。緑茶に含まれるカテキン(特にEGCG)は、紫外線による炎症や免疫抑制を軽減する効果が研究されています。ブドウ種子のプロアントシアニジンは血管保護作用と強い抗酸化作用を持ち、光老化の予防に役立つとされています。レスベラトロールはサーチュインと呼ばれる長寿遺伝子を活性化し、細胞の抗ストレス応答を高めるとされており、近年注目を集めています。
📌 ニコチンアミド(ナイアシンアミド)
ビタミンB3の一種であるニコチンアミドは、近年経口摂取による皮膚がん予防効果が注目されています。オーストラリアで行われた臨床試験では、日光角化症(皮膚前がん状態)の患者においてニコチンアミドの経口摂取が非黒色腫皮膚がんの発生を約23%減少させたという結果が報告されました。DNA修復を促進する作用と、紫外線による免疫抑制を軽減する作用が関係していると考えられています。
Q. 飲む日焼け止めのSPF効果はどれくらい?
飲む日焼け止めのSPF相当値は、現在の研究ではSPF3〜8程度と推定されており、外用のSPF50+製品と比べると紫外線防護力は大幅に低いです。単独使用では十分な紫外線対策にならず、外用日焼け止めや日傘などの物理的対策との併用が必須です。
🏥 飲む日焼け止めで期待できる効果
飲む日焼け止めに含まれる各成分の研究データをもとに、実際に期待できる効果を整理してみましょう。ただし、これらの効果はあくまでも現在の研究・エビデンスに基づくものであり、製品ごとの配合量や個人差によって効果は異なります。
紫外線による急性の炎症(日焼け)の軽減という点については、PLEのように最小紅斑量(MED)を増加させる効果が確認されている成分もあります。ただし、完全に日焼けを防ぐわけではなく、日焼けするまでの閾値が若干上がる程度と考えるのが適切です。
光老化(シワ・たるみ・くすみ)の予防という観点では、抗酸化成分を継続的に摂取することでUVAによる酸化ストレスを軽減し、コラーゲンやエラスチンの分解を抑える効果が期待されます。即効性はなく、毎日継続することで長期的な肌の老化予防につながる可能性があります。
色素沈着(シミ・そばかす)の予防・軽減については、ビタミンCやアスタキサンチンなどのメラニン生成を抑制する成分が、シミの予防や既存のシミの淡色化に寄与する可能性があります。ただし、既存のシミに対しては美容医療(レーザー治療など)と比較すると効果は限定的です。
光線過敏症・皮膚疾患の補助療法としては、PLEや一部の抗酸化成分が多形性日光疹、日光蕁麻疹、ループスエリテマトーデスに伴う光線過敏性などの管理に補助的に用いられる場合があります。これらの疾患を持つ方が使用する場合は必ず皮膚科医に相談してください。
全身の皮膚への作用という点は、飲む日焼け止めの最大の特徴の一つです。外用の日焼け止めは塗った部分しか保護できませんが、経口摂取の場合は血液を通じて全身の皮膚細胞に届くため、背中や頭皮など塗り忘れや塗りにくい部位にも効果が期待できます。
⚠️ 飲む日焼け止めの限界と注意点
飲む日焼け止めには一定の期待できる効果がある一方で、明確な限界と注意すべき点も存在します。正しく理解した上で使用することが大切です。
まず最も重要な点として、飲む日焼け止めは外用の日焼け止めを代替するものではありません。現在の研究では、飲む日焼け止めのSPF相当値は非常に低く(多くの研究でSPF3〜8程度と推定)、外用のSPF50+の日焼け止めとは比較にならないほど紫外線遮断効果が低いとされています。炎天下での外出や長時間の屋外活動においては、外用の日焼け止め・日傘・UVカット衣類などの物理的対策が必須です。
次に、日本で販売されている飲む日焼け止め製品の多くはサプリメント(食品)扱いであり、医薬品としての有効性・安全性の審査を受けていないという点があります。製品によって配合成分・配合量が異なり、エビデンスの質も様々です。「日焼け止め効果がある」と標榜することは薬機法上グレーな表現にあたるため、実際の製品では「飲む美容サプリ」「紫外線対策サプリ」などの表現が用いられることが多いです。
副作用については、一般的に安全性は高いとされていますが、以下の点に注意が必要です。ベータカロテンを高用量で長期摂取することは、喫煙者において肺がんリスクを高める可能性があることが大規模試験で示されています。ビタミンE・Cの過剰摂取は消化器症状を引き起こすことがあります。植物由来成分にはアレルギーを起こす可能性があります。妊娠中・授乳中の方、特定の疾患のある方、薬を服用中の方は必ず医師・薬剤師に相談してから使用してください。
効果が出るまでの時間という観点では、経口摂取した成分が皮膚組織に蓄積されるまでには一定の時間が必要です。多くの場合、継続的な摂取を数週間以上続けることで初めて効果が現れ始めるとされており、「飲んだ当日からすぐに効く」というものではありません。旅行前日から飲み始めても期待した効果は得られない点を理解しておく必要があります。
また、効果には大きな個人差があります。肌質・遺伝的背景・食生活・既存のサプリメントとの組み合わせ・紫外線曝露量など多くの因子が影響するため、ある人に高い効果があっても別の人には効果が感じられないケースもあります。
Q. 飲む日焼け止めの成分PLEとは何ですか?
PLEとはポリポジウム・ロイコトモス抽出物のことで、中米原産のシダ植物由来の成分です。飲む日焼け止め成分の中で最も研究データが豊富で、日焼けを起こす最小紫外線量の増加や、紫外線によるDNA損傷の軽減・炎症抑制・免疫抑制の緩和が複数の臨床試験で確認されています。
🔍 外用日焼け止めとの違いと比較
飲む日焼け止めと外用の日焼け止めは根本的に異なるアプローチを取っており、それぞれに強みと弱みがあります。2つの違いを整理してみましょう。
作用機序の違いとして、外用の日焼け止めは「紫外線散乱剤(酸化亜鉛、酸化チタンなど)」や「紫外線吸収剤(オキシベンゾン、アボベンゾンなど)」が皮膚表面で紫外線を物理的・化学的に遮断・吸収します。これに対して飲む日焼け止めは、紫外線が皮膚に届いた後の「細胞レベルでのダメージを軽減する」アプローチです。
紫外線防護効果の強さという点では、外用の日焼け止めが圧倒的に優れています。適切に使用したSPF50+の製品は、UVBを理論上98%以上遮断します。飲む日焼け止めはSPF3〜8程度と低く、単独での使用では到底十分な紫外線対策とは言えません。
カバーできる範囲については、飲む日焼け止めが全身の皮膚に作用できるのに対し、外用の日焼け止めは塗布した箇所のみを保護します。背中や頭皮、耳の裏など塗り忘れやすい部位についても飲む日焼け止めは全身にアプローチできるという点では利点があります。
使いやすさの面では、外用の日焼け止めは汗・水・こすれなどで落ちるため2〜3時間ごとの塗り直しが推奨されますが、飲む日焼け止めは基本的に毎日決まった時間に飲むだけで済みます。日常的なスキンケアの中に取り入れやすいという利点があります。
肌への刺激という観点では、敏感肌や湿疹がある肌に外用の日焼け止めが使いにくい場合があることを考えると、飲む日焼け止めは皮膚に直接触れないため刺激になりにくいという特徴もあります。
総合的に見ると、飲む日焼け止めは外用の日焼け止めに取って代わるものではなく、「外用の日焼け止め+物理的な紫外線対策」をベースとして、それを補完・強化する役割として使用するのが最も理にかなったアプローチです。
📝 飲む日焼け止めの正しい使い方

飲む日焼け止めを最大限に活かすための正しい使い方をご紹介します。
摂取のタイミングについては、製品によって推奨タイミングが異なりますが、一般的には毎日決まった時間(朝食時など)に継続的に摂取することが基本です。一部の成分は脂溶性(ベータカロテン・ビタミンE・アスタキサンチンなど)のため、脂分を含む食事と一緒に摂ることで吸収率が高まります。外出前だけ飲む、という使い方では効果は期待できません。
継続期間については、最低でも2〜4週間の継続摂取が必要とされており、本格的な効果を実感するには1〜3ヶ月程度の使用が推奨されることが多いです。夏だけ飲む・必要なときだけ飲むという断続的な使用では効果が出にくいため、年間を通じた継続使用が望ましいとされています。
他の紫外線対策との組み合わせとして、飲む日焼け止めはあくまでも補助的な手段であり、以下の基本的な紫外線対策と必ず組み合わせて使用してください。SPF30以上の外用日焼け止めを適切な量・頻度で塗布する、日差しの強い時間帯(10時〜14時)の外出をできる限け控える、帽子・日傘・UVカット衣類などで物理的に紫外線を遮断する、といった対策が基本です。
食事との相互作用については、抗酸化成分を豊富に含む食事(野菜・果物・魚介類・ナッツ類など)を日頃から心がけることで、サプリメントの効果をより引き出せる可能性があります。逆に、過度な飲酒や喫煙、睡眠不足などは酸化ストレスを高めてサプリメントの効果を相殺してしまう可能性があるため注意が必要です。
用量について、「多く飲めばより効果がある」と考えて過剰摂取することは避けてください。ベータカロテンの高用量摂取は喫煙者において悪影響が報告されており、また脂溶性ビタミンは体内に蓄積されるため過剰症のリスクがあります。製品に記載された推奨用量を守ることが大切です。
Q. 飲む日焼け止めはいつから飲み始めればいい?
飲む日焼け止めは即効性がなく、効果を実感するには最低2〜4週間、本格的には1〜3か月の継続摂取が必要です。旅行前日から飲み始めても効果は期待できません。アイシークリニックでは、年間を通じた継続使用と外用ケアとの組み合わせによる総合的な紫外線対策をお勧めしています。
💡 飲む日焼け止めが向いている人・向いていない人
飲む日焼け止めが特に適していると考えられる方と、注意や検討が必要な方について整理します。
飲む日焼け止めが向いている人として、まず外用の日焼け止めが肌に合わない・使いにくい方が挙げられます。敏感肌や湿疹、ニキビ肌などで外用の日焼け止めが刺激になりやすい方にとっては、補助的な光防護手段として活用できます。また、塗り直しの手間を省略したい方にも適しています。ただしこれは「塗らなくていい」ということではなく、外用との組み合わせの中で塗り直し回数を相対的に補助する意味合いです。
全身のアンチエイジングケアに関心がある方にも適しています。飲む日焼け止めの多くは光老化予防の観点から抗酸化成分が豊富であり、単なる紫外線対策にとどまらず全身の細胞の酸化ストレス軽減にも役立つ可能性があります。光線過敏症や多形性日光疹など、紫外線に特に敏感な方も、皮膚科医に相談した上での補助療法として有用な場合があります。
飲む日焼け止めが向いていない・注意が必要な人としては、妊娠中・授乳中の方は使用前に必ず産科医・皮膚科医に相談してください。ビタミンA過剰(大量のベータカロテンから変換)の胎児への影響が懸念されるケースもあります。また、喫煙者は高用量のベータカロテン摂取を避けるべきであることが分かっています。肝疾患・腎疾患などの基礎疾患がある方や、抗凝固薬などを服用中の方は、成分との相互作用が生じる可能性があるため医師に相談が必要です。食物アレルギー(特に植物性成分や色素に対するアレルギー)のある方も成分を確認した上で使用する必要があります。
10代の若年層については、成長期における抗酸化成分の大量摂取に関するデータが少なく、基本的には食事からの摂取を優先し、サプリメント使用については慎重に検討することが推奨されます。
✨ クリニックでの日焼け止めとの違い
近年、美容クリニックでも飲む日焼け止め(経口光防護サプリメント)を取り扱うケースが増えています。ドラッグストアや通販で購入できる一般的な製品とクリニック処方・推奨品はどのように違うのでしょうか。
成分・品質の観点では、クリニック取り扱いの製品は一般販売品と比較して、有効成分の含有量が精査されていたり、吸収率を高める製剤工夫が施されていることがあります。また、医師や医療スタッフが製品の品質・安全性・エビデンスを評価した上で選定しているため、信頼性という面での安心感があります。
個人の状態に合わせたアドバイスという点もクリニックのメリットです。肌質・体質・ライフスタイル・既往歴・服用薬などを考慮した上で、適切な製品選択・用量・使用期間についてのカウンセリングを受けられます。市販製品を自己判断で選ぶ場合と比較して、より個別化されたアドバイスが期待できます。
他の美容治療との組み合わせという観点もあります。クリニックでは、飲む日焼け止めを単独で使用するのではなく、レーザートーニング・フォトフェイシャル・美白点滴・トランサミン(トラネキサム酸)内服などと組み合わせた総合的な光老化予防・美肌プログラムの一部として提案されることもあります。
アイシークリニック渋谷院でも、紫外線対策や光老化予防を含む美容医療の相談を受け付けており、患者様お一人おひとりの肌状態や生活習慣に合わせた包括的なアドバイスを提供しています。飲む日焼け止めだけでなく、外用スキンケアや美容治療との組み合わせについて、医師・専門スタッフにご相談いただくことをお勧めします。
また、シミ・そばかす・くすみなどの色素沈着がすでに気になる方にとっては、飲む日焼け止めやスキンケアだけでは改善が難しい場合があります。Qスイッチレーザー・ピコレーザー・フォトフェイシャルなどの医療機器を用いた治療や、トランサミン・ハイドロキノンなどの美白内服・外用薬の活用など、皮膚科・美容皮膚科的なアプローチを組み合わせることで、より効果的なケアが可能になります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「最近の傾向として、「飲む日焼け止め」への関心が高まり、当院でもご相談をいただく機会が増えています。飲む日焼け止めに含まれるポリポジウム・ロイコトモス(PLE)やニコチンアミドなどの成分には一定の科学的根拠があり、体の内側から紫外線ダメージを和らげる補助的な手段として有用ですが、外用の日焼け止めを代替するものではなく、SPF相当値としては非常に限定的であることを正しくご理解いただくことが大切です。紫外線対策は一つの手段に頼るのではなく、外用ケアや生活習慣と組み合わせた総合的なアプローチが最も効果的ですので、お肌の状態やご不安なことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
いいえ、飲む日焼け止めは塗る日焼け止めの代わりにはなりません。飲む日焼け止めのSPF相当値はSPF3〜8程度と非常に低く、外用のSPF50+製品とは紫外線防護力に大きな差があります。あくまでも外用日焼け止めや日傘・UVカット衣類などの基本的な紫外線対策を補完する手段として活用してください。
即効性は期待できません。経口摂取した成分が皮膚組織に蓄積されるまでには時間がかかり、効果を実感するには最低2〜4週間、本格的には1〜3ヶ月程度の継続摂取が必要とされています。旅行前日から飲み始めても効果は得られないため、年間を通じた継続使用が推奨されます。
一般的に安全性は高いとされていますが、注意が必要なケースがあります。特に喫煙者が高用量のベータカロテンを長期摂取すると肺がんリスクが高まる可能性があります。また、妊娠中・授乳中の方、肝・腎疾患がある方、薬を服用中の方は、使用前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
PLEとはポリポジウム・ロイコトモス抽出物のことで、中米原産のシダ植物由来の成分です。飲む日焼け止め成分の中で最も研究データが豊富なものの一つで、日焼けを起こす最小紫外線量を増加させる効果や、紫外線によるDNA損傷の軽減・炎症抑制・免疫抑制の緩和などが複数の臨床試験で報告されています。
アイシークリニックなどのクリニックで取り扱う製品は、有効成分の含有量や品質が医師によって精査されており、信頼性の面で安心感があります。また、肌質・体質・既往歴などを考慮した個別のカウンセリングが受けられ、レーザー治療や美白内服薬など他の美容治療と組み合わせた総合的なケアプランの提案も可能です。
🎯 まとめ
飲む日焼け止めについて、仕組みから成分・効果・限界・正しい使い方まで詳しく解説してきました。最後にポイントを整理します。
飲む日焼け止めは、抗酸化作用・免疫調整作用・炎症抑制作用などを通じて、紫外線によるダメージを体の内側から軽減する補助的な手段です。外用の日焼け止めのように紫外線を直接遮断するものではなく、単独での使用では十分な紫外線防護効果は得られません。
ポリポジウム・ロイコトモス(PLE)やカロテノイド、ビタミンC・E、ニコチンアミドなどの成分については一定の科学的根拠が存在しますが、製品によってエビデンスの質は異なります。また、効果が現れるまでには継続的な摂取が必要であり、即効性は期待できません。
適切な使い方は、外用の日焼け止め(SPF30以上)・日傘・帽子・UVカット衣類などの基本的な紫外線対策を行いながら、それを補完するものとして飲む日焼け止めを継続的に取り入れることです。特定の疾患をお持ちの方や妊娠中の方などは使用前に必ず医師に相談してください。
紫外線対策は日焼けだけでなく、光老化予防・皮膚がんリスク低減・美肌維持という観点からも非常に重要です。飲む日焼け止めはその対策の選択肢の一つとして有用ですが、皮膚の状態やお悩みによっては美容クリニックでの専門的なアドバイスや医療的なアプローチが必要なケースもあります。気になる点があれば、ぜひ専門家にご相談ください。
📚 関連記事
- シミ予防に日焼け止めは効果的?正しい選び方と使い方を解説
- SPFとPAの違いとは?正しい日焼け止めの選び方を解説
- 肌が弱い人のための日焼け止めの選び方|敏感肌でも安心して使えるポイントを解説
- 曇りの日もUVケアは必要?紫外線対策を怠るリスクと正しいケア方法
- シミ治療は皮膚科で保険適用になる?種類別の費用と治療法を解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 紫外線による皮膚ダメージ・光老化・皮膚がんのリスクに関する診療ガイドラインおよび日焼け止めの適切な使用に関する学会見解の参照
- PubMed – ポリポジウム・ロイコトモス抽出物(PLE)やカロテノイド・ニコチンアミドなど経口光防護成分の臨床試験・系統的レビューに関する査読済み文献の参照
- 厚生労働省 – 健康食品・サプリメントの有効性・安全性に関する規制上の位置づけおよび消費者向け注意事項(医薬品との区別、過剰摂取リスク等)の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務