引越しをしてから肌の調子が悪くなった、急に乾燥や吹き出物が増えた、という経験はないでしょうか。環境の変化が肌に影響することは多くの人が感じることですが、その中でも見落とされがちなのが「水」の影響です。日本国内であっても地域によって水質は大きく異なり、引越し先の水が今までと異なる成分を含んでいることで、肌トラブルが起きるケースは珍しくありません。この記事では、水質と肌荒れの関係をわかりやすく解説するとともに、引越し後の肌荒れを防ぐための実践的な対策をご紹介します。
目次
- 引越し後に肌荒れが起きやすい理由とは
- 水質の違いが肌に与える影響
- 硬水と軟水の違いを理解する
- 地域によって水質はどう違う?
- 水質以外に引越し後の肌荒れを引き起こす原因
- 肌荒れを悪化させない入浴・洗顔のポイント
- 引越し後の肌荒れに対処するスキンケアの見直し方
- 浄水器やシャワーヘッドで水質を改善する方法
- 引越し後の肌荒れはいつまで続く?受診の目安
- まとめ
この記事のポイント
引越し後の肌荒れは水質の硬度・塩素・pHの変化が主因のひとつ。ぬるめのお湯での入浴・マイルド洗顔・セラミド保湿・浄水器活用が有効。2〜3ヶ月改善しない場合は皮膚科受診を推奨。
🎯 引越し後に肌荒れが起きやすい理由とは
引越しは生活環境が大きく変わるライフイベントです。新しい住まいに慣れるまでには、身体的にも精神的にも様々な負荷がかかります。肌は身体の状態を映す鏡ともいわれており、環境の変化によって敏感に反応することがあります。
引越し後の肌荒れには複数の要因が絡み合っていることが多く、単一の原因で起きているわけではないケースも少なくありません。しかし、その中でも「水」は毎日の洗顔・入浴・料理を通じて直接肌に触れるものであるため、肌への影響が非常に大きい要素のひとつです。
引越し直後から肌荒れが始まった場合、まず疑うべき原因のひとつが水質の変化です。もともと肌が敏感な人や、乾燥肌・混合肌などバリア機能が低下しやすい肌質の人は特に影響を受けやすい傾向があります。
また、引越しは体力的な疲労だけでなく、慣れない環境での精神的なストレスも伴います。睡眠リズムの乱れ、食生活の変化、気候の違いなども加わることで、肌のコンディションが乱れやすくなります。引越し後の肌荒れは「気のせい」ではなく、身体が環境の変化に適応しようとしているサインでもあるのです。
Q. 引越し後に肌荒れが起きやすい原因は何ですか?
引越し後の肌荒れは、水質の変化(硬度・塩素濃度の違い)、気候や湿度の変化、精神的ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなど複数の要因が重なって生じます。中でも毎日の洗顔・入浴で肌に直接触れる水の影響は見落とされがちですが、バリア機能の低下に大きく関与しています。
📋 水質の違いが肌に与える影響
私たちが日常的に使用する水道水には、地域によって異なる成分が含まれています。主に問題となるのが「硬度」と「塩素」の二つです。
硬度とは、水に含まれるカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を示す指標です。これらのミネラル成分が多い水を「硬水」、少ない水を「軟水」と呼びます。日本の水道水は全体的に軟水が多いとされていますが、地域によって硬度に差があり、東京・大阪・名古屋などの大都市圏でも数値は異なります。
硬水の水はカルシウムやマグネシウムの作用によって、皮膚の表面に残留しやすい性質があります。洗顔後に水分をふき取っても、これらのミネラル成分が肌に薄い膜を作ることがあり、これが毛穴を詰まらせたり、肌の潤いバランスを崩したりする原因になることがあります。また、石けんや洗顔フォームの泡立ちが悪くなる性質もあり、洗浄力が低下することで汚れが落ちにくくなるケースもあります。
一方、塩素は水道水の安全性を確保するために添加される消毒剤です。適切な濃度であれば衛生面での問題はありませんが、肌が敏感な人にとっては刺激になることがあります。塩素は皮膚のタンパク質と反応することで、バリア機能に関わる角層を傷つける可能性があるとされています。乾燥肌や敏感肌の方が引越し後にかゆみや赤みを感じる場合、新しい地域の水道水に含まれる塩素濃度が以前より高い可能性も考えられます。
また、水道水のpH(酸性・アルカリ性の度合い)も肌への影響に関与します。健康な肌のpHは弱酸性(pH4.5〜6.0程度)ですが、水道水は中性〜弱アルカリ性(pH5.8〜8.6)の範囲に設定されています。アルカリ性に傾いた水を使うと、肌の表面の弱酸性環境が乱れ、バリア機能が低下することがあります。これが乾燥感やかゆみ、肌荒れとして現れることがあるのです。
💊 硬水と軟水の違いを理解する
WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が60mg/L未満を「軟水」、60〜120mg/Lを「中程度の硬水」、120〜180mg/Lを「硬水」、180mg/L以上を「非常な硬水」としています。日本の水道水の平均硬度は50〜60mg/L程度と比較的低く、軟水に分類されることが多いのですが、地域によっては100mg/Lを超える地域もあります。
軟水は泡立ちが良く、洗顔や洗髪の際に洗浄成分が十分に機能しやすいという特徴があります。また、肌への刺激が比較的少なく、肌の潤いを保ちやすいとされています。日本国内での引越しであれば、大きな硬度の差に戸惑うことは少ないかもしれませんが、ヨーロッパや中東などの硬水地域から戻ってきた場合や、海外から引越してきた場合は特に肌荒れが起きやすくなります。
硬水を使い続けると、肌への影響として以下のような変化が起こることがあります。まず、石けんの洗浄成分とカルシウム・マグネシウムイオンが結合して「石けんカス(スカム)」が生成されます。このスカムが肌の表面に付着することで毛穴を詰まらせ、ニキビや吹き出物の原因になることがあります。また、洗い流す際に水の残留物が肌に残りやすく、これが乾燥やかゆみを引き起こすこともあります。
逆に、もともと硬水地域に住んでいた人が軟水地域に引越した場合でも、肌が過剰に洗浄される感覚があったり、洗顔後のつっぱり感が変わったりすることがあります。どちらの方向への変化であっても、肌が新しい水質に慣れるまでには一定の時間が必要です。
Q. 硬水が肌に与える具体的な影響を教えてください。
硬水に含まれるカルシウム・マグネシウムイオンは、石けん成分と結合して「石けんカス(スカム)」を生成し、毛穴を詰まらせてニキビや吹き出物の原因になることがあります。また洗顔後もミネラル成分が肌に残留しやすく、乾燥やかゆみを引き起こすことがあります。WHOの基準では硬度120mg/L以上が「硬水」に分類されます。
🏥 地域によって水質はどう違う?
日本国内でも地域によって水質には差があります。水道水の水源や浄水処理方法、配水管の状態によって、同じ「水道水」でも成分が異なります。
大都市圏では複数の水源(河川水・ダム水・地下水など)をブレンドして使用していることが多く、処理工程も充実しています。しかし、その分塩素消毒を多めに行う必要があるため、塩素濃度がやや高めになることがあります。一方、地方部では地下水を主な水源としている地域も多く、ミネラル成分が豊富であったり、逆に塩素が少なかったりすることがあります。
具体的な例として、東京都の水道水の平均硬度は60〜80mg/L程度で比較的軟水に近い中程度の硬水です。大阪府の水道水は水源によって差があるものの、60〜80mg/L程度とされています。一方、沖縄県の一部地域では地下水を水源としており、硬度が100mg/Lを超えることもあります。また、栃木県や群馬県などの一部地域でも硬度が高めになることが知られています。
住まいが変わることで水源が変わり、それまで問題なかった肌が急に荒れ始めることは、こうした水質の違いによって引き起こされている可能性があります。引越し先の水質が気になる場合は、各地域の水道局のウェブサイトに水質検査結果が公開されていることが多いので、確認してみることをおすすめします。
また、マンションや古い建物では配水管の状態が水質に影響することもあります。老朽化した配水管から金属成分が溶け出すことで、水質が変化するケースも報告されています。築年数が古い物件に引越した際に肌荒れが起きた場合は、建物の設備状況も確認してみると良いでしょう。
⚠️ 水質以外に引越し後の肌荒れを引き起こす原因
引越し後の肌荒れは水質だけが原因ではありません。環境の変化に伴う様々な要因が複合的に肌に影響を与えることがほとんどです。
まず、気候・気温・湿度の変化があります。温暖な地域から寒冷地に引越した場合や、内陸部から海沿いに移った場合など、気候が大きく変わると肌への刺激も変わります。湿度が低下する環境では肌が乾燥しやすくなり、バリア機能が低下します。また、花粉や PM2.5 などの大気中の微粒子の種類や量が変わることで、肌が刺激を受けることもあります。
次に、精神的なストレスの影響があります。引越しは人生の中でも特にストレスレベルが高いライフイベントのひとつとされています。新しい環境への適応、人間関係の変化、仕事や学校の変化などが重なることで、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増加します。コルチゾールは皮脂分泌を増加させるとともに、免疫機能を変化させるため、ニキビや炎症が起きやすくなります。
睡眠の乱れも肌に大きな影響を与えます。引越し直後は慣れない環境で眠れない夜が続くことも多く、睡眠不足は肌のターンオーバー(新陳代謝)を乱します。肌は夜間の睡眠中に修復・再生を行うため、睡眠が不十分だと肌の回復が追いつかず、くすみや乾燥、ニキビなどのトラブルが起きやすくなります。
食生活の変化も見逃せない要因です。引越し直後は外食が増えたり、コンビニ食が続いたりすることが多く、ビタミンやミネラルの摂取量が不足しがちです。特にビタミンA・C・E や亜鉛は肌の健康に重要な栄養素であり、これらが不足すると肌荒れが起きやすくなります。
さらに、洗濯用洗剤や柔軟剤などの生活用品が変わることも肌への影響を与えることがあります。肌が直接触れる衣類・タオル・寝具のケアに使う製品が変わることで、接触性皮膚炎(かぶれ)が起きることがあります。引越し後に使用する生活用品をまとめて新しいブランドに変えた場合は、これらが原因になっている可能性も考えられます。
Q. 引越し後の肌荒れに有効なセルフケアは?
入浴時のお湯は38〜40℃のぬるめに設定し、入浴時間は10〜15分以内に抑えることが基本です。洗顔はアミノ酸系などマイルドな洗顔料を使い、ごしごしこすらず泡で包むように洗います。入浴・洗顔後は5分以内にセラミドやヒアルロン酸配合の保湿剤でケアすることで、低下したバリア機能の回復をサポートできます。
🔍 肌荒れを悪化させない入浴・洗顔のポイント
引越し後の肌荒れを防ぐためには、日々の入浴・洗顔の方法を見直すことが大切です。特に水質が変化した環境では、今まで通りのケアが肌に合わなくなっていることがあります。
入浴時のお湯の温度は肌荒れに大きく関わっています。熱すぎるお湯(42℃以上)は肌のバリア機能を維持するために必要な皮脂を過剰に洗い流してしまいます。特に硬水地域では、熱いお湯を使うことでミネラル成分が肌に結晶化して残りやすくなるため、肌への刺激が増加することがあります。お湯の温度は38〜40℃程度のぬるめに設定することで、肌への負担を軽減することができます。
入浴時間も重要です。長時間の入浴は肌の角質層から必要な水分と油分を過剰に奪う原因になります。10〜15分程度を目安にすることで、肌へのダメージを最小限に抑えることができます。
洗顔の際は、洗顔料の使いすぎに注意が必要です。洗浄力が強すぎる洗顔料を使うと、皮膚に必要なセラミドや天然保湿因子(NMF)が過剰に洗い流されてしまいます。引越し後に肌荒れが起きている場合は、マイルドな洗浄力の洗顔料に切り替えることを検討してみましょう。また、洗顔の際はごしごしとこすらず、泡で包み込むようにやさしく洗うことが重要です。
洗い流す際の水の温度も意識してみましょう。冷水で洗うと毛穴が引き締まって一時的に肌がきれいに見えることがありますが、刺激が強すぎることもあります。ぬるめの水(30〜35℃程度)でしっかりと洗顔料や石けんを洗い流すことが基本です。
入浴後・洗顔後は時間をおかずに保湿ケアを行うことが重要です。水分が蒸発する前に化粧水や保湿クリームを塗ることで、肌の水分蒸発を防ぎます。特に新しい環境での乾燥や刺激に対応するため、入浴後5分以内を目安に保湿ケアを行う習慣をつけましょう。
📝 引越し後の肌荒れに対処するスキンケアの見直し方
引越し後に肌の状態が変化した場合、スキンケアルーティンを一度リセットして見直すことが有効です。新しい環境の水質や気候に合わせたスキンケアを構築することで、肌荒れを改善・予防することができます。
まず、保湿成分の見直しを行いましょう。引越し後の肌荒れでは、バリア機能の低下が根本的な問題となることが多いです。バリア機能の修復に役立つ成分として、セラミド・ヒアルロン酸・コラーゲン・スクワランなどが挙げられます。これらの成分を含む保湿剤を選ぶことで、低下したバリア機能をサポートすることができます。
水質が硬水に変わった場合、今まで使っていた石けんタイプの洗顔料では泡立ちが悪くなり、洗い残しが生じることがあります。このような場合は、ゲルタイプやクリームタイプの洗顔料、またはアミノ酸系の洗浄成分を使ったマイルドな洗顔料への切り替えを検討してみましょう。
スキンケア製品をまとめて一気に変えることは、肌への刺激が増すため避けた方が無難です。引越し後の肌荒れが起きている時期は特に、シンプルなスキンケアを心がけることが重要です。洗顔料・化粧水・保湿剤の3ステップを基本として、新しい製品を試す場合は1製品ずつ様子を見ながら追加していくことをおすすめします。
化粧水を選ぶ際は、アルコール(エタノール)が高濃度に含まれているものは肌への刺激になりやすいため、敏感肌向けやノンアルコールタイプを選ぶことが引越し後の肌には適しています。また、香料や着色料などの添加物が少ないシンプルな処方の製品の方が、肌荒れ中の肌には優しいといえます。
日焼け止めは新しい地域の紫外線量に合わせて選び直すことも大切です。日照量が多い地域に引越した場合は、SPF・PA値の高い日焼け止めを使用することで、紫外線による肌ダメージを予防することができます。
また、引越し後は疲労やストレスによる酸化ストレスが増加していることが多いため、抗酸化作用のある成分(ビタミンC誘導体・ナイアシンアミドなど)を含む美容液やクリームを取り入れることも肌の回復をサポートする上で有効です。ただし、肌荒れが続いている段階では刺激が強い成分の使用は控え、まず肌を落ち着かせることを優先させましょう。
Q. 引越し後の肌荒れはいつ皮膚科を受診すべきですか?
引越し後の肌荒れは通常1〜3ヶ月で改善することが多いですが、強い赤みやかゆみ・水疱が生じている場合、または2〜3ヶ月以上セルフケアで改善しない場合は皮膚科への受診が推奨されます。受診時には引越し前後の肌の変化や使用中のスキンケア製品、引越し元と引越し先の地域名を医師に伝えると、水質変化を含めた正確な診断に役立ちます。
💡 浄水器やシャワーヘッドで水質を改善する方法
引越し後の肌荒れが水質によるものと疑われる場合、水そのものを改善するアプローチも有効です。浄水器やシャワーヘッドの活用は、肌への直接的な影響を軽減する実用的な方法として注目されています。
洗顔や手洗いに使う水については、蛇口に取り付けるタイプの浄水器が手軽に導入できます。多くの浄水器は活性炭フィルターを使用しており、塩素の除去や異臭の改善に効果的です。特に塩素感受性が高い方や敏感肌の方には、塩素除去効果の高い浄水器の使用が肌荒れ改善に役立つことがあります。
シャワー用の浄水シャワーヘッドは、全身のシャワーや洗髪に使う水から塩素を除去することができます。シャワーヘッドに内蔵されたフィルターが水を浄化する仕組みになっており、取り付けが簡単なタイプが多く市販されています。肌荒れだけでなく、髪のパサつきや頭皮トラブルにも効果的とされており、引越し後のトラブル予防として使用している方も増えています。
硬水対策としては、軟水化装置(ウォーターソフナー)の導入が根本的な解決策になります。硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムイオンをナトリウムイオンと交換する仕組みで、水の硬度を下げることができます。ただし、機器が大型であることや定期的なメンテナンスが必要なこと、費用が高めになることなどから、賃貸住宅では導入が難しいケースもあります。
より手軽な方法として、ミネラルウォーターを洗顔に使用するという方法もあります。ペットボトルの軟水系ミネラルウォーターを使って洗顔を行うことで、水道水の塩素やミネラル分の影響を避けることができます。ただし、コスト面では継続的に費用がかかるため、一時的な対策として活用するのが現実的です。
浄水器やシャワーヘッドを選ぶ際は、JIS規格や厚生労働省の基準をクリアした製品を選ぶことが安全性の観点から重要です。フィルターの交換時期を守ることも、浄水効果を維持するために必要です。交換を怠るとかえって不純物が増加することがあるため、定期的なメンテナンスを忘れずに行いましょう。
✨ 引越し後の肌荒れはいつまで続く?受診の目安

引越し後の肌荒れは、多くの場合は1〜3ヶ月程度で改善することが多いとされています。これは身体が新しい環境に適応するためのホメオスタシス(恒常性維持)の働きによるものです。ただし、適切なケアを行わなかった場合や、体質的に環境の変化への適応が苦手な場合には、長期間にわたって肌荒れが続くこともあります。
以下のような症状が出ている場合や状況に当てはまる場合は、皮膚科専門医への受診を検討することをおすすめします。
まず、肌荒れの範囲が広い・症状が重い場合です。全顔に広がる激しい赤みやかゆみ、水疱(水ぶくれ)が生じているような場合は、接触性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎などの疾患が疑われるため、専門医による診断が必要です。
次に、市販のスキンケア製品や生活習慣の改善を行っても2〜3ヶ月以上改善が見られない場合です。自己流のケアには限界があるため、皮膚科専門医の指導のもとで適切な治療薬を使用することが根本的な改善への近道となります。
引越し後に突然、今まで経験したことのない種類の肌荒れが生じた場合も受診の目安となります。例えば、これまでニキビが少なかったのに急激に増えた、アトピー性皮膚炎が悪化した、脂漏性皮膚炎のような症状が出現したなど、明らかに異常な変化が見られる場合は早めの受診が望ましいといえます。
また、肌荒れだけでなく全身的な症状(むくみ・疲労感・消化器症状など)を伴う場合は、皮膚科だけでなく内科への受診も検討してみましょう。引越し後の体調不良は、肌だけでなく身体全体に現れることがあるためです。
皮膚科を受診した際には、引越しの時期や引越し前後の肌の変化、使用しているスキンケア製品、生活習慣の変化などを詳しく医師に伝えることで、より正確な診断と適切な治療方針が立てやすくなります。引越し先と引越し元の地域名を伝えることで、水質の変化が肌荒れに関与している可能性も含めて評価してもらうことができます。
皮膚科では肌荒れの原因を診断した上で、ステロイド外用薬・保湿剤・抗ヒスタミン薬などの処方を行うことができます。特に、バリア機能を修復するための保湿治療(スキンケア指導)は専門家によるアドバイスが非常に有効です。引越し後の環境変化による肌荒れには、市販品だけで対処しようとせずに専門家の助けを借りることも大切な選択肢のひとつです。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、引越し後に肌荒れを訴えて来院される患者様が一定数いらっしゃり、水質の変化が一因となっているケースも少なくありません。水道水の硬度や塩素濃度の違いは、毎日の洗顔や入浴を通じてじわじわとバリア機能に影響を与えるため、「引越してから何となく肌の調子が悪い」と感じたら、水質の変化も原因のひとつとして意識していただくことが大切です。セルフケアで改善が見られない場合や、赤みやかゆみが強い場合はお早めにご相談ください。新しい生活環境に肌が馴染めるよう、一緒に適切なケアを見つけていきましょう。」
📌 よくある質問
引越し後の肌荒れは、水質の変化(硬度・塩素濃度の違い)、気候・湿度の変化、精神的ストレス、睡眠不足、食生活の乱れなど、複数の要因が重なって起きることが多いです。中でも毎日の洗顔・入浴で直接肌に触れる「水」の影響は見落とされがちですが、バリア機能の低下に大きく関与しています。
一般的に軟水の方が肌への刺激が少なく、泡立ちも良いため肌に優しいとされています。硬水はカルシウム・マグネシウムが肌に残留しやすく、毛穴詰まりや乾燥の原因になることがあります。日本の水道水は比較的軟水が多いですが、地域によって差があるため、引越し先の水質を各地域の水道局サイトで確認することをおすすめします。
入浴時のお湯を38〜40℃のぬるめに設定し、入浴時間は10〜15分程度に抑えることが基本です。また、マイルドな洗顔料に切り替え、入浴・洗顔後は5分以内にセラミドやヒアルロン酸配合の保湿剤でしっかり保湿することが大切です。スキンケア製品の大幅な変更は肌への負担になるため、シンプルなケアを心がけましょう。
水質が原因と疑われる場合、活性炭フィルター搭載の浄水器や浄水シャワーヘッドは塩素の除去に効果的で、肌荒れ改善が期待できます。敏感肌や乾燥肌の方には特におすすめです。選ぶ際はJIS規格など基準をクリアした製品を選び、フィルターの定期交換を忘れずに行いましょう。
引越し後の肌荒れは通常1〜3ヶ月で改善することが多いですが、赤みやかゆみが強い・水疱が生じている・2〜3ヶ月以上改善しないといった場合は皮膚科への受診をおすすめします。当院では、引越し後の環境変化による肌荒れにも対応しており、水質の変化を含めた複合的な原因を踏まえた診断・治療を行っています。
🎯 まとめ
引越し後の肌荒れは、水質の変化を含む様々な環境的要因によって引き起こされる、決して珍しくないトラブルです。硬水・軟水の違いや塩素濃度の変化は、毎日の洗顔・入浴を通じて肌に直接影響を与え、バリア機能の低下や乾燥・炎症の原因になることがあります。
引越し後の肌荒れへの対策として、まずはお湯の温度を下げる・洗顔をやさしくするなどの日々のルーティンの見直しが基本となります。それに加えて、保湿ケアの強化・シンプルなスキンケアへの切り替え・浄水器やシャワーヘッドの活用などを組み合わせることで、肌への負担を軽減することができます。
また、水質以外にも精神的なストレス・睡眠不足・食生活の乱れが肌荒れに影響しているケースも多いため、生活全般を整えることも忘れないようにしましょう。引越し直後の多忙な時期でも、睡眠時間の確保・バランスの良い食事・適度な休息を意識することが肌の回復を助けます。
セルフケアで改善が見られない場合や、症状が重い場合は自己判断せずに皮膚科専門医への受診をためらわないことが大切です。新しい環境での生活を快適に過ごすためにも、肌のトラブルは早めに適切なケアで対処していきましょう。引越しという大きな変化を乗り越えた先に、肌も新しい環境に馴染んで安定した状態を取り戻すことができるはずです。
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- 大人のニキビが治らない原因と効果的な対策・治療法を解説
- ゆらぎ肌の治し方を徹底解説|原因から正しいケア方法まで
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 水道水の水質基準・塩素濃度・pH基準値など、記事中で言及している水道水の安全基準や水質管理に関する公式情報の参照元として適切
- 日本皮膚科学会 – 肌のバリア機能・乾燥肌・接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎など、引越し後の肌荒れに関連する皮膚疾患の診断基準やスキンケア指導に関する学術的根拠の参照元として適切
- WHO(世界保健機関) – 記事中で直接引用している硬水・軟水の硬度分類基準(60mg/L未満=軟水、120〜180mg/L=硬水など)の出典であるWHO「Hardness in Drinking-water」ガイドラインの参照元として適切
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務