はじめに
2型糖尿病や慢性心不全の治療薬として広く使用されているジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)。血糖値を下げるだけでなく、心臓や腎臓への保護作用も期待できる優れた治療薬として注目されています。しかし、どのような医薬品にも副作用のリスクは存在します。ジャディアンスを安全に、そして効果的に使用するためには、起こりうる副作用について正しく理解し、適切に対処することが何より大切です。
本記事では、ジャディアンスの副作用について、頻度の高いものから重大なものまで詳しく解説します。また、日本糖尿病学会が公表している適正使用に関する指針や、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のデータに基づいた信頼性の高い情報をお届けします。
ジャディアンスとは
ジャディアンスは、SGLT2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)阻害薬に分類される糖尿病治療薬です。2014年に日本で発売されて以来、2型糖尿病治療の選択肢として重要な位置を占めています。さらに、2021年には慢性心不全、2024年には慢性腎臓病に対しても適応が拡大されました。
従来の糖尿病治療薬の多くは膵臓からのインスリン分泌を促進したり、インスリンの働きを高めたりすることで血糖値を下げますが、ジャディアンスは全く異なるアプローチを取ります。腎臓の近位尿細管に存在するSGLT2を阻害することで、血液中の糖が尿中に再吸収されるのを抑え、尿として体外に排出させます。このユニークな作用機序により、インスリンに依存せずに血糖値を下げることができるのです。
この薬理作用は血糖コントロールだけでなく、体重減少効果や心血管系への好影響ももたらします。一方で、尿中に糖が排出されるという特性ゆえに、この薬剤特有の副作用も存在します。
ジャディアンスの主な副作用
頻尿・多尿
ジャディアンスの副作用として最も多く報告されているのが、頻尿や多尿です。医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書によると、臨床試験では約3.9%の患者さんにこれらの症状が認められています。
ジャディアンスを服用すると、腎臓での糖の再吸収が阻害され、尿中に糖が排出されます。この過程で、糖と一緒に水分も排出されるため、尿の量が増加し、トイレに行く回数も増えることになります。SGLT2阻害薬の作用機序から考えると、この症状はある程度避けることが難しい側面もあります。
多くの場合、服用開始から数週間で体が慣れ、症状は軽減していきます。日常生活での対処法としては、就寝前の服用を避ける、外出前にトイレに行く習慣をつける、夜間の水分摂取を控えめにするなどの工夫が有効です。ただし、脱水を避けるために日中は適度な水分補給を心がけることが重要です。
症状が日常生活に支障をきたすほど強い場合や、改善の兆しが見られない場合は、担当医に相談しましょう。
尿路感染症・性器感染症
ジャディアンスの使用により、尿中の糖濃度が上昇することで、細菌や真菌が繁殖しやすい環境が作られます。これにより、尿路感染症や性器感染症のリスクが高まることが知られています。
日本糖尿病学会の「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」においても、尿路感染症や性器感染症について、適宜問診や検査を行って発見に努めることの重要性が強調されています。
尿路感染症では、排尿時の痛みや違和感、頻尿、尿の濁り、下腹部の不快感などの症状が現れます。重症化すると腎盂腎炎に進行し、発熱や腰背部痛を伴うこともあります。
性器感染症では、特に女性において外陰部膣カンジダ症の発生が多く報告されています。かゆみ、おりものの増加や性状の変化、外陰部の発赤や腫脹などが主な症状です。男性では亀頭炎が起こることがあり、陰部のかゆみや発赤、不快感が現れます。
予防のためには、陰部を清潔に保つことが最も重要です。排尿後は前から後ろに拭く、1日1回は石鹸で優しく洗浄する、通気性の良い下着を着用する、長時間湿った状態を避けるなどの対策が有効です。
感染症の兆候が見られた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。適切な抗菌薬や抗真菌薬による治療により、多くの場合改善が期待できます。
脱水
ジャディアンスは尿量を増やす作用があるため、体内の水分が失われやすくなります。特に高齢者や利尿薬を併用している方では、脱水のリスクが高くなります。
脱水の症状には、口の渇き、皮膚の乾燥、めまい、立ちくらみ、倦怠感、頭痛などがあります。重度の脱水は血液の濃縮を招き、血栓ができやすい状態を作り出します。これが脳梗塞などの重大な合併症につながる可能性もあります。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、SGLT2阻害薬投与により初期には通常体液量が減少するため、適度な水分補給を行うよう指導すること、脱水が脳梗塞など血栓・塞栓症の発現に至りうることに注意を喚起しています。
予防のためには、こまめな水分補給が何より重要です。特に夏季や運動時、入浴後などは意識的に水分を取りましょう。ただし、一度に大量の水を飲むのではなく、少量ずつ頻回に摂取することが効果的です。
また、発熱・下痢・嘔吐などがある時や、食思不振で食事が十分摂れないような場合(シックデイと呼ばれます)には、必ずジャディアンスの服用を休薬する必要があります。この点については、あらかじめ主治医から指導を受けておくことが大切です。
低血糖
ジャディアンス単独では低血糖を起こしにくいという特徴がありますが、他の糖尿病治療薬と併用する場合には注意が必要です。
特に、インスリン製剤、SU薬(スルホニル尿素薬)、速効型インスリン分泌促進薬などと併用する際には、低血糖のリスクが高まります。日本糖尿病学会のRecommendationでは、これらの薬剤を投与中の患者へのSGLT2阻害薬の追加は重症低血糖を起こすおそれがあり、予めこれらの薬剤の減量を検討することが必要であるとされています。
SGLT2阻害薬による糖毒性の改善などにより、インスリンの効きが急に良くなることで低血糖が起こる可能性があるのです。
低血糖の症状には、冷や汗、動悸、手指の震え、強い空腹感、脱力感、頭痛、めまい、集中力の低下などがあります。重症化すると意識障害や昏睡に至ることもあります。
併用療法を行っている方は、血糖自己測定を行い、低血糖の兆候に注意を払う必要があります。低血糖が疑われる場合は、速やかにブドウ糖やジュースなどの糖分を摂取し、症状が改善しない場合や頻繁に起こる場合は医師に相談しましょう。
体重減少
ジャディアンスの作用により、尿中に糖が排出されることで、1日あたり200~300kcal程度のエネルギーロスが生じます。その結果、体重減少が起こることがあります。
臨床試験のデータでは、体重減少の副作用発現率は0.7%と報告されています。多くの場合、2~3kg程度の緩やかな体重減少であり、肥満を伴う2型糖尿病患者さんにとっては望ましい効果とも言えます。
しかし、もともと体重が少ない方や高齢者では、過度の体重減少により筋肉量の減少(サルコペニア)や栄養不良を招く可能性があります。体重減少が著しい場合や、食欲不振を伴う場合は医師に相談が必要です。
重大な副作用
ケトアシドーシス
ケトアシドーシスは、ジャディアンスを含むSGLT2阻害薬で特に注意が必要な重大な副作用です。
通常、体はブドウ糖をエネルギー源として利用していますが、インスリンが不足すると、代わりに脂肪をエネルギー源として分解します。この過程で産生されるケトン体が血液中に過剰に蓄積し、血液が酸性に傾いた状態がケトアシドーシスです。
SGLT2阻害薬の特徴として、通常の糖尿病性ケトアシドーシスと異なり、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスを発症する「正常血糖ケトアシドーシス」が起こることがあります。SGLT2阻害薬の作用により血糖値が高くならないため、発見が遅れ重症化するリスクがあります。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、全身倦怠感・悪心嘔吐・腹痛などを伴う場合には、血糖値が正常に近くてもケトアシドーシスの可能性があるので、血中ケトン体を確認するとともに専門医にコンサルテーションすることが推奨されています。
特に1型糖尿病患者では、インスリンの中止や過度の減量によりケトアシドーシスのリスクが高まります。また、2型糖尿病であっても、以下のような状況ではリスクが上昇します。
- 過度の糖質制限を行っている
- 食事摂取不良の状態が続いている
- アルコールを多量に摂取している
- 感染症や脱水状態にある
- 手術や外傷などの強いストレス状態にある
糖尿病ネットワークによると、炭水化物比率を40%以下に制限するとケトン体が有意に上昇することが報告されており、日常的に摂取する食事の炭水化物比率が40~55%であれば、SGLT2阻害薬を安全かつ有効に使用できるとされています。
ケトアシドーシスが疑われる症状としては、口渇、多飲、多尿、全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛、体重減少などがあります。悪化すると、呼吸困難、速くて深い呼吸(クスマウル呼吸)、意識障害に至ることもあります。これらの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。
フルニエ壊疽(外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎)
フルニエ壊疽は、外陰部や会陰部に発生する壊死性筋膜炎で、まれではありますが非常に重篤な副作用です。2018年に米国食品医薬品局(FDA)がSGLT2阻害薬との関連について警告を発し、日本でも2019年にジャディアンスを含む全てのSGLT2阻害薬の添付文書が改訂されました。
この疾患は、外性器、会陰、肛門周囲などに突然現れ、急速に進行します。細菌感染により軟部組織が壊死し、敗血症や多臓器不全を引き起こし、致死的となることもあります。
SGLT2阻害薬によるフルニエ壊疽の発症機序は完全には明らかになっていませんが、尿中グルコース排泄促進作用の影響が指摘されています。尿中の糖濃度上昇により細菌が繁殖しやすい環境が作られ、性器感染症からフルニエ壊疽へと進行する可能性が考えられています。
症状としては、外陰部、会陰部、肛門周囲の発赤、腫脹、疼痛が現れます。38℃以上の発熱を伴うことも多く、進行すると皮膚の色調変化、水疱形成、皮膚の壊死などが見られます。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、外陰部と会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)を疑わせる症状に注意を払うこと、フルニエ壊疽が疑われる場合には外科的な対応が可能な皮膚科医などに可及的速やかにコンサルテーションするべきであるとされています。
早期発見と迅速な治療開始が極めて重要です。外陰部や会陰部に異常を感じた場合、特に発熱を伴う場合は、すぐに医療機関を受診してください。
腎盂腎炎
尿路感染症の中でも特に注意が必要なのが腎盂腎炎です。膀胱炎などの下部尿路感染が上行性に広がり、腎臓の腎盂や腎実質にまで感染が及んだ状態です。
腎盂腎炎の症状には、38℃以上の高熱、悪寒、戦慄、腰背部痛(特に片側)、吐き気、嘔吐などがあります。排尿時痛や頻尿などの膀胱炎症状を伴うこともあります。
重症化すると敗血症に進行し、生命を脅かす状態になることもあります。高熱や腰痛などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な抗菌薬治療を受ける必要があります。
皮膚症状
ジャディアンスを含むSGLT2阻害薬では、掻痒症、薬疹、発疹、紅斑などの皮膚症状が報告されています。多くは軽度の症状ですが、まれに重篤な薬疹が発生することがあります。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすることが推奨されています。
特に注意が必要なのは、粘膜(眼結膜、口唇、外陰部)に皮疹(発赤、びらん)を認めた場合です。スティーブンス・ジョンソン症候群などの重症薬疹の可能性があり、可及的速やかに皮膚科医にコンサルテーションする必要があります。
皮膚症状は、ジャディアンス投与後1日目から約2週間以内に発症することが多いとされています。服用開始後は皮膚の変化に注意を払いましょう。
副作用リスクが高い方
高齢者
75歳以上の高齢者、あるいは65歳から74歳で老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)のある方では、脱水や腎機能低下のリスクが高くなります。
日本糖尿病学会のRecommendationでは、これらの方に対するSGLT2阻害薬投与は慎重に行い、特に投与の初期には体液量減少に対する十分な観察と適切な水分補給を必ず行うことが推奨されています。
高齢者では喉の渇きを感じにくくなっていることも多く、脱水に気づきにくい傾向があります。周囲の方も含めて、意識的な水分摂取を心がけることが大切です。
腎機能低下のある方
eGFRが45mL/min/1.73㎡未満の腎機能低下例では、ジャディアンスの血糖降下効果が期待できないだけでなく、副作用リスクが増加するため、原則として投与は推奨されません。
腎機能が低下している方では、脱水により急性腎障害を起こすリスクも高まります。特に利尿薬、ACE阻害薬、ARB、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を併用する場合には注意が必要です。
1型糖尿病患者
1型糖尿病患者では、ケトアシドーシスのリスクが特に高くなります。日本糖尿病学会のRecommendationでは、1型糖尿病患者の使用には一定のリスクが伴うことを十分に認識すべきであり、使用する場合は十分に臨床経験を積んだ専門医の指導のもと、患者自身が適切かつ積極的にインスリン治療に取り組んでおり、それでも血糖コントロールが不十分な場合にのみ使用を検討すべきであるとされています。
インスリンポンプ使用者では、ポンプトラブルや予測低血糖マネージメント(PLGM)機能による基礎インスリンの中断が原因でケトアシドーシスが起こることがあります。また、SGLT2阻害薬の追加によりインスリンの必要量が減ったように感じ、過度にインスリンを減量してしまうことでケトアシドーシスのリスクが高まります。
1型糖尿病患者がSGLT2阻害薬を使用する場合は、可能な限り血中ケトン体測定紙を処方してもらい、全身倦怠感・悪心嘔吐・腹痛などの症状からケトアシドーシスが疑われる場合は在宅で血中ケトン体を測定し、適切な対応を行うことが推奨されています。
妊婦・授乳婦
動物実験(ラット)で、妊娠中期および後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂および尿細管の拡張が報告されています。また、胎児への移行も報告されているため、妊娠中または妊娠している可能性のある方には原則として使用できません。
妊娠を希望する女性は、計画的に他の治療法への変更を検討する必要があります。授乳中の方についても、薬剤が母乳中に移行する可能性があるため、使用は避けるべきです。
他の薬剤との相互作用
利尿薬との併用
利尿薬とジャディアンスを併用すると、両薬剤の相乗効果により過度の体液減少が起こる可能性があります。このため、利尿薬の減量や、より慎重な水分摂取管理が必要となることがあります。
降圧薬との併用
ACE阻害薬やARBなどの降圧薬との併用では、腎機能への影響が増強される可能性があるため、定期的な腎機能モニタリングが不可欠です。
ビグアナイド薬との併用
脱水がビグアナイド薬(メトホルミンなど)による乳酸アシドーシスの重大な危険因子であることから、ビグアナイド薬使用患者にジャディアンスを併用する場合には、脱水と乳酸アシドーシスに対する十分な注意が必要です。
シックデイの対応
発熱・下痢・嘔吐などがある時や、食思不振で食事が十分摂れないような状態をシックデイと呼びます。シックデイの際には、脱水やケトアシドーシスのリスクが高まるため、必ずジャディアンスを休薬する必要があります。
日本糖尿病学会のRecommendationでも、シックデイには必ず休薬することが明記されており、この点を患者にも予めよく教育することが重要とされています。
体調が回復し、通常の食事が摂れるようになったら、医師の指示に従って服薬を再開します。自己判断での再開は避け、必ず医師に相談しましょう。
手術を受ける場合
手術が予定されている場合、周術期におけるストレスや絶食によりケトアシドーシスが惹起される危険性があるため、術前3日前から休薬することが推奨されています。
術後は、摂食が十分できるようになってから再開し、再開後はケトアシドーシスの症状に留意する必要があります。緊急手術の場合には休薬は必須ではありませんが、再開については予定手術の場合と同様とし、再開後のケトアシドーシスの症状に留意することが重要です。
副作用予防のために心がけること
適度な水分補給
脱水を予防するために、こまめな水分補給が重要です。特に夏季や運動時、入浴後などは意識的に水を飲むようにしましょう。ただし、心不全などで水分制限がある場合は、医師の指示に従ってください。
陰部の清潔保持
尿路感染症や性器感染症を予防するために、陰部を清潔に保つことが大切です。排尿後の拭き方に注意し、通気性の良い下着を着用しましょう。
適切な糖質摂取
過度な糖質制限はケトアシドーシスのリスクを高めます。炭水化物は1日の総カロリーの40~55%程度を目安とし、極端な制限は避けましょう。
定期的な検査
尿検査や血液検査により、感染症や腎機能の変化を早期に発見することができます。医師の指示に従って定期的に検査を受けましょう。
血糖自己測定
他の糖尿病治療薬と併用している場合は、血糖自己測定により低血糖の発見に努めることが重要です。測定結果を記録し、医師と共有することで、より安全な治療が可能になります。
体調変化の記録
服薬開始後は特に、体調の変化や気になる症状があれば記録しておきましょう。受診時に医師に伝えることで、適切な対応が可能になります。
こんな症状があったらすぐ受診
以下のような症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
- 全身倦怠感、悪心、嘔吐、腹痛が続く(ケトアシドーシスの可能性)
- 38℃以上の発熱と腰痛(腎盂腎炎の可能性)
- 外陰部や会陰部の発赤、腫脹、痛みと発熱(フルニエ壊疽の可能性)
- 全身に広がる発疹や、粘膜の異常(重症薬疹の可能性)
- 激しいめまい、意識の混濁(重度の脱水や低血糖の可能性)
- 顔面蒼白、冷や汗、動悸、手指の震え(低血糖の可能性)
また、軽度の症状であっても、日常生活に支障をきたす場合や、改善の兆しが見られない場合は、早めに医師に相談することをお勧めします。

まとめ
ジャディアンスは、2型糖尿病や慢性心不全、慢性腎臓病の治療において重要な役割を果たす優れた治療薬です。血糖降下作用に加えて、心臓や腎臓への保護作用も期待できます。
しかし、頻尿・多尿、尿路感染症・性器感染症、脱水といった比較的頻度の高い副作用から、ケトアシドーシスやフルニエ壊疽といった重大な副作用まで、さまざまな副作用のリスクがあることも事実です。
安全にジャディアンスを使用するためには、これらの副作用について正しく理解し、予防策を講じることが重要です。適度な水分補給、陰部の清潔保持、適切な糖質摂取などの日常的な対策に加えて、定期的な検査や医師との密なコミュニケーションが不可欠です。
また、シックデイや手術時の休薬、体調変化時の早期受診など、状況に応じた適切な対応も大切です。特に高齢者、腎機能低下のある方、1型糖尿病患者では、より慎重な管理が必要となります。
日本糖尿病学会が公表している適正使用に関するRecommendationは、安全で効果的なSGLT2阻害薬の使用のための重要な指針となっています。医療従事者はもちろん、患者さん自身もこれらの情報を理解し、治療に積極的に参加することが望まれます。
ジャディアンスによる治療について疑問や不安がある方は、遠慮なく医師や薬剤師に相談してください。正しい知識と適切な対応により、ジャディアンスの恩恵を最大限に享受しながら、副作用のリスクを最小限に抑えることが可能です。
参考文献
- 日本糖尿病学会「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」https://www.nittokyo.or.jp/modules/information/index.php?content_id=22
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ジャディアンス錠 添付文書・インタビューフォーム」
- 糖尿病リソースガイド「『SGLT2阻害薬』はケトアシドーシスに注意」https://dm-rg.net/news/2019/08/020143.html
- 糖尿病ネットワーク「SGLT2阻害薬 極端な『低炭水化物ダイエット』で重大な副作用が」https://dm-net.co.jp/calendar/2017/026763.php
- 日本糖尿病学会編著「糖尿病治療ガイド2022-2023」文光堂
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務