目次
- イボとは?医学的な定義と一般的なイメージの違い
- イボができる原因とメカニズム
- イボの種類と見分け方
- イボを放置するとどうなる?リスクと注意点
- 皮膚科で受けられるイボ取り治療の種類
- 液体窒素によるイボ治療の詳細
- レーザーによるイボ治療の詳細
- その他のイボ治療法
- イボ治療の経過と日常生活での注意点
- イボ取りの費用と保険適用について
- イボを予防するための日常ケア
- 渋谷でイボ取り治療を検討している方へ
- まとめ
イボとは?医学的な定義と一般的なイメージの違い
「イボ」という言葉は日常的によく使われますが、医学的には「疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、皮膚の一部が盛り上がってできる小さなできものを指します。私たちが普段「イボ」と呼んでいるものには、実はさまざまな種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。
一般的に「イボ」と聞くと、皮膚からポツポツと突起しているできものをイメージする方が多いでしょう。しかし、医学的にはウイルス感染によってできるものと、加齢や紫外線の影響でできるものとに大きく分けられます。見た目が似ていても、原因が異なれば治療法も変わってくるため、正確な診断が非常に重要です。
イボは体のあらゆる部位にできる可能性がありますが、特に手指、足の裏、顔、首などにできやすい傾向があります。痛みやかゆみなどの自覚症状がないことも多く、気づかないうちに大きくなったり、数が増えたりすることもあります。
また、イボと似たような皮膚のできものには「タコ」や「ウオノメ」がありますが、これらは医学的には別のものです。タコやウオノメは角質層が肥厚したもので、イボはより深い表皮層で変化が起きています。このため、治療アプローチも異なってきます。
重要なのは、イボのように見えるできものの中には、まれに悪性腫瘍の初期症状であるケースもあるということです。自己判断せずに皮膚科を受診し、専門医による正確な診断を受けることをおすすめします。
イボができる原因とメカニズム
イボができる原因は、大きく分けて「ウイルス感染」と「加齢・紫外線」の2種類があります。それぞれのメカニズムを詳しく見ていきましょう。
ウイルス性イボの原因
ウイルス性のイボの主な原因は「ヒトパピローマウイルス(HPV)」です。このウイルスには150種類以上の型が存在し、感染したウイルスの型によってイボの症状や発生部位が異なります。
HPVは正常な皮膚のバリア機能が保たれている状態であれば、感染することはほとんどありません。しかし、引っかき傷やかすり傷などの微細な傷があると、そこからウイルスが皮膚内に侵入し、表皮の最も深い層にある基底細胞に感染します。
感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は1〜6か月程度とされています。この期間中、基底細胞が異常な細胞分裂を繰り返して増殖し、やがて皮膚表面が盛り上がってイボが形成されます。
感染経路としては、人から人への直接的な接触感染のほか、プールやお風呂の足拭きマット、スリッパなどを介した間接的な感染もあります。ただし、潜伏期間が長いため、どこで感染したのかを特定することは困難な場合がほとんどです。
また、「伝染性軟属腫ウイルス」による「水イボ」もウイルス性イボの一種です。こちらは主に子どもに多く見られ、感染力が比較的強いという特徴があります。
加齢・紫外線によるイボの原因
ウイルスとは関係なく、加齢や紫外線の影響によってできるイボもあります。代表的なものが「脂漏性角化症」で、「老人性イボ」とも呼ばれます。
脂漏性角化症は、長年にわたる紫外線の蓄積と皮膚の老化現象によって発生します。紫外線を浴びると皮膚の表皮層ではメラニン色素が作られますが、健康な皮膚では約28日サイクルのターンオーバー(新陳代謝)によって、メラニンは古い角質とともに体外へ排出されます。
しかし、加齢などで皮膚の機能が衰えると、ターンオーバーのサイクルが乱れ、メラニンの排出が追いつかなくなります。その結果、メラニンが蓄積され、皮膚が盛り上がってイボのようになるのです。
40代以降に現れることが多く、80代になるとほとんどの方に何らかの形で見られるようになります。遺伝的な要因も関係しているとされ、若い方でも20代から出現することがあります。
摩擦による刺激
首や脇の下などにできる小さなイボ(軟性線維腫、アクロコルドン、スキンタッグ)は、衣類やアクセサリーによる摩擦刺激が原因の一つと考えられています。皮膚が柔らかくこすれやすい部位に多発する傾向があり、30代頃から発症し始め、加齢とともに増えていく特徴があります。
イボの種類と見分け方
イボにはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。主なイボの種類と見分け方について解説します。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)
最も一般的なウイルス性イボで、ヒトパピローマウイルス(主にHPV2型)が原因です。手指や足の裏など、外傷を受けやすい部位にできやすい特徴があります。
大きさは数mm〜1cm程度で、表面がざらざらして硬くなり、盛り上がった形状をしています。複数できて融合し、面状に広がることもあります。通常、痛みなどの自覚症状はありませんが、足の裏にできた場合は歩行時に痛みを感じることがあります。
足の裏にできる尋常性疣贅は「足底疣贅」と呼ばれ、体重がかかるためあまり盛り上がらず、表面がざらざらして硬くなります。ウオノメと見た目が似ているため、誤った判断で市販薬を使用すると悪化することがあるので注意が必要です。
表面を少し削ると黒い点が見られるのがイボの特徴です。この黒い点は、ウイルスによって増殖した毛細血管が凝固したものです。
青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)
ヒトパピローマウイルス(主にHPV3、HPV10)による感染で発生するイボです。典型的な盛り上がったイボとは異なり、表面が平らで小さな突起が複数できるのが特徴です。
20〜40代の女性に多く見られ、顔や腕、手の甲などにできやすい傾向があります。色は淡い褐色で、シミと間違われてしまうこともあります。自分の皮膚同士で感染しやすく、顔を触った手で他の部位を触ることで数が増えることがあるため注意が必要です。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
「老人性イボ」とも呼ばれる良性腫瘍で、ウイルスとは関係なく、加齢や紫外線の影響によって発生します。40代以降に多く見られ、顔や体、特に日光が当たりやすい部位に発生しやすい特徴があります。
大きさは数mm〜数cmで、褐色〜黒色の盛り上がったできものとして現れます。表面はザラザラしていたり、脂っぽい印象を与えることがあります。基本的に痛みやかゆみはありませんが、摩擦などで炎症を起こすこともあります。
老人性色素斑(シミ)とは異なり、皮膚が盛り上がっているのが特徴です。良性腫瘍であるため健康上の問題はありませんが、見た目が気になる場合や衣類に擦れて不快感がある場合には治療の対象となります。
軟性線維腫・アクロコルドン・スキンタッグ
首や脇の下、胸元などにできる小さな柔らかいイボの総称です。大きさによって呼び方が異なり、1〜3mm程度の小さなものをアクロコルドンやスキンタッグ、5mm以上の大きなものを軟性線維腫と呼ぶことがあります。
色は肌色〜褐色で、皮膚から飛び出すような形状をしていることが多いです。ウイルス性ではなく、コラーゲンでできた良性の皮膚腫瘍です。中年以降の成人に多く見られ、50歳以上では約46%に発症するとされています。女性や肥満の方にできやすい傾向があります。
衣類やアクセサリーに引っかかって炎症を起こすことがありますが、悪性化することはほとんどありません。ただし、急に大きくなったり数が増えたりした場合は、別の疾患の可能性もあるため皮膚科を受診することをおすすめします。
尖圭コンジローマ
性感染症の一種で、HPV6型やHPV11型が原因となります。性器や肛門周囲に発生する特徴があり、専門的な治療が必要です。
水イボ(伝染性軟属腫)
伝染性軟属腫ウイルスが原因で、主に子どもに多く見られます。ピンク色や白色で、直径2〜5mm程度のドーム状のイボができます。中心にくぼみがあるのが特徴で、お風呂やプールなどで感染が広がることがあります。
イボを放置するとどうなる?リスクと注意点
イボは多くの場合、痛みやかゆみがないため放置してしまいがちですが、放置することでいくつかのリスクが生じる可能性があります。
ウイルス性イボを放置した場合のリスク
ウイルス性のイボは、放置すると以下のような問題が生じる可能性があります。
まず、イボが大きくなることがあります。時間の経過とともに少しずつ成長し、目立つようになることがあります。また、自分の体の他の部位に広がることも少なくありません。イボを触った手で別の場所を触ったり、隣接する皮膚に長時間触れていることでウイルスが広がり、新たなイボができてしまいます。
さらに、家族など他者への感染リスクもあります。タオルやスリッパなどの共用によって、知らないうちにウイルスをうつしてしまう可能性があります。
小さなイボであれば比較的短期間で治療できますが、大きくなったり数が増えたりすると治療に時間がかかり、費用も増えてしまいます。早期発見・早期治療が重要です。
老人性イボを放置した場合
脂漏性角化症(老人性イボ)は良性腫瘍であり、悪性化することはほとんどありません。そのため、健康上の理由から必ずしも治療が必要というわけではありません。
しかし、自然に消えることもなく、放置すると徐々に大きくなったり数が増えたりする傾向があります。見た目が気になる場合や、衣類に擦れて不快感や炎症を起こす場合には、治療を検討する価値があります。
自己判断で取ろうとするリスク
イボを自分で取ろうとすることは非常に危険です。以下のようなリスクがあります。
感染の拡大という問題があります。特にウイルス性のイボを自分でいじると、ウイルスが周囲に広がり、イボが増えてしまう可能性があります。
また、傷跡が残るリスクもあります。無理に剥がしたり、ハサミで切ったりすると、深い傷跡や色素沈着が残ってしまうことがあります。
さらに深刻なのは、悪性腫瘍の見逃しです。イボによく似た皮膚がん(基底細胞がん、有棘細胞腫、悪性黒色腫など)の可能性もあります。専門医でなければ見分けが困難であり、万が一悪性のものを刺激してしまうと、取り返しのつかないことになる恐れがあります。
市販のイボ取り薬(イボコロリなど)は、主にサリチル酸という成分で角質を溶かすものです。これらは主に足の裏の硬いタコや魚の目に使われるもので、皮膚の薄い顔や首への使用は想定されていません。添付文書にも「顔面には使用しないこと」と明記されていることがほとんどです。
皮膚科で受けられるイボ取り治療の種類
皮膚科ではイボの種類や状態に応じて、さまざまな治療法が選択されます。主な治療法について詳しく解説します。
液体窒素による冷凍凝固療法
最も一般的に行われているイボ治療法です。日本皮膚科学会の「尋常性疣贅診療ガイドライン2019」でも推奨度Aランク(強く推奨)とされており、第一選択の治療法として位置づけられています。
マイナス196度の液体窒素を綿棒やスプレーでイボに当て、凍傷を起こすことでイボの組織を破壊します。凍結された組織は壊死し、やがてかさぶたとなって剥がれ落ちます。同時に、凍結による炎症反応が免疫系を活性化させ、イボのウイルスに対する免疫力を高める効果も期待できます。
保険適用の治療であり、週に1回の頻度で治療を受けることができます。ただし、1回の治療でイボが完全に取れることは少なく、通常は1〜2週間ごとに複数回の治療が必要です。イボの大きさや深さ、個人の体質によって治療期間は異なりますが、3〜6か月程度が一つの目安となります。
炭酸ガスレーザー治療
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)は、波長10,600nmのレーザー光を照射し、皮膚内の水分に反応して熱エネルギーを発生させ、イボを蒸散させて除去する治療法です。
液体窒素治療と比較して、治療後の色素沈着が少なく、傷跡が目立ちにくいというメリットがあります。また、1回の治療で除去できることが多く、何度も通院する必要がない場合もあります。
局所麻酔を使用するため、施術中の痛みはほとんどありません。治療後は軟膏やテープで保護し、1〜2週間程度でかさぶたが取れて回復します。
脂漏性角化症(老人性イボ)の治療には特に適しており、盛り上がった部分を正確に削り取ることができます。スキャナ付きの炭酸ガスレーザーを使用すれば、より均一に、きれいに削ることが可能です。
外科的切除
メスやハサミを使ってイボを切除する方法です。局所麻酔を使用するため施術中の痛みはありません。
液体窒素やレーザー治療と比較して再発率が低いというメリットがあります。保険適用となる場合が多く、費用面でも有利なケースがあります。
首にできた小さな軟性線維腫などは、医療用のハサミで根元から切除することで、比較的簡単に除去できます。盛り上がりが強い小さなイボであれば、出血も少なく麻酔なしで行えることもあります。
電気焼灼・高周波治療
電気メスや高周波治療器(サージトロンなど)を使用して、イボを焼き切る方法です。切除と止血を同時に行えるため出血が少なく、傷口も目立ちにくくなります。
液体窒素治療と比較して色素沈着を生じにくいのがメリットです。施術時には微弱な電流によるピリピリとした独特の痛みがありますが、麻酔がいらない程度の痛みです。
内服薬(ヨクイニン)
ヨクイニンはハトムギの種皮を除いた種子から抽出された生薬で、日本では江戸時代からイボ治療に用いられてきた歴史があります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは推奨度Bとして位置づけられています。免疫力を高めてイボのウイルスを排除する作用があると考えられていますが、効果が出るまでに時間がかかり、3か月程度を目安に効果判定を行います。
研究報告によると、ヨクイニンの有効率は年齢によって差があり、乳幼児や学童では70%以上の有効率が報告されている一方、成人では20%程度と低くなる傾向があります。
痛みや水ぶくれなどの副作用がないため、特に小児のイボ治療で選択されることが多い方法です。ただし、脂漏性角化症(老人性イボ)には効果がありません。
その他の治療法
モノクロロ酢酸療法は、強酸でイボ組織を壊死させる治療法です。液体窒素療法と比較して痛みが少ないため、小さなお子さんのイボ治療にも使用されます。
サリチル酸外用は、角質を軟化させる作用があり、足底疣贅などに使用されることがあります。
活性型ビタミンD3外用(オキサロール軟膏など)は、角化を調整する作用があり、補助的に使用されることがあります。
難治性のイボに対しては、ブレオマイシン局所注入やイミキモド外用などの治療法が選択されることもあります。
液体窒素によるイボ治療の詳細
液体窒素による冷凍凝固療法は、イボ治療の中で最も広く行われている標準的な治療法です。詳しいメカニズムや治療経過について解説します。
治療のメカニズム
液体窒素療法には2つの作用があります。
まず、直接的な凍結作用です。マイナス196度の超低温でイボを含む皮膚組織を凍結させることで、イボの細胞内の水分が氷結晶を形成し、細胞膜や細胞内小器官を破壊します。これにより、ウイルスに侵された異常な細胞が壊死します。
次に、免疫賦活作用です。凍結により組織が壊死すると、その周囲に炎症反応が起こり、免疫系が活性化されます。これにより、体の免疫機能がイボのウイルスを認識し、攻撃するようになります。この免疫誘導は1〜2週間程度続きますが、1か月以上経つとその効果も薄れてくるため、定期的な治療が重要です。
治療の流れ
治療当日は、液体窒素を浸した綿棒または専用のスプレーをイボに押し当てます。押し当てる強さや時間、回数はイボの大きさや深さ、できた部位によって異なります。治療時間は数分程度で、当日の入浴も通常通り可能です。
治療後1日目は、治療した部分がチクチクと痛むことがあります。場合によっては水ぶくれができることもありますが、これは治療が効いている証拠です。
治療後2〜7日目には、次第に黒っぽいかさぶたに変化していきます。
その後、約2週間を目安にかさぶたが自然に剥がれ落ちます。無理に剥がすとウイルスが広がる可能性があるため、自然に取れるまで待ちましょう。
かさぶたが取れた後にイボが残っている場合は、再度治療を行います。この過程を繰り返すことで、徐々にイボを除去していきます。
治療期間と回数
日本皮膚科学会のガイドラインでは、「イボの周囲を含めて凍結を3回繰り返すのを1〜2週間ごとに行うこと」が推奨されています。
治療期間については個人差が大きく、1回で取れることもあれば、10回以上の治療が必要なこともあります。一般的には3〜6か月程度が目安ですが、足の裏の深いイボなどは1年以上かかることもあります。
研究報告によると、液体窒素療法を3か月継続した場合の消失率は約52%とされています。また、2年以上かかる人が30%程度いるとの報告もあります。
大切なのは、効果不十分な治療を漫然と行わず、3か月ごとに治療を見直すことです。効果が見られない場合は、他の治療法への変更や併用を検討することが重要です。
液体窒素治療の注意点
液体窒素治療は痛みを伴う治療です。凍傷による炎症で痛みが生じますが、通常2〜3日で徐々に治まります。
治療後に水ぶくれや血豆ができることがありますが、これは皮膚がしっかりダメージを受けて反応を起こしている証拠です。水ぶくれや血豆をほじったりむしったりすると、中にあるウイルスが撒き散らされてイボが他の場所に広がってしまう可能性があるため、触らないようにしましょう。
また、治療後に炎症後色素沈着(茶色いシミ)が残ることがあります。約9割の方に見られる副作用とされており、通常は時間とともに薄くなりますが、半年〜1年程度かかることもあります。特に首や顔などの部位は色素沈着しやすいため注意が必要です。
レーザーによるイボ治療の詳細
レーザー治療は、特に脂漏性角化症(老人性イボ)や首イボなど、見た目を重視する部位のイボ除去に適した治療法です。
炭酸ガスレーザーの特徴
炭酸ガスレーザーは、水分に吸収されやすい波長(10,600nm)のレーザー光を照射します。皮膚には多くの水分が含まれているため、レーザーが皮膚細胞内の水分に反応して熱エネルギーを発生させ、水分が瞬間的に蒸散することで皮膚が削られ、イボが除去されます。
レーザーを照射した部位周辺の血管は熱凝固作用で瞬時に固まるため、出血はほとんどありません。また、蒸散作用は皮膚表面のみに働くため、術後の創傷治癒は比較的早いとされています。
治療の流れ
まず局所麻酔を行います。注射による麻酔のほか、塗り麻酔(麻酔クリーム)を使用することもあります。麻酔が効けば、治療中の痛みはほとんどありません。
その後、レーザーでイボを蒸散させていきます。1個あたりの治療時間は数分程度です。
治療直後は擦り傷のような状態になります。軟膏を塗布し、必要に応じてテープで保護します。
治療後は1〜2週間程度でかさぶたが形成され、自然に剥がれ落ちて新しい皮膚が再生します。
レーザー治療のメリット
レーザー治療には以下のようなメリットがあります。
液体窒素と比較して色素沈着が少なく、傷跡が目立ちにくい傾向があります。治療後の回復期間も比較的短く、数日から数週間で日常生活に戻れます。
また、多くの場合は1回の治療で除去できるため、何度も通院する必要がありません。
スキャナ付きの炭酸ガスレーザーを使用すれば、カンナで削ったように均一に、きれいにイボを除去することができます。
レーザー治療後の注意点
治療後の肌は敏感な状態になっているため、日焼け止めの使用や紫外線対策が重要です。紫外線を浴びると色素沈着が起きやすくなります。
治療後2〜4か月程度は赤みや色素沈着が生じることがありますが、時間とともに消失していきます。傷専用のクリームを使用することで、より早く目立たなくなります。
レーザー治療は自費診療となることが多く、保険適用にならない場合があります。費用については事前に確認しておくことをおすすめします。
その他のイボ治療法
液体窒素やレーザー以外にも、さまざまなイボ治療法があります。
外科的切除
メスやハサミを使ってイボを直接切除する方法です。局所麻酔を行い、イボを根元から切り取ります。
液体窒素やレーザーと比較して再発率が低いというメリットがあります。切除したイボは病理検査に出すことができるため、悪性かどうかの確定診断も可能です。
首の小さな軟性線維腫などは、医療用のハサミで簡単に切除できます。小さなイボであれば出血も少なく、傷跡も目立ちません。
ただし、大きなイボの場合は縫合が必要になり、抜糸までの期間や傷跡が残る可能性について考慮する必要があります。
電気メス・高周波治療(サージトロン)
高周波エネルギーを利用してイボを焼き切る方法です。切除と止血を同時に行えるため、出血が少なく傷口も目立ちにくくなります。
液体窒素治療と比較して色素沈着を生じにくいのが大きなメリットです。軟性線維腫や脂漏性角化症など、さまざまなタイプのイボ除去に使用されます。
施術時には電気が走ったような独特の痛みがありますが、麻酔が必要ない程度の痛みであることがほとんどです。
モノクロロ酢酸療法
強力な酸であるモノクロロ酢酸でイボ組織を壊死させる治療法です。日本皮膚科学会のガイドラインでも治療選択肢の一つとして記載されています。
液体窒素療法と比較して痛みが少ないため、小さなお子さんや痛みに敏感な方のイボ治療に適しています。施術頻度は2〜3週間おきで、液体窒素よりも間隔が長くなります。
ただし、正常な皮膚に付着すると傷や水ぶくれになることがあるため、慎重な施術が必要です。
内服療法
ヨクイニン(ハトムギエキス)の内服は、ウイルス性イボに対する補助的な治療法として広く用いられています。免疫を賦活してイボのウイルスを排除する作用があると考えられています。
効果が出るまでに時間がかかる(3か月程度が目安)こと、成人では効果が限定的なことがデメリットですが、痛みを伴わないため、特に小児のイボ治療で選択されることが多い方法です。
また、シメチジンの内服が小児のイボに効果を示すことがあります。
外用療法
サリチル酸外用は、角質を軟化させる作用があり、足底疣贅などに使用されることがあります。
活性型ビタミンD3外用(オキサロール軟膏など)は、角化を調整する作用があり、イボ治療の補助として使用されることがあります。
ただし、これらの外用薬だけでイボを完全に治すことは難しく、液体窒素などの治療と併用されることが多いです。
イボ治療の経過と日常生活での注意点
イボ治療を受ける際には、治療後の経過や日常生活での注意点を理解しておくことが大切です。
治療後の一般的な経過
液体窒素治療の場合、治療当日から数日間は治療部位が赤く腫れたり、チクチクと痛んだりすることがあります。水ぶくれや血豆ができることもありますが、これは治療が効いている証拠です。
1〜2週間程度で黒っぽいかさぶたになり、やがて自然に剥がれ落ちます。かさぶたが取れた後にイボが残っている場合は、再度治療を行います。
レーザー治療の場合も同様に、治療後1〜2週間程度でかさぶたが形成され、自然に剥がれ落ちます。その後、赤みや色素沈着が2〜4か月程度続くことがありますが、徐々に目立たなくなります。
日常生活での注意点
治療後は通常の日常生活を送ることができますが、以下の点に注意しましょう。
まず、治療部位を清潔に保つことが大切です。入浴やシャワーは通常通り行って構いませんが、ゴシゴシこすらないように注意してください。
かさぶたは無理に剥がさず、自然に取れるまで待ちましょう。無理に剥がすとウイルスが広がったり、傷跡が残りやすくなったりします。
紫外線対策も重要です。特にレーザー治療後は肌が敏感になっているため、日焼け止めを使用し、直射日光を避けるようにしましょう。
ウイルス性のイボの場合は、家族への感染を防ぐため、タオルやスリッパなどの共用を避けることが推奨されます。
治療の継続が重要
イボ治療は1回で完了することは少なく、根気よく続けることが大切です。特にウイルス性のイボは治りにくいことがあり、数か月〜1年以上の治療期間が必要な場合もあります。
治療を途中でやめてしまうと、せっかく小さくなったイボが再び大きくなってしまうことがあります。医師の指示に従い、定期的に通院を続けましょう。
また、効果が不十分な治療を漫然と続けるのではなく、3か月程度を目安に治療効果を評価し、必要に応じて治療法の変更や追加を検討することも重要です。
再発について
イボは治療後も再発する可能性があります。ウイルス性のイボの場合、免疫力が低下すると再びウイルスが活性化してイボができることがあります。
老人性イボ(脂漏性角化症)や首イボ(軟性線維腫)は、一度治療しても加齢とともに新たにできることがあります。これらは体質や遺伝的な要因も関係しているため、完全に予防することは難しいですが、紫外線対策や摩擦を減らす工夫で発生を抑えることは可能です。
再発した場合は早めに再治療を受けることで、短期間で対処できることが多いです。
イボ取りの費用と保険適用について
イボ治療には保険が適用されるものと、自費診療になるものがあります。
保険適用となる治療
液体窒素による冷凍凝固療法は、保険適用の治療です。週に1回まで保険適用で治療を受けることができます。3割負担の場合、1回あたり数百円〜千円程度の費用で治療を受けられます。
外科的切除も保険適用となることが多く、イボの大きさや部位によって費用が異なります。
ヨクイニンの内服薬も、尋常性疣贅や青年性扁平疣贅の診断がつけば保険適用となります。
自費診療となる治療
炭酸ガスレーザーによる治療は、美容目的で行う場合は自費診療となることが多いです。費用はクリニックによって異なりますが、イボ1個あたり数千円〜1万円程度が相場です。
首イボの取り放題プランなど、複数のイボをまとめて治療するプランを用意しているクリニックもあります。
高周波治療(サージトロン)なども、保険適用にならないことがあります。
保険適用の判断
イボ治療が保険適用になるかどうかは、医学的な必要性に基づいて判断されます。ウイルス性のイボ(尋常性疣贅など)や、日常生活に支障をきたすイボは保険適用になることが多いです。
一方、純粋に美容目的でのイボ除去は自費診療となることがあります。ただし、同じイボでも医師の判断によって保険適用になる場合もありますので、まずは診察を受けて相談することをおすすめします。
費用の目安
保険診療(3割負担)の場合の目安として、液体窒素治療は初診時で1,000〜2,000円程度、再診時で数百円〜1,000円程度です。
自費診療の場合、炭酸ガスレーザーでイボ1個あたり2,000円〜5,000円程度、首イボの複数個治療で30,000円〜50,000円程度が目安となりますが、クリニックによって大きく異なります。
費用については事前にクリニックに確認し、納得した上で治療を受けることをおすすめします。
イボを予防するための日常ケア
イボの発生を完全に防ぐことは難しいですが、日常的なケアによってリスクを軽減することができます。
ウイルス性イボの予防
ウイルス性のイボを予防するためには、以下の点に気をつけましょう。
傷口のケアが重要です。HPVは傷口から侵入するため、手荒れやひび割れ、小さな傷がある場合は清潔に保ち、保護するようにしましょう。
保湿ケアも大切です。肌が乾燥してバリア機能が低下していると、ウイルスに感染するリスクが高まります。普段から保湿ケアをして肌を健やかに保ちましょう。
公共施設での注意も必要です。プールや温泉、サウナなどでは、ウイルスに感染するリスクがあります。足拭きマットやスリッパの共用に注意し、帰宅後は足をよく洗いましょう。
免疫力を維持することも重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動などで免疫力を保つことで、ウイルスに対する抵抗力を高めることができます。
すでにイボがある場合は、触らないようにしましょう。イボを触った手で他の部位を触ると、ウイルスが広がってしまう可能性があります。
老人性イボの予防
脂漏性角化症(老人性イボ)を予防するためには、紫外線対策が最も重要です。
日焼け止めを日常的に使用しましょう。SPF30以上の日焼け止めを、外出時には必ず塗るようにします。こまめに塗り直すことも大切です。
帽子や日傘を活用することも効果的です。特に紫外線の強い時間帯(10時〜14時頃)は直射日光を避けるようにしましょう。
若いうちからの紫外線対策が将来のイボ予防につながります。紫外線のダメージは長年にわたって蓄積されるため、早いうちからケアを始めることが大切です。
首イボの予防
首イボ(軟性線維腫)は摩擦刺激が原因の一つと考えられているため、以下の点に注意しましょう。
肌に優しい素材の衣類を選びましょう。首周りを締め付けないデザインや、肌触りの良い素材を選ぶことで摩擦を減らせます。
アクセサリーにも注意が必要です。ネックレスなどが肌に擦れることで刺激になることがあります。
保湿ケアをしっかり行い、肌のバリア機能を保つことも大切です。
渋谷でイボ取り治療を検討している方へ
渋谷エリアでイボ取り治療をお考えの方に向けて、クリニック選びのポイントをお伝えします。
専門医の診察を受けることの重要性
イボの治療を受ける際には、まず正確な診断が重要です。見た目がイボに似ていても、実際には別の疾患である可能性もあります。中にはまれに悪性腫瘍の場合もあるため、専門医による診察を受けることをおすすめします。
専門医は、イボの詳細な観察を行い、適切な診断と治療方針を提案してくれます。
治療方法の選択肢
イボの種類や状態、できている部位、患者さんの希望などによって最適な治療法は異なります。複数の治療オプションを持っているクリニックであれば、より適切な治療を受けることができます。
液体窒素治療だけでなく、レーザー治療や外科的切除など、さまざまな選択肢がある中から、自分に合った治療法を相談できるクリニックを選びましょう。
通いやすさ
イボ治療は複数回の通院が必要になることが多いため、通いやすい立地のクリニックを選ぶことも大切です。渋谷駅から徒歩圏内であれば、仕事帰りや買い物のついでにも通いやすいでしょう。
予約の取りやすさや診療時間なども確認しておくと良いでしょう。
費用の透明性
治療を始める前に、費用について明確に説明してくれるクリニックを選びましょう。保険診療と自費診療の違い、治療にかかる総額の目安などを事前に確認しておくことで、安心して治療を受けることができます。
治療後のフォローアップ
イボ治療は治療後のケアも重要です。治療後の経過観察やアフターケアについてきちんとサポートしてくれるクリニックを選びましょう。
再発した場合の対応や、追加治療が必要な場合の費用などについても事前に確認しておくと安心です。

まとめ
イボは多くの方が経験する身近な皮膚トラブルですが、その原因や種類はさまざまです。ウイルス性のイボ、老人性イボ、首イボなど、タイプによって適切な治療法が異なります。
自己判断でイボを取ろうとすることは、感染拡大や傷跡、悪性腫瘍の見逃しなどのリスクがあるため避けるべきです。気になるイボがある場合は、皮膚科を受診して専門医の診断を受けましょう。
イボ治療の主な選択肢としては、液体窒素による冷凍凝固療法、炭酸ガスレーザー治療、外科的切除などがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、イボの状態や患者さんの希望に応じて最適な方法が選択されます。
イボ治療は1回で完了することは少なく、根気よく続けることが大切です。特にウイルス性のイボは治りにくいことがありますが、適切な治療を継続することで改善が期待できます。
日常的な予防としては、傷口のケア、保湿、紫外線対策などが効果的です。また、イボを触らないこと、家族との共用を避けることで感染拡大を防ぐことができます。
渋谷でイボ取り治療をお考えの方は、まずは専門医のいるクリニックで診察を受け、自分に合った治療法を相談されることをおすすめします。適切な診断と治療によって、イボの悩みを解消し、健やかな肌を取り戻しましょう。
参考文献
- 尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版) – Mindsガイドラインライブラリ
- 尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版) – 日本皮膚科学会雑誌
- 一般公開ガイドライン|公益社団法人日本皮膚科学会
- 漢方解説 ヨクイニン|漢方セラピー|クラシエ
- あなたのイボはウイルス性?加齢?イボのタイプ別対処法 – Kampoful Life
- イボに効果の期待できる漢方薬とおすすめ商品6選を解説 | YOJO LIFE
- ヨクイニンの効果と副作用|いぼ、皮膚のあれに効く市販薬を紹介 | ミナカラ
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務