目次
- 脂肪腫とはどんな病気?
- 脂肪腫の症状と特徴
- 脂肪腫ができやすい部位
- 脂肪腫の原因とメカニズム
- 脂肪腫の種類
- 脂肪腫と粉瘤の違いと見分け方
- 脂肪腫と脂肪肉腫(悪性腫瘍)の違い
- 脂肪腫の検査・診断方法
- 脂肪腫の治療法
- 手術の流れと術後のケア
- 手術費用と保険適用について
- 脂肪腫を放置するとどうなる?
- よくある質問(FAQ)
- 渋谷で脂肪腫治療をお考えの方へ
- まとめ
- 参考文献
1. 脂肪腫とはどんな病気?
脂肪腫(しぼうしゅ)とは、皮膚の下にできる脂肪細胞の良性腫瘍です。英語では「リポーマ(Lipoma)」と呼ばれ、いわゆる「脂肪のかたまり」として知られています。
脂肪腫は軟部腫瘍の中で最も発生頻度が高く、1000人に1人以上が罹患するといわれています。一般的に痛みを伴わず、触ると柔らかいしこりとして感じられるのが特徴です。良性腫瘍であるため、直接命に関わることはありませんが、自然に消えることはなく、徐々に大きくなる傾向があります。
脂肪腫は40〜60歳代に多く見つかりますが、実際には幼少期から発生しているケースも少なくありません。成長速度が非常にゆっくりであるため、何十年も経ってから気づくことが多いのです。
体の中で脂肪組織が存在する場所であれば、どこにでも発生する可能性がありますが、特に背中、肩、首、上腕、太ももなどに多く見られます。通常は単発で発生しますが、まれに複数個できる方もいらっしゃいます。
2. 脂肪腫の症状と特徴
脂肪腫には、以下のような特徴的な症状があります。
外観と触感
脂肪腫は皮膚の下にドーム状の盛り上がりとして現れます。触ると柔らかく、ゴムのような弾力性があり、指で押すと皮膚の下で動くのが特徴です。脂肪腫は薄い線維性の被膜(カプセル)に包まれているため、周囲の組織との境界がはっきりしています。
大きさ
脂肪腫の大きさは非常に幅広く、数ミリメートル程度の小さなものから、10センチメートルを超える大きなものまでさまざまです。放置していると、長い年月をかけて徐々に大きくなっていきます。
痛みについて
通常の脂肪腫は痛みを伴いません。ただし、神経の近くにできた脂肪腫が神経を圧迫した場合や、血管脂肪腫という特殊なタイプの場合は、痛みやしびれを感じることがあります。
皮膚の色
脂肪腫ができている部分の皮膚の色は、通常と変わりません。赤みや色素沈着といった変化は見られないのが一般的です。
成長速度
脂肪腫は数年から数十年かけて、非常にゆっくりと大きくなります。急激に大きくなることはほとんどなく、もし短期間で急速に増大した場合は、悪性腫瘍(脂肪肉腫)の可能性を考慮する必要があります。
3. 脂肪腫ができやすい部位
脂肪腫は脂肪組織が存在する体のあらゆる部位に発生する可能性がありますが、特に以下の部位に多く見られます。
好発部位
発生頻度が高い部位としては、背中、肩、首(特に後頚部)が挙げられます。次いで、上腕や太もも(大腿部)、臀部など、体幹に近い四肢の部分にも多く発生します。
一方、顔面、頭皮、膝から下の下腿部、手や足などには、比較的発生しにくいとされています。
発生する深さによる分類
脂肪腫は発生する深さによって、大きく2つに分類されます。
浅在性脂肪腫は皮下脂肪の層にできる脂肪腫で、脂肪腫の大部分がこのタイプに該当します。皮膚の表面から触れやすく、診断も比較的容易です。
深在性脂肪腫は筋膜の下や筋肉内、筋肉と筋肉の間に発生する脂肪腫です。皮膚の深い部分にあるため、表面から触れにくいことがあり、画像検査が必要になる場合があります。筋肉内脂肪腫は周囲の筋肉に浸み込むように広がることがあり、完全な摘出が難しいケースもあります。
4. 脂肪腫の原因とメカニズム
脂肪腫の正確な発生原因は、現在の医学でもまだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が関与していることが分かっています。
遺伝的要因
家族内で複数の人に脂肪腫が発生する「家族性多発性脂肪腫症」という疾患があり、遺伝が関与している可能性が指摘されています。また、脂肪腫の組織を詳しく調べると、約80%に何らかの染色体異常が見つかることから、遺伝子レベルでの異常が脂肪細胞の増殖に関わっていると考えられています。
外傷・刺激
軽い打撲や圧迫など、皮下組織へのダメージがきっかけで脂肪細胞が異常増殖する可能性も指摘されています。刺激を受けやすい部位に脂肪腫ができやすい傾向があることも、この仮説を支持しています。
生活習慣との関連
肥満、高脂血症、糖尿病を持つ方に脂肪腫ができやすい傾向があるという報告もあります。ただし、これらの要因と脂肪腫発生の直接的な因果関係については、まだ明確な結論は出ていません。
発生のメカニズム
脂肪腫は、局所の脂肪細胞が何らかの原因で過剰に増殖することで形成されます。通常の脂肪組織とは異なり、細胞分裂の制御が働かず、緩やかに増え続けます。増殖した脂肪細胞は薄い被膜に包まれ、周囲の正常な脂肪組織とは区別される塊を形成します。
一部の脂肪腫では、HMGA2遺伝子などの軽微な遺伝子変異が確認されたケースもあり、遺伝子レベルの異常が関与している可能性も示唆されています。
5. 脂肪腫の種類
脂肪腫にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。
線維脂肪腫(通常型脂肪腫)
最も一般的なタイプの脂肪腫です。脂肪細胞の中に膠原線維が含まれており、被膜を有していることが多いです。痛みはなく、柔らかいしこりとして触れます。首の後ろや背中など、圧や刺激がかかりやすい部位に好発します。被膜がはっきりしているため、手術では比較的小さな切開で摘出できます。
血管脂肪腫
脂肪細胞の隙間に毛細血管が多く分布している脂肪腫です。直径1〜2センチメートル程度の小さなものが多く、背部、腹部、上腕、前腕などに発生します。最大の特徴は痛みを伴うことで、触らなくても痛い自発痛や、押すと痛む圧痛を認めます。全身に多発することもあり、摘出すると血流に富んでいるため、通常の脂肪腫よりもやや赤っぽく見えます。
筋脂肪腫
筋肉内や筋膜の下など、比較的深い場所に発生する脂肪腫です。後頚部(首の後ろ)に好発し、被膜が不明瞭な場合もあります。周囲の筋肉に浸み込むように存在することがあるため、完全に摘出するには筋肉を含めた切除が必要になることがあり、やや大きめの切開が必要です。
紡錘細胞脂肪腫
紡錘形の細胞を含む脂肪腫で、やや硬い触感があります。中年以降の男性に多く見られ、主に後頚部や肩、背中に発生します。
多形性脂肪腫
細胞の形態にばらつきがある脂肪腫です。主に高齢男性の後頚部や肩に発生します。良性腫瘍ですが、組織学的に悪性腫瘍と紛らわしい場合があるため、病理検査での確認が重要です。
骨髄脂肪腫
脂肪組織の中に骨髄成分が含まれる非常にまれなタイプの脂肪腫です。
6. 脂肪腫と粉瘤の違いと見分け方
脂肪腫と粉瘤(ふんりゅう・アテローム)は、どちらも皮膚の下にできる良性のしこりですが、全く異なる疾患です。患者さんの中には、粉瘤を「脂肪のかたまり」と誤解されている方も少なくありません。
成り立ちの違い
脂肪腫は、皮下で脂肪細胞が増殖してできた脂肪のかたまりです。薄い被膜に包まれた脂肪組織で構成されています。
一方、粉瘤は皮膚の下にできた袋状の構造(嚢腫)の中に、垢や皮脂などの老廃物が蓄積したものです。袋の壁は表皮と同じ細胞でできており、内容物はドロドロとした角質からなります。
見た目の違い
脂肪腫は皮膚の深い層にできやすいため、皮膚の色に変化はなく、単に皮膚が盛り上がって見えるだけです。
粉瘤は皮膚の浅い層にできやすいため、老廃物が透けて見え、全体的に青黒く見えることがあります。また、皮膚の表面に黒い点(開口部)が見えることが多いです。これは毛穴の残存で、皮脂が酸化して黒くなったものです。
触感の違い
脂肪腫はゴムのような柔らかさがあり、指で押すと皮膚の下で動きます。周囲の組織との境界がはっきりしています。
粉瘤は比較的硬く弾力があり、しこりのような感触です。皮膚に密着しているため、脂肪腫ほど動きません。
症状の違い
脂肪腫は通常、炎症を起こすことはなく、痛みもありません(血管脂肪腫を除く)。臭いもありません。
粉瘤は炎症を起こすと赤く腫れ、痛みや熱感を伴うことがあります。また、開口部から内容物が出ると、独特の悪臭を放つことがあります。
治療法の違い
どちらも根治には手術が必要ですが、手術方法が異なります。
脂肪腫は皮膚を直線的に切開し、被膜ごと塊として摘出します。
粉瘤は袋状の組織を残すと再発するため、袋ごと完全に取り除く必要があります。くり抜き法(へそ抜き法)や切開法など、複数の術式があります。
7. 脂肪腫と脂肪肉腫(悪性腫瘍)の違い
脂肪腫は良性腫瘍ですが、脂肪細胞に由来する悪性腫瘍として「脂肪肉腫(しぼうにくしゅ)」があります。脂肪肉腫は非常にまれな疾患で、発生率は10万人に2〜3人程度とされ、そのうちの約10%が脂肪肉腫です。
脂肪腫と脂肪肉腫は見た目だけでは判別が難しいことがありますが、以下のような違いがあります。
成長速度
脂肪腫は数年から数十年かけてゆっくりと大きくなります。「何十年も前からあるけど、あまり大きさが変わらない」とおっしゃる患者さんも少なくありません。
脂肪肉腫は数週間から数ヶ月で急に大きくなることがあります。短期間での急激な増大は、悪性を疑う重要な所見です。
硬さと可動性
脂肪腫は柔らかく、指で押すと容易に動かせることが多いです。皮膚や深部組織との癒着はありません。
脂肪肉腫は硬く、石のような硬さを感じることがあります。押しても動かない(固定されている)、皮膚や筋肉と癒着していることもあります。
痛みの有無
脂肪腫は基本的に無痛です。
脂肪肉腫はまれに痛みや炎症を伴うことがあります。
発生部位
脂肪腫は背中、首、腕、太ももなど体表面に多く発生します。
脂肪肉腫は太ももなどの四肢の深い部分や、後腹膜(お腹の奥)など、深部にできやすい傾向があります。
大きさ
5センチメートル以上の軟部腫瘍は、悪性腫瘍である可能性が高まります。脂肪腫、血管腫などの例外を除くと、5センチメートル以上の腫瘍の約80%が悪性という報告もあります。
注意すべき症状
以下のような症状がある場合は、脂肪肉腫の可能性も考慮して、早めに専門医を受診することをお勧めします。
- 短期間(数週間〜数ヶ月)で急速に大きくなった
- しこりが硬く、動かしにくい
- 痛みやしびれがある
- 皮膚に赤みや潰瘍ができた
- 5センチメートル以上の大きさがある
- 太ももの深い部分にできている
見た目や触診だけで良性・悪性を完全に区別することは難しいため、疑わしい場合はMRI検査や病理組織検査で確定診断を行います。
8. 脂肪腫の検査・診断方法
脂肪腫の診断は、多くの場合、問診と触診で可能です。しかし、他の疾患との鑑別や悪性腫瘍の除外が必要な場合は、以下の検査を行います。
視診・触診
専門医による詳細な身体診察では、約60%の脂肪腫を触診だけで診断することが可能です。柔らかく弾力があり、可動性のあるしこりは脂肪腫を疑います。
診察では、腫瘍の大きさ、硬さ、可動性、皮膚との癒着の有無、圧痛の有無などを確認します。
超音波検査(エコー検査)
超音波検査は、非侵襲的で痛みがなく、短時間で行える検査です。脂肪腫の診断において、最初に行われることが多い画像検査です。
脂肪腫では、均一な内部構造で、境界がはっきりしたエコー像が見られます。一方、脂肪肉腫では内部が不均一で、境界が不明瞭なことがあります。
MRI検査
MRI検査は、脂肪腫の診断において最も信頼性の高い画像検査です。脂肪腫では、T1強調画像で脂肪に特有の高信号(白く見える)を示し、均一な構造が確認できます。
脂肪肉腫では、脂肪以外の成分が混在し、信号が不均一になります。造影剤を使用すると、増強される部分が見られることもあります。
CT検査
骨への浸潤や肺転移の有無を確認する目的で行われることがあります。脂肪腫では、脂肪と一致した低い吸収値(透過性の亢進)が見られます。
病理組織検査(生検)
摘出した腫瘍、または腫瘍の一部を採取して顕微鏡で調べる検査です。脂肪腫か脂肪肉腫かの確定診断に必要な検査です。
脂肪腫の組織学的特徴は、成熟した脂肪細胞からなり、正常の脂肪細胞と区別がつきません。被膜に包まれた均一な脂肪組織が確認されます。
脂肪肉腫では、異型細胞(形の異常な細胞)や、脂肪以外の成分(線維組織、血管など)の混在が見られます。
9. 脂肪腫の治療法
脂肪腫は良性腫瘍であるため、すべての脂肪腫に対して緊急の治療が必要というわけではありません。しかし、脂肪腫は薬物療法や外用薬では治療できず、自然に消えることもありません。根治するためには、手術による摘出が唯一の治療法です。
経過観察
以下のような場合は、すぐに手術を行わず、経過観察を選択することもあります。
- 小さくて見た目が気にならない
- 痛みや不快感がない
- 成長が遅く、生活に支障がない
- 悪性の疑いがない
ただし、経過観察中も定期的に診察を受け、腫瘍の変化をチェックすることが大切です。
手術による摘出
以下のような場合は、手術による摘出が推奨されます。
- 見た目が気になる(美容的な理由)
- 徐々に大きくなっている
- 痛みや圧迫症状がある
- 運動や日常生活に支障がある
- 悪性腫瘍の可能性を否定できない
手術は局所麻酔下で行われることが多く、多くの場合は日帰り手術が可能です。ただし、脂肪腫が非常に大きい場合、深部(筋肉内など)にある場合、悪性の可能性がある場合は、入院や全身麻酔が必要になることがあります。
脂肪吸引について
一般的に、脂肪腫は脂肪吸引では摘出できません。脂肪腫は被膜に包まれた固形の腫瘍であり、液体ではないため、注射器での吸引や脂肪吸引器での除去は基本的に不可能です。切開による外科的摘出が唯一の確実な治療法です。
10. 手術の流れと術後のケア
手術前
初診時に問診、触診、必要に応じて画像検査を行い、脂肪腫の診断と手術適応を判断します。手術日が決まったら、術前検査(血液検査など)を行う場合があります。
手術当日
手術は多くの場合、外来で局所麻酔下に行われます。手術時間は脂肪腫の大きさや部位により異なりますが、一般的には15分から45分程度です。
手術の流れは以下の通りです。
まず、脂肪腫の表面を消毒し、局所麻酔を行います。当院では極細の針を使用するなど、できるだけ痛みを軽減する工夫をしています。
次に、脂肪腫の直上の皮膚を切開します。切開線の長さは脂肪腫の大きさによりますが、腫瘍が柔らかいため、腫瘍の直径より小さな切開で摘出できることもあります。
そして、脂肪腫を被膜ごと周囲の組織から丁寧に剥離し、一塊として摘出します。被膜を破らずに完全に摘出することで、再発を防ぎます。
大きな脂肪腫の場合は、摘出後の空洞に血液が溜まらないようにドレーン(排液管)を挿入することがあります。
最後に、切開部を縫合して手術を終了します。形成外科的な技術を用いて、できるだけ傷跡が目立たないように縫合します。
術後のケア
手術翌日までは痛みがあることがありますが、痛み止めの内服薬を処方しますのでご安心ください。
術後は患部を清潔に保つことが大切です。シャワーは傷の大きさや部位によって翌日から可能な場合もありますので、主治医の指示に従ってください。
飲酒や激しい運動は、術後1週間程度は控えていただくことをお勧めします。血行が促進されると出血のリスクが高まるためです。
抜糸は術後1〜2週間程度で行います。
病理検査
摘出した脂肪腫は病理検査に提出し、良性か悪性かを確認します。結果が出るまでに10日〜2週間程度かかります。
11. 手術費用と保険適用について
脂肪腫の摘出手術は、健康保険が適用されます。診察、検査、手術、病理検査など、すべての医療行為が保険適用の対象です。
手術費用の目安
手術費用は、脂肪腫の大きさや発生部位(露出部か非露出部か)によって異なります。
露出部とは、頭、顔、首、肘から先、膝から下を指します。非露出部とは、それ以外の部位です。
一般的な費用の目安(3割負担の場合)は以下の通りです。
皮膚皮下良性腫瘍の場合、おおよそ10,000円〜20,000円程度です。筋肉内など深部にある場合は、軟部腫瘍として25,000円程度になることがあります。
このほか、初診料・再診料、処方料、術前検査費用、病理検査費用などが別途かかり、約5,500円〜9,500円程度が追加されます。
トータルでは1〜2万円程度で治療できることが多いですが、脂肪腫の大きさや状態によって異なります。詳しくは診察時にご説明いたします。
民間の医療保険について
民間の医療保険に加入されている場合は、契約内容によっては手術給付金の支払い対象となることがあります。詳しくはご加入の保険会社にお問い合わせください。
12. 脂肪腫を放置するとどうなる?
脂肪腫は良性腫瘍であり、すぐに命に関わることはありません。しかし、放置することでいくつかのリスクがあります。
徐々に大きくなる
脂肪腫は自然に消えることがなく、長い年月をかけて徐々に大きくなります。小さいうちに手術すれば傷も小さくて済みますが、大きくなってからでは切開範囲が広がり、傷跡が目立ちやすくなります。
見た目の問題
大きくなった脂肪腫は、見た目にも目立つようになります。特に首や顔など露出部にできた場合は、外見上のストレスを感じる方も少なくありません。
圧迫症状
大きな脂肪腫が神経や血管、周囲の組織を圧迫すると、痛み、しびれ、違和感などの症状が現れることがあります。また、関節の近くにできた場合は、運動に支障をきたすこともあります。
悪性腫瘍との鑑別が困難になる
脂肪腫が大きくなると、脂肪肉腫(悪性腫瘍)との鑑別が難しくなることがあります。特に5センチメートルを超える腫瘍は、悪性の可能性も考慮して慎重な評価が必要です。
まれに悪性化する可能性
非常にまれですが、脂肪腫が急激に大きくなるなど、悪性に転じる可能性も報告されています。急な変化があった場合は、すみやかに医療機関を受診してください。
以上の理由から、脂肪腫に気づいたら、小さいうちに一度専門医に相談することをお勧めします。

13. よくある質問(FAQ)
脂肪腫は自分で治すことはできません。押しても潰れず、小さくなることもありません。また、内服薬や外用薬で改善することもありません。根治には手術による摘出が必要です。「自分で取れた」という場合は、脂肪腫ではなく別の疾患(粉瘤など)であった可能性が高いです。
脂肪腫の診察・治療は、皮膚科または形成外科で行われます。特に手術が必要な場合は、形成外科での治療がおすすめです。形成外科医は傷跡を目立たなくする技術に長けており、整容的にも満足のいく結果が期待できます。
Q3. 脂肪腫と脂肪は違いますか?ダイエットで小さくなりますか?
脂肪腫は通常の脂肪組織とは異なり、被膜に包まれた腫瘍です。ダイエットをして体重が減っても、脂肪腫が小さくなることはありません。
Q4. 脂肪腫は再発しますか?
脂肪腫を被膜ごと完全に摘出すれば、同じ場所での再発は少ないです。ただし、多発性脂肪腫の体質をお持ちの方は、別の場所に新たな脂肪腫ができることがあります。また、筋肉内脂肪腫など被膜が不明瞭なタイプでは、取り残しがあると再発することがあります。
Q5. 手術は痛いですか?
手術は局所麻酔下で行いますので、術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時に多少のチクッとした痛みがありますが、極細の針を使用するなど、痛みを軽減する工夫をしています。術後は痛み止めを処方しますので、ご安心ください。
Q6. 手術後、仕事はいつから可能ですか?
デスクワークなど軽い仕事であれば、手術翌日から可能な場合が多いです。ただし、力仕事や激しい運動は1週間程度控えていただくことをお勧めします。脂肪腫の大きさや部位によっても異なりますので、詳しくは主治医にご相談ください。
Q7. 脂肪腫は遺伝しますか?
家族性多発性脂肪腫症など、遺伝が関与するケースもあります。家族に脂肪腫を持つ人がいる場合、発生しやすい可能性があります。
Q8. 脂肪腫を予防する方法はありますか?
残念ながら、脂肪腫を確実に予防する方法は現在のところありません。発生原因が完全には解明されていないためです。ただし、早期発見・早期治療のために、体にしこりを見つけたら早めに専門医を受診することをお勧めします。
14. 渋谷で脂肪腫治療をお考えの方へ
アイシークリニック渋谷院では、脂肪腫をはじめとする皮膚腫瘍の診察・治療を行っております。
当院では、形成外科専門医による丁寧な診察と、患者さま一人ひとりに合わせた治療プランをご提案しています。脂肪腫の日帰り手術にも対応しており、できるだけ傷跡が目立たないよう、形成外科的な技術を活かした手術を行っております。
皮膚の下にしこりやふくらみを見つけて不安を感じている方、以前から気になっていた脂肪腫の治療をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
渋谷駅からのアクセスも良好で、お仕事帰りやお買い物のついでにもお立ち寄りいただけます。
15. まとめ
脂肪腫は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、脂肪細胞が増殖してできた「脂肪のかたまり」です。軟部腫瘍の中で最も発生頻度が高く、1000人に1人以上が罹患するといわれています。
主な特徴として、柔らかく弾力のあるしこりとして触れること、通常は痛みがないこと、数年から数十年かけてゆっくりと大きくなることが挙げられます。背中、肩、首、上腕、太ももなどに多く発生します。
脂肪腫の発生原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や外傷、生活習慣などが関与している可能性が指摘されています。
脂肪腫は良性腫瘍ですが、自然に消えることはなく、薬物療法も効果がありません。根治するためには手術による摘出が必要です。小さいうちに治療すれば傷跡も小さく済むため、気になる場合は早めに専門医に相談することをお勧めします。
また、似た症状を示す粉瘤や、悪性腫瘍である脂肪肉腫との鑑別も重要です。短期間での急速な増大、硬さ、痛みなどの変化がある場合は、早めに受診してください。
脂肪腫の手術は健康保険が適用され、多くの場合は日帰りで行えます。気になるしこりがありましたら、お気軽にアイシークリニック渋谷院にご相談ください。
16. 参考文献
- アテローム(粉瘤) Q4 – 皮膚科Q&A – 公益社団法人日本皮膚科学会
- 脂肪腫 – MSDマニュアル家庭版
- 軟部腫瘍 – 日本整形外科学会
- 軟部腫瘍診療ガイドライン 2020 – 日本整形外科学会
- 骨軟部腫瘍診療ガイドライン – 日本癌治療学会
- 脂肪肉腫について – メディカルノート
- 脂肪腫と「良性悪性の判断」と手術 – 日本医科大学武蔵小杉病院
- 脂肪腫 – Wikipedia
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務