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眠い時の対処法|日中の眠気を解消する方法と注意すべきサイン

はじめに

「仕事中なのに眠くて仕方がない」「十分寝たはずなのに日中眠くなる」——こうした悩みを抱えている方は少なくありません。眠気は誰にでも起こる自然な生理現象ですが、日常生活に支障をきたすほどの強い眠気は、生活の質を低下させるだけでなく、時には重大な事故につながる危険性もあります。

厚生労働省の調査によると、日本人の約2割が「日中、眠気を感じることがある」と回答しており、現代社会における睡眠の問題は深刻化しています。特に働き盛りの世代では、仕事のパフォーマンス低下や集中力の欠如といった形で、眠気が大きな影響を及ぼしています。

本記事では、眠い時の対処法について、医学的な根拠に基づいて詳しく解説します。すぐに実践できる対処法から、生活習慣の改善方法、さらには病的な眠気の見分け方まで、包括的にご紹介していきます。

眠気のメカニズムを理解する

眠気はなぜ起こるのか

眠気は、脳内の睡眠・覚醒システムによって調整されています。このシステムには、主に2つの重要な要素があります。

1. サーカディアンリズム(概日リズム)

私たちの体には、約24時間周期で変動する体内時計が備わっています。このサーカディアンリズムは、睡眠と覚醒のパターンを制御しており、夜になると眠くなり、朝になると自然に目が覚めるのはこのリズムのおかげです。

このリズムは、脳の視交叉上核という部位でコントロールされており、光や温度などの外部環境からの情報を受け取って調整されています。

2. ホメオスタティックスリープドライブ(恒常性維持機構)

目覚めている時間が長くなればなるほど、「睡眠負債」が蓄積し、眠気が強くなります。これがホメオスタティックスリープドライブと呼ばれるメカニズムです。覚醒時間が長いほど、脳内にアデノシンという物質が蓄積され、これが眠気を引き起こします。

日中の眠気のピークタイム

人間の眠気には、1日のうちで2つのピークがあることが知られています。

  • 午後2時〜4時頃:昼食後の時間帯で、多くの人が眠気を感じやすい
  • 午前2時〜4時頃:夜間の睡眠時間帯

午後の眠気は、昼食による血糖値の変動だけでなく、サーカディアンリズムによる生理的な現象でもあります。つまり、昼食を食べなくても午後に眠くなることは自然なことなのです。

眠気の主な原因

日中の眠気には、さまざまな原因が考えられます。原因を理解することで、適切な対処法を選ぶことができます。

1. 睡眠不足・睡眠負債

最も一般的な原因は、単純な睡眠不足です。厚生労働省が推奨する成人の睡眠時間は6〜8時間ですが、現代の日本人の平均睡眠時間は約7時間程度と報告されており、慢性的な睡眠不足に陥っている人が多いのが現状です。

睡眠負債とは、必要な睡眠時間と実際の睡眠時間の差が積み重なった状態を指します。たとえ1日1時間の睡眠不足でも、それが1週間続けば7時間分の睡眠負債となり、週末に「寝だめ」をしても完全には解消されません。

2. 睡眠の質の低下

十分な睡眠時間を確保していても、睡眠の質が悪ければ日中の眠気につながります。睡眠の質を低下させる要因には以下のようなものがあります。

  • 睡眠環境の問題:騒音、光、温度、湿度の不適切さ
  • 寝具の問題:合わないマットレスや枕
  • 就寝前の習慣:スマートフォンやパソコンの使用、カフェイン摂取
  • ストレス:心配事や不安による睡眠の浅さ

3. 生活リズムの乱れ

不規則な生活習慣は、体内時計を乱し、睡眠と覚醒のリズムを崩します。

  • 不規則な就寝・起床時間:毎日異なる時間に寝起きする
  • 夜更かし習慣:深夜までスマートフォンやゲームをする
  • シフトワーク:夜勤や交代勤務による生活リズムの変動
  • 時差ボケ:海外渡航による体内時計のズレ

4. 食生活の影響

食事と眠気には密接な関係があります。

  • 昼食後の血糖値変動:炭水化物を多く摂取すると血糖値が急上昇し、その後急降下することで眠気が生じる
  • 栄養不足:鉄分やビタミンB群の不足は疲労感や眠気を引き起こす
  • 過食:食べ過ぎによる消化器への血流集中

5. 運動不足

日中の身体活動が少ないと、夜の睡眠の質が低下し、日中の眠気につながります。適度な運動は、睡眠の質を向上させ、深い睡眠を促進する効果があります。

6. ストレスと精神的疲労

仕事や人間関係のストレス、精神的な疲労は、睡眠の質を低下させるだけでなく、日中の眠気や倦怠感を引き起こします。慢性的なストレスは、自律神経のバランスを崩し、睡眠覚醒リズムに悪影響を与えます。

7. 薬の副作用

一部の薬剤には、眠気を副作用として引き起こすものがあります。

  • 抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
  • 一部の抗うつ薬
  • 睡眠薬や抗不安薬
  • 一部の降圧薬
  • 筋弛緩薬

これらの薬を服用している場合は、主治医に相談することが重要です。

すぐにできる眠気対策

日中に眠気を感じた時、すぐに実践できる対処法をご紹介します。状況に応じて、適切な方法を選んでください。

1. 短時間の仮眠(パワーナップ)

最も効果的な対処法の一つが、15〜20分程度の短時間仮眠です。

パワーナップと呼ばれるこの方法は、多くの研究でその効果が実証されています。短時間の仮眠は、集中力や記憶力、作業効率を向上させ、午後のパフォーマンスを大きく改善します。

効果的なパワーナップの方法

  • 時間は15〜20分以内:これ以上長いと深い睡眠に入り、目覚めた時にかえって眠気が増す
  • 午後3時前に取る:遅い時間の仮眠は夜の睡眠に影響する
  • 静かで暗い場所で:完全に横にならなくても、椅子に座ったままでも効果的
  • 仮眠前にカフェイン:コーヒーを飲んでから仮眠を取ると、目覚める頃にカフェインが効き始める

2. 光を浴びる

強い光は、脳を覚醒させる効果があります。これは、光が体内時計に作用し、覚醒を促すメラトニンの分泌を抑制するためです。

実践方法

  • 屋外に出る:自然光を浴びることが最も効果的
  • 窓際に移動:室内でも窓際の明るい場所に行く
  • 照明を明るくする:可能であれば作業スペースの照明を明るくする
  • ブルーライトの活用:短時間であれば、スマートフォンの画面を見ることも覚醒効果がある

3. 体を動かす

身体活動は、交感神経を刺激し、脳を覚醒させます。

オフィスでできる運動

  • ストレッチ:首、肩、背中を伸ばす
  • スクワット:10〜15回程度の軽いスクワット
  • 階段の昇降:エレベーターではなく階段を使う
  • その場足踏み:デスクの近くで軽く足踏みをする
  • 深呼吸:大きく深呼吸を数回繰り返す

4. 顔や首を冷やす

冷たい刺激は、即座に覚醒効果をもたらします。

実践方法

  • 冷水で顔を洗う:洗面所で冷たい水で顔を洗う
  • 濡れたタオルを当てる:冷たい濡れタオルを首筋や顔に当てる
  • 氷を使う:氷を首の後ろに当てる
  • 冷却シート:おでこや首に貼る冷却シートを使用

5. カフェインの摂取

カフェインは、中枢神経を刺激し、眠気を抑制する効果があります。

効果的なカフェイン摂取

  • タイミング:眠気を感じてから15〜30分後に効果が現れる
  • 適量:コーヒー1〜2杯程度(カフェイン100〜200mg)
  • 午後3時以降は避ける:夜の睡眠に影響するため
  • 個人差を考慮:カフェイン感受性には個人差がある

注意点

カフェインへの依存を避けるため、毎日大量に摂取することは推奨されません。また、妊娠中や授乳中の方、カフェインに敏感な方は摂取量に注意が必要です。

6. 刺激的な香りを嗅ぐ

特定の香りには、覚醒効果があることが知られています。

覚醒効果のある香り

  • ペパーミント:清涼感があり、集中力を高める
  • レモン:爽やかな香りで気分をリフレッシュ
  • ローズマリー:記憶力や集中力を向上させる
  • ユーカリ:すっきりとした香りで覚醒を促す

7. 冷たい飲み物や食べ物

冷たいものを摂取することで、一時的に目を覚ますことができます。

  • 氷水
  • 炭酸水
  • アイスキャンディー
  • ミントタブレット

8. 人と会話する

コミュニケーションは脳を活性化させます。同僚と会話をしたり、電話で話したりすることで、眠気を紛らわせることができます。

9. 作業内容を変える

同じ作業を続けていると脳が慣れてしまい、眠気を感じやすくなります。異なる種類の作業に切り替えることで、脳に新しい刺激を与えることができます。

10. ガムを噛む

咀嚼運動は、脳への血流を増加させ、覚醒レベルを上げる効果があります。ミント系のガムは、香りの効果も加わってより効果的です。

生活習慣の改善で眠気を予防する

一時的な対処法だけでなく、根本的に日中の眠気を減らすためには、生活習慣の改善が不可欠です。

1. 規則正しい睡眠習慣を確立する

睡眠衛生(スリープハイジーン)を整える

睡眠衛生とは、良質な睡眠を得るための生活習慣のことです。

就寝・起床時間を固定する

  • 毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
  • 休日も平日と2時間以上ずらさない
  • 体内時計のリズムを安定させる

睡眠環境を整える

  • 室温:16〜19度が理想的
  • 湿度:50〜60%を保つ
  • 照明:就寝時は真っ暗か、足元だけの間接照明
  • 騒音対策:耳栓や防音対策を検討
  • 寝具:自分に合ったマットレスと枕を選ぶ

就寝前のルーティンを作る

  • 就寝1〜2時間前から照明を暗めにする
  • リラックスできる活動(読書、音楽、入浴など)
  • スマートフォンやパソコンの使用を控える
  • 軽いストレッチやヨガ

2. 朝の習慣を見直す

起床後すぐに光を浴びる

朝起きたらすぐに太陽光を浴びることで、体内時計がリセットされ、夜の自然な眠気につながります。

  • カーテンを開けて朝日を浴びる
  • 朝の散歩やジョギング
  • ベランダで朝食を取る

朝食をしっかり摂る

朝食は、体内時計を整え、1日のエネルギー源となります。タンパク質を含むバランスの良い朝食を心がけましょう。

3. 昼食の取り方を工夫する

血糖値の急上昇を避ける

  • 炭水化物の摂りすぎに注意
  • 野菜やタンパク質を先に食べる
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 腹八分目を心がける

GI値の低い食品を選ぶ

血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を選ぶことで、午後の眠気を軽減できます。

  • 玄米、全粒粉パン
  • そば
  • さつまいも
  • 豆類

4. 適度な運動習慣

定期的な運動は、睡眠の質を向上させ、日中の眠気を減らす効果があります。

推奨される運動

  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳など
  • 頻度:週に3〜5回、1回30分程度
  • タイミング:就寝3〜4時間前までに終える
  • 強度:軽く息が上がる程度

5. カフェインとアルコールの適切な管理

カフェイン

  • 午後3時以降は控える
  • 1日の摂取量は400mg以下(コーヒー4杯程度)
  • 個人の感受性に合わせて調整

アルコール

寝酒は睡眠の質を低下させるため、避けることが推奨されます。アルコールは入眠を早めますが、睡眠の後半を浅くし、中途覚醒を増やします。

6. ストレス管理

慢性的なストレスは、睡眠の質を低下させる主要因です。

ストレス対処法

  • マインドフルネス瞑想:1日10〜15分の瞑想
  • 趣味の時間:好きなことをする時間を確保
  • 社会的つながり:友人や家族と過ごす時間
  • カウンセリング:必要に応じて専門家に相談

7. ブルーライト対策

スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させます。

対策方法

  • 就寝2時間前からデジタルデバイスの使用を控える
  • ブルーライトカットフィルムやメガネの使用
  • デバイスのナイトモード設定を利用
  • 寝室にスマートフォンを持ち込まない

8. 入浴のタイミング

就寝の1〜2時間前に入浴することで、体温の変化が自然な眠気を促します。

効果的な入浴方法

  • 温度:38〜40度のぬるめのお湯
  • 時間:15〜20分程度
  • タイミング:就寝1〜2時間前
  • 入浴後:リラックスして過ごす

病的な眠気のサインと睡眠障害

十分な睡眠を取っているにもかかわらず、日中に強い眠気が続く場合、何らかの睡眠障害や病気が隠れている可能性があります。

注意すべき眠気のサイン

以下のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討してください。

  • 日中の耐え難い眠気:どんなに努力しても眠気に抗えない
  • 突然の入眠:会議中や運転中など、不適切な場面で眠ってしまう
  • 十分な睡眠時間でも改善しない:8時間以上眠っても日中眠い
  • 朝起きられない:目覚まし時計に気づかない、何度も二度寝する
  • いびきや無呼吸:家族から指摘される
  • 夜間の異常行動:寝言、歯ぎしり、足のむずむず感
  • 日常生活への支障:仕事や学業に影響が出ている

主な睡眠障害

1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠中に呼吸が止まる病気で、日中の強い眠気を引き起こします。

特徴

  • 大きないびき
  • 睡眠中の無呼吸(家族の目撃)
  • 起床時の頭痛や口の渇き
  • 日中の眠気、倦怠感
  • 集中力の低下

リスク要因

  • 肥満
  • 中高年の男性
  • 首が太く短い
  • 顎が小さい

治療には、CPAP(持続陽圧呼吸療法)などの方法があります。

2. ナルコレプシー

日中に突然強い眠気に襲われ、居眠りをしてしまう神経疾患です。

特徴

  • 日中の耐え難い眠気と居眠り
  • カタプレキシー(情動脱力発作):笑ったり驚いたりすると全身の力が抜ける
  • 入眠時幻覚
  • 睡眠麻痺(金縛り)

若年で発症することが多く、適切な治療が必要です。

3. 特発性過眠症

ナルコレプシーと似ていますが、長時間の睡眠と日中の過度の眠気が特徴です。

特徴

  • 夜間の長時間睡眠(10時間以上)
  • 日中の眠気と居眠り
  • 朝の目覚めの悪さ(睡眠酩酊)
  • 昼寝をしても爽快感がない

4. 概日リズム睡眠障害

体内時計のリズムが社会生活と合わない状態です。

種類

  • 睡眠相後退症候群:夜遅くまで眠れず、朝起きられない
  • 睡眠相前進症候群:夕方に眠くなり、早朝に目覚める
  • 非24時間睡眠覚醒症候群:毎日就寝・起床時間が遅れていく
  • 交代勤務睡眠障害:シフトワークによる睡眠リズムの乱れ

5. むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)

夕方から夜にかけて、脚に不快な感覚が生じ、動かさずにいられなくなる病気です。

特徴

  • 脚のむずむず感、虫が這うような感覚
  • じっとしていられない
  • 動かすと一時的に楽になる
  • 夕方から夜に症状が強まる
  • 入眠困難、中途覚醒

鉄欠乏性貧血との関連も指摘されています。

その他の原因疾患

眠気を引き起こす可能性のある他の疾患には以下があります。

  • うつ病:過眠や日中の眠気が症状として現れることがある
  • 甲状腺機能低下症:代謝が低下し、眠気や倦怠感が生じる
  • 貧血:鉄欠乏性貧血などで疲労感や眠気が生じる
  • 糖尿病:血糖コントロール不良で眠気が生じることがある
  • 慢性疲労症候群:原因不明の強い疲労と眠気

医療機関を受診するタイミング

以下のような場合は、専門医への相談をお勧めします。

受診を検討すべき状況

  1. 生活習慣の改善を1〜2ヶ月続けても改善しない
  2. 日常生活や仕事に支障が出ている
  3. 運転中に眠気で危険を感じたことがある
  4. 家族からいびきや無呼吸を指摘された
  5. 突然眠り込んでしまうことがある
  6. 朝起きた時に頭痛がする
  7. 夜中に何度も目が覚める
  8. 脚のむずむず感で眠れない

睡眠外来・睡眠障害専門医

睡眠に関する専門的な検査や治療を行う医療機関です。

検査内容

  • 問診:睡眠習慣、症状の詳細な聞き取り
  • 睡眠日誌:2週間程度の睡眠パターンの記録
  • 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG):一晩入院して脳波、呼吸、筋電図などを記録
  • 反復睡眠潜時検査(MSLT):日中の眠気を客観的に評価
  • 血液検査:甲状腺機能、鉄欠乏などのチェック

特殊な状況での眠気対策

運転中の眠気

運転中の眠気は、重大な事故につながる危険性があります。

対策

  • 少しでも眠気を感じたら、すぐに安全な場所に停車して仮眠を取る
  • 出発前に十分な睡眠を確保
  • 長距離運転の場合、2時間ごとに休憩
  • カフェイン摂取後の15〜20分の仮眠(カフェインナップ)
  • 同乗者がいる場合は交代で運転

絶対にしてはいけないこと

  • 我慢して運転を続ける
  • 窓を開けるだけで済ませる
  • ガムや音楽だけで乗り切ろうとする

試験や重要な会議の時

大切な場面で眠気に襲われないための準備が重要です。

事前準備

  • 前日は十分な睡眠を確保(8時間以上)
  • 当日の朝食をしっかり取る
  • 会議や試験の30分前に軽い運動
  • 適度なカフェイン摂取(摂りすぎない)

当日の対策

  • 会場内で軽いストレッチ
  • 冷たい水で顔を洗う
  • ミントタブレットやガム
  • 可能であれば、開始前に短時間の仮眠

夜勤・交代勤務の場合

体内時計と逆の時間に働くことで、睡眠リズムが乱れやすくなります。

対策

  • 明るい照明の下で作業:夜勤中は明るい環境を保つ
  • 帰宅時はサングラス:朝の光を避けて体内時計の混乱を防ぐ
  • 睡眠環境の徹底管理:昼間でも暗く静かな環境を作る
  • 規則的な食事時間:体内時計を安定させる
  • 小刻みな仮眠:夜勤中に15〜20分の仮眠を取る

時差ボケの時

海外渡航後の時差ボケも、日中の眠気の原因となります。

対策

  • 出発前から調整:数日前から目的地の時間に合わせて就寝・起床時間をずらす
  • 機内での過ごし方:到着地の夜に合わせて睡眠を取る
  • 到着後の光の浴び方:現地の朝に太陽光を浴びる
  • メラトニン:医師に相談の上、適切に使用

年代別の眠気対策

年齢によって、眠気の原因や対策が異なります。

10代・20代

特徴

  • 慢性的な睡眠不足が多い
  • 夜型の生活リズム
  • スマートフォンの使用時間が長い

対策

  • 睡眠時間の確保(8〜9時間)
  • デジタルデバイスの使用制限
  • 規則正しい生活リズムの確立
  • カフェインの過剰摂取に注意

30代・40代

特徴

  • 仕事のストレスが多い
  • 睡眠時間の確保が難しい
  • 睡眠時無呼吸症候群のリスク増加

対策

  • 睡眠の質を重視
  • ストレス管理
  • 適度な運動習慣
  • いびきや無呼吸のチェック

50代以上

特徴

  • 睡眠が浅くなりやすい
  • 中途覚醒が増える
  • 睡眠障害のリスクが高まる

対策

  • 規則正しい生活リズム
  • 日中の適度な運動
  • 昼寝の活用(30分以内)
  • 持病の管理
  • 定期的な健康チェック

まとめ

日中の眠気は、多くの人が経験する一般的な問題ですが、適切な対処法と生活習慣の改善によって、かなりの程度まで改善することができます。

すぐにできる対処法

  • 15〜20分の短時間仮眠(パワーナップ)
  • 光を浴びる
  • 体を動かす
  • 顔や首を冷やす
  • 適度なカフェイン摂取

根本的な改善策

  • 規則正しい睡眠習慣の確立
  • 睡眠環境の整備
  • 適度な運動習慣
  • バランスの良い食事
  • ストレス管理
  • ブルーライト対策

しかし、生活習慣を改善しても眠気が続く場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合は、何らかの睡眠障害や病気が隠れている可能性があります。睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、うつ病、貧血など、さまざまな原因が考えられます。

特に以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

  • どんなに寝ても日中眠い
  • 突然眠り込んでしまう
  • 家族からいびきや無呼吸を指摘された
  • 運転中に眠気で危険を感じたことがある
  • 仕事や学業に支障が出ている

睡眠は、健康を維持するための最も基本的で重要な要素の一つです。質の良い睡眠を確保することで、日中のパフォーマンスが向上し、生活の質が大きく改善します。

慢性的な眠気でお悩みの方は、まずは生活習慣の見直しから始めてみてください。それでも改善しない場合は、専門家に相談することをお勧めします。

参考文献

  1. 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf
  2. e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-008.html
  3. 厚生労働省「睡眠障害」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
  4. 日本睡眠学会「睡眠障害の診断・治療ガイドライン」
  5. 厚生労働省「健康日本21(第二次)」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html
  6. 国立精神・神経医療研究センター「睡眠と生活習慣病」
    https://www.ncnp.go.jp/
  7. e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-003.html
  8. 厚生労働省「睡眠時無呼吸症候群」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html
  9. 日本睡眠学会 公式サイト
    http://jssr.jp/
  10. 厚生労働省「こころの健康」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kokoro/index.html

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
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